説明

サクションローラシステム

【課題】サクションローラ2と、回転可能なサクションローラ2の第1の端面側に配置された、通気ゾーン23を備えた制御ヘッド18とを有するサクションローラシステム1を改良して、安価でしかもスペースを節約した拡張によって、制御ヘッドとは反対側の端面側に存在するサクション孔を迅速に通気することができるようなものを提供する。
【解決手段】サクションローラ2の第2の端面側においてサクションローラ2が、前記通気ゾーン23に対応する開口30を備えた閉鎖金属薄板26を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サクションローラと、回転可能なサクションローラの第1の端面側に配置された、通気ゾーンを備えた制御ヘッドとを有するサクションローラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許第2943562号明細書、並びにドイツ連邦共和国特許公開第号102005062348明細書によれば、サクションローラのサクション区間を制御するための制御ヘッドが公知である。この公知の制御ヘッドは回転可能に支承されていて、一方の端面側が、少なくとも1つの制御通路を有する、制御ヘッドの端面に滑動接触していて、ローラ外周面に対して直交する方向に延在するサクション孔に負圧/真空を供給するための、少なくとも1つの長手方向通路を有しており、この長手方向通路は、同軸的に延在していて、端面側で終わっている。
【0003】
高速運転中に、負圧がサクションローラの幅全体に亘ってそれぞれ非常に迅速に生ぜしめられ、かつ再び解消されるようになっている。この場合、サクションローラの反対側の(大抵は閉じられている)端面側の近傍に存在する、ローラ外周面のサクション孔は、制御ヘッドによって早期に通気され得ないか、若しくは不十分な通気しか得られないことがある。これによって、制御ヘッドとは反対側の、サクションローラの領域内に残存する材料は、この領域に固着して残り、サクションローラの通気によってこの領域から十分に分離させることができない、という問題がある。
【0004】
このような問題を解決するための選択的な解決策によれば、第2の制御ヘッドを、吸込みローラの反対側の(そうでなければ閉鎖されている)端面に取り付ける、という点にある。これは勿論、一方では費用的に高価であって、また他方では、すべてのサクションローラ装置において、第2の制御ヘッドのためのスペースを提供できない。しかも、第2のサクションヘッドは、洗浄のために必要とされているサクションローラの取り外しを妨げる。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第2943562号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許公開第102005062348号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の課題は、冒頭に述べた形式のサクションローラシステムを改良して、安価でしかもスペースを節約した拡張によって、制御ヘッドとは反対側の端面側に存在するサクション孔を迅速に通気することができるようなものを提供することである。また、簡単な形式でサクションローラ装置を新たなシステムと交換できるようにしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決した本発明によれば、サクションローラの第2の端面側においてサクションローラが、前記通気ゾーンに対応する開口を備えた閉鎖金属薄板を有している。
【0007】
この場合、本発明は、サクションヘッドに対応配置された端面側に延在する領域内に位置するサクション孔を確実に通気するために、別の通気源を設ける必要がある、という考え方から出発している。通気及び排気の際に考慮すべき圧力差は小さいので、サクション孔の通気の際に外気を付加的に供給すれば十分である。このような供給は、特に、サクションヘッドが十分に迅速な排気を保証することができない領域内で行われなければならない。従って、サクションヘッドに向き合う(サクションヘッドとは反対側の)端面側に、開口を有する閉鎖金属薄板が設けられている。この開口を通って、通気を補助するために外気がサクションローラ内に存在する通気通路内に流入する。それによって、サクションローラ内の通気通路だけに付加的な外気が確実に供給され、この通気通路は、この瞬間においてサクションヘッドの通気ゾーンと接続され空気をガイドするようになっている。発生する急勾配の負圧波及びひいては激しい爆発音(閉鎖金属薄板に設けられた開口を介して通気通路が突然排気されることによって発生する)を避けるために、前記閉鎖金属の開口の幅は、サクションローラの回転方向で狭くなっている。この場合、特に滴状の開口によって、雑音レベルを大きく低下させることができる。
