サンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−
【課題】検体液を作製する際に医療従事者が誤って検体を入れ忘れた場合には偽陰性と判定できるサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−を提供する。
【解決手段】凹部が形成された光学的に透明な板を支持体に載せて前記板と前記支持体との間に流路を形成し、前記流路の一端に検体を含む測定溶液を順次注排液するための注排水口と他端に排気口とを設けたバイオセンサ−において、前記測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と、前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と、を前記流路中の前記注排水口側から前記排気口との間の前記支持体表面に配置したバイオセンサ−。
【解決手段】凹部が形成された光学的に透明な板を支持体に載せて前記板と前記支持体との間に流路を形成し、前記流路の一端に検体を含む測定溶液を順次注排液するための注排水口と他端に排気口とを設けたバイオセンサ−において、前記測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と、前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と、を前記流路中の前記注排水口側から前記排気口との間の前記支持体表面に配置したバイオセンサ−。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中の被検出物質をサンドイッチイムノアッセイ法により検出する検出装置およびそれを用いて検出する方法に関するものである。
【0002】
本発明は、国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度、21年度、および22年度独立行政法人 科学技術振興機構、産学イノベ−ション加速事業「先端計測分析技術・機器開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)である。
【背景技術】
【0003】
検体中の特定成分量を検出する方法の一つにサンドイッチアッセイ法がある。サンドイッチアッセイ法は、検出したい物質を2種類の物質で挟み込み定量する方法で、迅速かつ高感度に検出できるために化学物質の測定や臨床検査などで広く利用されている。サンドイッチアッセイ法の中でも、検出した物質を抗体で挟み込み定量する方法を特にサンドイッチイムノアッセイ法と呼ぶ。
【0004】
サンドイッチイムノアッセイ法を利用した臨床用検査キットには、インフルエンザの診断用迅速測定キットがある。このキットには、試料混合容器とラテラルフロ−を原理とした検出装置が用意されている。ここでラテラルフロ−とは、一般的には、イムノクロマトとも言われメンブレン上で行なうイムノアッセイのことである。本検出装置には、アッセイを行なうための反応場としてニトロセルロ−スメンブレンが備えられており、このメンブレンを覆う形でプラスチック容器が設置されている。さらに、メンブレンの一角には検査結果を目視判定するための捕捉試薬部が用意されている。これによるインフルエンザウイルスの診断は以下のようにして行う。まず、採取した検体と金コロイド標識抗インフルエンザウイルス抗体とを試料混合容器内で混合し検体液とする。その後、検体液を検出装置に設けた供給部へ添加する。添加された検体液は、毛細管現象により吸水性担体方向にむかって展開される。最後に、捕捉試薬部で金コロイドが発する色の変化を確認することで、検体中のヒトインフルエンザウイルスの有無を検出する。
【0005】
ところが、こうした検体の検出では、被検出物質が検体中に存在しているにも係わらず陰性と判定される、いわゆる偽陰性が問題となる。この偽陰性が生じると、原因特定を遅らせるばかりでなく、不適切な措置で病状がより重篤になるなど、重大な医療事故の要因となる。すなわち、偽陰性を防止することは、極めて重要な課題である。
【0006】
そのため、ニトロセルロ−スメンブレンの捕捉試薬部よりも下流側に対照部として試料中の標識試薬と特異的反応するする組換え体のインフルエンザウイルス抗原を固定化し、対照部の発色を確認することで検体液が捕捉試薬部に到達したことを見分ける方法により、偽陰性を防ぐ手段が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−333426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、検体液を作製する際に医療従事者が誤って検体を入れ忘れた場合にも陰性と表示し、誤った結果(偽陰性)が生じるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、検体液を作製する際に医療従事者が誤って検体を入れ忘れた場合には偽陰性と判定できるサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明のサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−は、凹部が形成された光学的に透明な板を支持体に載せて前記板と前記支持体との間に流路を形成し、前記流路の一端に検体を含む測定溶液を順次注排液するための注排水口と他端に排気口とを設けたバイオセンサ−において、前記測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と、前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と、を前記流路中の前記注排水口側から前記排気口との間の前記支持体表面に配置したことを特徴としたものである。
また、本発明は、サンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−において、検体を含む測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と前記測定溶液に含まれる標識抗IgE抗体を捕捉するためのIgE抗体捕捉部と前記測定溶液に含まれる標識用酵素を捕捉するための標識蛋白捕捉部と前記測定溶液に含まれる検出試薬を捕捉するための標識酵素捕捉部とを有する免疫反応系に、検体を含む複数の試料溶液を順次注入し免疫反応させた後、前記抗IgE抗体捕捉部にて酵素活性が検出されず、かつ前記IgE抗体捕捉部及び前記標識蛋白捕捉部及び標識酵素捕捉部の全てに酵素活性が検出されるときは、前記試料溶液に前記検体が含まれていないと判定とすることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−によれば、検体が検体液に正しく添加されているかどうかを判別出来れば偽陰性の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1におけるバイオセンサ−の構成図
【図2】本発明の実施の形態1におけるバイオセンサ−の分解図
【図3】本発明の実施の形態1におけるサンドイッチイムノアッセイ法の測定手順を示す図
【図4】本発明の実施例1〜6におけるバイオセンサ−の構成図
【図5】本発明の実施例1における測光画像を示す図
【図6】本発明の実施例2における測光画像を示す図
【図7】本発明の実施例3における測光画像を示す図
【図8】本発明の実施例4における測光画像を示す図
【図9】本発明の実施例5における測光画像を示す図
【図10】本発明の実施例6における測光画像を示す図
【図11】従来のバイオセンサ−の構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、図11に示した従来技術を説明する。従来の捕捉方法は、ニトロセルロ−スメンブレン1101上に設けた捕捉試薬部1102よりも下流域に対照部1103として標識試薬である金コロイド標識抗インフルエンザウイルス抗体を捕捉可能なものを設けている。そのため、供給部1104から検体1107及び標識試薬1108を含む検体液1109が注液されると検体液1109が毛細管現象によりニトロセルロ−スメンブレン1101内を吸水性担体1105方向にむかって展開される。最後に、捕捉試薬部1102及び対照部1103で金コロイドが発する色の変化を確認することで、検体液1109の注液の有無を確認している。しかし従来の構成では、標識成分のみで判定しているので、検体が含まれていないときは陰性と判定(偽陰性)し誤判定する。
【0014】
そのため、本法では、偽陰性を完全に防止するために、標識成分だけで無く、検体成分を始めとする各試料溶液成分を捕捉可能なものを捕捉部に捕捉することで、検体成分を始めとする試料溶液がバイオセンサ−内に正常に展開されたことを判定できるようにした。
以下に、本発明のサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサ−の構成図を示す。
図1の支持体101は、生体分子を捕捉することが出来る捕捉部領域102を設けている。その上に、前記捕捉部領域102を覆うように流路111が形成された上カバ−108を接続されている。前記上カバ−108の一端には、流路111内に検体を含む測定に必要な複数の種類の試料溶液を順次注排液するための注排水口109と、他端に排気口110を有している。さらに、流路111内の捕捉部領域102には、アレルゲン捕捉部103と、抗IgE抗体捕捉部104と、IgE抗体捕捉部105と、標識蛋白捕捉部106と、標識酵素捕捉部107とを配置することで構成されている。ここで、標識蛋白捕捉部106における標識物とは、ビオチン又はアビジン又はストレプトアビジン標識物のことである。また、標識酵素捕捉部107は、酵素を直接又は酵素標識抗体を捕捉することができる。
【0016】
本実施の形態では、各捕捉部を利用することで、偽陰性を発生させること無く、検体中の特定のIgE量を検出する方法を例に説明する。
図2は、図1に示したバイオセンサ−の分解図である。本実施例では、支持体201の寸法は、縦25〜40mm、横40〜80mmとした。また、上カバ−208の寸法は支持体と同程度とし、上下方向の厚さは、2〜10mmとし、形成する流路211の厚みは、0.1〜0.5mmとした。ただし、図2に示したバイオセンサ−を構成するための各部材の寸法は自由に変更できる。また、上カバ−の材質は、透明なものであれば利用できる。
【0017】
支持体201は、捕捉部領域202を設けることが可能な材質で構成され、例えば、合成樹脂、ガラス、金属、ニトロセルロ−ス、フッ化ビニリデンが利用できる。捕捉部領域202は、生体分子を捕捉できるものが利用可能で、例えば、ガラス、ポリスチレン、金被膜、アルミニウム被膜、ニトロセルロ−ス、フッ化ビニリデン、カチオン性ポリマ−被膜、親水性ポリマ−被膜、表面化学処理及び支持体を多孔質化したものが利用できる。表面化学処理としては、シラン化、アミノ化、アルデヒド化、チオ−ル化、エポキシ化や活性エステル化がある。上カバ−は、透明なガラス又は透明樹脂素材のものが利用できる。透明樹脂としては、例えば、アクリル、ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン、PET(ポリエチレンテレフタレ−ト)がある。
【0018】
図2の中図に示す粘着シ−ト212を用いて上図の上カバ−208と下図の支持体201を接合した。各捕捉部を作製した支持体201と上カバ−208の接合は、流路内に注液した液が、液漏れを起こさないように密閉空間を形成できるものが利用可能である。粘着シ−ト以外の接合方法としては、例えば、UV接着、熱圧着、超音波接着を挙げることができる。
【0019】
以下に支持体201中の各捕捉部について作製方法と理由を簡単に説明する。詳細については後述する。
【0020】
アレルゲン捕捉部203は、検体中の目的の被検出物質である各アレルゲン由来のIgEを特異的に捕らえるためのもので、精製したアレルゲンを用いて作製する。ここには、検体中のIgGも結合可能であるが、後に述べる試料溶液の一つである標識抗IgE抗体が、IgGとは結合しないため本サンドイッチイムノアッセイ法による測定には影響しないので、以降IgGの結合については省略する。
【0021】
抗IgE抗体捕捉部204は、検体中のIgEを捕らえるためのもので、抗IgE抗体を用いて作製する。ここで、抗IgE抗体捕捉部で捕捉する抗体は、IgEであれば、どんなIgEでも捕捉可能なものを使用する。この捕捉部が、各試料溶液にうち、バイオセンサ−内への検体注入の有無を評価する。
【0022】
IgE抗体捕捉部205は、試料溶液中の抗IgE抗体を特異的に捕らえるためのもので、IgE抗体を用いて作製する。この捕捉部が、各試料溶液にうち、バイオセンサ−内への抗IgE抗体の有無を評価する。
【0023】
標識蛋白捕捉部206は、試料溶液中の標識酵素を捕らえるためのもので、標識蛋白を用いて作製する。この捕捉部が、各試料溶液にうち、バイオセンサ−内への標識用酵素注入の有無を評価する。標識蛋白捕捉部に捕捉する蛋白は、試料溶液中のビオチン又はアビジン又はストレプトアビジン標識酵素のビオチン又はアビジン又はストレプトアビジンと結合可能なものを標識したものとする。
【0024】
標識酵素捕捉部207は、試料溶液中の検出用試薬を捕らえるためのもので、標識用酵素を用いて作製する。この捕捉部が、各試料溶液にうち、バイオセンサ−内への検出用試薬の有無を評価する。
【0025】
各捕捉部は、上カバ−208の注排水口209から排気口210の間の流路211内に位置する支持体の捕捉部領域202に設けることができる。
【0026】
また、アレルゲン捕捉部203は、検体中の被検出物質が1種でも複数箇所に捕捉することが可能である。また、検体中の被検出物質が複数種ある場合は、それぞれに対応した捕捉部を設けることもできる。アレルゲン捕捉部203に捕捉するアレルゲンの例としては、スギ、ダニ、コムギ等から抽出した精製アレルゲンが利用できる。
【0027】
同様に、アレルゲン以外の捕捉部も、複数箇所に設けることができる。また、アレルゲン捕捉部203よりも、注排水口209側から遠い箇所に捕捉すると、流路211内に確実に注液が行われていると判定できるので好ましい。さらに、アレルゲン捕捉部203を挟むように注排水口209側から近い箇所と遠い箇所に捕捉させれば、前後の捕捉部の値から攪拌の様子を推察することもできる。これは、送液が一定しないような例えば、新規の流路開発段階で有効である。このようにして各捕捉部を作製する。
【0028】
また、IgE抗体捕捉部205、標識蛋白捕捉部206、及び標識酵素捕捉部207をバイオセンサ−内に設けることにより、検体成分以外の試料溶液注液不良も検出可能となり、不良箇所の検索を行なうことができる。
【0029】
また、捕捉部以外の捕捉部領域に生体分子が捕捉されるとノイズとなってしまうので、捕捉部以外の場所とは、試料溶液が反応することが無いようにブロッキング処理を実施する。ブロッキング剤としては、一般的なものが利用可能で、例えば、BSA、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン、正常ヤギ血清、人工合成高分子等が挙げられる。
