説明

サンプリング用鋳物砂の供給装置、砂切り出し装置、及びサンプリング用鋳物砂の供給方法

【課題】造型・砂処理ライン設備のサイクルタイムの遅延を防止する。
【解決手段】鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段104から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段108へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給装置であって、一端に砂供給口101cを有すると共に他端に砂排出口101dを有する砂切り出し装置121と、一端が前記砂切り出し装置の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段に連通する砂投入シュート107と、該砂投入シュートに取り付けられた開閉式ゲート112と、前記砂投入シュートに取り付けられると共に前記開閉式ゲートにおけるゲート板112a上に溜められた鋳物砂の温度を測定する砂温測定手段と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型造型に用いる鋳物砂の性状を検査するに当り、サンプリング取り出しされる鋳物砂を砂試験器等へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給装置、砂切り出し装置、及びサンプリング用鋳物砂の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳型造型に用いる鋳物砂のサンプルを作業者が手作業で砂試験器へ供給することは公知にされている(例えば、特許文献1参照)。また前記砂試験器により、該供給された鋳物砂の砂温、CB値(コンパクタビリティ値)、水分、通気度、圧縮強度を計測することも公知にされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらにサンプリング用鋳物砂を砂試験機に供給するに際して用いられる砂切り出し装置として、従来、混練を済ませた若しくは混練中の混練砂の一部を横向き筒状ホッパ内に投入し、該筒状ホッパ内に投入した混練砂を電動シリンダに連結された押圧板により押圧しながら該押圧された混練砂をスクリュー状砂ほぐし器により砂ほぐしをして取り出すようにした砂切り出し装置は公知にされている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−61346号公報
【特許文献2】特開2003−205344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、造型・砂処理ライン設備の稼動中に、搬送されてくる鋳物砂からサンプリング用鋳物砂を取り出して砂試験器へ供給する場合、作業者が手作業で行っていては作業者の負担が過大になってしまうという問題がある。また、特許文献1に記載された砂試験器では、供給された鋳物砂の砂温、CB値(コンパクタビリティ値)、水分、通気度、圧縮強度を全て計測しているが、これにより該計測に時間がかかり、前記造型・砂処理ライン設備のサイクルタイムが遅延してしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の砂ほぐし器のスクリューは、コイルタイプの中空のスプリングであるため、スプリング長さが長くなると、スプリング回転時にスプリングが蛇行して横向き筒状ホッパの内面と接触し、摩耗の原因となるという問題がある。また該コイルタイプの中空のスプリングをスクリューとして用いると、スプリングの隙間にサンプリングした鋳物砂が滞積してしまうという問題がある。
【0007】
以上のように、鋳型造型に用いる鋳物砂の性状を検査するにあたり、サンプリング鋳物砂を砂試験手段へ適切に供給することができない場合があった。
【0008】
本発明の目的は、サンプリング鋳物砂を砂試験手段へ適切に供給することができるサンプリング用鋳物砂の供給装置、砂切り出し装置、及びサンプリング用鋳物砂の供給方法を提供することにある。
【0009】
さらに具体的には、本発明の目的は、造型・砂処理ライン設備の稼動中に、搬送されてくる鋳物砂からサンプリング用鋳物砂を機械装置で取り出して砂試験器へ供給することができると共に前記造型・砂処理ライン設備のサイクルタイムの遅延を防止することができるサンプリング用鋳物砂の供給装置及び方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、上記の問題に鑑みて成されたもので、スクリューの長さを長くすることができると共にサンプリングした鋳物砂のスクリューへの滞積をなくすことができるサンプリング用鋳物砂の供給装置及び方法並びに砂切り出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係るサンプリング用鋳物砂の供給装置は、鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給装置であって、一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する砂切り出し装置と、一端が前記砂切り出し装置の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段に連通する砂投入シュートと、該砂投入シュートに取り付けられた開閉式ゲートと、前記砂投入シュートに取り付けられると共に前記開閉式ゲートにおけるゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を測定する砂温測定手段と、を具備し、前記砂切り出し装置は、一端に前記砂供給口が設けられると共に他端に前記砂排出口が設けられる外筒体と、該外筒体の内面に固定される内筒体と、該内筒体の内部を貫通し、且つ、一端が前記鋳物砂搬送手段に挿入されると共に他端が駆動手段に連結された回転可能で中実なスクリューとを有する。
【0012】