【0008】
閉鎖金属薄板を簡単かつ、スペースを節約して取り付けることができるようにするために、閉鎖金属薄板は、複数のピンによってサクションローラシステムのハウジングに固定される。この場合、有利な実施例では、閉鎖金属薄板に隣接する、前記サクションローラの端面側に、複数のマグネットが設けられている。サクションローラの端面側に設けられたこれらのマグネット、及びサクション通路内の真空を介して、それ以上の外気がサクションローラの端面側と閉鎖金属薄板との間に侵入することなしに、閉鎖金属薄板が端面側で保持される。それと同時に、勿論、ハウジングに固定された閉鎖金属薄板との接続によって、サクションローラの回転が影響を受けることはない。摩擦を減少させるために、接触面は、摩擦を低下させるコーティングを備えている。
【0009】
選択的な有利な実施例によれば、閉鎖金属薄板の、サクションローラとは反対側に、通気チャンバ又は負圧チャンバが隣接している。これによって、付加的な通気は、外気だけではなく、圧縮空気又は付加的な真空によって可能である。このような閉鎖金属薄板を、独立した制御ヘッドとして構成することも考えられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の利点は、サクションローラの、制御ヘッドとは反対側の端面側に、開口を備えた閉鎖金属薄板を設けたことによって、サクションローラの、制御ヘッドとは反対側の端面側の領域に存在するサクション孔の迅速かつ確実な通気も可能である、という点にある。しかも、この閉鎖金属薄板は、サクションローラの迅速な交換も可能にする。何故ならば閉鎖金属薄板は容易に取り外すことができるからである。閉鎖金属薄板をやや曲げることによって、閉鎖金属薄板はピンヘッドを介して押圧されて、取り外される。次いで、サクションローラの端面側に設けられたマグネットから容易に外すことができる。さらに、閉鎖金属薄板を別の通気チャンバに接続することによって、第2の制御ヘッドと似た機能性を得ることができる。閉鎖金属薄板の開口の特別な形状によって、雑音レベルを減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の1実施例を、以下に図面を用いて具体的に説明する。
【0012】
図面において同一の部材には同一の符号が記されている。
【0013】
図1に示したサクションローラシステム1の実施例において、サクションローラ2は、軸6を用いて自由に回転可能に機械枠4a内に支承されている。サクションローラ2は、例えば長孔として構成された少なくとも1つのサクション通路10を有しており、このサクション通路10から、それぞれ必要な数、形状並びに構成を有するサクション孔12がサクションローラ2の外周面14まで延在している。各サクション通路10は、サクション開口16内の制御ヘッド側の端部で終わっている。このサクション開口16は、サクションローラ2の一方の端面に位置している。
【0014】
サクションローラ2の前記一方の端面で以て、サクションローラ2は滑動式に又は無接触で、並びに十分に気密に制御ヘッド18に当接しており、該制御ヘッド18は同様にサクションローラ側で端面を有している。制御ヘッド18は、定置に配置されていて、回転しない。制御ヘッド18の固定は、ねじ22によって行われる。
【0015】
制御ヘッド18の精確な機能な当業者に十分に公知であるので、制御ヘッド18の機能については詳しく述べない。
【0016】
制御ヘッド18とは反対側の、サクションローラ2の端面側において、サクションローラ2のこの端面側に設けられた複数のマグネット28の磁気的な引張力に基づいて、閉鎖金属薄板26が、サクションローラ2で保持され、かつピンによって機械枠内でサクションローラに対して固定される。閉鎖金属薄板26の開口30(図示せず)は、制御ヘッド18の通気ゾーン23に対応する位置に配置されており、この開口は、通気しようとするサクション通路10に同時に若しくは付加的に外気を供給する。
【0017】
閉鎖金属薄板26内の開口30を通じて、サクション孔12の十分な通気が、サクションローラ2の、制御ヘッド18とは反対側の端面側の近傍で行われる。
【0018】
組み付けられた閉鎖金属薄板26を備えた側のサクションローラシステム1の側面図の詳細が図2に示されている。この場合、閉鎖金属薄板26は、2つのピン24によってサクションローラシステム1の機械枠4bに組み付けられ、それによってその位置で固定されている。サクションローラ2は、端面側で左右対称に配置された複数のマグネット28を有しており、これらのマグネット28は、閉鎖金属薄板をサクションローラ2の端面側で保持し、この場合、サクションローラ2の回転運動に影響を及ぼすことはない。それと同時に、外気が意図せずに、閉鎖金属薄板26とサクションローラ2との間の中間室を介してサクション通路10内に侵入することはない。サクション通路10は同様に左右対称に、サクションローラ2の縁部に分配配置されていて、サクションローラ2の外周面14に配置されたサクション孔12との接続通路を有している。
