説明

サクションチャンバを備えたシートカッタ

【課題】コントロールされていない、制御されていない裁断屑の剥離が回避され、ひいては予め規定された排出位置にまでの裁断屑の確実な搬送が保証されるようなシートカッタを提供する。
【解決手段】シートカッタ1が、サクション空気貫通開口71aを取り囲んで少なくとも1つのプラト範囲9を有しており、該プラト範囲9において、シートカッタ1が、該シートカッタ1のベースプレート6の厚さDに対して少なくとも部分的に、該ベースプレート6の上面から測定された高さhだけ張り出して形成されており、該高さhが、シートカッタ1の刃部5aの、ベースプレート6の前記上面から測定された高さHよりも小さく寸法設定されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サクションローラの周面に使用するためのシートカッタであって、該シートカッタが、少なくとも1つの刃部と、上面を備えたベースプレートとを有しており、該ベースプレートが、裁断過程時に平材料の有用部分から切り離される裁断屑に向かい合って位置する少なくとも裁断屑範囲に、少なくとも1つのサクション空気貫通開口を有しており、これによって、裁断屑が、サクション作用によってサクションローラの回転の予め規定の角度範囲にわたって該サクションローラに保持されるようになっている形式のものに関する。つまり、本発明は、平材料片の加工もしくは裁断のために真空ローラの周面に配置されるシートカッタ、特に平材料からの裁断よって切り離された裁断屑を真空ローラの規定の回転角にわたってサクション作用によってシートカッタの上面に保持するシートカッタに関する。
【背景技術】
【0002】
平材料片の回転移動中の加工、たとえば封筒の製造の際には、加工したい平材料片は、とりわけ真空ローラを用いて搬送および/または加工されるようになっている。この場合、真空ローラ内に軸方向で延びるサクション通路を介して負圧が供給される、真空ローラの周面に配置されたサクション孔によって、平材料裁断片が真空ローラの周面に保持される。
【0003】
平材料片を回転処理法で、たとえば所望の輪郭に裁断する場合もしくは平材料片からその内側の範囲、たとえば封筒の窓開口を切り抜く場合には、真空ローラの周面に、いわゆる「シートカッタ」が張設されるようになっている。このようなシートカッタは、ローラの半径方向に突出する刃部を備えた金属薄板の形で提供されていて、たとえば磁力によってローラの周面に保持されるようになっている。
【0004】
裁断したい平材料片は、負圧により形成されたサクション作用を用いて、それもシートカッタの表面に保持されるようになっており、平材料片のこのような保持のために、シートカッタは、ローラの周面のサクション孔にほぼ合致するサクション空気貫通開口を有している。
【0005】
相応のシートカッタは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19925612号明細書に記載されている。
【0006】
裁断時に、平材料片の後続処理したい有用部分から切り離される廃物範囲(以下、裁断屑と呼ぶ)、つまり、有用部分の輪郭を取り囲む縁部範囲や、裁断加工される窓開口内の範囲は、裁断の後にサクション作用によってシートカッタの表面に接触した状態で、引き続き真空ローラの回転の規定の角度範囲にわたって搬送され、次いで真空ローラからの廃棄のために、制御してサクション作用を止めることによりかつ/またはサクション孔を介して圧縮空気を負荷することにより排出されかつ/または吹き飛ばされる。
【0007】
裁断屑の寸法は通常は小さいので、シートカッタの、裁断屑を裁断の後に保持しているサクション空気貫通開口は、シートカッタの刃部の著しく近傍に配置されている。このような構成により、裁断屑はシートカッタのベースまでは吸着されないことになり、その結果、ある程度の真空損失が発生している。それというのは裁断屑とシートカッタ表面との間に周辺空気が入り込むことになるからである。
【0008】
真空ローラの回転中にシートカッタの表面から裁断屑を無制御状態で剥離することは極めて不都合である。それというのは、自由に運動可能な裁断屑は、コントロールされない状態で加工機械内を飛散して、平材料片の加工の妨げになり、最悪の場合には装置の損傷の原因になるからである。
【0009】