また、本発明に係る砂切り出し装置は、鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段へ供給する砂切り出し装置であって、一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する外筒体と、該外筒体の内面に固定される内筒体と、該内筒体の内部を貫通し、且つ、一端が前記鋳物砂搬送手段に挿入されると共に他端が駆動手段に連結された回転可能で中実なスクリューとを具備する。
【0013】
また、本発明に係るサンプリング用鋳物砂の供給方法は、一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する砂切り出し装置と、一端が前記砂切り出し装置の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段に連通する砂投入シュートと、該砂投入シュートに取り付けられた開閉式ゲートと、前記砂投入シュートに取り付けられると共に前記開閉式ゲートにおけるゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を測定する砂温測定手段と、を具備するサンプリング用鋳物砂の供給装置を用いて、鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして前記砂試験手段へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給方法であって、前記開閉式ゲートを開いた状態で前記砂切り出し装置を正作動させることにより、前記鋳物砂搬送手段から鋳物砂をサンプリング取り出しして前記砂投入シュートを介して前記砂試験手段へ供給する第1供給工程と、該第1供給工程中に前記開閉式ゲートを閉じ、該開閉式ゲートにおけるゲート板上に鋳物砂を溜める工程と、前記ゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を前記砂温測定手段で測定する工程と、前記開閉式ゲートを開き、前記ゲート板上に溜められた鋳物砂を前記砂試験手段へ供給する第2供給工程と、前記砂切り出し装置を逆作動させることにより、該砂切り出し装置の内部に残留している鋳物砂を前記鋳物砂搬送手段へ戻す工程と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する砂切り出し装置と、一端が前記砂切り出し装置の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段に連通する砂投入シュートと、該砂投入シュートに取り付けられた開閉式ゲートと、前記砂投入シュートに取り付けられると共に前記開閉式ゲートにおけるゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を測定する砂温測定手段と、を具備するようにしたから、造型・砂処理ライン設備の稼動中に、搬送されてくる鋳物砂からサンプリング用鋳物砂を機械装置で取り出して砂試験器へ供給することができると共に前記造型・砂処理ライン設備のサイクルタイムの遅延を防止することができる等種々の効果がある。
【0015】
また、本発明は、一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する外筒体と、該外筒体の内面に固定される内筒体と、該内筒体の内部を貫通し、且つ、一端が前記鋳物砂搬送手段に挿入されると共に他端が駆動手段に連結された回転可能で中実なスクリューと、を具備するようにしたから、スクリューの長さを長くすることができると共にサンプリングした鋳物砂のスクリューへの滞積をなくすことができる等種々の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態の図であり、本発明を適用したサンプリング用鋳物砂の供給装置を示す正面図である。
【図2】図1のA部拡大詳細図である。
【図3】図2のB−B矢視図である。
【図4】図1の右側面図であり、ベルトコンベヤと、その上流および下流の装置を示す図である。
【図5】スクリューを装置から外し、スクリューのみを示した図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図である。
【図6】スクリューの先端部の詳細図である。
【図7】スクリューの先端部の詳細図であって、スクリューにおける半円状溝部の半円断面積について説明するための図である。
【図8】第2の実施の形態の図であり、本発明を適用したサンプリング用鋳物砂の供給装置を示す正面図である。
【図9】第2の実施の形態の図であり、図8のA部拡大詳細図である。
【図10】第2の実施の形態の図であり、図9のB−B矢視図である。
【図11】第2の実施の形態の図であり、図9のC−C矢視図である。
【図12】第2の実施の形態の図であり、図8の右側面図であり、ベルトコンベヤと、その上流および下流の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用したサンプリング用鋳物砂の供給装置及び砂切り出し装置について、図面を参照して説明する。まず、第1の実施の形態として、図1〜図7を用いてサンプリング鋳物砂供給装置20及び砂切り出し装置21について説明する。
【0018】
サンプリング鋳物砂供給装置20は、図1に示すように、鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給装置であって、一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する砂切り出し装置21と、一端が砂切り出し装置21の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段(砂特性自動計測装置8)に連通する砂投入シュート7とを具備する。そして砂切り出し装置21は、外筒体1と、内筒体2と、スクリュー3とを有する。
【0019】
具体的に、図1に示すように、外筒体1は筒状部1aとケーシング部1bとで構成されている。そして、該外筒体1は、一端に砂供給口1cを有すると共に他端に砂排出口1dを有している。そして、該外筒体1における筒状部1aの内面には内筒体2が締結により固定されており、該内筒体2は摩耗した場合に取換えることができるようになっている。
【0020】
