説明

サンプルアンドホールド回路

【課題】製造ばらつきや、温度変化により、ローパスフィルタの特性ばらつきや特性変動が発生するという課題があった。また、低い周波数ノイズ除去で回路チップが大きくなるという課題があった。これら課題を解決するサンプルアンドホールド回路を提供する。
【解決手段】本発明のサンプルアンドホールド回路は、外部電気信号が入力されるための信号入力端子と、内部電気信号を出力するための信号出力端子と、外部電気信号に起因する電荷を蓄積するよう信号入力端子に接続された第1の電荷蓄積手段と、第1の電荷蓄積手段に接続され、電荷を第1の電荷蓄積手段との容量の比に応じて分配蓄積可能とする第2の電荷蓄積手段と、第1の電荷蓄積手段に電荷を蓄積することと、電荷の分配蓄積ならびにこれに起因する内部電気信号を信号出力端子に出力することとを切り替え制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ機能を併せ持つサンプルアンドホールド回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来例のサンプルアンドホールド回路である。信号入力端子201より入力された信号をサンプリングする際、スイッチ207に制御端子203より制御信号が加えられてスイッチ207は導通し、入力信号によりキャパシタ205は充電される。また制御信号によりスイッチ207を開状態とすると入力信号の電圧がキャパシタ205にホールドされ出力信号として信号出力端子より出力される。また入力信号には交流ノイズが重畳しており、そのままでは出力端子202に希望信号に交流ノイズが重畳して出力されるので、この交流のノイズを除去するために、前記スイッチ207とキャパシタ205の間に抵抗器210を加え、前記キャパシタ205と抵抗器210とによりローパスフィルタを構成する手法をとっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−307496
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したサンプルアンドホールド回路は、集積回路内に形成された場合、集積回路内に作りこまれた抵抗器210の製造工程のばらつきに起因する抵抗値のばらつきや、使用中の温度変化による抵抗値の変化で、ローパスフィルタの特性ばらつきや特性変動が発生するという課題があった。また、より低い周波数の交流ノイズを除去したいときには、構成する抵抗器210の抵抗値やキャパシタ205の容量値を大きくする必要があり、集積回路内に形成する場合には、より大きな素子面積が必要となるため、集積回路チップの大きさが大きくなるという課題があった。
【0005】
本発明は、上述課題に鑑みてなされ、その目的はサンプルアンドホールド回路に内蔵されるローパスフィルタ特性の製造方法に起因するばらつきや、温度変化に起因する変動を少なくし、かつ集積回路に集積化した際に集積回路チップサイズを小さくすることが可能な回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサンプルアンドホールド回路は、外部電気信号が入力されるための第1の信号入力端子と、内部電気信号を出力するための第1の信号出力端子と、前記外部電気信号に起因する電荷を蓄積するよう前記第1の信号入力端子に接続された第1の電荷蓄積手段と、前記第1の電荷蓄積手段に接続され、前記第1の電荷蓄積手段に蓄積された電荷を前記第1の電荷蓄積手段との電荷蓄積容量の比に応じて分配蓄積可能とする第2の電荷蓄積手段と、前記第1の電荷蓄積手段に電荷を蓄積するサンプリング状態とすることと、前記電荷の分配蓄積ならびに前記分配蓄積した電荷に起因する前記内部電気信号を前記第1の信号入力端子と隔絶して前記第1の信号出力端子に出力するホールド状態とすることとを切り替え制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
この構成とすることにより、本発明のサンプルアンドホールド回路は、製造工程のばらつきによりその特性(抵抗値)が変動したり、使用中の環境変化に起因した温度変動で特性(抵抗値)が変動する抵抗器を用いること無く、サンプルアンドホールド回路内にローパスフィルタを形成できる。また、このローパスフィルタは、回路内に作り込まれる素子(電荷蓄積手段)の大きさ(面積)に直結する絶対値ではなく、作り込まれる二つの電荷蓄積手段の容量比でカットオフ周波数が決まることから、フォトマスク精度で正確な容量比(カットオフ周波数)を作りこむことが可能であり、また作りこまれる素子を極小とすることが可能となる。さらに、使用中や環境変化に起因する温度変動があったとしても、電荷蓄積手段の容量比が変動しないことから、所定のカットオフ周波数が安定して得られる。
【0008】
この結果、本発明のサンプルアンドホールド回路は、特性ばらつきや特性変動が少なく、かつ小型にできるという効果を奏する。
【0009】
