説明

サーバ監視操作システム

【課題】サーバそれぞれがまとめて筐体に収容されない状態でも、これらのサーバとキーボードやマウスなどの入出力デバイスとの配線を簡素化することのできるサーバ監視操作システムを得ること。
【解決手段】サーバ監視操作システム100は、第1〜第8のサーバ1011〜1018の監視操作用の1組のモニタ104、キーボード105およびマウス106ならびにこれらを接続する統合管理モジュール103を収容したラック102と、統合管理モジュール103にLANケーブル107を介して接続されたクライアントコンピュータ109からなる。統合管理モジュール103は、モニタ104等の入出力デバイスと第1〜第8のサーバ1011〜1018の間で信号の集約や分配を行うので、各種ケーブルの配線が簡素化する。また、ラック102にクライアントコンピュータ108を接続することで、監視操作が二重化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサーバを備えたサーバ監視操作システムに係わり、特にモニタやキーボードといった入出力デバイスを用いて複数のサーバの監視や操作を行うサーバ監視操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のサーバをラックに集中的に配置するようにしたサーバ監視操作システムでは、監視や操作のために、これらのサーバのそれぞれに切替器を介して、キーボード、マウスおよびモニタといった入出力デバイスを接続するようになっている。ところが、これらのサーバとモニタ切替器等の入出力デバイスの切替器の間をそれぞれインターフェースケーブルで接続する必要があり、サーバの数が多いとラック内の配線が特に煩雑になるという問題がある。
【0003】
そこで、複数のブレードサーバを使用するサーバ監視操作システムでは、これらのブレードサーバとコンソール基板を同一の筐体内に収容することが第1の提案として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この第1の提案では、筐体内に共通線を配置して、それぞれのブレードサーバとコンソール基板をこれに接続している。ここでコンソール基板とは、キーボードやマウスなどの入力デバイスおよびモニタなどの出力デバイスを接続するための信号処理装置である。この第1の提案によれば、筐体内に設けられたコンソール基板にキーボード、マウスおよびモニタといった入出力デバイスを1組接続すれば、それぞれのブレードサーバの情報をモニタに表示したり、キーボードやマウスを用いてそれぞれのブレードサーバを操作することができる。しかも、入出力デバイスの配線はシンプルになる。
【0004】
また、一対のシステム管理サーバと一対の管理スイッチを同一筐体内に配置することが第2の提案として提案されている(たとえば特許文献2参照)。この第2の提案では、筐体内にブレードサーバを複数配置し、一対の管理スイッチを介して一対のシステム管理サーバと通信させる。各システム管理サーバはこの筐体の外に配置された管理コンソールや同じく外部の管理ネットワークと接続されている。この第2の提案でも、筐体外の配線はシンプルになる。
【特許文献1】特開2005−149100号公報(第0030段落、図2)
【特許文献2】特表2005−509213号公報(第0162段落、図17)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上説明した第1のおよび第2の提案では、共にサーバを複数格納した1つの筐体内部に特別の装置を配置し、この装置を介する形でそれぞれのブレードサーバがキーボード、マウスおよびモニタといった入出力デバイスと接続するようになっている。このようにこれらの提案は、1つの筐体に複数のサーバを組み込むことが前提となる技術である。このため、筐体に収容するサーバがブレードサーバでなければならないといったように、サーバの種類やこれらの配置に自由度がないという問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、サーバそれぞれがまとめて1つの筐体に収容されない状態でも、これらのサーバとキーボードやマウスなどの入出力デバイスとの配線を簡素化することのできるサーバ監視操作システムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明では、(イ)1つのラック内に収容された複数のサーバと、(ロ)ラック内に収容され、前記した複数のサーバの監視や操作を行うための1組の入出力デバイスと、(ハ)前記した複数のサーバと1組の入出力デバイスの間に接続され、前記した複数のサーバから1組の入出力デバイスへの信号の集約と1組の入出力デバイスから前記した複数のサーバへの信号の分配を行う統合管理手段とをサーバ監視操作システムに具備させる。
【0008】
