説明

サンプルレート変換器及びこれを用いた受信機

【課題】入力信号数の増大に伴う回路面積及び消費電力の増大を抑制可能なサンプルレート変換器を提供する。
【解決手段】サンプルレートに応じた周期内に複数の入力信号を順次選択することにより多重化を行って多重化入力信号を得るマルチプレクサ101と;多重化出力信号に対して、与えられたデシメーション比に従ったインターポレーションを行って第1の帰還信号を生成するインターポレータ102と;第1の帰還信号に係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器122と;多重化入力信号から乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器121と;残差信号と第2の帰還信号とを加算して、複数の入力信号に夫々対応する複数の積分信号を順次生成する加算器123と;多重化出力信号を弁別して複数の出力信号を生成する弁別回路110と;を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の入力信号のサンプルレートを変換するサンプルレート変換器及びこれを用いた受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、A/D変換器から出力される高速デジタル信号をサンプルレート変換器によってダウンサンプルすると、所望信号帯域に折り返しノイズが発生することがある。このような折り返しノイズは、信号対雑音比(SNR)の劣化を招く。そこで従来、例えばsinc型フィルタなどの位相直線性の高いフィルタによってダウンサンプルの前に折り返しノイズを除去することが行われている。
【0003】
無線通信システムにおける受信機では、Iチャネル及びQチャネル信号をアナログ−デジタル変換する際に、オーバーサンプリング型A/D変換器がしばしば使用される。特許文献1には、記載の受信機においてIチャネル及びQチャネルに対し個別にオーバーサンプリング型A/D変換器を設け、当該オーバーサンプリング型A/D変換器の各々はサンプルレート変換器を含む。特許文献1記載の受信機におけるサンプルレート変換器は、折り返しノイズが除去された信号をダウンサンプルするため、SNRの劣化を抑えられる。
【特許文献1】特開平9−191253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の受信機のように、位相が異なる複数の入力信号に対してサンプルレートの変換を行う場合、入力信号の各々に対してサンプルレート変換器が必要となる。例えば、I/Qチャネル信号に対してサンプルレート変換を行う場合であれば、2つのサンプルレート変換器が必要となる。また、入力信号数が3以上の場合も同様に、当該入力信号数と同数のサンプルレート変換器が必要となる。故に、従来のサンプルレート変換器は、入力信号数に比例して回路面積及び消費電力が増大する問題がある。
【0005】
従って、本発明は入力信号数の増大に伴う回路面積及び消費電力の増大を抑制可能なサンプルレート変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るサンプルレート変換器は、複数の入力信号のサンプルレートを変換して複数の出力信号を生成するサンプルレート変換器において、前記サンプルレートに応じた周期内に前記複数の入力信号を順次選択することにより多重化を行って多重化入力信号を得る第1のマルチプレクサと;多重化出力信号に対して、与えられたデシメーション比に従ったインターポレーションを行って第1の帰還信号を生成するインターポレータと;前記第1の帰還信号に係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と;前記多重化入力信号から前記乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と;前記残差信号と第2の帰還信号とを加算して、前記複数の入力信号に夫々対応する複数の積分信号を順次生成する加算器と;前記複数の積分信号を個別に保持するレジスタ回路と;前記レジスタ回路から前記積分信号を順次選択することにより多重化を行って前記第2の帰還信号を生成する第2のマルチプレクサと;前記レジスタ回路から前記積分信号を順次選択することにより多重化を行ってデシメーション対象信号を生成する第3のマルチプレクサと;前記デシメーション対象信号に対して前記デシメーション比に従ったデシメーションを行って前記多重化出力信号を生成するデシメータと;前記多重化出力信号を弁別して前記複数の出力信号を生成する弁別回路と;を具備する。
【0007】
本発明の他の態様に係るサンプルレート変換器は、複数の入力信号のサンプルレートを変換して複数の出力信号を生成するサンプルレート変換器において、前記サンプルレートに応じた周期内に前記複数の入力信号を順次選択することにより多重化を行って多重化入力信号を得るマルチプレクサと;多重化出力信号に対して、与えられたデシメーション比に従ったインターポレーションを行って帰還信号を生成するインターポレータと;前記帰還信号に係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と;前記多重化入力信号から前記乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と;前記残差信号と前記多重化出力信号とを加算して、前記複数の入力信号に夫々対応する複数の積分信号を順次生成する加算器と;前記積分信号を保持し、前記周期の経過時に前記多重化出力信号を取り出し可能なシフトレジスタ回路と;前記多重化出力信号を弁別して前記複数の出力信号を生成する弁別回路と;を具備する。
【0008】
本発明の他の態様に係るサンプルレート変換器は、複数の入力信号のサンプルレートを変換して複数の出力信号を生成するサンプルレート変換器において;前記サンプルレートに応じた周期内に前記複数の入力信号を順次選択することにより多重化を行って多重化入力信号を得る第1のマルチプレクサと;多重化出力信号に対して、与えられたデシメーション比に従ったインターポレーションを行って帰還信号を生成するインターポレータと;前記帰還信号に係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と;前記多重化入力信号から前記乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と;前記残差信号と前記多重化出力信号とを加算して、前記複数の入力信号に夫々対応する複数の積分信号を順次生成する加算器と;前記複数の積分信号を個別に保持するレジスタ回路と;前記レジスタ回路から前記積分信号を順次選択することにより多重化を行って前記多重化出力信号を生成する第2のマルチプレクサと;前記多重化出力信号を弁別して前記複数の出力信号を生成する弁別回路と;を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入力信号数の増大に伴う回路面積及び消費電力の増大を抑制可能なサンプルレート変換器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るサンプルレート変換器は、マルチプレクサ101、インターポレータ102、デシメータ103、マルチプレクサ104、出力弁別回路110及びループフィルタ150を有する。図1のサンプルレート変換器は、I及びQチャネル上の(2チャネル上の)入力信号のサンプルレートを1/D倍にするデシメーションを行う。ループフィルタ150は、折り返しノイズを除去するための1次sincフィルタであって、減算器121、乗算器122、加算器123、レジスタ回路130及びマルチプレクサ141を含む。
【0011】
マルチプレクサ101は、入力信号DATA_I及び入力信号DATA_Qのいずれか一方を選択し、選択入力信号DATAを減算器121に渡す。具体的には、マルチプレクサ101は、入力信号DATA_I及びDATA_Qと同一サンプルレートの制御クロックΦ1が「0」であれば入力信号DATA_Iを選択入力信号DATAとして選択する。一方、マルチプレクサ101は、上記制御クロックΦ1が「1」であれば入力信号DATA_Qを選択入力信号DATAとして選択する。ここで、入力信号DATA_I及び入力信号DATA_Qは、いわゆるIチャネル信号及びQチャネル信号であって、互いに位相が180度異なるものとする。
【0012】
乗算器122は、後述するインターポレータ102からの帰還信号FBに所定の乗算係数K1を乗じ、乗算結果を減算器121に渡す。尚、乗算係数K1は、図1のサンプルレート変換器のデシメーション比Dによって決まる。
【0013】
減算器121は、乗算器122からの乗算結果をマルチプレクサ101からの選択入力信号DATAより減算する。即ち、減算器121は、乗算器122においてK1倍された帰還信号FBを選択入力信号DATAより減算する。減算器121は、減算結果を積分器入力信号INTINとして、加算器123に渡す。 加算器123は、減算器121からの積分器入力信号INTINと、後述するマルチプレクサ141からの積分器帰還信号INT_FBとを加算することにより、積分を行う。加算器123は、加算結果を積分信号INTとしてレジスタ回路130に渡す。ここで、積分器帰還信号INT_FBは、前回(1周期前)の積分信号INTである。
【0014】
レジスタ回路130は、DATA_Iに関する積分信号INTを一時的に保持するためのフリップフロップ130−1及びDATA_Qに関する積分信号INTを一時的に保持するためのフリップフロップ130−2を含む。具体的には、フリップフロップ130−1は、制御クロックΦ1によって制御されるいわゆるポジティブエッジトリガDフリップフロップであって、制御クロックΦ1の立ち上がりエッジによってラッチ状態に遷移して入力信号を保持し、次の立ち上がりエッジまで当該信号を出力する。一方、フリップフロップ130−2は、制御クロックΦ1と同一サンプルレートであって位相が180度異なる制御クロックΦ2によって制御される。尚、以降の説明においてフリップフロップは、特に断りのない限りポジティブエッジトリガDフリップフロップであるものとする。
【0015】
フリップフロップ130−1及びフリップフロップ130−2には、加算器123からの積分信号INTが共通に入力される。制御クロックΦ1の立ち上がり時には、DATA_Iに関する積分信号INTがレジスタ回路130に入力され、フリップフロップ130−1が当該積分信号INTを保持する。そして、フリップフロップ130−1は、制御クロックΦ1の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INTをマルチプレクサ141及びマルチプレクサ104に渡す。一方、制御クロックΦ2の立ち上がり時には、DATA_Qに関する積分信号INTがレジスタ回路130に入力され、レジスタ回路130−2が当該積分信号INTを保持する。そして、フリップフロップ130−2は、制御クロックΦ2の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INTをマルチプレクサ141及びマルチプレクサ104に渡す。
【0016】
マルチプレクサ141は、レジスタ回路130中のフリップフロップ130−1からの信号(保持内容)及びフリップフロップ130−2からの信号のいずれか一方を選択し、前述した積分器帰還信号INT_FBとして加算器123に渡す。具体的には、マルチプレクサ141は、制御クロックΦ2が「1」であればフリップフロップ130−1からの信号を積分器帰還信号INT_FBとして選択する。一方、マルチプレクサ141は、上記制御クロックΦ2が「0」であればフリップフロップ130−2からの信号を積分器帰還信号INT_FBとして選択する。
【0017】
