説明

サッシェに収容された製品のディスペンサー

サッシェ用の容器を備え、その容器が、内部キャビティと連通しているスロット開口部を有し、それによってサッシェがスロットを介してキャビティに挿入されてもよく、キャビティ内の当接面が、サッシェがキャビティ内に延び得る距離を制限し、キャビティ内にカッターが配置されて、好ましくはサッシェが張力を受けている引き抜き動作のときにサッシェを切断する、サッシェ用のディスペンサーである。別の実施形態では、ディスペンサーは分配経路に沿ってサッシェを分配し、カッターは、分配経路内に配置されて、サッシェを遮り切断するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサー装置に関し、特に、サッシェに収容された製品を分配するためのディスペンサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品は、サッシェに入れた状態で提供される場合が多い。サッシェは、良く知られた物品であり、一般に、間にエンベロープ容積(envelope volume)を画定するため、縁部で接合された2つの材料シートを備える。サッシェは、一般的に、薄いプラスチックまたは金属、あるいは金属/プラスチック材料箔積層体で作られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サッシェ内に収容された製品にアクセスするためには、サッシェを開かなければならない。これは、通常、ユーザがサッシェを手で破いて開くことによって達成される。サッシェは、優先的にサッシェがそこで破れる切り目(nick)または弱化区域を備える場合が多いが、サッシェを開くことは、製品の損失、傷み、または汚染のリスクを伴う無計画な作業であり得る。
【0004】
米国特許第4,008,657号は、サッシェの連続ストリップを分配するための装置であって、サッシェを開いて、使用のためにそれらの内容物を放出するため、連続ストリップを切断する移動可能なカッターを備えた装置を開示している。この開示された装置は複合機械である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの目的は、サッシェが切断される位置に関してある程度の精度をもってサッシェを便利に切り開くことができるディスペンサーを提供することによって、この問題に対処することである。また、本発明の1つの目的は、そのようなディスペンサーを、例えばポケットやハンドバッグなどに入れて人が容易に携帯することができるパッケージの形態で提供することである。後者の目的は、ユーザが日中に必要とすることがある薬剤の内容物を収容しているサッシェ、例えば、何らかの治療物質の経皮的投与を目的として皮膚に貼るためのパッチを収容しているサッシェの場合に特に重要である。また、1つの目的は、安価に製造することができる、即ち、必要とする成形および/または組立てが最小限である形態で、そのようなパッケージを提供することである。本発明の他の目的は以下の記載から明白になるであろう。
【0006】
本発明の第1の形態によれば、サッシェ用のディスペンサーは、サッシェを収容するとともに、使用のためにサッシェがそこから分配され得る容器を備え、その容器は、その外表面に、容器内のキャビティと連通しているスロット開口部を有し、スロット開口部は、サッシェがスロット開口部に挿入されてキャビティ内に延び得るように配置され、キャビティ内の当接面は、サッシェがキャビティ内に延び得る距離を制限し、カッターは、キャビティ内に配置されるとともに、キャビティ内に延びるサッシェがカッターと接触するようにされ、それによってサッシェが切断され得るように位置付けられる。
【0007】
スロット開口部は、好ましくは、容器の外表面に、スロット開口部を介して挿入されるサッシェの断面に近似するアパーチャを備える。一般的に、サッシェがスロット開口部に挿入されるべき挿入方向に垂直なその断面において、そのようなアパーチャは幅に対して長さが比較的長い。そのようなスロット開口部は、サッシェがそこを介して、かつカッターと接触する位置に向かって、また好ましくは接触する位置までキャビティ内に挿入されるように、便利に案内することができる。スロットおよび/またはキャビティは、挿入されたサッシェを、カッターと接触する位置に向かって、また好ましくは接触する位置までさらに案内する案内手段を組み込んでもよい。そのような案内手段は、例えば、キャビティ内でのサッシェの経路を画定する内部リブをキャビティ内に備えてもよい。
【0008】
