説明

サーバー用飲料水収容具

【課題】サーバー用飲料水収容具において、容器の接続口を塞ぐキャップ内に水が溜まりにくくする。
【解決手段】飲料水サーバーSの貯水タンク10に飲料水wを供給するためにその飲料水サーバーSに着脱され、前記貯水タンク10に通じる導水管11に接続可能な容器1を備えた飲料水収容具において、前記容器1は、前記導水管11が接続される接続口2が形成され、その接続口2を塞ぐキャップ40が固定されるようになっており、前記キャップ40は、前記接続口2に固定される筒状の外周部50と、その外周部50の内側に配置された筒状の貫通部51を備え、その貫通部51の内側を貫通孔41とし、前記容器1を下向きにした状態において、前記貫通部51と前記外周部50との間の空間に前記飲料水wが入り込むことを阻止する誘導部53を、前記貫通部51の外周に筒軸周り全周に亘って設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器に収容されたミネラルウォーター等の各種飲料水をタンク内に貯留した後、その貯留した飲料水を常温又は冷温で、あるいは、その貯留した飲料水を加熱して適宜供給できるようにした飲料水サーバーに関するものであり、より詳しくは、その飲料水サーバーに使用する飲料水収容具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料水サーバーSは、例えば、図14や図15に示すように、貯水タンク10から上方に伸びる導水管11に、容器1からなる飲料水収容具が着脱可能であり、その容器1内の飲料水wが、導水管11を通じて貯水タンク10内へ流下するようになっている。この飲料水は、周知の飲料水サーバーの構造により、常温又は冷却し、あるいは過熱して使用される。なお、図14及び図15中の符号wは飲料水を、符号aは空気を、符号12は、容器1の突出部4が入り込む凹部を、符号12aは容器1を支える受け部を、符号13は通気孔を、符号18は送水管を、符号17は開閉バルブをそれぞれ示す。また、図15において、符号14はフロート弁を、符号15は通気孔を、符号16はフィルタをそれぞれ示す。
【0003】
この容器1としては、図14に示す機構の飲料水サーバーSには、例えば、ポリカーボネートのような硬質の樹脂等で成型されたものが採用される。また、図15に示す機構の飲料水サーバーSには、例えば、PE(ポリエチレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のような一定の可撓性を持つ樹脂等で成型されたもの、あるいは、ナイロン素材やアルミ蒸着フィルムのような高い可撓性を有する素材(柔軟度の高い素材)で成型されたものが採用される。なお、図15に示す飲料水サーバーSにおいて、容器1の素材として可撓性を有する素材を採用するのは、飲料水wが流下した際に、容器1が収縮することにより、その容器1内に空気が入らないようにするためである。
【0004】
これらの容器1内に、予め殺菌処理等が施された状態の飲料水wが、例えば、20リットル程度の単位で封入されて、密閉された状態で市場に供給されている。いずれの素材の容器1においても、容器1内の飲料水wが貯水タンク10に向かって徐々に流下していく構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
これらの容器1は、飲料水サーバーSの導水管11への接続口2を塞ぐキャップ40を有している。キャップ40は、容器1内が導水管11と連通した場合においては、飲料水をこぼさず導水管11に流下させるためのパッキンの役割を果たし、また、未接続時にはキャップ40を、容器内の飲料水の品質を保つための気密用部品としている。
【0006】
従来のキャップ40は、例えば、図12に示すように、導水管11が、キャップ40の中心に設けた貫通孔41に差し込まれることにより、その導水管11の外面が、前記貫通孔41の内面に当接するようになっている(図12(a)〜(c)に示す状態参照)。この当接により、容器1と導水管11との気密(水密)が維持され、その気密(水密)状態で容器1内の飲料水を流下させることができるようになっている。