マルチプレクサ104は、レジスタ回路130中のフリップフロップ130−1からの信号及びフリップフロップ130−2からの信号のいずれか一方を選択し、デシメータ入力信号DEC_INTとしてデシメータ103に渡す。具体的には、マルチプレクサ104は、制御クロックΦ2が「1」であればフリップフロップ130−1からの信号をデシメータ入力信号DEC_INTとして選択する。一方、マルチプレクサ104は、上記制御クロックΦ2が「0」であればフリップフロップ130−2からの信号をデシメータ入力信号DEC_INTとして選択する。
【0018】
デシメータ103は、制御クロックΦDECによって制御されるフリップフロップであって、デシメーション比Dのデシメータとして動作する。即ち、デシメータ103は、マルチプレクサ104からのデシメータ入力信号DEC_INTのサンプル数が1/D倍になるように間引くデシメーションを行う。デシメータ103は、デシメーション結果をデシメータ出力信号として出力弁別回路110及びインターポレータ102に渡す。
【0019】
インターポレータ102は、デシメータ103からのデシメータ出力信号のサンプル数がD倍になるように「0」を挿入するインターポレーションを行う。具体的には、インターポレータ102は、制御クロックΦ1及び制御クロックΦ2の1/D倍のサンプルレートの制御クロックΦINTと、上記デシメータ出力信号とのAND演算を行い、演算結果を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。
【0020】
出力弁別回路110は、DATA_Iに関する出力信号OUT_Iを弁別するためのフリップフロップ110−1及びDATA_Qに関する出力信号OUT_Qを弁別するためのフリップフロップ110−2を含む。
【0021】
フリップフロップ110−1及びフリップフロップ110−2には、デシメータ103からのデシメータ出力信号が共通に入力される。上記デシメータ出力信号には、出力信号OUT_I及びOUT_Qが時分割で多重化されている。フリップフロップ110−1は制御クロックΦDIによって制御され、フリップフロップ110−2は制御クロックΦDQによって制御される。
【0022】
制御クロックΦDIの立ち上がり時には、DATA_Iに関するデシメータ出力信号が出力弁別回路110に入力され、フリップフロップ110−1が当該デシメータ出力信号を保持すると共に、出力信号OUT_Iとして出力する。一方、制御クロックΦDQの立ち上がり時には、DATA_Qに関するデシメータ出力信号が出力弁別回路110に入力され、フリップフロップ110−2が当該デシメータ出力信号を保持すると共に、出力信号OUT_Qとして出力する。
【0023】
以下、図2に示すタイミングチャートを用いて、図1のサンプルレート変換器の動作を詳しく説明する。図1のサンプルレート変換器の回路動作は、大きく4つのフェーズで構成され、制御クロックΦ1及びΦ2の2倍の周期で一連の動作が行われる。また、図1のサンプルレート変換器のデシメーション比D=2とする。尚、図2では、デシメーション比D=2の場合を例としているが、制御クロックΦDEC、ΦINT及び乗算回路の係数K1の値を適切に設定することにより、任意の値を実現可能である。
【0024】
まず、第1のフェーズ(図2におけるタイミングチャートの始点から制御クロックΦ1の最初の立ち上がりまで)では、DATA_Iに関する信号処理が行われる。
第1のフェーズでは、制御クロックΦ1が「0」なので、マルチプレクサ101によって入力信号DATA_I(=I1)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。また、第1のフェーズでは、制御クロックΦINTが「0」であるため、帰還信号FBの値も「0」となり、乗算器122における乗算結果は「0」である。従って、減算器121は、選択入力信号DATA(=I1)をそのまま積分器入力信号INTINとして加算器123に渡す。
【0025】
加算器123によって、積分器入力信号INTIN(=I1)と、マルチプレクサ141からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第1のフェーズでは、制御クロックΦ1が「0」なので、レジスタ回路130中のフリップフロップ130−1に保持されているDATA_Iに関する前回の積分信号INT(=0)が積分器帰還信号INT_FBとして選択されている。従って、加算器123は、積分器入力信号INTIN(=I1)と積分器帰還信号INT_FB(=0)との加算結果(=I1)を積分信号INTとしてレジスタ回路130に渡す。当該積分信号INT(=I1)は、制御クロックΦ1の立ち上がり時にフリップフロップ130−1によって保持される。
【0026】
次に、第2のフェーズ(図2における制御クロックΦ1の最初の立ち上がりから制御クロックΦ2の最初の立ち上がりまで)では、DATA_Qに関する信号処理が行われる。
第2のフェーズでは、制御クロックΦ1が「1」なので、マルチプレクサ101によって入力信号DATA_Q(=Q1)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。また、第2のフェーズでは、制御クロックΦINTが「0」であるため、帰還信号FBの値も「0」となり、乗算器122における乗算結果は「0」である。従って、減算器121は、選択入力信号DATA(=Q1)をそのまま積分器入力信号INTINとして加算器123に渡す。
【0027】
加算器123によって、積分器入力信号INTIN(=Q1)と、マルチプレクサ141からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第2のフェーズでは、制御クロックΦ1が「1」なので、レジスタ回路130中のフリップフロップ130−2に保持されているDATA_Qに関する前回の積分信号INT(=0)が積分器帰還信号INT_FBとして選択されている。従って、加算器123は、積分器入力信号INTIN(=Q1)と積分器帰還信号INT_FB(=0)との加算結果(=Q1)を積分信号INTとしてレジスタ回路130に渡す。当該積分信号INT(=Q1)は、制御クロックΦ2の立ち上がり時にフリップフロップ130−1によって保持される。
【0028】
また、第2のフェーズでは制御クロックΦ2は「0」なので、マルチプレクサ104はレジスタ回路130中のフリップフロップ130−1に保持されているDATA_Iに関する前回の積分信号INT(=I1)をデシメータ入力信号DEC_INTとして選択する。
【0029】
次に、第3のフェーズ(図2における制御クロックΦ2の最初の立ち上がりから制御クロックΦ1の2回目の立ち上がりまで)では、再びDATA_Iに関する信号処理が行われる。
第3のフェーズでは、制御クロックΦ1が「0」なので、マルチプレクサ101によって入力信号DATA_I(=I2)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。また、第3のフェーズの開始時に制御クロックΦDECが立ち上がるが、この時点でのデシメータ入力信号DEC_INTは前述したようにI1である。従って、デシメータ103は、上記デシメータ入力信号DEC_INT(=I1)を保持すると共に、デシメータ出力信号としてインターポレータ102及び出力弁別回路110に渡す。第3のフェーズでは、制御クロックΦINTが「1」のため、インターポレータ102は上記デシメータ入力信号DEC_INT(=I1)を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。乗算器122は、上記帰還信号FB(=I1)と乗算係数K1との乗算を行い、乗算結果(=K1*I1)を減算器121に渡す。従って、減算器121は、上記乗算結果(=K1*I1)を上記選択入力信号DATA(=I2)より減算し、減算結果(=I2−K1*I1=I'2)を積分器入力信号INTINとして加算器123に渡す。
【0030】
加算器123によって、積分器入力信号INTIN(=I'2)と、マルチプレクサ141からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第3のフェーズでは、制御クロックΦ1が「0」なので、レジスタ回路130中のフリップフロップ130−1に保持されているDATA_Iに関する前回の積分信号INT(=I1)が積分器帰還信号INT_FBとして選択されている。従って、加算器123は、積分器入力信号INTIN(=I'2)と積分器帰還信号INT_FB(=I1)との加算結果(=I'2+I1=I''2)を積分信号INTとしてレジスタ回路130に渡す。当該積分信号INT(=I''2)は、制御クロックΦ1の立ち上がり時にフリップフロップ130−1によって保持される。
【0031】
また、第3のフェーズでは制御クロックΦ2は「1」なので、マルチプレクサ104はレジスタ回路130中のフリップフロップ130−2に保持されているDATA_Qに関する前回の積分信号INT(=Q1)をデシメータ入力信号DEC_INTとして選択する。
【0032】
第3のフェーズの終了時に制御クロックΦDIが立ち上がり、この時点でのデシメータ出力信号(=I1)が、出力弁別回路110中のフリップフロップ110−1によって保持されると共に、出力信号OUT_Iとして出力される。
【0033】
次に、第4のフェーズ(図2における制御クロックΦ1の2回目の立ち上がりから制御クロックΦ2の2回目の立ち上がりまで)では、再びDATA_Qに関する信号処理が行われる。
第4のフェーズでは、制御クロックΦ1が「1」なので、マルチプレクサ101によって入力信号DATA_Q(=Q2)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。また、第4のフェーズの開始時に制御クロックΦDECが立ち上がるが、この時点でのデシメータ入力信号DEC_INTは前述したようにQ1である。従って、デシメータ103は、上記デシメータ入力信号DEC_INT(=Q1)を保持すると共に、デシメータ出力信号としてインターポレータ102及び出力弁別回路110に渡す。第4のフェーズでは、制御クロックΦINTが「1」のため、インターポレータ102は上記デシメータ入力信号DEC_INT(=Q1)を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。乗算器122は、上記帰還信号FB(=Q1)と乗算係数K1との乗算を行い、乗算結果(=K1*Q1)を減算器121に渡す。従って、減算器121は、上記乗算結果(=K1*Q1)を上記選択入力信号DATA(=Q2)より減算し、減算結果(=Q2−K1*Q1=Q'2)を積分器入力信号INTINとして加算器123に渡す。
【0034】
加算器123によって、積分器入力信号INTIN(=Q'2)と、マルチプレクサ141からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第4のフェーズでは、制御クロックΦ1が「1」なので、レジスタ回路130中のフリップフロップ130−2に保持されているDATA_Qに関する前回の積分信号INT(=Q1)が積分器帰還信号INT_FBとして選択されている。従って、加算器123は、積分器入力信号INTIN(=Q'2)と積分器帰還信号INT_FB(=Q1)との加算結果(=Q'2+Q1=Q''2)を積分信号INTとしてレジスタ回路130に渡す。当該積分信号INT(=Q''2)は、制御クロックΦ2の立ち上がり時にフリップフロップ130−2によって保持される。
【0035】
また、第4のフェーズでは制御クロックΦ2は「0」なので、マルチプレクサ104はレジスタ回路130中のフリップフロップ130−1に保持されているDATA_Iに関する前回の積分信号INT(=I''2)をデシメータ入力信号DEC_INTとして選択する。