前述の問題は、特に平材料裁断片に、いわゆる完全な切り込みを行う場合に発生しており、この場合、平材料片の角隅において切り込まれた輪郭によって発生する特に小さい裁断屑は、平材料裁断片に対してもはや結合部を有しておらず、したがってサクション空気によってしか保持されていない。このような角隅裁断屑は、特に回転速度の高い場合にローラから剥離してしまう傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19925612号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、真空ローラと共に使用するためのシートカッタを改良して、コントロールされていない、制御されていない裁断屑の剥離が回避され、ひいては予め規定された排出位置にまでの裁断屑の確実な搬送が保証されるようなシートカッタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するために本発明のシートカッタでは、シートカッタが、サクション空気貫通開口を取り囲んで少なくとも1つのプラト範囲(Plateaubereich)を有しており、該プラト範囲において、シートカッタが、該シートカッタのベースプレートの厚さに対して少なくとも部分的に、該ベースプレートの前記上面から測定された高さだけ張り出して形成されており、該高さが、シートカッタの刃部の、ベースプレートの前記上面から測定された高さよりも小さく寸法設定されているようにした。
【0013】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、プラト範囲が、サクション空気貫通開口を完全に取り囲んでいる。
【0014】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、シートカッタが、プラト範囲において一貫して、ベースプレートの前記上面から測定された高さだけ張り出して形成されている。
【0015】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、プラト範囲が、少なくとも部分的にサクション空気貫通開口から間隔を置いて配置されている。
【0016】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、プラト範囲が、ウェブとして形成されている。
【0017】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、プラト範囲が、ベースプレートと反対の側に少なくとも部分的にプラト範囲刃部を有している。
【0018】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、プラト範囲刃部の、シートカッタのベースプレートの前記上面から測定された高さが、少なくとも部分的に、刃部の、シートカッタのベースプレートの前記上面から測定された高さよりも小さく寸法設定されている。
【0019】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、刃部の高さとプラト範囲の高さとの間の差が、裁断したい平材料の厚さにほぼ相当している。
【0020】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、裁断屑範囲に複数のサクション空気貫通開口が設けられており、該サクション空気貫通開口の各々を取り囲んで1つのプラト範囲が配置されている。
【0021】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、裁断屑範囲に複数のサクション空気貫通開口が設けられており、該サクション空気貫通開口のうち少なくとも2つのサクション空気貫通開口が、1つの共通のプラト範囲によって取り囲まれている。
【0022】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、共通のプラト範囲が、サクション空気貫通開口をそれぞれ完全に取り囲んでいる。
【0023】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、プラト範囲が、少なくとも部分的に、裁断屑を平材料の有用部分から切り離す刃部にまで延びている。
【0024】