また、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記第1の信号入力端子と前記第1の信号出力端子との間に設けられ、前記第1の信号入力端子に入力端子を接続し、前記第1の信号出力端子に出力端子を接続した第1のスイッチング手段と、前記第1の電荷蓄積手段と前記第2の電荷蓄積手段との間に設けられた第2のスイッチング手段とを具備するとともに、前記第1の電荷蓄積手段に設けられた二つの端子のうちの一方の端子が前記第1のスイッチング手段の前記出力端子に接続されており、前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段のスイッチング状態を閉状態にするとともに前記第2のスイッチング手段のスイッチング状態を開状態にして前記サンプリング状態とすることと、前記第1のスイッチング手段のスイッチング状態を開状態にするとともに前記第2のスイッチング手段のスイッチング状態を閉状態にして前記ホールド状態とすることとを切り替える前記切り替え制御を行うものであることが好ましい。
【0010】
この構成とすることにより、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記効果を確実に奏するとともに、第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段とを適宜配置してそれらのスイッチング状態を適宜制御するため、サンプリング状態とホールド状態との容易で確実な切り替え制御が可能となる。
【0011】
また、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記第2の電荷蓄積手段に設けられた二つの端子のうちの一方の端子を介して前記第2の電荷蓄積手段と前記第2のスイッチング手段とが直列接続されており、該直列接続された前記第2の電荷蓄積手段と前記第2のスイッチング手段とが、前記第1の電荷蓄積手段と並列接続されていることが好ましい。
【0012】
この構成とすることにより、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記同様にサンプルアンドホールド回路内にローパスフィルタが形成でき、かつそのローパスフィルタは小型でかつ特性ばらつき、特性変動を少なくできる。
【0013】
また、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記第2のスイッチング手段は、前記第1のスイッチング手段の前記出力端子と前記第1の信号出力端子との間を断続するように設けられ、前記第2の電荷蓄積手段は、具備された二つの端子のうちの一方の端子が前記第1の信号出力端子に接続されている構成とすることができる。
【0014】
この構成とすることにより、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記同様の効果を確実に奏するとともに、サンプリング時に混入するノイズの信号出力端子への流出を低減する効果を奏する。
【0015】
また、本発明のサンプルアンドホールド回路は、第2の信号入力端子と、該第2の信号入力端子に接続した入力端子を有する第3のスイッチング手段と、前記第3のスイッチング手段に設けられた出力端子に接続された第2の信号出力端子とを有し、前記第1の電荷蓄積手段に設けられた二つの端子のうちの他方の端子が前記第3のスイッチング手段に設けられた前記出力端子に接続されており、前記第2の電荷蓄積手段に設けられた二つの端子のうちの他方の端子と前記第2の信号出力端子との間に第4のスイッチング手段が設けられており、前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段と前記第3のスイッチング手段のスイッチング状態とを同じ状態となるように制御し、前記第2のスイッチング手段と前記第4のスイッチング手段のスイッチング状態とを同じ状態となるように制御することが好ましい。
【0016】
この構成とすることにより、本発明のサンプルアンドホールド回路は、サンプルアンドホールド回路内にローパスフィルタが形成でき、かつそのローパスフィルタは小型でかつ特性ばらつき、特性変動を少なくできるとともに、サンプリング時に二つの信号入力端子に混入する同相ノイズを効果的に除去することが可能となる。
【0017】
また、本発明のサンプルアンドホールド回路は、第2の信号入力端子と、該第2の信号入力端子に接続した入力端子を有する第3のスイッチング手段と、該第3のスイッチング手段に設けられた出力端子に接続した入力端子を有する第4のスイッチング手段と、該第4のスイッチング手段に設けられた出力端子に接続された第2の信号出力端子とを有し、前記第1の電荷蓄積手段の他方の端子が前記第3のスイッチング手段に設けられた前記出力端子に接続され、前記第2の電荷蓄積手段の他方の端子が前記第4のスイッチング手段に設けられた前記出力端子に接続されており、前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段と前記第3のスイッチング手段のスイッチング状態を同じ状態となるように制御し、前記第2のスイッチング手段と前記第4のスイッチング手段のスイッチング状態を同じ状態となるように制御することが好ましい。
【0018】
この構成とすることにより、本発明のサンプルアンドホールド回路は、サンプルアンドホールド回路内にローパスフィルタが形成でき、かつそのローパスフィルタは小型でかつ特性ばらつき、特性変動を少なくできるうえ、サンプリング時に二つの信号入力端子に混入する同相ノイズを効果的に除去することが可能となるとともに、除去しきれない異相ノイズの信号出力端子への流出を低減する効果を奏する。