【0030】
このようにして作製したバイオセンサ−に対し、図3に示したフロ−チャ−トに従って検体を含む測定に必要な複数の試料溶液を順次注入し反応させ、各捕捉部における酵素活性の有無を検出することで実施した試料溶液処理が正しく行なわれたか判定できる。
まず、検体の注液判定の方法を説明する前に、アレルゲン捕捉部203が検体の注液判定に利用できないことを説明する。これは、アレルゲン捕捉部203が捕捉できる抗体が、捕捉アレルゲンに対し結合できるIgE抗体が、捕捉アレルゲンに特異的なIgE抗体のみであることに起因する。つまり、アレルゲン捕捉部203に対し、特異的に結合できるIgE抗体を保有しない検体を使用した場合、アレルゲン捕捉部203では全く酵素活性が確認されないことがあり得る。そのため、アレルゲン捕捉部203で、検体注液の有無を正確に判定することはできない。
【0031】
次に、検体注液の有無を正確に判定できる抗IgE抗体捕捉部204について理由と合わせて説明する。ここで、人が有するIgEについて説明すると、人が保有するIgE量は、全免疫グルブリンの約0.004%を占め、血中濃度としては、約0.03mg/dlを占めている。つまり、IgE抗体であれば、どんなIgE抗体でも捕捉可能な抗体を捕捉してある抗IgE抗体捕捉部204においては、検体さえ注液されれば、人体に必ず一定の割合で存在しているIgE抗体と結合できる。そのため、検体注液の判定に使用でき、抗IgE抗体捕捉部204で酵素活性が検出されたときに、アレルゲン捕捉部203の酵素活性を検出することで、正しく検体処理が行なわれたことを確認した上で、被検体中の特定のIgE量を算出できる。
【0032】
次に、試料溶液の検体注液が正常に実施できていないと判定する方法を説明する。判定は、抗IgE抗体捕捉部204において試料溶液に酵素活性が検出されず、かつIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207において標識酵素の活性が検出されるときを、試料溶液に検体が含まれていないと判定できる。そのため、偽陰性を防止することが出来る。これは、前述した抗IgE抗体捕捉部204が検体注液され、以降の処理も正確に実施されれば必ず酵素活性を示すことに加え、IgE抗体捕捉部205が、フロ−チャ−トS07以降の処理が正常に行なわれたときには必ず酵素活性を有する試薬を予めバイオセンサ−として捕捉しておくことで判定できる。
【0033】
つまり、IgE抗体捕捉部205には、本来検体処理を実施することで捕捉するIgE抗体をバイオセンサ−作製時点で既に捕捉しておくので、検体の有無に係わらず、バイオセンサ−内にIgE抗体が存在する状態となっているためS07以降の処理に関与できる。よって、抗IgE抗体捕捉部204において試料溶液に酵素活性が検出されず、かつIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207において標識用酵素の活性が検出されるときを、試料溶液に検体が含まれていないと判定できる。IgE抗体捕捉部205で酵素活性が確認できれば、標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207においては必ず酵素活性が確認できるが、その詳細については後述する。
【0034】
以下、図3のフロ−チャ−トに従い、第1から第7の試料溶液を順次注入した際に生じる現象を詳細に述べる。
【0035】
まず、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、検体を含んだ第1の試料溶液を注入する(S01)。ここで第1の試料溶液は、検体を含んだものである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と検体を一定時間反応させる(S02)。その後、注排水口から第1の試料溶液を廃棄する(S03)。ここで使用可能な検体は、全血又は血漿又は血清である。バイオセンサ−内に、検体を直接注入することも可能だが、少量の検体を使用する場合には、希釈液で希釈を行い添加する。希釈液は、目的の免疫反応を阻害しないように、使用する緩衝液の種類やpH、塩濃度、界面活性剤濃度、及び高分子化合物の添加等を考慮した上で実施する。希釈液としては、一般的に知られている希釈液が利用でき、例えば、PBS buffer、TBS buffer、PBST buffer、TBST buffer、Can Get Signal Solution I(ToYoBo)、Can Get Signal Solution II(ToYoBo)等が挙げられる。
【0036】
第1の試料溶液との反応で、抗IgE抗体捕捉において、検体中に存在するIgE抗体を捕捉し、アレルゲン捕捉部において、検体中に存在するアレルゲンに特異なIgEのみを捕捉する。
【0037】
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第2の試料溶液を注入する(S04)。ここで、第2の試料溶液は、洗浄液を含んだものである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と第2の試料溶液を一定時間反応させる(S05)。その後、注排水口から第2の試料溶液を廃棄する(S06)。ここで使用可能な洗浄液は、一般的に知られている洗浄液が利用でき、例えば、PBST buffer、TBST bufferが利用できる。洗浄液は、希釈液に比べ、より高塩濃度にすることや、より界面活性剤濃度を高くすることで、非特異に捕捉された成分を除去できる。
【0038】
第2の試料溶液との反応で、未反応な検体を除去するとともに、非特異的に捕捉した成分を除去する。この工程を実施することで、ノイズを低減させることができる。
【0039】
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第3の試料溶液を注入する(S07)。ここで第3の試料溶液は、標識抗IgE抗体を含んだものである。ここで、標識抗IgE抗体の標識物とは、ビオチン又はアビジン又はストレプトアビジン標識物のことである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と標識抗IgE抗体を一定時間反応させる(S08)。その後、注排水口から第3の試料溶液を廃棄する(S09)。バイオセンサ−内に、標識抗IgE抗体を直接注入することも可能だが、少量の標識抗IgE抗体を使用する場合には、希釈液で希釈を行い添加する。希釈液は、第1の試料溶液を希釈するとき使用したものを使用できる。免疫反応を阻害しないように緩衝液の種類やpH、塩濃度、界面活性剤濃度、及び高分子化合物の添加等を変更して使用することもできる。
【0040】
第3の試料溶液との反応で、アレルゲン捕捉部が捕捉したIgE抗体及び抗IgE抗体捕捉が捕捉したIgE抗体及びIgE抗体捕捉部が、標識抗IgE抗体の抗IgE抗体部分を捕捉する。
【0041】
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第4の試料溶液を注入する(S10)。ここで、第4の試料溶液は、洗浄液を含んだものである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と第4の試料溶液を一定時間反応させる(S11)。その後、注排水口から第4の試料溶液を廃棄する(S12)。ここで使用する洗浄液は、第2の試料溶液として使用した洗浄液と同一のものを使用できる。第2の試料溶液とは、洗浄力を変更したい場合は、試薬組成を変更して使用することも出来る。
【0042】
第4の試料溶液との反応で、未反応な標識抗IgE抗体を除去するとともに、非特異的に捕捉した成分を除去する。この工程を実施することで、ノイズを低減させることができる。
【0043】
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第5の試料溶液を注入する(S13)。ここで第5の試料溶液は、標識用酵素を含んだものである。ここで、標識用酵素の標識は、アビジン又はストレプトアビジン又はビオチンであり、第3の試料溶液で注入した標識抗IgE抗体の標識部と結合可能なものとする。例えば、標識抗IgE抗体として、アビジン標識抗IgE抗体を使用するなら、標識用酵素は、ビオチン標識酵素を使用する。また、ここで利用できる酵素としては、ルシフェラ−ゼ又はペルオキシダ−ゼ又はアルカリホスファタ−ゼ又はグルコ−スオキシダ−ゼ又はグルコ−ス−6−燐酸脱水素酵素又はβ−ガラクトシダ−ゼを挙げることができる。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と標識用酵素を一定時間反応させる(S14)。その後、注排水口から第5の試料溶液を廃棄する(S15)。バイオセンサ−内に、標識用酵素を直接注入することも可能だが、少量の標識用酵素を使用する場合には、希釈液で希釈を行い添加する。希釈液は、第1の試料溶液を希釈するとき使用したものを使用できる。免疫反応を阻害しないように使用する緩衝液の種類及びpH、塩濃度、界面活性剤濃度、高分子化合物の添加等を変更して使用することもできる。
【0044】
第5の試料溶液との反応で、アレルゲン捕捉部が捕捉した標識抗IgE抗体の標識部分、及び抗IgE抗体捕捉が捕捉した標識抗IgE抗体の標識部分、及びIgE抗体捕捉部が捕捉した標識抗IgE抗体の標識部分、及び標識蛋白捕捉部の標識部分が、標識用酵素の標識部分を捕捉する。ここで使用する標識蛋白捕捉部として捕捉する蛋白は、第3の試料溶液として注液した標識抗IgE抗体の標識部分と結合可能なものを標識した蛋白を使用する。
【0045】
次に、前記バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第6の試料溶液を注入する(S16)。ここで、第6の試料溶液は、洗浄液を含んだものである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と第6の試料溶液を一定時間反応させる(S17)。その後、注排水口から第6の試料溶液を廃棄する(S18)。ここで使用する洗浄液は、第2の試料溶液として使用した洗浄液と同一のものを使用できる。第2の試料溶液とは、洗浄力を変更したい場合は、試薬組成を変更して使用することも出来る。
【0046】
第6の試料溶液との反応で、未反応な標識用酵素を除去するとともに、非特異的に捕捉した成分を除去する。この工程を実施することで、ノイズを低減させることができる。
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第7の試料溶液を注入する(S19)。ここで第7の試料溶液は、検出用試薬を含んだものである。また、検出用試薬とは、酵素と反応する基質成分を含み効率よく酵素反応が行なわれるようにpH等を調整した試料溶液のことである。ここで利用できる基質としては、ルシフェリン+ATP+マグネシウム、p−ニトロフェニルリン酸(p−NPP)、ブロモクロロインドリル燐酸/ニトロブル−テトラゾリウム(BCIP/NBT)、ブロモクロロインドリル燐酸/ニトロブル−テトラゾリウム塩(BCIP/INT)、燐酸ナフト−ルAS−TR/ファストレッドRC、フクシン、β−D−グルコ−ス+HRP+3,3’−5,5‘−テトラメルベンチジン(TMB)、グルコ−ス−6−燐酸+NADP、2,2‘−アジノジ(3−エチルベンゾチアゾリソ6−スルホン酸)アンモニウム塩(ABTS)、ジアミノベンジジン(DAB)、o−フェニレンジアミン(OPD)、3,3’−5,5‘−テトラメルベンチジン(TMB)、o−ジアニシジン、5−アミノサリチル酸(5AS)、3−アミノ−9−エチルカルバゾル(AEC)、4−クロロ−1−ナフト−ル(4C1N)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−GAL)、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(o−NPG)、4−メチルウンベリフェリルリン酸、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、ルミノ−ル、チラミン、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸を挙げることができる。その後、流路内の密閉空間で、各捕捉部が捕捉した酵素が基質と反応する。
【0047】
第7の試料溶液との反応で、抗IgE抗体捕捉部が捕捉した標識用酵素、及びアレルゲン捕捉部が捕捉した標識用酵素、及びIgE抗体捕捉部が捕捉した標識用酵素、及び標識蛋白捕捉部が捕捉した標識用酵素、及び標識酵素捕捉部の各酵素が、基質と反応する。ここで、標識酵素捕捉部として捕捉する酵素は、第7の試料溶液として注液した標識用酵素の酵素部分と同一のものを使用する。これにより全ての捕捉部で同一の基質が利用できる。
【0048】
次に、第7の試薬反応により生じる各捕捉部から生じる酵素活性を測光する(S20)。測光方法としては、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)カメラ等で捕捉部を一度に測光画像として撮影する方法がある。
【0049】
次に、撮影した測光画像の各捕捉部から得られる光量を算出し、判定を行う(S21)。判定方法は、前述したように抗IgE抗体捕捉部において酵素活性が検出されるとき、検体をはじめとする試料溶液処理が正常にできたと判定する。
【0050】
ここで、検体処理以外の処理に不備があったときの判定方法を説明する。
まず、試料溶液の標識抗IgE抗体注液が正常に実施できていないと判定する方法を説明する。これは、抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205において試料溶液に酵素活性が検出されず、かつ標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207において標識用酵素の活性が検出されるときは、試料溶液に標識抗IgE抗体が含まれていないと判定とすることができる。これは、前述した抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205の役割に加え、標識蛋白捕捉部206が、フロ−チャ−トS13以降の処理が正常に行なわれると必ず酵素活性を有することから判定できる。これは、標識蛋白捕捉部206は、本来検体処理を実施することで捕捉する抗IgE抗体をバイオセンサ−作製時点で既に捕捉しておくので、試料溶液として注液する検体及び標識抗IgE抗体の有無に係わらず、S13以降の処理に関与できるためである。また、このことから、IgE抗体捕捉部205で酵素活性が確認できれば、標識蛋白捕捉部206でも酵素活性が確認できると言える。
【0051】
