説明

シクロデキストリンの検出および定量

本発明は、タンパク質を含む溶液中のシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体の検出および定量に関する。本発明はさらに、残留シクロデキストリンの存在について製薬調製物を評価する方法に関する。例えば、タンパク質を含む溶液中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在の試験のための方法が提供され、この方法は、存在し得る任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって該タンパク質から分離する工程、分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程、および該包接複合体からのシグナルの存在を評価する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、タンパク質を含む溶液中のシクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体の検出および定量に関する。本発明はさらに、残ったシクロデキストリンの存在について製薬調製物を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
シクロデキストリンは、最も一般的には、ドーナツ形環中のα−1,4−グルコシド結合により連結された、6個のグルコース単位(α−シクロデキストリン)、7個のグルコース単位(β−シクロデキストリン)または8個のグルコース単位(γ−シクロデキストリン)からなる環状多糖である。糖単位の椅子形成の結果として、すべての2級ヒドロキシル単位は、環の一方の側に位置し、その一方で、1級ヒドロキシル基の全ては他方の側に位置している。その結果、外表面は親水性であり、シクロデキストリンを水溶性にしている。対照的に、シクロデキストリンの腔は疎水性である。なぜなら、これらは、原子Cおよび原子Cの水素によって、ならびにエーテルのような酸素によって覆われるからである。この構造によって、シクロデキストリンが疎水性化合物との包接複合体を形成し得る。この特徴に基づいて、シクロデキストリンは、十分には水溶性でない医薬の溶解性を増加させるため、医薬の安定性を増強するため、および医薬の不必要な副作用を低下させるために広く使われている。
【0003】
シクロデキストリンのヒドロキシル基は、この分子の特徴(例えば、水溶性、結合特異性)を変えるために誘導体化され得る。メチル−β−シクロデキストリン(MBCD)は、最も頻繁に使われるシクロデキストリン誘導体のうちの1つである。
【0004】
シクロデキストリンは、疎水性の栄養素(例えば、コレステロール)を細胞に運び込むために、細胞培養系においても使われる。シクロデキストリンは、コレステロール栄養要求性細胞(例えば、コレステロール栄養要求性のCHO細胞、COS細胞およびNSO細胞)を培養するために特に役立つ。細胞培養物が、天然に存在するかまたは組換え体のタンパク質(特に、治療用タンパク質)を生産するために用いられる場合、精製されたタンパク質製品中の残留夾雑物としてのシクロデキストリンの存在は製薬製品の生産の問題である。このように、タンパク質を含む溶液中の低レベルのシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の検出および定量のための高感度でかつ迅速な技術が必要である。
【0005】
非特許文献1は、MBCDと包接複合体を形成して包接複合体の蛍光検出を可能にする発蛍光団(1−ナフトール)の存在下でサイズ排除クロマトグラフィーを使用する、MBCDを検出するための技術を開示する。この技術(薬物動態学の研究のための血漿サンプル中のMBCDの検出のために設計された)は、クロマトグラフィーの前に、有機溶媒によるサンプルの抽出、エバポレーションおよび移動相中の残留物の溶解を有するを必要とする。非特許文献2は、1−ナフトールを使用する、血漿サンプル中のスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンの存在を判断するための類似の技術を開示する。この方法は、クロマトグラフィーの前に、固相抽出、エバポレーションおよび残留物の溶解を含め、サンプルの処理を必要とする。これらの技術は、タンパク質成分からのシクロデキストリンの分離を達成しない。
【非特許文献1】Grosseら,J.Chromatography B 694:219(1997)
【非特許文献2】Gageら,J.Pharm.Biomed.Analysis 22:773(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
好ましくはサンプル抽出工程の必要のない、タンパク質の存在下でのシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在の試験方法についての必要性が当該分野に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
したがって、一つの局面では、本発明は、タンパク質を含む溶液中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在の試験のための方法を提供し、この方法は、存在し得る任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって該タンパク質から分離する工程、分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程、および該包接複合体からのシグナルの存在を評価する工程を包含する。
【0008】
本発明の別の局面は、タンパク質を含む溶液中に存在し得る、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を決定するための方法であって、該方法は、任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を、SECによって該タンパク質から分離する工程、分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程、該包接複合体からのシグナルの存在を評価する工程、および該シグナルのサイズを決定する工程を包含し、ここで、該シグナルのサイズが、該溶液中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を示す。
【0009】
本発明の第3の局面は、製薬調製物を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:(a)治療用タンパク質および薬学的に受容可能なキャリアを含む製薬調製物を提供する工程;(b)SECによって該製薬調製物を分離する工程;(c)分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該製薬調製物中に存在し得る任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程;および(d)該包接複合体からのシグナルを検出する工程を包含し、ここで、該シグナルのサイズは、該調製物中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を示す。