すなわち本発明では、1つのラック内に複数のサーバを収容すると共に、このラックにこれら複数のサーバの監視や操作を行うための1組の入出力デバイスも収容し、前記した複数のサーバと1組の入出力デバイスを、同じくラック内に収容した統合管理手段で接続するようにしている。これにより、別々筐体に収容されたサイズの互いに異なる複数のサーバであってもキーボードやマウス等の入出力デバイスとの配線を簡素化することができる。
【0009】
請求項2記載の発明では、(イ)1つのラック内に収容された複数のサーバと、(ロ)ラック内に収容され、前記した複数のサーバの監視や操作を行うための1組の入出力デバイスと、(ハ)前記した複数のサーバとは別に配置され、自装置および前記した複数のサーバから1組の入出力デバイスへの信号の集約と1組の入出力デバイスから自装置および前記した複数のサーバへの信号の分配を行う統合管理手段を内蔵した統合管理手段内蔵サーバとをサーバ監視操作システムに具備させる。
【0010】
すなわち本発明では、1つのラック内に複数のサーバを収容すると共に、このラックに1組の入出力デバイスも収容している。請求項1記載の発明と異なるのは、複数のサーバの中の1つのサーバが統合管理手段を内蔵した統合管理手段内蔵サーバであることである。
【0011】
請求項3記載の発明では、(イ)1つのラック内に収容された複数のサーバと、(ロ)前記した複数のサーバの監視や操作を行うための1組の入出力デバイスと、前記した複数のサーバと1組の入出力デバイスの間に接続され、前記した複数のサーバから1組の入出力デバイスへの信号の集約と1組の入出力デバイスから前記した複数のサーバへの信号の分配を行う統合管理手段とを備えたコンソールドロアとをサーバ監視操作システムに具備させる。
【0012】
すなわち本発明では、1つのラック内に複数のサーバを収容すると共に、このラックにコンソールドロアを配置している。コンソールドロアには、1組の入出力デバイスと統合管理手段が配置されている。
【0013】
以上のようなラックの外に統合管理手段と通信手段で接続され前記した複数のサーバの監視や操作を行う外部操作監視手段を配置して、監視や操作を二重化するようにしてもよい。また、前記した複数のサーバと統合管理手段は、共に動作状態でこれらの間のケーブルの抜き差しが可能なインターフェース回路を具備するようにすると、便利である。更に、統合管理手段は、前記した複数のサーバ内部の動作状態を監視したり制御するコントローラとしてのBMCコントローラを具備することで、それぞれのサーバの同一の回路を簡略化あるいは省略することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、1つのラック内に複数のサーバを収容すると共に、ラック内にこれら複数のサーバの監視や操作を行うための1組の入出力デバイスも収容したので、統合管理手段の配置も相まって、システム全体の配線を簡素化できるだけでなく、使い勝手のよいシステムを構成することができる。しかも、1つの筐体に複数のサーバを収容する場合には、サイズが規格化された複数のブレードサーバを使用するのが通常であるが、本発明の場合にはそれぞれのサーバが別々の筐体に収容されていたり、サイズがそれぞれ異なっていてもよい。
【0015】
また、1つのサーバが統合管理手段を備えていれば、システム独自の統合管理手段を用意する必要がないという効果もある。また、統合管理手段と入出力デバイスをラック内の1つのドロアに収容すれば、配線の手直しや入出力デバイスの入れ替えもスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の一実施例におけるサーバ監視操作システムの構成の概要を表わしたものである。このサーバ監視操作システム100では、それぞれ単一の筐体に収容された第1〜第8のサーバ1011〜1018を1つのラック102内に収容している。ラック102内には、これら第1〜第8のサーバ1011〜1018の入出力を統合して管理するための統合管理モジュール103と、第1〜第8のサーバ1011〜1018の間で共通使用される入出力デバイスとしての1組のモニタ104、キーボード105およびポインティングデバイスとしてのマウス106が配置されている。また、統合管理モジュール103に接続されたLAN(Local Area Network)ケーブル107には、遠隔操作用のクライアントコンピュータ108が接続されている。クライアントコンピュータ108は、モニタ111、キーボード112およびマウス113を備えている。
【0018】
ラック102内の第1〜第8のサーバ1011〜1018は、それぞれのハードウェアの状態を監視するためのコンソール・BMC(Baseboard Management Controller)回路1211〜1218を内蔵している。コンソール・BMC回路1211〜1218は、従来のサーバと異なり、モニタ104、キーボード105およびマウス106のインターフェースをデコードする回路やBMCコントローラを備えていない。図示しない各種のセンサからのエラー情報を収集してデコードする回路は従来と同様に備えている。