【0007】
なお、このキャップ40は、ある程度の剛性を有する素材からなる容器1をその対象としている。すなわち、容器1の素材が硬質の素材であるか、又は可撓性の素材であっても、その厚みを増すことにより一定の強度を構成しうる素材には、キャップ40をその容器1の接続口2に嵌め込み可能な形状に成型している。このため、容器1の成型精度によっては、別途止水パッキンを取り付ける必要のあるものもある。
また、容器1の素材が、厚みを増強しても、コスト的に又は技術的にキャップ40を嵌め込み固定できる所定の強度を確保できない素材である場合には、別途の容器1の素材を補強する手段を講じる必要がある。
【0008】
【特許文献1】特開2003−104494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このキャップ40には、通常、図12に示すように、最も外周側に位置する筒状の外周部50と、その内径側に位置する貫通部51の間に空間が存在する。貫通部51は、前記貫通孔41を形成するための筒状の部材である。
【0010】
このようなキャップ40の構造であるため、前記貫通部51と前記外周部50との間に上向きの溝構造ができ、例えば、図12(d)や図12(e)に示すように、飲料水wが導水管11に流下せず、残水となって溜まってしまうことが多い。
【0011】
貯水タンク10に流下しない残水wがあることは不経済であるとともに、その水は、容器1を取り外す際、図12(f)に示すように、飲料水サーバーS本体や周辺の床に飛び散る事となる。飲料水サーバーSの上面(導水管11の上端周囲)は、飲料水の流入部分でもあるため、そこに水滴が飛散することは、衛生上好ましくない。
また、飲料水サーバーSの構造によっては、水が滞留することがカビなどの発生原因となっているものもある。さらに、容器1を回収し再利用する場合においても、容器1内の残水の存在は、回収運搬中の衛生的にも好ましくない。
【0012】
また、残水の飛散を防止するため、例えば、図13に示すように、導水管11が貫通孔41に差し込んだ際には、その貫通孔41を塞いでいた栓42内にその導水管11の先端が嵌り込む構造(図13(a)〜(c)に示す状態参照)とする場合もある。この栓42は、貫通孔41から導水管11を引き抜いた際には、再び貫通孔41の所定の位置に戻って貫通孔41を閉じる機構となっている(図13(d)〜(f)に示す状態参照)。
【0013】
しかし、この操作は、容器1の飲料水サーバーSへの接続時、及びその取り外し時に所定の力を有するため、特に女性や高齢者の使用を困難にさせている。また、特に可撓性を有する素材からなる容器1を採用した場合は、その接続時に容器1を押さえつけてしまうため、容器1の変形負荷による接続不良等の原因となり、さらに使用を困難にさせている。
【0014】
そこで、この発明は、サーバー用飲料水収容具において、容器の接続口を塞ぐキャップ内に水が溜まりにくくすること、及び、その容器を飲料水サーバーに接続しやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、この発明は、飲料水サーバーの貯水タンクに飲料水を供給するためにその飲料水サーバーに着脱され、前記貯水タンクに通じる導水管に接続可能な容器を備えた飲料水収容具において、前記容器は、本体部から突出した突出部に接続口が形成され、前記接続口にはその接続口を塞ぐキャップが固定され、そのキャップには、前記本体部内に抜ける構造の栓が嵌められて、前記突出部が下向きの状態で、前記導水管の先端が前記キャップを介して、前記接続口に差し込まれて前記本体部と前記導水管とが連通することにより、前記容器内の飲料水が前記導水管を通じて前記貯水タンク内へ流下するようになっており、前記容器の突出部が硬質の素材である場合には、前記キャップはその突出部に直接嵌めて固定され、又は、前記容器が可撓性を有する素材である場合には、前記キャップはその突出部の外面に添えられた補強部材を介して前記突出部に固定され、そのキャップは、前記接続口から、前記突出部に固定される筒状の外周部と、その外周部の内側に配置された筒状の貫通部を備え、その貫通部の内側を貫通孔とし、前記貫通孔に前記栓が嵌められ、前記導水管を前記貫通孔に差し込んだ際に前記栓が前記本体部側に押し出されて、前記接続口を通じて前記本体部と前記導水管とが連通するようになっており、前記容器の突出部を下向きにした状態において、前記貫通部と前記外周部との間の空間に前記飲料水が入り込むことを阻止する誘導部を、前記貫通部の外周に筒軸周り全周に亘って設けた構造を採用した。