【0010】
本発明の一つの実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体は、MBCDである。
【0011】
本発明の別の実施形態において、この薬剤は、発蛍光団(例えば、1−ナフトール)である。この薬剤は、SECによる分離の前に、分離中または分離後に、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と接触され得る。
【0012】
一つの実施形態において、溶液のサンプルまたは製薬調製物は、いかなる調製もなしで、(例えば、サンプルは、有機溶媒を用いて抽出されず、乾燥されず、再懸濁されず、濃縮されず、またはさもなければ変更されずに)SECカラムにローディングされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明は、タンパク質を含む溶液中の低レベルのシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の検出および定量に関する。1つの実施形態において、本発明の方法は、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在下で増殖させた細胞から調製される精製されたタンパク質の、残留シクロデキストリンの存在についての評価に役立つ。したがって、一つの局面では、本発明は、タンパク質を含む溶液中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在の試験のための方法を提供し、この方法は、存在し得る任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって該タンパク質から分離する工程、分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程、および該包接複合体からのシグナルの存在を評価する工程を包含する。
【0014】
本発明の別の局面は、タンパク質を含む溶液中に存在し得る、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を決定するための方法であって、該方法は、任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を、SECによって該タンパク質から分離する工程、分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程、該包接複合体からのシグナルの存在を評価する工程、および該シグナルのサイズを決定する工程を包含し、ここで、該シグナルのサイズが、該溶液中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を示す。
【0015】
本発明の第3の局面は、製薬調製物を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:(a)治療用タンパク質および薬学的に受容可能なキャリアを含む製薬調製物を提供する工程;(b)SECによって該製薬調製物を分離する工程;(c)分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該製薬調製物中に存在し得る任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程;および(d)該包接複合体からのシグナルを検出する工程を包含し、ここで、該シグナルのサイズは、該調製物中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を示す。
【0016】
用語「シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体」は、本明細書で用いられる場合、任意の公知のシクロデキストリン(特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリン)および任意の公知のシクロデキストリン誘導体をいう。シクロデキストリン誘導体は、米国特許第3,426,011号、同第3,453,257号、同第3,453,258号、同第3,453,259号、同第3,453,260号、同第3,459,731号、同第3,553,191号、同第3,565,887号、同第4,383,992号、同第4,535,152号、同第4,616,008号、同第4,638,058号、同第4,659,696号、同第4,746,734号、同第4,678,598号、同第5,594,125号、同第5,710,268号および同第5,831,081号において開示される。これらのそれぞれは、参考として援用される。シクロデキストリン誘導体の例としては、MBCD、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンが挙げられる。シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体は、American Maize Products Company、Wacker Chemicals(USA),Inc.およびSigma−Aldrich Chemical Companyから入手可能である。
【0017】
用語「シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成し得る薬剤」は、本明細書で用いられる場合、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と包接複合体を形成し得る任意の薬剤をいい、ここで、この包接複合体は、SECカラムからの溶出により検出され得る。この用語は、元々は検出可能ではないが検出可能な標識(例えば、放射性核種または蛍光タグ)を含む薬剤を包含する。この用語はまた、元々は検出可能ではないが、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤を包含する。検出方法の例としては、蛍光検出、紫外線検出、放射測定検出、比色検出、蛍光偏光法、蒸発光散乱、キャピラリー電気泳動法、赤外分光法、H NMRおよび質量分析法が挙げられるがこれらに限定されない。一つの実施形態では、この検出可能な薬剤は、発蛍光団(例えば、1−ナフトール)である。他の検出可能な薬剤(例えば、フェノールフタレインおよび8−アニリノナフタレン−1−スルホン酸)も使用され得る。
【0018】
