説明

サンバイザおよびサンバイザの製造方法

【課題】 簡単な構成でかつ廉価なサンバイザを提供する。
【解決手段】 サンバイザ10は、ボード状の芯材20と、前記芯材20に設けられた切り欠き部21と、前記芯材の切り欠き部21に装着される樹脂製のノブエスカッション30と、前記ノブエスカッション30が装着された前記芯材20を覆う表皮とを有するサンバイザであって、前記ノブエスカッション30は、車両側に設けられる部材によって着脱自在に把持されるノブ部31と、前記芯材の切り欠き部21に沿って形成され、前記芯材20を挟み込むように形成された差し込み部32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンバイザおよびサンバイザの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車室内のフロントウインドウ上方には、運転席側及び補助席側にそれぞれ自動車用サンバイザが設置されており、太陽光線や夜間対向車のヘッドライトを遮蔽して、走行視界を有効に確保するようにしている。
【0003】
例えば、運転席側のサンバイザの構成について説明すると、図1に示すように、サンバイザ1は、太陽光線等を遮蔽するサンバイザ本体2の一方端側に回動用シャフト3が回動自在に挿通され、この回動用シャフト3は、車体側に取り付けられる不図示のブラケットに回動自在に挿通されている。そして、ボード状の芯材2は、図示を省略するが外表面を塩ビシート等の表皮材により被包して構成されている。
【0004】
図2は従来技術のノブの構造部分を説明するための図である。ノブの構造部分について詳しく説明すると、ノブ部4は、樹脂製のノブ5と、鉄芯部6と固定爪部7とからなる芯材固定部とで構成されている。芯材固定部は、表皮溶着前に芯材2に爪曲げ固定される。また、ノブ5は二分割品からなり、表皮溶着後、芯材固定部の鉄芯部6に、超音波によって溶着固定され、一体形成される。また、他の従来技術では、ノブ部は樹脂によって形成され、ノブに芯材固定用の座面とリベット等の固定具にて取り付けるための穴が一体形成されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平1−37923号公報
【特許文献2】特開平8−276734号公報
【特許文献3】特開2008−6874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では以下のような問題が発生していた。
芯材固定部を芯材2に爪曲げやリベットによって固定したりしていたため、工数アップになっていた。また芯材2に芯材固定部を爪を曲げて固定する場合、固定強度の信頼性が低くなってしまう。また、分割タイプのノブを後から超音波で固定する場合、部品点数が多くなり、また工数も増えてしまう。また、表皮の溶着シロが分割ノブに挟まれ、ノブの溶着不良が発生していた。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、簡単な構成でかつ廉価なサンバイザおよびサンバイザの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のサンバイザは、ボード状の芯材と、前記芯材に設けられた切り欠き部と、前記芯材の切り欠き部に装着される樹脂製のノブエスカッションと、前記ノブエスカッションが装着された前記芯材を覆う表皮とを有するサンバイザであって、前記ノブエスカッションは、車両側に設けられる部材によって着脱自在に把持されるノブ部と、前記芯材の切り欠き部に沿って形成され、前記芯材を挟み込むように形成された差し込み部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ノブ部の芯材への固定がワンタッチで行うことができ、従来の様なリベット等の固定具が不要であり、且つ、取り付けが安易のため、加工費の低減が可能となり、製品原価を下げることができる。よって簡単な構成で廉価なサンバイザを提供することができる。また、ノブエスカッション外周部の全体をボードに差し込む構造のため、固定強度も大幅にアップする。これにより信頼性が向上する。
【0010】
上記発明において、前記芯材は、前記ノブエスカッションが取り付けられる位置に対応して設けられた穴部を有し、前記ノブエスカッションは、前記ノブエスカッションの取り付け位置で前記穴部と嵌合する爪部を有する。本発明によれば、ノブエスカッションをワンタッチで芯材に固定することができる。
【0011】
本発明のサンバイザの製造方法は、芯材を表皮で覆ったサンバイザの製造方法であって、予めノブが固定された芯材のノブ部と、前記ノブ部に対応する部分に開口が形成された表皮を、表皮溶着型に設けられたコの字状のガイドコマにセットした後、前記表皮の外周を溶着することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ガイドコマに、表皮をセットすることにより、ノブ部の所定の位置にのみ精度良く表皮無し部を形成することができる。これにより、品質が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成でかつ廉価なサンバイザおよびサンバイザの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術のサンバイザの芯材とノブの構成を説明する図である。