本発明のシートカッタの有利な態様によれば、プラト範囲の外側輪郭が、裁断屑の外側輪郭にほぼ相当している。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るシートカッタは、サクションローラの外周面において使用するために設計されていて、少なくとも1つの刃部と、上面を備えたベースプレートとを有している。シートカッタのベースプレートの上面はこの場合、「裁断屑範囲」に、すなわち裁断過程の際に平材料の有用部分から切り離される裁断屑に向かい合って位置する範囲に、少なくとも1つのサクション空気貫通開口を有している。このサクション空気貫通開口に基づき、サクションローラの回転の予め規定された角度範囲にわたってサクション作用によって裁断屑をこのサクションローラに保持することができる。本発明によれば、シートカッタはサクション空気貫通開口を取り囲むように少なくとも1つのプラト範囲を有している。このプラト範囲では、シートカッタがシートカッタのベースプレートの厚さDに対して少なくとも所定の区分にわたって、ベースプレートの上面から測定した高さhだけ隆起されて形成されている。この高さhはこの場合、ベースプレートの上面から測定したシートカッタの刃部の高さHよりも小さく形成されている。
【0026】
本発明におけるプラト範囲の存在に基づき、裁断屑をサクション作用によってシートカッタの上面に当て付けられるまで引き付けることはもはや必要にならない。なぜならば、裁断屑はそれより前にプラト範囲に当て付けられるからである。
【0027】
プラト範囲がサクション空気貫通開口を完全に取り囲み、これによりサクション空気貫通開口の全周にわたって裁断屑の均一な当付けが保証されると有利である。しかし、プラト範囲が所定の区分にわたってのみサクション空気貫通開口を取り囲んでいる構成も十分に考えられる。また、サクション空気貫通開口を取り囲むように複数のプラト範囲を均一に、かつ場合によっては対称的に配置することも可能である。ただし、前記プラト範囲が360゜の角度範囲全体にわたってサクション空気貫通開口を取り囲んで配置されていることは必ずしも必要ではない。
【0028】
本発明の別の有利な実施の態様では、シートカッタが、プラト範囲において一貫して、ベースプレートの上面から測定した高さh分だけ張り出して形成されている。複数のプラト範囲がサクション空気貫通開口を取り囲んで配置されている場合、これらのプラト範囲は、シートカッタが全てのプラト範囲において一貫して、ベースプレートの上面から測定された高さh分だけ張り出されるように形成されていると有利である。しかし、基本的には、特に複数のプラト範囲の場合には、シートカッタが各プラト範囲において一貫して、ベースプレートの上面から測定された種々異なる高さh,h,...h分だけ隆起して形成されていることが考えられる。
【0029】
当然ながら、本発明の範囲内では、前記プラト範囲を、シートカッタが前記プラト範囲において、ベースプレートの上面から測定された種々の高さh,h,hだけ張り出して形成されるように形成することも可能である。すなわち、この場合、シートカッタは前記プラト範囲内に一貫した均一な高さを有していない。
【0030】
プラト範囲が、少なくとも所定の区分においてサクション空気貫通開口から間隔を置いて配置されていると有利である。このことには次のような利点がある。すなわち、サクション空気貫通開口の縁部とプラト範囲との間の範囲にサクションチャンバが形成され得るので、効率良く負圧で負荷され得る、サクション作用を付与するサクション範囲が増大される。この場合には、サクション空気貫通開口がプラト範囲によって完全にかつ一貫して取り囲まれていて、これにより、側方で誤入空気がサクションチャンバ内に引き込まれ得なくなると有利である。
【0031】
プラト範囲はその最も簡単な形ではウェブとして形成されていてよい。この場合、「ウェブ」とは、本発明の範囲内では、長手方向延在長さに比べて著しく小さな横方向延在長さにより特徴付けられる隆起された形状を意味する。この場合、ウェブとは、直線状のウェブである必要はない。むしろ、ウェブ状のプラト範囲は弓形に延びているか、円形に延びているか、またはその他の形状を描いて延びていてもよい。また、ウェブは必ずしもその長手方向延在長さ全体にわたって均一な幅、つまり均一な横方向延在長さを有している必要もない。また、1つのウェブを2つの部分ウェブまたはこれに類するものに二分することも考えられる。さらに、ウェブは一貫して形成されているのではなく、中断部を有していてもよい。
【0032】
特に、ウェブとして形成されたプラト範囲は、ベースプレートで測定された刃部の幅よりも小さく形成された、ベースプレートで測定された幅を有していてよい。また、ウェブ状のプラト範囲はベースプレートを起点として先細りになるようにベースプレートから起立していてもよい。すなわち、この場合、ウェブ状のプラト範囲はこのために円錐状の横断面を有している。