用語「治療用タンパク質」は、本明細書で用いられる場合、疾患または障害の予防、処置または改善に役立つことが公知である任意のペプチドまたはタンパク質(例えば、抗体、増殖因子、細胞表面マーカー、サイトカイン、ホルモン、毒素または前述のいずれかのフラグメントおよび/もしくは融合タンパク質)をいう。用語「抗体」は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくは完全にヒトの抗体、ならびに抗原結合性抗体フラグメントおよび/またはその誘導体(例えば、単鎖抗体、軽鎖および重鎖ダイマー、ならびにFv、Fab)および(Fab’)フラグメント)を含むために、その最も幅広い意味で用いられる。治療用タンパク質の例としては、タンパク質(例えば、エリスロポエチン、成長ホルモン、コロニー刺激因子、インスリンおよび治療用抗体(例えば、ナチリズマブ(natilizumab)、インフリキシマブ(infliximab)、アダリムマブ(adalimumab)、MabThera、Herceptin、Palivizumab、Abciximab、Alemtuzumab、OKT3−ムロモナブ(muromonab)−CD3、Basiliximab、Gemtuzumab ozogamicin、Omalizumab、Ibritumomab tiuxetan、Edrecolomab−Mab17−1A、Tositumomab、エファリズマブ(efalizumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)およびセツキシマブ(cetuximab)が挙げられるが、これらに限定されない。このタンパク質は、それが天然で存在する細胞または遺伝子操作されてそれを発現する(例えば、組換え発現される)細胞から単離され得る。
【0019】
用語「少なくとも90%(またはそれより高い)純粋な」および「少なくとも90%(またはそれより高い)均質性」は、本明細書で用いられる場合、精製された調製物の乾燥重量の少なくとも90%(またはそれより高い)をタンパク質が構成するように、他のタンパク質、脂質、核酸および他の細胞構成成分から分離されて精製されたタンパク質をいう。いくつかの実施形態では、タンパク質は、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%純粋であり得る。
【0020】
用語「その誘導体」は、本明細書において記載されている細胞株を言及するために用いられる場合、少なくとも一つの新しい特徴を有する、その細胞株から作られる任意の細胞をいう。新しい特徴を有する細胞誘導体の例としては、例えば、選択圧によって生成され得る、異なる増殖パターン(例えば、コレステロール栄養要求性)を有する細胞、および遺伝子操作されてタンパク質を発現するかまたは何らかの他の新規な挙動を呈する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の方法において、SECカラムは、任意の適切なサイズであり得、そしてタンパク質からのシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の分離に適している任意のSEC媒体を含み得る。一つの実施形態では、SEC媒体は、約5〜20kDaから約75〜300kDaの分離範囲を有する。SEC媒体は、約2ミクロン〜約6ミクロン(好ましくは、約3ミクロン〜約5ミクロン、例えば4ミクロン)の粒径を有し得る。適切なSEC媒体の1つの例は、TSKゲルG2000 SWXL(Tosoh Biosciences,Inc.)である。別の適切なSEC媒体はポリマーベースのTSKゲルカラムである。好ましい実施形態では、分離は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により実施される。HPLCについては、SECカラムの適切なサイズは、直径が約5mm〜約15mmであり、そして長さが約3cm〜約60cmの範囲である。サンプルの大きさは、約10μL〜約500μL(好ましくは約50μL〜約100μL)の範囲であり得る。
【0022】
SECカラムにローディングされるべきサンプルは、タンパク質を含み、かつ、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在について試験されることが所望される、任意の溶液からのサンプルであり得る。本発明の一つの実施形態において、サンプルは、精製プロセスの途中にあるかまたは精製されたタンパク質を含む溶液であって、かつシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在または量を決定することが所望される溶液からのものである。一つの実施形態において、このタンパク質は、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在下で細胞培養において増殖された細胞から精製されたかまたは精製されるべきである。このサンプルは、タンパク質の精製プロセスの任意の段階にある溶液(例えば、細胞溶解後、一つ以上の精製工程(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなど)後、または最終精製工程後)からであり得る。この溶液中のタンパク質は、少なくとも90%純粋(好ましくは、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%純粋)であり得る。一つの実施形態では、このサンプルは、20μg/mL未満(好ましくは10μg/mL未満、5μg/mL未満、2μg/mL未満または1μg/mL未満)のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を有する溶液からのものである。
【0023】
このサンプルは、タンパク質を含む溶液から採取され得、そして溶液の緩衝液がSECに適している限り、SECカラムに直接ローディングされ得る。必要に応じて、このサンプルの緩衝液は、SECに適しているように調整され得る。SECに適切な緩衝液は、約2.0と約8.0との間(好ましくは約5.0と約7.5との間)のpHを有する水性緩衝液である。適切な緩衝液の例としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硝酸カリウムおよびTris−HClが挙げられるが、これらに限定されない。この緩衝液はまた、サンプル中のタンパク質がカラムおよびSEC媒体に固着するのを防止するために充分な塩を含むべきである。塩の適切なレベルは、好ましくは、約50mM〜約300mM(好ましくは約100mM〜約200mM)の範囲にあり、さらに好ましくは約140mMである。使用され得る塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムおよび塩化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、塩は、塩化ナトリウムである。
【0024】
本発明の一つの実施形態において、このサンプルは、必要に応じて、緩衝液の調整以外のいかなる調製工程も受けない。例えば、このサンプルは、(例えば、有機溶媒を用いて、または、固相カートリッジを用いて)抽出されないか、乾燥されないか、再懸濁されないか、濃縮されないか、またはさもなければ変更されない。例えば、充填の時点で製薬調製物を試験するために、複雑な抽出も他の操作(例えば、サンプル回収率に影響を及ぼし得る溶媒抽出または固相抽出)もなしで、SECカラムにサンプルを直接ローディングする能力は、本発明の利点のうちの1つである。