【0019】
また、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記第1の電荷蓄積手段および前記第2の電荷蓄積手段の少なくとも一方は、容量調節スイッチング手段を介して直列または並列に接続された容量調節電荷蓄積手段を有することが好ましい。
【0020】
この構成とすることにより、本発明のサンプルアンドホールド回路は、サンプルアンドホールド回路内に形成される二つの電荷蓄積手段の容量比を使用目的、状況に応じて適宜選択、設定することができ、ローパスフィルタのカットオフ周波数を使用目的、状況に応じて所望の値に適宜選択、設定することが可能となる。
【0021】
また、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段のスイッチング状態と前記第2のスイッチング手段のスイッチング状態とを同時に閉状態とならないようにする制御手段であることが好ましい。
【0022】
この構成とすることにより、本発明のサンプルアンドホールド回路は、第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段とのスイッチング状態を適切に制御できるため、容易で確実な切り替え制御が可能となる。
【0023】
また、本発明のサンプルアンドホールド回路は、前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段及び前記第3のスイッチング手段のスイッチング状態を同じ状態とするようそれぞれ制御し、前記第2のスイッチング手段及び前記第4のスイッチング手段のスイッチング状態を同じ状態にするようそれぞれ制御するとともに、同じ状態に制御される前記第1のスイッチング手段及び前記第3のスイッチング手段のスイッチング状態と、同じ状態に制御される前記第2のスイッチング手段及び前記第4のスイッチング手段のスイッチング状態とを、同時に閉状態とならないようにする制御手段であることが好ましい。
【0024】
この構成とすることにより、タンデム型の本発明のサンプルアンドホールド回路は、各スイッチング手段のスイッチング状態を適切に制御できるため、容易で効果的な切り替え制御が可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のサンプルアンドホールド回路は、サンプルアンドホールド回路内に安定したカットオフ周波数を有するローパスフィルタを形成できる。また、このローパスフィルタは、回路内に作り込まれる素子(電荷蓄積手段)の大きさ(面積)に直結する絶対値ではなく、作り込まれる電荷蓄積手段の容量比でカットオフ周波数が決まることから、使用するフォトマスク精度で正確な容量比(カットオフ周波数)を作り込むことが可能であり、また作り込まれる素子を小型とすることが可能となる。さらに、使用中や環境変化に起因する温度変動があったとしても、電荷蓄積手段の容量比が変動しにくいことから、所定のカットオフ周波数が安定して得られる。
【0026】
この結果、本発明のサンプルアンドホールド回路は、特性ばらつきや特性変動が少なく、かつ小型にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるスイッチング手段の制御信号と外部入力信号、および内部出力信号の状態を表す制御タイミング図である。
【図3】本発明の本発明の第2の実施の形態を示す回路図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるSスイッチング手段の制御信号と外部入力信号、および内部出力信号の状態を表す制御タイミング図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す回路図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態におけるスイッチング手段の制御信号と外部入力信号、および内部出力信号の状態を表す制御タイミング図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す回路図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態におけるスイッチング手段の制御信号と外部入力信号、および内部出力信号の状態を表す制御タイミング図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態を示す回路図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態におけるスイッチング手段の制御信号と外部入力信号、および内部出力信号の状態を表す制御タイミング図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態を示す回路図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態におけるスイッチング手段の制御信号と内部入力信号、および内部出力信号の状態を表す制御タイミング図である。
