説明

サンプリングされた値を信号ビット値との関連において評価することによるデジタルデータ信号の分析

【課題】 デジタルデータ信号の改善されたサンプリングを提供する。
【解決手段】上述した課題は、複数ビットのビットシーケンスを有するデータ信号(D1)の特性を判定する信号アナライザにおいて、第1トリガ信号(TR1、TR2)に応答し、前記データ信号(D1)から第1サンプル値(A1)を取得するべく適合された第1サンプリング回路(30)と、前記データ信号(D1)に関連付けられたクロック信号(CLK)に応答し、前記第1トリガ信号(TR1、TR2)を供給するべく適合されたトリガ回路(60)と、前記第1トリガ信号との関連において特定の時間レンジ内の前記データ信号のビット値(B1、B2、B3)と関連して前記第1サンプリング回路(30)から受信した前記サンプル値(A1)に基づいて信号分析を提供するべく適合された分析回路(50)と、を有することを特徴とする信号アナライザ等により解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータ信号のサンプリングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速デジタル回路の過渡的な振る舞い(即ち、論理0から論理1への(並びに、この逆方向の)遷移)の特徴判定は、この種の回路の設計及び製造にとって、益々、その重要度を増している。タイミングの問題は、単一の伝送誤りや通信システム全体の一時的な(又は、場合によっては、永久的な)機能休止を引き起こす可能性を有しており、回避しなければならない。
【0003】
デジタル回路の標準的な特徴判定法の1つが、所謂、ビット誤り率(Bit Error Ratio:BER)、即ち、対象であるビットの合計数に対する誤りビットの比率である。このために、定義済みのサンプルポイントにおいて、受信デジタルデータ信号を反復的にサンプリングし、予想信号と応答信号を比較するための閾値と、(例えば、クロック信号(これは、通常、刺激信号を生成するためのシステムクロック、或いは、これから又は応答信号から導出されるクロック信号である)の対応する遷移との関連における)相対時間と、により、それぞれのサンプリングポイントを判定している。
【0004】
デジタルデータ信号の特性を判定する更なる技法は、この種の信号の所謂サンプリングオシロスコープによるリアルタイムサンプリング又はこれと等価なサンプリングである。この場合には、トリガ信号との関連においてサンプルを特定の時間遅延に対してターゲット設定している。信号内におけるエッジの位置を判定するべく、このようにターゲット設定された時間における信号値を判定し、且つ、この信号値を事前に定義されている(又は、取得されている)エッジモデルに対してフィッティングすることにより、このエッジの位置を判定している。この種の計測値は、出願人であるAgilent Technologies社が提供しているAgilent 86100 Seriesデジタルサンプリングオシロスコープなどの適切なデジタルオシロスコープによって判定可能であり、Agilent 86100 Seriesオシロスコープは、20ピコ秒未満の立ち上がり及び立ち下がり時間を有するエッジを具備した高速デジタルデータ信号をサンプリングすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタルデータ信号の改善されたサンプリングを提供することが本発明の目的である。この目的は、独立請求項によって解決されている。好適な実施例は、従属請求項に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例によれば、複数ビットのシーケンスを有するデジタルデータ信号のデジタルエッジ又は遷移タイミングを判定する信号アナライザが提供されている。このデータ信号は、仕様に従って試験する対象である被検装置(Device Under Test:DUT)から供給可能であろう。本発明は、「高速デジタル信号内の信号エッジは、有意な遷移持続時間を示す」という洞察に基づいている。エッジを正確且つタイムリーに検出するべく、エッジの形状に関する知識により、このような遷移領域内において信号をサンプリングし、サンプリングされた値を既知のエッジ形状に対してフィッティングすることが可能である。このようなアナライザをアンダーサンプリングオシロスコープ(即ち、サンプリング対象の信号のデータレートを下回るサンプリングを具備したオシロスコープ)に内蔵することにより、信号エッジのタイミングの正確な判定が可能となる。
【0007】
従って、このアナライザは、データ信号のデジタル的な大きさのレベル(Lowレベル及びHighレベル)間における信号の遷移の特徴を判定するための1つ又は複数のエッジモデル(例えば、立ち上がりエッジ及び反転された立ち下がりエッジが類似している場合には、1つの一意のエッジモデル、さもなければ、それぞれ、1つの立ち上がりエッジモデルと1つの立ち下がりエッジモデル、或いは、異なるビット履歴用の複数のエッジモデル)を保存、生成、又はこれにアクセスしている。エッジモデルは、データ信号の時間に伴う予想信号レベルを規定している。このエッジモデルを検出された信号値に対してフィッティングすることにより、検出された信号値とタイミング基準値又は事前に定義されているエッジ値(この事前に定義されているエッジ値は、例えば、LowレベルとHighレベルの間の50%の大きさレベルにおける(又は、エッジの開始時点とエッジの終了時点の間の中間時間における)エッジの中央の大きさを表現可能であろう)の大きさにおける差を時間差値に変換する。この時間差値をトリガ信号に関連付けることにより、信号エッジの正確な位置を判定することができる。
【0008】
エッジモデルのタイミング基準値は、LowレベルとHighレベルの間の任意の値であってよく、例えば、それらのレベル間の中央における50%のレベル、又はエッジモデルの幾何学的中心におけるもの、及び/又は最も確率の高い遷移点におけるものなどであってよい。
【0009】
エッジモデルは、計測された信号エッジの多項最良フィット曲線として定義可能であろう。エッジモデルは、1つ又は複数の線形又は多項セクションから構成されたセクションごとの曲線として表現可能であろう。従って、これらのエッジモデルは、信号値から時間値を生成する数学式又はアルゴリズム、そのエッジモデルの曲線値及び時間値の複数のペアを有する表、又はアルゴリズムとデータ間における任意の混合物として保存可能であろう。
【0010】
一実施例においては、本アナライザは、データ信号のエッジ領域(これは、遷移領域とも呼ばれる)内に好ましくは配置されている複数のトリガパルスを示す第1トリガ信号に応答し、データ信号から第1サンプル値を取得するアナログサンプリング回路と、データ信号に関連付けられたクロック信号に応答し、第1トリガ信号を供給するトリガ回路と、第1トリガ信号と関連する特定の時間レンジ内においてデータ信号のビット値と関連して第1サンプリング回路から受信したサンプル値に基づいて信号分析を提供する分析回路と、を有している。
【0011】
好ましくは、サンプリングの時点は、そのデータ信号に関連付けられたクロック信号に従って判定される。従って、これらの時点は、定義されている(但し、少なくとも時間に伴う有意な信号値の変化を示す領域内の)エッジポイントに近接するように選択されている。
【0012】
ビット値が予め判明している場合には、ビット値は、ビット値を保存しているメモリから直接的に受領可能であろう。或いは、この代わりに、信号アナライザは、ビットシーケンスを検出するデジタルサンプリング回路を更に有している。このデジタルサンプリング回路は、好ましくは、ビットの中央領域内の(即ち、データ信号のデータアイの中心部内の、即ち、信号の遷移間の領域内の)複数の連続する第2トリガ時点においてデータ信号をサンプリングし、データ信号のビットシーケンスを再生成し、且つ、これらの第2の値を分析回路に供給している。分析回路は、第1及び第2値の両方に基づいて信号分析を提供することになる。
【0013】
デジタルサンプリング回路により、遷移よりも先行するいくつかのビット(ビット履歴)と(少なくとも1つの)後続のビットを表すいくつかの第2の値が、アナログサンプリング回路によってサンプリングされた遷移値を表す第1値と共に保存される。
【0014】
更なる実施例においては、データ信号を閾値と比較し、後続のトリガポイントにおいて、この比較結果に応じて2つのビット値の中の1つを(例えば、比較結果が否定的である場合には、「0」値を、そして、比較結果が肯定的である場合には、「1」値を)割り当てることにより、データ信号のビットシーケンスを判定している。
【0015】
従って、クロック信号に応答して第2トリガ信号を受信し、第2トリガ信号のトリガポイントにおいてデータ信号を閾値と比較するべく、第2サンプリング回路が提供されている。第2トリガ信号のトリガパルスは、好ましくは、信号の遷移間の領域内(実質的に所謂データアイの中央)に配置されている。
【0016】
更なる実施例においては、アナログサンプリング回路は、サンプル及び保持回路(又は、追跡及び保持回路)と、アナログ/デジタルコンバータと、を有している。サンプル及び保持回路は、第1トリガ信号を受信し、対応する第1トリガ時間においてそれぞれデータ信号のアナログ値(例えば、アナログ電圧)を供給し、且つ、この値を特定量の時間にわたってそれぞれ保存している。アナログ/デジタルコンバータは、受信したアナログ値を(例えば、12ビットデータ又は16ビットデータとして表現された)マルチビットデジタル値に変換している。
【0017】