【0025】
移動相は、約2.0と約8.0との間(好ましくは約5.0と約7.5との間)のpHを有し、かつサンプル中のタンパク質がカラムまたはSEC媒体に固着するのを防止するために充分な塩(例えば、約50mM〜約300mM、好ましくは約100mM〜約200mM)を含む、水性緩衝液であり得る。適切な緩衝液および塩は、サンプル調製について上記に列挙したものである。適切な移動相の1つの例は、140mMのNaCl、10mMのリン酸塩、pH 6.45である。
【0026】
シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤は、サンプルがSECにより分離される前、分離中、または分離された後に、サンプル中に存在する任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と接触され得る。例えば、薬剤は、サンプルがカラムにローディングされる前にサンプルに添加されてもよく、薬剤は移動相に存在してもよく、薬剤はカラムから集められた溶出画分に添加されてもよく、または上記のいかなる組合せであってもよい。好ましい実施形態では、薬剤は移動相に存在する。
【0027】
薬剤は、検出されるべきシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体に依存して選択される。なぜなら、異なるシクロデキストリンが異なる結合特異性を有するからである。適切な薬剤は、当該分野において公知であり、そしてまた、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体ごとに経験的に決定され得る。薬剤は、固有の検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を有してもよく、または検出可能な標識(例えば、発蛍光団または放射性核種)が結合されていてもよい。他の実施形態では、薬剤は、固有の検出可能なシグナルを全く有さないかもしれないが、薬剤がシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と結合したときに検出可能なシグナルを出す包接複合体が形成される。MBCDの検出のための適切な蛍光化合物の1例は、1−ナフトールである。適切な蛍光化合物の他の例としては、フェノールフタレインおよび8−アニリノナフタレン−1−スルホン酸が挙げられる。薬剤が水溶性である場合、薬剤は移動相に直接添加され得る。薬剤が水溶性でない場合、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、クロロホルムまたはアセトンが挙げられるがこれらに限定されない)に溶解され得、そして有機溶媒のパーセントが低い(例えば、10%未満、好ましくは9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満)ように移動相に添加され得る。移動相中の薬剤の濃度は、シグナルが検出されるのに充分である。例えば、1−ナフトールまたは他の蛍光化合物は、約1×10−8〜約1×10−2、好ましくは約1×10−5〜約1×10−3M、好ましくは約1×10−4Mの濃度で移動相に存在し得る。
【0028】
SEC分離は、適切なカラム調製、サンプルローディング、流速、画分収集およびシグナル検出技術を用いて当該分野で周知の方法により実施され得る。例えば、Deutscher,Meth.Enzymol:Guide to Protein Purification,第182巻,Academic Press,Inc.,San Diego(1990),第38章;Balchら,Meth.Enzymol,第257巻,Academic Press,Inc.,San Diego(1995),第8章);Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer−Verlag(1994);Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biologyを参照のこと。これらの各々は、参考として援用される。好ましい実施形態では、分離はHPLCによって実施される。シグナル検出器は、薬剤の測定に役立つ任意の検出器(例えば、蛍光検出器、紫外線検出器または放射線検出器)であり得、そしてカラムとつなげて使用してもよく、または、別々に使用してもよい。発蛍光団が薬剤として使われる場合、蛍光検出器は、当該分野で公知のような適切な励起波長および発光波長(例えば、1−ナフトールについては、それぞれ、290nmおよび360nm)に設定され得る。シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体が定量されるべき場合、検出されたシグナルのサイズが測定され得、そしてサンプル中に存在するシクロデキストリンの量またはシクロデキストリン誘導体を測定するために漸増量の薬剤が添加されたサンプルから作成された標準曲線と比較され得る。
【0029】
本発明の方法を使用すると、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の検出限界は、100μg/mL未満、好ましくは50μg/mL未満、20μg/mL未満、10μg/mL未満、5μg/mL未満、2μg/mL未満または1μg/mL未満であり得る。
【0030】
タンパク質(特に治療用タンパク質)は、細胞培養物から精製され得、そして製薬調製物として調製され得る。特に、細胞が増殖を疎水性化合物に依存している場合(例えば、コレステロール栄養要求性細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞またはNSO細胞のコレステロール栄養要求性誘導体))、細胞はシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在下で培養され得る。本発明の一局面において、製薬調製物は、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在について評価され得る。
【0031】
