説明

シザーリフト用の持上げ装置

本発明は、持上げ動作の始動段階では持上げ力を低減するシザーリフト用の持上げ装置に係り、特に、自動車を持ち上げるものに関する。シザーリフト用のこの持上げ装置は、互いに交差する少なくとも二つのシザーアーム(60、70)と、シザーアームを持ち上げる線形アクチュエータ(10)と、シザーアーム(60)に旋回可能に取り付けられたダブルレバージョイント(20)とからなり、ダブルレバージョイント(20)が、線形アクチュエータの持上げ動作を少なくとも一つのシザーアーム(60)に結びつける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持上げ動作の始動段階では持上げ力を低減し、持上げ構成部材の機械的負荷を小さくするシザーリフト(ハサミ形リフト)用の持上げ装置に係り、特に、自動車を持上げる持上げ装置に関する。また、シザーリフトは、縮めた位置ではコンパクトな構造を有する。
【背景技術】
【0002】
シザーリフトは、いろいろな荷物及び選択肢的には人間をも持ち上げるために、種々の技術分野において用いられる。修理工場、製造工場や検査工場で、自動車を、特に、乗用車、スポーツ用多目的車及び輸送車を持ち上げるために、シザーリフトの種々の構成が、即ち、単純な持上げ技術の故に、頑強な構造及び縮めたシザーリフトの地面レベルの配置の可能性が、取り入れられている。
【0003】
持上げのメカニズムの構造に関し、形状が同一の少なくとも二つのハサミ状のものが使用される。特にかなり高い位置にとどかせる場合には、複数のそのようなハサミ状のもの一式が上下に配置されるとよく、それにより、例えば、二段のシザーリフト又は多段のシザーリフトが結果的に実現される。
【0004】
下げられた状態では、シザーリフトは、この位置で持ち上げるべき負荷の投入を容易にするために、できるだけ低い組立て高さを有するようにする必要がある。特に、自動車用のリフトは、自動車の乗り入れを容易にするために、下げられた位置では地表面からできるだけ小さく突出するようにする必要がある。その場合に、設置場所での特別な実装ピットは、省略してもよい。
【0005】
しかしながら、ここに、スペースを理由として、シザーリフトの下げられた状態では、互いに旋回可能なシザーアームをできるだけ互いに隣接して並行におく必要があるという問題が生じ、それにより、持上げ動作の始動段階で持上げ装置にとって好ましくないレバーの配置が生ずる。
【0006】
一般に、シザーアームの支持部上のリフトシリンダの作用点が関連した旋回軸から離れれば離れるほど、及び、シザーアームの長手方向の軸とリフトシリンダとの間の角度が90度に近くなればなるほど、てこ比がより有利になり、結果として、リフトシリンダを伸ばすのに必要な力が減少する。
【0007】
既知の二段のシザーリフトでは、基部フレーム側面の下側シザーと上側シザーのヒンジ結合用のベアリングが、線状に伸びる支持物として形成されたシザーアームの隣接する端部にそれぞれ設けられている。プラットフォームを低くすると、ベアリングが下側シザーのシザーアームの最上部に依然としてそれぞれ存在するので、シザーアームは、完全な水平位置に移動することができない。このため、シザーアームは、依然として僅かに傾いたままであり、それによって、下げられた状態でのプラットフォームの最小高さ、即ち構造物の高さが決まる。
【0008】
そのことから更なる問題が生ずる。即ち、リフトのリフト台又は同様の積荷受けをその下げられた位置から持ち上げるために、常用荷重と比較して、リフトシリンダにとって複数回のより高い圧縮力が要求されるように、持上げ高さを下げるにつれて、リフトシリンダにとってより好ましくないてこ比が生ずる。従って、従来のシザーリフトは、リフトに係合するリフトシリンダが未だ僅かな角度の迎え角を有する低い位置まで更に縮ませることができない。
【0009】