更なる実施例においては、複数のエッジについて時間差の計測を反復している。データ信号が試験シーケンスの複数の反復(例えば、定義されているビットパターンの1000回の反復)を有している場合には、ビットパターンは、線形フィードバックシフトレジスタ回路によって生成された擬似ランダムビットシーケンスであるか、又は複数の周波数成分を含むと共にタイミング試験用に好適な任意のその他のパターンであってよかろう。
【0018】
これらの計測値から、データ信号のジッタ特性を導出することが可能である。同一のビット履歴を具備したビット時間インターバル(例えば、反復ビットパターン内のそれぞれ同一の位置におけるビットインターバル)の計測のみを実行する場合には、このような平均値の差は、データ依存ジッタを除外したジッタ成分を表している。
【0019】
更なる実施例においては、実際の遷移に対する以前のビットの影響の深度と関連して(即ち、ビット履歴の影響と関連して)、データ信号を分析している。この影響は、先行するビットの数として表現可能である。分析対象である遷移との関連において、デジタルサンプリング回路から供給される定義済みの数のデジタル値のシーケンスを収集する(即ち、それぞれの第1(マルチビット)サンプル値を(ビット履歴とも呼ばれる)第2サンプルの特定のシーケンス(単一ビット値)に割り当てている)。
【0020】
実際の遷移に影響を与えているいくつかの先行する連続ビットを判定するべく(即ち、実際の遷移に対する以前のビットの影響の深度を判定するべく)、反復的な計測によるサンプリング値を、それらのビット履歴に従ってソート及びビニングしている(例えば、それぞれが3ビットのシーケンスの1つの履歴に関連付けられている8つの異なるグループにビニングしている)。このようなビニングは、クロック信号との関連において異なる平均値を示す限り、更に長い履歴に更に拡張される。
【0021】
更なる実施例においては、定義済みの履歴(即ち、データ信号の定義済みのビットシーケンス)が検出されるという条件に基づいてトリガ信号を生成することにより、非データ依存ジッタ特性を判定するべく信号分析を実行している。
【0022】
影響がいくつかのnビットに対して限定されていると判明した場合には、特定のnビットのシーケンスを検出し、このパターンのそれぞれの発生ごとにトリガすることにより、データ依存ジッタを除外したジッタ判定を実行することが可能であろう。これは、長いビットシーケンスが使用されており、すべてのエッジ位置の分析に長時間を要することになる場合に、特に有利である。
【0023】
或いは、この代わりに、ランダムなタイミングポイントにおいてサンプリングを実行することも可能であり、これにより、(実際のエッジ値を表している)第1サンプル値と(データ信号のビットを表している)第2サンプル値を相互の関係と共に保存している。事後処理において、特定数の先行するビットとの関連において、第1サンプル値を異なるビン内にソートしている。
【0024】
更なる実施例においては、分析回路は、例えば、時間/信号値のペアの表として構成されたデジタル値の観点における又はデータ値を供給するアルゴリズムの観点における1つ又は複数のエッジモデルを保存する処理ユニットを有している。更には、コンピュータのデジタル計算により、前述の時間差を判定している。このようなモデル及びアルゴリズムは、ソフトウェアプログラム内に保存可能であろう。
【0025】
更なる実施例においては、エッジの間(即ち、デジタルデータ信号の立ち上がりエッジとこれに隣接する立ち下がりエッジの間、立ち上がりエッジとこれに隣接していない立下りエッジの間、2つの立ち上がりエッジの間、2つの立ち下がりエッジの間、又はそれぞれ異なるデータ信号の2つのエッジの間)における時間インターバル分析を提供しており、これにより、それぞれの信号エッジごとに、サンプル値を取得している。この結果、第1信号サンプルと定義済みの信号値間の第1時間差と、第2信号サンプルと定義済みの信号値間の第2時間差を判定する。対応するトリガパルスの既知の時間差と第1及び第2時間差に基づいて、エッジ間における時間インターバルを判定することが可能である。
【0026】
更なる実施例においては、複数の類似した時間インターバル(例えば、リターンツーゼロ時間インターバルの変動を判定する場合には、1ビットサイクルの一部、サイクルツーサイクル時間変動を判定する場合には、1ビットサイクル、或いは、複数のビットサイクルの変動を判定するためには、複数のビットサイクル)について、時間差の計測を反復している。データ信号が試験シーケンスの複数の反復(例えば、定義済みのビットパターンの1000回の反復)を有している場合には、ビットパターンは、線形フィードバックシフトレジスタによって生成された擬似ランダムビットシーケンスであるか、又は複数の周波数成分を含むと共にタイミング試験用に好適な任意のその他のパターンであってよかろう。
【0027】
これらの計測値から、データ信号のジッタ特性を導出することが可能である。時間に伴う第1及び第2時間差の分布関数をそれぞれ判定し、平均値をそれぞれ判定し、且つ、両方の平均値間の差を判定することにより、第1ジッタ特性を導出することが可能である。
【0028】
同一のビット履歴を具備したビット時間インターバル(例えば、反復されるビットパターン内のそれぞれ同一の位置におけるビットインターバル)の計測のみを実行する場合には、このような平均値の差は、データ依存ジッタを除外したジッタ成分を表している。時間に伴う第2時間差と第1時間差の、差の分布関数を判定することにより、更なるジッタ成分を導出することが可能である。この分布をデータ信号のすべてのビットサイクル(又は、n個のビットサイクル)について判定した場合に、この分布の幅(即ち、最小及び最大値)は、データ依存ジッタ及びランダムジッタを含む全体的なサイクルツーサイクルジッタを表している。この分布を同一のビット履歴を具備したビット時間インターバルについて実行した場合には、この幅は、ランダム及び周期的サイクルツーサイクルジッタを表している。
【0029】
更なる実施例においては、分析回路は、例えば、時間/信号値のペアの表として構成されたデジタル値の観点における又はデジタル値を供給するアルゴリズムの観点における1つ又は複数のエッジモデルを保存する処理ユニットを有している。更には、コンピュータのデジタル計算により、前述の時間差を判定している。このようなモデル及びアルゴリズムは、ソフトウェアプログラム内に保存可能であろう。
【0030】
前述の方法における1つの制限は、遷移領域を有するように信号をトリガするべく、トリガ時点を選択しなければならないという点にある(この理由は、さもなければ、保存されているモードに対する値のフィッティングが実行不可能となるためである)。トリガ信号を配置可能なトリガの時間レンジを改善するべく、遷移領域の時間幅(即ち、遷移時間)を増大することが可能であろう。このために、線形の位相応答を有するフィルタをデータ入力とサンプリング回路の間に接続することが可能であろう。このフィルタは、データ信号のジッタ特性に影響を与えることなしに、信号エッジの(絶対)勾配を低減する。
【0031】
更なる実施例においては、複数のトリガ信号を互いに対して定義済みの距離に配置することにより、トリガ時間インターバル計測レンジを拡張している。この距離は、好ましくは、単一遷移の計測又はトリガ時間レンジに等しくなるように選択されている。これにより、結果的に得られる計測レンジはトリガ信号の数によって乗算可能である。
【0032】
更なる実施例においては、複数のサンプル経路を有する拡張されたサンプリング回路が提供されており、複数のサンプル経路のそれぞれは、サンプル及び保持回路とアナログ/デジタルコンバータを有している。サンプリング対象のデータ信号がそれぞれ1つのサンプル及び保持回路に供給されている。更には、クロック信号に応答して複数の連続トリガ信号を生成するべく、トリガ制御回路も提供されている。トリガ信号がサンプル及び保持回路のそれぞれのトリガ入力に供給されている。サンプル及び保持回路の出力は、それぞれのアナログ/デジタルコンバータに接続されている。アナログ/デジタルコンバータによって生成された対応するデジタル値は、分析回路に供給されており、この分析回路は、更なるエッジのフィッティング用に最も有意な値(即ち、「Low」又は「High」信号レベルに近接していない又は等しくない値)を選択することが可能であろう。
【0033】
或いは、この代わりに、拡張されたデジタルトリガ回路は、サンプル及び保持回路及びアナログ/デジタルコンバータを有する1つのサンプル経路のみを有することも可能であろう。サンプリング対象のデータ信号がサンプル及び保持回路に供給されている。更には、クロック信号に応答して複数の後続のトリガ信号を生成するべく、トリガ制御回路が提供されている。トリガ信号がサンプル及び保持回路に供給されている。サンプル及び保持回路は、それぞれのトリガ信号に応答して複数のアナログサンプル値を生成している。これらのトリガ信号は、1つのアナログ/デジタルコンバータに、或いは、(例えば、前段の高速スイッチング可能な転送ゲートにより、サンプル及び保持回路の出力に対してスイッチングされる)複数のアナログ/デジタルコンバータに供給可能であろう。前の実施例と同様に、分析回路が、更なる処理のために、アナログ値を受信している。
【0034】
更なる実施例においては、前述のエッジ間における時間インターバルを導出するべく、関心の対象である2つの信号エッジをサンプリングする時間インターバルアナライザは、それぞれのエッジサンプルごとに、前述の拡張された計測を適用することが可能であろう。この結果、例えば、計測レンジを複製するべく、4つの対応するトリガ信号を1つ又は複数のサンプル及び保持回路に供給している。4つのアナログ値を受信している分析回路は、それぞれのエッジごとに、更なる処理の対象である1つの値を選択することが可能であろう。この選択された値から、前述のように、第1時間差及び第2時間差を判定することが可能であろう。
【0035】
或いは、この代わりに、前述の実施例のサンプル及び保持回路を、所謂追跡及び保持回路によって置換することも可能であろう。