【0019】
統合管理モジュール103は、第1〜第8のサーバ1011〜1018のそれぞれ対応するものと接続する第1〜第8のポート1221〜1228と、LANケーブル107の一端を接続するための管理用LANインターフェース(I/F)回路123と、モニタ104、キーボード105およびマウス106とそれぞれモニタケーブル128、キーボードケーブル129およびマウスケーブル130のうちの対応するものと接続するモニタインターフェース(I/F)回路124、キーボードインターフェース(I/F)回路125およびマウスインターフェース(I/F)回路126を備えている。第1〜第8のサーバ1011〜1018と第1〜第8のポート(Port)1221〜1228の間は、それぞれ対応するもの同士が管理入出力ケーブル1271〜1278によって接続されている。
【0020】
このような本実施例のサーバ監視操作システム100で、システムの管理者はラック102内に配置されたモニタ104、キーボード105およびマウス106を用いて、同じくラック102内に配置された第1〜第8のサーバ1011〜1018の監視や操作を行うことができる。また、クライアントコンピュータ108を用いて、第1〜第8のサーバ1011〜1018を遠隔操作することができる。このように第1〜第8のサーバ1011〜1018に対する監視や操作のためのデバイスは、モニタ104、キーボード105およびマウス106と、クライアントコンピュータ108によって二重化されている。
【0021】
しかも、ラック102内で、第1〜第8のサーバ1011〜1018とモニタ104、キーボード105およびマウス106は、統合管理モジュール103を介して接続されているので、配線はシンプルとなっている。しかも、第1〜第8のサーバ1011〜1018は、それぞれラック102内の適所に配置されていればよく、それぞれの筐体のサイズがまちまちであってもよい。
【0022】
図2は、このようなサーバ監視操作システムを構成する第1のサーバの入出力回路部分の概要を表わしたものである。図1に示した第2〜第8のサーバ1012〜1018も入出力回路部分について基本的に第1のサーバ1011と同一の回路構成となっている。したがって、第2〜第8のサーバ1012〜1018の回路構成の図示とこれらの説明は省略する。
【0023】
一例として示す第1のサーバ1011は、VGA(Video Graphics Array)コントローラ131と、入出力(I/O)コントローラ132と、BMCコントローラ133を備えている。VGAコントローラ131は、モニタ信号線135によってモニタインターフェース(I/F)回路136と接続されると共に、コンソール・BMC回路1211内の入力選択回路141および出力選択回路142と接続されている。入出力コントローラ132は、キーボード信号線137を介してキーボードインターフェース(I/F)回路138と接続されると共に、コンソール・BMC回路1211内の入力選択回路141および出力選択回路142と接続されている。また、入出力コントローラ132は、マウス信号線139を介してマウスインターフェース(I/F)回路140と接続されると共に、コンソール・BMC回路1211内の入力選択回路141および出力選択回路142と接続されている。BMCコントローラ133は、BMC信号線143によって管理用LANインターフェース(I/F)回路144と接続されると共に、コンソール・BMC回路1211内の入力選択回路141および出力選択回路142と接続されている。
【0024】
コンソール・BMC回路1211は、入力選択回路141および出力選択回路142と、これらの出力側あるいは入力側に配置されたトライステートバッファ等の入出力バッファ回路146、147を介して管理入出力信号線148によって管理入出力インターフェース(I/F)回路149と接続されている。
【0025】
図3は、統合管理モジュールの構成の概要を表わしたものである。統合管理モジュール103は、図1で説明した第1〜第8のポート1221〜1228に1つずつ対応して配置された第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518を備えている。第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518は、それぞれコンソール端子152とBMC端子153を備えている。
【0026】