【0016】
このようにすれば、貫通部と外周部との間の空間に、飲料水が入り込むことを阻止することができる。このため、キャップ内に、導水管に流下しない状態で飲料水が溜まるのを防ぐことができる。
【0017】
この誘導部は、前記容器の突出部を下向きにした状態において、前記外周部から前記貫通部に向かって下り勾配に傾斜することが望ましい。誘導部上の飲料水が、すべて貫通孔側へ流れるからである。
【0018】
また、これらの構成において、前記容器の突出部を下向きにした状態において、前記誘導部よりも下方において、前記貫通部から外径方向に放射線状に伸び、前記外周部内径側に達する縦板からなるリブ部を有する構成を採用することができる。
【0019】
このようにすれば、容器と導水管との間に、両者を横方向に相対移動させるような外力が作用した際に、その外力の向く方向に位置するリブ部が圧縮方向に弾性変形することにより、また、反対側のリブ部が引張方向に弾性変形することにより、その外力を吸収する。すなわち、リブ部が貫通孔周りの放射状に配置されていることにより、そのリブ部毎に異なる挙動に対応できるようになり、上記のような外力に柔軟に対応できるようになる。
したがって、容器の貫通孔に対する導水管の差し込みに際し、例えば、両者の位置関係が横方向にわずかにずれている場合においても、そのずれを吸収するようにリブ部が弾性変形するので、その貫通孔への導水管の接続がスムースである。
【0020】
また、そのリブ部は、前記容器の突出部を下向きにした状態における前記誘導部の下方部と、前記貫通部の外径部、及び前記外周部の内径部にそれぞれ接続された状態に一体に成型されている構成とすることができる。
【0021】
さらに、前記容器の突出部を下向きにした状態において、前記貫通孔内の下部に前記リブ部の内径側縁が臨んでおり、前記導水管を前記貫通孔に差し入れた際に、前記導水管は前記リブ部の内径側縁に摺動することにより、前記導水管が前記貫通孔内の上部に位置する前記貫通部の内径面に接する状態に誘導される構成とすることができる。
【0022】
このようにすれば、導水管とキャップとは、その導水管がリブ部の下部に接した際、いわゆる線接触状態となり両者の接触面積が少なくなる。このため、その導水管をキャップの貫通孔に差し入れる際の抵抗が少なくなる。したがって、導水管の容器への接続がスムーズになる。
【0023】
また、前記導水管は、その導水管の先端から遠ざかるにつれて太くなる段部または傾斜を有し、前記導水管を前記貫通孔に差し込んだ際に、その導水管の前記段部又は前記傾斜が、前記貫通部の下端又は前記リブ部の下端縁に当接する構成とすることができる。
このようにすれば、導水管の段部や傾斜部が、貫通部の下端やリブ部の下端縁に当接することで、それ以上、導水管が貫通部内に入り込まないようになる。このストッパ機能により、導水管が貫通部に噛み込んで抜けにくくなる事態を防止することができる。
【0024】
また、前記リブ部の下端縁は、前記容器の突出部を下向きにした状態において、前記外周部から前記貫通部に向かって上り勾配に傾斜することが望ましい。前記導水管を前記貫通孔に差し入れた際に、前記導水管は、リブ部下面を線接触状態ですべりながら、前記貫通部の筒状の内側と接するように誘導される。このため、導水管の容器への接続がさらにスムーズになる。
【発明の効果】
【0025】