【0036】
本発明の実施例は、1つ又は複数の適切なソフトウェアプログラムによって部分的又は全体的に実施又はサポート可能であり、これらのソフトウェアプログラムは、任意の種類のデータキャリア上に保存又はこれによって提供可能であり、且つ、任意の適切なデータ処理ユニット内において及びこれによって実行可能であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
添付の図面との関連において、実施例に関する以下の更に詳細な説明を参照することにより、本発明の実施例のその他の目的及び付随する利点の多くについて、容易に理解することができると共に、その理解を深めることができよう。実質的に又は機能的に等価又は類似した特徴には、同一の参照符号が付与されている。
【0038】
図1は、入力バッファ31を有し、且つ、入力データ信号D1をアナログサンプリング経路30及びデジタルサンプリング経路40に供給する信号アナライザのブロックダイアグラムを示している。アナログサンプリング経路30は、第1サンプル及び保持回路32(これは、アナログ値サンプル及び保持回路32とも呼ばれる)と、アナログ/デジタルコンバータ36と、を有している。サンプル及び保持回路32の出力は、アナログ/デジタルコンバータ36の入力に接続されている。アナログ/デジタルコンバータ36の出力は、信号分析回路50の第1入力に接続されている。又、ここには図示されていない供給源から(例えば、データ信号D1から回復されたデジタルデータ信号D1を供給するデータ供給源から供給されるか、又は独立したクロックによって生成される)クロック信号CLKと、分析回路50からのトリガ制御信号TCと、を受信するトリガ回路60も提供されている。トリガ回路60は、第1トリガパルスTR1をサンプル及び保持回路32のトリガ入力に供給しており、且つ、コンバータトリガパルス又は制御信号CCをアナログ/デジタルコンバータ36に対して更に供給しており、この場合に、これらのトリガ信号間の時間差は、時間に伴ってキャプチャされた値を保持するサンプル及び保持回路32の能力に応じて選択されている。
【0039】
分析対象であるデータ信号D1は、入力バッファ31に供給されており、この入力バッファは、対応するバッファリング済みの信号をサンプル及び保持回路32のデータ入力に供給しており、サンプル及び保持回路32は、第1トリガパルスTR1を受信した時点において実際のデータ信号値A1をサンプリングしている。このアナログ値(これは、特定の電圧レンジ内のアナログ電圧として表現可能であろう)は、特定の時間にわたって保存されている。アナログ/デジタルコンバータ36は、受信したアナログ値を(例えば、12ビットデータ又は16ビットデータV1として表現される)マルチビットデジタル値に変換している。このデジタルデータ値は、前述の更なるエッジフィッティングのために、分析回路50に供給されている。
【0040】
分析回路50は、信号エッジ(例えば、データ信号のデジタル的な大きさレベルの間の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ)の特徴を判定するための1つ又は複数のエッジモデルを保存している。このエッジモデルは、デジタル信号D1の時間に伴う予想信号値を規定している。このようなエッジモデルは、特定の時間分解能を有する複数の(マルチビット)デジタルデータ(例えば、12ビットデータ又は16ビットデータ)の形態において保存可能であろう。或いは、この代わりに、エッジモデルは、例えば、最も確率の高いエッジの多項最良フィット曲線あるいは1つ又は複数の線形又は多項セクションから構成された(時間又は大きさの)セクションごとの曲線として保存することも可能である。このデータは、時間インターバルアナライザの一部である(又は、これからアクセス可能である)メモリ又はデータベース内に保存可能であろう。
【0041】
前述のエッジモデル及び検出信号を互いにフィッティングすることにより、前述の検出信号値と事前に定義されている信号値間の大きさの差を、時間差の値に変換することが可能である。事前に定義されている信号値は、一例として、「Low」ビット信号レベルと「High」ビット信号レベルの間の50%のレベルにおける中心値である。この時間差値をクロック信号に関連付けることにより、信号エッジの正確な位置を判定することが可能である。
【0042】
更には、複数の連続したデジタル経路トリガ時点TD1〜TD3においてデジタル信号D1から複数の第2サンプル値を取得するべく、デジタルサンプリング経路40(これは、ビット履歴判定経路とも呼ばれる)が提供されており、この場合に、これらのトリガポイントは、好ましくは、データ信号のそれぞれビットの中央部内において等距離の時点に配置されている(即ち、これらのトリガポイントは、データアイの中央に配置されている)。
【0043】
従って、分析回路は、比較器41、チューニング可能な閾値電圧供給源42、サンプリングフリップフロップ(又は、デジタルサンプル及び保持回路)43、及びチューニング時間遅延回路44を更に有している。比較器41の第1入力は、(バッファリングされた)データ信号D1を受信するべく、バッファ32に接続されており、比較器41の第2入力は、チューニング可能な閾値電圧THをこの入力に供給するチューニング可能な閾値電圧供給源42に接続されている。比較器41の出力は、サンプリングフリップフロップ43のデータ入力に接続されている。サンプリングフリップフロップ43の出力は、データ分析回路50に供給されている。このサンプリングフリップフロップ43のトリガ入力は、チューニング可能な時間遅延回路44に接続されており、このチューニング可能な時間遅延回路は、クロック信号CLKを受信すると共に、相応して遅延されたクロック信号をサンプリングフリップフロップ43のトリガ入力に供給している。クロック信号CLKは、好ましくは、デジタル経路トリガポイントがデジタルデータ信号D1のデータアイの中央に配置されるように遅延されている。
【0044】
比較器41は、デジタルデータ信号D1を、例えば、「0」のビット値を表すLow信号レベルと「1」のビット値を表すHigh信号レベルの間の平均(これは、50%レベルとも呼ばれている)である一定の閾値TH、或いは、例えば、所謂DFE(Decision Feedback Equalization)として適用される動的な閾値と比較している。比較器41は、対応する比較値が閾値を下回っている場合には、第1値(例えば、Low電圧レベル)を、そして、比較値が閾値THを上回っている場合には、第2値(例えば、High電圧値「1」)を生成する。
【0045】
サンプリングフリップフロップ43は、それぞれ、デジタル経路トリガポイントにおいて比較結果をサンプリングし、且つ、(分析回路50に対してビットストリームとして供給される)デジタル時間個別比較結果B1〜B3を割り当てている。
【0046】
一実施例においては、分析回路50は、このビットストリーム内の事前に定義されているビットシーケンスを検出するべく、受信したビットストリームB1、B2、B3を継続的に分析可能であろう。このような事前に定義されているビットストリームが検出されると、即座に、分析回路50は、フィードバック情報FIをトリガ回路60に供給する。この結果、トリガ回路60は、次の可能な信号遷移においてトリガパルスTR1を供給する。相応して導出されたデジタル値V1は、いずれも同一の定義済みのビット履歴を具備している。このような値が収集された場合に、(例えば、図3aに関連して前述したように)複数の時間及び対応する時間遅延が重畳され、ビット履歴の長さが履歴の影響をカバーするほどに十分に長い場合には、非データ依存ジッタを判定することが可能であろう。ビット履歴の一部となるビットの数は、固定数であるか、又はユーザによって選択される選択可能な数であってよい。
【0047】
或いは、この代わりに、ランダムなタイミングポイントにおいてサンプリングを実行することも可能であり、この場合には、(実際のエッジ値を表している)第1サンプル値と(データ信号のビットを表している)第2サンプル値を相互の関係と共に保存することになる。事後処理において、特定数の先行ビットとの関連において、第1サンプル値を異なるビン内にソートする。
【0048】
更なる実施例においては、信号アナライザは、データ信号D1の履歴特性に従ってビットの数を自動的に判定している。
【0049】
実際の遷移に影響を与えているいくつかの先行する連続ビットを判定するべく(即ち、実際の遷移に対する以前のビットの影響の深度を判定するべく)、本アナライザは、データ信号D1の(1つの試験シーケンス内のすべての立ち上がりエッジなどの)すべてのビット遷移(又は、ビット遷移のサブセット)の遷移値V1を継続的に判定するべく適合されている。同時に、サンプルフリップフロップ43から受信されるデジタルビットシーケンスB1、B2、B3を受信し、遷移値V1に関連付けている。次いで、分析回路50は、(事後処理段階において)、デジタル経路内においてサンプリングされた定義済みの数の先行するビットB1、B2、B3をアナログ経路内においてサンプリングされたそれぞれのサンプル値V1に割り当てている。
【0050】
或いは、この代わりに、データ信号D1のビットシーケンスが判明している場合には(換言すれば、データ信号D1が基本的に判明している場合には)、デジタルサンプリングを伴うことなしに、サンプリングされた値V1にそのシーケンスを直接割り当てることが可能であろう。
【0051】
更には、この代わりに、同期化(即ち、既知のデータ信号D1のシーケンス部分とサンプリングされたデジタルシーケンスのマッチングの検出)と、アナログサンプリング回路との時間相関を実行するべく、サンプリング済みのデジタルシーケンスを使用することも可能であろう。この結果、分析回路50は、トリガ制御信号TCをトリガ回路60に供給することが可能であろう。