次に、試料溶液の標識用酵素注液が正常に実施できていないと判定する方法を説明する。これは、抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206において試料溶液に酵素活性が検出されず、かつ標識酵素捕捉部207において標識用酵素の活性が検出されるときは、試料溶液に標識用酵素が含まれていないと判定とすることができる。これは、前述した抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206の役割に加え、標識酵素捕捉部207が、フロ−チャ−トS19以降の処理が正常に行なわれると必ず酵素活性を有することから判定できる。
【0052】
これは、標識酵素捕捉部207は、本来標識用酵素注液を実施することで捕捉する標識用酵素をバイオセンサ−作製時点で既に捕捉しておくので、試料溶液として注液する検体及び標識抗IgE抗体及び標識用酵素の有無に係わらず、S19以降の処理に関与できるためである。また、このことから、IgE抗体捕捉部205で酵素活性が確認できれば、標識酵素捕捉部207でも酵素活性が確認できると言える。さらに、標識蛋白捕捉部206で酵素活性が確認できれば、標識酵素捕捉部207でも酵素活性が確認できるとも言える。
【0053】
次に、試料溶液の検出用試薬注液が正常に実施できていないと判定する方法を説明する。
【0054】
これは、抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207において試料溶液に酵素活性が検出されないときは、試料溶液に検出用試薬が含まれていないと判定とすることができる。これは、前述したフロ−チャ−トS19以降の処理が正常に行なわれると必ず酵素活性を有する標識酵素捕捉部207からも酵素活性が確認できないことから判定できる。
【0055】
最後に、正常処理ができたと判定したときに、アレルゲン捕捉部の酵素活性を検出し、被検体中の特定のIgE量として算出し、解析結果として表示する(S22)。また、正常処理ができなかったときは、判定に従い、不備工程を表示する。
【0056】
このように、本法では、各試料溶液に対応する捕捉部を設け、被検出物質の測定結果を表示する前に、各捕捉部の酵素活性を判定し、正常処理ができたことを確認するので、試料の入れ忘れによる偽発光を防止できる。
【実施例1】
【0057】
測定溶液には人の血清を用いて実験を行なった。実験のために作製したバイオセンサ−を図4に示す。
【0058】
上述したバイオセンサ−の支持体には、捕捉部領域にニトロセルロ−ス402処理が行なわれたガラス基板401(GenTel社、PATH Protein Microarray Slide)を用いた。支持体上に、アレルゲン捕捉部としてスギアレルゲン403を捕捉し、抗IgE抗体捕捉部として抗IgE抗体f1974 404(株式会社バイオマトリックス研究所製)を捕捉し、IgE抗体捕捉部としてヒトIgE抗体405(ヤマサ醤油株式会社製)を捕捉し、標識蛋白捕捉部としてビオチン化BSA406を捕捉し、標識酵素捕捉部としてルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407(キッコ−マン株式会社製)を捕捉した。
【0059】
スギアレルゲン403捕捉部への塗布溶液中には、スギ花粉抗原SBP(生化学工業株式会社製)にグリセロ−ル、BSA及びホウ酸緩衝液を添加後、混合した。グリセロ−ルは自身が持つ粘性のために塗布時のばらつきを抑制できるので、塗布時の再現性向上剤として添加した。BSA及びホウ酸緩衝液は、スギ花粉抗原SBPの溶液時の構造安定化剤として添加した。塗布用混合液は、グリセロ−ル、BSA(牛血清アルブミン)及びホウ酸緩衝液を混合することで、スギ花粉抗原SBPが1.5倍希釈されるように調整した。調整した塗布用混合液を、1スポットあたりの塗布量が4.5nLになるように、Nano−Plotter NP2.1(GeSiM社製)を用いて支持体上へ塗布を行なった。塗布サンプルは、濡らした布を敷いたタッパ−中で、30℃の下、8時間放置し固定化させた。このようにしてアレルゲン捕捉部を作製した。
【0060】
スギアレルゲン403捕捉部と同様の方法で抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部にも塗布を行なった。その際に、抗IgE抗体f1974 404捕捉部への塗布溶液中には、抗IgE抗体f1974(株式会社バイオマトリックス研究所製、f1974はClone No.)にグリセロ−ル、BSA及びホウ酸緩衝液を混合し、抗IgE抗体f1974が60倍希釈されるように調整した。また、ヒトIgE抗体405捕捉部への塗布溶液中には、ヒトIgE(ヤマサ醤油株式会社)にグリセロ−ル、BSA及びホウ酸を混合し、ヒトIgEが6000倍希釈されるように調整した。また、ビオチン化BSA406捕捉部への塗布溶液中には、250μg/mLに調整したビオチン化BSA溶液(SIGMA社製)にグリセロ−ル、BSA及びホウ酸を混合し、ビオチン化BSA溶液が40倍希釈されるように調整した。ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部への塗布溶液中には、抗IgE抗体f0822(株式会社バイオマトリックス研究所製、f0822はClone No.)にルシフェラ−ゼ(キッコ−マン株式会社製)を結合させた抗IgE抗体f0822標識ルシフェラ−ゼにグリセロ−ル、BSA及びホウ酸を混合し、抗IgE抗体f0822標識ルシフェラ−ゼが10倍希釈されるように調整した。ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部には、直接ルシフェラ−ゼを捕捉することも可能だが、酵素の可変性に影響が生じ、基質認識力が低下するので、酵素そのものでは無く、酵素に標識物を結合させたものを捕捉した。
【0061】
上述のように各試料を捕捉した支持体の捕捉面に対し、粘着シ−ト412を支持体の幅に合わせてカットするとともに、上カバ−側に加工した流路411及び注排水口409及び排気口410の形状に合わせてカットし、粘着面の片側を支持体の固定化面に貼り、残る一面に流路形状を後加工したアクリルプレ−トを透明樹脂製上カバ−408として貼り合わせることでバイオセンサ−を作製した。
【0062】
次に、このバイオセンサ−を用いて測定を行なった。まず、ブロッキング剤としてN101(日本油脂株式会社製)をバイオセンサ−内に満たした。ブロッキング処理は、37℃下で1h静置させながら行なった。このブロッキング剤は、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、標識用酵素又は酵素標識抗体補足部以外のむき出しになっている捕捉部領域に結合するので、検体中に含まれるタンパク質をはじめ糖質、脂質やホルモンがアレルゲン捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部以外へ吸着し、この後の処理でノイズとなり悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0063】
次に、スギアレルゲン403捕捉部及び抗IgE抗体f1974 404捕捉部と検体を反応させる工程を行なった。血清18μLに対し、希釈液としてCan Get Signal I(ToYoBo社製)42μLを混合した第1の試料溶液をバイオセンサ−内に展開させ反応させた。5分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、第1の試料溶液をバイオセンサ−内から排除した。Can Get Signal Iは、反応効率を高めるために添加した。この工程により、スギアレルゲン403捕捉部に対しては、検体中のスギ由来のIgE抗体が特異的に結合し、抗IgE抗体f1974 404捕捉部に対しては、希釈液中のIgEが特異的に結合する。
【0064】
引き続き、第2の試料溶液を用い流路内の洗浄を行った。バイオセンサ−内の壁面に残った第1の試料溶液の除去やスギアレルゲン403捕捉部及び抗IgE抗体f1974 404捕捉部と非特異に捕捉した物質の除去を目的に実施した。この工程により、ノイズを低減することができる。洗浄剤としては、50mM Tris−HCl(pH7.8)、0.45M NaCl、0.1% Tween 20(東京化成工業株式会社製)を添加したものをバイオセンサ−内に展開させ使用した。1分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、洗浄剤をバイオセンサ−内から排除した。
【0065】
次に、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部に結合したIgE抗体及びヒトIgE抗体405捕捉部に対し、抗IgE抗体を添加し、捕捉反応を実施した。本実施例では、ビオチン標識した抗IgE抗体クロ−ンNo.f0822(株式会社バイオマトリックス研究所製)を含む抗体溶液を使用した。ビオチン標識した抗IgE抗体クロ−ンNo.f0822 4.5μLに対し、Can Get Signal I(ToYoBo社製)55.5μLを混合した第3の試料溶液をバイオセンサ−内に展開させ反応させた。5分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、第3の試料溶液をバイオセンサ−内から排除した。Can Get Signal Iは、反応効率を高めるために添加した。この工程により、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部及びヒトIgE抗体405捕捉部に存在するIgEに対し、抗体溶液中の抗IgE抗体クロ−ンNo.f0822が特異的に結合する。
【0066】
引き続き、第4の試料溶液を用い流路内の洗浄を行った。バイオセンサ−内の壁面に残った第3の試料溶液の除去やスギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部及びヒトIgE抗体405捕捉部と非特異に結合した物質の除去を目的に実施した。この工程により、ノイズを低減することができる。洗浄剤としては、50mM Tris−HCl(pH7.8)、0.45M NaCl、0.1% Tween 20を添加したものをバイオセンサ−内に展開させ使用した。1分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、洗浄剤をバイオセンサ−内から排除した。
【0067】
次に、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部に結合した抗IgE抗体及びビオチン化BSA406捕捉部に対し、標識酵素として、ストレプトアビジン標識ルシフェラ−ゼ(キッコ−マン株式会社製)を添加し、反応を行なった。1000×ストレプトアビジン標識ルシフェラ−ゼ6μLに対し、ルシフェラ−ゼ希釈溶液(キッコ−マン株式会社製)54μLを混合した第5の試料溶液をバイオセンサ−内に展開させ反応させた。5分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、第5の試料溶液をバイオセンサ−内から排除した。Can Get Signal Iは、反応効率を高めるために添加した。この工程により、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部及びビオチン化BSA406捕捉部に存在するビオチン構造に対し、酵素溶液中のストレプトアビジンが特異的に結合する。
【0068】
引き続き、第6の試料溶液を用い流路内の洗浄を行った。バイオセンサ−内の壁面に残った第5の試料溶液の除去やスギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、IgE抗体捕捉部及びビオチン化BSA406捕捉部と非特異に結合した物質の除去を目的に実施した。この工程により、ノイズを低減することができる。洗浄剤としては、50mM Tris−HCl(pH7.8)、0.45M NaCl、0.1% Tween 20を添加したものをバイオセンサ−内に展開させ使用した。1分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、洗浄剤をバイオセンサ−内から排除した。
【0069】
次に、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部に結合したルシフェラ−ゼ及びルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部に対し、発光基質として、ルシフェリン、ATP、マグネシウムイオンが含まれたIntelite ABのルシフェラ−ゼ発光基質液(キッコ−マン株式会社製)を第7の試料溶液として添加し、発光反応を行なった。1×ルシフェラ−ゼ発光基質液60μLをバイオセンサ−内に展開させた。この工程により、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部中のルシフェラ−ゼによる発光反応が起こる。
【0070】
次に、発光量を測光した。第7の試料溶液をバイオセンサ−内に展開後、速やかにバイオセンサ−の固定化面をCCDカメラと対向したステ−ジに固定し、発光量を3分間撮影し、CCDカメラの各画素の輝度の3分間の積算値をマッピングした測光画像を生成した。
【0071】
そして、画像解析の工程で、バイオセンサ−内の各スポットに対応する画素を特定し、その輝度値を測定値とした。
【0072】
図5は、図3のフロ−チャ−トで説明したように測光の工程で出力された、各画素の輝度の3分間の積算値をマッピングした測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。501で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。502がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポットに相当し、503が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポットに相当し、504がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポットに相当し、505がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、506がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0073】
図5を見ると、503、504、505、506において、発光が確認されることから、各工程における処理が正常に行なわれたことを示す。そのため、アレルギ−の測定ができる。
【0074】
次に、502から得られた輝度値を算出すると、1492514であった。
【0075】
ここで、スギIgE濃度既知の検体を使用し、スギアレルゲンのみを塗布したバイオセンサ−を使用して、検量線式を作成した。その結果得られた検量線式は、y=25276X+129261であった。この検量線式にアレルゲン捕捉部から得られた輝度値1492514を入力し、血清中のスギIgE値を算出した。この数値を検量線式y=25276X+129261に当てはめると、53.93UI/mLと換算できた。これは、アレルギ−スコアの0〜7で表示すると5であった。同様の血清を、検定機であるDiaPack2000(日本ケミファ株式会社製)で測定した際のアレルギ−スコアも同様に5であった。このことから、スコアの上で相関があることが確認できた。これは、正しく測定できたことを示す。