西独国実用新案第29920934号は、リフトシリンダとシザーアームとの間により大きな角度を実現し、それにより、拡開レバー、二つの回転体及び停止プレートを用いて、より有益なレバーの迎え角及びシザーリフトのより容易な持上げを可能とする、シザーリフトの持上げ機構を示す。しかしながら、西独国実用新案第29920934号に示された拡開レバーの形状は、特に停止プレートと接触する領域で、高い材料歪みを生ずる結果となる。このことは、高い材料応力又は機械的負荷を生ずる結果となり、ローラベアリングに関して比較的高額の製品が必要となる。更なる不利な点は、拡開レバーが停止プレートに接触して引き起こす騒音の発生である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、持上げ動作の始動段階で必要とされる力を減少させ、下げられた状態でシザーリフトの構造をコンパクトにするシザーリフト用の持上げ装置を提供することである。本発明の更なる目的は、生ずる騒音を低くし、安価な構成部材を備えた持上げ装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の発明の特徴による持上げ装置により解決される。従属請求項は、本発明の有利な開発成果に関する。
【0012】
本発明によれば、シザーリフト用の持上げ装置は、互いに交差する少なくとも二つのシザーアームと、シザーアームを持上げる線形アクチュエータと、シザーアームに旋回可能に取り付けられたダブルレバージョイントとからなり、ダブルレバージョイントが、線形アクチュエータの持上げ動作を少なくとも一つのシザーアームに結びつける。ダブルレバージョイントは、低い縮めた位置からシザーリフトを上昇させる際に特に有利なてこ比を可能とする。本発明によるダブルレバージョイントは、互いに連結した第1及び第2レバー部材からなる。好ましくは、第1及び第2レバー部材は、それらの連結領域で、軸周りに旋回可能に支持される。ここで、線形アクチュエータの伸張可能な部分、例えば油圧又は空圧のシリンダのピストンヘッドは、この旋回軸に連結され得る。更に有利には、シザーアームは、第1位置で第1レバー部材に旋回可能に連結され、第2位置で第2レバー部材に旋回可能に連結される。シザーリフトは、ダブルレバージョイントに連結される、互いに交差する更なる一組のシザーアームを備えてもよい。ここに、第1の一組のシザーアームはダブルレバージョイントの左側に配置され、第2の一組のシザーアームはダブルレバージョイントの右側に配置され得る。即ち、ダブルレバージョイントは、二つの一組のシザーアームの間に配置され、それらにヒンジ結合のように連結され得る。
【0013】
更に、低い停止位置から第1伸張位置までの線形アクチュエータの伸張は、線形アクチュエータの伸張方向に対して、及び、シザーアームの長手方向の軸に対して、第2レバー部材の起上りを生じさせることができる。第1及び第2レバー部材のこの配置は、低い停止位置からシザーリフトを持ち上げる間、特に有利な作業角度をもって、線形アクチュエータの持上げ動作を、特に効果的に、シザーアームへ結びつけることができる。
【0014】
更に、旋回軸、即ち、ダブルレバージョイントの第1及び第2レバー部材の共通の旋回軸は、第1レバー部材の長穴に支持され得り、線形アクチュエータの第1伸張位置への伸張が、旋回軸を長穴に沿って移動させる。第1レバー部材の長穴による旋回軸の案内は、特に低い騒音、レバー部材の所定の起上りを可能とする。それに加えて、長穴の端部領域は、停止位置を構成し、それにより、シザーアームに取り付けられた、先行技術から既知の別個の停止プレートが省略され得る。長穴を備えたレバー部材が使用されれば、長穴のこの停止位置に達することが、第1伸張位置に達することを確定する。長穴を備えたダブルレバージョイントは、更に、持上げ動作中、構成部材の有利な引張応力を実現する。
【0015】
支持安定性の増大及び材料応力の減少のために、第1及び/又は第2レバー部材は、ジョイントボルトを介して旋回可能に且つ並行に配置された、それぞれ二つの並行配置のレバープレートで構成され得る。例えば、第1レバー部材の二つのレバープレートは、それらの端部領域の一つでシザーアームにそれぞれヒンジ結合のように取り付けられる一方、それらは、第2端部領域で、それぞれ、反対側のリフトシリンダの伸張可能なピストンヘッドに連結される。例えば、第2レバー部材の二つのレバープレートは、ジョイントボルトを介して、互いに並行に且つ等間隔に配置され、このジョイントボルトを介してシザーリフトのシザーアームにヒンジ結合のように取り付けられる一方、それらは、同時に、第1レバー部材のレバープレートの端部領域とともに、旋回可能に支持される。