【0052】
データ依存ジッタを伴うことなしに(即ち、ビット履歴の影響を伴うことなしに)ジッタ特性を計測するべく、反復的なビットシーケンスを有するデータ信号を供給すると共に、それぞれのビットシーケンスとの関連において同一の位置において、この信号をそれぞれ反復的にトリガすることが可能である。この方法においては、1回の反復当たりに1回の計測しか許容されていないことから、全体的な計測時間が、ビットシーケンスの長さに伴って増大することになる。短い試験時間を具備することが多くの場合に必要である(又は、少なくとも望ましい)ことから、この方法において可能であるのは、前述の例に対応する15ビット程度の短いビットシーケンス(例えば、PRBS(Pseudo Random Bit Sequence)のみである。
【0053】
実際のビットに対する以前のビットの影響は、DUT回路の低域通過特性(即ち、内部伝送ラインや増幅器出力段など)の結果としてもたらされる可能性があろう。伝送ラインの長さ、特定の特性、及びデータ速度に応じて、このような影響は、時間的に限れられており、換言すれば、実際のデータ信号値に対する影響を具備することになるのは、限られた数の以前のビットのみである。
【0054】
従って、更なる実施例においては、実際のビットに対する以前のビットの影響の深度に関連して(換言すれば、ビット履歴の影響に関連して)データ信号を分析している。この影響の深度は、先行ビットの数として表現可能である。非データ依存ジッタを判定するべく、同一の限られたビット履歴を具備した(即ち、同一の先行するm個のビットのシーケンスを具備した)複数の遷移において、データ信号をトリガすることになる(ここで、mは、影響の深度を表現している)。この結果、試験時間の増大を伴うことなしに、長い反復的な試験パターンが使用可能である。更には、この結果、非反復的なデータ信号を使用することも可能である。
【0055】
或いは、この代わりに、データ信号のデータコンテンツ(即ち、ビットシーケンス)に関連付けられないタイミングポイント(好ましくは、等距離の時点)においてアナログサンプリングを実行することも可能であり、この場合には、1つ又は複数のアナログ/デジタルコンバータの変換時間以上になるように、距離を選択することが可能であろう(例えば、データ信号の200ビットサイクルの距離)。分析回路50内に(又は、これにより)、対応する第1サンプル値V1及びV2及び第2サンプル値B1、B2、B3、...を相互の関係と共に保存する。事後処理において、そのビット履歴との関連において、第1サンプル値を異なるビンにソートする。
【0056】
図4は、ビット履歴として適当であるビットの数を判定するための原理を示している。左側の第1行H0内には、立ち上がりエッジを有する遷移を示す2つのビットである「01」のビットシーケンス(即ち、「0」から「1」への遷移)が示されている。左側の第2行(これは、第1履歴レベルH1とも呼ばれる)内には、3ビットの2つのビットシーケンス「001」及び「101」が示されている。このレベルの第1のシーケンス「001」は、先行するビット「0」に、上の行のシーケンス「01」を加えたものに等しい。このレベルの第2のシーケンス「101」は、先行するビット「1」に、上の行のシーケンス「01」を加えたものに等しい。このレベルの右側には、これらのシーケンスのそれぞれについて、クロック信号との関連において、複数の計測の結果であるエッジ時間の分布D001及びD101が示されている。両方の分布D001及びD101の平均値の差が第1時間距離TD1として示されている。この時間距離は、データ信号D1のエッジタイミングに対する第1先行ビットの依存性を示している。
【0057】
左側の第3行(これは、第2履歴レベルH2とも呼ばれる)内には、4ビットの4つのビットシーケンス「0001」、「1001」、「0101」、及び「1101」が示されている。このレベルの第1シーケンス「0001」は、先行するビット「0」に、上の行の第1シーケンス「001」を加えたものに等しい。このレベルの第2のシーケンス「1001」は、先行するビット「1」に、上の行のシーケンス「001」を加えたものに等しい。このレベルの第3のシーケンス「0101」は、先行するビット「0」に、上の行の第2のシーケンス「101」を加えたものに等しい。このレベルの第4シーケンス「1101」は、先行するビット「1」に、上の行の第2シーケンス「101」を加えたものに等しい。このレベルの右側には、基準信号との関係において、複数の計測の結果である4つの異なる履歴におけるエッジ時間の分布D001、D1001、D0101、及びD1101が示されている。分布D0001及びD1001の平均値の差が第2時間距離TD2として示されている。この時間差は、データ信号D1のエッジタイミングに対する第2先行ビットの依存性を示している。定性的に描かれているが、この時間距離TD2は、第1時間距離TD1よりも小さい。完全性を期すべく、この同一の時間差の計測を第3及び第4のシーケンスについて実行することも可能であることを付言しておく。
【0058】
左側の第4行(これは、第3履歴レベルH3とも呼ばれる)内には、5ビットを有する8つのシーケンスの中の模範的な2つのビットシーケンス「00001」及び「10001」が示されている。このレベルの第1シーケンス「00001」は、先行するビット「0」に、上のレベルの第1シーケンス「0001」を加えたものに等しい。このレベルの第2シーケンス「10001」は、先行するビット「1」に、上の行の第1シーケンス「0001」を加えたものに等しい。このレベルの右側には、この行に示されている最初の2つのシーケンスを例示するべく、時間基準との関係において、複数の計測の結果である対応する履歴におけるエッジ時間の最初の4つの分布D00001、D10001、D01001、及びD11001が示されている。両方の分布の平均値の差が第3時間距離TD3として示されている。この時間差は、データ信号D1のエッジタイミングに対する第3先行ビットの依存性を示している。定性的に描かれているが、この時間距離TD3は、第2時間距離TD2よりも小さい。尚、この場合にも、完全性を期すべく、この同一の時間差の計測を、ここには示されていない第3及び第4、第5及び第6、及び第7及び第8のシーケンスについても実行可能であることを付言しておく。
【0059】
この第4履歴レベルの履歴分離の結果として、平均エッジ時間M1、M2、M3、M4、...が、対応するエッジ時間分布の平均値として得られる。
【0060】
従って、ビット履歴の深度を判定するための単純アルゴリズムは、次のように進行可能であろう。
【0061】
第1計測ランにおいて、特定数の遷移の計測(例えば、1024個のサンプル)を実行する。対応するタイミング結果をそのビット履歴に基づいて別個のビン内に保存する。第1履歴レベルにおいて、タイミング結果を第1先行ビットの値に基づいてビニングする。これにより、計測サンプルを2つのビン001及び101内にソートする。それぞれのビンごとに、分布の平均値を判定し、対応する第1時間距離TD1を既定の(十分に小さい)最大時間と比較する。第1時間距離TD1が既定の最大時間を上回っていない場合には、影響の深度が1ビットであるものと予想される。そうではなく、第1時間距離TD1が既定の最大時間を上回っている場合には、タイミング結果を第2履歴レベルH2の4つのビン0001、1001、0101、及び1101内にソートする。この場合にも、このレベルより上のレベルの1つのビン(例えば、ビン001)(及び/又は、ビン0101及び1101の平均値)に由来する(例えば、ビン0001、1001の平均値などの)2つの平均値の間の第2時間距離TD2を、事前に定義されている最大時間と比較する。この段階で、第2時間距離TD2が既定の最大時間を上回っていない場合には、影響の深度は、2ビットであるものと予想される。さもなければ、このアルゴリズムを更なる履歴レベルについて同一の方式で継続することになる。
【0062】
対応するエッジタイミングの適切な分布を入手するには十分な数の結果が必要であるため、計測値をソートするためのビンの数は、第1ランにおいて取得される限定された数の計測値に起因して、限定されることになる(例えば、1024個の計測値の場合には、このアルゴリズムは、第3履歴レベルにおいて停止可能であり、それぞれのビンは、平均で128個の計測値を具備することになる)。対応する時間差が特定の履歴レベル(例えば、1024個の値における第3履歴レベルH2)において事前に定義されている最大時間を上回っていると判明した場合には、更なるソートのために十分な数の値を提供するべく、第2計測ランにおいて別の計測の組(例えば、この場合にも、1024個の計測値)を入手することが可能であろう。この第2計測ランは、(事後処理である)履歴レベル評価アルゴリズムと並行して実行可能である。
【0063】
前述のように、トリガ時点は、信号がその遷移エリア内においてサンプリングされるように、選択しなければならない。対応するトリガ時間レンジを改善するべく、線形の位相応答を示すフィルタをデータ入力及び対応するサンプリング回路の間に接続することが可能であろう。このフィルタは、データ信号のタイミング特性(例えば、ジッタ特性)に影響を与えることなしに、信号エッジの(絶対)勾配を低減する。このようなフィルタの代わりに(又は、このようなフィルタとの組み合わせにおいて)適用可能な計測又はトリガ時間レンジの代替拡張例が図5aに示されている。
【0064】
図5aは、本発明の更なる実施例による改善された計測レンジを有する信号アナライザのブロックダイアグラムを示している。一例として、この信号アナライザは、第1及び第2サンプル及び保持回路32及び32’を示しており、これらの出力は、それぞれ、アナログ/デジタルコンバータ33及び33’の入力に接続されている。アナログ/デジタルコンバータ33及び33’の出力は、信号分析回路55に接続されている。