サッシェがキャビティ内に延びてもよい距離を制限するキャビティ内の当接面は、様々な形で提供されてもよい。1つの形では、当接面は、サッシェが所望の程度までキャビティ内に延びるとサッシェがそこに当接する、キャビティの隔壁またはキャビティ内の内部リブによって提供される。この当接面は、サッシェおよびカッターを切断接触状態(cutting contact)で相対的に移動させることができる程度を決定し、その結果としてサッシェが切断される程度を決定する働きをすることができる。例えば、ディスペンサーは、ユーザがサッシェを破いて完全に開くための開始点となる、サッシェの開始切り目(starting nick)のみを切断するように準備されてもよい。あるいは、ディスペンサーは、サッシェのセグメントを分断することによって、サッシェを完全に切り開くように準備されてもよい。それに加えて、またはその代わりに、当接面は、後述するように、サッシェをキャビティ内のカッターと切断接触状態になるように案内する案内面としての働きをすることができる。
【0009】
カッターは、キャビティ内に配置されるとともに、キャビティ内に延びるサッシェとカッターとが互いに接触するようにされ、それによってサッシェが切断され得るように位置付けられる。この第1の実施形態では、カッターは、様々な代替構造でサッシェを切断するため、キャビティ内で、かつキャビティおよび当接面に対して様々な構造で構成され、位置付けられてもよい。
【0010】
第1の構造では、カッターは、サッシェをキャビティ内で第1の方向に移動させることによって、サッシェがカッターと接触するようにされ、次に、サッシェを反対の第2の方向に逆に移動させることによって、カッターと接触しないようにされ得るように、キャビティ内で位置付けられ、整列される。
【0011】
この第1の構造では、カッターは、サッシェが第1の方向または第2の方向どちらかで移動する際に、サッシェを切断するように配置されてもよい。
【0012】
サッシェは一般的に可撓性であり、圧縮されるとしわになりやすいので、そのような配置を有利に使用して、サッシェが張力を受けた状態でサッシェを切断するようにすることができる。これは、サッシェをカッターと接触しなくなる第2の方向で移動させながら、例えば引張りながら、サッシェを切断するように構成されたカッターによって達成されてもよい。
【0013】
例えば、第1の方向は、サッシェがスロット開口部に挿入される挿入方向であってもよく、第2の方向は、サッシェがスロット開口部から引き抜かれる引抜き方向であってもよい。そのような構造では、当接面は、サッシェを挿入方向でキャビティに挿入することができる距離を、また結果として、サッシェをキャビティおよびスロット開口部から引き抜くのに必要な距離を、即ちサッシェが切断される程度を制限する働きをする。
【0014】
あるいは、サッシェが、挿入方向でスロット開口部に挿入され、次に、この挿入方向に垂直な第1の方向でサッシェをキャビティ内で移動させることによって、カッターと接触するようにされ、次に、挿入方向に垂直な反対の第2の方向でサッシェを逆に移動させることによって、カッターと接触しないようにされ、次に、引抜き方向でスロット開口部から引き抜かれるように、例えば、第1および第2の方向は両方とも挿入方向に垂直な方向であってもよい。そのような構造では、当接面は、サッシェが挿入方向に垂直な第1および第2の方向で移動されるにしたがって、サッシェを当接面と滑り接触状態(sliding contact)で案内するように整列させることができる。
【0015】
サッシェが第2の方向で移動する際のこの切断動作は、様々な手法で達成されてもよい。例えば、カッターは、第1の方向、例えば挿入方向に面する切刃と、第2の方向、例えば引抜き方向に面する非切断面とを有していてもよい。例えば、容器は、サッシェが挿入方向に挿入され、対向する逆の引抜き方向に引き抜かれてもよいスロット開口部を有していてもよく、カッターは、スロット開口部から離れて挿入方向に面する切刃を有している。
【0016】
本発明のディスペンサーのこの第1の構造は、サッシェの開始切り目を切り込むのに適している。
【0017】
第2の構造では、サッシェが、スロット開口部を通して溝に挿入され、溝に沿ってスロット開口部から出口開口部に向かって移動され、次に、出口開口部を通してキャビティから出てもよいように、キャビティは、溝の挿入端にスロット開口部を、溝の出口端部に出口開口部を、それぞれ有する直線状の案内溝を画定し、カッターは、サッシェが溝に沿って移動するにしたがってサッシェを遮り、カッターがサッシェを切断するように、その切刃が案内溝と整列された状態で、キャビティ内でスロット開口部と出口開口部との間に配置される。
【0018】
この第2の構造では、サッシェは実質的にこの案内溝に沿って「通される(swiped)」。
【0019】
この第2の構造では、当接面は、サッシェをキャビティに、即ち案内溝に挿入し得る距離を制限することができ、また、サッシェが当接面と滑り接触状態で案内溝を通り抜けてもよいように適切に整列されるので、この当接面がサッシェを案内する働きをすることになる。カッターは、当接面からある距離に位置付けられるので、当接面と滑り接触状態で移動するサッシェの縁部からの対応する距離で、カッターがサッシェを切断する。
