説明

シグナル増幅マイクロスフェア、単ステップ及びマルチステップ分析増幅手順におけるそれらの使用並びにそれらの製造方法

本発明は、タンパク質シグナル前駆体分子、またはシグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有するマイクロスフェアに関し、前記シグナル前駆体分子は検出可能なシグナルを生成するために活性化可能である一方、担体タンパク質との結合を維持する。さらにマイクロスフェアの調製方法は、タンパク質分子を溶液中のマトリクス形成体と混合するステップと、混合物に還元剤を添加するステップと、還元剤を除去するステップと、タンパク質分子のマイクロスフェアを残してマトリクス形成体を除去するステップとを含む。さらに増幅サイクル手順を含むシグナル増幅を行うマイクロスフェアを用いた生物検定法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体タンパク質分子及びシグナル前駆体分子を有するタンパク質マイクロスフェアと、それらの製造方法に関し、さらにサンプル中の標的種の検出のためのそのようなマイクロスフェアのインビトロの生物検定(バイオアッセイ)における使用に関する。本発明はまた、光学的、磁気的、電気化学的または化学的方法を含むが、これらに限定されない検出技術を用いてインビトロの生物検定の感度レベルを向上させる方法に関する。検定方法、直接的かつ強力なシーケンシャルシグナル増幅法、及び種々のテストキットもまた提供される。
【背景技術】
【0002】
本発明のタンパク質マイクロスフェアの生物検定分野における応用において、タンパク質マイクロスフェアは、試料中の標的分子を特異的に認識しかつ結合する表面親和性分子を担持する。酵素結合免疫測定(ELISA)、放射免疫測定(RIA)、蛍光免疫測定(FIA)、免疫凝集アッセイ、または、DNA、RNA若しくは遺伝子検定等の生物検定は周知であり、研究、人間及び家畜の診断分野、法医学的診断、環境分析、食物分析、並びに、大気中若しくは水中における危険物質の生物テロ防御における分析物の検出に重要な役割を果たしている。
【0003】
生物検定は、少なくとも1つの標識生体分子と、検出対象の分析物(標的)との相互作用に基づく。標識は、相互作用を"視覚化"する手段である。多様な種類の標識が知られており、上述の種々の技術に対してそれらの名称を付与している。すなわち、ELISAにおける酵素、RIAにおける放射性アイソトープ、FIAにおける蛍光物質、または、ウェスタン、サザン若しくはノーザンブロットにおける特定の標識である。
【0004】
生物検定における最も重要な要請は、分析特異性と分析感度である。分析特異性は、親和性分子すなわち生体認識分子により決定される。例えば、抗体のその抗原(分析物)に対する結合部位の適合性、あるいは、2つの相補的核酸鎖のハイブリダイゼーションである。生物検定の分析感度も、その標的種との生体相互作用の親和性定数により、生体認識分子による影響を受ける。標識は、標識と親和性分子の間で生じた反応を示すマーカーとして機能し、種々の技術により測定可能である。
(i)色素の吸収若しくは蛍光体により放射された蛍光、発光体若しくは化学発光化合物により放射された発光の計測、または、凝集ラテックス粒子の光散乱による混濁度の計測による光学的測定
(ii)放射性同位体の計測による放射能測定
(iii)化学伝達物質または電子活性物質の計測による電気化学的測定
(iv)磁力の計測による磁気的測定
(iv)質量変化の計測による圧電的測定
【0005】
放射性同位体を標識として用いた放射免疫測定法は、未だに、最も感度のある方法と見られている。この非常に強力な技術は、1959年にYalowとBersonにより紹介され、分析化学、診断学及び薬学における新時代を象徴した。それにもかかわらず、この技術は、使用される放射性同位体故に人間及び環境を汚染するリスクを完全には排除できないという欠点がある。
【0006】
一方、非放射能法が発達してきて、匹敵する分析感度に到達する目標をもって改良されてきた。蛍光、発光及び吸収スペクトロスコピーに基づく光学的方法の重要性は、継続的に強化されてきており、なお成長し続けている。
【0007】
ELISA技術は、シグナルを増幅するために酵素をマーカーとして用いる。生物検定が実行されると、分析物とプローブの生物相互作用が、酵素マーカー分子による大量の色素分子の生成によって増幅される。グルコースオキシダーゼ(GOD,EC 1.1.3.4)、アルカリホスフォターゼ(AP, EC 3.1.3.1)またはパーオキシダーゼ(POD, EC 1.11.1.7)等の酵素は、基質分子の1秒当たりの代謝回転数がそれぞれ2000、5000及び10000で使用可能である。ELISA技術の欠点は、手順に含まれるステップが極めて多いことと、基質培養に長時間を要することである。
【0008】
蛍光法もまた、長年生物検定に採用されてきており、高い関心が持たれ続けている。全ての蛍光をベースとする技術は、良好な感度と10−8〜10−18Mの低い検出限界を確保している。例えば"時間分解蛍光法"、化学及び生物発光法、またはドナー分子とアクセプタ分子の間のエネルギー転換に基づく技術等の特殊な技術では、10−15〜10−18Mの検出限界に達することができる。
【0009】
従来知られている蛍光免疫測定法は、反応性の官能性リンカー基をもつ低分子量蛍光標識(非特許文献1、2、3)と、蛍光性の色素着色粒子(特許文献1、2、3)または蛍光体添加(スパイク)デンドリマー(特許文献4)を用いる。
【0010】
免疫測定法におけるシグナル増幅のためにマーカー負荷リポソームを用いることも知られている(特許文献5、6、7)。実際には、これらの方法の感度は、溶液形態にてリポソーム中に導入できるマーカー物質の量により制限される。標識リポソームを用いる更なる欠点は、リポソームの安定性の限界である。
【0011】
上述の通り、生物検定の進展においては、非常に高い分析感度を実現することが重要であり、分析物濃度の所与の変化に対するシグナル応答の大きさ(キャリブレーション曲線の勾配)として規定される。免疫化学的定量においては、サンドイッチタイプ測定であれ競合タイプ測定であれ、分析感度は、濃度領域に依存する。
【0012】
分析感度に影響を及ぼす別の2つの要因は、定量に必要なサンプル量と、結果を得る全体の反応時間である。サンプル量が多くなるほど、かかる全体反応時間も長くなり、検出可能かつ測定可能な分析物の濃度は低くなる。しかしながら、多くの実際の状況では、(例えば薬学的研究において)入手可能な十分なサンプル量がないか、または、(例えばミルク中の抗生物質残渣や空気中の生物テロ防御物質等)その成分が非常に大量のサンプル中に分散している。従って、入手可能な少量のサンプル中の非常に微量の物質を検出しかつ/または定量すること、あるいは、大量のサンプル体積中に非常に低濃度で分散した物質を検出しかつ/または定量することが、重要な挑戦となる。
【0013】
結論として、適用される技術は、特に非常に低い濃度領域において高い分析感度を備えていなければならない。
【0014】
非常に低い濃度領域における種々の既知の技術の分析感度を客観的に比較できるように、CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute(臨床・検査標準協会)及び/またはNCCLS(米国臨床検査標準委員会))が3項目:ブランク上限(Limit of Bland(LoB))、検出限界(Limit of Detection(LoD)及び定量限界(Limit of Qantitation(LoQ))を用いた分析感度を規定している。これらのパラメータのデータが評価され、種々の技術の間の比較に用いられる。
【0015】
高分析感度を実現するために、シグナル増幅に効果のある異なる生体標識システムが開発された。例えば、酵素生体標識、有機微小結晶生体標識及び金コロイド標識等である。
【0016】
酵素生体標識システムにおいては、酵素分子が光学的または電気化学的特性により基質を生成物に変換する。例えばセイヨウワサビパーオキシダーゼによる高い代謝回転数により、あるいは、例えばアルカリホスファターゼによる非常に大きな線形酵素反応により、増幅を実現する膨大な量の生成物(シグナル)を生成することができる。
【0017】
別の手法は、検定感度を向上させる検出シグナルを増幅するための、いわゆる"酵素サイクリング"技術である。
【0018】
シグナル生成物質の固体粒子を用いた新しいクラスの標識は、特許文献8に開示されている。各固体粒子中に存在する億万個のシグナル生成分子は、"スーパーノバ効果"を生成するための遊離試薬に曝されると即座に遊離されることが可能である。
【0019】
酵素システムのシグナル増幅原理は、バルク相中に遊離されているシグナルを生成するための酵素基質の変換に基づいている。固体粒子システムのシグナル増幅原理は、膨大なシグナル分子の反応チャンバのバルク相中での生成及び遊離に基づいている。しかしながら、バルク相へのシグナル分子の遊離は、シグナル分子濃度の部分的な希釈を生じて分析感度を劣化させる。
【0020】
さらに、金コロイド標識を用いたシグナル増幅生物検定が知られている。非特許文献4は、金コロイドとそれに続く銀強化に基づくシグナル増幅法を報告している。それによれば、金コロイドが金粒子表面上への銀(I)の還元を促進することにより、多量の銀金属が金コロイド標識上に堆積することとなる。銀強化手法は、1リットル当たり5ナノモルまでの低い濃度のオリゴヌクレオチドを検出可能である。
【0021】
増幅生物検定のための金コロイドを用いた別の手法は、金コロイドの生物親和性誘起凝集に基づいている。それは、裸眼で観察可能な赤色から青色への色変化を生じる。生物親和性誘起凝集の手法は、1リットル当たり10フェムトモルの濃度レベルまでのオリゴヌクレオチドを検出可能である。金コロイド標識のシグナル増幅の原理は、集中した小体積中へのシグナル分子の蓄積すなわち凝集に基づいている。上述した標識システムのシグナル増幅性能と比較することにより、固体担体(例えば側方流装置)上の集中領域におけるシグナル分子蓄積(別の親和性分子による固定)による金コロイド増幅システムは、高い分析感度を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第4,837,168号明細書
【特許文献2】米国特許第6,013,531号明細書
【特許文献3】国際公開WO95/08772公報
【特許文献4】独国特許第197 03 718号明細書
【特許文献5】米国特許第5,756,362号明細書
【特許文献6】米国特許第4,874,710号明細書
【特許文献7】米国特許第4,703,017号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1309867号公報
【0023】
【非特許文献1】SOUTHWICK, P. L., et al., Cytometry, 11, pp. 418-430, 1990
【非特許文献2】MUJUMDAR, R. B., et al., Chemistry, 4, pp. 105-111, 1993
【非特許文献3】MUJUMDAR, R. B., et al., Cytometry, 10, pp. 11-19, 1989
【非特許文献4】T. Andrew Taton, Chad A. Mirkin, Robert L. Letsinger, "Scanometric DNA Array Detection with Nanoparticle Probes", Science, 289(8) 1757-1760, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の一実施例は、優れた分析感度と、低検出限界と、さらに任意であるが、その手順を順次適用する繰り返しサイクル増幅によるシグナル検出の増強とを確保する、サンプル中の標的分子を検出するための方法を提供する。この手法は、既知の方法とは全く異なる。
【0025】
本発明の別の実施例は、研究分野及び診断分野における標的分子の光学的、電気化学的または化学的検出のための種々のテストキットを提供する。
【0026】
本発明の更に別の実施例は、生物検定において信頼性をもって調製可能でありかつ広範に適用可能である標識生体分子を提供する。それらは、好適には、人間及び動物の診断分野、法医学診断、環境分析、食物分析、生物テロ防御スクリーニング、DNA、RNA、または、ゲノムの研究及び診断において適用可能なものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
<用語の定義>
・親和性分子/生体認識分子