【0076】
また、相関が得られたことから、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部がスギアレルゲン403捕捉部に対して、反応阻害物として作用していないことも確認できた。
【実施例2】
【0077】
故意に検体のみを添加せずに、実施例1と同様の工程を実施した。図6は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。601で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。602で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当し、603で示した丸の点線が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。604がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポットに相当し、605がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、606がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0078】
図6では、602において輝度が確認できなかった。通常であれば、スギIgE抗体を保持しない検体として扱うが、603において輝度が観察できない。一方、604と、605と、606では輝度が確認できることから、検体が含まれていないと判定することができる。これにより、偽陰性が防止できた。
【実施例3】
【0079】
故意に抗IgE抗体f0822を含まない試料溶液で、実施例1と同様の工程を実施した。図7は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。701で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。702で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当し、703で示した丸の点線が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当し、704で示した丸の点線がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポット位置に相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。705がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、706がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0080】
702、703及び704において輝度が確認できない。一方、705と、706では輝度が確認できることから、試料溶液中に抗IgE抗体f0822が含まれていないと判定することができる。
【実施例4】
【0081】
故意にストレプトアビジン標識ルシフェラ−ゼを含まない試料溶液で実施例1と同様の工程を実施した。図8は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。801で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。802で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当し、803で示した丸の点線が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当し、804で示した丸の点線がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポット位置に相当し、805で示した丸の点線がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。806がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0082】
802、803、804及び805において輝度が確認できない。一方、806では輝度が確認できることから、試料溶液中にストレプトアビジン標識ルシフェラ−ゼが含まれていないと判定することができる。
【実施例5】
【0083】
故意に検出用試薬を含まない試料溶液で実施例1と同様の工程を実施した。図9は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。901で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。902で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当し、903で示した丸の点線が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当し、904で示した丸の点線がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポット位置に相当し、905で示した丸の点線がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、906がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。
【0084】
測光画像の何処からも輝度が得られないことから試料溶液中に検出用試薬が含まれていないと判定することができる。
【実施例6】
【0085】
実施例1と同様の工程を実施した。ただし、実施例1とは異なり、基準機によるスギIgEスコアが0の検体を使用した。図10は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。601で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。602で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。603が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当し、604がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポットに相当し、605がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、606がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0086】
602において輝度がほとんど確認できない。輝度値は、3856であった。
一方、抗IgE抗体捕捉部では輝度が確認できる。このことから、正常に処理が行なわれたと判定することができるので、検量線式y=25276X+129261から0.153UI/mLと換算できた。これは、スコア表示で0に相当する。
よって、本検体には、スギIgEに対するスコアが0の検体と判定することができる。
以上の実施例1〜6の結果より、正しく血清が注液されたかどうか判定できる。また、血清があっても測定が出来なかったとき、どこの工程が正常に実施できなかったか判定できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明にかかるサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−は、検体が正しく添加されているかどうかを識別して偽陰性を識別する能力を有し、検体中の被検出物質をサンドイッチイムノアッセイ法により検出する検出装置およびそれを用いて検出する方法等として有用である。
【符号の説明】
【0088】
101、201 支持体
102、202 捕捉部領域
103、203 アレルゲン捕捉部
104、204 抗IgE抗体捕捉部
105、205 IgE抗体捕捉部
106、206 標識蛋白捕捉部
107、207 標識酵素捕捉部
108、208 上カバ−
109、209、409 注排水口
110、210、410 排気口
111、211、411 流路
212、412 粘着シ−ト
401 ガラス基板
402 ニトロセルロ−ス
403 スギアレルゲン
404 抗IgE抗体f1974
405 ヒトIgE抗体
406 ビオチン標識BSA
407 ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体
408 透明樹脂製上カバ−
501、601、701、801、901、1001 注排液口付近の流路形状
502、1002 スギアレルゲン403捕捉部による発光スポット
503、1003 抗IgE抗体f1974 404による発光スポット
504、604、1004 ヒトIgE抗体405捕捉部による発光スポット
505、605、705、1005 ビオチン標識BSA406捕捉部による発光スポット
506、606、706、806、1006 ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体f0822 407捕捉部による発光スポット
602、702、802、902 スギアレルゲン403捕捉部による発光スポット
603、703、803、903 抗IgE抗体f1974 404による発光スポット
704、804、904 ヒトIgE抗体405捕捉部による発光スポット
805、905 ビオチン標識BSA406捕捉部による発光スポット
906 ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体f0822 407捕捉部による発光スポット
1101 ニトロセルロ−スメンブレン
1102 捕捉試薬部
1103 対照部
1104 供給部
1105 吸水性担体
1106 検体液の展開方向
1107 検体
1108 標識試薬
1109 検体液
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中の被検出物質をサンドイッチイムノアッセイ法により検出する検出装置およびそれを用いて検出する方法に関するものである。
【0002】
本発明は、国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度、21年度、および22年度独立行政法人 科学技術振興機構、産学イノベ−ション加速事業「先端計測分析技術・機器開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)である。
【背景技術】
【0003】
検体中の特定成分量を検出する方法の一つにサンドイッチアッセイ法がある。サンドイッチアッセイ法は、検出したい物質を2種類の物質で挟み込み定量する方法で、迅速かつ高感度に検出できるために化学物質の測定や臨床検査などで広く利用されている。サンドイッチアッセイ法の中でも、検出した物質を抗体で挟み込み定量する方法を特にサンドイッチイムノアッセイ法と呼ぶ。
【0004】
サンドイッチイムノアッセイ法を利用した臨床用検査キットには、インフルエンザの診断用迅速測定キットがある。このキットには、試料混合容器とラテラルフロ−を原理とした検出装置が用意されている。ここでラテラルフロ−とは、一般的には、イムノクロマトとも言われメンブレン上で行なうイムノアッセイのことである。本検出装置には、アッセイを行なうための反応場としてニトロセルロ−スメンブレンが備えられており、このメンブレンを覆う形でプラスチック容器が設置されている。さらに、メンブレンの一角には検査結果を目視判定するための捕捉試薬部が用意されている。これによるインフルエンザウイルスの診断は以下のようにして行う。まず、採取した検体と金コロイド標識抗インフルエンザウイルス抗体とを試料混合容器内で混合し検体液とする。その後、検体液を検出装置に設けた供給部へ添加する。添加された検体液は、毛細管現象により吸水性担体方向にむかって展開される。最後に、捕捉試薬部で金コロイドが発する色の変化を確認することで、検体中のヒトインフルエンザウイルスの有無を検出する。
【0005】
ところが、こうした検体の検出では、被検出物質が検体中に存在しているにも係わらず陰性と判定される、いわゆる偽陰性が問題となる。この偽陰性が生じると、原因特定を遅らせるばかりでなく、不適切な措置で病状がより重篤になるなど、重大な医療事故の要因となる。すなわち、偽陰性を防止することは、極めて重要な課題である。
【0006】
そのため、ニトロセルロ−スメンブレンの捕捉試薬部よりも下流側に対照部として試料中の標識試薬と特異的反応するする組換え体のインフルエンザウイルス抗原を固定化し、対照部の発色を確認することで検体液が捕捉試薬部に到達したことを見分ける方法により、偽陰性を防ぐ手段が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−333426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、検体液を作製する際に医療従事者が誤って検体を入れ忘れた場合にも陰性と表示し、誤った結果(偽陰性)が生じるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、検体液を作製する際に医療従事者が誤って検体を入れ忘れた場合には偽陰性と判定できるサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明のサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−は、凹部が形成された光学的に透明な板を支持体に載せて前記板と前記支持体との間に流路を形成し、前記流路の一端に検体を含む測定溶液を順次注排液するための注排水口と他端に排気口とを設けたバイオセンサ−において、前記測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と、前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と、を前記流路中の前記注排水口側から前記排気口との間の前記支持体表面に配置したことを特徴としたものである。
