説明

サーマルプリンタ及びこの組立方法

【課題】 本発明は、サーマルヘッドの発熱部の角度ズレの調整が容易であると共に、角度ズレ調整時に発熱部の圧接位置が大きく移動しないようにして、高品質の画像印刷を行うことができるサーマルプリンタを提供すること。
【解決手段】 本発明のサーマルプリンタ1は、プラテンローラ2と、このプラテンローラ2に圧接可能なサーマルヘッド4と、このサーマルヘッド4を一端部側に支持するヘッド支持部材6と、プラテンローラ2とサーマルヘッド4との間にほぼ直線状に搬送される記録用紙3とを備え、ヘッド支持部材6は、支持軸11を支点として回動することで、サーマルヘッド4がプラテンローラ2に対して接離可能となっており、ヘッド支持部材6には、記録用紙3の印刷面3aに対する発熱部4bの角度ズレ(角度α)を調整可能な角度調整機構12が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリンタ及びこの組立方法に係わり、サーマルヘッドにより記録用紙上に所望の画像を印刷可能なサーマルプリンタ及びこの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサーマルプリンタを特許文献1で説明すると、従来のサーマルプリンタ30は、図5に示すように、第1紙送りローラ31と圧接ローラ32との間に記録用紙33を圧接挟持して、第1紙送りローラ31を矢印A方向に回転すると記録用紙33が矢印Bの水平方向に搬送可能になっている。
また、記録用紙33の矢印Bの搬送方向における第1紙送りローラ31の下流側には、プラテンローラ34と、このプラテンローラ34の外周面に圧接可能なサーマルヘッド35とが配設されている。
前記サーマルヘッド35は、図6に示すように、一端部側に形成した凸部35aに発熱部35bが形成されている。
【0003】
また、サーマルヘッド35の発熱部35bのプラテンローラ34に対する圧接位置は、矢印Bの水平方向に搬送される記録用紙33とプラテンローラ34とが接する位置とプラテンローラ34の回転中心34aとを結ぶ仮想線36に対して、角度θ(5度〜30度)下流側に位置するようになっている。
このように、発熱部35bを仮想線36に対して角度θ下流側に位置させることで、印刷中にサーマルヘッド35が記録用紙33に圧接する圧接圧で、記録用紙33が矢印Bの搬送方向に対して角度θ下方側に湾曲されて、矢印C方向に搬送されるようになっている。
前記印刷中の記録用紙33を、矢印Bの搬送方向に対して角度θ、下方側に湾曲して矢印C方向に搬送することで、印刷中の記録用紙33が上方に湾曲するのを矯正可能になっている。
【0004】
また、記録用紙33の矢印Cの搬送方向におけるプラテンローラ34の下流側には、第2紙送りローラ38と圧接ローラ39とが配設されている。前記第2紙送りローラ38と圧接ローラ39とは、プラテンローラ34から角度θ下方側に配設されて、印刷中に角度θ下方側に湾曲される記録用紙33を圧接挟持するようになっている。
また、プラテンローラ34とサーマルヘッド35との間には、インクリボン40が引き回しされている。
【0005】
前述したような従来のサーマルプリンタ30は、サーマルヘッド35の製造のバラツキ等で、発熱部35bの記録用紙33に対する角度が、図6に示すように、所定角度例えばβ、角度ズレすることがある。
このような発熱部35bの記録用紙33に対する角度が、所定角度、角度ズレすると、発熱部35bの発熱を充分にインクリボン40に伝達できなくなり、記録用紙33に印刷する画像品質が低下するおそれがあった。
その対策として、従来のサーマルプリンタ30は、角度βの角度ズレに対応して、サーマルヘッド35を矢印Dの水平方向に移動させて、図7に示すように、発熱部35bのセンターが、記録用紙33の印刷面上に位置するように調整していた。