【図13】従来のサンプルアンドホールド回路の例を示す回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態によるサンプルアンドホールド回路を示す回路図である。図1において第1の信号入力端子1に第1のスイッチング手段(以下SWと呼ぶ)7の入力端子71が接続され、SW7の出力端子72には第1の信号出力端子2が接続されるとともに、一端51がSW7の出力端子72に接続され他端52を接地した第1の電荷蓄積手段である第1のキャパシタ5が接続される。SW7の出力端子72にはさらに、第1のキャパシタ5と並列に、他端62を接地した第2の電荷蓄積手段である第2のキャパシタ6の一端61が第2のスイッチング手段であるSW8を経由して接続される。SW7およびSW8の開閉はそれぞれ第1の制御端子3および第2の制御端子4を経由し制御手段30である制御信号発生回路からの制御信号により制御される。
【0030】
図2に示した制御タイミング図を用いて動作を説明する。図2において、Aが第1の信号入力端子1に入力する外部電気信号の信号電圧の時間推移、Bが第1の信号出力端子2から出力される内部電気信号の信号電圧の時間推移、CおよびDはそれぞれSW7およびSW8の接断を制御するための制御電圧の時間推移、言い換えれば第1の制御端子3および第2の制御端子4の電圧の時間推移を表す。CおよびDに示すようにSW7およびSW8の制御信号はある時間連続する電圧レベルハイ(H)とある時間連続する電圧レベルロー(L)を組み合わせの周期的な繰り返しにより構成される。説明を簡単にするため、初期は第1のキャパシタ5および第2のキャパシタ6に蓄えられている電荷は0であるとする。SW7およびSW8はそれぞれ第1の制御端子3および第2の制御端子4の電圧レベルがハイ(H)のとき閉じ、ロー(L)のとき開くものとする。また第1の制御端子3がHとなり第2の制御端子4がLである状態を「サンプリング状態」、第1の制御端子3がL、第2の制御端子4がHである状態を「ホールド状態」と呼ぶことにする。第1の制御端子3および第2の制御端子4は制御タイミング図に従えば同時にHになることはなく、この結果SW7およびSW8が同時に閉じることはない。
【0031】
初期t0=0でホールド状態であるとし外部電気信号の信号電圧は0であるとする。次に第1の信号入力端子1に入力される外部電気信号の信号電圧が時刻t1でステップ状にある電圧Vinに上昇したとする。その後、第2の制御端子4の電圧がLとなりSW8が開状態、そして時刻t2では第1の制御端子3の電圧がHとなってサンプリング状態となる。このとき第1のキャパシタ5が充電され、第1の信号出力端子2の電圧が上昇し、ほぼ第1の信号入力端子1の電圧Vinに到達する。続いて第1の制御端子3の電圧がLとなりSW7が開状態でサンプリング状態ではなくなった後、t3で第2の制御端子4の電圧がHとなってSW8が閉状態となりホールド状態となる。ホールド状態直前までの第2のキャパシタ6の電荷は最初の仮定のとおり0であるから、ホールド状態では第1のキャパシタ5および第2のキャパシタ6にかかる電圧が同じになるように第1のキャパシタ5に蓄えられた電荷が第2のキャパシタ6に移動し、第1の信号出力端子2の電圧が下降してある電圧に落ち着く。この電圧をV1とする。するとVin>V1である。またこの電圧V1は第1のキャパシタ5および第2のキャパシタ6にかかる電圧に等しいことはいうまでもない。
【0032】
続いて第2のSW8が開きホールド状態が解除されるが、第2のキャパシタ6には第2のSW8が閉じているときと同じ電荷量が保持されるため第2のキャパシタ6の出力電圧V1もそのまま保持される。次にt4で再びサンプリング状態となり第1のSW7が閉じ、第1のキャパシタ5が充電され第1の信号出力端子2の電圧が上昇し、ほぼ入力1の電圧Vinに到達する。続いて第1の制御端子3の電圧がLとなり第1のSW7が開きサンプリング状態でなくなった後、t5で第2のSW8が閉じホールド状態となる。
【0033】
ホールド状態直前までの第2のキャパシタ6の電荷はt3からt4で保持した電荷でありその時の電圧V1が保持されている。t5で第2のSW8が閉じてホールド状態になると、Vin>V1であるので第1のキャパシタ5に蓄えられた電荷が第2のキャパシタ6に移動し、第1の信号出力端子2の電圧が下降しある電圧V2に落ち着くが前ほどの電圧V1までは下がらない。すなわちVin>V2>V1である。
【0034】
t6、t7でも同様にサンプリング状態、ホールド状態となり第1の信号出力端子2が下降するが前ほどの電圧まで下がらない。以下このようにサンプリング状態とホールド状態とを繰り返し第1の信号出力端子2の電圧は入力1の電圧Vinに限りなく近づく。以上が第1の信号入力端子1に入力する外部電気信号の信号電圧がステップ状に変化した場合の動作説明である。
【0035】
第1の信号入力端子1に入力する外部電気信号の信号電圧がステップ状ではなく時々刻々と変化した場合も同様の動作となる。n番目のサンプリング状態で第1の信号入力端子1に入力する外部電気信号の信号電圧に応じた電荷を第1のキャパシタ5に蓄え、これにより発生する電圧とそれ以前のプロセスで第2のキャパシタ6に蓄えられた電荷で発生する電圧とを次に続くホールド状態で比較し、電圧が同じになるように第1のキャパシタ5から第2のキャパシタ6への電荷の移動が行われる。第1のキャパシタ5の電圧が第2のキャパシタ6の電圧より高いときは正の電荷を、その逆では負の電荷を引き抜くことになる。特性を簡単に求めるため、数式で説明する。
【0036】
