説明

サーボライタ及び方法、並びにディスク

【課題】サーボライト不良を確実に削減する。
【解決手段】ヘッド制御回路33は、記録サーボ信号を、磁気ヘッド用AGC回路32を介して磁気ヘッド5に送る。磁気ヘッド5は、入力された記録サーボ信号をフレキシブル磁気ディスク3に記録する。ヘッド制御回路33は、サーボライトを開始または再開してから10分毎に、磁気ヘッド5の駆動を制御して、サーボライトを停止し、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号の読み取りを行う。磁気ヘッド5は、読取サーボ信号を、磁気ヘッド用プリアンプ31を介してコンパレータ34に送る。コンパレータ34は、読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上か否かを判定する。コンパレータ34で、読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上ではないと判定された場合には、ヘッド制御回路33は、以降のサーボライトを中止する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル磁気ディスクにサーボ信号を記録するサーボライタ及び方法、並びにディスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスクドライブ装置に装填されるフレキシブル磁気ディスクには、ディスクドライブ装置の記録/再生ヘッドの位置を制御するためのサーボ信号が記録されている。このサーボ信号は、サーボライタで記録される。サーボライタは、スピンドルモータと磁気ヘッドとを備え、スピンドルモータでフレキシブル磁気ディスクを回転させ、回転させた状態のフレキシブル磁気ディスクに磁気ヘッドによりサーボ信号を記録する。
【0003】
磁気ヘッドにより多量のフレキシブル磁気ディスクにサーボ信号を記録すると、磁気ヘッドの記録性能が悪化するため、定期的に磁気ヘッドを交換する必要がある。磁気ヘッドが正規な取付位置からずれた位置に取り付けられた場合には、磁気ヘッドにより、正常にサーボ信号を記録することができないという問題があった。そこで、そこで、特許文献1のサーボトラックライターでは、新たに取り付けた磁気ヘッドにより、校正用ディスクに記録された信号を再生し、得られた信号に基づいて、新たな磁気ヘッドに対応する校正処理を行っている。
【特許文献1】特開2002−208242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1は、磁気ヘッドを新たなものに交換する場合の校正処理であり、磁気ヘッドによる信号記録性能が悪化した場合のサーボライト中のサーボライト不良を削減することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、磁気ヘッドの信号記録性能の悪化に起因するサーボライト不良を確実に削減することができるサーボライタ及び方法、並びにディスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のサーボライタは、ディスクを回転させるスピンドルモータと;前記スピンドルモータにより回転された前記ディスクにサーボ信号を含む信号の記録及び読み取りを行う磁気ヘッドと;を有するサーボライタにおいて、予め設定された設定契機に応答して、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を停止する停止制御手段と;前記停止制御手段による停止制御後に、前記磁気ヘッドによる信号の読み取りを行う読取制御手段と;前記磁気ヘッドにより読み取られた信号の出力レベルが、予め設定された設定出力レベル以上であるか否かを判定する判定手段と;前記判定手段で前記設定出力レベル以上ではないと判定されたときに、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を中止する中止制御手段と;を備えたことを特徴とする。
【0007】
なお、前記ディスクとしては、フレキシブル磁気ディスク、ハードディスク等が挙げられる。また、前記設定出力レベルとしては、その出力レベル以上であれば、磁気ヘッドによりディスクに正常にサーボ信号が記録されていると判断される数値であることが好ましい。さらに、前記磁気ヘッドにより読み取られた信号は微弱な信号であるため、前記判定手段による判定を行う前に、プリアンプ等で増幅することが好ましく、さらには、前記磁気ヘッドにより読み取られ前記判定手段に入力される信号は、AGC(Automatic Gain Contorol)回路等で波形を強制的に制御していない、いわゆる生波形の信号であることが好ましい。
【0008】
また、前記設定契機としては、前記磁気ヘッドにより予め設定された設定時間前記ディスクにサーボ信号を記録したこと、前記磁気ヘッドにより予め設定された設定枚数の前記ディスクにサーボ信号を記録したこと、前記磁気ヘッドにより予め設定されたトラック数のサーボ信号を前記ディスクに記録したこと等が挙げられる。さらに、前記判定手段で前記設定出力レベル以上ではないと判定されたときに、前記ディスクに記録されたサーボ信号を消去することが好ましい。