【0036】
第4のフェーズの終了時に制御クロックΦDQが立ち上がり、この時点でのデシメータ出力信号(=Q1)が、出力弁別回路110中のフリップフロップ110−2によって保持されると共に、出力信号OUT_Qとして出力される。
【0037】
図1のサンプルレート変換器は、以上4つのフェーズを繰り返し行うことにより、位相が180度異なるI/Q2チャネルの入力信号に対し、1次sincフィルタ特性を有する、デシメーション比2のサンプルレート変換器として機能する。
【0038】
図2に示すように、出力弁別回路110中のフリップフロップ110−1からDATA_Iに関する出力信号OUT_IとしてI1及びI3''が出力され、以下同様にI5'',I7''…が出力される。また、出力弁別回路110中のフリップフロップ110−2からDATA_Qに関する出力信号OUT_QとしてQ1が出力され、以下同様にQ3'',Q5''…が出力される。出力信号OUT_I及び出力信号OUT_Qは、積分によって折り返しノイズが除去されている。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るサンプルレート変換器は、折り返しノイズを除去するためのループフィルタに含まれる減算器、乗算器及び加算器を共有化することにより、1つのサンプルレート変換器と同程度の回路規模でI/Qチャネル信号のサンプルレートを変換している。即ち、本実施形態に係るサンプルレート変換器は、I/Qチャネル信号の各々に関する積分信号を保持するためのレジスタ回路を備え、上記減算器、乗算器、加算器、デシメータ及びインターポレータを通常の2倍の速度で動作させることにより上記共有化を実現している。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、入力信号数の増大に伴う上記減算器、乗算器及び加算器の増加を防ぐことができるため、回路面積及び消費電力の増大を抑えられる。
【0040】
(第2の実施形態)
図3に示すように、本発明の第2の実施形態に係るサンプルレート変換器は、マルチプレクサ201、インターポレータ202、出力弁別回路210及びループフィルタ250を有する。図3のサンプルレート変換器は、I及びQチャネル上の(2チャネル上の)入力信号のサンプルレートが1/D倍にするデシメーションを行う。以下の説明では、図3において図1と同一部分には同一符号を付して示し、異なる部分を中心に述べる。ループフィルタ250は、折り返しノイズを除去するための1次sincフィルタであって、減算器121、乗算器122、加算器223及びレジスタ回路230を含む。
【0041】
マルチプレクサ201は、入力信号DATA_I及び入力信号DATA_Qのいずれか一方を選択し、選択入力信号DATAを減算器121に渡す。具体的には、マルチプレクサ201は、入力信号DATA_I及びDATA_Qと同一サンプルレートの制御クロックΦが「0」であれば入力信号DATA_Iを選択入力信号DATAとして選択する。一方、マルチプレクサ101は、上記制御クロックΦが「1」であれば入力信号DATA_Qを選択入力信号DATAとして選択する。ここで、入力信号DATA_I及び入力信号DATA_Qは、前述した第1の実施形態と同様である。
【0042】
加算器223は、減算器121からの積分器入力信号INTINと、後述するレジスタ回路230からの積分器帰還信号INT_FBとを加算することにより、積分を行う。加算器223は、加算結果を積分信号INTとしてレジスタ回路230に渡す。
【0043】
レジスタ回路230は、共通の制御クロックΦckで制御される2個のフリップフロップ230−1及び230−2を縦続接続したシフトレジスタ回路である。尚、制御クロックΦckのサンプルレートは、制御クロックΦのサンプルレートの2倍である。即ち、レジスタ回路230によって保持される信号は、制御クロックΦのサンプルレートに応じた1周期の経過時に取り出し可能となる。
【0044】
フリップフロップ230−1には、加算器223からの積分信号INTが入力される。一方、フリップフロップ230−2には、フリップフロップ230−1の出力信号が入力される。即ち、フリップフロップ230−1及びフロップ230−2には、DATA_Iに関する積分信号INT及びDATA_Qに関する積分信号INTが交互に保持される。フリップフロップ230−2の出力信号は、積分器帰還信号INT_FBとして加算器223、出力弁別回路210及びインターポレータ202に渡される。
【0045】
インターポレータ202は、レジスタ回路230からの積分器帰還信号INT_FBのサンプル数がD倍になるように「0」を挿入するインターポレーションを行う。具体的には、インターポレータ202は、制御クロックΦの1/D倍のサンプルレートの制御クロックΦINTと、上記積分器帰還信号INT_FBとのAND演算を行い、演算結果を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。
【0046】
出力弁別回路210は、DATA_Iに関する出力信号OUT_Iを弁別するためのフリップフロップ210−1及びDATA_Qに関する出力信号OUT_Qを弁別するためのフリップフロップ210−2を含む。
【0047】
フリップフロップ210−1及びフリップフロップ210−2には、レジスタ回路230からの積分器帰還信号INT_FBが共通に入力される。上記積分器帰還信号INT_FBには、出力信号OUT_I及びOUT_Qが時分割で多重化されている。フリップフロップ210−1は制御クロックΦDIによって制御され、フリップフロップ210−2は制御クロックΦDQによって制御される。
【0048】
制御クロックΦDIの立ち上がり時には、DATA_Iに関する積分器帰還信号INT_FBが出力弁別回路210に入力され、フリップフロップ210−1が当該積分器帰還信号INT_FBを保持すると共に、出力信号OUT_Iとして出力する。一方、制御クロックΦDQの立ち上がり時には、DATA_Qに関する積分器帰還信号INT_FBが出力弁別回路210に入力され、フリップフロップ210−2が当該積分器帰還信号INT_FBを保持すると共に、出力信号OUT_Qとして出力する。
【0049】
以下、図4に示すタイミングチャートを用いて、図3のサンプルレート変換器の動作を詳しく説明する。図3のサンプルレート変換器の回路動作は、大きく4つのフェーズで構成され、制御クロックΦの2倍の周期で一連の動作が行われる。また、図3のサンプルレート変換器のデシメーション比D=2とする。
【0050】
まず、第1のフェーズ(図4におけるタイミングチャートの始点から制御クロックΦの最初の立ち上がりまで)では、DATA_Iに関する信号処理が行われる。
第1のフェーズでは、制御クロックΦが「0」なので、マルチプレクサ201によって入力信号DATA_I(=I1)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。また、第1のフェーズでは、制御クロックΦINTが「0」であるため、帰還信号FBの値も「0」となり、乗算器122における乗算結果は「0」である。従って、減算器121は、選択入力信号DATA(=I1)をそのまま積分器入力信号INTINとして加算器223に渡す。
【0051】
加算器223によって、積分器入力信号INTIN(=I1)と、レジスタ回路230からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第1のフェーズでは、レジスタ回路230中のフリップフロップ230−1及びフリップフロップ230−2には、夫々DATA_Qに関する前回の積分信号INT(=0)及びDATA_Iに関する前回の積分信号INT(=0)が保持されている。従って、フリップフロップ230−2より、DATA_Iに関する前回の積分信号INT(=0)が、積分器帰還信号INT_FBとして加算器223、出力弁別回路210及びインターポレータ202に渡される。従って、加算器223は、積分器入力信号INTIN(=I1)と積分器帰還信号INT_FB(=0)との加算結果(=I1)を積分信号INTとしてレジスタ回路230に渡す。
【0052】
第1のフェーズの終了時に制御クロックΦckが立ち上がり、上記積分信号INT(=I1)がフリップフロップ230−1に保持されると共に、フリップフロップ230−1の保持内容(=0)がフリップフロップ230−2にシフトする。
【0053】
次に、第2のフェーズ(図4における制御クロックΦの最初の立ち上がりから最初の立ち下がりまで)では、DATA_Qに関する信号処理が行われる。
第2のフェーズでは、制御クロックΦが「1」なので、マルチプレクサ201によって入力信号DATA_Q(=Q1)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。また、第2のフェーズでは、制御クロックΦINTが「0」であるため、帰還信号FBの値も「0」となり、乗算器122における乗算結果は「0」である。従って、減算器121は、選択入力信号DATA(=Q1)をそのまま積分器入力信号INTINとして加算器223に渡す。
【0054】
加算器223によって、積分器入力信号INTIN(=Q1)と、レジスタ回路230からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第2のフェーズでは、レジスタ回路230中のフリップフロップ230−1及びフリップフロップ230−2には、夫々DATA_Qに関する前回の積分信号INT(=Q1)及びDATA_Qに関する前回の積分信号INT(=0)が保持されている。従って、フリップフロップ230−2より、DATA_Qに関する前回の積分信号INT(=0)が、積分器帰還信号INT_FBとして加算器223、出力弁別回路210及びインターポレータ202に渡される。従って、加算器223は、積分器入力信号INTIN(=Q1)と積分器帰還信号INT_FB(=0)との加算結果(=Q1)を積分信号INTとしてレジスタ回路230に渡す。
【0055】
第2のフェーズの終了時に制御クロックΦckが立ち上がり、上記積分信号INT(=Q1)がフリップフロップ230−1に保持されると共に、フリップフロップ230−1の保持内容(=I1)がフリップフロップ230−2にシフトする。
【0056】
次に、第3のフェーズ(図4における制御クロックΦの最初の立ち下がりから2回目の立ち上がりまで)では、再びDATA_Iに関する信号処理が行われる。
第3のフェーズでは、制御クロックΦが「0」なので、マルチプレクサ201によって入力信号DATA_I(=I2)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。第3のフェーズでは、レジスタ回路230中のフリップフロップ230−1及びフリップフロップ230−2には、夫々DATA_Qに関する前回の積分信号INT(=Q1)及びDATA_Iに関する前回の積分信号INT(=I1)が保持されている。従って、フリップフロップ230−2より、DATA_Iに関する前回の積分信号INT(=I1)が、積分器帰還信号INT_FBとして加算器223、出力弁別回路210及びインターポレータ202に渡される。
【0057】
第3のフェーズでは制御クロックΦINTが「1」のため、インターポレータ202は上記積分器帰還信号INT_FB(=I1)を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。乗算器122は、上記帰還信号FB(=I1)と乗算係数K1との乗算を行い、乗算結果(=K1*I1)を減算器121に渡す。従って、減算器121は、上記乗算結果(=K1*I1)を上記選択入力信号DATA(=I2)より減算し、減算結果(=I2−K1*I1=I'2)を積分器入力信号INTINとして加算器223に渡す。
【0058】