【0016】
持上げ動作中の第2レバー部材の回転動作を案内するために、第2レバー部材は、第2端部領域で、離反可能に支持され、且つ、ガイド部材上を移動可能であり、線形アクチュエータの第1伸張位置への伸張が、第2レバー部材の第2端部領域の反対の動きを生じさせる。
【0017】
このガイド部材は、シザーアームに取り付けられたガイドプレートであってもよい。持上げ動作中、構成部材を保護し、低い騒音の、及び、制御された第2レバー部材の動作を実現するために、第2レバー部材は、第2端部領域にヒンジ結合のように取り付けられたプッシュ部材を介して、ガイドプレート上を滑るように支持され得る。
【0018】
第2レバー部材が二つの並行なレバープレートからなる場合には、有利には、二つのプッシュ部材は、レバープレートの各端部領域に旋回可能に取り付けられ得る。ガイドプレートは、線形アクチュエータの第1伸張位置への伸張の間、第2レバー部材の第2端部領域を受ける中央凹部を有してもよい。
【0019】
更に、プッシュ部材は、第2端部領域でレバープレート間に旋回可能に取り付けられ得り、ガイドプレートは、線形アクチュエータの第1伸張位置への伸張の間、プッシュ部材を受ける中央凹部を有する。
【0020】
力の流れをできるだけ直線状にするために、第1及び第2レバー部材のレバープレートは、平面視、大きく丸められた端部領域を備えた細長い長方形の形状を有し得る。更に、レバープレートは、それぞれ一つの旋回ボルトを受ける、長手方向の軸に沿った複数の凹部を備えるようにしてもよい。
【0021】
好ましくは、シザーリフトが、少なくとも一つの本発明による持上げ装置を備える。例えば、シザーリフトに4つの持上げ装置を採用してもよく、その場合に、シザーアームのうちそれぞれ二つが走行面と関連する。
【0022】
要約すると、本発明によって、低い縮めた位置からの持上げの間の持上げ力を低減させることができるシザーリフト用の持上げ装置が実現可能となる。本発明による持上げ装置は、安価な方法で製造される持上げ用構成部材により実現される。構成部材には、ダブルレバージョイント、ガイドプレート及びプッシュ部材が属する。これらの構成部材は、高い支持安定性をもって実現され、同時に非常に低い騒音での起上り動作を可能とし、及び、持上げ用構成部材の低い機械的負荷を確実にする。
【0023】
本願発明の好ましい実施形態及び更なる詳細は、添付した概略図を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施形態による持上げ装置の斜視図を示す。
【図2A】図2Aは、第1レバー部材のレバープレートの斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、第2レバー部材のレバープレートの斜視図を示す。
【図2C】図2Cはプッシュ部材の斜視図を示す。
【図2D】図2Dはガイドプレートの斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態による持上げ装置の拡大斜視図を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の実施形態による下げられた状態の持上げ装置の側面図を示す。
【図4B】図4Bは、本発明の実施形態による第1伸張位置での持上げ装置の側面図を示す。
【図4C】図4Cは、本発明の実施形態による第2伸張位置での持上げ装置の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の実施形態による、自動車(図示せず)を持ち上げるシザーリフトの持上げ装置の斜視図を示す。本発明による持上げ装置の原理を明確にするために、通常の方法で設計されている駆動レール、接触面、操作装置一式等のシザーリフトの他の構成部材は、これ以上には説明されていない。本発明による持上げ装置は、二段のシザーリフトを採用するにも適している。
【0026】