【図2】従来技術のサンバイザのノブの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るサンバイザを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る自動車用サンバイザを説明する図であって、表皮を外した状態を示している。
【図5】本発明の実施形態に係る自動車用サンバイザを説明する図であって、図4においてパッド材とシャフトとカバーを付ける前の状態を示している。
【図6】図5に示したノブエスカッションの部分を拡大して示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るノブエスカッションの斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係るサンバイザの製造工程を説明する図である。
【図9】(a)下型のガイドコマの部分の断面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図3は、本発明の実施形態に係る自動車用サンバイザを示す図である。図3に示すように、自動車用サンバイザ10は、所望の遮光面積を有するサンバイザ本体11と、このサンバイザ本体11の一方端側に設けられ、サンバイザ本体11を回動可能に支承する略L字状の回動用シャフト51と、回動用シャフト51の端部には、車両のルーフ側に取り付けられる不図示のブラケットが設置され、ブラケット内に回動用シャフト51を回動可能に挿通することにより、上下左右方向任意位置に操作可能になっている。
【0017】
図4は、本発明の実施形態に係る自動車用サンバイザを説明する図であって、表皮を外した状態を示している。図4に示すように、サンバイザ本体11は、芯材20の両面を、略製品形状に形成されたクッション性を備えたパッド材40により包んでいる。パッド材40としては、ポリウレタンフォームが本実施例では使用されるが、剛性等を強化するために、半硬質ポリウレタンフォーム,圧縮加工を施したポリウレタンフォーム等、所望の用途により材料選択を適宜変更しても良い。そして、回動用シャフト51を軸受けするカバー50がリベット等の固定具52、53によって固着されている。
【0018】
図5は、本発明の実施形態に係る自動車用サンバイザを説明する図であって、図4においてパッド材とホルダを付ける前の状態を示している。図6は、図5に示したノブエスカッションの部分を拡大して示す図である。図7は、本発明の実施形態に係るノブエスカッションの斜視図である。
【0019】
自動車用サンバイザ10には板材からなるボード状の芯材20を有する。芯材20には、ノブエスカッション30が差し込まれる切り欠き部21が湾曲形状に形成されている。また、芯材20には、ノブエスカッション30の爪部33、34に対応して穴部22、23が形成されている。
【0020】
ノブエスカッション30は、樹脂製であって、芯材の切り欠き部21に装着されるものである。このノブエスカッション30は、車両側に設けられる部材によって把持されるノブ部31と、芯材の切り欠き部21の略全周に沿う様に外周部に形成され、芯材20を挟み込むように形成された差し込み部32とを一体的に形成されている。差し込み部32は、芯材の切り欠き部21の形状に合わせて弓状に形成されている。
【0021】
さらに、ノブエスカッション30は、ベース35と、ベース35に設けられ、ノブエスカッション30の取り付け位置で芯材の穴部22、23と嵌合する爪部33、34とが形成されている。これによって芯材20に対してノブエスカッション30をワンタッチで固定することができる。ノブエスカッション30は樹脂により一体成形されている。ノブエスカッション30によって芯材の切り欠き部21の略全周を挟み込むので、固定強度がアップする。ノブエスカッション30が装着された芯材20の両面にホットメルト等の接着剤を塗布してパット材40を接着すると、上述の図4の状態となる。
【0022】
次いで、自動車用サンバイザ10におけるサンバイザ本体11の製造工程について、説明する。図8は、サンバイザの製造工程を説明する図である。図9は、(a)下型のガイドコマの部分の断面図、(b)は正面図をそれぞれ示している。
まず、表皮溶着型について説明する。図8に示すように、表皮溶着型は、下型70と上型80とからなる。下型70には、外周に周設された枠体76と、枠体76の内側に周設されサンバイザの外周形状と同じ形状の下部電極71と、両側に設けられ上型80と係合する係合部72、73と、スプリング機構77にて上下可動可能なガイドコマ74とが設けられている。
【0023】