親和性分子は、それらの構造により若しくはそれらのポアサイズによりまたはそれらの電荷により、所定の親和力(アフィニティ定数/アビディティー定数)をもって特異的に別の物質を認識しかつ結合する物質である。
【0028】
非常に多くの種々の親和性分子が存在する。それらには、所定の薬品クラスの物質と共に一般的に用いられるもの(例えば、IgG抗体に対するタンパク質A/G)、あるいは、唯一の物質に対する非常に特異的なもの(例えば、抗原に対する抗体、別のシーケンスに対するDNAシーケンス、または、ビオチンに対するアビジン、基質に対する所定の酵素)がある。
【0029】
・担体タンパク質(キャリアタンパク質)
担体タンパク質は、細胞内のS−S(硫黄−硫黄)結合を切断して分子間及び分子内のS−S結合の自己組織化形成を行わせることにより、主としてスポンジ状のマイクロカプセルの形態で関与する。分子間S−S結合は、タンパク質マイクロスフェアの構造整合性を担保する。
【0030】
使用可能な担体タンパク質の例として、次のものが含まれる。
− 繊維状タンパク質(例えば、細胞骨格タンパク質、細胞外マトリクスタンパク質等)
− 球状タンパク質
− 血清及び血漿から分離可能である血液タンパク質(例えば、ヘモタンパク質、輸送タンパク質、DNA結合タンパク質等)
− リポタンパク質
− 糖タンパク質
− 免疫系タンパク質(例えば、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体、抗原等)
− 組換えタンパク質
− 遺伝子改変タンパク質
− 化学修飾タンパク質
− 合成タンパク質
− 種々のタンパク質の混合
− 栄養タンパク質(例えば、貯蔵タンパク質、輸送タンパク質等)
− 酵素
− リボザイム
一般的に、人間、動物及び植物由来の含硫タンパク質、または、含硫ペプチド(合成ペプチドを含む)のいずれも使用できる。
【0031】
・シグナル増幅
物理化学的に測定可能なシグナルを生じる2またはそれ以上の物質/反応パートナーの間の全ての反応である。
多くの場合、免疫化学的反応及びハイブリダイゼーション反応におけるシグナルは非常に弱く、測定が解析可能な結果を生じるに先立ってこのシグナルの増幅を行わなければならない。
【0032】
増幅は、種々の方法及び技術により行うことができる。
【0033】
本発明は、シグナル増幅マイクロスフェアを用いた単ステップ及びマルチステップの増幅手順の双方を提供する。マルチステップ増幅手順の一つでは、少なくとも1サイクルの増幅において、標的分子の特異的認識及びそれとの結合のために、シグナル生成有機物質の固体粒子を包含しかつ表面親和性分子を担持するカプセルを使用してもよい。特許文献8に開示されたタイプのものであり、特許文献8の開示をここに引用することにより包含する。
【0034】
・マイクロスフェア
本発明のマイクロスフェアは、固体境界を有しておらず、その内部に延びる孔を備えたスポンジボールのようなものである。マイクロスフェアは、共有結合的に互いに結合するタンパク質分子のネットワークである。
【0035】
マイクロスフェアは、沈殿したてのテンプレートにおける吸着性結合または共沈により、及び、分子内S−S結合の切断により形成される。得られた遊離したチオール基は、その後、新たな分子間及び分子内S−S結合を形成可能であり、分子間S−S結合はマイクロスフェア形成に寄与する。マイクロスフェアは、均一構造を有しており、特許文献8に開示されたような積層技術により形成されるカプセルのような層構造ではない。
【0036】
マイクロスフェアは、10nm〜1mmの間の、好適には400nm〜10μmの直径を有する。これらの境界値は、少なくとも部分的にはマイクロメートル領域の外側にあるが、簡便さのために、ここでの"マイクロスフェア"という用語は、本発明によるタンパク質分子のネットワークから形成された個々の粒子のことを称するために用いることとする。
【0037】
・シグナル増幅マイクロスフェア
シグナル増幅マイクロスフェアは、担体タンパク質と、シグナル前駆体分子と、親和性分子とからなる。
シグナル増幅マイクロスフェアは、その表面上に、検出対象の物質(標的すなわち分析物)に対する特異的結合特性を備えている。
【0038】
・マトリクス形成体
マトリクス形成体は、炭酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、多孔性シリカ、オリゴ糖またはデキストリン等の多糖類などの材料である。共沈によりマイクロスフェアテンプレートを形成するために、担体タンパク質及び/またはシグナル前駆体分子と混合される。
【0039】
・還元剤
還元剤は、マイクロスフェアテンプレート中のタンパク質分子内の分子内ジスルフィド結合を切断する材料であり、還元剤の例は、ジチオスレイトール(DTT)である。
【0040】
・マトリクス除去剤
マトリクス除去剤は、タンパク質マイクロスフェアを残してマイクロスフェアテンプレートからマトリクス形成体を除去するために用いられるキレート剤(EDTA)、酸または塩基等の材料である。
【0041】
・シグナル前駆体分子
シグナル前駆体分子は、1または複数の他の試薬と反応したとき、測定可能なシグナルを生じる分子である。シグナル前駆体分子は、直接的または間接的なタイプが可能である。直接シグナル前駆体の場合、シグナル前駆体分子自体が、検出されるシグナルを生成するための活性化に応じて変化させられる。間接シグナル前駆体の場合、シグナル前駆体分子が、活性化に応じて別の種と反応し、この別の種が、検出されるシグナルを生成する要因となる。シグナル前駆体分子は、低分子量シグナル前駆体分子でも、高分子量シグナル前駆体分子でもよい。
【0042】
・低分子量シグナル前駆体分子
シグナル前駆体分子は、蛍光体及びその誘導体、発光体及びその誘導体、色素及びその誘導体、接合団、または、レドックスメディエーターから選択された酸化還元活性物質、電極活性物質からなる群から選択された低分子量物質とすることができる。
【0043】
・高分子量シグナル前駆体分子
高分子量タンパク質シグナル前駆体分子は、酵素及びそれらの前駆体、生物発光性及び蛍光発光性のタンパク質及びリボザイムからなる群から選択された高分子量物質;または、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、組換えタンパク質、レクチン、アビジン、リポタンパク質及び糖タンパク質、核酸、リボザイム及びアプタマーからなる群から選択されたペプチドまたはタンパク質とすることができるが、これらに限定するものではない。
【0044】
開始反応を介して測定可能なシグナルを生じる多様な化学薬品クラスからの非常に多くの多様な物質がある。測定可能なシグナルは、次のものに基づく。
− 蛍光分析
− 発光分析
− 紫外光、可視光、近赤外領域における色変化
− 酸化還元電位における変化
− 錯体形成または沈殿の間における質量の変化
【0045】
・標的分子
この用語は、"分析物"と同意語である。この用語は、免疫測定等の分析手順において同定される物質すなわち化学成分を意味する。
【0046】
<発明の詳細な説明>
第1の態様において、本発明は、シグナル前駆体分子と結合した担体タンパク質を有するマイクロスフェアを提供する。シグナル前駆体分子は、担体タンパク質との結合を維持しつつ測定可能なシグナルを生成するために活性化可能である。
【0047】
一実施例においては、マイクロスフェアがハイブリッド粒子またはヘテロ粒子であり、これは担体タンパク質とシグナル前駆体分子が異なることを意味する。別の実施例では、マイクロスフェアがホモ粒子であり、これは担体タンパク質とシグナル前駆体が同じであること意味する。
【0048】
上述したように、シグナル前駆体分子は直接的または間接的なタイプとすることができる。直接シグナル前駆体の場合、シグナル前駆体分子自体が、検出されるシグナルを生成するために活性化に応じて変化させられる。間接シグナル前駆体の場合、シグナル前駆体分子は活性化に応じて別の種と反応し、この別の種が、検出されるシグナルを生成可能である。
【0049】
好適には担体タンパク質が、限定しないが細胞骨格タンパク質若しくは細胞外マトリクスタンパク質を含む繊維状タンパク質;または、限定しないがヘモタンパク質、細胞吸着タンパク質を含む球状タンパク質若しくは血液タンパク質;限定しないがモノクロナル抗体及びポリクロナル抗体、栄養貯蔵/輸送タンパク質、シャペロンタンパク質若しくは酵素を含む輸送タンパク質、成長因子、レセプタータンパク質、DNA結合タンパク質、免疫系タンパク質;または、遺伝子改変タンパク質;または、組換えタンパク質若しくは化学修飾タンパク質及び合成タンパク質から選択される。さらに好適には、担体タンパク質が、ウシ血清アルブミン等の血液中を循環するタンパク質である。このタンパク質は、ELISA及び免疫ブロットを含む生化学の応用に広く用いられている。これは良好な安定性を備えており、かつ、畜産業の副生成物としてウシ血液から大量のものを容易に精製できるため低コストにて入手可能である。
【0050】
シグナル前駆体分子は、蛍光体及びそれらの誘導体、発光体及びそれらの誘導体、色素及びそれらの誘導体、接合団、または、レドックスメディテーターから選択された酸化還元活性物質、電極活性物質からなる群から選択された低分子量物質とすることができる。
【0051】
好適には、低分子量シグナル前駆体分子は、フロオレセイン、シアニン、カーボシアニン、ローダミン、キサンテン、ジアゾ色素ベースの蛍光物質、並びに、蛍光芳香族低分子及びヘテロ芳香族低分子等の蛍光体である。
【0052】
別の例として、低分子量シグナル前駆体分子は、ピラゾロン、アントラキノン、カロテノイド並びにジアゾ及びモノアゾ、オキサジン、インジゴイド、または、リボフラビンをベースとする染料物質等の色素としてもよい。
【0053】
最も好適には、低分子量シグナル前駆体分子は、フルオレセイン二酢酸(FDA)、フルオレセイン二酢酸イソチオシアネート(FDA−イソチオシアネート)またはフルオレセインマレイミド(FDA−マレイミド)等のフルオレセイン誘導体である。
【0054】
高分子量タンパク質シグナル前駆体分子は、酵素及びそれらの前駆体、生物発光性及び蛍光発光性のタンパク質及びリボザイムからなる群から選択された高分子量物質;または、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、組換えタンパク質、レクチン、アビジン、リポタンパク質及び糖タンパク質、核酸、リボザイム及びアプタマーからなる群から選択されたペプチドまたはタンパク質とすることができるが、これらに限定するものではない。
【0055】
好適には、高分子量シグナル前駆体分子は、ペプチド及びタンパク質、核酸鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物等の親和性分子である。
【0056】
別の例として、高分子量シグナル前駆体分子は、パーオキシダーゼ、酸化還元酵素、リガーゼ、ポリメラーゼ、及び、タランスフェラーゼ等の酵素とすることができる。
【0057】
最も好適には、高分子量シグナル前駆体分子は、アビジン及びNeutr Avidin(商標)である。
【0058】
上述したマイクロスフェアは、10nm〜1mmの範囲の、好適には400nm〜10μmの範囲の寸法を有する。マイクロスフェアの構造は、好適には実質的に均質である。すなわち、マイクロスフェアを形成する材料は実質的に均一に分散しており、粒子の本体全体に亘って実質的に均一な密度及び多孔度を有する。
【0059】
マイクロスフェアは、微少なスポンジ又は綿毛ボールに似ており、認識できる境界を有してはいるが、境界を規定する硬い外殻をもつカプセルではない。
【0060】
溶液中の標的に結合するためにマイクロスフェアが親和性分子と結合したとき、それらの親和性分子はマイクロスフェアに付着することになる。マイクロスフェアは親和性分子を有する、すなわち、親和性分子がマイクロスフェアの表面に直接に又はリンカー分子を介して接合されるか又は結合される、あるいは、吸着により結合または付着される。リンカー分子としては、限定しないが、例えばアビジン、ストレプタビジン、NeutrAvidin(商標)、タンパク質A、タンパク質G、レクチン又は低分子量クロスリンカー等の生体分子を含む。しかしながら、幾つかの親和性分子は、マイクロスフェアの内部に拡散して、特別な場合にはそこでも付着することとなる。もちろん、このような拡散の程度は、親和性分子とマイクロスフェアの孔サイズの相対的寸法に依存することとなる。
【0061】
マイクロスフェアに付着される親和性分子は、特定のペプチド及びタンパク質、核酸鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物等の生体認識分子でもよい。