図1に示すように、持上げ装置は、シザーリフトを上昇させるために互いに交差する二つのシザーアーム60、70を備える。二つのシザーアーム60、70は、ピボットジョイント61を介して、互いに連結されている。伸張しない領域11と伸張可能な部分12(シリンダピストンロッド)を備えた油圧シリンダ方式の線形アクチュエータ10は、駆動装置として機能する。リフトシリンダのピストンロッド12のヘッド部として、端部側に、ラジアルスライドベアリングが取り付けられ、この端部側のスライドベアリングからそれぞれ突出するジョイントボルト26が配置されている。ジョイントボルト23は、ダブルレバージョイント20の中心の旋回軸23を構成する。
【0027】
ダブルレバージョイント20は第1及び第2レバー部材21、22を備え、それを用いることにより、線形アクチュエータ10の持上げ動作が、シザーアーム60に結び付けられる。下げられたシザーアームを持上げる際の線形アクチュエータ10の好ましくない作業角度を改善するために、ダブルレバージョイントの二つのレバー部材は、線形アクチュエータ10及びシザーアーム60の両者の長手方向の軸と比較して下げられた状態における持上げ動作の始めに、起き上がる又は傾くことができる。このことは、図4A−4Cに基づいて以下により詳細に記載されている。これにより、より有益なレバーの迎え角及びレバーの配置が生じ、結果的に、線形アクチュエータにより加えられる持上げ力の減少をもたらす。
【0028】
第1レバー部材21は、ジョイントボルト25を介してシザーアーム60に旋回可能に連結され、シザーアーム60のスライドブッシングがこのジョイントボルト25を受ける。図1に示される後側のシザーアーム(60、70)に加えて、この持上げ装置は、第1の一組のシザーアーム(60、70)と並行である、互いに交差する第2の前側の一組のシザーアームを更に備える(図示せず)。本発明による持上げ装置の構成及び作動原理を明確にするため、この第2の一組のシザーアームは図面で説明されていない。第1レバー部材21は、二つの同一に構成されたレバープレート21a及び21bからなる。後側のレバープレート21bは、後側のアーム組の内側のシザーアーム60にボルト25を介して旋回可能に連結されており、一方、前側のレバープレート21aは、前側のアーム組の内側のシザーアームにボルト25で旋回可能に連結されている(図示せず)。
【0029】
そのようなレバープレート21aは図2Aに示されている。レバープレート21aは、平面視、大きく丸められた端部領域を備えた細長い長方形の形状を有する。レバープレート21aは、端部に円形の穴を有し、その中心点は、プレート21aの長手方向の軸上にある。この穴を用いて、プレートは、ジョイントボルト25を介して交差するシザーアームの内側の一つに取り付けられている。反対側に、レバープレート21aは、長手方向の軸がプレート21aの長手方向の軸上に位置する長穴24を有する。
【0030】
図1に示すように、リフト装置10の伸張可能な部分12は、そのヘッド部領域でジョイントボルト26を受けるスライドベアリングを有し、そこでは、第1レバー部材21の二つのレバープレート21a、21b及び第2レバー部材22の二つのレバープレート22a、22bが、スライドベアリングから突出するジョイントボルト26の二つの外側端部で、更に旋回可能に支持されている。レバープレート21a、21bの長穴24は、このジョイントボルト26を受ける役目を果たす。ジョイントボルト26の突出した端部は、隙間のある嵌めあいを持ってレバープレート21aの長穴24で、それぞれスライド自在に支持される。一方、ジョイントボルト26の反対側の端部は、プレート21bの長穴24で支持される。それにより、線形アクチュエータ10の部分12の伸張が、ボルト26を、このボルトが長穴24の端部に当たるまで、長穴24に沿って移動させる。
【0031】
第2レバー部材22のレバープレート22a、22bは、二つのジョイントボルト26、27を介して互いに並行に配置されている。ここで、レバープレート22a、22bは、ジョイントボルト27を介してシザーアーム60に連結されている。レバープレート22a側には、第2アーム組(図示せず)の内側のシザーアームが存在し、ボルト27を介してプレート22aがそれに連結されている。レバープレート22a、22bの下端部には、プッシュ部材30が、ジョイントボルト28によってレバープレート22a、22bの二つの外側に取り付けられている。
【0032】