そして、該内筒体2の内部には回転可能で中実なスクリュー3が配設されており、該スクリュー3は該内筒体2の内部を貫通している。なお該スクリュー3は、一端が鋳物砂搬送手段としてのベルトコンベヤ4に挿入されており、他端が後述する駆動手段としてのモータ5に連結されている。そして、該スクリュー3は該モータ5の作動により回転されるようになっている。なお該内筒体2及びスクリュー3の材質は超高分子量ポリエチレン(例えば、作新工業株式会社製「Saxinニューライト」)である。また本実施形態では、該内筒体2の内径がφ78mm、スクリュー3のリード外径がφ72mm(先端部は除く。先端部については後述)にされており、該内筒体2の内径とスクリュー3のリード外径との隙間は片側3mmにされている。
【0021】
また前記外筒体1におけるケーシング部1bは支持体6で包囲されている。そして、該支持体6の一端には前記外筒体1における筒状部1aが締結固定されており、該支持体6の他端には前記モータ5が締結固定されている。そして、該支持体6の下端には砂投入シュート7が連結されており、該砂投入シュート7の下端には砂試験手段としての砂特性自動計測装置8が連結されている。なお前記外筒体1の砂排出口1dと該砂特性自動計測装置8は前記砂投入シュート7を介して連通されている。
【0022】
また図2、図3に示すように、前記スクリュー3の他端の外周には、鋳物砂S(図1参照)をほぐす複数(本実施形態では4個)の砂ほぐし部材9が軸継手10を介して締結固定されており、該砂ほぐし部材9及び軸継手10は前記外筒体1におけるケーシング部1bの内部に収容されている。
【0023】
また前記外筒体1の砂排出口1dには、排出される鋳物砂Sと衝突する複数(本実施形態では3個)の衝突部材11が配置されており、該衝突部材11は前記外筒体1におけるケーシング部1bに締結固定されている。なお本実施形態では衝突部材11として丸棒を用いている。
【0024】
このように構成されたものの作動について説明する。まず、前記ベルトコンベヤ4の作動中、即ち、鋳物砂Sの搬送中に前記モータ5を正作動させると、スクリュー3が図3の矢印Y1の方向に回転する。そうすると、該スクリュー3により外筒体1の砂供給口1cから鋳物砂Sが搬送される。そして、該搬送された鋳物砂Sは、外筒体1におけるケーシング部1b内で、スクリュー3とともに回転する砂ほぐし部材9に衝突してほぐされる。その後、該鋳物砂Sは外筒体1の砂排出口1dに配置された衝突部材11に衝突し、ここでさらにほぐされて該砂排出口1dから排出される。そして、該排出された鋳物砂Sは砂投入シュート7を通って前記砂特性自動計測装置8内に供給される。
【0025】
その後、前記ベルトコンベヤ4の作動中又は停止中、即ち、鋳物砂Sの搬送中又は搬送停止中に前記モータ5を逆作動させると、スクリュー3が図3の矢印Y2の方向に回転する。そうすると、該スクリュー3及び内筒体2内に残存する鋳物砂Sは外筒体1の砂供給口1cの方へ搬送され、該砂供給口1cから排出されて前記ベルトコンベヤ4上に戻される。なお、本実施形態では鋳物砂Sとして生型砂が用いられている。
【0026】
また前記砂特性自動計測装置8では、鋳物砂Sが供給されると、該鋳物砂Sの水分、CB値(コンパクタビリティ値)、圧縮強度、通気度、砂温が計測される。
【0027】
なお本実施形態における前記ベルトコンベヤ4は、鋳型造型機12(図4参照)の上方に配設されると共に該鋳型造型機12に鋳物砂Sを供給するベルトコンベヤであり、ここで、この点について詳述する。図4は、図1の右側面図であり、前記ベルトコンベヤ4と、その上流および下流の装置を示す図である。図4に示すように、前記ベルトコンベヤ4は鋳型造型機12の上方に配設され、架台13上に組み付けられている。そして、前記ベルトコンベヤ4の上部には鋳物砂S(鋳物砂混練機による砂混練を済ませた混練砂)を貯蔵する砂貯蔵装置14が配設され、該砂貯蔵装置14の支柱14aは架台13上に組み付けられている。また前記ベルトコンベヤ4で搬送される鋳物砂Sは架台13に支持されたシュート15を介して鋳型造型機12に供給されるようになっている。
【0028】
本実施形態における鋳型造型機12は、上枠・下枠(図示せず)交互造型の枠付造型機であり、1枠造型するごとに前記ベルトコンベヤ4を作動させて1枠分の鋳物砂Sを該鋳型造型機12に供給する。本実施形態では下枠用の鋳物砂Sの前記ベルトコンベヤ4での搬送中に毎回、上述のようにして前記ベルトコンベヤ4から該鋳物砂Sをサンプリング取り出しして前記砂特性自動計測装置8へ供給する。
【0029】
なお従来、上述のような所定のタイミングで定期的に鋳物砂Sを搬送するベルトコンベヤ4(鋳型造型機12の上方に配設されると共に該鋳型造型機12に鋳物砂Sを供給するベルトコンベヤ4)の該搬送中に、該ベルトコンベヤ4から該鋳物砂Sをサンプリング取り出しすることは困難なことであったが、本発明は、このような場合にも適用できるという利点がある。
【0030】
次に、前記スクリュー3の詳細について、ここで詳述する。図5は該スクリュー3を装置から外し、該スクリュー3のみを示した図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図である。図5(A)に示すように、スクリュー3には複数のリード3aが連続して形成されている。そして、該リード3a間には半円状溝部3bが連続して形成されている。このように、該リード3a間に連続して形成される溝部が半円状であると、該溝部に鋳物砂Sが付着しにくいという効果があるため、好ましい。
【0031】
またスクリュー3は、先端部が先細り状のテーパ形状になっており、この点について詳述する。図6はスクリュー3の先端部の詳細図であり、本実施形態では寸法X1はφ72mm、X2はφ70mm、X3は65.5mmにされている。即ち、スクリュー3の先端面から65.5mmの位置までは、先細り状のテーパ形状になるように加工されており、該65.5mmの位置以降はリード外径がφ72mmになるように加工されている。このようにしてスクリュー3の先端部を先細り状のテーパ形状にすると、該スクリュー3の先端部と内筒体2の内面先端との隙間を広く確保することができ、これにより、該スクリュー3の先端部と内筒体2の内面先端との隙間への鋳物砂Sの噛み込みを防止できるという効果があるため、好ましい。該隙間への鋳物砂Sの噛み込みがあると、装置が振動したり、スクリュー3又は内筒体2が早期に摩耗したりするという不具合が発生することがある。