【0065】
又、供給源(例えば、DUT10、或いは、DUTと同一の周波数又はデータ信号D1に関連付けられた任意の周波数を具備する任意のクロック)からクロック信号CLKを受信するトリガ回路60が提供されている。トリガ回路60は、第1トリガパルスTR1及びシフトされたトリガパルスTR1’を、第1サンプル及び保持回路32のトリガ入力と第2サンプル及び保持回路32’のトリガ入力にそれぞれ供給している。尚、ここには図示されていないが、トリガ回路は、上述の図に関連して説明したように、対応するコンバータトリガ信号をアナログ/デジタルコンバータ33に更に供給している。
【0066】
データ信号D1は、(第1トリガパルスTR1及び第2トリガパルスTR1’をそれぞれ受信した時点において実際のデータ信号値A1及びA1’をサンプリングする)第1及び第2サンプル及び保持回路32及び32’の両方の入力に並行して(例えば、ここには図示されていない入力バッファを介して)供給されており、この場合に、両方のトリガ信号間の時間距離は、遷移持続時間以下となるように決定されている。アナログ/デジタルコンバータが、受信したアナログ値A1及びA1’をデジタル値V1及びV1’に変換している。このデジタルデータ値は、更なるエッジフィッティングのために、分析回路50に供給されている。このために、分析回路50は、1つ又は複数のエッジモデル(例えば、立ち上がりエッジの特徴を判定する立ち上がりエッジモデル及び立ち下がりエッジの特徴を判定する立ち下がりエッジモデル)を保存している。これらのエッジモデルは、個々のデータ信号D1の時間に伴う予想信号値を規定している。
【0067】
分析回路50は、受信したデジタル値V1及びV1’の中の1つを選択し、選択されたデジタル値V1又はV1’をエッジモデルに対してフィッティングすることによって前述の検出信号値と事前に定義されている信号値の間の大きさの差を前述のように時間差値に変換し、エッジ時間判定を実行する。
【0068】
トリガ回路60は、クロック信号CLKとの関連において相互に定義された距離を有するトリガパルスTR1及びTR1’を生成する。この距離は、好ましくは、単一遷移の計測又はトリガ時間レンジに等しくなるように選択されている。図5bは、一例を示しており、この場合、2つの信号エッジが、トリガ時間距離TR1’−TR1において描かれている。この時間距離は、遷移の計測レンジTM1又はTM2に等しくなるように選択されている。ここに示されている例においては、計測レンジは、それぞれ、信号振幅(即ち、HighレベルとLowレベルの間の差)の10%のポイントP1と信号振幅の90%ポイントのP2の間(又は、相応して遅延された遷移の対応するポイントP3及びP4の間)の時間インターバルとして選択されている。これにより、結果的に得られる計測レンジTMRを2によって乗算することが可能である。第1及び第2サンプル及び保持回路32及び32’に並列に接続された更なる追加のサンプル及び保持回路を更に提供することにより、結果的に得られる計測レンジをサンプル及び保持回路の数に対応して拡張することができる。
【0069】
この結果、エッジフィッティングに使用可能な値は、V1又はV1’のいずれか1つのみとなり、もう一方の値は、Highレベル値又はLowレベル値又はこれらの値に近い値を具備することになる。ここに示されている例においては、第1サンプル及び保持回路32は、信号振幅の略40%であるサンプル値V1を導出しており、第2サンプル及び保持回路32’によって遅延計測から導出された値V1’は、ほとんど最大レベルを示している。第1値V1は、エッジフィッティングに十分に使用可能であるが、値V1’は、このようなエッジフィッティングには使用できない。従って、エッジフィッティングの前に、分析回路は、最も有意な値(即ち、Low又はHigh信号値に近くない又は等しくない値、或いは、相対的に大きな信号エッジの絶対勾配を示している値)を選択することが可能である。
【0070】
或いは、この代わりに、信号アナライザは、それぞれ、1つのサンプル及び保持回路と1つのスイッチング可能な転送ゲートを有する第1及び第2サンプリング経路を有することも可能であろう。第1サンプリング値と第2サンプリング値を交互に1つのアナログ/デジタルコンバータに対して供給するべく、転送ゲートを交互にトリガするのである。前の実施例と同様に、更なる処理のために、分析回路が、アナログ値V1及びV1’を受信している。
【0071】
2つの信号エッジ間の時間インターバルを判定するべく、それぞれのエッジについて、フィッティングされた検出信号値と事前に定義されている遷移値(例えば、「Low」ビット信号レベルと「High」ビット信号レベルの間の50%のレベルにおける中央値)の対応する時点間の時間距離を判定する。信号インターバルの2つのエッジについて判定された時間差値と、対応する第1トリガ及び第2トリガパルスの間の既知の時間差と、から、分析回路50は、複数のタイミング特性(例えば、図3a〜図3bに示されている信号ジッタ特性)を判定することが可能であろう。
【0072】
図6aは、時間インターバルアナライザの模範的なブロックダイアグラムを示している。アナログサンプリング回路は、第1及び第2サンプル及び保持回路32及び33を有しており、この出力は、それぞれ、第1及び第2転送ゲート34及び35を介してアナログ/デジタルコンバータ36の入力に接続されている。データ信号D1は、バッファ31の入力に供給されており、このバッファは、第1及び第2サンプル及び保持回路32及び33両方の入力に接続されている。
【0073】
図1のアナライザと同様に、この時間インターバルアナライザは、ビット履歴を判定するためのデジタルサンプリング回路を有しており、このデジタルサンプリング回路は、比較器41、チューニング可能な閾値電圧供給源42、サンプリングフリップフロップ43、チューニング可能な時間遅延回路44、及び分析回路50を更に有している。
【0074】
データ信号D1は、比較器41の第1入力に供給されている。比較器41の第2入力は、チューニング可能な閾値電圧THをこの入力に供給しているチューニング可能な閾値電圧供給源42に接続されている。比較器41の出力は、サンプリングフリップフロップ43のデータ入力に接続されている。サンプリングフリップフロップ43の出力は、分析回路50に供給されている。前述のサンプリングフリップフロップ43のトリガ入力は、チューニング可能な時間遅延回路44に接続されており、このチューニング可能な時間遅延回路は、クロック信号CLKを受信すると共に、対応するチューニング済みのトリガ信号をサンプリングフリップフロップ43に供給している。
【0075】
デジタルサンプリング回路は、対応するクロック信号CLKの遷移及び閾値THとの関連において、遅延回路44によって設定された相対的な時間によって決定される位置を計測している。
【0076】
クロック信号CLKを受信しているトリガ回路60は、第1トリガパルスTR1を第1サンプル及び保持回路32に、第2トリガパルスTR2を第2サンプル及び保持回路33に、供給された第1及び第2ゲートトリガ又は制御信号SG1及びSG2をそれぞれ第1及び第2転送ゲート34及び35の制御入力に、そして、コンバータ制御信号CCをアナログ/デジタルコンバータ36に供給している。
【0077】
前述のように、データ信号のデータコンテンツに関連付けられていないタイミングポイントにおいてアナログサンプリングを実行することが可能であろう。分析回路50内において(又は、これにより)、対応する第1サンプル値V1及びV2並びに第2サンプル値B1、B2、B3、...を相互の関係と共に保存する。事後処理において、特定のビット履歴との関連において、第1サンプル値を異なるビンにソートする。
【0078】
非データ依存ジッタ特性を導出するべく、ビンの1つのペアの時間差値のみを時間インターバル分析に使用することが可能であろう。
【0079】
更なる実施例においては、図4と関連して説明したアルゴリズムにより、適切な履歴ビットの数を導出することが可能であろう。
【0080】
遷移履歴の一部となるビットの数は、固定数であるか、或いは、ユーザによって選択される又はアナライザによって自動的に判定される選択可能な数であってよい。
【0081】
実際の遷移に影響を与えるいくつかの先行する連続ビットを判定するべく、図1と同様のトリガ回路は、データ信号D1の(例えば、1つの試験シーケンス内のすべての立ち上がりエッジなどの)すべてのビット遷移又はビット遷移のサブセットの遷移値V1を継続的に判定するべく適合可能であろう。同時に、サンプルフリップフロップ43から受信されるデジタルビットシーケンスB1、B2、及びB3を受信すると共に、遷移値V1に関連付ける。この結果、分析回路50は、デジタルサンプリング回路内においてサンプルされる定義済みの数の先行ビットB1、B2、及びB3を、アナログサンプリング回路経路によってサンプリングされるそれぞれの第1サンプル値V1に割り当てることが可能であろう。
【0082】
更なる実施例においては、信号アナライザは、図4に関連して説明したように、データ信号D1の履歴特性に応じてビットの数を自動的に判定している。
【0083】
データ信号D1のビットシーケンスが判明している場合には(換言すれば、データ信号D1が基本的に判明している場合には)、デジタルサンプリングを伴うことなしに、サンプリングされた値V1にそのシーケンスを割り当てることが可能であろう。この場合には、データ信号D1に同期化するには、特定の時間においてデジタル的にサンプリングすることで十分である。
【0084】
図6bは、図6aの変形を示し、2つのアナログ/デジタルコンバータ36a及び36bのそれぞれがサンプル及び保持回路32及び33の1つに接続されている。従って、転送ゲート34または35を提供して第1信号サンプルA1及び第2信号サンプルA2をコンバータ回路に交互に供給する必要はない。この結果、2つのコンバータが並行して動作することにより、高速データを処理することができる。更には、エラーを導入する可能性を有する転送ゲートが含まれていないため、正確性も向上する。