【0062】
ペプチドまたはタンパク質は、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、レクチン、アビジン、オリゴペプチド、リポタンパク質、糖タンパク質、ペプチドホルモン及びアレルゲンまたはその一部でもよい。核酸は、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマー及びその一部でもよい。炭水化物の例としては、単糖、オリゴ糖、及び多糖類、糖脂質、プロテオ多糖類及びその一部でもよい。低分子量リガンドは、ビオチンまたはビオチン誘導体、ステロイドまたはホルモン、補因子または補酵素、活性化因子、抑制因子、酵素の擬基質または接合団基、ドラッグ、アレルゲンまたはハプテンでもよい。
【0063】
第2の態様において、本発明は、本明細書で定義したマイクロスフェアの製造方法を提供する。マイクロスフェアはシグナル前駆体分子と結合した担体タンパク質を有する。シグナル前駆体分子は、検出可能なシグナルを生成するために、担体タンパク質との結合を維持しつつ活性化可能である。この方法は、担体タンパク質及びシグナル前駆体分子をマトリクス形成体と溶液中、好適には水溶液中で撹拌により混合し、小分子の還元剤を撹拌により添加し、小分子の還元剤を除去するために洗浄し、マトリクス除去剤を撹拌により添加し、かつ、マトリクス形成体を除去してシグナル前駆体分子と結合した担体タンパク質のマイクロスフェアを残すために洗浄するものである。
【0064】
この方法は、水性試剤と共に水溶液中で、好適には室温にて行われることが好ましい。混合の好適方法は、磁気スターラーを用いた撹拌である。
【0065】
マトリクス形成体の機能は、マイクロスフェアテンプレート中にタンパク質分子を補足することである。マトリクス形成体は、炭酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、多孔性シリカ、または、オリゴ糖またはデキストラン等の多糖類とすることができる。カルシウムカーボネートは、好適には、担体タンパク質とシグナル前駆体分子と塩化カルシウムの混合溶液に、炭酸ナトリウム溶液を添加することにより形成される。
【0066】
マイクロスフェアの大きさは、撹拌速度を制御することにより制御可能である。マイクロスフェアの密度は、担体タンパク質、シグナル前駆体分子、マトリクス形成体及び還元剤の相対的割合を調整することにより制御可能である。
【0067】
前述の通り、マイクロスフェアは、ハイブリッド粒子でもよく、その場合、担体タンパク質とシグナル前駆体分子が異なってもよい。別の例として、担体タンパク質及びシグナル前駆体分子が同じでもよい。さらに、シグナル前駆体が、上述したように直接的でも間接的でもよい。
【0068】
好適には、担体タンパク質が、限定しないが細胞骨格タンパク質若しくは細胞外マトリクスタンパク質を含む繊維状タンパク質;または、限定しないがヘモタンパク質、細胞吸着タンパク質を含む球状タンパク質若しくは血液タンパク質;限定しないがモノクロナル抗体及びポリクロナル抗体、栄養貯蔵/輸送タンパク質、シャペロンタンパク質若しくは酵素を含む輸送タンパク質、成長因子、レセプタータンパク質、DNA結合タンパク質、免疫系タンパク質;または、遺伝子改変タンパク質;または、組換えタンパク質若しくは化学修飾タンパク質及び合成タンパク質から選択される。。さらに好適には、担体タンパク質が、ウシ血清アルブミン等の血液中を循環するタンパク質である。
【0069】
シグナル前駆体分子は、蛍光体及びそれらの誘導体、発光体及びそれらの誘導体、色素及びそれらの誘導体、接合団、または、レドックスメディテーターから選択された酸化還元活性物質、電極活性物質からなる群から選択された低分子量物質とすることができる。
【0070】
好適には、低分子量シグナル前駆体分子は、フロオレセイン、シアニン、カーボシアニン、ローダミン、キサンテン、ジアゾ色素ベースの蛍光物質、並びに、蛍光芳香族低分子及びヘテロ芳香族低分子等の蛍光体である。
【0071】
別の例として、低分子量シグナル前駆体分子は、ピラゾロン、アントラキノン、カロテノイド並びにジアゾ及びモノアゾ、オキサジン、インジゴイド、または、リボフラビンをベースとする染料物質等の色素としてもよい。
【0072】
最も好適には、低分子量シグナル前駆体分子は、フルオレセイン二酢酸(FDA)、フルオレセイン二酢酸イソチオシアネート(FDA−イソチオシアネート)またはフルオレセインマレイミド(FDA−マレイミド)等のフルオレセイン誘導体である。
【0073】
高分子量タンパク質シグナル前駆体分子は、酵素及びそれらの前駆体、生物発光性及び蛍光発光性のタンパク質及びリボザイムからなる群から選択された高分子量物質;または、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、組換えタンパク質、レクチン、アビジン、リポタンパク質及び糖タンパク質、核酸、リボザイム及びアプタマーからなる群から選択されたペプチドまたはタンパク質とすることができるが、これらに限定するものではない。
【0074】
好適には、高分子量シグナル前駆体分子は、ペプチド及びタンパク質、核酸鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物等の親和性分子である。
【0075】
別の例として、高分子量シグナル前駆体分子は、パーオキシダーゼ、酸化還元酵素、リガーゼ、ポリメラーゼ、及び、タランスフェラーゼ等の酵素とすることができる。
【0076】
最も好適には、高分子量シグナル前駆体分子は、アビジン及びNeutr Avidin(商標)である。
【0077】
マイクロスフェアの製造方法は、さらに、親和性分子をマイクロスフェアの表面に付着させることを含む。親和性分子は、例えばファンデルワールス力、水素結合または静電相互作用によりマイクロスフェアの外面に接合させられる。あるいは、親和性分子が、直接に又はリンカー分子を介してマイクロスフェアの外面に共有結合させられる。間接的に結合する場合、リンカー分子としては、限定しないが、例えばアビジン、ストレプタビジン、NeutrAvidin(商標)、タンパク質A、タンパク質G、レクチン又は低分子量クロスリンカー等の生体分子を含む。親和性分子は、マトリクス除去剤を添加するステップに先立って反応混合物に添加してもよい。
【0078】
典型的な親和性分子は、特定のペプチド及びタンパク質、核酸鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物等の生体認識分子でもよい。
【0079】
ペプチドまたはタンパク質は、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、レクチン、アビジン、オリゴペプチド、リポタンパク質、糖タンパク質、ペプチドホルモン及びアレルゲンまたはその一部でもよい。核酸は、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマー及びその一部でもよい。炭水化物の例としては、単糖、オリゴ糖、及び多糖類、糖脂質、プロテオ多糖類及びその一部でもよい。低分子量リガンドは、ビオチンまたはビオチン誘導体、ステロイドまたはホルモン、補因子または補酵素、活性化因子、抑制因子、酵素の擬基質または接合団基、ドラッグ、アレルゲンまたはハプテンでもよい。
【0080】
第3の態様において、本発明は、シグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有するマイクロスフェアを用いて試料中の1または複数の標的分子を検出するためのシグナル増幅方法であって、そのシグナル前駆体分子は担体タンパク質との結合を維持しつつ検出可能なシグナルを生成するために活性化可能であり、そのマイクロスフェアは特異的認識のための親和性分子を表面上に有しかつその表面上で標的分子に結合する方法を提供する。その方法は、
(a)標的分子を前記マイクロスフェアとともに恒温保持(インキュベーション)し、
(b)親和性分子と標的分子の複合体を表面に有するマイクロスフェアを、親和性分子と標的分子の複合体を表面に有しないマイクロスフェアから分離し、
(c)分離した、親和性分子と標的分子の複合体を表面に有するマイクロスフェアを、シグナルを生成するシグナル前駆体分子を活性化するために展開剤により処理し、かつ、
(d)シグナルを検出または定量することを含む。
【0081】
このようにして生成されるシグナルは、直接的にまたは間接的に、試料中の標的分子の量に関係する。さらに、シグナル前駆体分子がマイクロスフェア内で結合したままであり溶液中に解放されていないので、シグナルは局所化している。よって、シグナルの希釈がない。逆に、恒温保持ステップ中に形成される親和性分子と標的分子との各複合体に対して、活性化ステップ中に多数のシグナル前駆体分子が活性化されるので、シグナルは増幅される。
【0082】
好適には、担体タンパク質が、限定しないが細胞骨格タンパク質若しくは細胞外マトリクスタンパク質を含む繊維状タンパク質;または、限定しないがヘモタンパク質、細胞吸着タンパク質を含む球状タンパク質若しくは血液タンパク質;限定しないがモノクロナル抗体及びポリクロナル抗体、栄養貯蔵/輸送タンパク質、シャペロンタンパク質若しくは酵素を含む輸送タンパク質、成長因子、レセプタータンパク質、DNA結合タンパク質、免疫系タンパク質;または、遺伝子改変タンパク質;または、組換えタンパク質若しくは化学修飾タンパク質及び合成タンパク質から選択される。。さらに好適には、担体タンパク質が、ウシ血清アルブミン等の血液中を循環するタンパク質である。
【0083】
シグナル前駆体分子は、蛍光体及びそれらの誘導体、発光体及びそれらの誘導体、色素及びそれらの誘導体、接合団、または、レドックスメディテーターから選択された酸化還元活性物質、電極活性物質からなる群から選択された低分子量物質とすることができる。
【0084】
好適には、低分子量シグナル前駆体分子は、フロオレセイン、シアニン、カーボシアニン、ローダミン、キサンテン、ジアゾ色素ベースの蛍光物質、並びに、蛍光芳香族低分子及びヘテロ芳香族低分子等の蛍光体である。
【0085】
別の例として、低分子量シグナル前駆体分子は、ピラゾロン、アントラキノン、カロテノイド並びにジアゾ及びモノアゾ、オキサジン、インジゴイド、または、リボフラビンをベースとする染料物質等の色素としてもよい。
【0086】
最も好適には、低分子量シグナル前駆体分子は、フルオレセイン二酢酸(FDA)、フルオレセイン二酢酸イソチオシアネート(FDA−イソチオシアネート)またはフルオレセインマレイミド(FDA−マレイミド)等のフルオレセイン誘導体である。
【0087】
高分子量タンパク質シグナル前駆体分子は、酵素及びそれらの前駆体、生物発光性及び蛍光発光性のタンパク質及びリボザイムからなる群から選択された高分子量物質;または、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、組換えタンパク質、レクチン、アビジン、リポタンパク質及び糖タンパク質、核酸、リボザイム及びアプタマーからなる群から選択されたペプチドまたはタンパク質とすることができるが、これらに限定するものではない。
【0088】
好適には、高分子量シグナル前駆体分子は、ペプチド及びタンパク質、核酸鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物等の親和性分子である。
【0089】
別の例として、高分子量シグナル前駆体分子は、パーオキシダーゼ、酸化還元酵素、リガーゼ、ポリメラーゼ、及び、タランスフェラーゼ等の酵素とすることができる。
【0090】
最も好適には、高分子量シグナル前駆体分子は、アビジン及びNeutr Avidin(商標)である。
【0091】
親和性分子は、特定のペプチド及びタンパク質、核酸鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物等の生体認識分子でもよい。
【0092】
ペプチドまたはタンパク質は、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、レクチン、アビジン、オリゴペプチド、リポタンパク質、糖タンパク質、ペプチドホルモン及びアレルゲンまたはその一部でもよい。核酸は、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマー及びその一部でもよい。炭水化物の例としては、単糖、オリゴ糖及び多糖類、糖脂質、プロテオ多糖類及びその一部でもよい。低分子量リガンドは、ビオチンまたはビオチン誘導体、ステロイドまたはホルモン、補因子または補酵素、活性化因子、抑制因子、酵素の擬基質または接合団基、ドラッグ、アレルゲンまたはハプテンでもよい。