【0032】
またスクリュー3は、該スクリュー3における最先の半円状溝部の半円断面積が、二段目以降の半円状溝部の半円断面積より小さくなっており、この点について詳述する。なお説明を分かりやすくするために、最先の半円状溝部を符号300、二段目以降の半円状溝部を符号301で示す。図7に示すように、本実施形態では、上述したようにスクリュー3の先端部を先細り状のテーパ形状にすることにより、該スクリュー3における最先の半円状溝部300の半円断面積302が、二段目以降の半円状溝部301の半円断面積303より小さくなっている。このような構成にすると、最初に最先の半円状溝部300内に入った鋳物砂Sが、二段目以降の半円状溝部301内に溢れることなく収まりながら搬送されていくから、搬送途中で鋳物砂Sを圧縮してしまうことがないという効果があるため、好ましい。該搬送途中で鋳物砂Sを圧縮してしまうと、砂性状が変化してしまうという不具合が発生することがある。
【0033】
なおスクリュー3における最先の半円状溝部300の半円断面積302を、二段目以降の半円状溝部301の半円断面積303より小さくする構成は、上述のスクリュー3の先端部を先細り状のテーパ形状にする構成に限定されるものではなく、別の構成であってもよい。
【0034】
またスクリュー3は、上述したように材質が超高分子量ポリエチレンであり、該超高分子量ポリエチレンで製作されたスクリュー3の中心部に通し孔加工を施し、該通し孔に棒状の芯金3c(材質はSUS304)を嵌装している(図5参照)。なお該芯金3cとスクリュー3は接着剤で接着されており、該芯金3cはテーパーピン3dでスクリュー3に固定されている。このように、スクリュー3に芯金3cを嵌装させると、スクリュー3が回転したときのスクリューの振れを抑制することができるため好ましいが、スクリュー3の全長が短い場合は、該芯金3cは無くてもよい。
【0035】
なお本発明を適用した砂切り出し装置21を構成するスクリュー3が、コイルタイプの中空のスプリングではなく、中実なスクリューであるため、該スクリュー3の長さを長くしてもスクリュー3の回転時に該スクリュー3が蛇行してしまうことがない。このため、スクリュー3の長さを長くすることができ、鋳物砂Sの長い距離の搬送にも用いることができる。またスクリュー3が、コイルタイプの中空のスプリングではなく、中実なスクリューであると、スプリングの隙間自体が存在しないため、鋳物砂Sのスクリュー3への滞積をなくすことができる。
【0036】
また本発明を適用した砂切り出し装置21では、上述したように、内筒体2及びスクリュー3の材質が超高分子量ポリエチレンであるため、該内筒体2及びスクリュー3への砂付着を抑制することができるという効果がある。該内筒体2及びスクリュー3への砂付着があると、前記砂特性自動計測装置8内に鋳物砂Sを搬送する際に、搬送途中で内筒体2及びスクリュー3から付着砂が分離されて搬送中の鋳物砂Sに混ざり、砂性状が変化してしまうという不具合が発生することがある。
【0037】
さらに本発明を適用した砂切り出し装置21では、上述したように、スクリュー3の他端に鋳物砂Sをほぐす砂ほぐし部材9が固定されているため、該スクリュー3で搬送されてきた鋳物砂Sに砂ダマが含まれていた場合でも、該砂ダマをほぐして前記砂特性自動計測装置8内に供給することができる。また本発明を適用した砂切り出し装置21では、上述したように、外筒体1の砂排出口1dに、排出される鋳物砂Sと衝突する衝突部材11が配置されているため、前記鋳物砂Sに含まれる砂ダマを、ここでもさらにほぐすことができる。なお本実施形態では、前記砂ほぐし部材9及び衝突部材11の両方を用いたが、これに限定されるものではなく、該砂ほぐし部材9又は衝突部材11のどちらか一方を用いるようにしてもよい。ただし、該砂ほぐし部材9及び衝突部材11の両方を用いると、前記砂ダマをほぐす効果がより高いため、好ましい。
【0038】
なお本実施形態では、鋳物砂搬送手段としてベルトコンベヤ4を示したが、これに限定されるものではなく、鋳物砂搬送手段としては、このほかに例えば、鋳物砂混練機が挙げられる。
【0039】
また本実施形態では、前記外筒体1の砂排出口1dと前記砂特性自動計測装置8を前記砂投入シュート7を介して連通させるようにしたが、これに限定されるものではなく、前記砂投入シュート7を無くして、前記外筒体1の砂排出口1dと前記砂特性自動計測装置8を直に連通させるようにしてもよい。
【0040】
以上のように、本発明を適用した砂切り出し装置21は、一端に砂供給口1cを有すると共に他端に砂排出口1dを有する外筒体1と、外筒体1の内面に固定される内筒体2と、内筒体2の内部を貫通し、且つ、一端が鋳物砂搬送手段(ベルトコンベヤ4)に挿入されると共に他端が駆動手段に連結された回転可能で中実なスクリュー3とを有する点に特徴を有するものであり、このような構成を備えることにより、スクリューの長さを長くすることができると共にサンプリングした鋳物砂のスクリューへの滞積をなくすことができる。
【0041】
また、この砂切り出し装置21は、スクリュー3におけるリード間に半円状溝部300,301が連続して形成されている構成にも特徴を有し、この溝部に鋳物砂Sが付着しにくいという効果を得ることができ、サンプリングした鋳物砂のスクリュー3への滞積をなくすことができる。
【0042】
さらに、砂切り出し装置21は、スクリュー3における最先の半円状溝部300の半円断面積302が、二段目以降の半円状溝部301の半円断面積303より小さい構成により、搬送途中で鋳物砂Sを圧縮してしまうことがないという効果を得ることができ、該搬送途中で鋳物砂Sを圧縮することにより砂性状が変化してしまうという不具合を発生できる。
【0043】
また、砂切り出し装置21は、スクリュー3の先端部が先細り状のテーパ形状になっている構成にも特徴を有し、該スクリュー3の先端部と内筒体2の内面先端との隙間を広く確保することができ、これにより、該スクリュー3の先端部と内筒体2の内面先端との隙間への鋳物砂Sの噛み込みを防止でき、噛み込みにより装置が振動したり部品が磨耗したりするという不具合の発生を防止できる。
【0044】
また、砂切り出し装置21は、内筒体2及びスクリュー3の材質が超高分子量ポリエチレンである構成にも特徴を有し、該内筒体2及びスクリュー3への砂付着を抑制することができるという効果があり、これにより、砂付着による問題点である、付着砂が分離されて搬送中の鋳物砂に混ざり砂性状が変化してしまうという不具合の発生を防止できる。