【特許文献1】特開平8−39840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述したような従来のサーマルプリンタ30は、サーマルヘッド35を矢印D方向、または逆方向に移動させて、発熱部35bのセンタを記録用紙33の印刷面に対する位置合わせしていたので、微調整が難しく、高精度な位置合わせができない問題があった。
また、サーマルヘッド35を矢印D方向、または逆方向に移動させるのに伴って、記録用紙33に対する圧接位置が、角度βの角度ズレに対応して大きく移動するので、記録用紙33の湾曲方向、及び湾曲量がバラツクおそれがあった。
本発明は、前述したような課題を解決するためになされたもので、サーマルヘッドの発熱部の角度ズレの調整が容易であると共に、角度ズレ調整時に発熱部の圧接位置が大きく移動しないようにして、高品質の画像印刷を行うことができるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明のサーマルプリンタは、円柱状のプラテンローラと、このプラテンローラに圧接可能な発熱部を有するサーマルヘッドと、このサーマルヘッドを一端部側に支持すると共に他端部側が支持軸に支持されたヘッド支持部材と、前記プラテンローラと前記サーマルヘッドとの間に搬送される記録用紙とを備え、
前記ヘッド支持部材は、前記支持軸を支点として回動することで、前記サーマルヘッドが前記プラテンローラに対して接離可能となっており、前記ヘッド支持部材には、搬送される前記記録用紙の印刷面に対する前記発熱部の角度ズレを調整可能な角度調整機構が配設されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記角度調整機構は、前記ヘッド支持部材の前記他端部側に配設されており、前記角度調整機構により、前記ヘッド支持部材の前記他端部側を前記支持軸から接離する方向に移動させることにより、前記サーマルヘッドの前記発熱部の前記角度ズレが調整可能になっていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記角度調整機構は、前記ヘッド支持部材の前記他端部側に取り付けられたガイド部材と、前記支持軸に回動自在に支持した軸受け部材とを有し、前記ガイド部材は、前記軸受け部材に対して摺動可能に支持されており、前記ガイド部材を前記軸受け部材に対して摺動させると、前記ヘッド支持部材の前記他端部側が前記支持軸から接離する方向に移動することを特徴とする。
【0008】
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記角度調整機構には、前記ヘッド支持部材の前記他端部側を前記支持軸から接離する方向に移動調整可能な調整ネジが配設されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第5の手段として、前記調整ネジは、ネジ山部とこのネジ山部の一方側に形成した鍔部とを有し、前記ネジ山部を前記ヘッド支持部材の前記他端部側に螺合すると共に、前記鍔部を前記軸受け部材に抜け止め支持し、前記調整ネジの調整で前記他端部側が前記支持軸から接離することを特徴とする。
【0009】
また、前記課題を解決するための第6の手段として本発明のサーマルプリンタの組立方法は、請求項1乃至5のいずれかに記載の角度調整機構を備え、前記調整ネジの調整工程で前記調整ネジを回転調整すると、前記ヘッド支持部材の他端部側が前記支持軸から接離する方向に移動して、前記記録用紙の印刷面に対する前記発熱部の角度ズレが調整されることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第7の手段として、前記ヘッド支持部材には、前記支持軸から接離する方向に移動する前記他端部側の移動量を測定可能な測定器が配設され、この測定器により前記他端部側の前記移動量を観測しながら前記発熱部の角度ズレを調整するようにしたことを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第8の手