説明

サッカーのフリーキック練習用人形装置

【構成】 台1上に、立体的形状をなした人形7を台1に対して所定範囲内において傾斜可能に立てるとともに、台1に対する人形7の立ち上がり方向が所定方向となるようにバネ16で人形7を付勢する。
【効果】 本当の人間の形状に近い立体形状ををなした人形7を備えているので、ボールがぶつかったときの跳ね返り方を、本当の人間の「壁」にぶつかったときの跳ね返り方と同様とすることができる。また、ボールがぶつかったときにバネ16が変形して人形7が傾斜することにより、緩衝作用が果たされるため、人形7の損傷を防止でき、耐久性を非常に良くすることができるとともに、人形7にぶつかったボールが著しく大きく跳ね返ってしまわないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サッカーのフリーキックを練習する際に、相手チームのプレーヤーの代りに所謂「壁」を作らせるための、サッカーのフリーキック練習用人形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】サッカーにおいては、一方のチームが所定の反則を犯したことにより、他方のチームにフリーキックが与えられると、その場所がゴールに近い場合には、反則を犯したチーム側は、そのフリーキックによりボールを直接ゴールに入れられるのを防ぐために、適当数のプレーヤーをフリーキックの地点とゴールとの間に立たせることにより所謂「壁」を作る。したがって、フリーキックをするプレーヤーの方は、カーブをかける等により、前記「壁」を避けながらボールをゴールに入れる高度の技を日頃から練習しておく必要がある。
【0003】このため、従来は、フリーキックを練習をするときは、他の選手やチームの関係者に実際に人間の「壁」を作ってもらうか、またはベニヤ板のようなもので平面状の「壁」を作って練習を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際に人間の「壁」を作ってもらう場合は、至近距離から非常に高速度のボールが蹴られて来るので、「壁」を作っている人にボールがぶつかった場合に怪我をする虞があり、危険であるという問題があった。また、「壁」を作っている人は、その間、自分の練習や本来の仕事等を行うことができないという問題もあった。
【0005】また、ベニヤ板のようなもので壁を作る場合は、耐久性が全くないとともに、ボールがぶつかったときの跳ね返り方が本当の人間の「壁」にぶつかったときの跳ね返り方と大きく異なるため、ボールが跳ね返った後のプレーをイメージしたり、練習することができないという問題があった。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的の一つは、ボールの跳ね返り方を本当の人間の「壁」の場合と同様にすることができるサッカーのフリーキック練習用人形装置を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、耐久性が非常に優れたサッカーのフリーキック練習用人形装置を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、製造コストを低廉とすることができるサッカーのフリーキック練習用人形装置を提供することにある。
【0009】本発明のさらに他の目的は、移動が簡単なサッカーのフリーキック練習用人形装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によるサッカーのフリーキック練習用人形装置は、台と、この台上に、該台に対して所定範囲内において傾斜可能に立てられた立体的形状をなした人形と、前記台に対する前記人形の立ち上がり方向が所定方向となるように前記人形を付勢するバネとを有してなるものである。
【0011】
【作用】本発明においては、従来のベニヤ板による「壁」のように平面状でなく、本当の人間の形状に近い立体形状ををなした人形を備えているので、ボールがぶつかったときの跳ね返り方を本当の人間の「壁」にぶつかったときの跳ね返り方と同様とすることができる。
【0012】また、台に対して人形が傾斜可能に立てられており、かつバネで付勢されているので、ボールがぶつかったときにバネが変形して人形が傾斜することにより、緩衝作用が果たされるため、人形の損傷を防止でき、耐久性を非常に良くすることができるとともに、人形にぶつかったボールが著しく大きく跳ね返ってしまうことがないようにし、これによってもボールがぶつかったときの跳ね返り方を本当の人間の「壁」にぶつかったときの跳ね返り方と同様とすることができる(なお、ボールがぶつかって前記のように一旦傾斜した後、人形はバネの復元力により台に対し所定の立ち上がり方向に復帰する)。