【0020】
本発明のディスペンサーのこの第2の構造は、サッシェに開始切り目を切り込むのに、またはサッシェのセグメントを分断することによってサッシェを完全に切り開くのに適している。
【0021】
第3の構造では、カッターは、カッターがサッシェに対して移動され、それによってサッシェが切り開かれてもよいように、キャビティに対して移動可能に取り付けられる。
【0022】
この構造では、適切には、サッシェがスロット開口部を通して挿入方向でキャビティに挿入されて、当接面に当接してもよいように、スロット開口部、キャビティ、および移動可能に取り付けられたカッターが相対的に配置され、また、カッターは挿入方向に垂直な方向で移動可能である。
【0023】
カッターの可動性の程度は、カッターがサッシェに開始切り目のみを切り込むようなもの、あるいは、カッターがサッシェのセグメントを完全に分断し、それによってサッシェが開かれるようなものであってもよい。
【0024】
カッターを移動可能に取り付ける手法は、当業者には明白であろう。1つの手法では、カッターは、案内スロット内に滑動的に移動可能に取り付けられてもよく、適切には、容器の外部に操作ハンドルを有し、それによってカッターが操作されてもよい。
【0025】
この第3の構造では、当接面は、サッシェを挿入方向でキャビティに挿入することができる距離を制限する働きをすることができ、カッターと当接面との間の挿入方向での距離は、サッシェが切断されるサッシェの縁部からの対応する距離を決定することができる。
【0026】
本発明の第2の実施形態では、サッシェを収容するとともに、使用のためにサッシェがそこから分配されてもよい容器を備えるサッシェ用のディスペンサーが提供され、容器本体はカッターを組み込み、容器から分配されたサッシェがそれと接触するようにされ、それによってサッシェが切り開かれてもよく、ディスペンサーは、分配経路に沿ってサッシェを分配するように構築され、カッターは、この分配経路に沿って移動するサッシェを遮り、それによってサッシェを切り開くように取り付けられてもよい。
【0027】
そのような分配経路は、サッシェがそれに沿って分配出口開口部に向かって分配される分配導管によって画定されてもよい。
【0028】
この第3の実施形態では、サッシェは真直ぐな縁部を有してもよく、例えば長方形であってもよく、分配経路の方向はサッシェの真直ぐな縁部の方向に平行であってもよい。
【0029】
使用の際、サッシェは、分配経路に沿ってこの第3の実施形態の容器から分配されてもよく、分配経路を辿る過程で、サッシェはカッターと接触するようにされ、それによってサッシェが切断される。
【0030】
カッターは、例えば金属またはセラミックで作られた、尖った刃を備えてもよい。
【0031】
好ましくは、カッターは、不用意にユーザと接触し、その結果としてユーザが怪我を負うのを防ぐために遮蔽される。これは、例えば、ユーザの指が容易にスロット開口部を介して挿入されて、カッターに接触することができないように、カッターをキャビティ内の深いところに取り付けることによって達成されてもよい。この遮蔽はまた、カッターの切刃が挿入方向から逸れている本発明のディスペンサーの形態で達成される。
【0032】
スロット開口部、キャビティ、およびカッターの適切な相対位置は、あらゆる特定のサッシェを適切な位置で適切な程度まで切断するように、当業者が容易に経験的に決定することができる。
【0033】
本発明のディスペンサーは、好ましくは、例えばポケットやハンドバッグなどに入れて、人が容易に携帯することができるパッケージの形態である。そのようなパッケージは、一般に使用される包装材料、例えばプラスチック材料、金属、または堅い厚紙で作られてもよい。そのようなパッケージに適した形状および寸法は、包装技術の当業者には明白になるであろう。第1の実施形態のディスペンサーの好ましい全体構成は、適切には、角および縁部が好ましくは丸み付けられ、1つの端面にサッシェのための分配開口部を有し、反対側の長手方向表面にスロット開口部、アパーチャなどを有する、細長い四辺形の、即ち扁平な箱形を備える。
【0034】
したがって、本発明のディスペンサーの好ましい全体形態は、第1の実施形態によるものであり、それは、容器の1つの表面にサッシェのための分配開口部を有し、反対側の表面にスロット開口部を有する四辺形の容器を備え、スロット開口部は、容器の外表面に、その幅に対して長さが比較的長いアパーチャを備え、キャビティは、挿入されたサッシェをカッターに向かって、またそれと接触する位置まで案内する案内手段を組み込み、当接面は、サッシェを挿入方向でキャビティに挿入することができる程度を制限するように位置付けられ、サッシェをキャビティ内で挿入方向で移動させることによって、サッシェがカッターと接触するようにされ、次に、サッシェを引抜き方向で逆に移動させることによって、カッターと接触しなくなるようにされるように、カッターが構成され、カッターは、サッシェが引抜き方向で移動する際にサッシェを切断するように、挿入方向に面する切刃を有する。