第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518のコンソール端子152のそれぞれは、コンソール信号線1541〜1548によってコンソール切替回路155の一端に接続されている。コンソール切替回路155の他端は、モニタ信号線156によってモニタインターフェース回路124と接続され、キーボード信号線157によってキーボードインターフェース回路125に接続され、マウス信号線158によってマウスインターフェース回路126と接続されている。また、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518のBMC端子153のそれぞれは、BMC信号線1611〜1618によって統合BMC回路162の一端に接続され、統合BMC回路162の他端は、管理用信号線163によって管理用LANインターフェース回路123と接続されている。コンソール切替回路155と統合BMC回路162の間には、コンソールリンク信号線164が接続されている。
【0027】
統合BMC回路162は、図1に示したラック102全体を管理する図示しないBMCコントローラを備えている。本実施例のサーバ監視操作システム100でBMCコントローラは、ラック102内で統合BMC回路162に存在している。このBMCコントローラは、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518を経由して得られる第1〜第8のサーバ1011〜1018(図1)から送られてくる情報を基にして、これら第1〜第8のサーバ1011〜1018内の図示しないプロセッサや内部メモリ等のデバイスの監視のための各種センサ(図示せず)の出力をチェックして、ラック102全体を管理することになる。
【0028】
このようなサーバ監視操作システム100で、たとえば図2に示す第1のサーバ1011のBMCコントローラ133は、この第1のサーバ1011内の監視状況をBMC信号線143によって管理用LANインターフェース回路144とコンソール・BMC回路1211に送信するようになっている。コンソール・BMC回路1211は、図示しないエンコード回路によって図1に示したモニタ104、キーボード105およびマウス106の信号とBMC監視状況を管理入出力インターフェース回路149を介して図3に示す統合管理モジュール103側に送信し、統合管理モジュール103側でデコードさせるようになっている。また、図示しないデコード回路によってキーボード105およびマウス106の入力信号およびBMC制御信号をデコードするようになっている。
【0029】
具体的には、VGAコントローラ131からモニタ信号が入力されると、BMCコントローラ133は前記したエンコード回路によってこれをデジタル信号に変換する。また、BMCコントローラ133は入出力コントローラ132から送られてきたキーボード信号とマウス信号およびBMCコントローラ133から送られてきたBMC信号をそれぞれエンコード回路によってデジタル信号にエンコードする。そして、これらを管理入出力信号として管理入出力インターフェース回路149に送出することになる。
【0030】
一方、図1に示したクライアントコンピュータ108から統合管理モジュール103に入力された管理入出力信号は、図示しないデコード回路によりキーボード信号、マウス信号、BMC信号およびモニタ信号に変換する。そして、変換後のモニタ信号を第1〜第8のサーバ1011〜1018のうちの該当するものに送信させる。統合管理モジュール103は、ラック102内に収容されている第1〜第8のサーバ1011〜1018についてのコンソールおよびBMC情報を表示したり監視する機能を有している。
【0031】
この統合管理モジュール103内のコンソール切替回路155は、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518のいずれかで生成されたコンソール信号を選択して、モニタインターフェース回路124を介して、ラック102内に収容されているモニタ104に表示する。また、キーボード105やマウス106の入力情報は、キーボードインターフェース回路125あるいはマウスインターフェース回路126から統合管理モジュール103内のコンソール切替回路155に入力され、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518のうちの該当する回路に送信される。
【0032】
統合BMC回路162は、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518のそれぞれによってデコードされたBMC信号を受信してラック102内に配置された第1〜第8のサーバ1011〜1018全体の統合監視を行い、その結果を管理用LANインターフェース回路123およびLANケーブル107(図1)を介してクライアントコンピュータ108に伝達する。また、クライアントコンピュータ108から送られてくる制御信号を入力して、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518および第1〜第8のポート1221〜1228を介して第1〜第8のサーバ1011〜1018に送信し、これらの制御を行うようになっている。