第1のキャパシタ5の静電容量値をC1、第2のキャパシタ6の静電容量値をC2とする。n番目のサンプリング状態の「時刻」を番号でnと表記し、その後に続くホールド状態の「時刻」を番号でnとあらわすこととする。これに従うと、「1回前」のホールド状態はn−1という「時刻番号」になる。同様に、そのときの電荷量Qや入力1の電圧Vもかっこ[]を付加しその中の添え字として表記する。
【0037】
「n番目のサンプリング状態」時、第1の信号入力端子1に入力する外部電気信号の信号電圧をVin[n]とし、第1のキャパシタ5に充電される電荷Q1[n]、第1のキャパシタ5の電圧をV1[n]とすれば、下記(数1)の関係となる。
【0038】
【数1】

このとき、第2のキャパシタ6の電圧は、ひとつ前の「時刻番号」でホールド状態なので、この電圧をV2[n−1]とし、その時この第2のキャパシタに蓄えられている電荷をQ2[n−1]とすると、両者には下記(数2)の関係がある。
【0039】
【数2】

第1のキャパシタ5の電荷と第2のキャパシタ6の電荷の合計(全電荷)をQとすると、(数1)、(数2)より、下記(数3)の関係がある。
【0040】
【数3】

続いて、「時刻番号」nのホールド状態に移行するが、前記説明のとおり、SW8が閉じるため、第1のキャパシタ5と第2のキャパシタ6が並列接続され、第1のキャパシタと第2のキャパシタ6の両端に加わる電圧が等しくなるように、第1のキャパシタ5と第2のキャパシタ6間で電荷移動が起き、ある電圧に落ち着く。このとき、すなわち「時刻番号」nの「並列接続された」第1のキャパシタ5と第2のキャパシタ6の合成容量値をC、電圧をV2[n](第1の信号出力端子2と同値)とすると、(数4)の関係がある。
【0041】
【数4】

電荷保存の法則から、(数3)の値と(数4)の値とが等しいことから、「時刻番号」nの第1の信号出力端子2の電圧V2[n]は、(数5)と表すことがでる。
【0042】
【数5】

これは差分式であるから、見やすくするために、
V2[n]=y[n]
V2[n−1]=y[n−1]
V1[n]=x[n]
と置き換え、整理すると、(数6)となる。
【0043】
【数6】

ここで aは下記(数7)の関係を満たす。
【0044】
【数7】

また、(数6)のz変換は(数8)であり、その伝達関数は(数9)となる。
ここで、XおよびYはそれぞれxおよびyのz変換を示す。
【0045】
【数8】

【0046】
【数9】

(数7)よりC1とC2との「比」をどのように変えても、その比は0<a<1が取りうる値であり、H(z)は安定であり、また伝達関数(数9)からこの回路がローパスフィルタの特性を示すことがわかる。
【0047】
またこのローパスフィルタのカットオフ周波数をf、サンプル繰り返し周期をT(図2におけるt4−t2)とすれば伝達関数(数9)のZにcos(ωT)+jsin(ωT)を代入し、(数10)の関係式から、(数11)が得られ、明らかにaの値を変えることによってfが可変できることが分かる。
【0048】
【数10】

【0049】
【数11】

また(数11)からサンプル繰返し周期Tを変えてもfを可変できることがわかる。さらに付け加えれば、サンプル繰返し周期Tを時々刻々変化させても良くその場合は(数11)に応じてfが時々刻々変化することになる。通常一定周期Tでサンプリングを行うと1/Tの周波数の整数倍の高調波が発生し、より高い周波数のノイズがダウンコンバートされて希望信号に重畳される。Tが常に一定であればこのノイズの重畳も一様でありノイズパワーが局在して妨害となりやすいが、Tを刻一刻と変化させることによりノイズのダウンコンバート周波数も刻一刻と変化し、結果としてノイズパワーの分散を行うことが出来る。このようにして雑音耐性向上を図ることができる。
【0050】
通常、IC等の集積回路プロセスでは、容量値の「絶対値」のばらつきを抑えることは非常に困難だが、容量値の「比」は非常に精度よく実現でき、なおかつ、抵抗を使用しない本発明の第1の実施の形態の構成にすることにより、集積回路プロセスでは最もばらつきが少ないフィルタ機能付きサンプルアンドホールド回路を実現できる。またこのローパスフィルタのカットオフ周波数を下げて使いたいときに、従来の例では作り込む抵抗やキャパシタの抵抗値や容量値の値を大きくしなければならない。これに対し本発明によれば、カットオフ周波数が容量値の比で決定できることから、容量値を大きくせずにカットオフ周波数を下げることができ、フィルタ機能付きサンプルアンドホールド回路をIC内に組み込む場合チップサイズを小さく抑えることが可能となる。
【0051】
[第2の実施の形態]
図3は本発明の第2の実施の形態を示す回路図である。図3において1が信号入力端子であり、SW7の入力端子71が接続され、SW7の出力端子72には、他方の端子52を接地された第1のキャパシタ5の一方の端子51が接続される。SW7の出力端子72にはさらに、SW8の入力端子81に接続され、SW8の出力端子82は第1の信号出力端子2および他方の端子62を接地された第2のキャパシタ6の一方の端子61と接続される。SW7およびSW8の開閉は第1の制御端子3および第2の制御端子4を経由し制御手段30である制御信号発生回路からのデータにより制御される。図4は本第2の実施の形態構成時の動作を説明する制御タイミング図である。A、B、C、およびDは第1の実施の形態と同様である。回路構成が異なること、図3の第1の信号出力端子2のサンプリング状態、ホールド状態直前・直後の波形が異なることを除けば、第1の実施の形態とまったく同様に説明できる。図3のB(出力信号電圧)の時間推移によれば、第1の実施の形態よりもさらにノイズレベルを低く抑えた内部電気信号出力が得られる。
