説明

システムキッチン

【課題】 本発明は、キッチンカウンタのコーナー部に調理スペースを確保しつつ、心理的にこの調理スペースに作業者が来るよう誘導することが出き、さらに照明によって使い勝手を向上させ得るシステムキッチンを提供することを目的とする。
【解決手段】略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されてなるキッチンカウンタと、前記キッチンカウンタのコーナー部の上に設けられるアイレベルキャビネットと、前記アイレベルキャビネットに備えられた照明と、前記第1の部分と前記第2の部分との接続部において、前記キッチンカウンタの天板がせり出した延出部と、を備え、前記キッチンカウンタの前記コーナー部において前記延出部を含むように調理スペースが設けられたことを特徴とするシステムキッチンを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンに関し、特に、キッチンカウンタのコーナー部に調理スペースを設けたシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
炊事に使用するシステムキッチンに、炊事に用いる備品や道具食材などを収納するためのキャビネットを設けると、スムーズに炊事を行うことができる。このようなキャビネットについてみると、例えば、平面視で略L型のキッチンカウンタのコーナー部の全域を占拠し、シンク方向及びコンロ方向へそれぞれ引き出し式収納をスライド可能な略直方体状のキャビネットが開示されている(特許文献1)。しかし、このキャビネットの場合、キッチンカウンタのコーナー部の全域を占拠するため、調理スペースを確保できないという問題がある。
【0003】
また、平面視で略L型のキッチンカウンタのコーナー部背面側に、平面視で略三角形状のキャビネットを設け、このキャビネットがガイド機構とキャスターとによりコーナー部に向けてスライド可能とされたコーナーキャビネットが開示されている(特許文献2)。しかし、このコーナーキャビネットは、前方にスライドさせた状態においてやはりキッチンカウンタのコーナー部のほぼ全域を占拠してしまうため、調理スペースを確保することができなかった。
【0004】
一方、平面視で略L型のキッチンカウンタのコーナー部背面側に、キッチンカウンタ前縁とほぼ平行に前面が形成された収納キャビネットが開示されている(特許文献3)。しかし、この収納キャビネットの下方のキッチンカウンタ上にはシンクが設けられており、キッチンカウンタのコーナー部を調理スペースとして用いることができなかった。
一方、本願出願人は、L型のキッチンカウンタの上にキャビネットが設けられたシステムキッチンを開示している(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特開昭59−218111号公報
【特許文献2】特開平7−289368号公報
【特許文献3】特許第2676834号公報
【特許文献4】特開昭58−81010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、キッチンカウンタのコーナー部に便利な調理スペースを確保しつつ、心理的にこの調理スペースに作業者が来るよう誘導することができ、さらに照明によって使い勝手を向上させ得るシステムキッチンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されてなるキッチンカウンタと、
前記キッチンカウンタのコーナー部の上に設けられるアイレベルキャビネットと、
前記アイレベルキャビネットに備えられた照明と、
前記第1の部分と前記第2の部分との接続部において、前記キッチンカウンタの天板がせり出した延出部と、
を備え、
前記キッチンカウンタの前記コーナー部において前記延出部を含むように調理スペースが設けられたことを特徴とするシステムキッチンが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キッチンカウンタのコーナー部に調理スペースを確保しつつ、心理的にこの調理スペースに作業者が来るよう誘導することが出き得るシステムキッチンを提供でき、産業上のメリットは多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの基本構成を例示する模式斜視図である。
また、図2は、図1に示す本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンを例示するための模式平面図である。