【0013】また、人形の足部分に足底面を設け、この足底面に設けられた人形側軸穴と前記台に設けられた台側軸穴とに軸を挿通するとともに抜け止め手段によって前記台から前記軸が上方に抜け出ないようにし、さらに前記足底面より上方において前記軸に該軸からから上方に抜け出ないようにバネ受けを装着し、このバネ受けと前記足底面との間に圧縮コイルバネを介装し、このバネに前記足底面を前記台に向かって押圧するように付勢させれば、ボールがぶつかったときに圧縮コイルバネが圧縮変形されて前記緩衝作用が果たされるようにすることができる。そして、この場合、ボールがぶつかった後、人形が長い間ふらふらと揺れ続けるようなことなく、短時間のうちに人形の振れを停止させることができる。さらに、この場合、構造を簡単にし、製造コストを低廉とすることができる。
【0014】また、前記足底面と台との間にゴム、ポリウレタン等からなるシート状の緩衝材料を介装すれば、ボールがぶつかったとき、足底面と台との間で大きな衝撃音が発生するのを防止できる。
【0015】また、台に移動用車輪を設ければ、移動が容易になり、使用時、グランド上の所望の位置に移動するのにも、使用後、別の場所に片付けるのにも便利である。
【0016】さらに、人形を繊維強化プラスチックにより構成するとともに薄肉状とすれば、人形を軽くかつ丈夫に構成できるとともに、ボールがぶつかったときに人形が適当に弾性変形して、これによっても緩衝作用が果たされるようにすることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。図1〜4は、本発明のサッカーのフリーキック練習用人形装置の一実施例を示し、台1にはそれぞれ1対ずつの移動用前車輪2および移動用後車輪3が設けられている。前記移動用前車輪2は方向を可変とされるとともに、台1の前端(図1における左端)側に設けられたハンドル棒4に従来公知の操舵機構5を介して連係されており、ハンドル棒4を操舵機構5側の端部を中心として左右に回動させると、移動用前車輪2の方向が左右に変えられるようになっている。前記ハンドル棒4の先端部には把持部6が設けられており、該把持部6を手でもって牽引することにより、台1をグラウンド上を移動させることができるようになっている。なお、前記ハンドル棒4は、操舵機構5側の端部を中心として上下方向に回動可能とされてることにより、台1を牽引し易いようになっている。
【0018】前記台1上には4体の人形7が載置されて立てられている。前記人形7はガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の繊維を用いた繊維強化プラスチックにより構成されており、図2〜4に示されるように、薄肉状とされており、前面側は本当の人間と全く同様の立体的な形状とされているが、背面側は何もない開放状態とされている。
【0019】図3〜5に示されるように、前記人形7の両足の足裏に相当する部分には足底面8が設けられており、これらの足底面8には人形側軸穴9が設けられている。前記台1の各足底面8の直下に位置する部分には、台側軸穴10が設けられており、人形側軸穴9および台側軸穴10には、ボルトからなる軸11がその頭部11aを上側にした状態で挿通されている。なお、前記人形側軸穴9および台側軸穴10の径は、軸11の径より適当な大きさだけ大きくされている。各軸11のうち、台1の下方に突き出た部分には、ナット12(本実施例における抜け止め手段)が螺合されており、各ナット12と台1との間には座金13が軸11に貫通された状態で介装されている。これにより、各人形7は、台1上に、該台1に対して所定範囲内においてあらゆる方向に傾斜可能に立てられている。
【0020】各軸11には、足底面8より上方においてバネ受け14が嵌合されており、各バネ受け14と軸11の頭部11aとの間には座金15が軸11に貫通された状態で介装されている。各バネ受け14と各足底面8との間には、圧縮コイルバネ16が介装されており、各圧縮コイルバネ16は各足底面8を台1に向かって押圧するように付勢している。これにより、各圧縮コイルバネ16は、台1に対する各人形7の立ち上がり方向が所定の直立方向となるように各人形7を付勢している。各足底面8と台1との間には、ゴム、ポリウレタン等からなる等のシート状の緩衝材料17が軸11に貫通された状態で貫通されている。
【0021】このサッカーのフリーキック練習用人形装置は、フリーキックを練習する際、「壁」を作りたい場所に置かれる。なお、必要な場合は、本装置を1台だけでなく、複数台並べて置いてもよい。
【0022】本装置においては、従来のベニヤ板による「壁」のように平面状でなく、本当の人間の形状に近い立体形状をなした人形7を備えているので、ボールがぶつかったときの跳ね返り方を、本当の人間の「壁」にぶつかったときの跳ね返り方と同様とすることができる。
【0023】また、台1に対して人形7が傾斜可能に立てられており、かつバネ16で付勢されているので、ボールがぶつかったときにバネ16が変形して人形7が傾斜することにより、緩衝作用が果たされるため、人形7の損傷を防止でき、耐久性を非常に良くすることができる。なお、ボールがぶつかって前記のように一旦傾斜した後、人形7はバネ16の復元力により台1に対し所定の立ち上がり方向(直立方向)に復帰する。