【0033】
このようなサーバ監視操作システム100の動作を次に説明する。第1のサーバ1011を例に挙げる。図1に示す第1のサーバ1011のVGAコントローラ131から出力されるモニタ信号は、コンソール・BMC回路1211の図示しないエンコード回路によってアナログ・デジタル変換される。変換後のデジタル信号はエンコードされ、管理入出力信号として管理入出力ケーブル1271を介して統合管理モジュール103の第1のポート1221に送出される。第1のポート1221では、送られてきた信号を第1のコンソール・BMC回路1511に入力する。第1のコンソール・BMC回路1511から出力される信号は、他の第2〜第8のコンソール・BMC回路1512〜1518から出力される信号と共にコンソール切替回路155に入力される。コンソール切替回路155は、第1〜第8のサーバ1011〜1018のうちのラック102内のキーボード105によって選択されたVGA信号を選択して、モニタインターフェース回路124を介してモニタ104に送出し、これに視覚的な表示を行わせる。
【0034】
また、モニタ信号はコンソール切替回路155から統合BMC回路162にも入力される。統合BMC回路162に入力されたモニタ信号は、管理用LANインターフェース回路123から図2に示すLANケーブル107を介してクライアントコンピュータ108に送出される。これにより、クライアントコンピュータ108のモニタ111にも、第1のサーバ1011のVGAコントローラ131から出力されるモニタ信号が表示されることになる。第2〜第8のサーバ1012〜1018のVGAコントローラ131から出力されるモニタ信号についても同様である。
【0035】
次に、図2に示す第1のサーバ1011の入出力コントローラ132から出力されるキーボード信号あるいはマウス信号は、コンソール・BMC回路1211に入力され、アナログ・デジタル変換される。変換後のデジタル信号はエンコードされ、管理入出力信号として管理入出力ケーブル1271を介して統合管理モジュール103の第1のポート1221に送出される。第1のポート1221は、送られてきたキーボード信号あるいはマウス信号を第1のコンソール・BMC回路1511に入力する。第1のコンソール・BMC回路1511に入力されたこれらの信号は、第2〜第8のコンソール・BMC回路1512〜1518から出力されるキーボード信号あるいはマウス信号と共にコンソール切替回路155に入力される。コンソール切替回路155は、第1〜第8のサーバ1011〜1018のうちの選択されたキーボード信号あるいはマウス信号を選択して、キーボード105あるいはマウス106に送出する。
【0036】
また、図1に示したキーボード105あるいはマウス106の操作によってキーボード信号あるいはマウス信号が出力された場合、これらの信号は図3に示すキーボードインターフェース回路125あるいはマウスインターフェース回路126を介して統合管理モジュール103内のコンソール切替回路155に入力される。コンソール切替回路155は、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518のうちの該当する回路にキーボード信号あるいはマウス信号を送出する。
【0037】
ここで第1のコンソール・BMC回路1511にキーボード信号あるいはマウス信号が送出されたとする。第1のコンソール・BMC回路1511は、送出されてきたキーボード信号あるいはマウス信号をエンコードし、管理入出力信号を生成する。そしてこの管理入出力信号を第1のポート1221から図2に示す第1のサーバ1011に送出する。この管理入出力信号は、管理入出力インターフェース回路149を介してコンソール・BMC回路1211内に入力され、デコードされてキーボード信号あるいはマウス信号が生成される。生成されたキーボード信号あるいはマウス信号は、入出力コントローラ132に送出される。
【0038】
この第1のサーバ1011の入出力コントローラ132に送出されたキーボード信号あるいはマウス信号は、図3に示すコンソールリンク信号線164を介して統合BMC回路162にも送出される。統合BMC回路162は、このキーボード信号あるいはマウス信号を管理用LANインターフェース回路123およびLANケーブル107を介してクライアントコンピュータ108に送出する。クライアントコンピュータ108側ではこれらの送信されてきた信号に対して、そのキーボード112およびマウス113を用いることで、第1のサーバ1011を同様に操作することができる。第2〜第8のサーバ1012〜1018についても同様である。
【0039】