【0085】
図6cは、図6bの変形を示し、サンプリング回路が、そのトリガ入力において第1トリガパルスTR1及び第2トリガパルスTR2を、そして、その信号入力においてデータ信号D1を受信するべく構成された第1サンプル及び保持回路301と、模範的には、第2及び第3サンプル及び保持回路302及び303と、を有し、それぞれがそれらの信号入力において前述の第1サンプル及び保持回路301から出力された信号を受信している。トリガ回路60が、第3及び第4トリガパルスTR21及びTR22を、前述の第3及び第4サンプル及び保持回路302及び303のそれぞれのトリガ入力に交互に供給している。
【0086】
高帯域幅の第1サンプル及び保持回路は、ほとんど信号の劣化を伴うことなしに、正確なサンプリングを実現する。しかしながら、このような高帯域幅のサンプル及び保持回路が具備可能な保持時間は短い。この実施例においては、最大の帯域幅を具備する必要があるのは、1つのサンプル及び保持回路301のみであり、サンプル及び保持回路302及び303は、相対的に低い帯域幅を具備可能であると共に、相対的に長い保持時間のために最適化可能である。更なる利点として、前述の実施例と比べて、入力信号が、相対的に小さな負荷インパクトを具備している。
【0087】
又、2つのアナログ/デジタルコンバータ36a及び36bが存在していることに伴い、これらは、図6aの1つのアナログ/デジタルコンバータ36と比べて、低い周波数(即ち、低い変換レート)を具備可能であろう(即ち、この回路は、2倍の数のサンプルを処理可能であろう)。
【0088】
更なる実施例においては、サンプル及び保持回路302及び303に並列に接続された追加のサンプル及び保持回路を提供することにより、対応したアナログ/デジタルコンバータの変換レートの低減又は相応した処理レートの増大を更に実現している。
【0089】
図2aは、時間tに伴う信号の大きさAを有する非NRZ(Return−To−Zero)データ信号の第1の図を示している。このデータ信号は、模範的には、ビットサイクル1〜5内にビットシーケンス「01001」を有している。一例として、「0」ビットを表すLow信号レベルALは、ゼロに等しい。従って、このLow信号レベルALと「1」を表すHigh信号レベルAHの間の50%のレベルは、AH/2に等しい。
【0090】
模範的には、第2ビットの立ち上がり信号エッジE1と立ち下がり信号エッジE2の間の第1時間インターバルTM1を判定する。データ信号を第1サンプル時間T1においてサンプリングすることにより、対応する第1信号サンプルA1を入手し、第2サンプル時間T2においてサンプリングすることにより、対応する第2信号値A2を入手する。これらの値を立ち上がりエッジモデルEM1及び立ち下がりエッジモデルEM2に対してそれぞれフィッティングする。エッジモデルEM1及びEM2は、データ信号D1のエッジ特性を規定している。第1サンプリング値A1と50%の信号レベルにおける中央値、並びに、第2サンプリング値A2と50%の信号レベルにおける中央値の間の大きさの差から、それぞれ、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジにおける時間差又は変位Δt1及びΔT2をそれぞれ判定する。第1サンプル時間T1及び第2サンプル時間T2の間の差がビットサイクル時間Tに対応していることから、時間インターバルTM1は、サイクル時間Tから立ち上がりエッジ時間の変位Δt1を減算し、これに立ち下がりエッジ時間の変位ΔT2を加算することによって得られることになる。
【0091】
図2bは、マルチサイクル時間インターバルTM2における図1の計測の変形を示している。データ信号は、模範的には、第1及び第2ビットサイクルの間の第3立ち上がりエッジと、n番目のビットサイクルと(n+1)番目のビットサイクルの間の第4立ち上がりエッジを有している。図2aに対応して、両方の立ち上がりエッジにおける第3及び第4時間差ΔT3及びΔT4を判定し、nサイクル時間nTから第3時間変位ΔT3を減算し、これに第4時間差ΔT4を加算することにより、両方のエッジ間の差を判定する。
【0092】
図3aは、例えば、それぞれ、反復された試験ビットパターン内の同一の位置における同一のビット履歴を有する(又は、前述の定義された長さの同一の履歴を有する)それぞれの1ビットにおける反復された計測の結果として時間tに伴うすべての立ち上がりエッジ時間の第1分布DE1及びすべての立ち下がりエッジ時間の第2分布DE2の概略図を示している。この試験ビットパターンは、1000回にわたって反復された長さ215−1の擬似ランダムビットシーケンスであってよい。両方の分布DE1及びDE2について、平均値M1及びM2を判定する。平均値M1及びM2の間の差は、データ信号の所謂DCD(Duty Cycle Distortion)を表している。
【0093】
図3bは、この場合にも、同一のビット履歴を有するそれぞれの1ビットにおける反復された計測の結果としてビットインターバルTM1の第3分布DERの概略図を示している。サイクル時間Tが一定であることから、ビットインターバルの変動は、時間差Δt1及びΔT2の間の差の変動に等しい。最大ビットインターバルMAXと最小ビットインターバルMINの間の差は、サイクルツーサイクルジッタのピークツーピーク値を表している。同一のビット履歴を有するビットのみを計測している場合には、この値は、データ依存ジッタDDJ(Data Dependent Jitter)を含んではおらず、ランダムジッタ及び周期的ジッタを含んでいる。
【0094】
代替例として、反復された試験シーケンスのすべてのビットインターバルを、ビット履歴とは無関係に計測することも可能であろう。この場合には、最大ビットインターバルMAXと最小ビットインターバルMINの間の差は、データ依存ジッタDDJを含むサイクルツーサイクルジッタ全体のピークツーピーク値を表している。この計測と(同一の履歴を有するビットのみを計測している)前述の計測の間の差を取得することにより、データ依存ジッタDDJを判定することが可能である。
【0095】
図7は、図1又は図6a〜図6cの信号アナライザ50内において実行可能なビット履歴の検討によるジッタの分離について説明する概略図を示している。
【0096】
第1の図であるC1において、データ信号D1の遷移領域内の連続する時点T1、T2、T3におけるサンプル値から、時間差値Δt1、Δt2、Δt3を得ている。これらの値は、異なるビット履歴を有する遷移について得られたものである。従って、これらの値のジッタ分析は、データ依存ジッタを含むことになる。
【0097】
第2の図であるC2には、サンプリング値の異なるビット履歴に関連付けられた(例えば、図4による計測によって得られた)平均時間差M1、M2、M3、...に関連する平均時間差値Δt1’、Δt2’、Δt3’が示されている。
【0098】
第3の図であるC3には、それぞれ、時間差値と平均時間差値の間の差Δt1−Δt1’、Δt2−Δt2’、Δt3−Δt3’を取得した結果として得られる調節済みの差の値Δt1c、Δt2c、Δt3cが示されている。これらの値のジッタ分析には、データ依存ジッタは含まれておらず、この場合にも、含まれているのは、ランダムジッタと周期的ジッタである。
【0099】
更なる分解のために、調節済みの時間差値Δt1c、Δt2c、Δt3cの離散フーリエ変換(好ましくは、高速フーリエ変換)を実行することが可能であり、この結果、周波数fにおけるパワー密度スペクトルPが得られる。周期的ジッタが存在する場合には、このスペクトルは、1つ又は複数の個別の周波数ラインを示すことになる。
【0100】
スペクトルジッタ分析を提供することにより、ジッタ成分を検出することが可能であり、例えば、識別された1つ又は複数の個別のスペクトル成分を時間ドメインに変換することにより、周期的ジッタ成分を導出することが可能である。
【0101】
C4は、調節済みの時間差値Δt1c、Δt2c、Δt3cの離散フーリエ変換から導出されたパワー密度スペクトルの模範例を示しており、この結果、一例として、周期的ジッタを示しているピーク周波数S1〜S6と、ランダムジッタを示している周波数C6の略一定の関数と、を有するパワー密度スペクトルPを得ている。一例として、周波数ピークS1〜S5は、模範的な周波数f1〜f5において等間隔に離隔している。
【0102】
シングルエンデッドのグランド基準信号D1を分析する代わりに、この信号を差動ライン上において伝送される差動信号として受信することが可能であろう。この差動信号は、この差動信号からグランド基準信号を生成する入力バッファによって終端可能である。或いは、この代わりに、前述の実施例の入力バッファ、1つ又は複数のサンプル及び保持回路、及び/又は1つ又は複数のアナログ/デジタルコンバータを差動信号回路として実現することも可能であろう。
【0103】
最後に本発明の代表的な実施態様を列挙する。
(実施態様1)
複数ビットのビットシーケンスを有するデータ信号(D1)の特性を判定する信号アナライザにおいて、
第1トリガ信号(TR1、TR2)に応答し、前記データ信号(D1)から第1サンプル値(A1)を取得するべく適合された第1サンプリング回路(30)と、
前記データ信号(D1)に関連付けられたクロック信号(CLK)に応答し、前記第1トリガ信号(TR1、TR2)を供給するべく適合されたトリガ回路(60)と、
前記第1トリガ信号との関連において特定の時間レンジ内の前記データ信号のビット値(B1、B2、B3)と関連して前記第1サンプリング回路(30)から受信した前記サンプル値(A1)に基づいて信号分析を提供するべく適合された分析回路(50)と、