【0035】
本発明のディスペンサーによって、サッシェは、それらを手で破いて開く際に直面するリスクなしに、容易に切り開かれてもよい。サッシェは、一般的には、ほぼ長方形(この用語は正方形を含む)であり、本発明のディスペンサーでは、カッターは、そのような長方形のサッシェの真直ぐな縁部に平行にサッシェを切断することができるようにして、ディスペンサーに組み込まれてもよい。
【0036】
以下、本発明を、添付図面を参照して単に一例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1の実施形態のディスペンサーを示す図である。
【図2】第1の実施形態のディスペンサーを示す図である。
【図3】第1の実施形態のディスペンサーを示す図である。
【図4】図1のディスペンサーの動作を示す図である。
【図5】図1のディスペンサーの動作を示す図である。
【図6】図1のディスペンサーの動作を示す図である。
【図7】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図8】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図9】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図10】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図11】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図12】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図13】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図14】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図15】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図16】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図17】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図18】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図19】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図20】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図21】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図22】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図23】第1の実施形態のディスペンサーの代替形態を示す図である。
【図24】第2の実施形態のディスペンサーを示す図である。
【図25】第2の実施形態のディスペンサーを示す図である。
【図26】第2の実施形態のディスペンサーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1〜6を参照すると、サッシェ11用のディスペンサー10全体が、図1に縦断面図で、図2に、線A-Aに沿って切った、見下ろしたときに見える部分平面断面図で、また、図3に、方向Bに沿って長手方向で見た端面で示されている。ディスペンサー10は、縁部および角が丸み付けされたほぼ四辺形の箱形をした容器12を備え、この容器は、複数のサッシェ11を収容することができ、そこから、ヒンジ付きクロージャ14で閉じられた分配開口部13から使用のためにサッシェが取り出されてもよい。容器は、中に収容されるサッシェ11の形状により緊密に適合した収容空間を画定する内部リブ15を組み込んでいる。容器12は、従来、ポリプロピレンなどのプラスチック材料で成形され、便利には、継ぎ目線123で噛合する、2つの噛合する上側部分121および下側部分121の形で作られる。
【0039】
容器12は、全体が四辺形のものであって、その外側端面にスロット開口部16を有し、外側端面は、図2で分かるように、分配開口部13に対して長手方向反対側の端部において容器12の外表面にアパーチャを備え、スロット開口部16は、スロット開口部16を介してディスペンサー10の長手方向である挿入方向で挿入されるサッシェ11の断面に近似し、その幅に比べて長さが比較的長い。
【0040】