この発明は、キャップの貫通部の外周に、その貫通部と外周部との間の空間に飲料水が入り込むことを阻止する誘導部を設けたので、飲料水収容具のキャップ内に水が溜まりにくくなり、また、容器を飲料水サーバーに接続しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明の実施形態を、以下、図面に基づいて説明する。飲料水サーバーSの基本的な構成は、従来例と同様であり、図14や図15に示すように、貯水タンク10に飲料水wを供給するために、その貯水タンク10から立ち上がる導水管11に、樹脂製の容器1を備えた飲料水収容具が着脱可能となっている。
【0027】
この実施形態の容器1は、アルミ蒸着フィルムで形成されている。ただし、容器1の素材は、アルミ蒸着フィルムには限定されず、他の素材として、可撓性を有する素材(軟質プラスチック等)で形成されているものを対象とし得る。すなわち、容器1内の飲料水wが減少する際に、その容器1が収縮変形することにより、内部に空気が入ることを抑制したタイプの飲料水収容具を用いる飲料水サーバーSにおいて、用いるものである。
【0028】
その容器1の構成は、図1(a)に示すように、内部に飲料水wを収容し得る空間を有する袋状の本体部3を備えている。また、飲料水サーバーS側の導水管11が接続される接続口2が、その本体部3から突出した筒状の突出部4の先端に形成されている。なお、図1(a)は、容器1内に飲料水wを充填した状態をイメージした分解状態の模式図である。
【0029】
容器1に飲料水wを充填した後、図1(b)に示すように、突出部4の周囲に補強部材20が、また、接続口2を塞ぐようにキャップ40が取り付けられる。ただし、容器1の素材に所定の強度を有するものには、補強部材20は不要であり、突出部4に直接キャップ40を嵌めるなどの固定方法を採用できる。なお、図6は、この実施形態における補強部材20、キャップ40、栓42、及び容器1を折り畳んだ状態を示す部品図である。
【0030】
補強部材20の構成について説明すると、補強部材20は、前記突出部4の筒状部5の外面を覆う筒状部材21を備えている。また、図3に示すように、筒軸方向一方の端部(本体部3側に向く端部)21aが、突出部4の根元部4a、すなわち、突出部4と本体部3との弧状の結節点に沿うように、ラッパ状に拡径した形態となっている。すなわち、図3(a)(b)に示すように、筒状部材21の筒軸方向一方の端部21aの内面は、その筒軸方向中央側から端縁側に近づくにつれて、容器1の外面に沿って徐々に拡径する円弧面となっている。
【0031】
この実施形態では、補強部材20は、前記容器1の可撓性を有する素材よりも剛性の高い素材である硬質プラスチックで成型されたものを採用しているが、この補強部材20の素材としては、硬質プラスチックに限定されず、例えば、段ボール等の他の素材を採用してもよい。
【0032】
また、筒状部材21の筒軸方向他方の端部(接続口2側の端部)21bの外周には、図3(a)に示すように、全周に亘るリブ24が形成されている。
【0033】
補強部材20及びキャップ40の取り付け方法の手順を、図2及び図3に示す。図2(a)は、容器1が膨らんでいないフラットなシート状の状態を示している。図2(b)は、容器1内に若干のエアーを入れて膨らませた状態を示す。
【0034】
図2(c)に示すように、筒状部5の外周に補強部材20を嵌める。この状態の断面を図3(b)に示す。
つぎに、図2(c)中に矢印で示すように、筒状部5を全周に亘って外側に折り込んで、その折り込んだ部分を徐々に本体部3側へ引き下ろす。その折り込んだ部分は、補強部材20の筒状部材21の外周に被せられる。この状態を図2(d)及び図3(c)に示す。
【0035】
この後、接続口2を通じて容器1内に飲料水wを充填する。なお、飲料水wの充填方法は、例えば、図4(a)〜(h)に示す手法を採用することができる。
【0036】
この方法において、前記補強部材20に、前記容器1を吊り下げ可能な係止部22を設けていることから、高い可撓性を有する素材でできた柔らかい容器1であっても、係止部材Fによってその容器1を吊した状態に保持することができる。このため、自立しないような柔らかい素材からなる容器1であっても、飲料水wの充填が容易である。