【0033】
プラト範囲はさらに、ベースプレートとは反対の側で少なくとも所定の区分においてプラト範囲刃部を有していてよい。プラト範囲にプラト範囲刃部を形成することにより、プラト範囲に形成されたプラト範囲刃部が裁断屑へ切込み式に係合することに基づき、裁断屑とプラト範囲との間の一層良好なシールを達成することができる。このことは、プラト範囲が、サクション空気貫通開口を取り囲むようにサクションチャンバを形成するために使用される場合に特に有利である。なぜならば、この改善されたシールにより、侵入し得る誤入空気の割合が一層少なくなるので、サクション作用が改善されるからである。
【0034】
裁断屑がプラト範囲に当て付けられる際に裁断屑の完全な裁断が生じないようにプラト範囲刃部が寸法設定されていることが望ましいことは明白である。したがって、シートカッタのベースプレートの上面から測定されたプラト範囲刃部の高さは通常、シートカッタ刃部の高さHよりも小さく設定される。
【0035】
しかし、たとえばプラト範囲刃部が所定の区分において、シートカッタ刃部の高さHに相当する、シートカッタのベースプレートの上面から測定された高さを有していることも考えられる。しかし、この場合、プラト範囲刃部は一貫して形成されているのではなく、中断部もしくは前記高さHに相当する高さよりも小さな高さの範囲を有しているので、裁断屑がプラト範囲に当て付けられる際に裁断屑の完全な(連続した)切込みの形成が生じるのではなく、穿孔の形の区分毎の切込みの形成しか生じない。
【0036】
言い換えれば、この場合には、シートカッタのベースプレートの上面から測定されたプラト範囲刃部の高さが、少なくとも所定の区分にわたって、シートカッタのベースプレートの上面から測定されたシートカッタの刃部の高さよりも小さく形成されているわけである。
【0037】
本発明に係るシートカッタにおいては、シートカッタ刃部の高さHと、プラト範囲の高さhとの間の差が、裁断したい平材料の厚さにほぼ相当していると有利である。このことには、次のような利点がある。すなわち、裁断屑は実質的に最初からプラト範囲に載着されており、つまりサクション空気貫通開口のサクション作用によってはじめてプラト範囲に当て付けられる必要はない。
【0038】
裁断屑範囲では、もちろん、シートカッタのベースプレートに複数のサクション空気貫通開口が設けられていてもよい。その場合、各サクション空気貫通開口を取り囲むように少なくとも1つのプラト範囲が配置されていると有利である。この場合には、裁断屑範囲に存在する少なくとも2つのサクション空気貫通開口が1つの共通のプラト範囲によって取り囲まれていると有利である。これにより、場合によっては1つの共通のサクションチャンバが形成され得る。その場合、この共通のプラト範囲はこれらのサクション空気貫通開口をそれぞれ完全に取り囲んでいると有利である。
【0039】
サクションチャンバの有効な形成および/またはプラト範囲に対する裁断屑の当付けの有効な形成を保証するためには、プラト範囲がさらに少なくとも所定の区分にわたって、裁断屑を平材料の有用部分から切り離す刃部にまで延びていてよい。
【0040】
また、プラト範囲の外側輪郭が裁断屑の外側輪郭にほぼ相当していると有利である。なぜならば、その場合、裁断屑は特に臨界的な個所、つまりその縁部のところで、プラト範囲に当て付けられるからである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】所属のサクションローラに配置されておらず、平らに展開された状態で位置する本発明に係るシートカッタの1つの実施の形態の平面図である。
【図2】サクションローラに配置された本発明に係るシートカッタの別の実施の形態の概略的な部分図である。
【図3】シートカッタに載置された裁断屑を備えた状態の本発明に係るシートカッタの1つの実施の形態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0043】
以下の図面の説明において、本発明に係るシートカッタの種々異なる実施の形態を説明する。便宜上、機能的に合致する構成部材には、個々の図面において同じ符号が付してある。
【0044】