【0045】
以上のような砂切り出し装置21及びこれを用いたサンプリング鋳物砂供給装置20は、サンプリング鋳物砂を砂試験手段へ適切に供給することができる。
【0046】
次に、第2の実施の形態として、図8〜図12を用いてサンプリング鋳物砂供給装置120及び砂切り出し装置121について説明する。サンプリング鋳物砂供給装置120に用いられる砂切り出し装置121として、ここでは、上述の第1の実施の形態と同様にスクリュー式砂切り出し装置を用いている。
【0047】
サンプリング鋳物砂供給装置120は、図8に示すように、鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給装置であって、一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する砂切り出し装置121と、一端が砂切り出し装置121の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段(砂特性自動計測装置108)に連通する砂投入シュート107と、該砂投入シュートに取り付けられた開閉式ゲート112と、前記砂投入シュートに取り付けられると共に前記開閉式ゲート112におけるゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を測定する砂温測定手段(熱電対113)とを具備する。そして砂切り出し装置121は、外筒体101と、内筒体102と、スクリュー103とを有する。
【0048】
具体的に、図8に示すように、該外筒体101は筒状部101aとケーシング部101bとで構成されている。そして、該外筒体101は、一端に砂供給口101cを有すると共に他端に砂排出口101dを有している。そして、該外筒体101における筒状部101aの内面には内筒体102が締結により固定されており、該内筒体102は摩耗した場合に取換えることができるようになっている。
【0049】
そして、該内筒体102の内部には回転可能で中実なスクリュー103が配設されており、該スクリュー103は該内筒体102の内部を貫通している。なお該スクリュー103は、一端が鋳物砂搬送手段としてのベルトコンベヤ104に挿入されており、他端が後述する駆動手段としてのモータ105に連結されている。そして、該スクリュー103は該モータ105の作動により回転されるようになっている。なお該内筒体102及びスクリュー103の材質は超高分子量ポリエチレン(例えば、作新工業株式会社製「Saxinニューライト」)である。
【0050】
またスクリュー103には複数のリード103aが連続して形成されている。そして、該リード103a間には半円状溝部103bが連続して形成されている(図9参照)。さらにスクリュー103は、先端部が先細り状のテーパ形状になっている(図示省略)。また本実施形態では、該内筒体2の内径がφ78mm、スクリュー103のリード外径がφ72mmにされており、該内筒体2の内径とスクリュー103のリード外径との隙間は片側3mmにされている。
【0051】
尚、スクリュー103は、例えば上述の図5〜7を用いて詳細に説明したスクリュー3と同様の構成を備えるものであり、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0052】
また前記外筒体101におけるケーシング部101bは支持体106で包囲されている。そして、該支持体106の一端には前記外筒体101における筒状部101aが締結固定されており、該支持体106の他端には前記モータ105が締結固定されている。
【0053】
また図9、図10に示すように、前記スクリュー103の他端の外周には、鋳物砂S(図8参照)をほぐす複数(本実施形態では4個)の砂ほぐし部材109が軸継手110を介して締結固定されており、該砂ほぐし部材109及び軸継手110は前記外筒体101におけるケーシング部101bの内部に収容されている。
【0054】
また前記外筒体101の砂排出口101dには、排出される鋳物砂Sと衝突する複数(本実施形態では3個)の衝突部材111が配置されており、該衝突部材111は前記外筒体101におけるケーシング部101bに締結固定されている。なお本実施形態では衝突部材111として丸棒を用いている。
【0055】
また、このように構成されたスクリュー式砂切り出し装置121における前記支持体106の下端には砂投入シュート107が連結されており、該砂投入シュート107の下端には砂試験手段としての砂特性自動計測装置108が連結されている。なお前記外筒体101の砂排出口101dと該砂特性自動計測装置108は前記砂投入シュート107を介して連通されている。
【0056】
また前記砂投入シュート107には開閉式ゲート112が取り付けられている。図11に示すように、該開閉式ゲート112は、ゲート板112aと、該ゲート板112aを水平状態又は垂直状態にさせる回動シリンダ112bと、該ゲート板112aと回動シリンダ112bを連結する連結部材112cと、で構成されている。なお、該ゲート板112aは前記砂投入シュート107の内部に配置されており、該回動シリンダ112bは前記砂投入シュート107の外部に配置されている。
【0057】
また前記砂投入シュート107における水平状態の前記ゲート板112aの上方には、該ゲート板112a上に溜められた鋳物砂Sの温度を測定する砂温測定手段としての熱電対113が取り付けられている。また前記砂特性自動計測装置108の内部には鋳物砂検知手段としての光電センサ108a(図8参照)が付属されている。
【0058】
このように構成されたサンプリング鋳物砂供給装置120の作動について、すなわち、サンプリング鋳物砂供給装置120を用いたサンプリング鋳物砂の供給方法について説明する。まず、開閉式ゲート112を開いた状態で、前記ベルトコンベヤ104の作動中、即ち、鋳物砂Sの搬送中に前記モータ105を正作動させると、スクリュー103が図10の矢印Y1の方向に回転する。そうすると、該スクリュー103により外筒体101の砂供給口101cから鋳物砂Sが搬送される。そして、該搬送された鋳物砂Sは、外筒体101におけるケーシング部101b内で、スクリュー103とともに回転する砂ほぐし部材109に衝突してほぐされる。その後、該鋳物砂Sは外筒体101の砂排出口101dに配置された衝突部材111に衝突し、ここでさらにほぐされて該砂排出口101dから排出される。そして、該排出された鋳物砂Sは砂投入シュート107を通って前記砂特性自動計測装置108内に供給される(第1供給工程)。