一方、たとえば第1のサーバ1011のBMCコントローラ133から出力されるBMC信号は、コンソール・BMC回路1211内の前記したエンコード回路によりエンコードされ、管理入出力信号として管理入出力インターフェース回路149から統合管理モジュール103に送信される。統合管理モジュール103は、第1〜第8のサーバ1011〜1018から送られてきた管理入出力信号を受信すると、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518でこれら受信した管理入出力信号をデコードする。そしてこれにより生成されたそれぞれのBMC信号を、第1〜第8のコンソール・BMC回路1511〜1518のBMC端子153から統合BMC回路162に送出することになる。統合BMC回路162は、ラック102内の第1〜第8のサーバ1011〜1018の状態の監視および制御を行う。すなわち統合BMC回路162は、管理用信号線163に接続された管理用LANインターフェース回路123を介して図1に示したクライアントコンピュータ108と接続され、監視結果をこのクライアントコンピュータ108のモニタ111に表示すると共に、キーボード112およびマウス113によって制御を受けることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施例によれば、ラック102内に個々のサーバ1011〜1018と入出力デバイスとしてのモニタ104、キーボード105およびマウス106と共に統合管理モジュール103を配置したので、ラック102自体で各サーバ1011〜1018の監視や操作を行うことができ、しかもモニタ切替器等の入出力デバイスの切替器が不要である。また、ラック102内では個々のサーバ1011〜1018と統合管理モジュール103の間でサーバ101の数だけの管理入出力ケーブル1271〜1278と、統合管理モジュール103とモニタ104、キーボード105およびマウス106の間を結ぶ1組のモニタケーブル128、キーボードケーブル129およびマウスケーブル130を必要とするだけなので、配線がシンプルとなり、サーバ101の数の増加に十分対応することができる。また、ラック102内にサーバ1011〜1018を配置するので、これらはブレードサーバに限定されず、自由な組み合わせでサーバ監視操作システム100を構成することができる。
【0041】
しかも、図2に示す管理入出力インターフェース回路149と図3に示す第1のポート1221を接続する管理入出力ケーブル1271の図示しないコネクタは、パーソナルコンピュータに用いられるUSB(Universal Serial Bus)コネクタのように、第1のサーバ1011および統合管理モジュール103が共に動作状態でも抜き差しできるようになっている。この結果、統合管理モジュール103が常時動作している状態で、図1に示した第1〜第8のサーバ1011〜1018のうちのいずれかを交換したり、第1〜第8のポート1221〜1228の数の範囲内で増設することができる利点がある。
【0042】
更に実施例ではサーバ1011〜1018の監視や操作をラック102内のモニタ104、キーボード105およびマウス106で行うだけでなく、LANケーブル107に接続されたクライアントコンピュータ108でも行うことができる。このように監視や操作のための手段を二重化することで、サーバ監視操作システム100の信頼性を高めることができる。
【0043】
<発明の変形例>
【0044】
図4は、本発明の変形例におけるサーバ監視操作システムの構成を表わしたものである。図4で図1と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。この変形例のサーバ監視操作システム100Aで、第2〜第8のサーバ1012〜1018は、実施例と同一の構成となっている。これに対して第1のサーバ201は、実施例で説明したと同一のサーバ1011としての構成に、図3に詳細に示した統合管理モジュール103としての構成を加えた形となっている。
【0045】
このため、第1のサーバ201には、図2に示した管理入出力インターフェース回路149と図3に示した第1のポート1221を接続する管理入出力ケーブル1271は存在せず、図示しない基板上には管理入出力インターフェース回路149と第1のポート1221に相当する回路とこれらを接続する基板パターンが配置されている。また、この変形例では、第1のサーバ201の筐体のサイズが実施例の第1のサーバ1011のサイズと同一であると仮定すると、実施例で統合管理モジュール103がその図示しない筐体に収容されてラック102内に配置されていたスペースを省略することができる。したがって、この余剰スペースを他の増設される図示しないサーバや同じく図示しないUPS(Uninterruptible Power Supply)等の設備に使用することができる。
【0046】