本発明の方法において、タンパク質発現について当該分野で公知の任意の細胞が用いられ得る。例としては、NSO細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト腎臓293細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、3T3細胞、CV−1細胞、HeLa細胞およびマウスL細胞、BHK細胞、HL−60細胞、U937細胞、HaK細胞またはJurkat細胞が挙げられる。細胞は、当該分野で公知の任意の方法によって培養され得る。一つの実施形態では、細胞はコレステロール栄養要求性細胞(例えば、NSO細胞またはそこから誘導された細胞)である。別の実施形態では、細胞は、MBCDの存在下で培養される。培養細胞は、精製されるべきタンパク質をもともと発現してもよく、または、タンパク質を発現するように遺伝子操作されてもよい。目的のタンパク質を発現するように細胞を遺伝子操作するための方法は、当該分野で周知技術である。例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Ausubelら,Current Protocols in Molecular Biologyを参照のこと。これらの各々は、参考として援用される。細胞は、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在下で培養される。次いで、タンパク質は、培養細胞からまたは培養培地から、当該分野で周知の技術(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、溶解性の差、限外濾過など)を使用して精製される。タンパク質は、少なくとも90%の均質性(好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の均質性)まで精製され得る。次いで、精製されたタンパク質は、それから、薬学的に受容可能なキャリアと合わされて、製薬調製物が生成される。
【0032】
薬学的に受容可能なキャリアは、薬学的に用いられ得る調製物へのタンパク質の加工を容易にする、賦形剤および添加物を含む。賦形剤の例としては、水、食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。当該分野で周知の添加物としては、例えば、界面活性剤(例えば、TWEEN(例えば、TWEEN−80)、粘着減少剤(detackifier)、消泡剤、緩衝剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)およびトコフェロール、例えばα−トコフェロール(ビタミンE))、保存剤、キレート剤、増粘剤、フィラー、結合剤、滑沢剤、粘度調節剤(viscomodulator)、張度調節剤(tonicifier)、矯味矯臭剤(flavorant)、着色剤、臭気剤、乳白剤、懸濁剤および可塑剤が挙げられる。好ましくは、調製物は、注射または経口的な投与に適切な溶液であり、そして、約0.01〜約99パーセント(好ましくは約0.25〜約75パーセント)のタンパク質を賦形剤とともに含む。
【0033】
シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在は、精製のいかなる段階でも決定され得る。一つの実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在は、最終的な製薬調製物において決定される。この方法は、サンプル中の(例えば、最終的に精製された製薬調製物中の)シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体のレベルの記録(例えば、プリントまたはコンピュータ読み取り可能な記録(例えば、ラベル))を作成することをさらに含み得る。
【0034】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の例示であるが、限定ではない。クロマトグラフィーおよび製薬の調製および評価において通常遭遇し、そして当業者にとって明らかである、種々の条件およびパラメータの他の適切な改変および適用は、本発明の趣旨および範囲の範囲内である。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
ナチリズマブを、約720mg/LのMBCDの存在下で培養したコレステロール栄養要求性細胞において組換え発現させた。この抗体を、3つの慣用的なクロマトグラフィー工程で精製した。各々の精製工程および最終的な抗体調製(製薬での使用に適している)の後に存在するMBCDの量を決定するための方法を開発した。
【0036】
サンプルを、SECカラム(TSKゲルG2000SWXL、7.8mm×30cm)でのHPLCによって分離した。移動相は、140mMのNaCl、10mMのリン酸塩、pH6.45/2%(v/v)メタノールおよび10−4M 1−ナフトールを含んだ。サンプルの大きさは、50μL(Waters蛍光検出器)または100μL(Rainin蛍光検出器)であった。流速は、アイソクラティックな条件下にて1mL/分であった。MBCD/1−ナフトール包接複合体は、励起および放出についてそれぞれ290nmおよび360nmにて蛍光検出器を使用して検出された。
【0037】
検出限界のアッセイを、pH6.1の水性緩衝液中のMBCD標準(水中1.0mg/mlのMBCD)の系列希釈を使用して実施した。この技術を用いて、検出限界は、1.3μg/mLであると決定された。類似のアッセイを行って、3つのクロマトグラフィーカラムからの溶出物および最終的な精製された抗体調製物の各々のサンプルの検出限界を決定した。サンプルにおける検出限界は非常に低く、1.3μg/mL〜5.2μg/mLの範囲にわたり、平均3.0μg/mLであった。代表的なクロマトグラムを図1に示す。
【0038】
アッセイの線形性を評価するために、1.3μg/mL、2.6μg/mL、10μg/mL、26μg/mLおよび65μg/mLのLMBCDを含む5つの標準を50μLの体積でHPLCカラムに注入した。線形最小自乗回帰が図2において示される。この結果は、このアッセイが、0.998の相関係数という、高い線形性を有することを示す。
【0039】
線形性もまた、1.3μg/mL、2.6μg/mL、5.0μg/mL、10.0μg/mL、20.0μg/mLおよび50.0μg/mLのMBCDを添加した最終的な抗体調製物のサンプルを使用して調査した。この結果(図3)は、このアッセイが、0.999の相関係数という、高い線形性を有することを示す。
【0040】
最終的な抗体調製物中のMBCDの回収率を、ピーク面積を、対応するMBCD標準のピーク面積と比較することにより算出した。表1にまとめたように、回収率は、試験したMBCD濃度については97%と117%との間にあった。
【0041】
【表1】

反復率(アッセイ内精度)について相対標準偏差を、1.3μg/mL、2.6μg/mL、10μg/mL、26μg/mLおよび65μg/mLのMBCDを含めた5つの標準を使用して決定した。これらの結果を表2に示す。これらの結果は、このアッセイが5.0%未満の相対標準偏差を有することを示す。
【0042】
【表2】

本発明をいまや完全に記載してきたが、本発明の範囲にもそのいかなる実施形態にも影響を及ぼすことのない条件、処方および他のパラメータの広くかつ等価な範囲において本発明が実施され得ることは、当業者によって理解される。本明細書において引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、それらの全体が本明細書において完全に引用される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、MBCDを有する精製されたナチリズマブ製薬調製物およびMBCDのない精製されたナチリズマブ製薬調製物についての代表的なクロマトグラムを示す。(a)製薬調製物(19.6mg/mL ナチリズマブ);(b)処方緩衝液;(c)1.3μg/mLのMBCDを添加した製薬調製物(19.6mg/mLのナチリズマブ)。