段として、前記発熱部の前記角度ズレを調整後に、前記プラテンローラの外周面と搬送される前記記録用紙とが接する部分に対する前記発熱部の位置ズレを確認し、前記位置ズレがある場合は、前記サーマルヘッドを前記記録用紙の搬送方向と平行方向に移動させて前記位置ズレを調整するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のサーマルプリンタのヘッド支持部材は、支持軸を支点として回動することで、サーマルヘッドがプラテンローラに対して接離可能となっており、ヘッド支持部材には、搬送される記録用紙の印刷面に対する発熱部の角度ズレを調整可能な角度調整機構が配設されているので、発熱部が角度ズレしている場合は、この角度ズレを角度調整機構で容易に調整することができ、組立性に優れたサーマルプリンタを提供できる。
また、角度調整機構は、ヘッド支持部材の他端部側に配設されており、角度調整機構により、ヘッド支持部材の他端部側を支持軸から接離する方向に移動させることにより、サーマルヘッドの発熱部の角度ズレが調整可能になっているので、更に、角度ズレの調整が容易で組立性に優れている。
また、角度調整機構は、ヘッド支持部材の他端部側に取り付けられたガイド部材と、支持軸に回動自在に支持した軸受け部材とを有し、ガイド部材は、軸受け部材に対して摺動可能に支持されており、ガイド部材を軸受け部材に対して摺動させると、ヘッド支持部材の他端部側が支持軸から接離する方向に移動するので、サーマルヘッドの発熱部の角度ズレを容易に調整できる。
【0011】
また、角度調整機構には、ヘッド支持部材の他端部側を支持軸から接離する方向に移動調整可能な調整ネジが配設されているので、調整ネジを回転調整することで、発熱部の角度ズレを調整でき、組立性に優れている。
また、調整ネジは、ネジ山部とこのネジ山部の一方側に形成した鍔部とを有し、ネジ山部をヘッド支持部材の他端部側に螺合すると共に、鍔部を軸受け部材に抜け止め支持し、調整ネジの調整で他端部側が支持軸から接離するので、ドライバー等の市販の治具で容易に発熱部の角度調整ができる。
【0012】
また、本発明のサーマルプリンタの組立方法は、請求項1乃至5のいずれかに記載の角度調整機構を備え、調整ネジの調整工程で調整ネジを回転させると、ヘッド支持部材の他端部側が支持軸から接離する方向に移動して、記録用紙の印刷面に対する発熱部の角度ズレが調整されるので、発熱部の角度ズレを高精度に調整することができる。
また、ヘッド支持部材には、支持軸から接離する方向に移動する他端部側の移動量を測定可能な測定器が配設され、この測定器により他端部側の移動量を観測しながら発熱部の角度ズレを調整するようにしたので、測定器に表示される数字を見ながら角度ズレを調整でき、リニアで微細な調整が可能である。そのために発熱部を角度ズレなく高精度に調整できる。
また、発熱部の角度ズレを調整後に、プラテンローラの外周面と、搬送される記録用紙とが接する部分に対する発熱部の位置ズレを確認し、位置ズレがある場合は、サーマルヘッドを記録用紙の搬送方向と平行方向に移動させて位置ズレを調整するようにしたので、もし、角度ズレ調整でサーマルヘッドに位置ズレが発生したとしても、容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明のサーマルプリンタの実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係わるヘッド支持部材の斜視図であり、図2は本発明に係わるヘッド支持部材の要部断面図であり、図3、図4は本発明に係わるサーマルヘッドの要部拡大図である。
まず、本発明の実施の形態のサーマルプリンタ1を、図1〜図4に基づいて説明すると、円柱状で長尺状のプラテンローラ2が、図示を省略したフレーム側の側板に回転軸2aが回転駆動可能に支持されている。前記プラテンローラ2は回転中心2bを中心として回転するようになっている。
【0014】