【0009】
本具体例のシステムキッチン10は、平面視で略L字状のキッチンカウンタ20を備え、コンロ55とシンク60とがキッチンカウンタ20上の略同一平面上に設けられている。すなわち、システムキッチン10は、略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されてなるキッチンカウンタ20を有する。また、キッチンカウンタ20の下には、フロアキャビネット23や食洗機(食器自動洗浄機)25などが設けられている。これら各部の表面は、例えば、汚れがつきにくい壁材や鏡面仕上げあるいは木目調仕上げの扉材などを採用することにより、手入れや掃除がしやすく美観にも優れる。さらに、ユニバーサルデザインの観点からも工夫がされている。例えば、高齢者や身体障害者が椅子100に座りながら炊事した時に、着座した状態で膝がキッチンカウンタ20の下側に当たらないように「ニー・スペース54」を設け、楽な姿勢で作業を行うこともできる。このニー・スペース54は、キッチンカウンタ20を支える背板27及び、フロアキャビネット23の側板28と食洗機25の側板29とに囲まれた空間として形成されている。またさらに、食洗機25の上方のキッチンカウンタ20には、比較的に使用頻度の低いサブ作業スペース53が設けられている。
【0010】
また、従来の略L型のシステムキッチンの前面側コーナーは、ほぼ直角すなわち90度であったのに対して、本具体例では、図2に示すようにキッチンカウンタ20のコーナー部に、作業者に向かってせり出したキッチンカウンタ20の天板の延出部21が設けられている。延出部21の前面の両側のコーナー角度は、それぞれ135度程度の角度を有する。尚、このコーナー角度は120度以上であることが望ましい。もし、120度以下であれば、座位作業時に作業者の腕・肘がキッチンカウンタ20のコーナー部と干渉することがあるからである。
【0011】
このような延出部21を設けることにより、キッチンカウンタ20のコーナー部において作業者との間の空間領域を有効利用でき、後述する調理スペース50を確保することができる。
【0012】
略L字状のキッチンカウンタ20のコーナー部には、その高さにアイレベルすなわち立位あるいは座位の作業者の目の高さ位置を含んでいるアイレベルキャビネット30がその背面をキッチンカウンタ20の背面と連なるように設けられている。つまり、キッチンカウンタ20のコーナー部の上において、キッチンカウンタ20の背面に沿ってアイレベルキャビネット30が設けられている。そして、延出部21の前縁20aとアイレベルキャビネット30の前面との間にできるキッチンカウンタのスペースが調理スペース50となる。この調理スペース50は、コンロ55とシンク60との間に位置し、水洗いした食材を加工したり、コンロで加熱した鍋などの調理用器具などを臨時的に置いたり、料理を食器に盛りつけるなどの一連の作業を行うことができる場所もある。
【0013】
またさらに、キッチンカウンタ20とアイレベルキャビネット30との間には隙間が設けられ、この隙間も補助的な調理スペースとして利用することができる。すなわち、キッチンカウンタ20と、アイレベルキャビネット30の底板と、により挟まれた空間が隙間として設けられている。
図3は、アイレベルキャビネット30の平面寸法を例示する模式図である。アイレベルキャビネット30の前面の幅は例えば42cmであり、この前面の両端部における奥行きは24cmであり、奥行きの最大寸法は52cmである。このようなサイズのスペースがあると、後に詳述するように、標準的なサイズのまな板やボウルなどを完全に収納することが可能となる。
【0014】
このアイレベルキャビネット30は、キッチンカウンタ20背面に沿って2つの収納部39が略直角に設けられ、それらの内部には収納抽斗40がスライド引き出し自在にそれぞれ設けられている。なお、図1は、これら収納抽斗40がそれぞれ引き出された状態を表す。これら収納抽斗40は、収納部39の長軸に沿って第1、第2の方向にそれぞれ独立にスライドする。なお本実施例で第1の方向はアイレベルキャビネット30のあるコーナー部からシンク60の方向に、第2の方向はコーナー部からコンロ55の方向にスライドするものとする。なお2つの収納部39はキッチンカウンタと同様に、略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されている。またその収納部39に収納抽斗40が引き出し自在に収納している。