なお、この実施形態では、係止部22として、筒状部材21の外周に全周に亘って形成されたフランジ部22を採用している。係止部材Fがフランジ部22の下面に当たって、その容器1を吊り下げて支持できるようになっている。
【0037】
つぎに、図3(d)(e)(f)、あるいは図2(d)(e)に示すように、補強部材20の外周にキャップ40を嵌める。この実施形態では、キャップ40として、図9(a)(b)(c)(d)に示すものを用いている。
【0038】
このキャップ40は樹脂一体成型品であり、図5(a)に示すように、前記補強部材20の外周に嵌めることにより容器1に固定される筒状の外周部50と、その外周部50の内側に配置された筒状の貫通部51を備えている。その貫通部51の内側が、容器1の内外を連通させる貫通孔41となっている。
【0039】
また、キャップ40は、図5(b)に示すように、前記容器1の突出部4を下向きにした状態において、前記貫通部51の上端部と前記外周部50とが誘導部53で結ばれている。この誘導部53は、前記貫通部51の外周に筒軸周り全周に亘って連続的に設けられている。
【0040】
さらに、その誘導部53は、図5(b)に矢印で示すように、前記容器1の突出部4を下向きにした状態において、前記外周部50から貫通部51に向かって下り勾配に傾斜する状態に形成されている。すなわち、誘導部53は、貫通孔41周りに漏斗状に形成されている。
【0041】
さらに、その下向きの状態において、前記誘導部53よりも下方において、前記外周部50から内径方向に伸びる複数のリブ部52が設けられている。このリブ部52は、前記貫通部51の筒軸に沿って伸びて、前記筒軸周り等分方位に、放射状に設けられている。
この実施形態では、リブ部52は合計8枚の縦板で構成され、それぞれ前記貫通部51及び誘導部53に接続された状態に一体成型されている。なお、リブ部52の縦板の枚数は自由に設定できる。
【0042】
なお、この実施形態のキャップ40は樹脂一体成型品であるが、図10では理解がしやすいように、その構成部分である外周部50、貫通部51、リブ部52、誘導部53等を分けて記載している。もちろん、この図のように、外周部50、貫通部51、リブ部52、誘導部53等を別々に製作して、それらを接着等により一体化してキャップ40を製作することもできる。
【0043】
このキャップ40において、貫通部51によって形成された貫通孔41には、栓42が嵌められている。また、その貫通孔41よりも外径寄りにある前記外周部50には、環状部材50a,50b間に、環状の凹部45が全周に亘って設けられている。
【0044】
図3(e)から図3(f)に示すように、筒状部材21の他方側端部21bに、このキャップ40の凹部45を嵌め込む。キャップ40は、その外縁端部43がフランジ部22に当たる直前の位置で止まる。その拡大図を、図7(a)(b)に示す。
【0045】
この状態で、筒状部材21の外周に設けたリブ24が、キャップ40の凹部45内に設けた上下に並ぶ対のリブ44,44間に挟まれた状態となる。すなわち、容器1を構成する可撓性を有する素材が、補強部材20側のリブ24によってキャップ40側に押し付けられ、またその前後において、可撓性を有する素材が、キャップ40側のリブ44,44によって補強部材20側に押し付けられる。これにより、補強部材20及びキャップ40は、可撓性を有する素材を介在して固定され、接続口2は水密に閉じられる。また、凹部45の内径側の内面には、リブ47が全周に亘って設けられている。このリブ47もキャップ40と容器1の接続口2内面との水密性を高めることに寄与している。
【0046】
図8に、飲料水サーバーSの導水管11が貫通孔41に入り込んだ状態を示す。導水管11を前記貫通孔41に差し込んだ際、栓42が本体部3側に押し出される。このため、接続口2を通じて本体部3と前記導水管11とが連通するようになっている。なお、貫通孔41内にリブ46が設けられていることにより、キャップ40と導水管11との止水の役割を果たしている。
【0047】