また、図2に示すプラテンローラ2の外周面上には、印画紙等の厚紙からなる記録用紙3が搬送可能になっており、記録用紙3の上面側が光沢状をなした印刷面3aとなっている。
また、プラテンローラ2の上方には、サーマルヘッド4が配設され、このサーマルヘッド4は、長尺状のラインヘッドからなり、プラテンローラ2に対して接離(ヘッドアップ/ダウン)可能になっている。
そして、記録用紙3は、図示を省略した紙送りローラにより、プラテンローラ2の下流側(矢印E方向)、またはプラテンローラ2の上流側(矢印F方向)に往復搬送可能になっている。
【0015】
前記サーマルヘッド4には、図示下面側のプラテンローラ2と対向する側に、プラテンローラ2の長手方向に沿って、図3に示すように、所定高さで突出する凸部4aが形成され、この凸部4aの頂部には、所定の幅寸法で発熱部4bが複数整列形成されている。
また、サーマルヘッド4は、高熱伝導性の材料からなるヘッド取付台5に接着剤等で取り付けられている。
【0016】
また、図2に示すヘッド取付台5は、上方側に配設したアルミニウム板等の高熱伝導性の材料からなるヘッド支持部材6に小ネジ(図示せず)等で取り付けられている。
前記ヘッド支持部材6は、略クランク状に折り曲げ形成され、図示左側の一端部側に平坦状のヘッド取付部6aが形成され、このヘッド取付部6aに、サーマルヘッド4を取り付けたヘッド取付台5が取り付けられている。
【0017】
また、ヘッド支持部材6は、図2に示すように、ヘッド取付部6aから斜め右上方に所定長さで延びて連結部6bが形成され、この連結部6bから図示右方向の他端部方向に延びて、面積の大きな放熱部6cが形成されている。
前記放熱部6cには、複数のヒートシンク部6dが上方側に切り曲げ形成され、このヒートシンク部6dによって、印刷時に発熱するサーマルヘッド4の熱が、ヘッド支持部材6のヘッド取付部6aを経由して放熱されるようになっている。
【0018】
また、ヘッド支持部材6のヘッド取付部6aは、鉄板等からなる第1回動レバー7の一端部側7aに小ネジ(図示せず)等で固着され、この第1回動レバー7の一端部側7aと対向する上方側には、所定寸法の間隔を有して鉄板等からなる第2回動レバー8の一端部側8aが配設されている。
前記第1、第2回動レバー7、8のそれぞれの一端部7a、8a間の所定寸法の間隔部分には、複数のコイルバネ9が配設されて、第1、第2回動レバー7、8の一端部側7a、8aが互いに離れる方向に弾性付勢されている。
【0019】
そして、第1、第2回動レバー7、8は、それぞれの一端部側7a、8aがコイルバネ9の付勢力によって、互いの間隔が所定以上開かないようにするためのストッパー部(図示せず)が形成されている。そのために、第2回動レバー8を下方側に回動させると、第1回動レバー7の一端部側7aは、コイルバネ9の付勢力で、下方のプラテンローラ2側に弾性付勢されている。
また、第1回動レバー7の一端部側7aには、サーマルヘッド4の長尺方向に沿って複数のヘッド押圧ネジ10が所定のピッチ寸法でネジ締めされている。
【0020】
前記ヘッド押圧ネジ10の調整によって、サーマルヘッド4は、ヘッド取付台5を介してプラテンローラ2に均一に圧接可能になっている。
また、ヘッド支持部材6は、図1に示すように、放熱部6cの右端部側の他端部側で、矢印Gの幅方向の両端部に、互いに対向して一対の取付脚6eがそれぞれ形成されている。
前記取付脚6eには、楕円孔6fがそれぞれ形成され、この楕円孔6fには、フレーム(図示せず)側の側板に両端部を支持した支持軸11が挿通されて、ヘッド支持部材6の他端部側が支持されている。
【0021】
また、楕円孔6fから外側に突出する支持軸11の両端部側には、第1、第2回動レバー7、8の他端部側(図示せず)が支持されて、第2回動レバー8を回動駆動することで、コイルバネ9に弾性付勢された第1回動部材7も回動するようになっている。
更に、第1回動レバー7一端部側7aにヘッド取付部6aが取り付けられたヘッド支持部材6も、第2回動レバー8を回動駆動で、支持軸11を支点として回動するようになっている。