【0093】
マイクロスフェアの特に好適な形態は、担体タンパク質がウシ血清アルブミン(BSA)であり、かつ、シグナル前駆体分子がフルオレセイン二酢酸(FDA)、フルオレセイン二酢酸イソチオシアネート(FDA−イソチオシアネート)またはフルオレセイン二酢酸マレイミド(FDA−マレイミド)から選択されたものである。展開剤は、活性化ステップ中にこれらのフルオレセイン誘導体を"活性化"するために、例えばアルカリ性試薬による化学反応またはエステル分解酵素による生化学反応により、それらをフルオレセインに変換し、それにより検出可能なシグナルを生成するために適切なものである。別の例として、活性化ステップは、マイクロウェーブ加熱等の物理的手段により行ってもよい。
【0094】
第4の態様として、本発明は、第1のシグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有するマイクロスフェアを用いて試料中の1または複数の標的分子を検出するための別のシグナル増幅方法であって、その第1のシグナル前駆体分子は担体タンパク質との結合を維持しつつ検出可能なシグナルを生成するために活性化可能であり、そのマイクロスフェアは特異的認識のための親和性分子を表面上に有しかつその表面上で標的分子に結合する方法を提供する。その方法は、
(a)標的分子を前記マイクロスフェアとともに恒温保持し、
(b)親和性分子と標的分子の複合体を表面に有するマイクロスフェアを、親和性分子と標的分子の複合体を表面に有しないマイクロスフェアから分離し、
(c)分離した、親和性分子と標的分子の複合体を表面に有するマイクロスフェアを、それらのマイクロスフェアを分解して第1のシグナル前駆体分子を遊離させるために遊離剤により処理し、かつ、
(d)遊離された第1のシグナル前駆体分子を、その遊離された第1のシグナル前駆体分子に対して親和性をもつ第2の親和性分子により官能基化された別のバッチのマイクロスフェアにより処理し、その別のバッチのマイクロスフェアは第2のシグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有し、その第2のシグナル前駆体分子は担体タンパク質との結合を維持しつつ検出可能なシグナルを生成するために活性化可能であり、
(e)第2の親和性分子と第1のシグナル前駆体分子との複合体を表面に有するマイクロスフェアを、第2の親和性分子と第1のシグナル前駆体分子との複合体を表面に有しないマイクロスフェアから分離し、
(f)分離した、第2の親和性分子と第1のシグナル前駆体分子との複合体を表面に有するマイクロスフェアを、シグナルを生成する第2のシグナル前駆体分子を活性化するために展開剤により処理し、
(g)シグナルを検出又は定量することを含む。
【0095】
このように生成されたシグナルは、試料中の標的分子の量に関係する。シグナルは、2段階で数倍に増幅される。なぜなら、恒温保持ステップ(a)の間に形成された親和性分子と標的分子との各複合体については、ステップ(c)で遊離された多数の第1のシグナル前駆体分子が存在し、それらは、第1のシグナル前駆体分子に対する親和性をもつように官能基化された別のバッチのマイクロスフェアとともに恒温保持されるからである。遊離された多数の第1のシグナル前駆体分子は、別のマイクロスフェアとの複合体を形成し、そして、遊離された第1のシグナル前駆体分子を複合体を形成しなかったマイクロスフェアを除去した後、多数の第2のシグナル前駆体分子を活性化するために活性化剤が添加され、複合化したマイクロスフェアの各々がシグナルを生成する。
【0096】
このシグナル前駆体分子の遊離及び再複合化のサイクルは、極めて大きな増幅度を得るために多数回繰り返すことができるという点で有用である。言い換えるならば、ステップ(c)〜(e)は、ステップ(f)及び(g)を行う前に1回〜n回繰り返すことができる。nは正の整数である。その場合、少なくとも最後の繰り返しサイクルにおけるシグナル前駆体分子が、検出可能なシグナルを生成するために活性化可能である。
【0097】
標的分子は一次分析物となる。第1のシグナル前駆体分子は二次分析物となり、第2のシグナル前駆体分子は三次分析物となる。以下同様に続く。
【0098】
変形例では、最後の繰り返しサイクルにおけるシグナル前駆体分子のみが、検出可能なシグナルを生成するために活性化可能であることが必要である。それより前のサイクルで遊離されるシグナル前駆体分子は、検出可能なシグナルを生成するために活性化可能である必要はなく、それらはアビジン等の分子に結合可能であるが、シグナル前駆体分子としてみなされない。なぜなら、それらは最終的にシグナルを導出する反応の連鎖の重要な部分だからである。
【0099】
アビジンとビオチンのように、よく理解されかつ広く用いられる組合せを前駆体分子−親和性分子の対として用いることにより、特にこの方法のより後ろの段階においてすなわち検出され又は同定される特定の標的に適合させるために最初の標的分子と親和性分子の組合せが選択された後に用いることにより、この増幅プロセスに高い信頼度と確実性をもたせることができる。
【0100】
最後の増幅ステップにおいて、最終のシグナル前駆体分子が最終のマイクロスフェア内で結合したままであり溶液中に遊離されていない場合は、シグナルが局所化されてもいてもよい。このことは、シグナルの希釈を最小とする。
【0101】
その一方、最終のシグナル前駆体分子をそれらの非遊離状態において検出することは重要ではない。遊離している場合は、それらを溶液中で検出することもできる。あるいは、別の増幅ステップを誘起させることもできる。例えば、高い代謝回転数をもつ酵素が最終のシグナル前駆体分子である場合、その酵素を蛍光又は発光のために基板上で作用させてもよい。別の例では、最終のシグナル前駆体分子としてカプセル化したFDAを用いてもよい。水溶性の水酸化ナトリウム等の展開剤の添加により、FDAは解離し、加水分解しかつ多数のフルオレセイン分子を遊離することにより、増幅された蛍光シグナルをもたらす。
【0102】
好適には、少なくとも恒温保持ステップ(a)で用いられるマイクロスフェアについて、担体タンパク質が、限定しないが細胞骨格タンパク質若しくは細胞外マトリクスタンパク質を含む繊維状タンパク質;または、限定しないがヘモタンパク質、細胞吸着タンパク質を含む球状タンパク質若しくは血液タンパク質;限定しないがモノクロナル抗体及びポリクロナル抗体、栄養貯蔵/輸送タンパク質、シャペロンタンパク質若しくは酵素を含む輸送タンパク質、成長因子、レセプタータンパク質、DNA結合タンパク質、免疫系タンパク質;または、遺伝子改変タンパク質;または、組換えタンパク質若しくは化学修飾タンパク質及び合成タンパク質から選択される。さらに好適には、担体タンパク質が、ウシ血清アルブミン等の血液中を循環するタンパク質である。
【0103】
同様に、少なくとも恒温保持ステップ(a)で用いられるマイクロスフェアについて、シグナル前駆体分子が、蛍光体及びそれらの誘導体、発光体及びそれらの誘導体、色素及びそれらの誘導体、接合団、または、レドックスメディテーターから選択された酸化還元活性物質、電極活性物質からなる群から選択された低分子量物質とすることができる。好適には、低分子量シグナル前駆体分子は、フロオレセイン、シアニン、カーボシアニン、ローダミン、キサンテン、ジアゾ色素ベースの蛍光物質、並びに、蛍光芳香族低分子及びヘテロ芳香族低分子等の蛍光体である。別の例として、低分子量シグナル前駆体分子は、ピラゾロン、アントラキノン、カロテノイド並びにジアゾ及びモノアゾ、オキサジン、インジゴイド、または、リボフラビンをベースとする染料物質等の色素としてもよい。最も好適には、低分子量シグナル前駆体分子は、フルオレセイン二酢酸(FDA)、フルオレセイン二酢酸イソチオシアネート(FDA−イソチオシアネート)またはフルオレセインマレイミド(FDA−マレイミド)等のフルオレセイン誘導体である。高分子量タンパク質シグナル前駆体分子は、酵素及びそれらの前駆体、生物発光性及び蛍光発光性のタンパク質及びリボザイムからなる群から選択された高分子量物質;または、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、組換えタンパク質、レクチン、アビジン、リポタンパク質及び糖タンパク質、核酸、リボザイム及びアプタマーからなる群から選択されたペプチドまたはタンパク質とすることができるが、これらに限定するものではない。好適には、高分子量シグナル前駆体分子は、ペプチド及びタンパク質、核酸鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物等の親和性分子である。別の例として、高分子量シグナル前駆体分子は、パーオキシダーゼ、酸化還元酵素、リガーゼ、ポリメラーゼ、及び、タランスフェラーゼ等の酵素とすることができる。最も好適には、高分子量シグナル前駆体分子は、アビジン及びNeutr Avidin(商標)である。
【0104】
少なくとも恒温保持ステップ(a)で用いられるマイクロスフェアについて、親和性分子は、特定のペプチド及びタンパク質、核酸鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物等の生体認識分子でもよい。
【0105】
ペプチドまたはタンパク質は、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、レクチン、アビジン、オリゴペプチド、リポタンパク質、糖タンパク質、ペプチドホルモン及びアレルゲンまたはその一部でもよい。核酸は、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマー及びその一部でもよい。炭水化物の例としては、単糖、オリゴ糖、及び多糖類、糖脂質、プロテオ多糖類及びその一部でもよい。低分子量リガンドは、ビオチンまたはビオチン誘導体、ステロイドまたはホルモン、補因子または補酵素、活性化因子、抑制因子、酵素の擬基質または接合団基、ドラッグ、アレルゲンまたはハプテンでもよい。
【0106】
マイクロスフェアの特に好適な形態は、担体タンパク質がウシ血清アルブミン(BSA)であり、かつ、シグナル前駆体分子がフルオレセイン二酢酸(FDA)、フルオレセイン二酢酸イソチオシアネート(FDA−イソチオシアネート)またはフルオレセイン二酢酸マレイミド(FDA−マレイミド)から選択されたものである。展開剤は、活性化ステップ中にこれらのフルオレセイン誘導体を"活性化"するために、例えばアルカリ性試薬による化学反応またはエステル分解酵素による生化学反応により、それらをフルオレセインに変換し、それにより検出可能なシグナルを生成するために適切なものである。
【0107】
マイクロスフェアを分解してシグナル前駆体分子を遊離させる化学遊離剤は、低分子の還元剤でもよい。それらはマイクロスフェアのS−S結合(分子間及び分子内)を切断するために有効である。ジチオスレイトール(DTT)は、特に好適な遊離剤である。マイクロスフェアの分解はまた、音波、高温、光照射、又はpH変化により行ってもよい。
【0108】
以下、本発明を、図面を例示としてのみ参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、本発明によるマイクロスフェアの製造技術を示した概略図である。
【図2】図2は、本発明の第1の態様におけるタンパク室マイクロスフェアの位相差顕微鏡写真である。
【図3】図3は、多孔度の異なるタンパク質マイクロスフェアの走査電子顕微鏡画像であり、上段の画像は22,000倍、下段の像は150,000倍を示している。
【図4】図4は、サンドイッチ生物検定におけるシグナルの蓄積及び局所化の作用原理を示した概略図である。
【図5】図5は、Goat-Anti-Mouse IgG(G−α−MIgG)により官能基化されたBSA−FDAマイクロスフェアにおける固相サンドイッチ蛍光免疫測定の概略図である。
【図6】図6は、増幅サイクルの原理を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
図1(a)は、塩化カルシウム(CaCl)、担体タンパク質及びシグナル前駆体分子の混合溶液を含む第1容器100と、炭酸ナトリウム(NaCO)の溶液を含む第2容器200とを示している。2つの容器の内容物は、即座に混合されることにより、タンパク質と例えばBSA−FDAであるシグナル前駆体分子とが、共沈によって、支持する炭酸カルシウム(CaCO)マイクロスフェアテンプレート300内にトラップされる。