第2レバー部材22のレバープレート22aは、レバープレート22bと同一に構成されており、図2Bに詳細に記載されている。ボルト26、27、28を受けるために、レバープレート22a、22bは長手方向の軸に沿って3つの円形の穴を有する。20mmの厚さを有するレバープレート22a、22bは、例えば、高降伏強度、溶接適格性及び脆性破壊安全性の特徴を有する鋼鉄S355から製造される。レバーの輪郭は、例えば、レーザーカットによりプレートから切り抜かれる。
【0033】
これまでの先行技術から知られた拡開レバーと比較して、ダブルレバージョイントのレバー部材は、より単純になり、容易な機械的処理の輪郭のためにより安価に製造され得る。更に、標準的な利用の場合に比較的低いストレス値が生じ、それにより、結果的に減少した機械的負荷が生ずるように、図2A及び図2Bに示されるレバープレートの形状は、有益な力の流れをできるだけ直線的にすることができる。
【0034】
図1の斜視図の結果、二つのプッシュ部材30のうち前側のもののみが視認できる。プッシュ部材30は、ガイドプレート40上に載るスライドブロック(滑り駒)に相当する。持上げ動作の間、プッシュ部材30は、ガイドプレート上を移動する。最適な滑りのために、潤滑フィルムがこれらの二つの部材間に設けられている。
【0035】
プッシュ部材30は、図2Cに、より詳細に説明されている。プッシュ部材30は、丸められた角を有し、2方向の移動において載置面上の潤滑フィルムの磨耗を防ぐことができる。また、これらの丸みは、リフトを下げる間の小さな捻じれがプレート40の表面に損傷を生じさせないという有利な点を有する。しかしながら、プッシュ部材30は、例えば、スプリングやピンなどにより捻じれに対して更に保護される必要がある。実施形態では、持上げ装置ごとに二つのプッシュ部材30が、シザーリフトごとに4つのプッシュ部材30が、取り付けられている。全ての隣接する構成部材に対する最小距離を確保するために、図2Cで示されるように、プッシュ部材30は上部に斜角面を有する。この構成部材における最大応力は、レバーが停止に至る直前に生ずる。その圧縮応力は、この時点では、実質的におよそ270N/mmである。プッシュ部材30を製造するために、良好な滑り特性及び耐磨耗性を備えた材料が、例えばCuSn8Pが、用いられる。更に、より安価な可能性として、良好な滑り特性を備えた耐磨耗性プラスチック、例えばグラスファイバーで強化したポリアミド(PA)、の使用が挙げられる。
【0036】
図2Dに示されるガイドプレート40は、第2レバー部材22の第2端部領域29を受けるための中央凹部41を有する。このことは、他の構成部材までの所要の最小距離より下回ることなく、その領域41での持上げ動作の間、レバープレート22a、22bの動きを可能とする。これにより、第2レバー部材22のレバープレート22a、22bのより安定した構造が可能となる。図示された実施形態の330mm x 270mm x 25mmの大きさのガイドプレート40は、シザーリフトの各側面のシザーアーム70に溶接されている。プッシュ部材30は、このプレート上を移動する。ガイドプレート40の左右側は、重ね継ぎを用いてシザーアームに溶接されている。側方にプッシュ部材を位置させることにより、プレート40の中央にプッシュ部材30を一つだけ位置させる場合よりも、側方のモーメントは小さい。角部における応力を十分に拡散させるために、それらは、大きな半径を持って丸められている。
【0037】
持上げ装置の上述の部材は、図3の拡大斜視図に図示されている。
【0038】
実施形態でそれ以上は図で示されていないが、第2レバー部材22は、レバープレートから構成され、線形アクチュエータ10のシリンダヘッド12が、第2レバープレートの旋回支持のために、二股に分かれるように形成されている。第2レバー部材22の端部領域で、第2レバー部材のレバープレートの対向する側面には、各二つのプッシュ部材30が取り付けられて、ガイドプレート上で滑るように支持される。
【0039】
図4Aから図4Cを参照して、持上げ機構の機能が、3つの異なる持上げ位置に基づいてより詳細に説明される。
【0040】