【0022】
前記支持軸11を支点として、ヘッド支持部材6及び第1、第2回動レバー7、8が回動すると、ヘッド支持部材6のヘッド取付部6aに取り付けたサーマルヘッド4が、プラテンローラ2に対して接離(ヘッドアップ/ダウン)可能になっている。
そして、第2回動レバー8の回動駆動で、サーマルヘッドの発熱部4bがプラテンローラ2に当接した後も、第2回動レバー8を更に下方側に回動させると、コイルバネ9の弾性力が第1回動レバー7の一端部側7a及びヘッド支持部材6のヘッド取付部6aを介してサーマルヘッド4に伝達されて、サーマルヘッド4の発熱部4bがプラテンローラ2の外周部に圧接されるようになっている。
【0023】
また、支持軸11に支持されたヘッド支持部材6の他端部側には、矢印Gの幅方向の略中央部に、角度調整機構12が取り付けられている。
前記角度調整機構12によって、ヘッド支持部材6の他端部側が支持軸11から接離する方向に移動調整可能になっている。
そして、図3に示すように、搬送される記録用紙3の印刷面3aに対する発熱部4bの角度ズレ(角度α)を、角度調整機構12によって調整可能になっている。前記発熱部4bの角度ズレは、サーマルヘッド4の製造のバラツキ等で、プラテンローラ2の外周面と記録用紙3とが接する位置と、プラテンローラ2の回転中心2bとを結ぶ仮想線13に対して、発熱部4bが所定角度(例えば角度α)ずれることがあり、この角度ズレを角度調整機構12により調整可能になっている。
【0024】
前記発熱部4bの角度ズレは角度調整機構12により、図4に示すように、発熱部4bのセンターが記録用紙3の印刷面3a上に位置するように調整することで、インクリボン(図示せず)のインクを高精度に記録用紙3に熱転写して、高品質の画像印刷が行えるようになっている。
また、角度調整機構12の構成は、支持軸11に回動自在に支持した軸受け部材14と、ヘッド支持部材6の他端部側に取り付けたガイド部材15とを有し、ガイド部材15は、支持軸11にから接離する方向(矢印H方向、またはJ方向)に摺動可能に軸受け部材14に支持されている。
即ち、ガイド部材15は、軸受け部材14に支持されて、支持軸11に対して接離する方向に移動可能になっている。
また、角度調整機構12を取り付けた部分のヘッド支持部材6の他端部側には、調整ネジ16が螺合されている。
【0025】
前記調整ネジ16は、ヘッド支持部材6の他端部側に螺合するネジ山部16aと、このネジ山部16aの図示下方側の一方側に鍔部16bが形成されている。
また、調整ネジ16は、鍔部16bが軸受け部材14に抜け止め支持されており、ヘッド支持部材6の他端部側から突出するネジ山部16aを所望の方向に回転させると、ガイド部材15が軸受け部材14に対して矢印H方向、または矢印J方向に摺動して、ヘッド支持部材6の他端部側が、支持軸11に対して接離する方向に移動するようになっている。
【0026】
そして、ヘッド支持部材6の他端部側が、支持軸11に対して接離する方向に移動することで、ヘッド支持部材6の一端部側のヘッド取付部6aにヘッド取付台5を介して取り付けたサーマルヘッド4の発熱部4bのセンターが、記録用紙3の印刷面3a上に位置するようになっている。
そのために、サーマルヘッド4をヘッドダウンさせて、印刷情報に基づいて複数の発熱部4bを選択的に発熱させると、インクリボン(図示せず)のインクが記録用紙4の印刷面3に選択的に熱転写されて、記録用紙3に高品質の画像を印刷することができる。
【0027】
また、支持軸11には、ヘッド支持部材6が矢印Gの横方向にガタつくのを防止するための弾性部材17が配設され、弾性部材17によってヘッド支持部材6が常に横方向に弾性付勢されている。
そのために、ヘッド支持部材6に支持するサーマルヘッド4の横方向のガタを無くすることができ、記録用紙3に印刷する画像が横方向にずれるのを防止できるようになっている。
【0028】