【図2】図2は、MBCD標準についての線形性曲線を示す。
【図3】図3は、MBCDが添加されたナチリズマブの製薬調製物についての線形性曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を含む溶液中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の存在の試験のための方法であって、該方法は、
存在し得る任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって該タンパク質から分離する工程、
分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程、および
該包接複合体からのシグナルの存在を評価する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体が、メチル−β−シクロデキストリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンパク質が治療用タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タンパク質が組換えタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質が抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶液が、20μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記薬剤が蛍光化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記薬剤が1−ナフトールである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、10μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の検出限界を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、2μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の検出限界を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
SECカラムに前記溶液のサンプルをローディングする工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルが、前記カラムにローディングされる前に抽出工程を受けない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カラムが、約5〜20kDaから約75〜300kDaの分離範囲を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記カラムが、約2ミクロン〜約6ミクロンの粒径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記カラムが、約4ミクロンの粒径を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤が、前記分離工程中、移動相に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記分離が、約50mM〜約300mMの濃度の塩を含む移動相を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプルおよび移動相が、約2.0〜約8.0のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルおよび前記移動相が、約5.0〜約7.5のpHを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記タンパク質が少なくとも90%純粋である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記タンパク質が少なくとも95%純粋である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質が少なくとも98%純粋である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
タンパク質を含む溶液中に存在し得る、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を決定するための方法であって、該方法は、
任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を、SECによって該タンパク質から分離する工程、
分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程、
該包接複合体からのシグナルの存在を評価する工程、および
該シグナルのサイズを決定する工程
を包含し、ここで、該シグナルのサイズが、該溶液中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を示す、方法。
【請求項24】
前記シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体が、メチル−β−シクロデキストリンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記タンパク質が治療用タンパク質である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記タンパク質が組換えタンパク質である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記タンパク質が抗体である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記溶液が、20μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記薬剤が蛍光化合物である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤が1−ナフトールである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、10μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の検出限界を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記方法が、2μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の検出限界を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