加算器223によって、積分器入力信号INTIN(=I'2)と、上記積分器帰還信号INT_FB(=I1)とが加算される。従って、加算器223は、積分器入力信号INTIN(=I'2)と積分器帰還信号INT_FB(=I1)との加算結果(=I'2+I1=I''2)を積分信号INTとしてレジスタ回路230に渡す。
【0059】
第3のフェーズの終了時に制御クロックΦckが立ち上がり、上記積分信号INT(=I''2)がフリップフロップ230−1に保持されると共に、フリップフロップ230−1の保持内容(=Q1)がフリップフロップ230−2にシフトする。また、第3のフェーズ終了時に制御クロックΦDIが立ち上がり、この時点での積分器帰還信号INT_FB(=I1)が、出力弁別回路210中のフリップフロップ210−1によって保持されると共に、出力信号OUT_Iとして出力される。
【0060】
次に、第4のフェーズ(図4における制御クロックΦの2回目の立ち上がりから2回目の立ち下がりまで)では、再びDATA_Qに関する信号処理が行われる。
第4のフェーズでは、制御クロックΦが「1」なので、マルチプレクサ201によって入力信号DATA_Q(=Q2)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。第4のフェーズでは、レジスタ回路230中のフリップフロップ230−1及びフリップフロップ230−2には、夫々DATA_Iに関する前回の積分信号INT(=I''2)及びDATA_Qに関する前回の積分信号INT(=Q1)が保持されている。従って、フリップフロップ230−2より、DATA_Qに関する前回の積分信号INT(=Q1)が、積分器帰還信号INT_FBとして加算器223、出力弁別回路210及びインターポレータ202に渡される。
【0061】
第4のフェーズでは制御クロックΦINTが「1」のため、インターポレータ202は上記積分器帰還信号INT_FB(=Q1)を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。乗算器122は、上記帰還信号FB(=Q1)と乗算係数K1との乗算を行い、乗算結果(=K1*Q1)を減算器121に渡す。従って、減算器121は、上記乗算結果(=K1*Q1)を上記選択入力信号DATA(=Q2)より減算し、減算結果(=Q2−K1*Q1=Q'2)を積分器入力信号INTINとして加算器223に渡す。
【0062】
加算器223によって、積分器入力信号INTIN(=Q'2)と、上記積分器帰還信号INT_FB(=Q1)とが加算される。従って、加算器223は、積分器入力信号INTIN(=Q'2)と積分器帰還信号INT_FB(=Q1)との加算結果(=Q'2+Q1=Q''2)を積分信号INTとしてレジスタ回路230に渡す。
【0063】
第4のフェーズの終了時に制御クロックΦckが立ち上がり、上記積分信号INT(=Q''2)がフリップフロップ230−1に保持されると共に、フリップフロップ230−1の保持内容(=I''2)がフリップフロップ230−2にシフトする。また、第4のフェーズ終了時に制御クロックΦDQが立ち上がり、この時点での積分器帰還信号INT_FB(=Q1)が、出力弁別回路210中のフリップフロップ210−2によって保持されると共に、出力信号OUT_Qとして出力される。
【0064】
図3のサンプルレート変換器は、以上4つのフェーズを繰り返し行うことにより、位相が180度異なるI/Q2チャネルの入力信号に対し、1次sincフィルタ特性を有する、デシメーション比2のサンプルレート変換器として機能する。
【0065】
図4に示すように、出力弁別回路210中のフリップフロップ210−1からDATA_Iに関する出力信号OUT_IとしてI1及びI3''が出力され、以下同様にI5'',I7''…が出力される。また、出力弁別回路210中のフリップフロップ210−2からDATA_Qに関する出力信号OUT_QとしてQ1が出力され、以下同様にQ3'',Q5''…が出力される。出力信号OUT_I及び出力信号OUT_Qは、積分によって折り返しノイズが除去されている。
【0066】
前述した第1の実施形態に係るサンプルレート変換器は、インターポレータ102に1周期前の積分信号INTを与えるためにマルチプレクサ104及びデシメータ103を用いている。しかしながら、本実施形態に係るサンプルレート変換器において、レジスタ回路230からの積分器帰還信号INT_FBが上記1周期前の積分信号INTであるため、当該積分器帰還信号INT_FBをインターポレータ202に直接入力できる。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、上記マルチプレクサ104及びデシメータ103が不要となるので、第1の実施形態に比べて回路を簡単化できる。
【0067】
(第3の実施形態)
図5に示すように、本発明の第3の実施形態に係るサンプルレート変換器は、マルチプレクサ101、インターポレータ302、出力弁別回路210及びループフィルタ350を有する。図7のサンプルレート変換器は、I及びQチャネル上の(2チャネル上の)入力信号のサンプルレートを1/D倍にするデシメーションを行う。以下の説明では、図5において図1または図3と同一部分には同一符号を付して示し、異なる部分を中心に述べる。ループフィルタ350は、折り返しノイズを除去するための1次sincフィルタであって、減算器121、乗算器122、加算器323、レジスタ回路330及びマルチプレクサ341を含む。
【0068】
マルチプレクサ101は、入力信号DATA_I及び入力信号DATA_Qのいずれか一方を選択し、選択入力信号DATAを減算器121に渡す。具体的には、マルチプレクサ101は、制御クロックΦ1が「0」であれば入力信号DATA_Iを選択入力信号DATAとして選択する。一方、マルチプレクサ101は、上記制御クロックΦ1が「1」であれば入力信号DATA_Qを選択入力信号DATAとして選択する。ここで、入力信号DATA_I及び入力信号DATA_Qは、前述した第1の実施形態と同様である。
【0069】
乗算器122は、後述するインターポレータ302からの帰還信号FBに所定の乗算係数K1を乗じ、乗算結果を減算器121に渡す。尚、乗算係数K1は、図5のサンプルレート変換器のデシメーション比Dによって決まる。
【0070】
減算器121は、乗算器122からの乗算結果をマルチプレクサ101からの選択入力信号DATAより減算する。即ち、減算器121は、乗算器122においてK1倍された帰還信号FBを選択入力信号DATAより減算する。減算器121は、減算結果を積分器入力信号INTINとして、加算器323に渡す。
【0071】
加算器323は、減算器121からの積分器入力信号INTINと、後述するマルチプレクサ341からの積分器帰還信号INT_FBとを加算することにより、積分を行う。加算器323は、加算結果を積分信号INTとしてレジスタ回路330に渡す。
【0072】
レジスタ回路330は、DATA_Iに関する積分信号INTを一時的に保持するためのフリップフロップ330−1及びDATA_Qに関する積分信号INTを一時的に保持するためのフリップフロップ330−2を含む。具体的には、フリップフロップ330−1は、制御クロックΦ1の立ち上がりエッジによってラッチ状態に遷移して入力信号を保持し、次の立ち上がりエッジまで当該信号を出力する。一方、フリップフロップ330−2は、制御クロックΦ2によって制御される。
【0073】
フリップフロップ330−1及びフリップフロップ330−2には、加算器323からの積分信号INTが共通に入力される。制御クロックΦ1の立ち上がり時には、DATA_Iに関する積分信号INTがレジスタ回路330に入力され、フリップフロップ330−1が当該積分信号INTを保持する。そして、フリップフロップ330−1は、制御クロックΦ1の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INTをマルチプレクサ341に渡す。一方、制御クロックΦ2の立ち上がり時には、DATA_Qに関する積分信号INTがレジスタ回路330に入力され、レジスタ回路330−2が当該積分信号INTを保持する。そして、フリップフロップ330−2は、制御クロックΦ2の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号INTをマルチプレクサ341に渡す。
【0074】
マルチプレクサ341は、レジスタ回路330中のフリップフロップ330−1からの信号及びフリップフロップ330−2からの信号のいずれか一方を選択し、積分器帰還信号INT_FBとして加算器323、出力弁別回路210及びインターポレータ302に渡す。具体的には、マルチプレクサ341は、制御クロックΦ1が「0」であればフリップフロップ330−1からの信号を積分器帰還信号INT_FBとして選択する。一方、マルチプレクサ341は、上記制御クロックΦ1が「1」であればフリップフロップ330−2からの信号を積分器帰還信号INT_FBとして選択する。
【0075】
インターポレータ302は、マルチプレクサ341からの積分器帰還信号INT_FBのサンプル数がD倍になるように「0」を挿入するインターポレーションを行う。具体的には、インターポレータ302は、制御クロックΦ1及び制御クロックΦ2の1/D倍のサンプルレートの制御クロックΦINTと、上記積分器帰還信号INT_FBとのAND演算を行い、演算結果を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。
【0076】
以下、図6に示すタイミングチャートを用いて、図5のサンプルレート変換器の動作を詳しく説明する。図5のサンプルレート変換器の回路動作は、大きく4つのフェーズで構成され、制御クロックΦ1及びΦ2の2倍の周期で一連の動作が行われる。また、図5のサンプルレート変換器のデシメーション比D=2とする。
【0077】
まず、第1のフェーズ(図6におけるタイミングチャートの始点から制御クロックΦ1の最初の立ち上がりまで)では、DATA_Iに関する信号処理が行われる。
第1のフェーズでは、制御クロックΦ1が「0」なので、マルチプレクサ101によって入力信号DATA_I(=I1)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。また、第1のフェーズでは、制御クロックΦINTが「0」であるため、帰還信号FBの値も「0」となり、乗算器122における乗算結果は「0」である。従って、減算器121は、選択入力信号DATA(=I1)をそのまま積分器入力信号INTINとして加算器323に渡す。
【0078】
加算器323によって、積分器入力信号INTIN(=I1)と、マルチプレクサ341からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第1のフェーズでは、制御クロックΦ1が「0」なので、レジスタ回路330中のフリップフロップ330−1に保持されているDATA_Iに関する前回の積分信号INT(=0)が積分器帰還信号INT_FBとして選択されている。従って、加算器323は、積分器入力信号INTIN(=I1)と積分器帰還信号INT_FB(=0)との加算結果(=I1)を積分信号INTとしてレジスタ回路330に渡す。当該積分信号INT(=I1)は、制御クロックΦ1の立ち上がり時にフリップフロップ330−1によって保持される。
【0079】
次に、第2のフェーズ(図6における制御クロックΦ1の最初の立ち上がりから制御クロックΦ2の最初の立ち上がりまで)では、DATA_Qに関する信号処理が行われる。