また、本発明は、サンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−において、検体を含む測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と前記測定溶液に含まれる標識抗IgE抗体を捕捉するためのIgE抗体捕捉部と前記測定溶液に含まれる標識用酵素を捕捉するための標識蛋白捕捉部と前記測定溶液に含まれる検出試薬を捕捉するための標識酵素捕捉部とを有する免疫反応系に、検体を含む複数の試料溶液を順次注入し免疫反応させた後、前記抗IgE抗体捕捉部にて酵素活性が検出されず、かつ前記IgE抗体捕捉部及び前記標識蛋白捕捉部及び標識酵素捕捉部の全てに酵素活性が検出されるときは、前記試料溶液に前記検体が含まれていないと判定とすることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−によれば、検体が検体液に正しく添加されているかどうかを判別出来れば偽陰性の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1におけるバイオセンサ−の構成図
【図2】本発明の実施の形態1におけるバイオセンサ−の分解図
【図3】本発明の実施の形態1におけるサンドイッチイムノアッセイ法の測定手順を示す図
【図4】本発明の実施例1〜6におけるバイオセンサ−の構成図
【図5】本発明の実施例1における測光画像を示す図
【図6】本発明の実施例2における測光画像を示す図
【図7】本発明の実施例3における測光画像を示す図
【図8】本発明の実施例4における測光画像を示す図
【図9】本発明の実施例5における測光画像を示す図
【図10】本発明の実施例6における測光画像を示す図
【図11】従来のバイオセンサ−の構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、図11に示した従来技術を説明する。従来の捕捉方法は、ニトロセルロ−スメンブレン1101上に設けた捕捉試薬部1102よりも下流域に対照部1103として標識試薬である金コロイド標識抗インフルエンザウイルス抗体を捕捉可能なものを設けている。そのため、供給部1104から検体1107及び標識試薬1108を含む検体液1109が注液されると検体液1109が毛細管現象によりニトロセルロ−スメンブレン1101内を吸水性担体1105方向にむかって展開される。最後に、捕捉試薬部1102及び対照部1103で金コロイドが発する色の変化を確認することで、検体液1109の注液の有無を確認している。しかし従来の構成では、標識成分のみで判定しているので、検体が含まれていないときは陰性と判定(偽陰性)し誤判定する。
【0014】
そのため、本法では、偽陰性を完全に防止するために、標識成分だけで無く、検体成分を始めとする各試料溶液成分を捕捉可能なものを捕捉部に捕捉することで、検体成分を始めとする試料溶液がバイオセンサ−内に正常に展開されたことを判定できるようにした。
以下に、本発明のサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるバイオセンサ−の構成図を示す。
図1の支持体101は、生体分子を捕捉することが出来る捕捉部領域102を設けている。その上に、前記捕捉部領域102を覆うように流路111が形成された上カバ−108を接続されている。前記上カバ−108の一端には、流路111内に検体を含む測定に必要な複数の種類の試料溶液を順次注排液するための注排水口109と、他端に排気口110を有している。さらに、流路111内の捕捉部領域102には、アレルゲン捕捉部103と、抗IgE抗体捕捉部104と、IgE抗体捕捉部105と、標識蛋白捕捉部106と、標識酵素捕捉部107とを配置することで構成されている。ここで、標識蛋白捕捉部106における標識物とは、ビオチン又はアビジン又はストレプトアビジン標識物のことである。また、標識酵素捕捉部107は、酵素を直接又は酵素標識抗体を捕捉することができる。
【0016】
本実施の形態では、各捕捉部を利用することで、偽陰性を発生させること無く、検体中の特定のIgE量を検出する方法を例に説明する。
図2は、図1に示したバイオセンサ−の分解図である。本実施例では、支持体201の寸法は、縦25〜40mm、横40〜80mmとした。また、上カバ−208の寸法は支持体と同程度とし、上下方向の厚さは、2〜10mmとし、形成する流路211の厚みは、0.1〜0.5mmとした。ただし、図2に示したバイオセンサ−を構成するための各部材の寸法は自由に変更できる。また、上カバ−の材質は、透明なものであれば利用できる。
【0017】
支持体201は、捕捉部領域202を設けることが可能な材質で構成され、例えば、合成樹脂、ガラス、金属、ニトロセルロ−ス、フッ化ビニリデンが利用できる。捕捉部領域202は、生体分子を捕捉できるものが利用可能で、例えば、ガラス、ポリスチレン、金被膜、アルミニウム被膜、ニトロセルロ−ス、フッ化ビニリデン、カチオン性ポリマ−被膜、親水性ポリマ−被膜、表面化学処理及び支持体を多孔質化したものが利用できる。表面化学処理としては、シラン化、アミノ化、アルデヒド化、チオ−ル化、エポキシ化や活性エステル化がある。上カバ−は、透明なガラス又は透明樹脂素材のものが利用できる。透明樹脂としては、例えば、アクリル、ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン、PET(ポリエチレンテレフタレ−ト)がある。
【0018】
図2の中図に示す粘着シ−ト212を用いて上図の上カバ−208と下図の支持体201を接合した。各捕捉部を作製した支持体201と上カバ−208の接合は、流路内に注液した液が、液漏れを起こさないように密閉空間を形成できるものが利用可能である。粘着シ−ト以外の接合方法としては、例えば、UV接着、熱圧着、超音波接着を挙げることができる。
【0019】
以下に支持体201中の各捕捉部について作製方法と理由を簡単に説明する。詳細については後述する。
【0020】
アレルゲン捕捉部203は、検体中の目的の被検出物質である各アレルゲン由来のIgEを特異的に捕らえるためのもので、精製したアレルゲンを用いて作製する。ここには、検体中のIgGも結合可能であるが、後に述べる試料溶液の一つである標識抗IgE抗体が、IgGとは結合しないため本サンドイッチイムノアッセイ法による測定には影響しないので、以降IgGの結合については省略する。
【0021】
抗IgE抗体捕捉部204は、検体中のIgEを捕らえるためのもので、抗IgE抗体を用いて作製する。ここで、抗IgE抗体捕捉部で捕捉する抗体は、IgEであれば、どんなIgEでも捕捉可能なものを使用する。この捕捉部が、各試料溶液にうち、バイオセンサ−内への検体注入の有無を評価する。
【0022】
IgE抗体捕捉部205は、試料溶液中の抗IgE抗体を特異的に捕らえるためのもので、IgE抗体を用いて作製する。この捕捉部が、各試料溶液にうち、バイオセンサ−内への抗IgE抗体の有無を評価する。
【0023】
標識蛋白捕捉部206は、試料溶液中の標識酵素を捕らえるためのもので、標識蛋白を用いて作製する。この捕捉部が、各試料溶液にうち、バイオセンサ−内への標識用酵素注入の有無を評価する。標識蛋白捕捉部に捕捉する蛋白は、試料溶液中のビオチン又はアビジン又はストレプトアビジン標識酵素のビオチン又はアビジン又はストレプトアビジンと結合可能なものを標識したものとする。
【0024】
標識酵素捕捉部207は、試料溶液中の検出用試薬を捕らえるためのもので、標識用酵素を用いて作製する。この捕捉部が、各試料溶液にうち、バイオセンサ−内への検出用試薬の有無を評価する。
【0025】
各捕捉部は、上カバ−208の注排水口209から排気口210の間の流路211内に位置する支持体の捕捉部領域202に設けることができる。
【0026】
また、アレルゲン捕捉部203は、検体中の被検出物質が1種でも複数箇所に捕捉することが可能である。また、検体中の被検出物質が複数種ある場合は、それぞれに対応した捕捉部を設けることもできる。アレルゲン捕捉部203に捕捉するアレルゲンの例としては、スギ、ダニ、コムギ等から抽出した精製アレルゲンが利用できる。
【0027】
同様に、アレルゲン以外の捕捉部も、複数箇所に設けることができる。また、アレルゲン捕捉部203よりも、注排水口209側から遠い箇所に捕捉すると、流路211内に確実に注液が行われていると判定できるので好ましい。さらに、アレルゲン捕捉部203を挟むように注排水口209側から近い箇所と遠い箇所に捕捉させれば、前後の捕捉部の値から攪拌の様子を推察することもできる。これは、送液が一定しないような例えば、新規の流路開発段階で有効である。このようにして各捕捉部を作製する。
【0028】
また、IgE抗体捕捉部205、標識蛋白捕捉部206、及び標識酵素捕捉部207をバイオセンサ−内に設けることにより、検体成分以外の試料溶液注液不良も検出可能となり、不良箇所の検索を行なうことができる。
【0029】
また、捕捉部以外の捕捉部領域に生体分子が捕捉されるとノイズとなってしまうので、捕捉部以外の場所とは、試料溶液が反応することが無いようにブロッキング処理を実施する。ブロッキング剤としては、一般的なものが利用可能で、例えば、BSA、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン、正常ヤギ血清、人工合成高分子等が挙げられる。
【0030】
このようにして作製したバイオセンサ−に対し、図3に示したフロ−チャ−トに従って検体を含む測定に必要な複数の試料溶液を順次注入し反応させ、各捕捉部における酵素活性の有無を検出することで実施した試料溶液処理が正しく行なわれたか判定できる。
まず、検体の注液判定の方法を説明する前に、アレルゲン捕捉部203が検体の注液判定に利用できないことを説明する。これは、アレルゲン捕捉部203が捕捉できる抗体が、捕捉アレルゲンに対し結合できるIgE抗体が、捕捉アレルゲンに特異的なIgE抗体のみであることに起因する。つまり、アレルゲン捕捉部203に対し、特異的に結合できるIgE抗体を保有しない検体を使用した場合、アレルゲン捕捉部203では全く酵素活性が確認されないことがあり得る。そのため、アレルゲン捕捉部203で、検体注液の有無を正確に判定することはできない。
【0031】
次に、検体注液の有無を正確に判定できる抗IgE抗体捕捉部204について理由と合わせて説明する。ここで、人が有するIgEについて説明すると、人が保有するIgE量は、全免疫グルブリンの約0.004%を占め、血中濃度としては、約0.03mg/dlを占めている。つまり、IgE抗体であれば、どんなIgE抗体でも捕捉可能な抗体を捕捉してある抗IgE抗体捕捉部204においては、検体さえ注液されれば、人体に必ず一定の割合で存在しているIgE抗体と結合できる。そのため、検体注液の判定に使用でき、抗IgE抗体捕捉部204で酵素活性が検出されたときに、アレルゲン捕捉部203の酵素活性を検出することで、正しく検体処理が行なわれたことを確認した上で、被検体中の特定のIgE量を算出できる。
【0032】
次に、試料溶液の検体注液が正常に実施できていないと判定する方法を説明する。判定は、抗IgE抗体捕捉部204において試料溶液に酵素活性が検出されず、かつIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207において標識酵素の活性が検出されるときを、試料溶液に検体が含まれていないと判定できる。そのため、偽陰性を防止することが出来る。これは、前述した抗IgE抗体捕捉部204が検体注液され、以降の処理も正確に実施されれば必ず酵素活性を示すことに加え、IgE抗体捕捉部205が、フロ−チャ−トS07以降の処理が正常に行なわれたときには必ず酵素活性を有する試薬を予めバイオセンサ−として捕捉しておくことで判定できる。
【0033】
つまり、IgE抗体捕捉部205には、本来検体処理を実施することで捕捉するIgE抗体をバイオセンサ−作製時点で既に捕捉しておくので、検体の有無に係わらず、バイオセンサ−内にIgE抗体が存在する状態となっているためS07以降の処理に関与できる。よって、抗IgE抗体捕捉部204において試料溶液に酵素活性が検出されず、かつIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207において標識用酵素の活性が検出されるときを、試料溶液に検体が含まれていないと判定できる。IgE抗体捕捉部205で酵素活性が確認できれば、標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207においては必ず酵素活性が確認できるが、その詳細については後述する。
【0034】
以下、図3のフロ−チャ−トに従い、第1から第7の試料溶液を順次注入した際に生じる現象を詳細に述べる。
【0035】
まず、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、検体を含んだ第1の試料溶液を注入する(S01)。ここで第1の試料溶液は、検体を含んだものである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と検体を一定時間反応させる(S02)。その後、注排水口から第1の試料溶液を廃棄する(S03)。ここで使用可能な検体は、全血又は血漿又は血清である。バイオセンサ−内に、検体を直接注入することも可能だが、少量の検体を使用する場合には、希釈液で希釈を行い添加する。希釈液は、目的の免疫反応を阻害しないように、使用する緩衝液の種類やpH、塩濃度、界面活性剤濃度、及び高分子化合物の添加等を考慮した上で実施する。希釈液としては、一般的に知られている希釈液が利用でき、例えば、PBS buffer、TBS buffer、PBST buffer、TBST buffer、Can Get Signal Solution I(ToYoBo)、Can Get Signal Solution II(ToYoBo)等が挙げられる。
【0036】
第1の試料溶液との反応で、抗IgE抗体捕捉において、検体中に存在するIgE抗体を捕捉し、アレルゲン捕捉部において、検体中に存在するアレルゲンに特異なIgEのみを捕捉する。
【0037】
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第2の試料溶液を注入する(S04)。ここで、第2の試料溶液は、洗浄液を含んだものである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と第2の試料溶液を一定時間反応させる(S05)。その後、注排水口から第2の試料溶液を廃棄する(S06)。ここで使用可能な洗浄液は、一般的に知られている洗浄液が利用でき、例えば、PBST buffer、TBST bufferが利用できる。洗浄液は、希釈液に比べ、より高塩濃度にすることや、より界面活性剤濃度を高くすることで、非特異に捕捉された成分を除去できる。
【0038】
第2の試料溶液との反応で、未反応な検体を除去するとともに、非特異的に捕捉した成分を除去する。この工程を実施することで、ノイズを低減させることができる。
【0039】
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第3の試料溶液を注入する(S07)。ここで第3の試料溶液は、標識抗IgE抗体を含んだものである。ここで、標識抗IgE抗体の標識物とは、ビオチン又はアビジン又はストレプトアビジン標識物のことである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と標識抗IgE抗体を一定時間反応させる(S08)。その後、注排水口から第3の試料溶液を廃棄する(S09)。バイオセンサ−内に、標識抗IgE抗体を直接注入することも可能だが、少量の標識抗IgE抗体を使用する場合には、希釈液で希釈を行い添加する。希釈液は、第1の試料溶液を希釈するとき使用したものを使用できる。免疫反応を阻害しないように緩衝液の種類やpH、塩濃度、界面活性剤濃度、及び高分子化合物の添加等を変更して使用することもできる。