【0015】
アイレベルキャビネット30の内部には、キッチンカウンタ20の天板に対して略平行な棚板45が設けられている。立位及び座位の作業者からみて少なくともアイレベル位置にある棚板45の前縁45aを含むコーナー面45bと延出部21の前縁20aとは、略平行となっている。コーナー面45bとは、アイレベルキャビネット30の前面に位置し、キッチンカウンタ20の天板に略垂直な面をいう。そして、前縁20aの寸法L1よりもコーナー面45bの幅方向寸法L2の方が同じまたは長いものとなっている。
【0016】
本実施形態では、このような構成を取るため、心理的に作業者が調理スペース50に来るよう誘導することができる。人は、平行な面の前に正対すると心が落ち着くという性質を有する。特に、アイレベル位置に平行な面があれば無意識のうちにその平行な面に正対して作業をするようになる。すなわち、アイレベルキャビネット30の前面のコーナー面45bに正対して作業をすることを無意識のうちに望むようになり、作業者がコーナー面45bの前方の調理スペース50で作業をするためにそこに来るよう誘導することができるようになる。また、前縁20aの寸法L1よりもコーナー面45bの幅方向寸法L2の方が長いものとなっているため、アイレベル位置により広い平行な面ができ、さらに効果的に作業者を誘導できることになる。
【0017】
このように、本実施形態によれば、コーナー面45bと延出部21の前縁20aとが略平行となっているので、そこに立つだけでも平行なコーナー面45bと正対することになり、心が落ち着きそこでの作業能率も高くなるという効果を生じる。また、延出部21の前縁20aが直線のため作業者が作業をする際に腹部を当てながら作業ができ、直ぐ前面に調理に用いる備品、道具食材などを収納するためのアイレベルキャビネット30も設けられているので調理スペース50での作業がますます容易となる。このように、心理的にも落ち着き、かつ、作業がし易い調理スペース50に、無意識のうちに作業者が来るようになる。その結果、使い勝手の良さからも作業者を心理的にさらに誘導しやすくなる。
【0018】
さて、調理における作業動作の中心は、まな板やボウルなどを使った調理作業であり、これを中心にシンクを使った作業やコンロを使った作業のために放射状に動くことになる。本実施形態においては、略L字状のキッチンカウンタ20のほぼ中央であるコーナー部に調理スペース50を設け、ここに作業者が来るよう心理的に誘導することができる。そのため、キッチンカウンタ20のほぼ中央であるコーナー部をメイン作業区域(主に作業をする場所)として、放射状にシンクを使った作業やコンロを使った作業ができることになり、一連の作業をも効率的に行えるという効果も生じる。
【0019】
図4は、調理スペースの寸法関係を例示する模式図である。
延出部21の前縁20aとアイレベルキャビネット30の前面との寸法L3(調理スペース50の奥行き寸法)は、調理に用いる中心的な道具であるまな板やボウルが置ける寸法で、かつ、アイレベルキャビネット30まで手が届く寸法である必要がある。ここで、まな板の寸法はその作業性を考慮すると20センチメートルが最小と考えられる。成人女性の腹部から指先までの寸法は短い人で70センチメートル程度であるので、上体を軽く屈めてアイレベルキャビネット30まで手が届くのは図4に示すように65センチメートル程度と考えられる。
【0020】
そのため、延出部21の前縁20aとアイレベルキャビネット30の前面との寸法範囲(調理スペース50の奥行き寸法範囲)は20センチメートル〜65センチメートルとすることが望ましい。さらに、60センチメートルとすれば楽にアイレベルキャビネット30まで手が届くこと、成人女性の肘から指先までの寸法が短い人で30センチメートル程度であることを考慮すると、30センチメートル〜60センチメートルとすることが作業性の面からより望ましい。さらに、成人女性の肘から指先までの寸法が長い人を考慮すると、肘から指先までの寸法が45センチメートル程度であるので、45センチメートル〜65センチメートルとすることがより望ましい。このようにすれば、アイレベルキャビネット30から必要な調理器具や調味料等の備品を取り出す際にも、移動することなく、手を伸ばすだけで取り出せるので、「作業動線」を縮小でき、作業をスムーズにかつ楽に行うことができるので作業者を心理的にさらに誘導しやすくなる。
【0021】