を有することを特徴とする信号アナライザ。
【0104】
(実施態様2)
前記クロック信号(CLK)に応答して第2トリガ信号(TS1、TS2)を受信し、前記第2トリガ信号に応答して前記データ信号(D1)を閾値(VTH)と比較し、且つ、第2トリガ信号(TS1、TS2)に応答して、対応する比較の結果として前記ビット値(B1、B2、B3)を割り当てるべく適合された第2サンプリング回路(40)を更に有する実施態様1に記載の信号アナライザ。
【0105】
(実施態様3)
前記トリガ回路(60)は、前記データ信号(D1)の遷移の時間領域内においてトリガパルス(TR1、TR2)を具備する前記第1トリガを供給し、且つ、信号遷移の間の領域内においてトリガパルス(TS1、TS2)を具備する前記第2トリガ信号を供給するべく適合されている実施態様2に記載の信号アナライザ。
【0106】
(実施態様4)
前記分析回路(50)は、遷移領域内の時間に伴う信号の大きさを規定する前記データ信号(D1)の信号エッジ(E1、E2、E3、E4)のエッジモデル(EM1、EM2)を保存し、且つ、前記エッジモデルから、第1サンプル値(A1)と定義済みの遷移値の間の第1時間差(Δt1)を判定するべく適合されている実施態様1から3までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【0107】
(実施態様5)
前記定義済みの信号値は、前記エッジモデル(EM1、EM2)の時間との関連における幾何学的中心、前記エッジモデル(EM1、EM2)の大きさとの関連における幾何学的中心、及び最も確率が高い遷移ポイントの中の1つを表している実施態様4に記載の信号アナライザ。
【0108】
(実施態様6)
前記エッジモデル(EM1、EM2)は、計測信号エッジ(E1、E2、E3、E4)の多項最良フィット曲線、1つ又は複数の線形又は多項セクションから構成されたセクションごとの曲線、及び複数の計測エッジ曲線(E1、E2、E3、E4)に基づいた曲線の中の1つを表している実施態様4又は5に記載の時間インターバルアナライザ。
【0109】
(実施態様7)
前記第1サンプリング回路(30)は、前記第1サンプリング値(A1)をマルチビットデジタル値(V1)に変換するアナログ/デジタルコンバータ(23、36)を有する実施態様1から6までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【0110】
(実施態様8)
前記分析回路(50)は、前記マルチビットデジタル値(V1)と前記ビット値(B1、B2、B3)を保存し、これにより、それぞれのマルチビットデジタル値(V1)に対して定義済みの数の連続ビット値(B1、B2、B3)を割り当てるべく適合されており、連続ビットの組は、対応する割り当てられたマルチビットデジタル値(V1)よりも前に発生した前記データ信号(D1)内の1つの履歴シーケンスを少なくとも部分的に表している実施態様7に記載の信号アナライザ。
【0111】
(実施態様9)
前記分析回路(50)は、マルチビットデジタル値(V1)をそれぞれのそれらのビット履歴に従って複数の異なるグループにソートするべく適合されており、それぞれのグループは、定義済みの数のビットのデジタルシーケンスとして表された一意のビット履歴に関連付けられている実施態様8に記載の信号アナライザ。
【0112】
(実施態様10)
前記データ信号(D1)内の複数の異なる信号遷移における前記第1時間差(Δt1)を反復的に判定し、且つ、前記第1時間差(Δt1)の変動の平均値(M1、M2、M3、M4)をそれぞれのビット履歴について判定するべく適合されている実施態様9に記載の信号アナライザ。
【0113】
(実施態様11)
前記同一のビット履歴を具備する計測値のグループに関連付けられた前記第1時間差(Δt1)の変動分布を分析することにより、前記データ信号(D1)の非データ依存ジッタ特性を判定するべく更に適合されている実施態様9又は10に記載の信号アナライザ。
【0114】
(実施態様12)
前記判定された平均値(M1、M2、M3、M4)を考慮することによって異なるビット履歴を具備する複数のグループに関連付けられた前記第1時間差(Δt1)の変動分布を分析することにより、前記データ信号(D1)の非データ依存ジッタ特性を判定するべく更に適合されている実施態様10に記載の信号アナライザ。
【0115】
(実施態様13)
前記第1サンプリング回路(30)によって得られた第1サンプル値に基づいて第1時間差値(Δt1、Δt2、Δt3)のシーケンスを判定し、前記対応する第1時間差値の前記ビット履歴に関連する前記平均値(M1、M2、M3、M4)をそれぞれの第1時間差値(Δt1、Δt2、Δt3)から減算することによって補正済みのシーケンス(Δt1’、Δt2’、Δt3’)を判定し、前記補正済みのシーケンスの時間から周波数への変換を提供し、且つ、対応するスペクトル内において個別のライン(S1、S2、S3、S4、S5、S6)を検出するべく更に適合されている実施態様10に記載の信号アナライザ。
【0116】
(実施態様14)
実際のビットに影響を与えるいくつかの先行する連続ビットを判定し、且つ、それらから前記定義済みの数の連続ビット値を判定するために、前記第1時間差値(Δt1)を分析するべく更に適合されている実施態様8から13までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【0117】
(実施態様15)
前記定義済みの数のビットを第1値に設定し、異なるビット履歴に関連付けられた平均値(M1、M2、M3、M4)を導出し、選択された平均値の間の時間距離(TD1、TD2、TD3)を分析し、且つ、前記時間距離が定義済みの最大値を超過している場合に、前記ビットの数を増分するべく更に適合されている実施態様14に記載の信号アナライザ。
【0118】
(実施態様16)
前記制御回路(60)は、第1信号遷移(E1、E3)の第1領域内の第1トリガパルス(TR1)と、前記第1データ信号(D1)の1つ又は複数のビットサイクルだけ前記第1トリガパルス(TR1)に対して遅延している第2トリガパルス(TR2)と、を有する第1トリガ信号を生成するべく更に適合されており、前記分析回路(50)は、第1及び第2トリガパルスのペア(TR1、TR2)に関連付けられたサンプル値のペア(A1、A2)に基づいて前記第1データ信号(D1)の信号遷移間における時間インターバル値(TM1、TM2)を判定するべく更に適合されている実施態様1から15までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【0119】
(実施態様17)
前記制御回路(60)は、第1トリガパルス(TR1)と、前記第1データ信号(D1)の信号遷移の持続時間以下となるように選択された定義済みの時間距離だけ前記第1トリガパルス(TR1)に対して遅延している第2トリガパルス(TR1’)と、を有する第1トリガ信号を生成し、対応する第1サンプル値のペア(A1、A1’)を取得し、且つ、更なる分析のために、それぞれのペアから最も有意なサンプル値をそれぞれ選択するべく更に適合されている実施態様1から16までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【0120】
(実施態様18)
複数ビットのシーケンスを有するデータ信号(D1)の特性を判定する方法において、
前記データ信号(D1)に関連付けられたクロック信号(CLK)に応答し、第1トリガ信号(TR1、TR2)を供給する段階と、
前記第1トリガ信号(TR1、TR2)に応答し、前記データ信号(D1)から第1サンプル値(A1)を供給する段階と、
前記第1トリガ信号との関連において特定時間レンジ内の前記データ信号のビット値(B1、B2、B3)と関連して前記第1サンプル値(A1)に基づいて信号分析を提供する段階と、
を有することを特徴とする方法。
【0121】
(実施態様19)
データキャリア上に保存されており、コンピュータなどのデータ処理システム上において稼動した際に、実施態様18に記載の方法の実行を制御することを特徴とするソフトウェアプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の一実施例によるデジタルサンプリング経路及びアナログサンプリング経路を有するサンプリング装置の概略ブロックダイアグラムである。
【図2a】2つの隣接する信号エッジ間における時間インターバルに関連した模範的な時間計測値を有する時間に伴う第1の模範的なデータ信号の一部分を示す図である。
【図2b】複数のクロックサイクルの距離を有する信号エッジ間の模範的な時間計測値を有する時間に伴う第2の模範的なデータ信号の一部分を示す図である。
【図3a】同一のビット履歴を有するそれぞれ1ビットにおける反復された計測の立ち上がりエッジ時間及び立ち下がりエッジ時間の分布の概略図である。
【図3b】図3aの計測の結果得られたサイクル時間の分布の概略図である。
【図4】異なるビン内に収集される立ち上がりエッジに対するビット履歴の異なる階層を有するツリー図と異なるビンの模範的な時間分布を示す図である。
【図5a】本発明の更なる実施例による改善された計測レンジを有するサンプリング装置の概略ブロックダイアグラムである。
【図5b】図5aに関連する模範的なサンプリング図である。
【図6a】図1a又は図1bによる時間インターバルアナライザが図3によるデジタルサンプリング経路を有する、更に詳細なブロックダイアグラムである。
【図6b】2つのアナログ/デジタルコンバータを有する、図6aの変形を示す図である。
【図6c】サンプリング回路が3つのサンプル及び保持回路を有する、図6bの変形を示す図である。
【図7】ビット履歴を考慮したジッタの分離を示す概略図である。
【符号の説明】
【0123】