スロット開口部16は、容器12内のキャビティ17と連通している。キャビティ17の輪郭を点線の輪郭で示した簡略平面図を示す図4、5、および6でより明確に分かるように、スロット開口部16は、サッシェ11が図5に矢印で示されるような挿入方向でスロット開口部16に挿入されて、キャビティ17内に延びてもよいように配置される。キャビティ17内の当接面は、サッシェ11の前縁が隔壁18に当接することによって、サッシェ11が挿入方向でキャビティ17内に延びてもよい距離を制限する隔壁18によって提供される。カッター19はキャビティ17内に配置される。カッター19はリブ110に取り付けられ、リブは、カッター19の取付具としての役割をするとともに、他のリブ111とともにキャビティ内でのサッシェ11の経路112を画定する。この経路112は角度が付けられ、カッター19は経路112の凹面部に配置される。
【0041】
カッター19は、サッシェ11が挿入方向でカッター19と接触するようにされ、次に、図6の矢印の方向である反対の引抜き方向でサッシェを逆に移動させることによって、カッター19と接触しなくなるように、キャビティ17内で位置付けられ、それと整列される。
【0042】
カッター19は、スロット開口部16から離れる挿入方向に面する切刃191と、引抜き方向に面する非切断面192とを有する。カッター19は鋸歯状の形状を有し、非切断面192は、挿入方向に対して垂直ではない角度で傾斜しているので、サッシェ11は、切断されずに非切断面192を乗り越えることができるが、筋が付けられる。
【0043】
図4、5、6で分かるような動作の際、サッシェ11は、最初に、サッシェ11が壁18に当接するまで、図3および5で分かるように挿入方向でスロット開口部16に挿入される。サッシェは、挿入されるにしたがって、経路112を辿り、カッター19の非切断面192を乗り越えて筋が付けられる。次に、サッシェは、図6で分かるように引抜き方向で引き抜かれる。経路112は角度が付けられた経路であり、その角度の凸状部にカッター19が配置されるので、サッシェ11が引抜き方向で引張られるときの張力によって、サッシェ11はカッター19の切刃191と切断接触状態にされる。その結果、サッシェ11に切り目113が切り込まれ、ユーザはそれを使用してサッシェ11を破いて開いてもよい。
【0044】
図7〜11を参照すると、第1の実施形態のディスペンサーの代替形態が図7および8に斜視図で、図9、10、および11に部分的に開いた斜視図で示される。
【0045】
ディスペンサー20全体は、開放可能なクロージャ22を備えた一般に知られている四辺形の箱形である容器21を備え、クロージャは、ユーザが長方形のサッシェ23にそこからアクセスできるように開かれてもよい。容器21は、その外表面にスロット開口部24を有し、スロット開口部は、容器21の幅を部分的に横切って延びるとともに、容器内のキャビティ25と連通している細長いアパーチャを備える。
【0046】
キャビティ25は、キャビティ25の端壁を含むエンドストップ当接面26を有する。図8および9で分かるように、スロット開口部24に挿入され、キャビティ25内に延びるサッシェ23は、図8の矢印である挿入方向で挿入されたとき、この当接面26に当接する。この当接面は、サッシェ23をキャビティ25に挿入することができる程度を制限する。
【0047】
カッター27はキャビティ25内に配置される。カッター27は、スロット開口部24から離れて面するカッター27の側部に金属の切刃28を備え、スロット開口部24に面する鈍いプラスチック材料の非切断縁部29を有する。カッター27は、弾性プラスチック材料のフラップ211を用いて、容器21を画定する壁210に対して弾性的に取り付けられる。
【0048】
図10で分かるように、サッシェ23がスロット開口部24に挿入されるにしたがって、サッシェ23はカッター27の非切断縁部29と接触するようにされる。これによってカッター27は弾性的に変位され、カッター27は単にサッシェ23に筋を付ける。図11で分かるように、サッシェが引抜き方向でスロット開口部24から引き抜かれるとき、カッター27の切刃28はサッシェに接触して、サッシェ23に切欠き212を切り込む。キャビティ25は、サッシェ23がキャビティ25に挿入される際にそれを案内する内部リブ213を備える。サッシェ23が引抜き方向でスロット25から引き出されて、張力を受けている間に、サッシェ23が切断されることが分かる。
【0049】
図12、13、14、および15を参照すると、やはり縁部および角が丸み付けされたほぼ四辺形であるディスペンサー30全体の別の代替形態が示される。図12、13、および14は、いくつかの内部機構を点線の輪郭で示す平面図である。図15は、図12に矢印で示される挿入方向で見た端面図である。図1〜11に類似したやり方で、サッシェ31は、内部キャビティ33と連通しているスロット開口部32に挿入され、内部キャビティの中には、図1〜6に示したカッター19と類似した構造のカッター34が配置される。