本実施形態によれば、作業者がアイレベルキャビネット30に正対したときに、コーナー面45bの幅方向の両端が前縁20aの両端より外側に出るようにしている。このようにすれば、コーナー面45bの幅方向の片端が外側に出ているときよりも作業者の心を落ち着かせ、作業者を心理的にさらに誘導しやすくなる。
【0022】
図5は、図1に示す本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの調理スペース50付近の断面を例示するための模式断面図である。
同図に示すように、キッチンカウンタ20の天板とアイレベルキャビネット30の底面との間に隙間31を設けることもできる。ただし、アイレベルキャビネット30の底面が座位の作業者のアイレベル位置よりも下になるようにする。そのようにすれば、アイレベル位置にコーナー面45bを確保することが可能となるので前述の作業者の誘導効果は失われることがない。
【0023】
そして、このような隙間31を設ければ、調理のための作業スペースがさらに広くなり作業もし易くなる、また、調理に使う他の道具や材料を収納することも可能となるので他の場所に移動することなしに多くの作業がメイン作業区域にいながらにしてできることにもなる。特に、調理作業の中心となる道具であるまな板を収納したり、まな板を収納する手段を別途設けるようにすれば、作業能率をさらに向上させることができるので、作業者を心理的にさらに誘導しやすくなる。
【0024】
アイレベルキャビネット30の前面にはスライド開閉式の扉を設けることができる。このようにすれば、扉前面がコーナー面45bとなるので、より明確で広いコーナー面を確保することができる。また、スライド式とすれば作業者側に出っ張ってこないので調理スペース50が狭くなったり、圧迫感が増したりするようなこともない。そのため、さらに圧迫感が少なく落ち着くので、作業者を心理的により誘導しやすくなる。
【0025】
また、扉を設けるだけでも煩雑感がなくなりすっきりする。さらに、扉の材質を不透明なものとすればアイレベルキャビネット30の収納物が見えなくなり煩雑感がなくなるのでさらに圧迫感が減少する。一方、半透明とすれば収納物を識別することが可能となると同時に違和感も少なくなり美的外観にも優れたものとなる。本発明者は、検討の結果、少なくとも扉の一部をすりガラスや半透明の樹脂などとすることが望ましく、さらにほぼ全面をすりガラスや半透明の樹脂で構成すればより望ましいとの知見を得た。そして、このような構成を採用することで、作業者を心理的にさらに誘導しやすくすることができる。また、アイレベルキャビネットに扉を設ければ防虫効果も高まり衛生面でも優れた効果を生じる。
【0026】
また本実施形態においては、アイレベルキャビネット30の前面上方に、照明82を設けている。
図6は照明82からスポット光Lが照射されている状況を示す模式図である。
この照明82はスポット光Lがアイレベルキャビネット30の前方に拡がり延出部21を含む調理スペース50を照らすことができるようにされている。調理スペース50を照明手段で照らすことができれば、調理作業がし易くなるばかりではなく、スポットライト的な効果により作業者を心理的にさらに誘導しやすく、また心地よく調理作業ができる。なお、照明を付ける為のスイッチはアイレベルキャビネット30の底板65に設けられている。
【0027】
キッチンカウンタ20とアイレベルキャビネット30の間に隙間31がある場合、アイレベルキャビネットの底板65に照明83を設けた第二実施例を図7に示す。なお図8は、図7に示すA−A´面で切った第二実施例の模式断面図である。この照明83はスポット光Lが前方に拡がり延出部21を含む調理スペース50を照らすことができるようにコーナー部奥で使用者に正対した位置に設置されている。このように照明83がアイレベルキャビネット30の下方にあり、作業者の目線より下にあると、さらに使い勝手が良い。 なお、本明細書で下方とは、座位の作業者のアイレベル位置よりも下に底板65があり、その底板65に照明が取り付けられているので照明も作業者のアイレベル位置より下に位置する。調理中は作業者が包丁で野菜を切ったり、ボウルの中にあるものを混ぜたりする時、作業者が立つ位置に対して作業する調理スペース50は前方にあるため、作業者の上体は必然的に前傾する。よって作業者の上方から照らす照明の場合、作業者の頭部や上半身に照明の光がさえぎられることがある。よって照明が作業者のアイレベル位置より下にあることで、遮られる光が減少し、作業者の手元が明るく作業しやすい。本実施例では作業者の手が届かないアイレベルキャビネット下面のコーナー最奥に照明を設置し、奥から調理スペース50に向けて光を照射することで、作業者の手元を照らすことができる。