【0059】
そして、該第1供給工程中において、前記砂特性自動計測装置108内に所定量の鋳物砂Sが供給されたことを前記光電センサ108aのON信号により検知したら、開閉式ゲート112を閉じてゲート板112aを水平状態にし、該ゲート板112a上に鋳物砂Sを溜める。なお前記モータ105の正作動は前記光電センサ108aのON信号の検知から所定時間後に停止される。該所定時間はタイマーで計測する。
【0060】
次に、該ゲート板112a上に溜められた鋳物砂Sの温度を前記熱電対113で測定する。また該鋳物砂Sの温度測定工程と並行して、前記砂特性自動計測装置108では鋳物砂SのCB値(コンパクタビリティ値)、水分が計測される。
【0061】
そして、該鋳物砂SのCB値(コンパクタビリティ値)、水分が計測されたら、前記前記砂特性自動計測装置108内の鋳物砂Sは捨てられて図示されない鋳物砂回収手段に回収される。その後、開閉式ゲート112を開いてゲート板112aを垂直状態にし、該ゲート板112a上に溜められた鋳物砂Sを前記砂特性自動計測装置108へ供給する(第2供給工程)。なお、ここで前記砂特性自動計測装置108内に該鋳物砂Sが供給されたことの確認は、前記光電センサ108aのON信号の検知により行う。
【0062】
次に、前記砂特性自動計測装置108では鋳物砂Sの通気度、圧縮強度が計測される。そして、該鋳物砂Sの通気度、圧縮強度が計測されたら、前記砂特性自動計測装置108内の鋳物砂Sは捨てられて前記鋳物砂回収手段に回収される。
【0063】
なお上述したように、前記モータ105の正作動は前記光電センサ108aのON信号の検知から所定時間後に停止されるが、該停止後、前記モータ105を逆作動させる。前記モータ105を逆作動させると、スクリュー103が図10の矢印Y2の方向に回転する。そうすると、該スクリュー103及び内筒体102内に残留する鋳物砂Sは外筒体101の砂供給口101cの方へ搬送され、該砂供給口101cから排出されて前記ベルトコンベヤ104上に戻される。なお、本実施形態では鋳物砂Sとして生型砂が用いられている。
【0064】
なお本実施形態における前記ベルトコンベヤ104は、鋳型造型機114(図12参照)の上方に配設されると共に該鋳型造型機114に鋳物砂Sを供給するベルトコンベヤであり、ここで、この点について詳述する。図12は、図8の右側面図であり、前記ベルトコンベヤ104と、その上流および下流の装置を示す図である。図12に示すように、前記ベルトコンベヤ104は鋳型造型機114の上方に配設され、架台115上に組み付けられている。そして、前記ベルトコンベヤ104の上部には鋳物砂S(鋳物砂混練機による砂混練を済ませた混練砂)を貯蔵する砂貯蔵装置116が配設され、該砂貯蔵装置116の支柱116aは架台115上に組み付けられている。また前記ベルトコンベヤ104で搬送される鋳物砂Sは架台115に支持されたシュート117を介して鋳型造型機114に供給されるようになっている。
【0065】
本実施形態における鋳型造型機114は、上枠・下枠(図示せず)交互造型の枠付造型機であり、1枠造型するごとに前記ベルトコンベヤ104を作動させて1枠分の鋳物砂Sを該鋳型造型機114に供給する。本実施形態では下枠用の鋳物砂Sの前記ベルトコンベヤ104での搬送中に毎回、上述のようにして前記ベルトコンベヤ104から該鋳物砂Sをサンプリング取り出しして前記砂特性自動計測装置108へ供給する。
【0066】
なお従来、上述のような所定のタイミングで定期的に鋳物砂Sを搬送するベルトコンベヤ104(鋳型造型機114の上方に配設されると共に該鋳型造型機114に鋳物砂Sを供給するベルトコンベヤ104)の該搬送中に、該ベルトコンベヤ104から該鋳物砂Sをサンプリング取り出しすることは困難なことであったが、本発明は、このような場合にも適用できるという利点がある。
【0067】
なお本発明では、造型・砂処理ライン設備の稼動中に、搬送されてくる鋳物砂Sからサンプリング用鋳物砂を機械装置で取り出して前記砂特性自動計測装置108へ供給することができるため、作業者の手作業を無くすことができる。
【0068】
また本発明では、前記砂特性自動計測装置108へ鋳物砂Sを供給する工程を2回に分け、砂投入シュート107に取り付けられた開閉式ゲート112におけるゲート板112a上に該鋳物砂Sの一部を一時的に溜め、該ゲート板112a上に溜められた鋳物砂Sの温度を前記熱電対113で測定するようにしている。これにより、鋳物砂Sの温度測定工程と並行して、前記砂特性自動計測装置108で鋳物砂Sの各種計測(上述の実施形態ではCB値、水分の計測)を行うことができるため、サイクルタイムを短縮することができる。これにより、造型・砂処理ライン設備のサイクルタイムの遅延を防止することができる。
【0069】
なお本実施形態では、鋳物砂搬送手段としてベルトコンベヤ104を示したが、これに限定されるものではなく、鋳物砂搬送手段としては、このほかに例えば、鋳物砂混練機が挙げられる。
【0070】
また本実施形態では、下枠用の鋳物砂Sの前記ベルトコンベヤ104での搬送中に毎回、前記ベルトコンベヤ104から該鋳物砂Sをサンプリング取り出しして前記砂特性自動計測装置108へ供給するようにしたが、これに限定されるものではなく、上枠用の鋳物砂Sの前記ベルトコンベヤ104での搬送中に毎回、前記ベルトコンベヤ104から該鋳物砂Sをサンプリング取り出しして前記砂特性自動計測装置108へ供給するようにしてもよい。また下枠用、上枠用の鋳物砂Sを問わず、前記ベルトコンベヤ104での搬送中に毎回行うことに限定されるものではなく、数回の搬送に1回の割合で行うようにしてもよい。
【0071】