A1 第1サンプル値
B1、B2、B3 ビット値
CLK クロック信号
D1 データ信号
E1、E2、E3、E4 信号エッジ
EM1、EM2 エッジモデル
M1、M2、M3、M4 変動の平均値
S1、S2、S3、S4、S5、S6 個別のライン
TD1、TD2、TD3 平均値間の時間距離
TM1、TM2 時間インターバル値
TR1、TR2 トリガ信号
TS1、TS2 トリガパルス
VTH 閾値
V1 マルチビットデジタル値
Δt1、Δt2、Δt3 第1時間差値
Δt1’、Δt2’、Δt3’ 補正済みのシーケンス
2、2’、6 時間インターバルアナライザ
23、36 アナログ/デジタルコンバータ
30 第1サンプリング回路
40 第2サンプリング回路
50 分析回路
60 トリガ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ビットのビットシーケンスを有するデータ信号(D1)の特性を判定する信号アナライザにおいて、
第1トリガ信号(TR1、TR2)に応答し、前記データ信号(D1)から第1サンプル値(A1)を取得するべく適合された第1サンプリング回路(30)と、
前記データ信号(D1)に関連付けられたクロック信号(CLK)に応答し、前記第1トリガ信号(TR1、TR2)を供給するべく適合されたトリガ回路(60)と、
前記第1トリガ信号との関連において特定の時間レンジ内の前記データ信号のビット値(B1、B2、B3)と関連して前記第1サンプリング回路(30)から受信した前記サンプル値(A1)に基づいて信号分析を提供するべく適合された分析回路(50)と、
を有することを特徴とする信号アナライザ。
【請求項2】
前記クロック信号(CLK)に応答して第2トリガ信号(TS1、TS2)を受信し、前記第2トリガ信号に応答して前記データ信号(D1)を閾値(VTH)と比較し、且つ、第2トリガ信号(TS1、TS2)に応答して、対応する比較の結果として前記ビット値(B1、B2、B3)を割り当てるべく適合された第2サンプリング回路(40)を更に有する請求項1に記載の信号アナライザ。
【請求項3】
前記トリガ回路(60)は、前記データ信号(D1)の遷移の時間領域内においてトリガパルス(TR1、TR2)を具備する前記第1トリガを供給し、且つ、信号遷移の間の領域内においてトリガパルス(TS1、TS2)を具備する前記第2トリガ信号を供給するべく適合されている請求項2に記載の信号アナライザ。
【請求項4】
前記分析回路(50)は、遷移領域内の時間に伴う信号の大きさを規定する前記データ信号(D1)の信号エッジ(E1、E2、E3、E4)のエッジモデル(EM1、EM2)を保存し、且つ、前記エッジモデルから、第1サンプル値(A1)と定義済みの遷移値の間の第1時間差(Δt1)を判定するべく適合されている請求項1から3までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【請求項5】
前記定義済みの信号値は、前記エッジモデル(EM1、EM2)の時間との関連における幾何学的中心、前記エッジモデル(EM1、EM2)の大きさとの関連における幾何学的中心、及び最も確率が高い遷移ポイントの中の1つを表している請求項4に記載の信号アナライザ。
【請求項6】
前記エッジモデル(EM1、EM2)は、計測信号エッジ(E1、E2、E3、E4)の多項最良フィット曲線、1つ又は複数の線形又は多項セクションから構成されたセクションごとの曲線、及び複数の計測エッジ曲線(E1、E2、E3、E4)に基づいた曲線の中の1つを表している請求項4又は5に記載の時間インターバルアナライザ(2、2’、6)。
【請求項7】
前記第1サンプリング回路(30)は、前記第1サンプリング値(A1)をマルチビットデジタル値(V1)に変換するアナログ/デジタルコンバータ(23、36)を有する請求項1から6までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【請求項8】
前記分析回路(50)は、前記マルチビットデジタル値(V1)と前記ビット値(B1、B2、B3)を保存し、これにより、それぞれのマルチビットデジタル値(V1)に対して定義済みの数の連続ビット値(B1、B2、B3)を割り当てるべく適合されており、連続ビットの組は、対応する割り当てられたマルチビットデジタル値(V1)よりも前に発生した前記データ信号(D1)内の1つの履歴シーケンスを少なくとも部分的に表している請求項7に記載の信号アナライザ。
【請求項9】
前記分析回路(50)は、マルチビットデジタル値(V1)をそれぞれのそれらのビット履歴に従って複数の異なるグループにソートするべく適合されており、それぞれのグループは、定義済みの数のビットのデジタルシーケンスとして表された一意のビット履歴に関連付けられている請求項8に記載の信号アナライザ。
【請求項10】
前記データ信号(D1)内の複数の異なる信号遷移における前記第1時間差(Δt1)を反復的に判定し、且つ、前記第1時間差(Δt1)の変動の平均値(M1、M2、M3、M4)をそれぞれのビット履歴について判定するべく適合されている請求項9に記載の信号アナライザ。
【請求項11】
前記同一のビット履歴を具備する計測値のグループに関連付けられた前記第1時間差(Δt1)の変動分布を分析することにより、前記データ信号(D1)の非データ依存ジッタ特性を判定するべく更に適合されている請求項9又は10に記載の信号アナライザ。
【請求項12】
前記判定された平均値(M1、M2、M3、M4)を考慮することによって異なるビット履歴を具備する複数のグループに関連付けられた前記第1時間差(Δt1)の変動分布を分析することにより、前記データ信号(D1)の非データ依存ジッタ特性を判定するべく更に適合されている請求項10に記載の信号アナライザ。
【請求項13】
前記第1サンプリング回路(30)によって得られた第1サンプル値に基づいて第1時間差値(Δt1、Δt2、Δt3)のシーケンスを判定し、前記対応する第1時間差値の前記ビット履歴に関連する前記平均値(M1、M2、M3、M4)をそれぞれの第1時間差値(Δt1、Δt2、Δt3)から減算することによって補正済みのシーケンス(Δt1’、Δt2’、Δt3’)を判定し、前記補正済みのシーケンスの時間から周波数への変換を提供し、且つ、対応するスペクトル内において個別のライン(S1、S2、S3、S4、S5、S6)を検出するべく更に適合されている請求項10に記載の信号アナライザ。
【請求項14】
実際のビットに影響を与えるいくつかの先行する連続ビットを判定し、且つ、それらから前記定義済みの数の連続ビット値を判定するために、前記第1時間差値(Δt1)を分析するべく更に適合されている請求項8から13までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【請求項15】
前記定義済みの数のビットを第1値に設定し、異なるビット履歴に関連付けられた平均値(M1、M2、M3、M4)を導出し、選択された平均値の間の時間距離(TD1、TD2、TD3)を分析し、且つ、前記時間距離が定義済みの最大値を超過している場合に、前記ビットの数を増分するべく更に適合されている請求項14に記載の信号アナライザ。
【請求項16】
前記制御回路(60)は、第1信号遷移(E1、E3)の第1領域内の第1トリガパルス(TR1)と、前記第1データ信号(D1)の1つ又は複数のビットサイクルだけ前記第1トリガパルス(TR1)に対して遅延している第2トリガパルス(TR2)と、を有する第1トリガ信号を生成するべく更に適合されており、前記分析回路(50)は、第1及び第2トリガパルスのペア(TR1、TR2)に関連付けられたサンプル値のペア(A1、A2)に基づいて前記第1データ信号(D1)の信号遷移間における時間インターバル値(TM1、TM2)を判定するべく更に適合されている請求項1から15までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【請求項17】
前記制御回路(60)は、第1トリガパルス(TR1)と、前記第1データ信号(D1)の信号遷移の持続時間以下となるように選択された定義済みの時間距離だけ前記第1トリガパルス(TR1)に対して遅延している第2トリガパルス(TR1’)と、を有する第1トリガ信号を生成し、対応する第1サンプル値のペア(A1、A1’)を取得し、且つ、更なる分析のために、それぞれのペアから最も有意なサンプル値をそれぞれ選択するべく更に適合されている請求項1から16までのいずれかに記載の信号アナライザ。
【請求項18】
複数ビットのシーケンスを有するデータ信号(D1)の特性を判定する方法において、
前記データ信号(D1)に関連付けられたクロック信号(CLK)に応答し、第1トリガ信号(TR1、TR2)を供給する段階と、
前記第1トリガ信号(TR1、TR2)に応答し、前記データ信号(D1)から第1サンプル値(A1)を供給する段階と、
前記第1トリガ信号との関連において特定時間レンジ内の前記データ信号のビット値(B1、B2、B3)と関連して前記第1サンプル値(A1)に基づいて信号分析を提供する段階と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項19】
データキャリア上に保存されており、コンピュータなどのデータ処理システム上において稼動した際に、請求項18に記載の方法の実行を制御することを特徴とするソフトウェアプログラム。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−267882(P2008−267882A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−108650(P2007−108650)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.