【0040】
第3の試料溶液との反応で、アレルゲン捕捉部が捕捉したIgE抗体及び抗IgE抗体捕捉が捕捉したIgE抗体及びIgE抗体捕捉部が、標識抗IgE抗体の抗IgE抗体部分を捕捉する。
【0041】
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第4の試料溶液を注入する(S10)。ここで、第4の試料溶液は、洗浄液を含んだものである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と第4の試料溶液を一定時間反応させる(S11)。その後、注排水口から第4の試料溶液を廃棄する(S12)。ここで使用する洗浄液は、第2の試料溶液として使用した洗浄液と同一のものを使用できる。第2の試料溶液とは、洗浄力を変更したい場合は、試薬組成を変更して使用することも出来る。
【0042】
第4の試料溶液との反応で、未反応な標識抗IgE抗体を除去するとともに、非特異的に捕捉した成分を除去する。この工程を実施することで、ノイズを低減させることができる。
【0043】
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第5の試料溶液を注入する(S13)。ここで第5の試料溶液は、標識用酵素を含んだものである。ここで、標識用酵素の標識は、アビジン又はストレプトアビジン又はビオチンであり、第3の試料溶液で注入した標識抗IgE抗体の標識部と結合可能なものとする。例えば、標識抗IgE抗体として、アビジン標識抗IgE抗体を使用するなら、標識用酵素は、ビオチン標識酵素を使用する。また、ここで利用できる酵素としては、ルシフェラ−ゼ又はペルオキシダ−ゼ又はアルカリホスファタ−ゼ又はグルコ−スオキシダ−ゼ又はグルコ−ス−6−燐酸脱水素酵素又はβ−ガラクトシダ−ゼを挙げることができる。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と標識用酵素を一定時間反応させる(S14)。その後、注排水口から第5の試料溶液を廃棄する(S15)。バイオセンサ−内に、標識用酵素を直接注入することも可能だが、少量の標識用酵素を使用する場合には、希釈液で希釈を行い添加する。希釈液は、第1の試料溶液を希釈するとき使用したものを使用できる。免疫反応を阻害しないように使用する緩衝液の種類及びpH、塩濃度、界面活性剤濃度、高分子化合物の添加等を変更して使用することもできる。
【0044】
第5の試料溶液との反応で、アレルゲン捕捉部が捕捉した標識抗IgE抗体の標識部分、及び抗IgE抗体捕捉が捕捉した標識抗IgE抗体の標識部分、及びIgE抗体捕捉部が捕捉した標識抗IgE抗体の標識部分、及び標識蛋白捕捉部の標識部分が、標識用酵素の標識部分を捕捉する。ここで使用する標識蛋白捕捉部として捕捉する蛋白は、第3の試料溶液として注液した標識抗IgE抗体の標識部分と結合可能なものを標識した蛋白を使用する。
【0045】
次に、前記バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第6の試料溶液を注入する(S16)。ここで、第6の試料溶液は、洗浄液を含んだものである。その後、流路内の密閉空間で、シリンジを上下にピストン運動させながら、撹拌操作を実施し、各捕捉部と第6の試料溶液を一定時間反応させる(S17)。その後、注排水口から第6の試料溶液を廃棄する(S18)。ここで使用する洗浄液は、第2の試料溶液として使用した洗浄液と同一のものを使用できる。第2の試料溶液とは、洗浄力を変更したい場合は、試薬組成を変更して使用することも出来る。
【0046】
第6の試料溶液との反応で、未反応な標識用酵素を除去するとともに、非特異的に捕捉した成分を除去する。この工程を実施することで、ノイズを低減させることができる。
次に、バイオセンサ−の注排水口からシリンジを使用し、第7の試料溶液を注入する(S19)。ここで第7の試料溶液は、検出用試薬を含んだものである。また、検出用試薬とは、酵素と反応する基質成分を含み効率よく酵素反応が行なわれるようにpH等を調整した試料溶液のことである。ここで利用できる基質としては、ルシフェリン+ATP+マグネシウム、p−ニトロフェニルリン酸(p−NPP)、ブロモクロロインドリル燐酸/ニトロブル−テトラゾリウム(BCIP/NBT)、ブロモクロロインドリル燐酸/ニトロブル−テトラゾリウム塩(BCIP/INT)、燐酸ナフト−ルAS−TR/ファストレッドRC、フクシン、β−D−グルコ−ス+HRP+3,3’−5,5‘−テトラメルベンチジン(TMB)、グルコ−ス−6−燐酸+NADP、2,2‘−アジノジ(3−エチルベンゾチアゾリソ6−スルホン酸)アンモニウム塩(ABTS)、ジアミノベンジジン(DAB)、o−フェニレンジアミン(OPD)、3,3’−5,5‘−テトラメルベンチジン(TMB)、o−ジアニシジン、5−アミノサリチル酸(5AS)、3−アミノ−9−エチルカルバゾル(AEC)、4−クロロ−1−ナフト−ル(4C1N)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−GAL)、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(o−NPG)、4−メチルウンベリフェリルリン酸、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、ルミノ−ル、チラミン、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸を挙げることができる。その後、流路内の密閉空間で、各捕捉部が捕捉した酵素が基質と反応する。
【0047】
第7の試料溶液との反応で、抗IgE抗体捕捉部が捕捉した標識用酵素、及びアレルゲン捕捉部が捕捉した標識用酵素、及びIgE抗体捕捉部が捕捉した標識用酵素、及び標識蛋白捕捉部が捕捉した標識用酵素、及び標識酵素捕捉部の各酵素が、基質と反応する。ここで、標識酵素捕捉部として捕捉する酵素は、第7の試料溶液として注液した標識用酵素の酵素部分と同一のものを使用する。これにより全ての捕捉部で同一の基質が利用できる。
【0048】
次に、第7の試薬反応により生じる各捕捉部から生じる酵素活性を測光する(S20)。測光方法としては、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)カメラ等で捕捉部を一度に測光画像として撮影する方法がある。
【0049】
次に、撮影した測光画像の各捕捉部から得られる光量を算出し、判定を行う(S21)。判定方法は、前述したように抗IgE抗体捕捉部において酵素活性が検出されるとき、検体をはじめとする試料溶液処理が正常にできたと判定する。
【0050】
ここで、検体処理以外の処理に不備があったときの判定方法を説明する。
まず、試料溶液の標識抗IgE抗体注液が正常に実施できていないと判定する方法を説明する。これは、抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205において試料溶液に酵素活性が検出されず、かつ標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207において標識用酵素の活性が検出されるときは、試料溶液に標識抗IgE抗体が含まれていないと判定とすることができる。これは、前述した抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205の役割に加え、標識蛋白捕捉部206が、フロ−チャ−トS13以降の処理が正常に行なわれると必ず酵素活性を有することから判定できる。これは、標識蛋白捕捉部206は、本来検体処理を実施することで捕捉する抗IgE抗体をバイオセンサ−作製時点で既に捕捉しておくので、試料溶液として注液する検体及び標識抗IgE抗体の有無に係わらず、S13以降の処理に関与できるためである。また、このことから、IgE抗体捕捉部205で酵素活性が確認できれば、標識蛋白捕捉部206でも酵素活性が確認できると言える。
【0051】
次に、試料溶液の標識用酵素注液が正常に実施できていないと判定する方法を説明する。これは、抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206において試料溶液に酵素活性が検出されず、かつ標識酵素捕捉部207において標識用酵素の活性が検出されるときは、試料溶液に標識用酵素が含まれていないと判定とすることができる。これは、前述した抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206の役割に加え、標識酵素捕捉部207が、フロ−チャ−トS19以降の処理が正常に行なわれると必ず酵素活性を有することから判定できる。
【0052】
これは、標識酵素捕捉部207は、本来標識用酵素注液を実施することで捕捉する標識用酵素をバイオセンサ−作製時点で既に捕捉しておくので、試料溶液として注液する検体及び標識抗IgE抗体及び標識用酵素の有無に係わらず、S19以降の処理に関与できるためである。また、このことから、IgE抗体捕捉部205で酵素活性が確認できれば、標識酵素捕捉部207でも酵素活性が確認できると言える。さらに、標識蛋白捕捉部206で酵素活性が確認できれば、標識酵素捕捉部207でも酵素活性が確認できるとも言える。
【0053】
次に、試料溶液の検出用試薬注液が正常に実施できていないと判定する方法を説明する。
【0054】
これは、抗IgE抗体捕捉部204及びIgE抗体捕捉部205及び標識蛋白捕捉部206及び標識酵素捕捉部207において試料溶液に酵素活性が検出されないときは、試料溶液に検出用試薬が含まれていないと判定とすることができる。これは、前述したフロ−チャ−トS19以降の処理が正常に行なわれると必ず酵素活性を有する標識酵素捕捉部207からも酵素活性が確認できないことから判定できる。
【0055】
最後に、正常処理ができたと判定したときに、アレルゲン捕捉部の酵素活性を検出し、被検体中の特定のIgE量として算出し、解析結果として表示する(S22)。また、正常処理ができなかったときは、判定に従い、不備工程を表示する。
【0056】
このように、本法では、各試料溶液に対応する捕捉部を設け、被検出物質の測定結果を表示する前に、各捕捉部の酵素活性を判定し、正常処理ができたことを確認するので、試料の入れ忘れによる偽発光を防止できる。
【実施例1】
【0057】
測定溶液には人の血清を用いて実験を行なった。実験のために作製したバイオセンサ−を図4に示す。
【0058】
上述したバイオセンサ−の支持体には、捕捉部領域にニトロセルロ−ス402処理が行なわれたガラス基板401(GenTel社、PATH Protein Microarray Slide)を用いた。支持体上に、アレルゲン捕捉部としてスギアレルゲン403を捕捉し、抗IgE抗体捕捉部として抗IgE抗体f1974 404(株式会社バイオマトリックス研究所製)を捕捉し、IgE抗体捕捉部としてヒトIgE抗体405(ヤマサ醤油株式会社製)を捕捉し、標識蛋白捕捉部としてビオチン化BSA406を捕捉し、標識酵素捕捉部としてルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407(キッコ−マン株式会社製)を捕捉した。
【0059】
スギアレルゲン403捕捉部への塗布溶液中には、スギ花粉抗原SBP(生化学工業株式会社製)にグリセロ−ル、BSA及びホウ酸緩衝液を添加後、混合した。グリセロ−ルは自身が持つ粘性のために塗布時のばらつきを抑制できるので、塗布時の再現性向上剤として添加した。BSA及びホウ酸緩衝液は、スギ花粉抗原SBPの溶液時の構造安定化剤として添加した。塗布用混合液は、グリセロ−ル、BSA(牛血清アルブミン)及びホウ酸緩衝液を混合することで、スギ花粉抗原SBPが1.5倍希釈されるように調整した。調整した塗布用混合液を、1スポットあたりの塗布量が4.5nLになるように、Nano−Plotter NP2.1(GeSiM社製)を用いて支持体上へ塗布を行なった。塗布サンプルは、濡らした布を敷いたタッパ−中で、30℃の下、8時間放置し固定化させた。このようにしてアレルゲン捕捉部を作製した。
【0060】
スギアレルゲン403捕捉部と同様の方法で抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部にも塗布を行なった。その際に、抗IgE抗体f1974 404捕捉部への塗布溶液中には、抗IgE抗体f1974(株式会社バイオマトリックス研究所製、f1974はClone No.)にグリセロ−ル、BSA及びホウ酸緩衝液を混合し、抗IgE抗体f1974が60倍希釈されるように調整した。また、ヒトIgE抗体405捕捉部への塗布溶液中には、ヒトIgE(ヤマサ醤油株式会社)にグリセロ−ル、BSA及びホウ酸を混合し、ヒトIgEが6000倍希釈されるように調整した。また、ビオチン化BSA406捕捉部への塗布溶液中には、250μg/mLに調整したビオチン化BSA溶液(SIGMA社製)にグリセロ−ル、BSA及びホウ酸を混合し、ビオチン化BSA溶液が40倍希釈されるように調整した。ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部への塗布溶液中には、抗IgE抗体f0822(株式会社バイオマトリックス研究所製、f0822はClone No.)にルシフェラ−ゼ(キッコ−マン株式会社製)を結合させた抗IgE抗体f0822標識ルシフェラ−ゼにグリセロ−ル、BSA及びホウ酸を混合し、抗IgE抗体f0822標識ルシフェラ−ゼが10倍希釈されるように調整した。ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部には、直接ルシフェラ−ゼを捕捉することも可能だが、酵素の可変性に影響が生じ、基質認識力が低下するので、酵素そのものでは無く、酵素に標識物を結合させたものを捕捉した。
【0061】
上述のように各試料を捕捉した支持体の捕捉面に対し、粘着シ−ト412を支持体の幅に合わせてカットするとともに、上カバ−側に加工した流路411及び注排水口409及び排気口410の形状に合わせてカットし、粘着面の片側を支持体の固定化面に貼り、残る一面に流路形状を後加工したアクリルプレ−トを透明樹脂製上カバ−408として貼り合わせることでバイオセンサ−を作製した。
【0062】
次に、このバイオセンサ−を用いて測定を行なった。まず、ブロッキング剤としてN101(日本油脂株式会社製)をバイオセンサ−内に満たした。ブロッキング処理は、37℃下で1h静置させながら行なった。このブロッキング剤は、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、標識用酵素又は酵素標識抗体補足部以外のむき出しになっている捕捉部領域に結合するので、検体中に含まれるタンパク質をはじめ糖質、脂質やホルモンがアレルゲン捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部以外へ吸着し、この後の処理でノイズとなり悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0063】