【0009】
また、前記判定手段で前記設定出力レベル以上であると判定されたときに、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を再開する再開制御手段を備えることが好ましい。
【0010】
さらに、前記読取制御手段は、前記ディスクに記録されたサーボ信号の読み取りを行うこと、または、前記読取制御手段は、予め設定された設定ディスクに記録された設定信号の読み取りを行うことが好ましい。なお、前記設定信号としては、サーボライタで記録しているサーボ信号や、サーボ信号とは異なる編集した信号(例えば、単一波形パターン信号)等が挙げられる。また、前記読取制御手段が、前記磁気ヘッドにより前記設定ディスクに記録された設定信号の読み取りを行う場合には、サーボ信号が記録された前記ディスクをサーボライタから取り外し、前記設定ディスクを前記スピンドルモータにセットする。
【0011】
また、本発明のサーボライト方法は、ディスクを回転させ、回転された前記ディスクに、サーボ信号を含む信号の記録及び読み取り可能な磁気ヘッドによりサーボ信号を記録するサーボライト方法において、予め設定された設定契機に応答して、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を停止し、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録停止後に、前記磁気ヘッドによる信号の読み取りを行い、前記磁気ヘッドにより読み取られた信号の出力レベルが、予め設定された設定出力レベル以上であるか否かを判定し、前記設定出力レベル以上ではないと判定されたときに、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を中止することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のディスクは、上記したサーボライタでサーボ信号を記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のサーボライタによれば、ディスクを回転させるスピンドルモータと;スピンドルモータにより回転されたディスクにサーボ信号を含む信号の記録及び読み取りを行う磁気ヘッドと;予め設定された設定契機に応答して、磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を停止する停止制御手段と;停止制御手段による停止制御後に、磁気ヘッドによる信号の読み取りを行う読取制御手段と;磁気ヘッドにより読み取られた信号の出力レベルが、予め設定された設定出力レベル以上であるか否かを判定する判定手段と;判定手段で設定出力レベル以上ではないと判定されたときに、磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を中止する中止制御手段と;を備えたから、磁気ヘッドの信号記録性能が悪化し、サーボ信号が正常に記録されていない場合には、直ぐにサーボライトを停止することにより、不良品の発生を防ぐことができる。
【0014】
また、判定手段で設定出力レベル以上であると判定されたときに、磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を再開する再開制御手段を備えたから、正常にサーボ信号が記録されているディスクには、継続してサーボ信号を記録することができる。
【0015】
さらに、本発明のサーボライト方法によれば、ディスクを回転させ、回転されたディスクに、サーボ信号を含む信号の記録及び読み取り可能な磁気ヘッドによりサーボ信号を記録するサーボライト方法において、予め設定された設定契機に応答して、磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を停止し、磁気ヘッドによるサーボ信号の記録停止後に、磁気ヘッドによる信号の読み取りを行い、磁気ヘッドにより読み取られた信号の出力レベルが、予め設定された設定出力レベル以上であるか否かを判定し、設定出力レベル以上ではないと判定されたときに、磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を中止するから、磁気ヘッドの信号記録性能が悪化し、サーボ信号が正常に記録されていない場合には、直ぐにサーボライトを停止することにより、不良品の発生を防ぐことができる。
【0016】
また、本発明のディスクによれば、上記したサーボライタでサーボ信号を記録したから、磁気ヘッドの信号記録性能の悪化に起因する不良品を削減することができ、1枚当たりのコストを下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1、図2及び図3に示すように、本発明を実施したサーボライタ2は、フレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を記録するものであり、スピンドルモータ4、磁気ヘッド5が先端部に取り付けられたサスペンションアーム6、制御部7、ディスク保持ケース8を備える。ディスク保持ケース8は、ケース移動機構9により、フレキシブル磁気ディスク3を保持する保持位置(図3参照)とこの保持位置から退避した退避位置(図1及び図2参照)との間で移動可能に設けられている。ケース移動機構9は、シーケンス回路37(図4参照)に接続されており、シーケンス回路37により駆動が制御される。