このとき、誘導部53は、前記外周部50から貫通部51に向かって下り勾配に傾斜しているので、誘導部53上の飲料水が、すべて貫通孔41側へ流れる。このため、キャップ40内には飲料水wが溜まらないようになっている。この実施形態では、誘導部53の内径側端部は、導水管11内に水を入り込ませるために設けた孔11bと同じ高さか、あるいは、それよりも高い高さとなっているので、この誘導部53上に水が溜まらないようになっている。
【0048】
また、この状態で、リブ部52は、前記貫通部51の下端よりも下方に伸びて、前記導水管11を前記貫通孔41に差し入れた際に、前記導水管11と前記リブ部52の内径側縁52bとが接するようになっている。
このように、リブ部52の内径側縁52bが貫通孔41内に臨んでいるため、導水管11とキャップ40とは、いわゆる線接触状態となって、両者の接触面積が少なくなり、導水管11の容器1への接続がスムーズになっている。この点は、従来例の図12や図13において、導水管11と貫通部51とが面接触状態であり、その接触面積が大きかったことと比較すると、容器1の導水管11への装着を容易とする上で、大きな利点となっている。
【0049】
さらに、このリブ部52の下端縁52aは、図5(c)に示すように、前記外周部50から貫通部51に向かって上り勾配に傾斜している。
このため、導水管11と貫通孔41との位置が横方向にずれている場合でも、その導水管11がリブ部52の下端縁52aに当たることで、図中に矢印で示すように、貫通孔41と導水管11とが誘導され、飲料水サーバーSへの容器1の接続が容易である。
また、リブ部52が縦板であるから、その誘導時における導水管11とリブ部52の下端縁52aとの接触が線接触となって、両者の摺動がスムーズである。
この点は、同じく従来例の図12や図13に示す態様において、導水管11のキャップ40に対する位置決めが容易でなかったことと比較すると、容器1の導水管11への装着を容易とする上で、大きな利点となっている。
【0050】
さらに、前記飲料水サーバーSの導水管11は、図5(e)に示すように、その導水管11の先端から遠ざかるにつれて太くなる段部11aを有し、前記導水管11を貫通孔41に差し込んだ際に、その導水管11の段部11aが、前記リブ部52の下端縁52aに当接するようになっている。
導水管11の段部11aが、リブ部52の下端縁52aに当接することで、それ以上、導水管11が貫通孔41内に入り込まないようになる。このストッパ機能により、導水管11が貫通孔41に噛み込んで抜けにくくなる事態を防止することができる。
【0051】
なお、この実施形態は、容器1を可撓性を有する素材で形成したが、他の実施形態として、例えば、図5(f)に示すように、硬質の樹脂(硬質プラスチック等)で形成された容器1において、上記キャップ40を採用することができる。
このように、キャップ40は、容器1を可撓性を有する素材で形成した場合と同様、その容器1の素材の特性や、その成型形状に合わせ、その容器1の突出部4に取り付けられるキャップ40の外周部50の形状を成型することが可能である。
【0052】
この態様において、容器1はある程度の剛性を有することから、その容器1の突出部4(接続口2)に直接キャップ40を嵌めて固定することができる。このため、補強部材20の取り付けを省略している。
この構成においても、キャップ40の外周部50、貫通部51、リブ部52、誘導部53等の構成は、補強部材20を用いた場合と基本的に同じであるので、説明を省略する。
【0053】
なお、上記の各実施形態では、外周部50の構成を、環状部材50a,50b間に環状の凹部45を設けて、その凹部45に容器1の突出部4が入り込む構成としたが、その他にも、例えば、図5(g)に示すように、外周部50の構成を、凹部45を有しない構成とすることもできる。
この場合、誘導部53は、例えば、貫通部51の上端から外径側に向かって張り出して、その誘導部53の外径側縁が、外周部50の内側に嵌め込んだ容器1の突出部4内面に水密に接する構成とすることができる。この構成は、補強部材20を併用した態様においても採用することができる。