【0052】
[第3の実施の形態]
図5は、本発明の第1の実施の形態に示したフィルタ機能付きサンプルアンドホールド回路を平衡回路に変形した本発明の第3の実施の形態を示す回路図である。2つの信号入力端子の一方の第1の信号入力端子1は第1の実施の形態の回路の信号入力端子と同様であり、他方の信号入力端子である第2の信号入力端子21には第3のスイッチング手段であるSW17の入力端子171が接続され、SW17の出力端子172には第2の信号出力端子22が接続されるとともに、第4のスイッチング手段であるSW18の入力端子181が接続される。また第1のキャパシタ5はSW7の出力端子72とSW17の出力端子172との間に接続され、第2のキャパシタ6はSW8の出力端子82と、SW18の出力端子182との間に接続されている。SW7とSW17の開閉を制御する制御端子は結線されて第1の制御端子3となり、SW8とSW18の開閉を制御する制御端子は結線されて1つの第2の制御端子4となり制御手段30である制御信号発生回路からの制御信号により制御される。
【0053】
図6は図5に示したフィルタ機能付きサンプルアンドホールド回路の制御タイミング図である。図6において、Aは第1の信号入力端子1に入力する外部電気信号の信号電圧の時間推移、A2は第2の信号入力端子21に入る信号電圧の時間推移、Bは第1の信号出力端子2から出力される内部電気信号の信号電圧の時間推移、B2は第2の信号出力端子22における出力信号電圧の時間推移、CはSW7およびSW17の開閉を制御する制御電圧の時間推移、DはSW8およびSW18の開閉を制御する制御電圧の時間推移をあらわす。CおよびDに示すようにSW7およびSW8の制御信号はある時間連続する電圧レベルハイ(H)とある時間連続する電圧レベルロー(L)を組み合わせの周期的な繰り返しにより構成されることは前記第1の実施の形態と同じである。
以上に述べた構成とSWの開閉制御により第1の実施の形態を平衡回路化したものが得られる。
【0054】
[第4の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態に示したフィルタ機能付きサンプルアンドホールド回路を平衡回路に変形した第4の実施の形態を示す回路図である。二つの信号入力端子の一方である第1の信号入力端子1は、第2の実施の形態の回路の第1の信号入力端子と同様であり、他方である第2の信号入力端子21には第3のスイッチング手段であるSW17の入力端子171が接続され、SW17の出力端子172には第4のスイッチング手段であるSW18の入力端子181が接続され、さらにSW18の出力端子182には第2の信号出力端子22が接続されている。
【0055】
また第1のキャパシタ5がSW7の出力端子72とSW17の出力端子172に接続され、第2のキャパシタ6は、第1の信号出力2と第2の信号出力端子22との間に接続されている。またSW7とSW17の開閉を制御する制御端子とは結線され第1の制御端子3となり、SW8およびSW18の開閉を制御する制御端子とは結線され第2の制御端子4となり、それぞれ制御手段30である制御信号発生回路による制御信号により開閉を制御される。
【0056】
図8は、図7に示したフィルタ機能付きサンプルアンドホールド回路の制御タイミング図である。図8におけるA、A2、B、B2、C、およびDの意味は、前述第3の実施の形態で説明したA、A2、B、B2、C、およびDの意味と同様である。またC,Dに示すようにSW7、SW8の制御信号はある時間連続する電圧レベルハイ(H)とある時間連続する電圧レベルロー(L)を組み合わせの周期的な繰り返しにより構成されることは、前記第1の実施の形態と同じである。
このような構成とスイッチング制御により、第4の実施の形態では第2の実施の形態を平衡回路化したものが得られる。
【0057】
[第5の実施の形態]
図9は、本発明の第5の実施の形態を示す回路図である。入力される外部電気信号にはノイズ成分が含まれることがあり、ノイズ周波数分布は直流成分から高周波帯まで広域に分布するが、本来の外部電気信号もある範囲に周波数が分布しており、条件によってはローパスフィルタのカットオフ周波数を調整する必要が生じる。その対策にフィルタを構成するキャパシタの容量値を切り替えてカットオフ周波数を切り替える手法がとられる。
【0058】
第5の実施の形態は、図9に示すように、第1の実施の形態の第1のキャパシタ5に並列に第3のキャパシタ13を設け、第1のキャパシタ5と第3のキャパシタ13の間にSW11を設け、さらに第3のキャパシタ13と並列に第4のキャパシタ14を設け、第3のキャパシタ13と第4のキャパシタ14の間にSW12を設けている。SW11およびSW12の開閉により、第1のキャパシタ5との合成容量が適宜形成される。(数7)よりC1を増大することになり、(数9)のaが変化するため、フィルタのカットオフ周波数を可変できる。このように追加した第3のキャパシタ13および14により可変されるカットオフ周波数は容量値の比で決まることから、製造プロセスのバラつきに起因するキャパシタ容量値の絶対値のばらつきによる影響が抑えられる。本実施の形態では第1のキャパシタ5と並列に第3のキャパシタ13および14を付加しSW11およびSW12にて切り替えているが、キャパシタの合成容量値の変更は付加するキャパシタを第1のキャパシタ5と直列に入れて切り替えて行っても良い。