【0018】
フレキシブル磁気ディスク3は、両面に磁性層がコーティングされており、中心部にディスク孔3aが形成されている。フレキシブル磁気ディスク3の下面の中心部には、金属製のセンターコア15が両面テープ等により取り付けられている。センターコア15は、円盤状に形成されており、中心部には挿通孔15aが形成され、下面にはスピンドルヘッド27と係合するためのリング状の係合凸部が形成されている。
【0019】
磁気ヘッド5は、フレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号の記録,読み取り及び消去を行うためのものであり、サスペンションアーム6の先端部に取り付けられている。磁気ヘッド5は、ヘッド本体を備え、ヘッド本体は、フレキシブル磁気ディスク3に記録するデータに対応する電気信号を磁界に変換する記録素子から構成されている。磁気ヘッド5は、詳しくは後述する磁気ヘッド用プリアンプ31、磁気ヘッド用AGC回路32を介してヘッド制御回路33(図4参照)に接続されており、ヘッド制御回路33により駆動が制御され、フレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号の記録を行う。
【0020】
サスペンションアーム6は、弾性変形可能な薄板金属製の上ロードビーム17及び下ロードビーム18を備える。上ロードビーム17及び下ロードビーム18は、VCM(ヴォイスコイルモータ)から構成されるロードモータ19のモータシャフト19aに回転自在に取り付けられている。ロードモータ19の駆動により上ロードビーム17及び下ロードビーム18は回転する。上ロードビーム17の下面先端部及び下ロードビーム18の上面先端部には、磁気ヘッド5が取り付けられている。サスペンションアーム6は、回転させると、上ロードビーム17と下ロードビーム18との間にフレキシブル磁気ディスク3が入り込む機構により、フレキシブル磁気ディスク3を挟み込む状態となるように配設されている。これにより、フレキシブル磁気ディスク3の上下両面にサーボ信号を記録することができる。ロードモータ19は、詳しくは後述するエンコーダ回路35(図4参照)に接続されており、エンコーダ回路35により駆動が制御される。ロードモータ19は、スピンドルモータ4が固定されるベース板(図示せず)に固定されている。
【0021】
なお、磁気ヘッド5は、弾性変形する上ロードビーム17及び下ロードビーム18により、常に一定の力でフレキシブル磁気ディスク3に押し付けられる方向に付勢される。
【0022】
ディスク保持ケース8は、フレキシブル磁気ディスク3の上下両面を保持するためのものであり、フレキシブル磁気ディスク3が挿入される凹状のディスク挿入部8aが形成されている。このディスク挿入部8aは、フレキシブル磁気ディスク3が挿入されるときの入口がフレキシブル磁気ディスク3のガイドとしてテーパ状に形成されている。
【0023】
ディスク挿入部8aの上下両面には、フレキシブル磁気ディスク3の表面塵埃を除去するとともに傷つくのを防止するためのライナー(図示せず)が貼り付けられている。ディスク保持ケース8には、サスペンションアーム6の移動を可能にするとともに、センターコア15及びスピンドルヘッド27の回転を可能にするための切欠き8bが形成されている。
【0024】
なお、ディスク保持ケース8を、退避位置から保持位置まで移動させるときには、フレキシブル磁気ディスク3を停止した状態、または、フレキシブル磁気ディスク3とディスク保持ケース8とが接触してもディスクの傷付きが起こりにくい低速(例えば、300rpm以下)で回転させた状態で移動させるように設定されている。本実施形態では、フレキシブル磁気ディスク3を200rpmで回転させた状態で、ディスク保持ケース8を、退避位置から保持位置まで移動させるようにされている。
【0025】
スピンドルモータ4は、フレキシブル磁気ディスク3を回転させるためのものであり、モータ本体26とスピンドルヘッド27とを備える。モータ本体26は、詳しくは後述するスピンドルコントローラ36に接続されており、スピンドルコントローラ36により駆動が制御される。モータ本体26が駆動すると、スピンドルヘッド27が回転する。スピンドルモータ4は、ベース板(図示せず)に固定されている。
【0026】
スピンドルヘッド27は、円柱状に形成されており、上面には、第1のフレキシブル磁気ディスク3のセンターコア15の係合凸部が挿入される係合凹部27aが形成されている。スピンドルヘッド27の内部には、磁石が120°ピッチで3個埋め込まれており、係合凹部27aにセンターコア15の係合凸部を挿入してセンターコア15とスピンドルヘッド27とを係合させ位置決めする(以下、フレキシブル磁気ディスク3をスピンドルヘッド27にセットと称する)と、磁石の磁気により金属製のセンターコア15が保持される。なお、スピンドルヘッド27に埋め込む磁石の個数は適宜変更可能であり、リング状に連続して構成した磁石を用いてもよい。