図4Aでは、シザーアーム60、70及びそれによるシザーリフトは、下げられた低い位置にあり、自動車の乗り入れを目的としている。この位置では、線形アクチュエータ10は、縮まった状態にあり、線形アクチュエータの長手方向の軸は、水平線に対しておよそ3度の非常に小さい傾きを有する。軸23は、持上げ用のピストン12、第1レバー部材21及び第2レバー部材22にボルト26を介して連結しており、図示されているように、長穴24の左端部に位置している。ダブルレバージョイント20は、ほぼ伸びた水平に位置し、第1レバー部材21及び第2レバー部材22は、互いに対し、およそ180度の角度を形成している。
【0041】
図4Bは、線形アクチュエータ10の持上げ用のピストン12が第1伸張位置まで伸張した後の持上げ装置を示す。この第1伸張位置まで伸張すると、伸張可能な部分12は、ボルト26を、長穴24の右端部で停止するまで、長穴24に沿って移動させる。第2レバー部材22は、長穴24の端部で停止に至ると、静定位置に達する。この第1伸張位置では、線形アクチュエータの長手方向の軸は、水平線に対しておよそ15度から20度の傾きを有する。
【0042】
線形アクチュエータの伸張の動きは、ダブルレバージョイント20の第2レバー部材22に、ジョイントボルト27の回転軸周りにトルクを生成し、結果として第2レバー部材の回転動作及び起上りを生じさせる。そのとき、第2レバー部材22の下端部は、線形アクチュエータ10の部分12の伸張する動きに抗して、線形アクチュエータ10の長手方向の軸の方向にプッシュ部材30でガイドプレート40に沿って滑る。即ち、ダブルレバージョイントの二つのレバー部材が、線形アクチュエータ10及びシザーアーム60、70の両方の長手方向の軸に対して、線形アクチュエータ10が第1伸張位置まで伸張した分だけ、長手方向の軸と比較して起こされ又は傾かされる。この起上りは、結果として、シザーアーム60、70を離れるように広げ、ダブルレバージョイントは、リフトシリンダにより加えられた垂直の分力を、ピストンロッド12を介してボルト26及び第2レバー部材を通過させて、ボルト27を介してシザーアーム60に導入する。このとき、第2レバー部材の起き上がりは、結果として、持上げ力を加えるための有利な作業角度を生じ、それにより、線形アクチュエータにより加えられるべき持上げ力を低減させる。図示されていない第2の前側の一組のシザーアームは、後側のシザーアーム60、70のように、離れた状態で広げられている。
【0043】
図4Cは、第1伸張位置に到達した後の継続的な持上げ動作による第2伸張位置を示す。滑動するボルト26が長穴24の端部の停止位置に達した後、プッシュ部材30は、線形アクチュエータの影響下で、ガイドプレート40から離昇する。ここで、ガイドプレート40は、シザーアーム70に溶接されている。
【0044】
本発明の個々の特徴は、本実施形態の範囲内で記載された特徴の組合せに限定されず、又、事前設定されたデバイス・パラメータによっては、他の実施形態に採用され得る。部材サイズ、作業角度及び材料応力等の特定の代表的な値は、例示にすぎず、又、決して限定的に解釈されるものではない。なぜなら、これらの値は、シザーリフトの具体的な構造及び寸法取りに依拠するからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する少なくとも二つのシザーアーム(60、70)と、
前記シザーアーム(60、70)を持ち上げる線形アクチュエータ(10)と、
シザーアーム(60)に旋回可能に支持されるダブルレバージョイント(20)と、からなり、
前記ダブルレバージョイント(20)が、前記線形アクチュエータ(10)の持上げ動作を少なくとも一つのシザーアーム(60)に結びつけることを特徴とするシザーリフト用の持上げ装置。
【請求項2】
前記ダブルレバージョイント(20)の第1(21)及び第2(22)レバー部材が軸(23)周りに旋回可能に支持され、前記線形アクチュエータ(10)の伸張可能な部分(12)がこの軸(23)に連結され、並びに、
前記シザーアーム(60)が、第1位置で前記第1レバー部材(21)に旋回可能に連結され、及び、第2位置で前記第2レバー部材(22)に旋回可能に連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載の持上げ装置。
【請求項3】