SECカラムに前記溶液のサンプルをローディングする工程をさらに包含する、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記サンプルが、前記カラムにローディングされる前に抽出工程を受けない、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記カラムが、約5〜20kDaから約75〜300kDaの分離範囲を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記カラムが、約2ミクロン〜約6ミクロンの粒径を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記カラムが、約4ミクロンの粒径を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記薬剤が、前記分離工程中、移動相に存在する、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
前記分離が、約50mM〜約300mMの濃度の塩を含む移動相を使用する、請求項23に記載の方法
【請求項40】
前記サンプルおよび前記移動相が約2.0〜約8.0のpHを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項41】
前記サンプルおよび前記移動相が約5.0〜約7.5のpHを有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記タンパク質が少なくとも90%純粋である、請求項23に記載の方法。
【請求項43】
前記タンパク質が少なくとも95%純粋である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記タンパク質が少なくとも98%純粋である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
製薬調製物を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)治療用タンパク質および薬学的に受容可能なキャリアを含む製薬調製物を提供する工程;
(b)SECによって該製薬調製物を分離する工程;
(c)分離されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体と検出可能な包接複合体を形成する薬剤と、該製薬調製物中に存在し得る任意のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体とを接触させる工程;および
(d)該包接複合体からのシグナルを検出する工程
を包含し、ここで、該シグナルのサイズは、該調製物中のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の量を示す、方法。
【請求項46】
前記シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体が、メチル−β−シクロデキストリンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記タンパク質が組換えタンパク質である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記タンパク質が抗体である、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記タンパク質がモノクローナル抗体である、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記溶液が、20μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記薬剤が蛍光化合物である、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記薬剤が1−ナフトールである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記方法が、10μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体の検出限界を有する、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記方法が、2μg/mL未満のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体検出限界を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
SECカラムに前記溶液のサンプルをローディングする工程をさらに包含する、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記サンプルが、前記カラムにローディングされる前に抽出工程を受けない、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記カラムが、約5〜20kDaから約75〜300kDaの分離範囲を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記カラムが、約2ミクロン〜約6ミクロンの粒径を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記カラムが、約4ミクロンの粒径を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記薬剤が前記分離工程中、移動相に存在する、請求項45に記載の方法。
【請求項61】
前記分離が、約50mM〜約300mMの濃度の塩を含む移動相を使用する、請求項45に記載の方法。
【請求項62】
前記サンプルおよび前記移動相が、約2.0〜約8.0のpHを有する、請求項45に記載の方法。
【請求項63】
前記サンプルおよび前記移動相が、約5.0〜約7.5のpHを有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記タンパク質が少なくとも90%純粋である、請求項45に記載の方法。
【請求項65】
前記タンパク質が少なくとも95%純粋である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記タンパク質が少なくとも98%純粋である、請求項65に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−523362(P2008−523362A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544580(P2007−544580)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/043869
【国際公開番号】WO2006/062881
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】