【0027】
フレキシブル磁気ディスク3にサーボライト(サーボ信号の記録)するときには、制御部7は、フレキシブル磁気ディスク3を3600rpmで回転させるように、モータ本体26の駆動を制御する。
【0028】
図4に示すように、サーボライタ2には、磁気ヘッド用プリアンプ31、磁気ヘッド用AGC回路32、ヘッド制御回路33、コンパレータ(判定手段)34、エンコーダ回路35、スピンドルコントローラ36、シーケンス回路37、外部IF回路38が設けられている。また、サーボライタ2には、クロックヘッド40、クロックヘッド用プリアンプ41、クロックヘッド用AGC回路42、クロックディスク43が設けられている。ヘッド制御回路33、コンパレータ34、エンコーダ回路35、スピンドルコントローラ36、シーケンス回路37、外部IF回路38は、データバス39を介してそれぞれ接続されている。ヘッド制御回路33には、磁気ヘッド5及びクロックヘッド40の書き込み時に駆動する書込部33aと、磁気ヘッド5及びクロックヘッド40の読み取り時に駆動する読取部33bと、が設けられている。
【0029】
磁気ヘッド5は、フレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を含む信号の記録及び読み取りを行うものである。先ず、磁気ヘッド5で、フレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を記録するときの制御の流れを説明する。磁気ヘッド5は、ヘッド制御回路33の書込部33aに接続されている。ヘッド制御回路33は、磁気ヘッド5によりフレキシブル磁気ディスク3に記録するサーボ信号の周波数を決定するとともに、決定した周波数のサーボ信号を生成する。書込部33aは、決定した周波数のサーボ信号(以下、記録サーボ信号と称する)を、磁気ヘッド5に送る。そして、磁気ヘッド5は、入力された記録サーボ信号をフレキシブル磁気ディスク3に記録する。
【0030】
なお、ヘッド制御回路33は、フレキシブル磁気ディスク3がスピンドルヘッド27にセットされ、ディスク保持ケース8が保持位置まで移動したことに応答して、記録サーボ信号を生成する。本実施形態では、1枚のフレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を記録するために、20分要するようにされている。なお、この1枚のフレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を記録するために要する時間は、フレキシブル磁気ディスク3に記録するサーボ信号の記録容量に応じて、適宜変更可能されるものである。
【0031】
次に、磁気ヘッド5で、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号を読み取るときの制御の流れを説明する。ヘッド制御回路33の読取部33bは、サーボライト(サーボ信号の記録)を開始または再開してから、予め設定された設定時間(例えば、5分)経過毎に、磁気ヘッド5の駆動を制御して、フレキシブル磁気ディスク3へのサーボ信号の記録(サーボライト)を停止し、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号の読み取りを行う。このため、ヘッド制御回路33には、タイマーが設けられている。本実施形態では、ヘッド制御回路33の読取部33bは、設定時間経過毎(予め設定された設定契機)に、磁気ヘッド5によるサーボ信号の記録を停止する停止制御手段、及びサーボライトの停止制御後に、磁気ヘッド5による信号の読み取りを行う読取制御手段としても機能する。なお、上記した設定時間は、適宜変更可能である。
【0032】
磁気ヘッド5は、磁気ヘッド用プリアンプ31、磁気ヘッド用AGC回路32を介してヘッド制御回路33の読取部33bに接続され、さらに、磁気ヘッド用プリアンプ31を介してコンパレータ34に接続されている。磁気ヘッド5は、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号を読み取り、読み取ったサーボ信号(以下、読取サーボ信号と称する)を磁気ヘッド用プリアンプ31に送る。磁気ヘッド用プリアンプ31は、入力された読取サーボ信号を増幅して磁気ヘッド用AGC回路32及びコンパレータ34に送る。磁気ヘッド用AGC回路32は、入力された読取サーボ信号を増幅・調整して、ヘッド制御回路33の読取部33bに送る。このフレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号の読み取りは、サーボライトが終了するまで繰り返し行われるようにされている。すなわち、本実施形態では、1枚のフレキシブル磁気ディスク3にサーボライト(20分間)するときに、5分毎にトータル4回、後述する正常にサーボ信号を記録しているかの判定を行うようにされている。なお、上記したサーボライトの停止制御は、一時的な停止制御であり、後述するサーボライトの中止制御とは異なる制御である。