【0059】
図10にSWの制御タイミング図を示す。A,B,C,Dは前記第1の実施の形態で述べた内容と同じである。Eは新たに追加されたSW11の制御信号の推移、言い換えれば制御端子15の電圧推移をあらわす。この制御は、通常サンプルとホールドの繰り返しが行われる前の初期段階であるtsにおいて行われ、合成容量を切り替えるが、使用環境の変化で必要に応じE2のようにサンプルとホールドの繰り返しの途中のtxのタイミングで切り替えても良い。
SW12も同様に適宜開閉制御され、第4のキャパシタ14を適宜接続しても良い。
【0060】
[第6の実施の形態]
図11は、本発明の第6の実施の形態を示す回路図である。この図のように、第2のキャパシタ6に並列に第3のキャパシタ13を接続して第2のキャパシタ6と第3のキャパシタ13の間にSW11を設け、さらに第3のキャパシタ13に並列に第4のキャパシタ14を接続し、第3のキャパシタ13と第4のキャパシタ14の間にSW12を設けている。SW11、およびSW12は、それぞれ制御手段30である制御信号発生回路からの制御信号により開閉制御され、適宜第2のキャパシタ6との合成容量が形成される。合成容量が形成されると(数7)より、C2が増大したことになり、(数9)のaが変化するため、フィルタのカットオフ周波数を可変できる。
【0061】
このように追加したキャパシタにより可変されるカットオフ周波数は、容量の比により設定されるので、第5の実施の形態と同様にばらつきが抑えられる。この例では第1のキャパシタ5と並列に第3のキャパシタ13および14を付加しSW11およびSW12にて切り替えているが、キャパシタの合成容量値の変更は付加するキャパシタを第2のキャパシタ6と直列に入れて切り替えて行っても良い。
【0062】
図12にSWの制御タイミング図を示す。A、B、C、およびDは前記第1の実施の形態で述べた内容と同じである。Eは新たに追加されたSW11の制御信号の推移、言い換えれば制御端子15の電圧推移を表す。
この制御は、通常サンプルとホールドの繰り返しが行われる前の初期段階であるtsにおいて行われ、合成容量を切り替えるが、使用環境の変化で必要に応じE2のようにサンプルとホールドの繰り返しの途中のtxのタイミングで切り替えても良い。
SW12も同様に適宜開閉制御され、第4のキャパシタ14を適宜接続しても良い。
【0063】
本実施の形態により小さい面積のキャパシタを用いた特性ばらつきが少なく、そのカットオフ周波数を容量切り替え、SWのタイミングの切り替えで変更できるローパスフィルタを具備したサンプル、ホールド回路が実現できる。
【符号の説明】
【0064】
1 第1の信号入力端子
2 第1の信号出力端子
101 第2の信号入力端子
102 第2の信号出力端子
5 第1の電荷蓄積手段(第1のキャパシタ)
51 第1の電荷蓄積手段の一方の端子
52 第1の電荷蓄積手段の他方の端子
6 第2の電荷蓄積手段(第2のキャパシタ)
61 第2の電荷蓄積手段の一方の端子
62 第2の電荷蓄積手段の他方の端子
30 制御手段(制御信号発生回路)
7 第1のスイッチング手段(第1のSW)
71 第1のスイッチング手段の入力端子
72 第1のスイッチング手段の出力端子
8 第2のスイッチング手段(第2のSW)
107 第3のスイッチング手段(第3のSW)
171 第3のスイッチング手段の入力端子
172 第3のスイッチング手段の出力端子
108 第4のスイッチング手段(第4のSW)
181 第4のスイッチング手段の入力端子
182 第4のスイッチング手段の出力端子
11、12 容量調節スイッチング手段(容量値切り替え用スイッチ)
13、14 容量調節電荷蓄積手段(容量値変更用キャパシタ)
A:外部信号入力端子の電圧
B:内部信号出力端子の電圧
C:SW7、SW17の開閉を制御する制御電圧(第1の制御端子3の電圧)
D:SW8、SW18の開閉を制御する制御電圧(第2の制御端子4の電圧)
E、E2:SW11の開閉を制御する制御電圧(制御端子15の電圧)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電気信号が入力されるための第1の信号入力端子と、
内部電気信号を出力するための第1の信号出力端子と、
前記外部電気信号に起因する電荷を蓄積するよう前記第1の信号入力端子に接続された第1の電荷蓄積手段と、
前記第1の電荷蓄積手段に接続され、前記第1の電荷蓄積手段に蓄積された電荷を前記第1の電荷蓄積手段との電荷蓄積容量の比に応じて分配蓄積可能とする第2の電荷蓄積手段と、
前記第1の電荷蓄積手段に電荷を蓄積するサンプリング状態とすることと、前記電荷の分配蓄積ならびに前記分配蓄積した電荷に起因する前記内部電気信号を前記第1の信号入力端子と隔絶して前記第1の信号出力端子に出力するホールド状態とすることとを切り替え制御する制御手段と、
を有することを特徴とするサンプルアンドホールド回路。
【請求項2】
前記第1の信号入力端子と前記第1の信号出力端子との間に設けられ、前記第1の信号入力端子に入力端子を接続し、前記第1の信号出力端子に出力端子を接続した第1のスイッチング手段と、