【0024】また、特に本実施例では、人形7の足部分に足底面8を設け、この足底面8に設けられた人形側軸穴9と台1に設けられた台側軸穴10とに軸11を挿通するとともにナット12(抜け止め手段)によって台1から軸11が上方に抜け出ないようにし、さらに足底面8より上方において軸11に該軸11からから上方に抜け出ないようにバネ受け14を装着し、このバネ受け14と足底面8との間に圧縮コイルバネ16を介装し、このバネ16に足底面8を台1に向かって押圧するように付勢させているので、ボールがぶつかったときに圧縮コイルバネ16が圧縮変形されて前記のように緩衝作用が果たされるので、ボールがぶつかった後、人形7が長い間ふらふらと揺れ続けるようなことなく、短時間のうちに人形7の振れを停止させることができる。その上、構造を簡単にし、製造コストを低廉とすることができる。なお、圧縮コイルバネ16の強さは、ナット12を回転することにより調整することができる。
【0025】また、本実施例のように、足底面8と台1との間にゴム、ポリウレタン等からなるシート状の緩衝材料17が介装すると、ボールがぶつかったとき、足底面8と台1との間で大きな衝撃音が発生するのを防止できる。
【0026】また、本実施例のように、台1に移動用車輪2,3を設ければ、移動が容易になり、使用時、グランド上の所望の位置に移動するのにも、使用後、別の場所に片付けるのにも便利である。そして、特に本実施例では、把持部6を手でもってハンドル棒4を介して台1を牽引することにより、台1をグラウンド上を移動させることができ、かつハンドル棒4を左右に回動させることにより、前車輪2の方向を左右に変えて台1の進行方向を変化できるので便利である。
【0027】また、本実施例のように人形7を繊維強化プラスチックにより構成するとともに薄肉状とすれば、人形7を軽くかつ丈夫に構成できるとともに、ボールがぶつかったときに人形7が適当に弾性変形して、それによっても緩衝作用が果たされるようにすることができる。
【0028】さらに、本実施例においては台1上に人形7が4体立てられているが、本発明においては、台上に立てる人形の数は必ずしも4体に限られることはなく、任意数とすることができる。ただし、前記実施例のように1つの台に複数の人形を立てておけば、1つの台に1つのみ人形を立てる場合より、「壁」を形成するようにグランド上に人形セットする際に手間が掛からないとともに、製造コストを低減できる。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明によるサッカーのフリーキック練習用人形装置は、(イ)ボールの跳ね返り方を本当の人間の「壁」の場合と同様にすることができる。
(ロ)非常に優れた耐久性を得ることができる。
(ハ)製造コストを低廉とすることができる。
(ニ)グランド上を簡単に移動させることができる。
等の優れた効果を得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるサッカーのフリーキック練習用人形装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】前記実施例における人形の中央縦断面図である。
【図3】前記実施例における台と人形との結合部を示す背面図である。
【図4】図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】図3のV−V線における断面図である。
【符号の説明】
1 台
2 移動用前車輪
3 移動用後車輪
7 人形
8 足底面
9 人形側軸穴
10 台側軸穴
11 軸
12 ナット(抜け止め手段)
14 バネ受け
16 圧縮コイルバネ
17 緩衝材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】 台と、この台上に、該台に対して所定範囲内において傾斜可能に立てられた立体的形状をなした人形と、前記台に対する前記人形の立ち上がり方向が所定方向となるように前記人形を付勢するバネとを有してなるサッカーのフリーキック練習用人形装置。
【請求項2】 前記人形の足部分に設けられた足底面と、この足底面に設けられた人形側軸穴と、前記台に設けられた台側軸穴と、前記人形側軸穴および前記台側軸穴に挿通された軸と、前記台から前記軸が上方に抜け出ないようにする抜け止め手段と、前記足底面より上方において、前記軸に該軸から上方に抜け出ないように装着されたバネ受けと、前記バネ受けと前記足底面との間に介装され、前記足底面を前記台に向かって押圧する圧縮コイルバネとを有してなる請求項1記載のサッカーのフリーキック練習用人形装置。
【請求項3】 前記足底面と前記台との間にシート状の緩衝材料を設けられた請求項2記載のサッカーのフリーキック練習用人形装置。
【請求項4】 前記台に移動用車輪が設けられた請求項1,2または3記載のサッカーのフリーキック練習用人形装置。
【請求項5】 前記人形は繊維強化プラスチックからなり、かつ薄肉状とされている請求項1,2,3または4記載のサッカーのフリーキック練習用人形装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開平8−57096
【公開日】平成8年(1996)3月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−222440
【出願日】平成6年(1994)8月24日
【出願人】(594037246)有限会社橋本製作所 (1)