図1には、本発明に係るシートカッタ1の第1の実施の形態が示してある。図1において、このシートカッタ1は、相応のサクションローラから取り外されて展開された平らな状態で図示してある。シートカッタ1は、ローラの回転方向で見た前端部2に一列の複数の細長い貫通開口3を有している。これらの貫通開口3は、シートカッタ1を、貫通開口3内に係合する相応のピンによってサクションローラの周面にこのサクションローラに対して軸方向でならびに周方向で予め規定の位置において固定するために働く。シートカッタ1は、たとえば磁気的な相互作用によってサクションローラの周面に位置固定されてよい。
【0045】
さらに、図1には、環状に延びる一点鎖線によって、シートカッタ1により裁断したい封筒用裁断片4の外周が示してある。シートカッタ1は、封筒用裁断片4を裁断するために、空間的に互いに切り離された4つの刃部5a,5b,5c,5dを有している。これらの刃部5a,5b,5c,5dは、それぞれシートカッタ1のベースプレート6の上面から、たとえばほぼ正三角形の形で突出している。
【0046】
刃部5a,5b,5c,5dによって、シートカッタ1の使用時には、全部で4つの小さな裁断屑が封筒用裁断片4から切り離される。この場合、大きい方の両裁断屑が、ローラの回転方向で見て、裁断片4の前方の範囲に位置しているのに対して、小さい方の両裁断屑は、裁断片4の後方の範囲に配置されている。
【0047】
裁断屑にそれぞれ向かい合って位置して、シートカッタ1は裁断屑範囲7a,7b;8a,8bを有している。この裁断屑範囲7a,7b,8a,8bの内部では、シートカッタ1のベースプレート6にそれぞれ複数のサクション空気貫通開口71a,71b,81a;81bが配置されており、これによって、各裁断屑がサクション作用によってサクションローラの回転の予め規定の角度範囲にわたってサクションローラに保持される。図1に示した本発明に係るシートカッタ1の実施の形態では、裁断屑範囲7a,7bにそれぞれ2つのサクション空気貫通開口71a;71bが配置されているのに対して、裁断屑範囲8a,8bには、それぞれ4つのサクション空気貫通開口81a,81bが配置されている。
【0048】
本発明によれば、サクション空気貫通開口71a,71b,81a,81bが、図示の実施の形態において、それぞれウェブ状のプラト範囲9、つまり、シートカッタ1のベースプレート6の上面から張り出した周壁状の支持範囲によって取り囲まれている。このことは、図3に一層明確に認めることができる。
【0049】
さらに、シートカッタ1の、封筒用裁断片4の内側範囲に向かい合って位置する範囲には、シートカッタ1のベースプレート6が大きな個数のサクション空気貫通開口10を有しており、これによって、封筒用裁断片4がサクションローラの回転の間にサクション作用により予め規定の角度範囲にわたってサクションローラに保持される。
【0050】
封筒用裁断片4の内側範囲におけるサクション空気貫通開口10は、図示の構成では、このサクション空気貫通開口10を取り囲むプラト範囲を有していない。むしろ、封筒用裁断片4の内側範囲におけるサクション空気貫通開口10は、シートカッタ1のベースプレート6の上面とほぼ同一平面を成して終わっている。
【0051】
図2には、本発明に係るシートカッタ1の別の実施の形態の概略的な部分図が示してある。この場合、シートカッタ1のほかに、その属するサクションローラ20も図示してある。このサクションローラ20の周面21にシートカッタ1が接触している。
【0052】
この場合、サクションローラ20の周面21は、多数のサクション孔22を有している。これらのサクション孔22は公知の形式で負圧によって負荷することができる。この実施の形態において、図示のシートカッタ1の使用時の運転中には、図2に示したサクション孔のうち、二重の囲みによって特徴付けた、シートカッタ1のサクション空気貫通開口71aの範囲に位置するサクション孔23しか負圧で負荷されない。
【0053】
図2に示した本発明に係るシートカッタ1の実施の形態は、図1に示した実施の形態と異なり、裁断屑範囲7aにただ1つのサクション空気貫通開口71aしか有していない。
【0054】
このサクション空気貫通開口71aは、一貫して延びるプラト範囲9によって完全に取り囲まれている。サクション空気貫通開口71aの内部に位置するアクティブなサクション孔23と、プラト範囲9とに基づき、このプラト範囲9によって取り囲まれた範囲の内部にサクションチャンバが形成される。この場合、このサクションチャンバの全範囲にわたって、裁断屑を負圧によって保持することができる。
【0055】