【0033】
磁気ヘッド5は、サーボライトを行うにつれて、表面に塵埃が付着したり、劣化したりして、信号記録性能が悪くなることがあり、さらには、記録性能が悪化して、正常にサーボ信号を記録することができないことがある。正常にサーボ信号を記録することができない磁気ヘッド5で、最後までフレキシブル磁気ディスク3にサーボライトすることは、不良品のフレキシブル磁気ディスク3を製造するだけでなく、時間当たりのレキシブル磁気ディスク3の製造数量が減少することにもなる。このため、サーボライト中に、磁気ヘッド5が正常にサーボ信号を記録しているかをチェックする必要がある。
【0034】
コンパレータ(判定手段)34は、磁気ヘッド用プリアンプ31を介して磁気ヘッド5から入力された読取サーボ信号の出力レベルが、予め設定された設定出力レベル以上か否か(読取サーボ信号が正常か否か)を判定するものである。コンパレータ34には、メモリ45が設けられており、メモリ45には、上記した設定出力レベルとしてのスライスレベル信号が記憶されている。コンパレータ34は、入力された読取サーボ信号とスライスレベル信号とを比較して、読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上か否かを判定する。この読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上か否かの判定は、サーボライトが終了するまで繰り返し行われるようにされている。なお、上記した設定出力レベルは、その出力レベル以上であれば、磁気ヘッド5によりフレキシブル磁気ディスク3に正常にサーボ信号が記録されている(読取サーボ信号が正常である)と判断される数値を示す。また、コンパレータ34は、入力された読取サーボ信号を、ヘッド制御回路33の読取部33bに入力する。
【0035】
磁気ヘッド用AGC回路32を介して、ヘッド制御回路33の読取部33bに入力される読取サーボ信号は、磁気ヘッド用AGC回路32で強制的に制御されたものであり、この強制的に制御した読取サーボ信号を、コンパレータ34での上記した判定に用いると、正確な判定を行うことができない。このため、本実施形態では、コンパレータ34には、磁気ヘッド用プリアンプ31により増幅された読取サーボ信号を入力する。磁気ヘッド用プリアンプ31からコンパレータ34に入力された読取サーボ信号は、増幅はされているが、強制的に制御されたものではないため、コンパレータ34での上記した判定を、正確に行うことができる。
【0036】
コンパレータ34は、読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上である(読取サーボ信号が正常である)と判定した場合には、データバス39を介してヘッド制御回路33に、サーボライト(サーボ信号の記録)を再開させるための記録再開信号を送る。ヘッド制御回路33は、記録再開信号が入力されたことに応答して、サーボライトを再開する。本実施形態では、ヘッド制御回路33は、コンパレータ34で読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上であると判定されたときに、磁気ヘッド5によるサーボ信号の記録を再開する再開制御手段としても機能する。
【0037】
一方、コンパレータ34は、読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上ではない(読取サーボ信号が正常ではない)と判定した場合には、データバス39を介してヘッド制御回路33に記録中止信号を送る。ヘッド制御回路33は、記録中止信号が入力されたことに応答して、以降のサーボライトを中止する制御を行う(磁気ヘッド用AGC回路32に記録サーボ信号を送るのを停止する)。なお、上記したサーボライトの中止制御は、上記した一時的な停止制御とは異なり、以降のサーボライトを行わないようにする制御である。本実施形態では、ヘッド制御回路33は、コンパレータ34で、読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上ではないと判定されたときに、磁気ヘッド5によるサーボ信号の記録を中止する中止制御手段としても機能する。
【0038】
エンコーダ回路35は、ロードモータ19に接続されており、ロードモータ19の駆動を制御する。エンコーダ回路35とヘッド制御回路33とは、相関関係となる(記録サーボ信号が記録されるフレキシブル磁気ディスク3の位置が、正規の位置になる)ように、互いに情報の送受信を行っている。
【0039】
スピンドルコントローラ36は、スピンドルモータ4のモータ本体26に接続されており、モータ本体26の駆動を制御する。
【0040】
シーケンス回路37は、ケース移動機構9に接続されており、ケース移動機構9の駆動を制御する。
【0041】
外部IF回路38は、サーボライタ2を複数台稼働させたときに、フレキシブル磁気ディスク3の供給及び取り出しを行う装置(例えば、ロボット等)と電気信号の送受信を行うとともに、ネットワーク接続に用いられる。
【0042】