【0054】
なお、図11(a)〜(f)は、これらのキャップ40を取り付けた容器1を、飲料水サーバーSの導水管11に取り付ける際の作業を示す説明図である。
図11(a)〜(c)に示すように、導水管11が貫通孔41に差し込まれた際には、その貫通孔41を塞いでいた栓42内にその導水管11の先端が嵌り込む構造となっている。この栓42は、貫通孔41から導水管11を引き抜いた際には、再び貫通孔41の所定の位置に戻って貫通孔41を閉じる機構となっている(図11(d)〜(f)に示す状態参照)。
【0055】
また、この発明のキャップ40は、容器1内に残水が生じにくい構造となっているため、容器1の取り外しの際の水と飛散を危惧する必要がない。このため、例えば、図11(g)〜(l)に示すように、キャップ40の栓42が導水管11の先端に嵌り込まない構成、すなわち、貫通孔41から導水管11を引き抜いた際に、栓42が貫通孔41を閉じる位置に復帰しない構成とすることもできる。
この構成とすれば、容器1の飲料水サーバーSへの接続時、及びその取り外し時に要する力が少なくて済む。また、特に可撓性を有する素材からなる容器1を採用した場合は、その変形負荷による接続不良等を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】一実施形態を示し、(a)は飲料水収容具の構成を示す分解状態の説明図、(b)は(a)の組図
【図2】容器への補強部材及びキャップの取り付け方法を示す説明図
【図3】容器への補強部材及びキャップの取り付け方法を示す断面図
【図4】容器を、飲料水サーバーに取り付け可能な状態とする際の手順を示す説明図
【図5】キャップの貫通孔に導水管を差し込む状態を示す詳細図
【図6】補強部材、キャップ、栓、及び容器を折り畳んだ状態を示す部品図
【図7】キャップの詳細を示し、(a)は取り付け前、(b)は取り付け後の状態を示す断面図
【図8】導水管とキャップとの関係を示す要部拡大図
【図9】キャップの全体図であり、(a)は平視図、(b)は断面図、(c)は底面側の斜視図、(d)は上面側の斜視図
【図10】キャップの分解斜視図
【図11】(a)〜(f)は、容器を飲料水サーバーから取り外した際に、キャップの栓が貫通孔を閉じる位置に復帰するタイプの作用を示す要部拡大図、(g)〜(l)は、容器を飲料水サーバーから取り外した際に、キャップの栓が貫通孔を閉じる位置に復帰しないタイプの作用を示す要部拡大図
【図12】従来例を示し、容器を飲料水サーバーから取り外した際に、キャップの栓が貫通孔を閉じる位置に復帰しないタイプの作用を示す要部拡大図
【図13】従来例を示し、容器を飲料水サーバーから取り外した際に、キャップの栓が貫通孔を閉じる位置に復帰するタイプの作用を示す要部拡大図
【図14】従来例の飲料水サーバーを示し、硬質の樹脂からなる容器を、飲料水サーバーに取り付ける際の手順を示す説明図
【図15】従来例の飲料水サーバーを示し、軟質の樹脂からなる容器を、飲料水サーバーに取り付ける際の手順を示す説明図
【符号の説明】
【0057】
1 容器
2 接続口
3 本体部
4 突出部
4a 結節点
5 筒状部
10 貯水タンク
11 導水管
12 凹部
12a 受け部
13,15 通気孔
14 フロート弁
16 フィルタ
17 開閉バルブ
18 送水管
20 補強部材
21 筒状部材
21a 筒軸方向一方の端部
21b 筒軸方向他方の端部
22 係止部(フランジ部)
23 基部
24 リブ
40 キャップ
41 貫通孔
50 外周部
51 貫通部
52 リブ部
53 誘導部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水サーバー(S)の貯水タンク(10)に飲料水(w)を供給するためにその飲料水サーバー(S)に着脱され、前記貯水タンク(10)に通じる導水管(11)に接続可能な容器(1)を備えた飲料水収容具において、
前記容器(1)は、本体部(3)から突出した突出部(4)に接続口(2)が形成され、前記接続口(2)にはその接続口(2)を塞ぐキャップ(40)が固定され、そのキャップ(40)には、前記本体部(3)内に抜ける構造の栓(42)が嵌められて、