【0111】
図1(b)は、次のステップで生じる事象を示している。トラップされたタンパク質と
シグナル前駆体分子をもつCaCOマイクロスフェアテンプレート300は、還元剤のジチオスレイトール(DTT)により処理されることにより、タンパク質分子内の分子内ジスルフィド(S−S)結合の切断を生じる。その後、DTTは、何度も洗浄ステップを繰り返して除去される。新たな分子間及び分子内ジスルフィド結合が、タンパク質分子の間で形成される。新たに形成された分子間ジスルフィド結合は、シグナル前駆体分子も包含するマイクロスフェア20中へのタンパク質分子の組み込みに寄与する。化学クロスリンカーの使用を必要とせずに、CaCOマイクロスフェアテンプレート材料は除去され、タンパク質/シグナル前駆体分子マイクロスフェア20を残す。
【0112】
図2は、上記の手順に従って調製されたタンパク質マイクロスフェアの位相差顕微鏡写真である。マイクロスフェアは、大きさが均一にそろっており、平均からの偏りはほとんどない。さらに、マイクロスフェアが同じ表面電荷をもっていることにより、互いに付着しないことが重要である。互いに付着しないことは、図中に明確に示されている。さらに、大きさの分布が狭いことは、定量分析において重要である。
【0113】
図3は、濃度0.01〜1mMの範囲のDTTを用いて15〜60分間で調製されたBSAマイクロスフェアのSEM顕微鏡画像を示している。得られたマイクロスフェアは直径がほぼ同程度であり、DTT濃度が低下するにつれてマイクロスフェアの表面の粗さ及び孔の大きさが増している。
【0114】
より高いDTT濃度では、BSA分子内の分子内ジスルフィド結合切断の度合いが多くなった。すなわち、タンパク質分子内の遊離したチオール基の数が増した。洗浄(繰り返し洗浄ステップを適用)によりDTTを除去した後、BSA分子内の遊離したチオール基は、新たな分子間及び分子内ジスルフィド結合を形成するために自己凝集させられた。分子間ジスルフィド結合は、タンパク質マイクロスフェアの形成に寄与し、マイクロスフェアは炭酸カルシウムテンプレートの除去後にも維持された。
【0115】
低濃度のDTTを用いて調製されたマイクロスフェアは、分子間ジスルフィド結合の数が少なく、従って孔が多かった。
【0116】
図4は、本発明のマイクロスフェアを用いたサンドイッチ生物検定におけるシグナルの蓄積及び局所化の作用原理を示した概略図である。
【0117】
図4(a)では、表面に親和性分子50を有する固体支持体10が示されている。マイクロスフェア20は、ここでは、シグナル前駆体分子40に結合した担体タンパク質30を包含するやや平たい円で示されている。これは概略図であって、図示の目的のみでマイクロスフェアに実線による境界を付与している点に注意されたい。さらに、担体タンパク質分子間のS−S結合(及び担体タンパク質分子とシグナル前駆体分子間の結合)のラインは、明確とするために省略している。実際には、マイクロスフェアは、明確な境界をもつカプセルではない。むしろそれは、その内部に延びかつ、均一に分布した互いに結合する担体タンパク質とシグナル前駆体分子により形成された多孔を有する小さなスポンジボールのようなものである。
【0118】
マイクロスフェア20は、その表面上に付着する親和性分子50を有する。
【0119】
標的分子すなわち分析物60は、固体支持体10条の親和性分子50の1つのと、マイクロスフェア上の親和性分子50の1つの間に挟まれ(サンドイッチされ)ている。固体支持体10は、膜、マイクロタイタープレートの穴、磁気ビーズでもよく、またはより一般的には、免疫学的測定又はハイブリダイゼーション測定において用いられるいずれの固相プラットフォームでもよい。
【0120】
図4(b)には、同じマイクロスフェア20が示されており、2つの親和性分子50の間の標的分子60の"サンドイッチを介して固体支持体10にまだ付着したままである。しかしながら、この図では、マイクロスフェア20は、展開剤による処理後のものを示されており、小さな太陽の記号で示されるシグナル分子40を有する。以前のこの箇所には、菱形で示されたシグナル前駆体分子40を有していた。
【0121】
要するに、図4(a)はマイクロスフェアのスイッチオフを示し、一方、図4(b)はマイクロスフェアのスイッチオンを示す。
【0122】
図示の目的のみのために、図4では、固体支持体10上とマイクロスフェア20の表面上に同じタイプの親和性分子50を示している。しかしながら、ほとんどの実際の状況では、2つの親和性分子は、ポリクロナル抗体が用いられる場合か標的分析物が反復エピトープである場合を除いて同じではないであろう。
【0123】
実際に、多くのマイクロスフェア生体標識は、生物検定における個々の標的分析物に対して、その分析物(標的)の大きさ及びマイクロスフェアの大きさによって、特異的に結合するであろう。免疫学的測定においては、マイクロスフェア生体標識は、抗原標的分子のエピトープに対して特異的に結合することになる。ハイブリダイゼーション測定においては、マイクロスフェア生体標識は、特定のDNAシーケンス標的分析物に対して結合することになる。
【0124】
展開剤の添加により、生体標識内の何百万ものシグナルを生成する前駆体分子が、高い蛍光性分子に変換し、それらの生体標識は局所化されたシグナルを点灯させかつ生成する。
【0125】
図5は、Goat-Anti-Mouse IgG(Gt−α−MIgG)により官能基化されたBSA−FDAマイクロスフェアにおける固相サンドイッチ蛍光免疫測定を概略的に示している。
【0126】
図5(a)では、恒温保持ステップが示され、Gt−α−MIgGが固体支持体に付着させられる。図5(b)のステップでは、固体支持体上に結合したGt−α−MIgGが、標的種すなわち分析物、MIgGを含む溶液に曝される。標的種は、結合したGt−α−MIgGにより捕捉される。洗浄ステップ(図示せず)により、捕捉されなかった標的種を除去する。図5(c)のステップでは、表面上の親和性分子としてGt−α−MIgGにより官能基化されたBSA−FDAから形成されたマイクロスフェアを用いて、捕捉された標的種を処理することによりサンドイッチ測定が行われる。更なる洗浄ステップ(図示せず)において、捕捉された標的種に結合しなかったマイクロスフェアを洗浄除去する。図5(d)のステップでは、展開剤が添加され、FDAがフルオレセインに加水分解されて、視覚化可能な局所化されたシグナルを生成する。
【0127】
図6は、増幅サイクルの原理を概略的に示している。
【0128】
図6(a)は、標的に相補的な核酸30とマイクロスフェア20’に接合した親和性分子50’との間のサンドイッチハイブリダイゼーションにより、一端が固体支持体10’に付着し他端がマイクロスフェア20’に付着した1つの捕捉分子60を示している。概略的に、捕捉分子60は、標的に相補的な核酸30及びマイクロスフェア20’に接合した親和性分子50’に対してハイブリダイズした標的核酸として示されている。
【0129】
図6(b)は、マイクロスフェアを分解させる遊離剤による処理後のマイクロスフェアを示している。この図では、マイクロスフェアがちょうど分解し始めて、多数の二次分析物40’(X)を溶液中に遊離している。二次分析物は、例えばアビジンでもよい。
【0130】
図6(c)は、親和性分子50”により異なる固体支持体10”上に捕捉された二次分析物40’を示している。二次分析物40’がアビジンである例では、親和性分子50”がアルブミン12”に結合されるビオチンでもよい。この態様では、それは固体支持体10”に付着することとなる。捕捉された二次分析物40’は、固体支持体10”に間接的に結合した親和性分子50”と、別のマイクロスフェア20”に結合した別の親和性分子50”との間にサンドイッチされる。
【0131】
図6(d)は、マイクロスフェア20”を分解させる遊離剤による処理後のマイクロスフェア20”を示している。この図では、マイクロスフェアはちょうど分解し始めて、多数の三次分析物40”を遊離している。このように、1つの標的分子60が、2回の増幅サイクル後には何十億もの三次分析物を生成可能である。必要であれば、更なる増幅サイクルを実行可能である。
【0132】
ここで、種々の実施例を参照して本発明を説明するが、これらに限定されないことを理解されたい。
【0133】
[実施例1]
[BSA−FDAマイクロスフェアの調製]
・ステップ1:BSAフレームワークの形成
BSA(10mg/mL)を含む塩化カルシウム溶液(0.5mol/L)を、炭酸ナトリウム溶液(0.5mol/L)と速やかに混合した。
炭酸カルシウムが形成されるが、ほとんどわずかしか溶解しないため、炭酸カルシウムマトリクスのコア/内部にBSAをトラップした。炭酸カルシウムは、BSAをトラップするためのテンプレートとして機能する。
【0134】
次のステップにて、BSAの分子内S−S結合の切断及び新たなBSA分子間S−S結合の形成を行った。
【0135】
各ステップでは、数回の洗浄及び遠心分離のサイクルを行った。
【0136】
得られたBSA担持炭酸カルシウムマイクロスフェアを、pH7.5の0.01〜1mMの濃度のジチオスレイトール(DTT)溶液とともに15〜60分間、室温にて恒温保持した。続いて、BSA担持炭酸カルシウムマイクロスフェアを、遠心分離(2000rpm、2分間)と再分散のサイクルにより、緩衝液(pH7.4)を用いて5回洗浄した。
【0137】
DTTの添加により、BSA中の分子内S−S結合の還元/切断を生じさせる一方、これらの洗浄ステップにおけるDTTの除去によりBSA分子間の新たな分子内及び分子間のS−S結合を形成させてタンパク質をともに保持しかつマイクロスフェアを形成した。
【0138】
・ステップ2:BSAフレームワーク−マトリクスに対するシグナル分子の結合
再懸濁した炭酸カルシウム含有マイクロスフェアに対して、フルオレセイン二酢酸−5−イソチオシアネート(1mg/mL)を添加し、反応混合物を室温にて1時間恒温保持することにより、BSAアミノ基とフルオレセイン二酢酸のチオシアネートとの間に共有結合を形成させた。
【0139】
・ステップ3:BSA−FDAマイクロスフェアの官能基化
シグナル分子を担持するマイクロスフェアに対するGoat-Anti-Mouse抗体の結合を、EDC/NHS化学を用いて行った。
【0140】
・ステップ3.1:親和性分子の溶液の調製
Goat-Anti-Mouse IgG(Gt−α−MIgG)を含有する溶液を、pH7.4のMES緩衝液中にそれぞれ2mM及び5mMである1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カーボジイミド(EDC)及びN−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)に添加した。この溶液を、振動させつつ室温にて15分間反応させた。
【0141】
・ステップ3.2:抗体によるマイクロスフェアの官能基化
15分間の恒温保持の後、Goat-Anti-Mouse IgGを結合するために活性化された親和性分子の溶液を、予洗浄したBSA−FDAマイクロスフェアの懸濁液に添加し、そして、混合物を振動させつつ室温にて2時間反応させた。BSA−FDAマイクロスフェアに結合した親和性分子の溶液を、1800rpmにて2分間遠心分離した。
【0142】
・ステップ4:炭酸カルシウムテンプレートの除去
10mLの0.2MのEDTAを、BSA−FDAマイクロスフェアの懸濁液に添加し、全体を5分間撹拌した。EDTA処理によりマイクロスフェアから炭酸カルシウムマトリクスを除去した。その後、反応混合物は、室温にて2分間3000rpmで遠心分離に供した。上澄液が除去され、抗体官能基化BSA−FDAマイクロスフェアペレットが、2mLのMES緩衝液(pH7.4)中にて再懸濁した。
【0143】
[実施例2]
[アルギン酸カルシウムマトリクス形成体を用いたBSAフレームワークの形成]
BSA(10mg/mL)を含む塩化カルシウム溶液(0.5mol/L)を、アルギン酸ナトリウム溶液(0.5mol/L)と速やかに混合した。
【0144】
アルギン酸カルシウムが形成されるが、ほとんどわずかしか溶解しないため、アルギン酸カルシウムマトリクスのコア/内部にBSAをトラップした。アルギン酸カルシウムは、BSAをトラップするためのテンプレートとして機能した。
【0145】
次のステップにて、BSA分子内S−S結合の切断及び新たなBSA分子間S−S結合の形成を行った。
【0146】
各ステップでは、数回の洗浄及び遠心分離のサイクルを行った。
【0147】