クロックディスク43は、スピンドルヘッド27に取り付けられており、スピンドルヘッド27の回転とともに回転する。クロックディスク43は、フレキシブル磁気ディスク3と同一の回転中心となるようにスピンドルヘッド27に取り付けられている。クロックディスク43には、クロック信号が記録されている。
【0043】
クロックヘッド40は、クロックディスク43にクロック信号の記録及び読み取りを行うものであり、クロックヘッド用プリアンプ41、クロックヘッド用AGC回路42を介して、ヘッド制御回路33に接続されている。先ず、クロックヘッド40で、クロックディスク43に記録されたクロック信号を読み取るときの制御の流れを説明する。ヘッド制御回路33の読取部33bは、サーボライト(サーボ信号の記録)が開始されたことに応答して、クロックヘッド40の駆動を制御して、クロックディスク43に記録されたクロック信号を読み取る。クロックヘッド40は、読み取ったクロック信号(以下、読取クロック信号と称する)をクロックヘッド用プリアンプ41に送る、クロックヘッド用プリアンプ41は、入力された読取クロック信号を増幅して、クロックヘッド用AGC回路42に送る。クロックヘッド用AGC回路42は、入力された読取クロック信号を増幅・調整して、ヘッド制御回路33に送る。そして、ヘッド制御回路33は、入力された読取クロック信号に基づいて、フレキシブル磁気ディスク3の回転角度を検出し、この検出結果に基づいて、磁気ヘッド5の駆動を制御してサーボ信号の記録を行う。
【0044】
次に、クロックヘッド40で、クロックディスク43にクロック信号を記録するときの制御の流れを説明する。クロックヘッド40によりクロックディスク43に記録されたクロック信号の読み取りを行うにつれて、クロックディスク43に記録されたクロック信号のパターンが劣化し、クロックヘッド40によりクロック信号を読み取ることができないことがある。このため、予め設定された契機毎(例えば、1日に1回)に、クロックヘッド40によりクロックディスク43にクロック信号を記録(上書き)する必要がある。クロックヘッド40は、ヘッド制御回路33の書込部33aに接続されている。ヘッド制御回路33は、クロックヘッド40によりクロックディスク43に記録するクロック信号の周波数を決定するとともに、決定した周波数のクロック信号を生成する。書込部33aは、決定した周波数のクロック信号(以下、記録クロック信号と称する)を、クロックヘッド40に送る。そして、クロックヘッド40は、入力された記録クロック信号をクロックディスク43に記録する。なお、上記した予め設定された契機は、適宜変更可能であり、例えば、予め設定された枚数(適宜変更可能)のフレキシブル磁気ディスク3にサーボライトしたことに応じて、クロックヘッド40によりクロックディスク43にクロック信号を記録(上書き)するようにしてもよい。
【0045】
クロックヘッド40によりクロックディスク43に記録クロック信号を記録した後、ヘッド制御回路33は、クロックディスク43に記録クロック信号が正常に記録されたか否かを判定(クロックヘッド40によりクロックディスク43に記録されたクロック信号を読み取り、この読取クロック信号が正常か否かを判定)する。本実施形態では、この判定で記録クロック信号が正常に記録されていると判定された場合にのみ、サーボライタ2によるサーボライトを再開するようにされている。このため、クロックヘッド40によりクロックディスク43に記録クロック信号を記録する工程、及び、クロックディスク43に記録クロック信号が正常に記録されたか否かを判定する工程は、フレキシブル磁気ディスク3がスピンドルヘッド27にセットされていない状態で行うようにされている。
【0046】
上記のように構成されたサーボライタ2の作用について、図5のフローチャートを用いて説明を行う。フレキシブル磁気ディスク3をスピンドルヘッド27にセットし(ステップ(以下、S)1)、ディスク保持ケース8を保持位置まで移動させる(S2)と、ヘッド制御回路33は、記録サーボ信号を生成して、磁気ヘッド5に送る(S3)。そして、磁気ヘッド5は、入力された記録サーボ信号をフレキシブル磁気ディスク3に記録する(S4)。
【0047】
次に、ヘッド制御回路33は、サーボライトが開始または再開されてから5分(予め設定された設定時間)経過したか否かを判定する(S5)。ヘッド制御回路33の読取部33bは、5分経過したと判定された場合には、磁気ヘッド5の駆動を制御して、サーボライトを停止する(S6)。そして、読取部33bは、磁気ヘッド5の駆動を制御して、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号を読み取り(S7)、読取サーボ信号を磁気ヘッド用プリアンプ31で増幅してコンパレータ34に送る(S8)。一方、ヘッド制御回路33は、5分経過していないと判定された場合には、記録サーボ信号を生成して磁気ヘッド5に送り(S3)、サーボライトを続行する。
【0048】