このような構成の本発明のサーマルプリンタの組立方法は、サーマルヘッド4を固着したヘッド取付台5をヘッド取付部6aに取り付けると共に、ヘッド支持部材6の他端部側に角度調整機構12を組み付ける。
また、支持軸11に第1、第2回動レバー7、8の他端部を嵌合支持すると共に、それぞれの一端部側7a、8a間にコイルバネ9を組み付けた状態の第1回動レバー7の一端部側7aをヘッド支持部材6のヘッド取付部6aに組み付ける。
【0029】
次に、発熱部4bの角度ズレ検査工程で、モニター画面上に拡大投影したサーマルヘッド4の発熱部4bが、例えば図3に示すように、角度α角度ズレしている場合には、角度調整機構12の調整ネジ16を回転調整すると、ヘッド支持部材6の他端部側が支持軸11から離れる方向に移動する。
このことにより、ヘッド支持部材6は、ヘッド取付部6aの図示右側が上昇するように斜めになって、図4に示すように、サーマルヘッド4と記録用紙3との間の角度がαとなると、搬送される記録用紙3の印刷面3aに対する発熱部4bの角度αの角度ズレが調整されて無くなる。
【0030】
また、ヘッド支持部材6の他端部側には、調整ネジ16の回転調整で支持軸11から接離する方向に移動する他端部側の移動量を測定可能なダイヤルゲージ等の測定器(図示せず)が配設されている。
前記測定器により、ヘッド支持部材6の他端部側の移動量をダイヤルゲージ等の数字を見ながら調整ネジ16を調整でき、発熱部4bの角度ズレをリニアで微細な調整が可能となり、高精度な調整ができる。
【0031】
また、調整ネジ16による発熱部4bの角度ズレを調整後に、プラテンローラ2の外周面と搬送される記録用紙3とが接する部分(図4に示す仮想線13が交わる部分)に対する発熱部4bの位置ズレをモニター画面で確認する。
そして、角度ズレ調整後の発熱部4bが位置ズレしている場合は、ヘッド支持部材6のヘッド取付部6aに取り付けたサーマルヘッド4を、記録用紙3の搬送方向(矢印E、F方向)と平行方向に移動させて前記位置ズレを調整する。
このような組立方法で組み立てられた本発明のサーマルプリンタ1は、発熱部4bの角度ズレ、及び位置ズレが無く、記録用紙3にインクリボンのインクを確実に熱転写することができる。そのために、高品質の画像印刷を行うことができる。
【0032】
尚、記録用紙3は、プラテンローラ2に対して0度〜10度巻き付けられて搬送される場合もある。
また、本発明の実施の形態では、ヘッド支持部材6を第1、第2回動レバー7、8に支持して、第2回動レバー8を回動駆動することで、サーマルヘッド4がヘッドアップ/ダウンすることで説明したが、ヘッド支持部材6を直接回動駆動するようにしたものでも良い。
また、角度調整機構12は、調整ネジ16を回転調整することで、ヘッド支持部材6の他端部側を支持軸11に対して接離するようにしたもので説明したが、調整ネジ16に換えて、ヘッド支持部材6の他端部側と軸受け部材14との間にカム(図示せず)を配設し、このカムにより、ヘッド支持部材6の他端部側を支持軸11に対して接離するようにしたものでも良い。
また、本発明のサーマルプリンタ1は、インクリボン(図示せず)を用いた熱転写プリンタで説明したが、インクリボンを用いないで感熱紙を用いたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係わるヘッド支持部材の斜視図である。
【図2】本発明に係わるヘッド支持部材の要部断面図である。
【図3】本発明に係わるサーマルヘッドの要部拡大図である。
【図4】本発明に係わるサーマルヘッドの要部拡大図である。
【図5】従来のサーマルプリンタの要部を説明する概略図である。
【図6】従来のサーマルヘッド要部拡大図である。
【図7】従来のサーマルヘッド要部拡大図である。
【符号の説明】
【0034】
1 本発明のサーマルプリンタ
2 プラテンローラ
3 記録用紙
4 サーマルヘッド
4a 凸部
4b 発熱部
5 ヘッド取付台
6 ヘッド支持部材
6a ヘッド取付部
6b 連結部
6c 放熱部