第2のフェーズでは、制御クロックΦ1が「1」なので、マルチプレクサ101によって入力信号DATA_Q(=Q1)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。また、第2のフェーズでは、制御クロックΦINTが「0」であるため、帰還信号FBの値も「0」となり、乗算器122における乗算結果は「0」である。従って、減算器121は、選択入力信号DATA(=Q1)をそのまま積分器入力信号INTINとして加算器323に渡す。
【0080】
加算器323によって、積分器入力信号INTIN(=Q1)と、マルチプレクサ341からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第2のフェーズでは、制御クロックΦ1が「1」なので、レジスタ回路330中のフリップフロップ330−2に保持されているDATA_Qに関する前回の積分信号INT(=0)が積分器帰還信号INT_FBとして選択されている。従って、加算器323は、積分器入力信号INTIN(=Q1)と積分器帰還信号INT_FB(=0)との加算結果(=Q1)を積分信号INTとしてレジスタ回路330に渡す。当該積分信号INT(=Q1)は、制御クロックΦ2の立ち上がり時にフリップフロップ330−1によって保持される。
【0081】
次に、第3のフェーズ(図6における制御クロックΦ2の最初の立ち上がりから制御クロックΦ1の2回目の立ち上がりまで)では、再びDATA_Iに関する信号処理が行われる。
第3のフェーズでは、制御クロックΦ1が「0」なので、マルチプレクサ101によって入力信号DATA_I(=I2)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。マルチプレクサ341は、レジスタ回路330中のフリップフロップ330−1に保持されているDATA_Iに関する前回の積分信号INT(=I1)を積分器帰還信号INT_FBとして選択する。また、第3のフェーズでは、制御クロックΦINTが「1」のため、インターポレータ302は上記積分器帰還信号INT_FB(=I1)を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。乗算器122は、上記帰還信号FB(=I1)と乗算係数K1との乗算を行い、乗算結果(=K1*I1)を減算器121に渡す。従って、減算器121は、上記乗算結果(=K1*I1)を上記選択入力信号DATA(=I2)より減算し、減算結果(=I2−K1*I1=I'2)を積分器入力信号INTINとして加算器323に渡す。
【0082】
加算器323によって、積分器入力信号INTIN(=I'2)と、積分器帰還信号INT_FB(=I1)とが加算される。従って、加算器323は、積分器入力信号INTIN(=I'2)と積分器帰還信号INT_FB(=I1)との加算結果(=I'2+I1=I''2)を積分信号INTとしてレジスタ回路330に渡す。当該積分信号INT(=I''2)は、制御クロックΦ1の立ち上がり時にフリップフロップ330−1によって保持される。
【0083】
第3のフェーズの終了時に制御クロックΦDIが立ち上がり、この時点での積分器帰還信号INT_FB(=I1)が、出力弁別回路210中のフリップフロップ210−1によって保持されると共に、出力信号OUT_Iとして出力される。
【0084】
次に、第4のフェーズ(図6における制御クロックΦ1の2回目の立ち上がりから制御クロックΦ2の2回目の立ち上がりまで)では、再びDATA_Qに関する信号処理が行われる。
第4のフェーズでは、制御クロックΦ1が「1」なので、マルチプレクサ101によって入力信号DATA_Q(=Q2)が選択入力信号DATAとして選択され、減算器121に渡される。マルチプレクサ341は、レジスタ回路330中のフリップフロップ330−2に保持されているDATA_Qに関する前回の積分信号INT(=Q1)を積分器帰還信号INT_FBとして選択する。第4のフェーズでは、制御クロックΦINTが「1」のため、インターポレータ302は上記積分器帰還信号INT_FB(=Q1)を帰還信号FBとして乗算器122に渡す。乗算器122は、上記帰還信号FB(=Q1)と乗算係数K1との乗算を行い、乗算結果(=K1*Q1)を減算器121に渡す。従って、減算器121は、上記乗算結果(=K1*Q1)を上記選択入力信号DATA(=Q2)より減算し、減算結果(=Q2−K1*Q1=Q'2)を積分器入力信号INTINとして加算器323に渡す。
【0085】
加算器323によって、積分器入力信号INTIN(=Q'2)と、マルチプレクサ341からの積分器帰還信号INT_FBとが加算される。第4のフェーズでは、制御クロックΦ1が「1」なので、レジスタ回路330中のフリップフロップ330−2に保持されているDATA_Qに関する前回の積分信号INT(=Q1)が積分器帰還信号INT_FBとして選択されている。従って、加算器323は、積分器入力信号INTIN(=Q'2)と積分器帰還信号INT_FB(=Q1)との加算結果(=Q'2+Q1=Q''2)を積分信号INTとしてレジスタ回路330に渡す。当該積分信号INT(=Q''2)は、制御クロックΦ2の立ち上がり時にフリップフロップ330−2によって保持される。
【0086】
第4のフェーズの終了時に制御クロックΦDQが立ち上がり、この時点での積分器帰還信号INT_FB(=Q1)が、出力弁別回路210中のフリップフロップ210−2によって保持されると共に、出力信号OUT_Qとして出力される。
【0087】
本実施形態に係るサンプルレート変換器は、以上4つのフェーズを繰り返し行うことにより、位相が180度異なるI/Q2チャネルの入力信号に対し、1次sincフィルタ特性を有する、デシメーション比2のサンプルレート変換器として機能する。
【0088】
図6に示すように、出力弁別回路210中のフリップフロップ210−1からDATA_Iに関する出力信号OUT_IとしてI1及びI3''が出力され、以下同様にI5'',I7''…が出力される。また、出力弁別回路210中のフリップフロップ210−2からDATA_Qに関する出力信号OUT_QとしてQ1が出力され、以下同様にQ3'',Q5''…が出力される。出力信号OUT_I及び出力信号OUT_Qは、積分によって折り返しノイズが除去されている。
【0089】
前述した第1の実施形態に係るサンプルレート変換器は、インターポレータ102に1周期前の積分信号INTを与えるためにマルチプレクサ104及びデシメータ103を用いている。しかしながら、本実施形態に係るサンプルレート変換器において、マルチプレクサ341からの積分器帰還信号INT_FBが上記1周期前の積分信号INTであるため、当該積分器帰還信号INT_FBをインターポレータ302に直接入力できる。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、上記マルチプレクサ104及びデシメータ103が不要となるので、第1の実施形態に比べて回路を簡単化できる。
【0090】
(第4の実施形態)
図7に示すように、本発明の第4の実施形態に係るサンプルレート変換器は、マルチプレクサ401、インターポレータ402、デシメータ403、マルチプレクサ404、出力弁別回路410及びループフィルタ450を有する。図7のサンプルレート変換器は、M(Mは2以上の自然数)チャネル上の入力信号のサンプルレートを1/D倍にするデシメーションを行う。
【0091】
ループフィルタ450は、折り返しノイズを除去するための1次sincフィルタをN段(Nは自然数)縦続接続したN次sincフィルタであって、ループフィルタ450−1乃至450−Nを含む。第i段目(iは1以上N以下の自然数)のループフィルタ450−iは、減算器421−i、乗算器422−i、加算器423−i、レジスタ回路430−i及びマルチプレクサ441−iを含む。尚、一般に、ループフィルタ450の次数Nが大きいほど、折り返しノイズを効果的に除去できる。また、ループフィルタ450−iは後段になるにつれて、各種信号を表現するために多くのビットが必要となるため、実際には減算器421−i、乗算器422−i及び加算器423−iの面積は次第に大きくなる。
【0092】
マルチプレクサ401は、M個の入力信号Input_1乃至Input_Mのいずれか1つを選択し、選択入力信号(多重化入力信号)を第1段目のループフィルタ450−1中の減算器421−1に渡す。具体的には、マルチプレクサ401は、M個の制御クロックΦ1乃至ΦMに応じて一対一に上記M個の入力信号Input_1乃至Input_Mを選択する。ここで、上記M個の制御クロックΦ1乃至ΦMは、例えば「1」である期間が入力信号Input_1乃至Input_Mの1周期の1/M倍以下であって、同一サンプルレートのクロックの位相を2π/Mずつずらして得られるM個のクロックである。
【0093】
第1段目のループフィルタ450−1中の乗算器422−1は、後述するインターポレータ402からの帰還信号に所定の乗算係数K1を乗じ、乗算結果(乗算信号)を減算器421−1に渡す。尚、乗算係数K1及びその他の乗算係数K2乃至KNは、図7のサンプルレート変換器のデシメーション比D及びループフィルタ450の次数Nによって決まる。N個の乗算係数K1乃至KNの一例を図10に示す。
【0094】
減算器421−1は、乗算器422−1からの乗算結果をマルチプレクサ401からの選択入力信号より減算する。即ち、減算器421−1は、乗算器422−1においてK1倍された帰還信号を選択入力信号より減算する。減算器421−1は、減算結果(残差信号)を積分器入力信号として、加算器423−1に渡す。
【0095】
第1段目のループフィルタ450−1中の加算器423−1は、減算器421−1からの積分器入力信号と、後述するマルチプレクサ441−1からの積分器帰還信号とを加算することにより、積分を行う。加算器423−1は、加算結果を積分信号としてレジスタ回路430−1及び第2段目(次段)のループフィルタ450−2中の減算器421−2に渡す。
【0096】
第1段目のループフィルタ450−1中のレジスタ回路430−1は、入力信号Input_1に関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ430−1−1、入力信号Input_2に関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ430−1−2、…、入力信号Input_Mに関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ430−1−Mを含む。具体的には、M個のフリップフロップ430−1−1乃至430−1−Mは、M個の制御クロックΦ1乃至ΦMによって一対一に制御される。
【0097】
M個のフリップフロップ430−1−1乃至430−1−Mには、加算器423−1からの積分信号が共通に入力される。制御クロックΦ1の立ち上がり時には、入力信号Input_1に関する積分信号がレジスタ回路430−1−1に入力され、フリップフロップ430−1−1が当該積分信号を保持する。そして、フリップフロップ430−1−1は、制御クロックΦ1の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号をマルチプレクサ441−1に渡す。その他の制御クロックΦ2乃至ΦMの各々の立ち上がり時には、入力信号Input_2乃至Input_Mに関する積分信号がフリップフロップ430−1−2乃至430−1−Mによって夫々保持される。そして、上記各制御クロックΦ2乃至ΦMの各々の次の立ち上がりエッジまで、フリップフロップ430−1−2乃至430−1−Mの各々は当該積分信号をマルチプレクサ441−1に渡す。
【0098】
第1段目のループフィルタ450−1中のマルチプレクサ441−1は、レジスタ回路430−1中のM個のフリップフロップ430−1−1乃至430−1−Mからの信号のいずれか1つを選択し、積分器帰還信号として加算器423−1に渡す。具体的には、マルチプレクサ441−1は、M個の制御クロックΦ1乃至ΦMに応じて一対一に上記M個のフリップフロップ430−1−1乃至430−1−Mからの信号を選択する。