前記第1の電荷蓄積手段と前記第2の電荷蓄積手段との間に設けられた第2のスイッチング手段とを具備するとともに、
前記第1の電荷蓄積手段に設けられた二つの端子のうちの一方の端子が前記第1のスイッチング手段の前記出力端子に接続されており、
前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段のスイッチング状態を閉状態にするとともに前記第2のスイッチング手段のスイッチング状態を開状態にして前記サンプリング状態とすることと、前記第1のスイッチング手段のスイッチング状態を開状態にするとともに前記第2のスイッチング手段のスイッチング状態を閉状態にして前記ホールド状態とすることとを切り替える前記切り替え制御を行うものであることを特徴とする請求項1記載のサンプルアンドホールド回路。
【請求項3】
前記第2の電荷蓄積手段に設けられた二つの端子のうちの一方の端子を介して前記第2の電荷蓄積手段と前記第2のスイッチング手段とが直列接続されており、
該直列接続された前記第2の電荷蓄積手段と前記第2のスイッチング手段とが、前記第1の電荷蓄積手段と並列接続されていることを特徴とする請求項2記載のサンプルアンドホールド回路。
【請求項4】
前記第2のスイッチング手段は、前記第1のスイッチング手段の前記出力端子と前記第1の信号出力端子との間を断続するように設けられ、前記第2の電荷蓄積手段は、具備された二つの端子のうちの一方の端子が前記第1の信号出力端子に接続されていることを特徴とする請求項2記載のサンプルアンドホールド回路。
【請求項5】
第2の信号入力端子と、該第2の信号入力端子に接続した入力端子を有する第3のスイッチング手段と、前記第3のスイッチング手段に設けられた出力端子に接続された第2の信号出力端子とを有し、前記第1の電荷蓄積手段に設けられた二つの端子のうちの他方の端子が前記第3のスイッチング手段に設けられた前記出力端子に接続されており、前記第2の電荷蓄積手段に設けられた二つの端子のうちの他方の端子と前記第2の信号出力端子との間に第4のスイッチング手段が設けられており、
前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段と前記第3のスイッチング手段のスイッチング状態とを同じ状態となるように制御し、前記第2のスイッチング手段と前記第4のスイッチング手段のスイッチング状態とを同じ状態となるように制御することを特徴とする請求項3記載のサンプルアンドホールド回路。
【請求項6】
第2の信号入力端子と、該第2の信号入力端子に接続した入力端子を有する第3のスイッチング手段と、該第3のスイッチング手段に設けられた出力端子に接続した入力端子を有する第4のスイッチング手段と、該第4のスイッチング手段に設けられた出力端子に接続された第2の信号出力端子とを有し、前記第1の電荷蓄積手段の他方の端子が前記第3のスイッチング手段に設けられた前記出力端子に接続され、前記第2の電荷蓄積手段の他方の端子が前記第4のスイッチング手段に設けられた前記出力端子に接続されており、
前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段と前記第3のスイッチング手段のスイッチング状態を同じ状態となるように制御し、前記第2のスイッチング手段と前記第4のスイッチング手段のスイッチング状態を同じ状態となるように制御することを特徴とする請求項4記載のサンプルアンドホールド回路。
【請求項7】
前記第1の電荷蓄積手段および前記第2の電荷蓄積手段の少なくとも一方は、容量調節スイッチング手段を介して直列または並列に接続された容量調節電荷蓄積手段を有することを特徴とする請求項2記載のサンプルアンドホールド回路。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段のスイッチング状態と前記第2のスイッチング手段のスイッチング状態とを同時に閉状態とならないようにする制御手段であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載のサンプルアンドホールド回路。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1のスイッチング手段及び前記第3のスイッチング手段のスイッチング状態を同じ状態とするようそれぞれ制御し、前記第2のスイッチング手段及び前記第4のスイッチング手段のスイッチング状態を同じ状態にするようそれぞれ制御するとともに、
同じ状態に制御される前記第1のスイッチング手段及び前記第3のスイッチング手段のスイッチング状態と、同じ状態に制御される前記第2のスイッチング手段及び前記第4のスイッチング手段のスイッチング状態とを、同時に閉状態とならないようにする制御手段であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のサンプルアンドホールド回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−175697(P2011−175697A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38064(P2010−38064)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)