6d ヒートシンク部
6e 取付脚
6f 楕円孔
7 第1回動レバー
8 第2回動レバー
9 コイルバネ
10 ヘッド押圧ネジ
11 支持軸
12 角度調整機構
13 仮想線
14 軸受け部材
15 ガイド部材
16 調整ネジ
16a ネジ山部
16b 鍔部
17 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状のプラテンローラと、このプラテンローラに圧接可能な発熱部を有するサーマルヘッドと、このサーマルヘッドを一端部側に支持すると共に他端部側が支持軸に支持されたヘッド支持部材と、前記プラテンローラと前記サーマルヘッドとの間に搬送される記録用紙とを備え、
前記ヘッド支持部材は、前記支持軸を支点として回動することで、前記サーマルヘッドが前記プラテンローラに対して接離可能となっており、前記ヘッド支持部材には、搬送される前記記録用紙の印刷面に対する前記発熱部の角度ズレを調整可能な角度調整機構が配設されていることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記角度調整機構は、前記ヘッド支持部材の前記他端部側に配設されており、前記角度調整機構により、前記ヘッド支持部材の前記他端部側を前記支持軸から接離する方向に移動させることにより、前記サーマルヘッドの前記発熱部の前記角度ズレが調整可能になっていることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記角度調整機構は、前記ヘッド支持部材の前記他端部側に取り付けられたガイド部材と、前記支持軸に回動自在に支持した軸受け部材とを有し、前記ガイド部材は、前記軸受け部材に対して摺動可能に支持されており、前記ガイド部材を前記軸受け部材に対して摺動させると、前記ヘッド支持部材の前記他端部側が前記支持軸から接離する方向に移動することを特徴とする請求項2記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記角度調整機構には、前記ヘッド支持部材の前記他端部側を前記支持軸から接離する方向に移動調整可能な調整ネジが配設されていることを特徴とする請求項3記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記調整ネジは、ネジ山部とこのネジ山部の一方側に形成した鍔部とを有し、前記ネジ山部を前記ヘッド支持部材の前記他端部側に螺合すると共に、前記鍔部を前記軸受け部材に抜け止め支持し、前記調整ネジの調整で前記他端部側が前記支持軸から接離することを特徴とする請求項4記載のサーマルプリンタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の角度調整機構を備え、前記調整ネジの調整工程で前記調整ネジを回転調整すると、前記ヘッド支持部材の他端部側が前記支持軸から接離する方向に移動して、前記記録用紙の印刷面に対する前記発熱部の角度ズレが調整されることを特徴とするサーマルプリンタの組立方法。
【請求項7】
前記ヘッド支持部材には、前記支持軸から接離する方向に移動する前記他端部側の移動量を測定可能な測定器が配設され、この測定器により前記他端部側の前記移動量を観測しながら前記発熱部の角度ズレを調整するようにしたことを特徴とする請求項6記載のサーマルプリンタの組立方法。
【請求項8】
前記発熱部の前記角度ズレを調整後に、前記プラテンローラの外周面と搬送される前記記録用紙とが接する部分に対する前記発熱部の位置ズレを確認し、前記位置ズレがある場合は、前記サーマルヘッドを前記記録用紙の搬送方向と平行方向に移動させて前記位置ズレを調整するようにしたことを特徴とする請求項6、または7記載のサーマルプリンタの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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