【0099】
第j段目(jは2以上N未満の自然数)の減算器421−jは、乗算器422−jからの乗算結果を第(j−1)段目(前段)の加算器423−(j−1)からの積分信号より減算する。即ち、減算器421−jは、乗算器422−jにおいてKj倍された帰還信号を上記積分信号より減算する。減算器421−jは、減算結果を積分器入力信号として、加算器423−jに渡す。
【0100】
尚、第j段目のループフィルタ450−j中の乗算器422−j、加算器423−j、レジスタ回路430−j及びマルチプレクサ441−jは、前述した乗算器422−1、加算器423−j、レジスタ回路430−1及びマルチプレクサ441−1と同様である。
【0101】
第N段目のループフィルタ450−N中の減算器421−Nは、乗算器422−Nからの乗算結果を第(N−1)段目(前段)の加算器423−(N−1)からの積分信号より減算する。即ち、減算器421−Nは、乗算器422−NにおいてKN倍された帰還信号を上記積分信号より減算する。減算器421−Nは、減算結果を積分器入力信号として、加算器423−Nに渡す。
【0102】
第N段目のループフィルタ450−N中の加算器423−Nは、減算器421−Nからの積分器入力信号と、マルチプレクサ441−Nからの積分器帰還信号とを加算することにより、積分を行う。加算器423−Nは、加算結果を積分信号としてレジスタ回路430−Nに渡す。
【0103】
第N段目のループフィルタ450−N中のレジスタ回路430−Nは、入力信号Input_1に関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ430−N−1、入力信号Input_2に関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ430−N−2、…、入力信号Input_Mに関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ430−N−Mを含む。具体的には、M個のフリップフロップ430−N−1乃至430−N−Mは、M個の制御クロックΦ1乃至ΦMによって一対一に制御される。
【0104】
M個のフリップフロップ430−N−1乃至430−N−Mには、加算器423−Nからの積分信号が共通に入力される。制御クロックΦ1の立ち上がり時には、入力信号Input_1に関する積分信号がレジスタ回路430−N−1に入力され、フリップフロップ430−N−1が当該積分信号を保持する。そして、フリップフロップ430−N−1は、制御クロックΦ1の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号をマルチプレクサ441−N及びマルチプレクサ404に渡す。その他の制御クロックΦ2乃至ΦMの各々の立ち上がり時には、入力信号Input_2乃至Input_Mに関する積分信号がフリップフロップ430−N−2乃至430−N−Mによって夫々保持される。そして、上記各制御クロックΦ2乃至ΦMの各々の次の立ち上がりエッジまで、フリップフロップ430−N−2乃至430−N−Mの各々は当該積分信号をマルチプレクサ441−N及びマルチプレクサ404に渡す。
【0105】
尚、第N段目のループフィルタ450−N中の乗算器422−1は、前述した乗算器422−1及び422−iと同様である。また、第N段目のループフィルタ450−N中のマルチプレクサ441−Nは、前述したマルチプレクサ441−1及び441ーiと同様である。
【0106】
マルチプレクサ404は、レジスタ回路430−N中のフリップフロップ430−1乃至430−Nからの信号のいずれか1つを選択し、デシメータ入力信号としてデシメータ403に渡す。具体的には、マルチプレクサ404は、M個の制御クロックΦ1乃至ΦMに応じて一対一に上記M個のフリップフロップ430−1−1乃至430−1−Mからの信号を選択する。例えば、マルチプレクサ404は、制御クロックΦ2乃至ΦMが「1」の間にフリップフロップ430−1−1乃至430−1−(M−1)からの信号を夫々選択し、制御クロックΦ1が「1」の間にフリップフロップ430−Mからの信号を選択する。
【0107】
デシメータ403は、制御クロックΦDECによって制御されるフリップフロップであって、デシメーション比Dのデシメータとして動作する。即ち、デシメータ403は、マルチプレクサ404からのデシメータ入力信号(デシメーション対象信号)のサンプル数が1/D倍になるように間引くデシメーションを行う。デシメータ403は、デシメーション結果をデシメータ出力信号として出力弁別回路410及びインターポレータ402に渡す。
【0108】
インターポレータ402は、デシメータ403からのデシメータ出力信号(多重化出力信号)のサンプル数がD倍になるように「0」を挿入するインターポレーションを行う。具体的には、インターポレータ402は、制御クロックΦ1乃至ΦMの1/D倍のサンプルレートの制御クロックΦINTと、上記デシメータ出力信号とのAND演算を行い、演算結果を帰還信号として乗算器422−1乃至422−Nの各々に渡す。
【0109】
出力弁別回路410は、入力信号Input_1乃至Input_Mに関する出力信号OUT_1乃至OUT_Mを弁別するためのフリップフロップ410−1乃至410−Mを含む。M個のフリップフロップ410−1乃至410−Mの各々は、上記M個の出力信号OUT_1乃至OUT_Mの各々に一対一に対応する。
【0110】
フリップフロップ410−1乃至410−Mには、デシメータ403からのデシメータ出力信号が共通に入力される。上記デシメータ出力信号には、出力信号OUT_I乃至OUT_Mが時分割で多重化されている。また、M個のフリップフロップ410−1乃至410−Mの各々は、M個の制御クロックΦD1乃至ΦDMの各々によって一対一に制御される。即ち、制御クロックΦD1の立ち上がり時には、入力信号Input_1に関するデシメータ出力信号が出力弁別回路410に入力され、フリップフロップ410−1が当該デシメータ出力信号を保持すると共に、出力信号OUT_1として出力する。その他、制御クロックΦD2乃至ΦDMの各々の立ち上がり時には、入力信号Input_2乃至Input_Mに関するデシメータ出力信号が夫々出力弁別回路410に入力され、フリップフロップ410−2乃至410−Mの各々が当該デシメータ出力信号を保持すると共に、出力信号OUT_2乃至OUT_Mとして出力する。
【0111】
本実施形態に係るサンプルレート変換器は、前述した第1の実施形態に係るサンプルレート変換器の入力信号数及びループフィルタの次数を拡張し、一般化している。ループフィルタの次数は、図7において縦続接続するループフィルタの数によって任意の値を実現できる。また、サンプルレート変換器の入力信号数は、図7において各レジスタ回路及び出力弁別回路に含まれるフリップフロップの数及び各減算器、乗算器、加算器、デシメータ及びインターポレータの動作速度によって任意の値を実現可能である。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、入力信号数が任意であって、更に当該入力信号数の増大に伴う回路面積及び消費電力の増大を抑制できる。
【0112】
また、ループフィルタの各段に含まれる減算器、乗算器及び加算器の回路面積は、後段になるほど大きくなる。一方、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、ループフィルタの各段において上記減算器、乗算器及び加算器を入力信号数に関わらず共有化できるため、特に高次ループフィルタを用いる場合に回路面積及び消費電力の増大を効果的に抑制できる。
【0113】
(第5の実施形態)
図8に示すように、本発明の第5の実施形態に係るサンプルレート変換器は、マルチプレクサ401、インターポレータ502、出力弁別回路510及びループフィルタ550を有する。図8のサンプルレート変換器は、M(Mは2以上の自然数)チャネル上の入力信号のサンプルレートを1/D倍にするデシメーションを行う。以下の説明では、図8において図7と同一部分には同一符号を付して示し、異なる部分を中心に述べる。
【0114】
ループフィルタ550は、折り返しノイズを除去するための1次sincフィルタをN段(Nは自然数)縦続接続したN次sincフィルタであって、ループフィルタ550−1乃至550−Nを含む。第i段目(iは1以上N以下の自然数)のループフィルタ550−iは、減算器421−i、乗算器422−i、加算器523−i及びレジスタ回路530−iを含む。尚、一般に、ループフィルタ550の次数Nが大きいほど、折り返しノイズを効果的に除去できる。また、ループフィルタ550−iは後段になるにつれて、各種信号を表現するために多くのビットが必要となるため、実際には減算器421−i、乗算器422−i及び加算器523−iの面積は次第に大きくなる。
【0115】
第1段目のループフィルタ550−1中の加算器523−1は、減算器421−1からの積分器入力信号と、後述するレジスタ回路530−1からの積分器帰還信号とを加算することにより、積分を行う。加算器523−1は、加算結果を積分信号としてレジスタ回路530−1及び第2段目(次段)のループフィルタ550−2中の減算器421−2に渡す。
【0116】
第1段目のループフィルタ550−1中のレジスタ回路530−1は、共通の制御クロックΦckで制御されるM個のフリップフロップ530−1−1乃至530−1−Mを縦続接続したシフトレジスタである。尚、制御クロックΦckのサンプルレートは、制御クロックΦのサンプルレートのM倍である。即ち、レジスタ回路530−1によって保持される信号は、制御クロックΦ1乃至ΦMのサンプルレートに応じた1周期の経過時に取り出し可能となる。
【0117】
フリップフロップ530−1−1には、加算器523−1からの積分信号が入力される。一方、フリップフロップ530−1−2には、フリップフロップ530−1−1の出力信号が入力される。以下、同様にフリップフロップ530−1−2乃至530−1−(M−1)の各々は、次段のフリップフロップ530−1−3乃至530−1−Mに接続される。そして、最終段のフリップフロップ530−1−Mからは積分器帰還信号が取り出され、加算器523−1に入力される。
【0118】
フリップフロップ530−1−1乃至530−1−Mの各々には、Input_1乃至Input_Mに関する積分信号のいずれか1つが重複無く保持される。そして、フリップフロップ530−1−1乃至530−1−(M−1)の保持内容は、制御クロックΦckによって次段へとシフトされる。従って、制御クロックΦckの立ち上がり毎に、フリップフロップ530−1−MよりInput_1乃至Input_Mに関する積分信号を順に取り出すことができる。
【0119】
尚、第j段目(jは2以上N未満の自然数)のループフィルタ550−j中の加算器523−j及びレジスタ回路530−jは、前述した加算器523−1及びレジスタ回路530−1と同様である。
【0120】
第N段目のループフィルタ550−N中の加算器523−Nは、減算器421−Nからの積分器入力信号と、レジスタ回路530−Nからの積分器帰還信号とを加算することにより、積分を行う。加算器523−Nは、加算結果を積分信号としてレジスタ回路530−Nに渡す。
【0121】
第N段目のループフィルタ550−N中のレジスタ回路530−Nは、共通の制御クロックΦckで制御されるM個のフリップフロップ530−N−1乃至530−N−Mを縦続接続したシフトレジスタである。
【0122】