【0050】
しかし、図12〜15のディスペンサーでは、カッター34の切刃341は挿入方向に垂直な方向に向けられる。
【0051】
使用の際、サッシェ31は、スロット開口部32を介して、図12に示される矢印である挿入方向で挿入される。次に、サッシェは、図1〜6の隔壁18に類似したキャビティ33の隔壁である当接面35に当接する。この当接面は、サッシェ31をこの方向で挿入することができる距離を制限する。
【0052】
図13で分かるように、次に、サッシェ31は、図13の矢印で示される挿入方向に垂直な第1の方向で移動され、その際、図1〜6に類似したやり方でカッター34の非切断面342と接触するようにされる。当接面35は、サッシェがキャビティ33の端部であるさらなる当接面36に当接するまで、サッシェ31がこの第1の方向で移動されるにしたがって、当接面35と滑り接触状態にあるサッシェ31を案内するように整列される。次に、サッシェ31は、図14の矢印によって示される挿入方向に垂直な反対の第2の方向でサッシェを逆に移動させることによって、カッター34と接触しないようにされ、第1の方向に面するカッター34の切刃341と係合して、図6に類似したやり方で切断される。次に、サッシェ31は、図12の矢印と反対方向であってもよい引抜き方向で、または図14の矢印の方向に連続移動させることによって、キャビティ33から引き抜かれてもよい。図14で、ユーザがサッシェ33を破いて完全に開くための開始点となる開始切り目37が、サッシェに切り込まれていることが分かる。
【0053】
図16〜20を参照すると、第1の実施形態のディスペンサー40全体は、ユーザがそこからサッシェ43にアクセスできるように開かれてもよい開放可能なクロージャ42を備えた、一般に知られている箱形の容器41を備える。図16、17、および18は、破線によって示される内部機構が隠された平面図を示す。図19は、上から見て描かれたディスペンサーを示す端面図である。図20は、図16の線A-Aに沿って切った容器の(図面における)下端部の断面図である。
【0054】
ディスペンサー40では、キャビティは、溝44の挿入端部にスロット開口部45を有し、溝44の出口端部に出口開口部46を有する直線状の案内溝44の形態である。図17で分かるように、サッシェ43は、図17に矢印で示される方向でスロット開口部45を通して溝44に挿入され、この方向で溝44に沿ってスロット開口部45から出口開口部46に向かって移動され、出口開口部46を通して溝44から出てもよい。カッター47は、スロット開口部45と出口開口部46との間で溝44内に配置され、その切刃471は案内溝44と整列されているので、サッシェ43が溝44に沿って移動するにしたがってカッター47がサッシェ43を遮り、カッター47がサッシェ43を切断する。
【0055】
ディスペンサー40では、溝44の側面である当接面48が設けられ、当接面は、サッシェ43が当接面48と滑り接触状態で案内溝44を通過してもよいように整列されるので、当接面48はサッシェ43を案内する働きをする。当接面48はまた、サッシェ43を溝44に挿入することができる距離を制限する。カッター47は、当接面48からある距離に位置付けられるので、カッター47は、当接面48と滑り接触状態で移動するサッシェ43の縁部から対応する距離で、サッシェ43を切断する。
【0056】
図18で分かるように、本発明のディスペンサーは、サッシェのセグメント431を分断することによって、サッシェを完全に切り開くのに適している。サッシェが溝44に沿って完全ではない移動をすることによって、カッター47は、サッシェ43に開始切り目のみを切り込むのに使用されてもよい。
【0057】
図21、22、および23を参照すると、ディスペンサー50全体が示される。これは、ユーザがそこからサッシェ53にアクセスできるように開かれてもよい開放可能なクロージャ52を備えた、一般に知られている箱形の容器51を備える。図21および22は、破線で示される内部機構が隠された直交図を示す。図23は、図5の線B-Bに沿って切った容器51の(図面における)下端部の断面図である。
【0058】
このディスペンサーでは、容器51は、その外表面に、図22で分かるようにサッシェ53が中に挿入されてもよいキャビティ55と連通しているスロット開口部54を有する。キャビティ55は、サッシェ53がキャビティ55に挿入されてもよいように、キャビティ55の側面であるエンドストップ当接面56を有するので、サッシェの縁部が表面56に当接して、サッシェ53をキャビティ55に挿入することができる距離が制限される。サッシェ53は、真直ぐな縁部を有し、長方形である。
【0059】