次に、スギアレルゲン403捕捉部及び抗IgE抗体f1974 404捕捉部と検体を反応させる工程を行なった。血清18μLに対し、希釈液としてCan Get Signal I(ToYoBo社製)42μLを混合した第1の試料溶液をバイオセンサ−内に展開させ反応させた。5分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、第1の試料溶液をバイオセンサ−内から排除した。Can Get Signal Iは、反応効率を高めるために添加した。この工程により、スギアレルゲン403捕捉部に対しては、検体中のスギ由来のIgE抗体が特異的に結合し、抗IgE抗体f1974 404捕捉部に対しては、希釈液中のIgEが特異的に結合する。
【0064】
引き続き、第2の試料溶液を用い流路内の洗浄を行った。バイオセンサ−内の壁面に残った第1の試料溶液の除去やスギアレルゲン403捕捉部及び抗IgE抗体f1974 404捕捉部と非特異に捕捉した物質の除去を目的に実施した。この工程により、ノイズを低減することができる。洗浄剤としては、50mM Tris−HCl(pH7.8)、0.45M NaCl、0.1% Tween 20(東京化成工業株式会社製)を添加したものをバイオセンサ−内に展開させ使用した。1分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、洗浄剤をバイオセンサ−内から排除した。
【0065】
次に、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部に結合したIgE抗体及びヒトIgE抗体405捕捉部に対し、抗IgE抗体を添加し、捕捉反応を実施した。本実施例では、ビオチン標識した抗IgE抗体クロ−ンNo.f0822(株式会社バイオマトリックス研究所製)を含む抗体溶液を使用した。ビオチン標識した抗IgE抗体クロ−ンNo.f0822 4.5μLに対し、Can Get Signal I(ToYoBo社製)55.5μLを混合した第3の試料溶液をバイオセンサ−内に展開させ反応させた。5分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、第3の試料溶液をバイオセンサ−内から排除した。Can Get Signal Iは、反応効率を高めるために添加した。この工程により、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部及びヒトIgE抗体405捕捉部に存在するIgEに対し、抗体溶液中の抗IgE抗体クロ−ンNo.f0822が特異的に結合する。
【0066】
引き続き、第4の試料溶液を用い流路内の洗浄を行った。バイオセンサ−内の壁面に残った第3の試料溶液の除去やスギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部及びヒトIgE抗体405捕捉部と非特異に結合した物質の除去を目的に実施した。この工程により、ノイズを低減することができる。洗浄剤としては、50mM Tris−HCl(pH7.8)、0.45M NaCl、0.1% Tween 20を添加したものをバイオセンサ−内に展開させ使用した。1分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、洗浄剤をバイオセンサ−内から排除した。
【0067】
次に、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部に結合した抗IgE抗体及びビオチン化BSA406捕捉部に対し、標識酵素として、ストレプトアビジン標識ルシフェラ−ゼ(キッコ−マン株式会社製)を添加し、反応を行なった。1000×ストレプトアビジン標識ルシフェラ−ゼ6μLに対し、ルシフェラ−ゼ希釈溶液(キッコ−マン株式会社製)54μLを混合した第5の試料溶液をバイオセンサ−内に展開させ反応させた。5分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、第5の試料溶液をバイオセンサ−内から排除した。Can Get Signal Iは、反応効率を高めるために添加した。この工程により、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部及びビオチン化BSA406捕捉部に存在するビオチン構造に対し、酵素溶液中のストレプトアビジンが特異的に結合する。
【0068】
引き続き、第6の試料溶液を用い流路内の洗浄を行った。バイオセンサ−内の壁面に残った第5の試料溶液の除去やスギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、IgE抗体捕捉部及びビオチン化BSA406捕捉部と非特異に結合した物質の除去を目的に実施した。この工程により、ノイズを低減することができる。洗浄剤としては、50mM Tris−HCl(pH7.8)、0.45M NaCl、0.1% Tween 20を添加したものをバイオセンサ−内に展開させ使用した。1分間、ピペッティング方式による流路内攪拌を行なった後、洗浄剤をバイオセンサ−内から排除した。
【0069】
次に、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部に結合したルシフェラ−ゼ及びルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部に対し、発光基質として、ルシフェリン、ATP、マグネシウムイオンが含まれたIntelite ABのルシフェラ−ゼ発光基質液(キッコ−マン株式会社製)を第7の試料溶液として添加し、発光反応を行なった。1×ルシフェラ−ゼ発光基質液60μLをバイオセンサ−内に展開させた。この工程により、スギアレルゲン403捕捉部、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部中のルシフェラ−ゼによる発光反応が起こる。
【0070】
次に、発光量を測光した。第7の試料溶液をバイオセンサ−内に展開後、速やかにバイオセンサ−の固定化面をCCDカメラと対向したステ−ジに固定し、発光量を3分間撮影し、CCDカメラの各画素の輝度の3分間の積算値をマッピングした測光画像を生成した。
【0071】
そして、画像解析の工程で、バイオセンサ−内の各スポットに対応する画素を特定し、その輝度値を測定値とした。
【0072】
図5は、図3のフロ−チャ−トで説明したように測光の工程で出力された、各画素の輝度の3分間の積算値をマッピングした測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。501で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。502がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポットに相当し、503が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポットに相当し、504がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポットに相当し、505がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、506がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0073】
図5を見ると、503、504、505、506において、発光が確認されることから、各工程における処理が正常に行なわれたことを示す。そのため、アレルギ−の測定ができる。
【0074】
次に、502から得られた輝度値を算出すると、1492514であった。
【0075】
ここで、スギIgE濃度既知の検体を使用し、スギアレルゲンのみを塗布したバイオセンサ−を使用して、検量線式を作成した。その結果得られた検量線式は、y=25276X+129261であった。この検量線式にアレルゲン捕捉部から得られた輝度値1492514を入力し、血清中のスギIgE値を算出した。この数値を検量線式y=25276X+129261に当てはめると、53.93UI/mLと換算できた。これは、アレルギ−スコアの0〜7で表示すると5であった。同様の血清を、検定機であるDiaPack2000(日本ケミファ株式会社製)で測定した際のアレルギ−スコアも同様に5であった。このことから、スコアの上で相関があることが確認できた。これは、正しく測定できたことを示す。
【0076】
また、相関が得られたことから、抗IgE抗体f1974 404捕捉部、ヒトIgE抗体405捕捉部、ビオチン化BSA406捕捉部、ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部がスギアレルゲン403捕捉部に対して、反応阻害物として作用していないことも確認できた。
【実施例2】
【0077】
故意に検体のみを添加せずに、実施例1と同様の工程を実施した。図6は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。601で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。602で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当し、603で示した丸の点線が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。604がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポットに相当し、605がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、606がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0078】
図6では、602において輝度が確認できなかった。通常であれば、スギIgE抗体を保持しない検体として扱うが、603において輝度が観察できない。一方、604と、605と、606では輝度が確認できることから、検体が含まれていないと判定することができる。これにより、偽陰性が防止できた。
【実施例3】
【0079】
故意に抗IgE抗体f0822を含まない試料溶液で、実施例1と同様の工程を実施した。図7は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。701で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。702で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当し、703で示した丸の点線が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当し、704で示した丸の点線がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポット位置に相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。705がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、706がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0080】
702、703及び704において輝度が確認できない。一方、705と、706では輝度が確認できることから、試料溶液中に抗IgE抗体f0822が含まれていないと判定することができる。
【実施例4】
【0081】
故意にストレプトアビジン標識ルシフェラ−ゼを含まない試料溶液で実施例1と同様の工程を実施した。図8は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。801で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。802で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当し、803で示した丸の点線が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当し、804で示した丸の点線がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポット位置に相当し、805で示した丸の点線がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。806がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0082】
802、803、804及び805において輝度が確認できない。一方、806では輝度が確認できることから、試料溶液中にストレプトアビジン標識ルシフェラ−ゼが含まれていないと判定することができる。
【実施例5】
【0083】
故意に検出用試薬を含まない試料溶液で実施例1と同様の工程を実施した。図9は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。901で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。902で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当し、903で示した丸の点線が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当し、904で示した丸の点線がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポット位置に相当し、905で示した丸の点線がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、906がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。
【0084】
測光画像の何処からも輝度が得られないことから試料溶液中に検出用試薬が含まれていないと判定することができる。
【実施例6】
【0085】