図1および図2に示した本発明に係るシートカッタ1の実施の形態では、プラト範囲9が各サクション空気貫通開口71a,71b,81a,81bの縁部にほぼ直接的に続いている。すなわち、プラト範囲9がサクション空気貫通開口71a,71b,81a,81bから間隔を置いて配置されていない。
【0056】
図3には、本発明に係るシートカッタ1の1つの実施の形態の概略的な横断面図が示してある。このシートカッタ1には、封筒用裁断片4が載置されている。この場合、シートカッタ1のベースプレート6は厚さDを有している。
【0057】
この実施の形態では、刃部5aによって裁断屑11が封筒用裁断片4から切り離される。刃部5aは、正三角形にほぼ相当する形状を有していて、ベースプレート6の上面から高さHを備えて突出している。図面に示した、正三角形にほぼ相当する刃部5aの形状は、単に制限されない一例と解されたい。当然ながら、ここでは、別の刃部横断面形状、たとえば二等辺三角形、不等辺三角形またはその他の適切な幾何学的な形状も可能である。
【0058】
刃部5aから間隔を置いて、シートカッタ1は、裁断屑11に向かい合って位置する裁断屑範囲7aにサクション空気貫通開口71aを有している。このサクション空気貫通開口71aは、完全に全周にわたってプラト範囲9によって取り囲まれている。このプラト範囲9は、ここでも再びウェブ状に形成されていて、刃部5aに類似して、正三角形にほぼ相当する形状を有している。しかし、ベースプレート6の上面から突出したプラト範囲9が備える高さhは、少なくとも封筒用裁断片4ひいては裁断屑11の厚さdだけ刃部5aの高さHよりも小さく寸法設定されている。こうして、切削屑11が封筒用裁断片4のレベルから沈下させられる必要なしに、切削屑11をプラト範囲9に載置することができる。
【0059】
その後、プラト範囲9によって取り囲まれた範囲にサクション空気貫通開口71aに基づき形成されるサクション作用によって、切削屑11がプラト範囲9の上縁部9aに向かって強力に引き寄せられる。この上縁部9aは、図示の形態では、カッティングエッジに類似して形成されているので、裁断屑11へのプラト範囲9の上縁部9aの僅かな侵入によって、プラト範囲9により取り囲まれた範囲に形成されたサクションチャンバの特に良好な密封を達成することができ、これによって、特にほとんど誤入空気(周辺空気)が吸い込まれないようになっている。
【0060】
図示の全ての実施の形態では、全てのプラト範囲が一貫して同じ高さhを有している。
【符号の説明】
【0061】
1 シートカッタ
2 シートカッタの前端部
3 貫通開口
4 封筒用裁断片
5a〜5d 刃部
6 シートカッタのベースプレート
7a,7b 裁断屑範囲
8a,8b 裁断屑範囲
71a,71b サクション空気貫通開口
81a,81b サクション空気貫通開口
9 プラト範囲
9a プラト範囲の上縁部
10 サクション空気貫通開口
11 裁断屑
20 サクションローラ
21 サクションローラの周面
22 サクション孔
23 「アクティブ」なサクション孔
D ベースプレートの厚さ
H ベースプレートの上方の刃部の高さ
h ベースプレートの上方のプラト範囲の高さ
d 封筒用裁断片の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サクションローラ(20)の周面(21)に使用するためのシートカッタ(1)であって、該シートカッタ(1)が、少なくとも1つの刃部(5a,5b,5c,5d)と、上面を備えたベースプレート(6)とを有しており、該ベースプレート(6)が、裁断過程時に平材料(4)の有用部分から切り離される裁断屑(11)に向かい合って位置する少なくとも裁断屑範囲(7a,7b,8a,8b)に、少なくとも1つのサクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)を有しており、これによって、裁断屑(11)が、サクション作用によってサクションローラ(20)の回転の予め規定の角度範囲にわたって該サクションローラ(20)に保持されるようになっている形式のものにおいて、
シートカッタ(1)が、サクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)を取り囲んで少なくとも1つのプラト範囲(9)を有しており、該プラト範囲(9)において、シートカッタ(1)が、該シートカッタ(1)のベースプレート(6)の厚さ(D)に対して少なくとも部分的に、該ベースプレート(6)の前記上面から測定された高さ(h)だけ張り出して形成されており、該高さ(h)が、シートカッタ(1)の刃部(5a,5b,5c,5d)の、ベースプレート(6)の前記上面から測定された高さ(H)よりも小さく寸法設定されていることを特徴とする、シートカッタ。