図9(a)に示すように、ガイドコマ74はコ字形状をしており、スプリング機構77にて上下方向に可動できるようになっている。また、キャップボルト75によってガイドコマ74の上下方向への可動を規制することができる。
【0024】
また、上型80には、外周に周設された枠体86と、枠体86の内側に周設された上部電極81と、両側に設けられ下型70と係合する係合部82、83と、下型のガイドコマ74に対応する部分に設けられた凹部84とが設けられている。
【0025】
次に、サンバイザ本体の製造方法について説明する。まず、ボード状の芯材20の切り欠き部21にノブエスカッション30を固定する(図5参照)。このときワンタッチでノブエスカッション30を芯材20に固定することができる。次いで、芯材20の両面にパッド材40を接着剤で貼り合わせる(図4参照)。
【0026】
次で、パット材40で覆った芯材20の表面側に位置する表皮シート61と裏面側に位置する表皮シート65との二枚用意する。表皮シート61、65には、予めガイドコマ74に対応する部分に開口62、66が形成されている。この開口62、66は、ガイドコマ74の外周と略同じ大きさの孔となる。表皮の開口62、66は、例えば表皮ブランク行程で抜き型にて穴開けが可能である。
【0027】
そして、一方の表皮シート61を、開口62をガイドコマ74に挿入させ、表皮溶着型の下型70にセットする。このときガイドコマ74は、一番飛び出た状態になっている。次いで、予めノブエスカッション30が固定されたパッド材付き芯材12のノブ部31をガイドコマ74の凹部74aに挿入させ、下型70にセットする。次いで、他方の表皮65を、開口66をガイドコマ74に挿入させ、下型70にセットする。このようにして、ガイドコマ74によって表皮シート61、65、パッド付き芯材12が位置決めされる。
【0028】
表皮溶着型の上型80を下げて、図示しない高周波発信器から下部電極71と上部電極81に所定の電流を所定時間通電させて、表皮外周を溶着する。その後、製品外の表皮シートをハンドワーク等で切断して、サンバイザ本体11の製作を完了する。
【0029】
上記本発明の実施形態に係るサンバイザによれば、ノブを芯材へ固定するときにワンタッチで行うことができ、従来の様なリベット等の固定具が不要であり、且つ、取り付けが安易のため、加工費の低減が可能となり、製品原価を下げることができる。また、ノブエスカッション30外周部の全体をボードに差し込む構造のため、固定強度も大幅にアップする。これにより信頼性が向上する。
【0030】
また、本発明のサンバイザの製造方法によれば、ガイドコマ74に、表皮シート61、65をセットすることにより、ノブ部の所定の位置にのみ精度良く表皮無し部を形成することができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。なお、上記実施形態ではノブエスカッションの差し込み部32が芯材の切り欠き部21の略全周挟み込むタイプのものを例にとって説明したが、本発明はノブエスカッションの差し込み部32が芯材の切り欠き部21の一部を挟み込む場合でも適用することができる。また、本発明のサンバイザの製造方法は、上述のノブエスカッション30を利用しない場合でも適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 ドアトリム
11 サンバイザ本体
20 芯材
21 切り欠き部
30 ノブエスカッション
31 ノブ部
32 差し込み部
33、34 爪部
70 下型
74 ガイドコマ
80 上型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボード状の芯材と、前記芯材に設けられた切り欠き部と、前記芯材の切り欠き部に装着される樹脂製のノブエスカッションと、前記ノブエスカッションが装着された前記芯材を覆う表皮とを有するサンバイザであって、
前記ノブエスカッションは、
車両側に設けられる部材によって着脱自在に把持されるノブ部と、
前記芯材の切り欠き部に沿って形成され、前記芯材を挟み込むように形成された差し込み部と、を有することを特徴とするサンバイザ。
【請求項2】
前記芯材は、前記ノブエスカッションが取り付けられる位置に対応して設けられた穴部を有し、
前記ノブエスカッションは、前記ノブエスカッションの取り付け位置で前記穴部と嵌合する爪部を有することを特徴とする請求項1に記載のサンバイザ。
【請求項3】
芯材を表皮で覆ったサンバイザの製造方法であって、
予めノブが固定された芯材のノブ部と、前記ノブ部に対応する部分に開口が形成された表皮を、表皮溶着型に設けられたコの字状のガイドコマにセットした後、前記表皮の外周を溶着することを特徴とするサンバイザの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−57121(P2011−57121A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210391(P2009−210391)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)