さらに本実施形態では、第2供給工程で前記砂特性自動計測装置108へ鋳物砂Sを供給した後、前記砂特性自動計測装置108で該鋳物砂Sの通気度、圧縮強度を計測するようにしているが、これに限定されるものではなく、該鋳物砂Sの通気度、圧縮強度の計測は省略するようにしてもよい。この場合は、前記鋳物砂SのCB値、水分が計測された後、開閉式ゲート112を開いてゲート板112aを垂直状態にし、該ゲート板112a上に溜められた鋳物砂Sを前記砂特性自動計測装置108へ供給する(第2供給工程)。その後、前記砂特性自動計測装置108内の鋳物砂Sを一度に捨てて前記鋳物砂回収手段で回収する。
【0072】
以上のように、本発明を適用したサンプリング鋳物砂供給装置120は、一端に砂供給口101cを有すると共に他端に砂排出口101dを有する砂切り出し装置121と、一端が砂切り出し装置121の砂排出口101dに連通すると共に他端が砂特性自動計測装置108に連通する砂投入シュート107と、該砂投入シュート107に取り付けられた開閉式ゲート112と、砂投入シュート107に取り付けられると共に開閉式ゲート112におけるゲート板112a上に溜められた鋳物砂の温度を測定する熱伝対113とを具備する点に特徴を有するものであり、このような構成を備えることにより、造型・砂処理ライン設備の稼動中に、搬送されてくる鋳物砂からサンプリング用鋳物砂を機械装置で取り出して砂試験器へ供給することができると共に前記造型・砂処理ライン設備のサイクルタイムの遅延を防止することができる。
【0073】
また、このサンプリング鋳物砂供給装置120は、開閉式ゲート112を閉じたときに、該開閉式ゲート112におけるゲート板112a上に鋳物砂を溜めることにより、熱伝対113でゲート板112a上に溜められた鋳物砂の温度を測定し、開閉式ゲート112を開いたときに、砂切り出し装置121からの鋳物砂若しくはゲート板112a上に溜められた鋳物砂を砂特性自動計測装置108へ供給する点にも特徴を有するものであり、このような構成を備えることにより、造型・砂処理ライン設備のサイクルタイムの遅延を防止することができる。
【0074】
また、本発明を適用した砂切り出し装置121は、砂切り出し装置21と同様に、一端に砂供給口101cを有すると共に他端に砂排出口101dを有する外筒体101と、外筒体101の内面に固定される内筒体102と、内筒体102の内部を貫通し、且つ、一端が鋳物砂搬送手段としてのベルトコンベヤ104に挿入されると共に他端が駆動手段に連結された回転可能で中実なスクリュー103とを有する点に特徴を有するものであり、このような構成を備えることにより、スクリューの長さを長くすることができると共にサンプリングした鋳物砂のスクリューへの滞積をなくすことができる。
【0075】
また、この砂切り出し装置121は、砂切り出し装置21のスクリュー3と同様にスクリュー103におけるリード間に半円状溝部が連続して形成されている構成や、スクリュー103における最先の半円状溝部の半円断面積が、二段目以降の半円状溝部の半円断面積より小さい構成や、スクリュー103の先端部が先細り状のテーパ形状になっている構成にも特徴を有し、上述した砂切り出し装置21と同様の効果を発揮し得る。
【0076】
また、砂切り出し装置121は、内筒体102及びスクリュー103の材質が超高分子量ポリエチレンである構成にも特徴を有し、該内筒体102及びスクリュー103への砂付着を抑制することができるという効果があり、これにより、砂付着による問題点である、付着砂が分離されて搬送中の鋳物砂に混ざり砂性状が変化してしまうという不具合の発生を防止できる。
【0077】
本発明を適用したサンプリング用鋳物砂の供給方法は、上述したサンプリング用鋳物砂の供給装置120を用いて、鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段(砂特性自動計測装置108)へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給方法であって、開閉式ゲート112を開いた状態で砂切り出し装置121を正作動させることにより、鋳物砂搬送手段から鋳物砂をサンプリング取り出しして砂投入シュート107を介して砂試験手段へ供給する第1供給工程と、該第1供給工程中に開閉式ゲート112を閉じ、該開閉式ゲート112におけるゲート板112a上に鋳物砂を溜める工程と、ゲート板112a上に溜められた鋳物砂の温度を砂温測定手段(熱電対113)で測定する工程と、前記開閉式ゲート112を開き、ゲート板112a上に溜められた鋳物砂を砂試験手段へ供給する第2供給工程と、砂切り出し装置121を逆作動させることにより、該砂切り出し装置121の内部に残留している鋳物砂を鋳物砂搬送手段へ戻す工程とを有する点に特徴を有し、このような構成を備えることにより、造型・砂処理ライン設備の稼動中に、搬送されてくる鋳物砂からサンプリング用鋳物砂を機械装置で取り出して砂試験器へ供給することができると共に前記造型・砂処理ライン設備のサイクルタイムの遅延を防止することを実現できる。
以上のような砂切り出し装置121並びにサンプリング鋳物砂供給装置120及びこれを用いたサンプリング鋳物砂の供給方法は、サンプリング鋳物砂を砂試験手段へ適切に供給することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 外筒体
1c 砂供給口
1d 砂排出口
2 内筒体
3 スクリュー
3a リード
3b 半円状溝部
4 鋳物砂搬送手段
5 駆動手段
8 砂試験手段
9 砂ほぐし部材
11 衝突部材
12 鋳型造型機
101c 砂供給口
101d 砂排出口
104 鋳物砂搬送手段
107 砂投入シュート
108 砂試験手段
112 開閉式ゲート
112a ゲート板
113 砂温測定手段
114 鋳型造型機
121 砂切り出し手段
300 最先の半円状溝部
301 二段目以降の半円状溝部
302 最先の半円状溝部の半円断面積
303 二段目以降の半円状溝部の半円断面積
S 鋳物砂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給装置であって、
一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する砂切り出し装置と、
一端が前記砂切り出し装置の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段に連通する砂投入シュートと、
該砂投入シュートに取り付けられた開閉式ゲートと、