【0028】
本実施例ではキッチンカウンタ20とアイレベルキャビネット30との間に隙間31が設けられており、この隙間31を補助的な調理スペースとして利用する際に、照明83に物がぶつかっても照明が割れない障壁となるカバー95が取り付けられる。このカバー95は半透明であり光は透過させるが、衝撃を受けた時には衝撃を和らげ、照明が割れないように設けられるものである。なお、照明を付ける為のスイッチ66はアイレベルキャビネット30の底板65に設けられている。
【0029】
図9はアイレベルキャビネット30の前面の上下スライド開閉式の扉90の前面に照明84を設けた第三実施例である。この上下スライド開閉式の扉90は扉の下端に把持部35があり、この把持部35と平行に照明84は取り付けられている。この照明84はスポット光Lがアイレベルキャビネット30の前方に拡がり延出部21を含む調理スペース50を照らすことができるように、下向きに光を照射するように設置されている。このようにスライド開閉式の扉90の前面に照明をとりつけると、扉90を上昇させるときに照明84の位置も上昇する。図10にスライド扉90を上昇させた状態を示す。このようにスライド扉90を上昇させた時に上扉の把持部36に照明90がぶつからない位置でスライドを止めるストッパーがスライド扉90には設けられている。このようにスライド扉90を上昇させると、深さのあるボウルで照明の光が遮られてしまう時にも、照明の位置が上昇することによってボウル内が明るく照らされ、作業がしやすい。また照明の位置が上昇することで調理スペース50を照らす範囲が広がり、広い範囲で作業する調理の時にも役立つ。なお、本実施例の照明90は電池式の照明でありコードを必要としない為、扉部分に設置可能である。またスイッチは照明の右端に設置されている。
【0030】
図11に縦長の照明85をアイレベルキャビネットの収納抽斗40に設けた第四実施例を示す。なお、照明85は扉91の上端より低い位置に設置され、収納抽斗40を閉じた際に収納部39と干渉しない高さである。本実施例のアイレベルキャビネット30は、キッチンカウンタ20平面に沿って2つの収納部39が略直角に設けられ、それらの内部に設けられた収納抽斗40が収納部39の長軸に沿ってスライドする。この収納抽斗40の扉91の内面に照明85を設置することで、アイレベルキャビネット30の前方に光が拡がり延出部21を含む調理スペース50を照らすことができる。よってこの照明85を設けた収納抽斗40を開けると照明85は作業者の斜め横方向からスポット光を調理スペース50に向けて照らすことができる。これによって、前述したような作業者の前傾姿勢で頭部や上半身から光が遮られる問題を改善することが出来る。またこの照明は収納抽斗40を開けると自動的に点灯し、作業者の手を煩わせない。なお、この照明のスイッチは収納抽斗40が開閉される時に入切するように収納抽斗40の扉に突起したスイッチ77が設けられており、扉が閉まる時にその突起部が押さえられ扉に収納されることでスイッチが切の状態になる。また扉が開く時には突起部に設けたバネによって突起部が跳ね上がり、スイッチ入の状態になる。なお、本実施例での照明は電池式でありコードを必要としない為、収納抽斗40の開閉にも問題がない。
【0031】
図12は第四実施例で、収納抽斗40を閉じた時の様子を示す。このように収納抽斗40を閉じると、照明85が収納部39に収納され、不使用時に使用者が照明に手をぶつけたり、子供が照明に触れたり、といった危険を回避することができる。本実施例では収納抽斗40の内部に照明を取り付けており、収納抽斗40を閉じている際に照明が露出せず意匠性が増す。
【0032】
このように 本発明は、キッチンカウンタのコーナー部に便利な調理スペースを確保しつつ、心理的にこの調理スペースに作業者が来るよう誘導することができ、さらに照明によって使い勝手を向上させ得るシステムキッチンを提供することができる。また、照明をアイレベルキャビネットの下方に設置することで、作業者の頭部によって照明が遮られることがない為、作業者の手元が暗くならずに調理が可能となり、調理スペースを快適に利用することが出来る。また、照明を収納抽斗のような可動部に設置し、可動部を移動させることで照らす範囲を変えたり、不要時に収納部にすっきり片付けることができるといった効果がある。
【0033】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