カッター57は、カッター57の縁部をキャビティ55の側壁にある案内スロット58にスナップ嵌めすることによって、キャビティ55に対して移動可能に取り付けられる。カッター57は、キャビティ55の大部分を横切って延びる尖った金属の切刃59を組み込んでいる。刃58は、図22に示される矢印の方向で、キャビティ55内でその中にあるサッシェ53に対して移動され、それによってサッシェ53を切り開き、図18と類似した形でサッシェ53のセグメントを分断してもよい。
【0060】
図24、25、および26を参照すると、全体が60で示される第2の実施形態のディスペンサーは、一般に知られている箱形の容器61を備え、容器は、ローラー64によって容器61の外から操作される既知のタイプのローラー分配メカニズムを用いて、図26でより明確に分かるチャネルである分配経路63に沿ってそこから分配することができるサッシェ62を収容する。図24および25は、破線によって示される内部機構が隠された直交図を示す。図26は、図25の線C-Cに沿って切った容器の、分配経路を横切る断面図である。
【0061】
鋭い金属の刃であるカッター65は、サッシェ62がこの分配経路33に沿って移動するのを遮り、それにより、セグメント661を分断することによってサッシェを切り開くように、分配経路63を横切って取り付けられる。
【0062】
この第2の実施形態では、サッシェ62は、真直ぐな縁部を有し、長方形であり、分配経路63の方向はサッシェ62の長い真直ぐな縁部の方向に平行である。
【0063】
ほぼ四辺形のディスペンサー10、20、30、40、50、60の一般的なサイズは、約10cm(長手方向)×6cm(幅方向)×1.7cm(奥行き方向)である。これらの寸法は、一般に、薬用パッチ、例えば経皮的パッチを収容するサッシェに適しており、ポケットやハンドバッグなどに入れて携帯するのに便利である。適切な製造材料はポリプロピレンである。カッターの鋭い刃が、ユーザと不用意に接触し、その結果としてユーザが怪我を負うのを防ぐため、キャビティ内または分配経路内に取り付けられることによってどのように遮蔽されているかが、図1〜26から明確に分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシェを収容するとともに、使用のためにサッシェがそこから分配され得る容器を備え、該容器は、その外表面に容器内のキャビティと連通しているスロット開口部を有し、
前記スロット開口部は、サッシェが該スロット開口部に挿入されて前記キャビティ内に延び得るように配置され、
前記キャビティ内の当接面は、前記サッシェが該キャビティ内に延び得る距離を制限し、
カッターが前記キャビティ内に配置されるとともに、該キャビティ内に延びるサッシェが該カッターと接触するようにされ、それによって前記サッシェが切断され得るように配置されている、サッシェ用のディスペンサー。
【請求項2】
前記当接面は、前記サッシェが所望の程度まで前記キャビティ内に延びると前記サッシェが当接するものであって、前記キャビティの隔壁または前記キャビティ内の内部リブによって提供されることを特徴とする、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記サッシェを前記キャビティ内で第1の方向に移動させることによって、前記サッシェが前記カッターと接触するようにされ、次に、前記サッシェを反対の第2の方向に逆に移動させることによって、前記カッターと接触しないようにされ得るように、前記カッターが前記キャビティ内で位置付けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記カッターが、前記サッシェを該カッターと接触しなくなる前記第2の方向に移動させる間に、該サッシェを切断するように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記第1の方向が、前記サッシェが前記スロット開口部に挿入される挿入方向であり、前記第2の方向が、前記サッシェが前記スロット開口部から引き抜かれる引抜き方向であることを特徴とする、請求項4に記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記挿入方向で前記キャビティに前記サッシェを挿入し得る距離を前記当接面が制限していることを特徴とする、請求項5に記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記サッシェが、挿入方向で前記スロット開口部に挿入され、次に、この挿入方向に垂直な第1の方向で前記サッシェを前記キャビティ内で移動させることによって、前記カッターと接触するようにされ、次に、前記挿入方向に垂直な反対の第2の方向で前記サッシェを逆に移動させることによって、前記カッターと接触しないようにされ、次に、引抜き方向で前記スロット開口部から引き抜かれるように、前記第1および第2の方向が両方とも前記サッシェの前記挿入方向に垂直な方向であることを特徴とする、請求項4に記載のディスペンサー。
【請求項8】