前記砂投入シュートに取り付けられると共に前記開閉式ゲートにおけるゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を測定する砂温測定手段と、
を具備し、
前記砂切り出し装置は、
一端に前記砂供給口が設けられると共に他端に前記砂排出口が設けられる外筒体と、
該外筒体の内面に固定される内筒体と、
該内筒体の内部を貫通し、且つ、一端が前記鋳物砂搬送手段に挿入されると共に他端が駆動手段に連結された回転可能で中実なスクリューとを有するサンプリング用鋳物砂の供給装置。
【請求項2】
鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給装置であって、
一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する砂切り出し装置と、
一端が前記砂切り出し装置の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段に連通する砂投入シュートと、
該砂投入シュートに取り付けられた開閉式ゲートと、
前記砂投入シュートに取り付けられると共に前記開閉式ゲートにおけるゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を測定する砂温測定手段と、
を具備し、
前記開閉式ゲートを閉じたときに、該開閉式ゲートにおけるゲート板上に鋳物砂を溜めることにより、前記砂温測定手段で前記ゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を測定し、
前記開閉式ゲートを開いたときに、前記砂切り出し装置からの鋳物砂若しくは前記ゲート板上に溜められた鋳物砂を前記砂試験手段へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給装置。
【請求項3】
前記鋳物砂搬送手段が、鋳型造型機の上方に配設されると共に該鋳型造型機に鋳物砂を供給するベルトコンベヤであることを特徴とする請求項2記載のサンプリング用鋳物砂の供給装置。
【請求項4】
鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして砂試験手段へ供給する砂切り出し装置であって、
一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する外筒体と、
該外筒体の内面に固定される内筒体と、
該内筒体の内部を貫通し、且つ、一端が前記鋳物砂搬送手段に挿入されると共に他端が駆動手段に連結された回転可能で中実なスクリューとを具備する砂切り出し装置。
【請求項5】
前記スクリューにおけるリード間に半円状溝部が連続して形成されていることを特徴とする請求項4記載の砂切り出し装置。
【請求項6】
前記スクリューにおける最先の前記半円状溝部の半円断面積が、二段目以降の前記半円状溝部の半円断面積より小さいことを特徴とする請求項5記載の砂切り出し装置。
【請求項7】
前記スクリューの先端部が先細り状のテーパ形状になっていることを特徴とする請求項6記載の砂切り出し装置。
【請求項8】
前記内筒体及びスクリューの材質が超高分子量ポリエチレンであることを特徴とする請求項4乃至請求項7の内いずれか1項に記載の砂切り出し装置。
【請求項9】
前記スクリューの他端に鋳物砂をほぐす砂ほぐし部材が固定されていることを特徴とする請求項8記載の砂切り出し装置。
【請求項10】
前記外筒体の砂排出口に、排出される鋳物砂と衝突する衝突部材が配置されていることを特徴とする請求項9記載の砂切り出し装置。
【請求項11】
前記鋳物砂搬送手段が、鋳型造型機の上方に配設されると共に該鋳型造型機に鋳物砂を供給するベルトコンベヤであることを特徴とする請求項10記載の砂切り出し装置。
【請求項12】
一端に砂供給口を有すると共に他端に砂排出口を有する砂切り出し装置と、
一端が前記砂切り出し装置の砂排出口に連通すると共に他端が砂試験手段に連通する砂投入シュートと、
該砂投入シュートに取り付けられた開閉式ゲートと、
前記砂投入シュートに取り付けられると共に前記開閉式ゲートにおけるゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を測定する砂温測定手段と、
を具備するサンプリング用鋳物砂の供給装置を用いて、鋳型造型に用いる鋳物砂を搬送する鋳物砂搬送手段から該鋳物砂をサンプリング取り出しして前記砂試験手段へ供給するサンプリング用鋳物砂の供給方法であって、
前記開閉式ゲートを開いた状態で前記砂切り出し装置を正作動させることにより、前記鋳物砂搬送手段から鋳物砂をサンプリング取り出しして前記砂投入シュートを介して前記砂試験手段へ供給する第1供給工程と、
該第1供給工程中に前記開閉式ゲートを閉じ、該開閉式ゲートにおけるゲート板上に鋳物砂を溜める工程と、
前記ゲート板上に溜められた鋳物砂の温度を前記砂温測定手段で測定する工程と、
前記開閉式ゲートを開き、前記ゲート板上に溜められた鋳物砂を前記砂試験手段へ供給する第2供給工程と、
前記砂切り出し装置を逆作動させることにより、該砂切り出し装置の内部に残留している鋳物砂を前記鋳物砂搬送手段へ戻す工程と、
を有することを特徴とするサンプリング用鋳物砂の供給方法。
【請求項13】
前記鋳物砂搬送手段が、鋳型造型機の上方に配設されると共に該鋳型造型機に鋳物砂を供給するベルトコンベヤであることを特徴とする請求項12記載のサンプリング用鋳物砂の供給方法。
【請求項14】
前記砂切り出し装置は、
一端に前記砂供給口が設けられると共に他端に前記砂排出口が設けられる外筒体と、
該外筒体の内面に固定される内筒体と、
該内筒体の内部を貫通し、且つ、一端が前記鋳物砂搬送手段に挿入されると共に他端が駆動手段に連結された回転可能で中実なスクリューとを有することを特徴とする請求項13記載のサンプリング用鋳物砂の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−115848(P2011−115848A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126905(P2010−126905)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)