前記突出部(4)が下向きの状態で、前記導水管(11)の先端が前記キャップ(40)を介して、前記接続口(2)に差し込まれて前記本体部(3)と前記導水管(11)とが連通することにより、前記容器(1)内の飲料水(w)が前記導水管(11)を通じて前記貯水タンク(10)内へ流下するようになっており、
前記容器(1)の突出部(4)が硬質の素材である場合には、前記キャップ(40)はその突出部(4)に直接嵌めて固定され、又は、前記容器(1)が可撓性を有する素材である場合には、前記キャップ(40)はその突出部(4)の外面に添えられた補強部材(20)を介して前記突出部(4)に固定され、そのキャップ(40)は、前記接続口(2)から、前記突出部(4)に固定される筒状の外周部(50)と、その外周部(50)の内側に配置された筒状の貫通部(51)を備え、その貫通部(51)の内側を貫通孔(41)とし、前記貫通孔(41)に前記栓(42)が嵌められ、前記導水管(11)を前記貫通孔(41)に差し込んだ際に前記栓(42)が前記本体部(3)側に押し出されて、前記接続口(2)を通じて前記本体部(3)と前記導水管(11)とが連通するようになっており、
前記容器(1)の突出部(4)を下向きにした状態において、前記貫通部(51)と前記外周部(50)との間の空間に前記飲料水(w)が入り込むことを阻止する誘導部(53)を、前記貫通部(51)の外周に筒軸周り全周に亘って設けたことを特徴とする飲料水収容具。
【請求項2】
前記誘導部(53)は、前記容器(1)の突出部(4)を下向きにした状態において、前記外周部(50)から前記貫通部(51)に向かって下り勾配に傾斜することを特徴とする請求項1に記載の飲料水収容具。
【請求項3】
前記容器(1)の突出部(4)を下向きにした状態において、前記誘導部(53)よりも下方において、前記貫通部(51)から外径方向に放射線状に伸び、前記外周部(50)内径側に達する縦板からなるリブ部(52)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料水収容具。
【請求項4】
前記リブ部(52)は、前記容器(1)の突出部(4)を下向きにした状態における前記誘導部(53)の下方部と、前記貫通部(51)の外径部、及び前記外周部(50)の内径部にそれぞれ接続された状態に一体に成型されていることを特徴とした請求項3に記載の飲料水収容具。
【請求項5】
前記容器(1)の突出部(4)を下向きにした状態において、前記貫通孔(41)内の下部に前記リブ部(52)の内径側縁(52b)が臨んでおり、前記導水管(11)を前記貫通孔(41)に差し入れた際に、前記導水管(11)は前記リブ部(52)の内径側縁(52b)に摺動することにより、前記導水管(11)が前記貫通孔(41)内の上部に位置する前記貫通部(51)の内径面に接する状態に誘導されることを特徴とする請求項3又は4に記載の飲料水収容具。
【請求項6】
前記導水管(11)は、その導水管(11)の先端から遠ざかるにつれて太くなる段部(11a)または傾斜を有し、前記導水管(11)を前記貫通孔(41)に差し込んだ際に、その導水管(11)の前記段部(11a)又は前記傾斜が、前記貫通部(51)の下端又は前記リブ部(52)の下端縁(52a)に当接することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一つに記載の飲料水収容具。
【請求項7】
前記容器(1)の突出部(4)を下向きにした状態において、前記リブ部(52)の下端縁(52a)は、前記外周部(50)から前記貫通部(51)に向かって上り勾配に傾斜することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一つに記載の飲料水収容具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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