得られたBSA担持アルギン酸カルシウムマイクロスフェアを、pH7.5の0.01〜1mMの濃度のジチオスレイトール(DTT)溶液とともに15〜60分間、室温にて恒温保持した。続いて、BSA担持アルギン酸カルシウムマイクロスフェアを、遠心分離(2000rpm、2分間)と再分散のサイクルにより、緩衝液(pH7.4)を用いて5回洗浄した。
【0148】
DTTの添加により、BSA中の分子内S−S結合を還元/切断させる一方、これらの洗浄ステップ中におけるDTTの除去によりBSA分子間に新たな分子内及び分子間S−S結合が生じて、タンパク質をともに保持しかつマイクロスフェアを形成した。
【0149】
[実施例3]
[マウス−IgGの同定のためのサンドイッチタイプ測定]
マウスIgGの同定を、サンドイッチタイプ測定において行った。同定の間、マウスIgGは、2つの抗体の間に特異的に結合した。ポリクロナルgoat抗体を用いたので、これらの抗体は同じものとした。固相(例えば、マイクロタイタープレートの穴)は、Goat-Anti-Mouse IgG(Gt−α−MIgG)抗体により吸着性をもつようにコーティングした。第2の抗体は、Goat-Anti-Mouse であり、BSA−FDAマイクロスフェアに結合させた。この実施例は、図5に概略的に示されている。
【0150】
100μLのGt−α−MIgG(2ng/μLのコーティング緩衝液)をマイクロタイタープレートに移し、4℃にて一晩恒温保持した。その後、マイクロタイタープレートを、洗浄緩衝剤(10mM PBS、0.1%(w/v)BSA、0.5%(w/v)Tween 20(Tweenは商標))により3回洗浄した。その後、穴を、300μLのポストコーティング溶液(PCS)により37℃にて30分間ブロッキングした。異なる濃度(1〜100μg/L)の100μLのMIgGを、各穴にそれぞれ添加し、37℃にて1時間恒温保持した。非結合MIgGを洗い流した後、Gt−α−MIgG−{BSA−FDAマイクロスフェア}の懸濁液を穴に投入した(100μL/穴)。そして、マイクロタイタープレートを再び37℃にて1時間恒温保持した。恒温保持後、過剰なGt−α−MIgG−{BSA−FDAマイクロスフェア}を洗浄緩衝剤により洗い流した。その後、100μLの一定分量の遊離溶液を各穴に添加し、これらの穴を蛍光強度について測定した。
【0151】
[実施例4]
[アビジンマイクロスフェアの調製]
実施例4は、担体タンパク質と親和性結合する分子とが1つの同じ分子の場合である。
【0152】
・ステップ1:アビジンフレームワークの形成
アビジン(10mg/mL)を含む塩化カルシウム溶液(0.5mol/L)を、炭酸ナトリウム溶液(0.5mol/L)と速やかに混合した。
【0153】
炭酸カルシウムが形成されるが、ほとんどわずかしか溶解しないので沈殿し、形成された結晶表面上にアビジンを引き寄せ/吸着した。炭酸カルシウムは、アビジンの沈殿のためのテンプレートとして機能した。
【0154】
次のステップは、アビジンの分子内S−S結合の切断及び分子間S−S結合の形成によるアビジンの架橋である。
【0155】
各ステップでは、数回の洗浄及び遠心分離のサイクルを行った。
【0156】
得られたアビジン担持炭酸カルシウムマイクロスフェアは、pH7.5の0.01〜1mMの濃度範囲のジチオスレイトール(DTT)溶液により室温にて15〜60分間恒温保持した。続いて、アビジン担持炭酸カルシウムマイクロスフェアを、遠心分離(2000rpm、2分間)と再分散のサイクルにより、緩衝液(pH7.4)を用いて5回洗浄した。
【0157】
DTTの添加により、アビジンの分子内S−S結合を還元/切断させる一方、これらの洗浄ステップ中のDTTの除去によってアビジン分子間の分子内及び分子間S−S結合を生じさせることにより、タンパク質をともに保持しかつマイクロスフェアを形成する。タンパク質中の還元したSH結合は、新たな分子内及び分子間S−S結合の自己組織化形成を行う。
【0158】
・ステップ2:シグナル分子の官能基化
これは、マイクロスフェアに対する親和性分子の共有結合のために、親和性結合する分子を存在させずに、遊離アミノ基、SH及びカルボキシル基をもつアビジンに対して特定の検出分子(親和性分子)を結合させることにより行う。
【0159】
アビジン含有マイクロスフェアの官能基化手順の詳細については、上述の実施例2を参照されたい。
【0160】
官能基化手順は、ストレプトアビジン又はNeutrAvidin(商標)等の脱グリコシルアビジンを用いると非常に簡易である。なぜなら、これらは、標的(分析物)認識分子すなわち親和性分子に対して直接結合するからである。ストレプトアビジン又はNeutrAvidin(商標)が用いられた場合、通常ビオンチン化された親和性分子、例えばビオチン化抗体が、ストレオプトアビジンのビオチンに対する強い結合力(Kが約1016)によりストレプトアビジン又はNeutrAvidin(商標)に対して直接結合される。ゆえに、EDC/NHSを用いた化学結合は必要ない。
【0161】
・ステップ3:マイクロスフェアからの炭酸カルシウムの分離
これは、アビジンマイクロスフェアの懸濁液に対するEDTA(0.2mol/L)の添加により行った。この手順後、アビジンシグナル前駆体マイクロスフェアが調製された。
【0162】
上述の実施例1のように、炭酸カルシウムを除去するステップは、官能基化ステップの前に行うこともできる。
【0163】
[実施例5]
[固相直接測定(倍増幅システム、DNA測定モデル、しかる後のビオチン/アビジンモデル)]
これは、担体タンパク質及び親和性結合分子が1つで同じ分子である場合の例であり、新たなシグナル増幅サイクリング技術におけるその有用性を示す。この例は、図6に概略的に示されている。
【0164】
ヒトパピローマウィルス(HPV)のDNAの同定を、サンドイッチタイプ測定において行った。HPVの同定中、DNA鎖が、ビオチン化されたその相補的核酸に対して特異的にハイブリダイズした。その後、このハイブリダイゼーション生成物を、NeutrAvidin(商標)から調製されたマイクロスフェアと反応させた。アビジンマイクロスフェアを分解させる遊離剤を添加して、アビジンを溶液中に遊離させた。その後、遊離したアビジンを、後工程の固相直接測定における分析物として処理した。
【0165】
・ステップ1:固相直接測定A(HPV DNAモデル)
100μLのHPVプローブ(HPV16)を、マイクロタイタープレートの穴に移し、4℃にて一晩恒温保持した。その後、マイクロタイタープレートを300μLの洗浄緩衝剤を用いて5回洗浄した。その後、穴を、300μLのブロッキング溶液により37℃にて30分間ブロッキングした。その後、マイクロタイタープレートを300μLの洗浄緩衝剤を用いて5回洗浄した。異なる希釈における、30μLの1MのNaOH及び50μLのPCR(ビオチン化HPV−ウィルス−DNA)生成物を、各穴にそれぞれ添加し、室温にて10分間静置させた。その後、50μLの中和緩衝剤を添加し、湿潤箱中で65℃にて30分間恒温保持した。その後、マイクロタイタープレートを300μLの洗浄緩衝剤を用いて5回洗浄した。100μLのアビジンマイクロスフェアを、各穴にそれぞれ添加し、37℃にて30分間恒温保持した。恒温保持後、プレートを取り出し、DNA洗浄緩衝剤により5回洗浄した。pH7.5の0.01〜1mMの濃度範囲の120μLのジチオスレイトール(DTT)溶液を、各穴に添加し、室温にて15〜60分間静置した。DTTの添加により、アビジンの分子間S−S結合の還元/切断が生じて、マイクロスフェアが分解し、アビジンを溶液中に遊離させた。遊離したアビジン分子は、後工程の固相測定(ビオチン/アビジンモデル)のための分析物("二次分析物")となった。
【0166】
・ステップ2:固相直接測定B(ビオチン/アビジンモデル)
100μLのBSA−ビオチン(2ng/μLのコーティング緩衝剤)を、Nunc Maxisorp 96-wellマイクロプレート(NuncはNunc Internationa, Rochester, NYの商標)上に直接コーティングし、0.1mol/Lカーボネート緩衝剤(pH9.6)中で4℃にて一晩保持した。洗浄緩衝剤(10mM PBS、0.1%(w/v)BSA、0.5%(w/v)Tween−20(Tweenは商標))により3回濯いだ後、各穴を300μLの1.0%BSA溶液で37℃にて半時間ブロッキングした。その後、マイクロプレートは4回洗浄され、"二次分析物"(アビジン)の対応する溶液を、各穴に投入した(100μL/穴)。その後、このマイクロプレートを、再び37℃にて1時間恒温保持した。非結合の二次分析物を洗い流した後、ビオチンFDAマイクロスフェア懸濁液を、穴に投入し(100μL/穴)、そしてマイクロプレートを、再び37℃にて1時間恒温保持した。恒温保持後、過剰なビオチン−FDAマイクロスフェアを洗浄緩衝剤により洗い流した。その後、蛍光強度の測定のために、一定分量である100μLの展開剤を各穴に投入した。
【0167】
上述から明らかなように、本発明は、多目的に利用でき有用である。このシステムは、簡単な化学/生化学と、常に穏やかな条件を利用する。調製時間は長くなく、かつ、増幅方式において、PCTに必要とされるような高度な技能を必要とせずに何倍もの増幅が得られる。
【0168】
マイクロスフェア技術は、限定はしないが、フロースルー装置、ミクロ流体装置及び側方流動装置を含む非常に多様な検出フォーマットに適用可能である。さらに、それは、ビーズ、磁気及び非磁気の双方、並びにマイクロタイターとともに用いることが可能である。
【0169】
別の応用では、免疫化学、組織学並びに、ウェスタン、サザン及びノーザンブロットにおけるシグナル分子の利用の分野があり、細胞構造の検出またはこれまで例えばFITC標識親和性分子が限られた分析感度でしか作用しなかったために検出不能であった更なる領域における検出のために応用される。
【0170】
本発明のシグナルマイクロスフェアの利用は、免疫化学、組織学及び検出技術の全ての多様な形態における新たな可能性を開くものである。旧式の検出原理を、数桁の大きさで極めて容易に改善することが可能である。
【0171】
このようにして、本発明はさらに、試料中の標的分子の検出及び/又は同定のための種々のテストキットを提供することができる。そのテストキットは、シグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質をもつマイクロスフェアを有し、そのシグナル前駆体分子は検出可能なシグナルを生成するために活性化可能である一方、担体タンパク質との結合を維持する。そのマイクロスフェアは、標的分子の特異的認識及び標的分子に対する結合のために表面に親和性分子を担持するように構成されている。
【0172】
別のテストキットの様式ではさらに、マイクロスフェアの表面に結合するために適するように親和性分子を改変する試剤と、マイクロスフェアと親和性分子の間の結合反応を生じさせる試剤とを有する。
【0173】
別のテストキットの様式では、側方流動装置、フロースルー装置又は試験紙装置等の試験装置を有してもよく、それらの試験装置は、分析される流体試料が装置の吸収材の一端に添加されるタイプのものである。流体は、毛管力により他端へと浸透していく。任意であるが、他端に配置された吸引パッドにより浸透を促進してもよい。マイクロスフェア(シグナル生成物質を含む)により標識化された検出体抗体は、試験装置の始点にて過剰に、緩く結合させられる。
【0174】
シグナル生成物質は、蛍光色素、可視色素、生体発光若しくは化学発光材料、磁気材料、又は酵素とすることができる。
【0175】
試料からの抗原は、検出体抗体と相互作用して、マイクロスフェアとともに運ばれつつ装置の他端へと浸透していく。サンドイッチは、吸引パッド近傍の指標領域(ドット又はストライプ)における捕捉抗体により形成される。ここでは、捕捉抗体は、吸着材料に対して強固に結合しているので、浸透できない。
【0176】
試料中に分析物がより多く存在するほど、サンドイッチ構造がより多く形成され、より多くのマイクロスフェアが指標領域において結合する。シグナル生成物質は、シグナル前駆体分子の構造によって、種々の手順により活性化可能である。例えば、シグナル前駆体として用いられるFDAについては、装置全体をアルカリ活性化溶液中に浸すか、または、アルカリ活性化剤を指標領域上に落とすことが可能である。
【0177】
(マイクロスフェアにより標識化された)検出体抗体の一部は、指標領域に結合せずに浸透し続ける。指標領域の後に配置された制御領域は、固相反応が適切に作用しているか否かを示す。
【0178】
サンドイッチ状の固相/膜をベースとする技術は、競合する測定原理を用いた低分子量物質について改変可能である。
【0179】
特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明に対して多様な改変を行ってもよい。