実施例1と同様の工程を実施した。ただし、実施例1とは異なり、基準機によるスギIgEスコアが0の検体を使用した。図10は、そのとき得られた測光画像を示す図である。輝度値が大きいほど、白く表示されている。601で示した破線は、注排液口付近の流路形状を示している。実際の測光画像では、流路部分は、確認できないが、ここでは分かり易くするために示している。602で示した丸の点線がスギアレルゲン403捕捉部の発光スポット位置に相当する。丸の点線で示した部分は、目視レベルで輝度を確認できないが、捕捉位置に相当する箇所をわかり易くするために丸の点線で囲んである。603が抗IgE抗体f1974 404捕捉部の発光スポット位置に相当し、604がヒトIgE抗体405捕捉部の発光スポットに相当し、605がビオチン化BSA406捕捉部の発光スポットに相当し、606がルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体407補足部の発光スポットに相当する。
【0086】
602において輝度がほとんど確認できない。輝度値は、3856であった。
一方、抗IgE抗体捕捉部では輝度が確認できる。このことから、正常に処理が行なわれたと判定することができるので、検量線式y=25276X+129261から0.153UI/mLと換算できた。これは、スコア表示で0に相当する。
よって、本検体には、スギIgEに対するスコアが0の検体と判定することができる。
以上の実施例1〜6の結果より、正しく血清が注液されたかどうか判定できる。また、血清があっても測定が出来なかったとき、どこの工程が正常に実施できなかったか判定できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明にかかるサンドイッチイムノアッセイ法及びそれを用いたバイオセンサ−は、検体が正しく添加されているかどうかを識別して偽陰性を識別する能力を有し、検体中の被検出物質をサンドイッチイムノアッセイ法により検出する検出装置およびそれを用いて検出する方法等として有用である。
【符号の説明】
【0088】
101、201 支持体
102、202 捕捉部領域
103、203 アレルゲン捕捉部
104、204 抗IgE抗体捕捉部
105、205 IgE抗体捕捉部
106、206 標識蛋白捕捉部
107、207 標識酵素捕捉部
108、208 上カバ−
109、209、409 注排水口
110、210、410 排気口
111、211、411 流路
212、412 粘着シ−ト
401 ガラス基板
402 ニトロセルロ−ス
403 スギアレルゲン
404 抗IgE抗体f1974
405 ヒトIgE抗体
406 ビオチン標識BSA
407 ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体
408 透明樹脂製上カバ−
501、601、701、801、901、1001 注排液口付近の流路形状
502、1002 スギアレルゲン403捕捉部による発光スポット
503、1003 抗IgE抗体f1974 404による発光スポット
504、604、1004 ヒトIgE抗体405捕捉部による発光スポット
505、605、705、1005 ビオチン標識BSA406捕捉部による発光スポット
506、606、706、806、1006 ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体f0822 407捕捉部による発光スポット
602、702、802、902 スギアレルゲン403捕捉部による発光スポット
603、703、803、903 抗IgE抗体f1974 404による発光スポット
704、804、904 ヒトIgE抗体405捕捉部による発光スポット
805、905 ビオチン標識BSA406捕捉部による発光スポット
906 ルシフェラ−ゼ標識抗IgE抗体f0822 407捕捉部による発光スポット
1101 ニトロセルロ−スメンブレン
1102 捕捉試薬部
1103 対照部
1104 供給部
1105 吸水性担体
1106 検体液の展開方向
1107 検体
1108 標識試薬
1109 検体液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成された光学的に透明な板を支持体に載せて前記板と前記支持体との間に流路を形成し、前記流路の一端に検体を含む測定溶液を順次注排液するための注排水口と他端に排気口とを設けたバイオセンサ−において、
前記測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と、
前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と、を前記流路中の前記注排水口側から前記排気口との間の前記支持体表面に配置したバイオセンサ−。
【請求項2】
さらに、
前記測定溶液に含まれる標識抗IgE抗体を捕捉するためのIgE抗体捕捉部と、
前記測定溶液に含まれる標識用酵素を捕捉するための標識蛋白捕捉部と、
前記測定溶液に含まれる検出試薬を捕捉するための標識酵素捕捉部と、を前記流路中の前記注排水口側から前記排気口との間の前記支持体表面に配置した請求項1に記載のバイオセンサ−。
【請求項3】
前記抗IgE抗体捕捉部は、前記標識抗IgE抗体と結合しないものである請求項2に記載のバイオセンサ−。
【請求項4】
前記検体は、全血又は血漿又は血清とする請求項1に記載のバイオセンサ−。
【請求項5】
前記標識用酵素は、ルシフェラ−ゼ又はペルオキシダ−ゼ又はアルカリホスファタ−ゼ又はグルコ−スオキシダ−ゼ又はグルコ−ス−6−燐酸脱水素酵素又はβ−ガラクトシダ−ゼからなる請求項1または2に記載のバイオセンサ−。
【請求項6】
前記測定溶液の基質は、ルシフェリン+ATP+マグネシウム、p−ニトロフェニルリン酸(p−NPP)、ブロモクロロインドリル燐酸/ニトロブル−テトラゾリウム(BCIP/NBT)、ブロモクロロインドリル燐酸/ニトロブル−テトラゾリウム塩(BCIP/INT)、燐酸ナフト−ルAS−TR/ファストレッドRC、フクシン、β−D−グルコ−ス+HRP+3,3’−5,5‘−テトラメルベンチジン(TMB)、グルコ−ス−6−燐酸+NADP、2,2‘−アジノジ(3−エチルベンゾチアゾリソ6−スルホン酸)アンモニウム塩(ABTS)、ジアミノベンジジン(DAB)、o−フェニレンジアミン(OPD)、3,3’−5,5‘−テトラメルベンチジン(TMB)、o−ジアニシジン、5−アミノサリチル酸(5AS)、3−アミノ−9−エチルカルバゾル(AEC)、4−クロロ−1−ナフト−ル(4C1N)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−GAL)、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(o−NPG)、4−メチルウンベリフェリルリン酸、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、ルミノ−ル、チラミン、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の何れかからなる請求項2に記載のバイオセンサ−。
【請求項7】
検体を含む測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と前記測定溶液に含まれる標識抗IgE抗体を捕捉するためのIgE抗体捕捉部と前記測定溶液に含まれる標識用酵素を捕捉するための標識蛋白捕捉部と前記測定溶液に含まれる検出試薬を捕捉するための標識酵素捕捉部とを有する免疫反応系に、
検体を含む複数の試料溶液を順次注入し免疫反応させた後、
前記抗IgE抗体捕捉部にて酵素活性が検出されず、かつ前記IgE抗体捕捉部及び前記標識蛋白捕捉部及び標識酵素捕捉部の全てに酵素活性が検出されるときは、前記試料溶液に前記検体が含まれていないと判定とするサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項8】
前記抗IgE抗体捕捉部にて酵素活性を検出したときは、
前記アレルゲン捕捉部の酵素活性を検出して被検体中の特定の前記IgE量として算出する請求項7に記載のサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項9】
前記抗IgE抗体捕捉部及び前記IgE抗体捕捉部にて酵素活性が検出されず、かつ前記標識蛋白捕捉部及び標識酵素捕捉部の全てに酵素活性が検出されるときは、前記試料溶液に前記標識抗IgE抗体が含まれていないと判定とする請求項7記載のサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項10】
前記抗IgE抗体捕捉部及び前記IgE抗体捕捉部及び前記標識蛋白捕捉部の全てに酵素活性が検出されず、かつ標識酵素捕捉部において酵素活性が検出されるときは、前記試料溶液に前記標識用酵素が含まれていないと判定とする請求項7記載のサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項11】
前記抗IgE抗体捕捉部及び前記IgE抗体捕捉部及び前記標識蛋白捕捉部及び標識酵素捕捉部の全てに酵素活性が検出されないときは、前記試料溶液に検出用試薬が含まれていないと判定とする請求項7記載のサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項1】
凹部が形成された光学的に透明な板を支持体に載せて前記板と前記支持体との間に流路を形成し、前記流路の一端に検体を含む測定溶液を順次注排液するための注排水口と他端に排気口とを設けたバイオセンサ−において、
前記測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と、
前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と、を前記流路中の前記注排水口側から前記排気口との間の前記支持体表面に配置したバイオセンサ−。
【請求項2】
さらに、
前記測定溶液に含まれる標識抗IgE抗体を捕捉するためのIgE抗体捕捉部と、
前記測定溶液に含まれる標識用酵素を捕捉するための標識蛋白捕捉部と、
前記測定溶液に含まれる検出試薬を捕捉するための標識酵素捕捉部と、を前記流路中の前記注排水口側から前記排気口との間の前記支持体表面に配置した請求項1に記載のバイオセンサ−。
【請求項3】
前記抗IgE抗体捕捉部は、前記標識抗IgE抗体と結合しないものである請求項2に記載のバイオセンサ−。
【請求項4】
前記検体は、全血又は血漿又は血清とする請求項1に記載のバイオセンサ−。
【請求項5】
前記標識用酵素は、ルシフェラ−ゼ又はペルオキシダ−ゼ又はアルカリホスファタ−ゼ又はグルコ−スオキシダ−ゼ又はグルコ−ス−6−燐酸脱水素酵素又はβ−ガラクトシダ−ゼからなる請求項1または2に記載のバイオセンサ−。
【請求項6】
前記測定溶液の基質は、ルシフェリン+ATP+マグネシウム、p−ニトロフェニルリン酸(p−NPP)、ブロモクロロインドリル燐酸/ニトロブル−テトラゾリウム(BCIP/NBT)、ブロモクロロインドリル燐酸/ニトロブル−テトラゾリウム塩(BCIP/INT)、燐酸ナフト−ルAS−TR/ファストレッドRC、フクシン、β−D−グルコ−ス+HRP+3,3’−5,5‘−テトラメルベンチジン(TMB)、グルコ−ス−6−燐酸+NADP、2,2‘−アジノジ(3−エチルベンゾチアゾリソ6−スルホン酸)アンモニウム塩(ABTS)、ジアミノベンジジン(DAB)、o−フェニレンジアミン(OPD)、3,3’−5,5‘−テトラメルベンチジン(TMB)、o−ジアニシジン、5−アミノサリチル酸(5AS)、3−アミノ−9−エチルカルバゾル(AEC)、4−クロロ−1−ナフト−ル(4C1N)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−GAL)、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(o−NPG)、4−メチルウンベリフェリルリン酸、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド、ルミノ−ル、チラミン、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の何れかからなる請求項2に記載のバイオセンサ−。
【請求項7】
検体を含む測定溶液に含まれるIgE抗体を捕捉するための抗IgE抗体捕捉部と前記IgE抗体の中の特定のIgE抗体を捕捉するためのアレルゲン捕捉部と前記測定溶液に含まれる標識抗IgE抗体を捕捉するためのIgE抗体捕捉部と前記測定溶液に含まれる標識用酵素を捕捉するための標識蛋白捕捉部と前記測定溶液に含まれる検出試薬を捕捉するための標識酵素捕捉部とを有する免疫反応系に、
検体を含む複数の試料溶液を順次注入し免疫反応させた後、
前記抗IgE抗体捕捉部にて酵素活性が検出されず、かつ前記IgE抗体捕捉部及び前記標識蛋白捕捉部及び標識酵素捕捉部の全てに酵素活性が検出されるときは、前記試料溶液に前記検体が含まれていないと判定とするサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項8】
前記抗IgE抗体捕捉部にて酵素活性を検出したときは、
前記アレルゲン捕捉部の酵素活性を検出して被検体中の特定の前記IgE量として算出する請求項7に記載のサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項9】
前記抗IgE抗体捕捉部及び前記IgE抗体捕捉部にて酵素活性が検出されず、かつ前記標識蛋白捕捉部及び標識酵素捕捉部の全てに酵素活性が検出されるときは、前記試料溶液に前記標識抗IgE抗体が含まれていないと判定とする請求項7記載のサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項10】
前記抗IgE抗体捕捉部及び前記IgE抗体捕捉部及び前記標識蛋白捕捉部の全てに酵素活性が検出されず、かつ標識酵素捕捉部において酵素活性が検出されるときは、前記試料溶液に前記標識用酵素が含まれていないと判定とする請求項7記載のサンドイッチイムノアッセイ法。
【請求項11】
前記抗IgE抗体捕捉部及び前記IgE抗体捕捉部及び前記標識蛋白捕捉部及び標識酵素捕捉部の全てに酵素活性が検出されないときは、前記試料溶液に検出用試薬が含まれていないと判定とする請求項7記載のサンドイッチイムノアッセイ法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−225726(P2012−225726A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92703(P2011−92703)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、21年度、および22年度独立行政法人科学技術振興機構産学イノベーション加速事業「先端計測分析技術・機器開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、21年度、および22年度独立行政法人科学技術振興機構産学イノベーション加速事業「先端計測分析技術・機器開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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