【請求項2】
プラト範囲(9)が、サクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)を完全に取り囲んでいる、請求項1記載のシートカッタ。
【請求項3】
シートカッタ(1)が、プラト範囲(9)において一貫して、ベースプレート(6)の前記上面から測定された高さ(h)だけ張り出して形成されている、請求項1または2記載のシートカッタ。
【請求項4】
プラト範囲(9)が、少なくとも部分的にサクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)から間隔を置いて配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のシートカッタ。
【請求項5】
プラト範囲(9)が、ウェブとして形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のシートカッタ。
【請求項6】
プラト範囲(9)が、ベースプレート(6)と反対の側に少なくとも部分的にプラト範囲刃部(9a)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のシートカッタ。
【請求項7】
プラト範囲刃部(9a)の、シートカッタ(1)のベースプレート(6)の前記上面から測定された高さが、少なくとも部分的に、刃部(5a,5b,5c,5d)の、シートカッタ(1)のベースプレート(6)の前記上面から測定された高さ(H)よりも小さく寸法設定されている、請求項6記載のシートカッタ。
【請求項8】
刃部(5a,5b,5c,5d)の高さ(H)とプラト範囲(9)の高さ(h)との間の差が、裁断したい平材料(4)の厚さ(d)にほぼ相当している、請求項1から7までのいずれか1項記載のシートカッタ。
【請求項9】
裁断屑範囲(7a,7b,8a,8b)に複数のサクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)が設けられており、該サクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)の各々を取り囲んで1つのプラト範囲(9)が配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のシートカッタ。
【請求項10】
裁断屑範囲(7a,7b,8a,8b)に複数のサクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)が設けられており、該サクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)のうち少なくとも2つのサクション空気貫通開口が、1つの共通のプラト範囲(9)によって取り囲まれている、請求項1から9までのいずれか1項記載のシートカッタ。
【請求項11】
共通のプラト範囲(9)が、サクション空気貫通開口(71a,71b,81a,81b)をそれぞれ完全に取り囲んでいる、請求項10記載のシートカッタ。
【請求項12】
プラト範囲(9)が、少なくとも部分的に、裁断屑(11)を平材料(4)の有用部分から切り離す刃部(5a,5b,5c,5d)にまで延びている、請求項1から11までのいずれか1項記載のシートカッタ。
【請求項13】
プラト範囲(9)の外側輪郭が、裁断屑(11)の外側輪郭にほぼ相当している、請求項1から12までのいずれか1項記載のシートカッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−20259(P2011−20259A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161312(P2010−161312)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(591220872)ヴィンクラー ウント デュンネビアー アクチエンゲゼルシャフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Winkler + Duennebier AG
【住所又は居所原語表記】Sohler Weg 65,D−56564 Neuwied,Germany
【Fターム(参考)】