本発明のシステムキッチン10は、その一部を台所の壁面に接して設置してもよく、あるいは壁面から離間させて設置してもよい。例えば、アイレベルキャビネット30の背後には台所の壁面があり、そこからシンクを横方向に突出させることにより、シンクの部分を対面式にすることかできる。このような、いわゆる対面型のシステムキッチンも本発明の範囲に包含される。
【0034】
本発明において用いられるキャビネット30やこれらに付設される要素などは図示した収納抽斗、数、方向、形状、サイズ、配置、取手の形状、取り付け面、に限定されず、当業者が適宜変更を加えたものであっても、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【0035】
また、システムキッチンのレイアウトに関しても、例示したものに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの基本構成を例示する模式斜視図である。
【図2】図1に示す本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンを例示するための模式平面図である。
【図3】棚板の寸法を例示した模式図である。
【図4】上体を軽く屈めてアイレベルキャビネットまで手を伸ばした状態を例示した模式図である。
【図5】図1に示す本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの調理スペース50付近の断面を例示するための模式断面図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンの照明からスポット光Lを照射している状態を例示する模式斜視図である。
【図7】アイレベルキャビネット30の下方に照明を設置した場合を示す模式図である。
【図8】図7に示すアイレベルキャビネット30の下方に照明を設置した場合を示す模式断面図である。
【図9】アイレベルキャビネット30の前面の上下スライド開閉式の扉90に照明84を設置した場合を示す模式図である。
【図10】図9に示す上下スライド開閉式の扉90を開けた状態を示す模式図である。
【図11】縦長の照明85をアイレベルキャビネットの収納抽斗40に設置した場合を示す模式図である。
【図12】図11に示す収納抽斗40を閉じた状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0037】
10 システムキッチン、20 キッチンカウンタ、 20a 前縁、 21 延出部、 23 フロアキャビネット、 25 食洗機、 30 アイレベルキャビネット、 31 隙間、35 把持部、39 収納部、 40 収納抽斗、 45 棚板、 45a 前縁、 45b コーナー面、 50 調理スペース、 53 サブ作業スペース、 54 ニー・スペース、 55 コンロ、60 シンク、65 底板、77 スイッチ、82〜85 照明、91 扉、95 カバー、100 椅子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直交する第1及び第2の方向にそれぞれ延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状に形成されてなるキッチンカウンタと、
前記キッチンカウンタのコーナー部の上に設けられるアイレベルキャビネットと、
前記アイレベルキャビネットに備えられた照明と、
前記第1の部分と前記第2の部分との接続部において、前記キッチンカウンタの天板がせり出した延出部と、
を備え、
前記キッチンカウンタの前記コーナー部において前記延出部を含むように調理スペースが設けられたことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項2】
前記アイレベルキャビネットに備えられた照明が、前記アイレベルキャビネットの下方にあることを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項3】
前記アイレベルキャビネットが、前記第1及び第2の方向にそれぞれ引出し自在に収納される収納抽斗を備え、
前記収納抽斗に前記照明が備えられることを特徴とする請求項1に記載のシステムキッチン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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