【符号の説明】
【0180】
10、10’、10” 固体支持体
20、20’ マイクロスフェア
30 担体タンパク質
40、40’、40” シグナル前駆体分子
50、50’、50” 親和性分子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)タンパク質シグナル前駆体分子、または、
(ii)シグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質のいずれかを有するマイクロスフェアであって、
前記マイクロスフェアは、タンパク質分子間の分子間結合を具備し、
前記マイクロスフェアは、
溶液中でタンパク質分子をマトリクス形成体と混合し、
混合物に還元剤を添加し、
還元剤を除去し、
マトリクス除去剤を添加し、かつ、
タンパク質分子のマイクロスフェアを残してマトリクスを除去する方法により形成される、マイクロスフェア。
【請求項2】
前記タンパク質シグナル前駆体分子が、標的に対して結合するための親和性分子である、請求項1に記載のマイクロスフェア。
【請求項3】
標的に対して結合するために、表面上に親和性分子をさらに有する、請求項1に記載のマイクロスフェア。
【請求項4】
前記シグナル前駆体分子が、検出可能なシグナルを生成するために活性化可能である一方、前記マイクロスフェア内で結合を維持する、請求項1に記載のマイクロスフェア。
【請求項5】
前記担体タンパク質が、細胞骨格タンパク質若しくは細胞外マトリクスタンパク質を含む繊維状タンパク質;または、ヘモタンパク質、細胞吸着タンパク質を含む球状タンパク質若しくは血液タンパク質;モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体、栄養貯蔵/輸送タンパク質、シャペロンタンパク質若しくは酵素を含む輸送タンパク質、成長因子、レセプタータンパク質、DNA結合タンパク質、免疫系タンパク質;または、遺伝子改変タンパク質;または、組換えタンパク質若しくは化学修飾タンパク質及び合成タンパク質から選択される、請求項1に記載のマイクロスフェア。
【請求項6】
前記担体タンパク質が血液タンパク質である、請求項5に記載のマイクロスフェア。
【請求項7】
前記担体タンパク質がウシ血清アルブミンである、請求項5または6に記載のマイクロスフェア。
【請求項8】
前記シグナル前駆体分子が、蛍光体及びそれらの誘導体、発光体及びそれらの誘導体、色素及びそれらの誘導体、酵素基質、接合団、若しくは、レドックスメディテーターから選択された酸化還元活性物質、電極活性物質からなる群から選択された低分子量物質、または、酵素及びそれらの前駆体、生物発光性及び蛍光発光性のタンパク質、核酸、リボザイム及びアプタマーからなる群から選択された高分子量物質である、請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項9】
前記シグナル前駆体分子が蛍光体である、請求項8に記載のマイクロスフェア。
【請求項10】
前記蛍光体が、フロオレセイン、シアニン、カーボシアニン、ローダミン、キサンテン、ジアゾ色素ベースの蛍光物質、並びに、蛍光芳香族低分子及びヘテロ芳香族低分子等の蛍光体からなる群から選択される、請求項8に記載のマイクロスフェア。
【請求項11】
前記蛍光体が、フルオレセイン二酢酸(FDA)、フルオレセイン二酢酸イソチオシアネート(FDA−イソチオシアネート)またはフルオレセインマレイミド(FDA−マレイミド)からなる群から選択される、請求項10に記載のマイクロスフェア。
【請求項12】
前記シグナル前駆体分子が、色素である、請求項8に記載のマイクロスフェア。
【請求項13】
前記色素が、シアニン、ピラゾロン、アントラキノン、カーボシアニン、ローダミン、キサンテン、カロテノイド並びにジアゾ及びモノアゾ、オキサジン、インジゴイド、または、リボフラビンをベースとする染料物質からなる群から選択される、請求項12に記載のマイクロスフェア。
【請求項14】
前記親和性分子が生体認識分子である、請求項2若しくは3または請求項2若しくは3に従属する請求項4〜13のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項15】
前記親和性分子が、ペプチド及びタンパク質、核酸の鎖、炭水化物、低分子量かつ分子インプリントポリマー(MIP)をもつリガンド、または、これらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載のマイクロスフェア。
【請求項16】
前記ペプチドまたはタンパク質が、モノクロナル抗体及びポリクロナル抗体を含む抗体、レセプター、抗原、レクチン、アビジン、オリゴペプチド、リポタンパク質、糖タンパク質、ペプチドホルモン及びアレルゲンまたはその一部からなる群から選択される、請求項15に記載のマイクロスフェア。
【請求項17】
前記核酸が、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマー及びその一部からなる群から選択される、請求項15に記載のマイクロスフェア。
【請求項18】
前記炭水化物が、単糖、オリゴ糖、及び多糖類、糖脂質、プロテオ多糖類及びその一部からなる群から選択される、請求項15に記載のマイクロスフェア。
【請求項19】
前記低分子量のリガンドが、ビオチンまたはビオチン誘導体、ステロイドまたはホルモン、補因子または補酵素、活性化因子、抑制因子、酵素の擬基質または接合団基、ドラッグ、アレルゲンまたはハプテンからなる群から選択される、請求項15に記載のマイクロスフェア。
【請求項20】
前記親和性分子が、前記マイクロスフェアに対して直接またはリンカー分子を介して接合または結合する、請求項3に従属する請求項15に記載のマイクロスフェア。
【請求項21】
前記親和性分子が、物理的吸着により前記マイクロスフェアに対して接合する、請求項3に従属する請求項15に記載のマイクロスフェア。
【請求項22】
前記リンカー分子が、アビジン、ストレプトアビジン、脱グリコシルアビジン、タンパク質A、タンパク質G、レクチンまたは低分子量クロスリンカーである、請求項21に記載のマイクロスフェア。
【請求項23】
10nm〜1mmの範囲の大きさである、請求項1〜22のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項24】
400nm〜10μmの範囲の大きさである、請求項23に記載のマイクロスフェア。
【請求項25】
前記タンパク質が担体タンパク質であり、前記マイクロスフェアが前記担体タンパク質に対してシグナル前駆体分子を結合させることにより形成されている、請求項1に記載のマイクロスフェア。
【請求項26】
前記担体タンパク質及び前記シグナル前駆体分子が、共有結合、物理的吸着またはリンカー分子を介して結合している、請求項25に記載のマイクロスフェア。
【請求項27】
前記担体タンパク質が、請求項5〜7のいずれかに規定された担体タンパク質である、請求項25または26に記載のマイクロスフェア。
【請求項28】
前記シグナル前駆体分子が、請求項8〜13のいずれかに規定されたものである、請求項25〜27のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項29】
さらに、前記マイクロスフェアの表面に対して親和性分子を付着させるステップにより調製される請求項25〜28のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項30】
前記親和性分子が、物理的吸着または直接的な化学結合により前記マイクロスフェアに対して接合または結合している、請求項29に記載のマイクロスフェア。
【請求項31】
前記親和性分子が、リンカー分子を介して前記マイクロスフェアに対して接合または結合している、請求項29に記載のマイクロスフェア。
【請求項32】
前記リンカー分子が、アビジン、ストレプトアビジン、脱グリコシルアビジン、タンパク質A、タンパク質G、レクチンまたは低分子量クロスリンカーである、請求項31に記載のマイクロスフェア。
【請求項33】
前記親和性分子が、請求項14〜19のいずれかに規定されたものである、請求項29〜32のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項34】
前記マトリクス形成体が、炭酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、多孔性シリカ及びオリゴ糖または多糖類からなる群から選択される、請求項1〜33のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項35】
前記マトリクス形成体が、炭酸カルシウムである、請求項34に記載のマイクロスフェア。
【請求項36】
前記炭酸カルシウムが、炭酸ナトリウム溶液を、タンパク質と塩化カルシウム溶液の混合物に添加することにより形成される、請求項35に記載のマイクロスフェア。
【請求項37】
前記マトリクス除去剤が、キレート剤、EDTA、酸または塩基から選択される、請求項1〜36のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項38】
前記還元剤が、ジチオスレイトール(DTT)である、請求項1〜36のいずれかに記載のマイクロスフェア。
【請求項39】
タンパク質分子をマトリクス形成体の溶液と混合するステップと、
前記混合物に還元剤を添加するステップと、
前記還元剤を除去するステップと、
前記マトリクスを除去してタンパク質分子のマイクロスフェアを残すステップと、を含む
タンパク質マイクロスフェアの調製方法。
【請求項40】
前記マトリクスは、高温処理またはpH変化から選択される物理的手段により除去される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記マトリクスを除去するステップが、マトリクス除去剤を添加することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記マトリクス除去剤が、キレート剤、EDTA、酸又は塩基から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記還元剤が、ジチオスレイトール(DTT)である、請求項39〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記マトリクス形成体が、炭酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、多孔性シリカ及びオリゴ糖または多糖類から選択される、請求項39〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記マトリクス形成体が、炭酸カルシウムである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記炭酸カルシウムが、タンパク質と塩化カルシウムの混合溶液に対して炭酸ナトリウム溶液を添加することにより形成される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記タンパク質分子が、溶液中の標的に結合するための親和性分子である、請求項39〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記タンパク質が、担体タンパク質であり、前記方法がさらに、シグナル前駆体分子を前記担体タンパク質に結合させることを含む、請求項39〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記担体タンパク質及び前記シグナル前駆体分子が、共有結合、物理的吸着またはリンカー分子を介して結合されている、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記担体タンパク質が請求項5〜7のいずれかに規定されたものである、請求項48〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記シグナル前駆体分子が請求項8〜13のいずれかに規定されたものである、請求項48〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