低い停止位置から第1伸張位置までの前記線形アクチュエータ(10)の伸張が、前記線形アクチュエータ(10)の伸張方向に対して相対的に、及び、シザーアーム(60)の長手方向の軸に対して相対的に、前記第2レバー部材(22)の起上りを生じさせる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の持上げ装置。
【請求項4】
前記旋回軸(23)は、前記第1レバー部材(21)の長穴(24)に支持され、前記第1伸張位置までの前記線形アクチュエータ(10)の伸張が前記旋回軸(23)を前記長穴(24)に沿って移動させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の持上げ装置。
【請求項5】
前記第1(21)及び第2(22)レバー部材が、それぞれがジョイントボルトを介して旋回可能に且つ並行に配置された並行配置の二つのレバープレート(21a、21b、22a、22b)をそれぞれ備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の持上げ装置。
【請求項6】
前記第2レバー部材(22)が、第2端部領域(25)で、離反可能に支持され、且つ、ガイド部材上を移動可能であり、
前記線形アクチュエータ(10)の前記第1伸張位置への伸張が、前記第2レバー部材(22)の第2端部領域(25)の反対の動きを生じさせる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の持上げ装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、シザーアーム(70)に取り付けられたガイドプレート(40)であり、前記第2レバー部材(22)は、前記第2端部領域(25)にヒンジ結合のように取り付けられたプッシュ部材(30)を介して前記ガイドプレート(40)上を滑るように支持される、
ことを特徴とする請求項6に記載の持上げ装置。
【請求項8】
プッシュ部材(30)は、前記第2端部領域(25)で前記レバープレート(22a、22b)にそれぞれ旋回可能に取り付けられ、及び
前記ガイドプレート(40)は、前記線形アクチュエータ(10)の前記第1伸張位置への伸張の間、前記第2レバー部材(22)の前記第2端部領域(29)を受ける中央凹部(41)を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の持上げ装置。
【請求項9】
プッシュ部材(30)は、前記第2端部領域(25)で前記レバープレート(22a、22b)間に旋回可能に取り付けられ、及び
ガイドプレート(40)は、前記線形アクチュエータ(10)の前記第1伸張位置への伸張の間、前記プッシュ部材30を受ける中央凹部(41)を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の持上げ装置。
【請求項10】
前記レバープレート(21a、21b、22a、22b)が、平面視、大きく丸められた端部領域を備え、及び、それぞれ一つの旋回軸用ボルトを受ける、長手方向の軸に沿った凹部を備えた、細長い長方形の形状を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の持上げ装置。
【請求項11】
シザーリフトであって、当該シザーリフトが請求項1から請求項10のいずれか1項による少なくとも一つの持上げ装置を備え、前記シザーリフトが、互いに交差する二つの一組のシザーアームからなることを特徴とするシザーリフト。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2013−518789(P2013−518789A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552288(P2012−552288)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000252
【国際公開番号】WO2011/098209
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(512207010)マハ マシーネンバウ ハルデンバンク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー (1)