コンパレータ34は、入力された読取サーボ信号と、メモリ45に記憶されたスライスレベル信号とを比較して、読取サーボ信号の出力レベルが、設定出力レベル以上であるか否か(読取サーボ信号が正常であるか否か)を判定する(S9)。コンパレータ34は、読取サーボ信号の出力レベルが、設定出力レベル以上である(読取サーボ信号が正常である)と判定した場合には、データバス39を介してヘッド制御回路33に、サーボライトを再開させるための記録再開信号を送る(S10)。ヘッド制御回路33は、記録再開信号が入力されたことに応答して、記録サーボ信号を生成して磁気ヘッド5に送り(S3)、サーボライトを再開する。
【0049】
一方、コンパレータ34は、読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上ではない(読取サーボ信号が正常ではない)と判定した場合には、データバス39を介してヘッド制御回路33に記録中止信号を送る(S11)。ヘッド制御回路33は、記録中止信号が入力されたことに応答して、以降のサーボライトを中止する制御を行う(S12)。
【0050】
サーボライトを中止した後の工程としては、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号を消去する、フレキシブル磁気ディスク3を廃棄する等、適宜な工程に移行されるものである。なお、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号を消去した後の工程としては、再度磁気ヘッド5の駆動を制御して、フレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を記録する、当該フレキシブル磁気ディスク3をサーボライタ2から取り外し、他のサーボライタでサーボ信号を記録する等、適宜な工程に移行されるものである。また、同一のサーボライタ2、または他のサーボライタに係わらず、再度サーボ信号を記録したときに、コンパレータ34で、読取サーボ信号が正常ではないと判定された場合には、フレキシブル磁気ディスク3自体に不具合(例えば、面ブレが大きい等)がある可能性が大きいため、直ちに当該フレキシブル磁気ディスク3を廃棄することが好ましい。
【0051】
このように、定期的(サーボライトを開始または再開してから5分経過毎)に、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号を読み取り、この読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上であるか否か(読取サーボ信号が正常であるか否か)を判定し、読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上ではない(読取サーボ信号が正常ではない)と判定した場合には、ヘッド制御回路33は、以降のサーボライトを中止する制御を行うから、磁気ヘッド5の信号記録性能に異常(例えば、劣化、塵埃の付着、不良品等)があり、サーボ信号が正常に記録されていないときには、直ぐにサーボライトを中止することができる。これにより、異常なサーボ信号が記録されているフレキシブル磁気ディスク3(商品として不良品)に最後までサーボ信号を記録するという無駄を省くことができ、時間当たりのフレキシブル磁気ディスク3の製造数量を増やすことができる。
【0052】
また、読取サーボ信号の出力レベルが、設定出力レベル以上であると判定された場合には、サーボライトを再開するから、正常にサーボ信号が記録されているフレキシブル磁気ディスク3には、継続してサーボ信号を記録することができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、1枚のフレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を記録するサーボライタ2に本発明を実施したが、複数枚のフレキシブル磁気ディスク3に同時にサーボ信号を記録するサーボライタにも実施可能であり、この場合には、サスペンションアーム6、ディスク保持ケース8、上ヘッドセンサ31及び下ヘッドセンサ32を、フレキシブル磁気ディスク3の枚数分設ける。また、複数枚のフレキシブル磁気ディスク3に同時にサーボ信号を記録するサーボライタでは、複数枚のフレキシブル磁気ディスク3それぞれの間にスペーサを配設することが好ましい。
【0054】
また、上記実施形態では、磁気ヘッド5によりフレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号を読み取り、この読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上であるか否か(読取サーボ信号が正常であるか否か)を判定したが、これに限定されることなく、予め設定された設定信号が記録された設定ディスクを用いてもよい。この場合には、フレキシブル磁気ディスク3をスピンドルヘッド27から取り外し、上記した設定ディスクをスピンドルヘッド27にセットした後、磁気ヘッド5により設定ディスクに記録された設定信号を読み取り、この読み取った設定信号の出力レベルが設定出力レベル以上であるか否かを判定する。なお、上記した設定信号としては、サーボライタ2で記録しているサーボ信号や、サーボ信号とは異なる編集した信号(例えば、単一波形パターン信号)等が挙げられる。
【0055】