マイクロスフェアの表面に対して親和性分子を付着させるステップをさらに有する、請求項48〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記親和性分子は、物理的吸着または直接的な化学結合により前記マイクロスフェアに対して接合または結合している、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記親和性分子をリンカー分子を介してマイクロスフェアに対して接合または結合させることを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記リンカー分子が、アビジン、ストレプトアビジン、脱グリコシルアビジン、タンパク質A、タンパク質G、レクチンまたは低分子量クロスリンカーからなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記親和性分子が請求項14〜19のいずれかに規定されたものである、請求項47または52〜55のいずれかに記載された方法。
【請求項57】
シグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有するマイクロスフェアを用いて試料中の1または複数の標的分子を検出する方法であって、前記シグナル前駆体分子は検出可能なシグナルを生成するために活性化可能である一方、前記担体タンパク質との結合を維持し、かつ前記マイクロスフェアはその表面上に前記標的分子を特異的に認識して前記標的分子に結合するための親和性分子を有しており、
(a)前記標的分子を前記マイクロスフェアとともに恒温保持するステップと、
(b)親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有するマイクロスフェアを、親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有しないマイクロスフェアから分離するステップと、
(c)分離した、親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有するマイクロスフェアを、シグナルを生成するべく前記シグナル前駆体分子を活性化するために展開剤により処理するステップと、
(d)前記シグナルを検出または定量するステップと、を含む
標的分子の検出方法。
【請求項58】
前記マイクロスフェアが請求項3または請求項3に依存する請求項4〜24のいずれかに規定されたものである、請求項57の方法。
【請求項59】
前記担体タンパク質がウシ血清アルブミン(BSA)であり、かつ、前記シグナル前駆体分子がフルオレセイン二酢酸(FDA)である、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記展開剤が塩基またはエステル分解酵素である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
シグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有する第1のマイクロスフェアを用いて試料中の1または複数の標的分子を検出するためのシグナル増幅方法であって、前記シグナル前駆体分子は検出可能なシグナルを生成するために活性化可能である一方、前記担体タンパク質との結合を維持し、かつ前記マイクロスフェアはその表面上に前記標的分子を特異的に認識して前記標的分子に結合するための親和性分子を有しており、
(a)標的分子を前記マイクロスフェアとともに恒温保持するステップと、
(b)親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有するマイクロスフェアを、親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有しないマイクロスフェアから分離するステップと、
(c)分離した、親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有するマイクロスフェアを分解して前記シグナル前駆体分子を遊離させるために処理するステップと、
(d)前記遊離したシグナル前駆体分子に対して親和性をもつ別の親和性分子により官能基化され別のシグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有しかつ前記別のシグナル前駆体分子は検出可能なシグナルを生成するために活性化可能である一方、前記担体タンパク質との結合を維持している第2のマイクロスフェアにより、前記遊離したシグナル前駆体分子を処理するステップと、
(e)別の親和性分子とシグナル前駆体分子との複合体を表面上に有するマイクロスフェアを、別の親和性分子とシグナル前駆体分子との複合体を表面上に有しないマイクロスフェアから分離するステップと、
(f)分離した、別の親和性分子とシグナル前駆体分子との複合体を表面上に有するマイクロスフェアを、シグナルを生成するべく前記別のシグナル前駆体分子を活性化するために展開剤により処理するステップと、
(g)前記シグナルを検出または定量するステップと、を含む
シグナル増幅方法。
【請求項62】
前記ステップ(f)及び(g)を行う前に、前記ステップ(c)〜(e)までを1回〜n回(nは正の整数)繰り返すことをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
シグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有する第1のマイクロスフェアを用いて試料中の1または複数の標的分子を検出するためのシグナル増幅方法であって、前記マイクロスフェアはその表面上に前記標的分子を特異的に認識して前記標的分子に結合するための親和性分子を有しており、
(a)標的分子を前記マイクロスフェアとともに恒温保持するステップと、
(b)親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有するマイクロスフェアを、親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有しないマイクロスフェアから分離するステップと、
(c)分離した、親和性分子と標的分子の複合体を表面上に有するマイクロスフェアを分解して前記シグナル前駆体分子を遊離させるために処理するステップと、
(d)前記シグナル前駆体分子に対して親和性をもつ別の親和性分子により官能基化され別のシグナル前駆体分子に結合した担体タンパク質を有する別のマイクロスフェアにより、前記遊離したシグナル前駆体分子を処理するステップと、
(e)別の親和性分子とシグナル前駆体分子との複合体を表面上に有するマイクロスフェアを、別の親和性分子とシグナル前駆体分子との複合体を表面上に有しないマイクロスフェアから分離するステップと、
(f)分離した、別の親和性分子とシグナル前駆体分子との複合体を表面上に有するマイクロスフェアを、シグナルを生成するべく前記別のシグナル前駆体分子を活性化するために展開剤により処理するステップと、
(g)前記シグナルを検出または定量するステップと、を含む
シグナル増幅方法。
【請求項64】
前記ステップ(f)及び(g)を行う前に、前記ステップ(c)〜(e)までを1回〜n回(nは正の整数)繰り返し、少なくとも最終繰り返しサイクルにおける前記シグナル前駆体分子が、検出可能なシグナルを生成するべく活性化可能である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記マイクロスフェアの分解が、化学的手段、物理的手段または熱的手段により行われる、請求項61〜64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記マイクロスフェアの分解が、前記マイクロスフェアの分子間結合を切断する遊離剤を用いた化学的手段により行われる、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記遊離剤が、マイクロスフェアのタンパク質分子間の分子間S−S結合を切断する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記遊離剤が、低分子還元剤である、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
前記遊離剤が、ジチオスレイトール(DTT)である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記マイクロスフェアの分解が、音波、加熱、光照射、または、pH変化により行われる、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも前記第1のマイクロスフェアが、請求項3または請求項3に従属する請求項4〜24のいずれかに規定されているものである、請求項61〜70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記増幅のサイクルのうちの少なくとも1つが、シグナル生成有機物質の固体粒子を包含しかつ標的分子を特異的に認識して結合する表面親和性分子を担持するカプセルを用いる、請求項61〜70のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
少なくとも最終のマイクロスフェアにおいて、担体タンパク質がウシ血清アルブミン(BSA)でありかつシグナル前駆体分子がフルオレセイン二酢酸(FDA)である、請求項62及び64〜71のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記展開剤が、塩基またはエステル分解酵素である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
試料中の標的分子の検出用のキットであって、請求項1または請求項4〜13のいずれかに記載のマイクロスフェアを有し、前記シグナル前駆体分子は検出可能なシグナルを生成するために活性化可能であり、前記マイクロスフェアは標的分子を特異的に認識して結合するための表面親和性分子を担持するように構成されている、検出用キット。
【請求項76】
親和性分子がマイクロスフェアの表面に結合できるように親和性分子を修飾するための試薬と、マイクロスフェアと親和性分子の間の結合反応を行わせる試薬とをさらに有する、請求項75に記載のキット。
【請求項77】
膜、マイクロタイタープレート、ビーズ、チューブ及びスライドからなる群から選択される固体基板を有する、請求項75または76に記載のキット。
【請求項78】
シグナル前駆体分子が、蛍光色素、可視光色素、生物発光若しくは化学発光材料、磁気材料、または、酵素を含む、請求項75〜77のいずれかに記載のキット。
【請求項79】
標的物質について、人間及び動物の診断分野、法医学診断、環境分析、食物分析、生物テロ防御スクリーニングにおける試料中の1または複数の標的分子の検出及び/または同定のための分析手順における請求項1〜24のいずれかに記載のマイクロスフェアの使用。
【請求項80】
異成分からなる固相膜測定における請求項1〜24のいずれかに記載のマイクロスフェアの使用。
【請求項81】
免疫組織化学における請求項1〜24のいずれかに記載のマイクロスフェアの使用。
【請求項82】
特定のタンパク質領域、DNA及びRNAシーケンスの存在の視覚化のための、ウエスタン、ノーザン及びサザンブロット及びドット技術における請求項1〜24のいずれかに記載のマイクロスフェアの使用。
【請求項83】
分析感度の増幅のための、請求項1〜24のいずれかに記載のマイクロスフェアの使用。
【請求項84】
実質的に図3に示された請求項1に記載のマイクロスフェア。
【請求項85】
実質的に実施例1に記載された請求項39に記載のマイクロスフェアの調製方法。
【請求項86】
実質的に図4及び図5に示された請求項57に記載の、試料中の1または複数の標的分子の検出方法。
【請求項87】
実質的に図6に示された請求項61または63に記載の、試料中の1または複数の標的分子を検出するためのシグナル増幅方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−529644(P2012−529644A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514531(P2012−514531)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001144
【国際公開番号】WO2010/142960
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511290972)スーパーノヴァ・ダイアグノスティクス、インコーポレイティド (2)