【0019】
閉鎖金属薄板26に配置された開口30は、制御ヘッド18の通気ゾーン23及びサクション通路10に対応する位置に配置されている。それによって、通気位置に位置するサクション通路10は、制御ヘッド18を通じて通気を行う他に付加的に、このサクション通路10に、閉鎖金属薄板26の開口30を介して外気が供給される。これによって、閉鎖金属薄板26の近傍に位置するサクション孔12の迅速な通気が可能である。滴状の形状に構成された開口30によって、急勾配の負圧波(Unterdruckwelle)が形成され、ひいてはサクションローラ2の高い回転数における不都合に高い騒音レベルが抑制される、という利点が得られる。
【0020】
閉鎖金属薄板26及び閉じられた通気チャンバ32を備えたサクションローラシステム1の概略図が図3に示されている。この場合、図面は、一方の端面側に接続された制御ヘッド18を備えたサクションローラ2と、他方の端面側に隣接する位置に設けられた閉鎖金属薄板26とが示されている。この閉鎖金属薄板26に隣接した位置で、サクションローラ2とは反対側に通気チャンバ32が配置されている。この通気チャンバ32によって、アクティブな圧縮空気が閉鎖金属薄板26の開口30を介してサクション通路10内にガイドされる。それによって、制御ヘッド18の通気機能がアクティブに促進されるか、又はこの通気機構を完全に実施することができる。さらに、付加的に真空を供給することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】サクションローラと、制御ヘッドと、端面側に組み付けられた閉鎖金属薄板とを備えたサクションローラシステムの縦断面図である。
【図2】閉鎖金属薄板が組み付けられているサクションローラシステムの側面図である。
【図3】隣接する通気室を備えた閉鎖金属薄板を有するサクションローラシステムの概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1 サクションローラシステム、 2 サクションローラ、 4a 機械枠、 4b 機械枠、 6 軸、 8 歯車、 10 サクション通路、 12 サクション孔、 14 外周面、 16 サクション開口、 18 制御ヘッド、 22 ねじ、 23 通気ゾーン、 23a サクション通路、 24 ピン、 26 閉鎖金属薄板、 28 マグネット、 30 開口、 32 通気チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サクションローラ(2)と、回転可能なサクションローラ(2)の第1の端面側に配置された、通気ゾーン(23)を備えた制御ヘッド(18)とを有するサクションローラシステム(1)において、
サクションローラ(2)の第2の端面側においてサクションローラ(2)が、前記通気ゾーン(23)に対応する開口(30)を備えた閉鎖金属薄板(26)を有していることを特徴とする、サクションローラシステム。
【請求項2】
前記閉鎖金属薄板(26)の開口(30)の幅が、サクションローラ(2)の回転方向で狭くなっている、請求項1記載のサクションローラシステム。
【請求項3】
前記閉鎖金属薄板(26)に対応する、前記サクションローラ(2)の第2の端面側に、複数のマグネット(28)が設けられている、請求項1又は2記載のサクションローラシステム。
【請求項4】
前記閉鎖金属薄板(26)の、前記サクションローラ(2)とは反対側に隣接して、通気チャンバ(32)が設けられている、請求硫黄1から3までのいずれか1項記載のサクションローラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−83660(P2010−83660A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257399(P2008−257399)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(591220872)ヴィンクラー ウント デュンネビアー アクチエンゲゼルシャフト (12)
【氏名又は名称原語表記】Winkler + Duennebier AG
【住所又は居所原語表記】Sohler Weg 65,D−56564 Neuwied,Germany
【Fターム(参考)】