さらに、上記実施形態では、サーボライトを開始または再開してから5分経過毎に、フレキシブル磁気ディスク3に記録されたサーボ信号を読み取り、この読取サーボ信号の出力レベルが設定出力レベル以上であるか否かを判定するようにしたが、これに限定されることなく、判定を行う契機としては、磁気ヘッド5により予め設定された設定時間フレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を記録したこと、磁気ヘッド5により予め設定された設定枚数のフレキシブル磁気ディスク3にサーボ信号を記録したこと、磁気ヘッド5により予め設定されたトラック数のサーボ信号をフレキシブル磁気ディスク3に記録したこと等、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を実施したサーボライタを示す斜視図である。
【図2】ディスク保持ケースが退避位置に位置するときのサーボライタを示す側面図である。
【図3】ディスク保持ケースが保持位置に位置するときのサーボライタを示す側面図である。
【図4】サーボライタの電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図5】サーボライタにおけるサーボ信号の記録、サーボ信号の読み取り、読取サーボ信号が正常か否かの判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
2 サーボライタ
3 フレキシブル磁気ディスク
4 スピンドルモータ
5 磁気ヘッド
6 サスペンションアーム
15 センターコア
19 ロードモータ
31 磁気ヘッド用プリアンプ
32 磁気ヘッド用AGC回路
33 ヘッド制御回路
33a 書込部
33b 読取部
34 コンパレータ(判定手段)
35 エンコーダ回路
36 スピンドルコントローラ
37 シーケンス回路
38 外部IF回路
40 クロックヘッド
41 クロックヘッド用プリアンプ
42 クロックヘッド用AGC回路
43 クロックディスク
45 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを回転させるスピンドルモータと、
前記スピンドルモータにより回転された前記ディスクにサーボ信号を含む信号の記録及び読み取りを行う磁気ヘッドと、を有するサーボライタにおいて、
予め設定された設定契機に応答して、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を停止する停止制御手段と、
前記停止制御手段による停止制御後に、前記磁気ヘッドによる信号の読み取りを行う読取制御手段と、
前記磁気ヘッドにより読み取られた信号の出力レベルが、予め設定された設定出力レベル以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記設定出力レベル以上ではないと判定されたときに、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を中止する中止制御手段と、を備えたことを特徴とするサーボライタ。
【請求項2】
前記判定手段で前記設定出力レベル以上であると判定されたときに、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を再開する再開制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のサーボライタ。
【請求項3】
前記読取制御手段は、前記ディスクに記録されたサーボ信号の読み取りを行うことを特徴とする請求項1または2記載のサーボライタ。
【請求項4】
前記読取制御手段は、予め設定された設定ディスクに記録された設定信号の読み取りを行うことを特徴とする請求項1または2記載のサーボライタ。
【請求項5】
ディスクを回転させ、
回転された前記ディスクに、サーボ信号を含む信号の記録及び読み取り可能な磁気ヘッドによりサーボ信号を記録するサーボライト方法において、
予め設定された設定契機に応答して、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を停止し、
前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録停止後に、前記磁気ヘッドによる信号の読み取りを行い、
前記磁気ヘッドにより読み取られた信号の出力レベルが、予め設定された設定出力レベル以上であるか否かを判定し、
前記設定出力レベル以上ではないと判定されたときに、前記磁気ヘッドによるサーボ信号の記録を中止することを特徴とするサーボライト方法。
【請求項6】
請求項1ないし4いずれか1つ記載のサーボライタでサーボ信号を記録したことを特徴とするディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−164863(P2007−164863A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357900(P2005−357900)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】