なお、この変形例では統合管理モジュール103を第1のサーバ201に組み込んだが、図1に示すモニタ104、キーボード105およびマウス106を組み込んだ図示しないコンソールドロア内にこの統合管理モジュール103を組み込むようにしてもよい。これによっても統合管理モジュール103の配置されていたスペースを空きスペースとして利用することができる。
【0047】
以上説明した実施例および変形例では、第1〜第8のサーバ1011〜1018の操作をキーボード105、112とマウス106、113により行ったが、他の入力デバイスを使用してもよいことは当然である。また、ラック102にLANケーブル107を介して遠隔操作用のクライアントコンピュータ108を接続したが、遠隔操作の手段はこれ以外の通常使用される有線、無線の各手段を適用できることは当然である。更に実施例および変形例ではラック102に第1〜第8のサーバ1011〜1018として8台のサーバを収容したが、台数がこれに限定されるものでないことも当然である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例におけるサーバ監視操作システムの構成の概要を表わしたシステム構成図である。
【図2】本実施例における第1のサーバの入出力回路部分の概要を表わしたブロック図である。
【図3】本実施例の統合管理モジュールの構成の概要を表わしたブロック図である。
【図4】本発明の変形例におけるサーバ監視操作システムの構成の概要を表わしたシステム構成図である。
【符号の説明】
【0049】
100、100A サーバ監視操作システム
1011〜1018 第1〜第8のサーバ
102 ラック
103 統合管理モジュール
104、111 モニタ
105、112 キーボード
106、113 マウス
107 LANケーブル
108 クライアントコンピュータ
121 コンソール・BMC回路
127 管理入出力ケーブル
128 モニタケーブル
129 キーボードケーブル
130 マウスケーブル
131 VGAコントローラ
132 入出力コントローラ
133 BMCコントローラ
1511〜1518 第1〜第8のコンソール・BMC回路
155 コンソール切替回路
162 統合BMC回路
164 コンソールリンク信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのラック内に収容された複数のサーバと、
前記ラック内に収容され、前記複数のサーバの監視や操作を行うための1組の入出力デバイスと、
前記複数のサーバと前記1組の入出力デバイスの間に接続され、前記複数のサーバから前記1組の入出力デバイスへの信号の集約と前記1組の入出力デバイスから前記複数のサーバへの信号の分配を行う統合管理手段
とを具備することを特徴とするサーバ監視操作システム。
【請求項2】
1つのラック内に収容された複数のサーバと、
前記ラック内に収容され、前記複数のサーバの監視や操作を行うための1組の入出力デバイスと、
前記ラック内で前記複数のサーバとは別に配置され、自装置および前記複数のサーバから前記1組の入出力デバイスへの信号の集約と前記1組の入出力デバイスから自装置および前記複数のサーバへの信号の分配を行う統合管理手段を内蔵した統合管理手段内蔵サーバ
とを具備することを特徴とするサーバ監視操作システム。
【請求項3】
1つのラック内に収容された複数のサーバと、
前記ラック内に配置され、前記複数のサーバを監視したり操作するための1組の入出力デバイスと、前記複数のサーバと前記1組の入出力デバイスの間に接続され、前記複数のサーバから前記1組の入出力デバイスへの信号の集約と前記1組の入出力デバイスから前記複数のサーバへの信号の分配を行う統合管理手段とを備えたコンソールドロア
とを具備することを特徴とするサーバ監視操作システム。
【請求項4】
前記ラック外に配置され前記統合管理手段と通信手段で接続されて、前記複数のサーバの監視や操作を行う外部操作監視手段を具備することを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のサーバ監視操作システム。
【請求項5】
前記複数のサーバと前記統合管理手段は、共に動作状態でこれらの間のケーブルの抜き差しが可能なインターフェース回路を具備することを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のサーバ監視操作システム。
【請求項6】
前記統合管理手段は、前記複数のサーバ内部の動作状態の監視や制御を行うコントローラとしてのBMCコントローラを具備することを特徴とする請求項1記載のサーバ監視操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−129869(P2008−129869A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314585(P2006−314585)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)