フリップフロップ530−N−1には、加算器523−Nからの積分信号が入力される。一方、フリップフロップ530−N−2には、フリップフロップ530−N−1の出力信号が入力される。以下、同様にフリップフロップ530−N−2乃至530−N−(M−1)の各々は、次段のフリップフロップ530−N−3乃至530−N−Mに接続される。そして、最終段のフリップフロップ530−N−Mからは積分器帰還信号が取り出され、加算器523−N、出力弁別回路510及びインターポレータ502に入力される。
【0123】
インターポレータ502は、レジスタ回路530−Nからの積分器帰還信号のサンプル数がD倍になるように「0」を挿入するインターポレーションを行う。具体的には、インターポレータ502は、制御クロックΦ1乃至ΦMの1/D倍のサンプルレートの制御クロックΦINTと、上記積分器帰還信号のAND演算を行い、演算結果を帰還信号として乗算器422−1乃至422−Nの各々に渡す。
【0124】
出力弁別回路510は、入力信号Input_1乃至Input_Mに関する出力信号OUT_1乃至OUT_Mを弁別するためのフリップフロップ510−1乃至510−Mを含む。M個のフリップフロップ510−1乃至510−Mの各々は、上記M個の出力信号OUT_1乃至OUT_Mの各々に一対一に対応する。
【0125】
フリップフロップ510−1乃至510−Mには、レジスタ回路530−Nからの積分器帰還信号が共通に入力される。上記積分器帰還信号には、出力信号OUT_I乃至OUT_Mが時分割で多重化されている。また、M個のフリップフロップ510−1乃至510−Mの各々は、M個の制御クロックΦD1乃至ΦDMの各々によって一対一に制御される。即ち、制御クロックΦD1の立ち上がり時には、入力信号Input_1に関する積分器帰還信号が出力弁別回路510に入力され、フリップフロップ510−1が当該積分器帰還信号を保持すると共に、出力信号OUT_1として出力する。その他、制御クロックΦD2乃至ΦDMの各々の立ち上がり時には、入力信号Input_2乃至Input_Mに関する積分器帰還信号が夫々出力弁別回路510に入力され、フリップフロップ510−2乃至510−Mの各々が当該積分器帰還信号を保持すると共に、出力信号OUT_2乃至OUT_Mとして出力する。
【0126】
本実施形態に係るサンプルレート変換器は、前述した第2の実施形態に係るサンプルレート変換器の入力信号数及びループフィルタの次数を拡張し、一般化している。ループフィルタの次数は、図8において縦続接続するループフィルタの数によって任意の値を実現できる。また、サンプルレート変換器の入力信号数は、図8において各レジスタ回路及び出力弁別回路に含まれるフリップフロップの数及び各減算器、乗算器、加算器及びインターポレータの動作速度によって任意の値を実現可能である。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、入力信号数が任意であって、更に当該入力信号数の増大に伴う回路面積及び消費電力の増大を抑制できる。
【0127】
また、ループフィルタの各段に含まれる減算器、乗算器及び加算器の回路面積は、後段になるほど大きくなる。一方、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、ループフィルタの各段において上記減算器、乗算器及び加算器を入力信号数に関わらず共有化できるため、特に高次ループフィルタを用いる場合に回路面積及び消費電力の増大を効果的に抑制できる。
【0128】
また、前述した第4の実施形態に係るサンプルレート変換器は、インターポレータ402に1周期前の積分信号を与えるためにマルチプレクサ404及びデシメータ403を用いている。しかしながら、本実施形態に係るサンプルレート変換器において、レジスタ回路530−Nからの積分器帰還信号が上記1周期前の積分信号であるため、当該積分器帰還信号をインターポレータ502に直接入力できる。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、上記マルチプレクサ404及びデシメータ403が不要となるので、第4の実施形態に比べて回路を簡単化できる。
【0129】
(第6の実施形態)
図9に示すように、本発明の第6の実施形態に係るサンプルレート変換器は、マルチプレクサ401、インターポレータ602、出力弁別回路510及びループフィルタ650を有する。図9のサンプルレート変換器は、M(Mは2以上の自然数)チャネル上の入力信号のサンプルレートを1/D倍にするデシメーションを行う。以下の説明では、図9において図7及び図8と同一部分には同一符号を付して示し、異なる部分を中心に述べる。
【0130】
ループフィルタ650は、折り返しノイズを除去するための1次sincフィルタをN段(Nは自然数)縦続接続したN次sincフィルタであって、ループフィルタ650−1乃至650−Nを含む。第i段目(iは1以上N以下の自然数)のループフィルタ650−iは、減算器421−i、乗算器422−i、加算器623−i、レジスタ回路630−i及びマルチプレクサ641−iを含む。尚、一般に、ループフィルタ650の次数Nが大きいほど、折り返しノイズを効果的に除去できる。また、ループフィルタ650−iは後段になるにつれて、各種信号を表現するために多くのビットが必要となるため、実際には減算器421−i、乗算器422−i及び加算器623−iの面積は次第に大きくなる。
【0131】
第1段目のループフィルタ650−1中の加算器623−1は、減算器421−1からの積分器入力信号と、後述するマルチプレクサ641−1からの積分器帰還信号とを加算することにより、積分を行う。加算器623−1は、加算結果を積分信号としてレジスタ回路630−1及び第2段目(次段)のループフィルタ650−2中の減算器421−2に渡す。
【0132】
第1段目のループフィルタ650−1中のレジスタ回路630−1は、入力信号Input_1に関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ630−1−1、入力信号Input_2に関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ630−1−2、…、入力信号Input_Mに関する積分信号を一時的に保持するためのフリップフロップ630−1−Mを含む。具体的には、M個のフリップフロップ630−1−1乃至630−1−Mは、M個の制御クロックΦ1乃至ΦMによって一対一に制御される。
【0133】
M個のフリップフロップ630−1−1乃至630−1−Mには、加算器623−1からの積分信号が共通に入力される。制御クロックΦ1の立ち上がり時には、入力信号Input_1に関する積分信号がレジスタ回路630−1−1に入力され、フリップフロップ630−1−1が当該積分信号を保持する。そして、フリップフロップ630−1−1は、制御クロックΦ1の次の立ち上がりエッジまで当該積分信号をマルチプレクサ641−1に渡す。その他の制御クロックΦ2乃至ΦMの各々の立ち上がり時には、入力信号Input_2乃至Input_Mに関する積分信号がフリップフロップ630−1−2乃至630−1−Mによって夫々保持される。そして、上記各制御クロックΦ2乃至ΦMの各々の次の立ち上がりエッジまで、フリップフロップ630−1−2乃至630−1−Mの各々は当該積分信号をマルチプレクサ641−1に渡す。
【0134】
第1段目のループフィルタ650−1中のマルチプレクサ641−1は、レジスタ回路630−1中のM個のフリップフロップ630−1−1乃至630−1−Mからの信号のいずれか1つを選択し、積分器帰還信号として加算器623−1に渡す。具体的には、マルチプレクサ641−1は、M個の制御クロックΦ1乃至ΦMに応じて一対一に上記M個のフリップフロップ630−1−1乃至630−1−Mからの信号を選択する。
【0135】
第j段目(jは2以上N未満の自然数)のループフィルタ650−j中の加算器623−j、レジスタ回路630−j及びマルチプレクサ641−jは、前述した加算器623−1、レジスタ回路630−1及びマルチプレクサ641−1と同様である。
【0136】
第N段目のループフィルタ650−N中のマルチプレクサ641−Nは、レジスタ回路630−N中のM個のフリップフロップ630−N−1乃至630−N−Mからの信号のいずれか1つを選択し、積分器帰還信号として加算器623−N、出力弁別回路510及びインターポレータ602に渡す。具体的には、マルチプレクサ641−Nは、M個の制御クロックΦ1乃至ΦMに応じて一対一に上記M個のフリップフロップ630−N−N乃至630−N−Mからの信号を選択する。
【0137】
第N段目のループフィルタ650−N中の加算器623−Nは、前述した加算器623−1及び623−jと同様である。また、第N段目のループフィルタ650−N中のレジスタ回路630−Nは、前述したレジスタ回路630−1及び630−jと同様である。
【0138】
インターポレータ602は、マルチプレクサ641−Nからの積分器帰還信号のサンプル数がD倍になるように「0」を挿入するインターポレーションを行う。具体的には、インターポレータ602は、制御クロックΦ1乃至ΦMの1/D倍のサンプルレートの制御クロックΦINTと、上記積分器帰還信号とのAND演算を行い、演算結果を帰還信号として乗算器422−1乃至422−Nの各々に渡す。
【0139】
本実施形態に係るサンプルレート変換器は、前述した第3の実施形態に係るサンプルレート変換器の入力信号数及びループフィルタの次数を拡張し、一般化している。ループフィルタの次数は、図9において縦続接続するループフィルタの数によって任意の値を実現できる。また、サンプルレート変換器の入力信号数は、図9において各レジスタ回路及び出力弁別回路に含まれるフリップフロップの数及び各減算器、乗算器、加算器及びインターポレータの動作速度によって任意の値を実現可能である。
【0140】
本実施形態に係るサンプルレート変換器は、前述した第3の実施形態に係るサンプルレート変換器の入力信号数及びループフィルタの次数を拡張し、一般化している。ループフィルタの次数は、図9において縦続接続するループフィルタの数によって任意の値を実現できる。また、サンプルレート変換器の入力信号数は、図9において各レジスタ回路及び出力弁別回路に含まれるフリップフロップの数及び各減算器、乗算器、加算器及びインターポレータの動作速度によって任意の値を実現可能である。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、入力信号数が任意であって、更に当該入力信号数の増大に伴う回路面積及び消費電力の増大を抑制できる。
【0141】
また、ループフィルタの各段に含まれる減算器、乗算器及び加算器の回路面積は、後段になるほど大きくなる。一方、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、ループフィルタの各段において上記減算器、乗算器及び加算器を入力信号数に関わらず共有化できるため、特に高次ループフィルタを用いる場合に回路面積及び消費電力の増大を効果的に抑制できる。
【0142】
また、前述した第4の実施形態に係るサンプルレート変換器は、インターポレータ402に1周期前の積分信号を与えるためにマルチプレクサ404及びデシメータ403を用いている。しかしながら、本実施形態に係るサンプルレート変換器において、マルチプレクサ641−Nからの積分器帰還信号が上記1周期前の積分信号であるため、当該積分器帰還信号をインターポレータ602に直接入力できる。従って、本実施形態に係るサンプルレート変換器によれば、上記マルチプレクサ404及びデシメータ403が不要となるので、第4の実施形態に比べて回路を簡単化できる。
【0143】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係る受信機は、アンテナ701、低雑音増幅器(LNA)702、周波数変換器703、アナログ−デジタル変換器704、サンプルレート変換器705、チャネル選択フィルタ706及び復調/復号部707を有する。