前記サッシェが前記挿入方向に垂直な方向で移動されるにしたがって、前記サッシェを前記当接面と滑り接触状態で案内するように、前記当接面が整列されることを特徴とする、請求項7に記載のディスペンサー。
【請求項9】
前記カッターが、前記第1の方向に面する切刃と、前記第2の方向に面する非切断面と、を有することを特徴とする、請求項3から8のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項10】
前記ディスペンサーが、前記サッシェが挿入方向で挿入され、対向する逆の引抜き方向で引き抜かれ得るスロット開口部を有し、前記カッターが、前記スロット開口部から離れて前記挿入方向に面する切刃を有していることを特徴とする、請求項9に記載のディスペンサー。
【請求項11】
前記キャビティが直線状の案内溝を画定し、該溝が、その挿入端部に前記スロット開口部とその出口端部に出口開口部とを有し、前記サッシェが前記溝に沿って移動するにしたがって前記カッターが前記サッシェを遮り、前記カッターが前記サッシェを切断するように、その切刃が前記案内溝と整列された状態で、前記キャビティ内で前記スロット開口部と前記出口開口部との間に該カッターは配置されており、これにより、前記サッシェは、前記スロット開口部を通して前記溝に挿入され、前記溝に沿って前記スロット開口部から前記出口開口部に向かって移動され、前記出口開口部を通して前記キャビティから出てもよいようになっている、請求項1または2に記載のディスペンサー。
【請求項12】
前記サッシェは前記当接面と滑り接触状態で前記案内溝に通され、それによって該当接面が該サッシェを案内する働きをするように、該当接面が整列されることを特徴とする、請求項11に記載のディスペンサー。
【請求項13】
カッターがサッシェに対して移動され、それによって該サッシェが切り開かれてもよいように、前記カッターが前記キャビティに対して移動可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のディスペンサー。
【請求項14】
サッシェが前記スロット開口部を通して挿入方向で前記キャビティに挿入されて、前記当接面に当接してもよいように、前記スロット開口部と、前記キャビティと、移動可能に取り付けられた前記カッターと、が相対的に配置されており、
前記カッターが前記挿入方向に垂直な方向で移動可能であることを特徴とする、請求項13に記載のディスペンサー。
【請求項15】
サッシェを収容するとともに、使用のためにサッシェがそこから分配され得る容器を備え、前記容器の本体がカッターを組み込み、前記容器から分配されたサッシェが前記カッターと接触するようにされ、それによって前記サッシェを切り開くことを可能とした、サッシェ用のディスペンサーであって、
分配経路に沿ってサッシェを分配するように構築され、前記カッターが、この分配経路に沿って移動するサッシェを遮り、それによって前記サッシェを切り開くように取り付けられ得る、ディスペンサー。
【請求項16】
前記分配経路が、前記サッシェがそれに沿って分配出口開口部に向かって分配される分配導管によって画定されることを特徴とする、請求項15に記載のディスペンサー。
【請求項17】
パッケージの形態である、請求項1から16のいずれかに記載のディスペンサー。
【請求項18】
1つの表面に前記サッシェのための分配開口部を、反対側の表面に前記スロット開口部を、それぞれ有する四辺形の容器を備え、
該スロット開口部が、前記容器の外表面に、その幅に対して長さが比較的長いアパーチャを備え、
前記キャビティが、挿入されたサッシェを前記カッターに向かって、該カッターと接触する位置まで案内する案内手段を組み込み、
前記当接面が、サッシェを前記挿入方向で前記キャビティ内に挿入することができる程度を制限するように位置付けられ、
前記サッシェを前記キャビティ内で前記挿入方向に移動させることによって、前記サッシェが前記カッターと接触するようにされ、次に、前記サッシェを前記引抜き方向に逆に移動させることによって、前記カッターと接触しなくなるように前記カッターは構成されており、
前記サッシェが前記引抜き方向に移動する際に該サッシェが切断されるように、前記カッターが前記挿入方向に面する切刃を有していることを特徴とする、請求項1〜7、9、10、17のいずれかに記載のディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2010−516573(P2010−516573A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546736(P2009−546736)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050671
【国際公開番号】WO2008/090134
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】