【0144】
アンテナ701は、図示しない送信機から送信される無線信号を受信し、受信信号をLNA702に渡す。LNA702は、アンテナ701からの受信信号の振幅を所定の増幅率で増幅し、周波数変換器703に渡す。
【0145】
周波数変換器703は、ミキサ及び低域通過型フィルタ(LPF)を含む。周波数変換器703中のミキサは、LNA702からの増幅された受信信号にダウンコンバートのためのローカル信号LOを乗じ、和の周波数成分及び差の周波数成分を得る。周波数変換器703中のLPFは、上記和の周波数成分及び差の周波数成分のうち、差の周波数成分のみを抽出し、受信ベースバンド信号としてアナログ−デジタル変換器704に渡す。尚、図11では、周波数変換器703は1つの受信ベースバンド信号のみを生成するかのように描かれているが、周波数変換器703は任意の数の受信ベースバンド信号を生成できる。周波数変換器703は、例えば移相器を用いて、互いに位相の異なる複数の受信ベースバンド信号を生成する。例えば、周波数変換器703は、Iチャネル信号及びQチャネル信号を生成してもよい。以降の説明においても、受信ベースバンド信号の数は任意であるものとする。
【0146】
アナログ−デジタル変換器704は、オーバーサンプリングA/D変換器である。アナログ−デジタル変換器704は、周波数変換器703からの受信ベースバンド信号を当該受信ベースバンド信号帯域よりも十分高いサンプルレートでアナログ−デジタル変換し、デジタル受信ベースバンド信号を得る。アナログ−デジタル変換器704は、デジタル受信ベースバンド信号をサンプルレート変換器705に渡す。
【0147】
サンプルレート変換器705は、前述した第1乃至第6の実施形態のいずれか1つに係るサンプルレート変換器である。サンプルレート変換器705は、アナログ−デジタル変換器704からのデジタル受信ベースバンド信号705のサンプルレートを、上記受信ベースバンド信号帯域に応じたサンプルレートにダウンサンプルする。サンプルレート変換器705は、ダウンサンプルされたデジタル受信ベースバンド信号をチャネル選択フィルタ706に渡す。
【0148】
チャネル選択フィルタ706は、サンプルレート変換器705からのデジタル受信ベースバンド信号から所望帯域外の妨害波を除去し、妨害波除去後のデジタル受信ベースバンド信号を復調/復号部707に渡す。
【0149】
復調/復号部707は、チャネル選択フィルタ706からのデジタル受信ベースバンド信号を所定の変調方式に応じて復調する。また、復調/復号部707は、復調されたデジタル受信ベースバンド信号を所定の符号化方式に応じて復号し、受信データを再生する。
【0150】
以上説明したように,本実施形態に係る受信機は、前述した第1乃至第6の実施携帯のいずれか1つに係るサンプルレート変換器を用いている。従って、本実施形態に係る受信機によれば、受信信号のチャネル数の増大に伴うサンプルレート変換器の面積及び消費電力の増大を抑制することができる。
【0151】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】第1の実施形態に係るサンプルレート変換器を示すブロック図。
【図2】図1のサンプルレート変換器によって処理される各種信号のタイミングチャートの一例を示す図。
【図3】第2の実施形態に係るサンプルレート変換器を示すブロック図。
【図4】図3のサンプルレート変換器によって処理される各種信号のタイミングチャートの一例を示す図。
【図5】第3の実施形態に係るサンプルレート変換器を示すブロック図。
【図6】図5のサンプルレート変換器によって処理される各種信号のタイミングチャートの一例を示す図。
【図7】第4の実施形態に係るサンプルレート変換器を示すブロック図。
【図8】第5の実施形態に係るサンプルレート変換器を示すブロック図。
【図9】第6の実施形態に係るサンプルレート変換器を示すブロック図。
【図10】図7,図8及び図9の乗算器の各々に与えられる乗算係数Kの一例を示す図。
【図11】第7の実施形態に係る受信機を示すブロック図。
【符号の説明】
【0153】
101・・・マルチプレクサ
102・・・インターポレータ
103・・・デシメータ
104・・・マルチプレクサ
110・・・出力弁別回路
121・・・減算器
122・・・乗算器
123・・・加算器
130・・・レジスタ回路
141・・・マルチプレクサ
150・・・ループフィルタ
201・・・マルチプレクサ
202・・・インターポレータ
210・・・出力弁別回路
223・・・加算器
230・・・レジスタ回路
250・・・ループフィルタ
302・・・インターポレータ
323・・・加算器
330・・・レジスタ回路
350・・・ループフィルタ
401・・・マルチプレクサ
402・・・インターポレータ
403・・・デシメータ
404・・・マルチプレクサ
410・・・出力弁別回路
450・・・ループフィルタ
502・・・インターポレータ
510・・・出力弁別回路
550・・・ループフィルタ
602・・・インターポレータ
650・・・ループフィルタ
701・・・アンテナ
702・・・低雑音増幅器
703・・・周波数変換器
704・・・アナログ−デジタル変換器
705・・・サンプルレート変換器
706・・・チャネル選択フィルタ
707・・・復調/復号部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力信号のサンプルレートを変換して複数の出力信号を生成するサンプルレート変換器において、
前記サンプルレートに応じた周期内に前記複数の入力信号を順次選択することにより多重化を行って多重化入力信号を得る第1のマルチプレクサと、
多重化出力信号に対して、与えられたデシメーション比に従ったインターポレーションを行って第1の帰還信号を生成するインターポレータと、
前記第1の帰還信号に係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と、
前記多重化入力信号から前記乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と、
前記残差信号と第2の帰還信号とを加算して、前記複数の入力信号に夫々対応する複数の積分信号を順次生成する加算器と、
前記複数の積分信号を個別に保持するレジスタ回路と、
前記レジスタ回路から前記積分信号を順次選択することにより多重化を行って前記第2の帰還信号を生成する第2のマルチプレクサと、
前記レジスタ回路から前記積分信号を順次選択することにより多重化を行ってデシメーション対象信号を生成する第3のマルチプレクサと、
前記デシメーション対象信号に対して前記デシメーション比に従ったデシメーションを行って前記多重化出力信号を生成するデシメータと、
前記多重化出力信号を弁別して前記複数の出力信号を生成する弁別回路と
を具備すること特徴とするサンプルレート変換器。
【請求項2】
前記複数の入力信号は、Iチャネル信号及びQチャネル信号であることを特徴とする請求項1記載のサンプルレート変換器。
【請求項3】
前記レジスタ回路は、前記入力信号の数と同数のフリップフロップを含み、前記フリップフロップの各々は前記積分信号が共通に入力され、前記複数の入力信号に対応する前記複数の積分信号を個別に保持することを特徴とする請求項1記載のサンプルレート変換器。
【請求項4】
前記係数は、前記デシメーション比によって定まることを特徴とする請求項1記載のサンプルレート変換器。
【請求項5】
複数の入力信号のサンプルレートを変換して複数の出力信号を生成するサンプルレート変換器において、
前記サンプルレートに応じた周期内に前記複数の入力信号を順次選択することにより多重化を行って多重化入力信号を得るマルチプレクサと、
多重化出力信号に対して、与えられたデシメーション比に従ったインターポレーションを行って帰還信号を生成するインターポレータと、
前記帰還信号に係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と、
前記多重化入力信号から前記乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と、
前記残差信号と前記多重化出力信号とを加算して、前記複数の入力信号に夫々対応する複数の積分信号を順次生成する加算器と、
前記積分信号を保持し、前記周期の経過時に前記多重化出力信号を取り出し可能なシフトレジスタ回路と
前記多重化出力信号を弁別して前記複数の出力信号を生成する弁別回路と
を具備すること特徴とするサンプルレート変換器。
【請求項6】
前記複数の入力信号は、Iチャネル信号及びQチャネル信号であることを特徴とする請求項5記載のサンプルレート変換器。
【請求項7】
前記シフトレジスタ回路は、前記入力信号の数と同数のフリップフロップが縦続接続され、全ての前記フリップフロップが共通の制御クロックによって制御されることを特徴とする請求項5記載のサンプルレート変換器。
【請求項8】
前記係数は、前記デシメーション比によって定まることを特徴とする請求項5記載のサンプルレート変換器。
【請求項9】
複数の入力信号のサンプルレートを変換して複数の出力信号を生成するサンプルレート変換器において、
前記サンプルレートに応じた周期内に前記複数の入力信号を順次選択することにより多重化を行って多重化入力信号を得る第1のマルチプレクサと、
多重化出力信号に対して、与えられたデシメーション比に従ったインターポレーションを行って帰還信号を生成するインターポレータと、
前記帰還信号に係数を乗じて乗算信号を生成する乗算器と、
前記多重化入力信号から前記乗算信号を減算して残差信号を生成する減算器と、
前記残差信号と前記多重化出力信号とを加算して、前記複数の入力信号に夫々対応する複数の積分信号を順次生成する加算器と、
前記複数の積分信号を個別に保持するレジスタ回路と、
前記レジスタ回路から前記積分信号を順次選択することにより多重化を行って前記多重化出力信号を生成する第2のマルチプレクサと、
前記多重化出力信号を弁別して前記複数の出力信号を生成する弁別回路と
を具備すること特徴とするサンプルレート変換器。
【請求項10】
前記複数の入力信号は、Iチャネル信号及びQチャネル信号であることを特徴とする請求項9記載のサンプルレート変換器。
【請求項11】
前記レジスタ回路は、前記入力信号の数と同数のフリップフロップを含み、前記フリップフロップの各々は前記積分信号が共通に入力され、前記複数の入力信号に対応する前記複数の積分信号を個別に保持することを特徴とする請求項1記載のサンプルレート変換器。
【請求項12】
前記係数は、前記デシメーション比によって定まることを特徴とする請求項9記載のサンプルレート変換器。
【請求項13】
無線信号を受信して受信信号を得るアンテナと、
前記受信信号を増幅する低雑音増幅器と、
増幅された受信信号をダウンコンバートして互いに位相の異なる複数の受信ベースバンド信号を得る周波数変換器と、
前記複数の受信ベースバンド信号複数のデジタル受信ベースバンド信号に変換するアナログ−デジタル変換器と、
前記複数のデジタル受信ベースバンド信号を前記複数の入力信号として受けてサンプルレート変換を行い前記複数の出力信号を得る請求項1記載のサンプルレート変換器と、
前記複数の出力信号の各々から妨害波の除去のためのフィルタリングを行い、フィルタ信号を生成するフィルタと、
前記フィルタ信号に対して復調及び復号を行い受信データを再生する復調・復号部と
を具備することを特徴とする受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−232426(P2009−232426A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78744(P2008−78744)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】