説明

シミュレーション、指向性キューイング、及び動揺と関係のある病気の緩和のための前庭電気刺激システム及び使用方法

本発明は、ユーザを刺激するためのシステム及び技術に関する。例えば、前庭電気刺激(GVS)及び視覚的キューイングと組み合わせて眼振及び関係のある前庭系を操作するための材料及び方法が本明細書で提供される。本発明でのGVSの使用は、シミュレーション、動揺病の緩和、及び厳密な目標の場所へのユーザの指向性キューイングのために適用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
この発明は、海軍による契約番号N00014-06-M-0209、N68335-07-C-0443、及びN68335-08-C-0294の下で米国政府の支援でなされたものである。政府は、本発明の或る態様において或る権利を有する場合がある。
【0002】
関連出願
本出願は、35U.S.C.§§119、120、363、365、及び37C.F.R.§1.55及び§1.78の下で2009年3月5日に出願された米国特許仮出願整理番号第61/209,262号に基づく優先権をここに主張するものである。
【0003】
本発明は、被験者への動揺のシミュレート、動揺病の緩和、及び指向性キューイングのためのシステム及び技術に関し、より詳細には、前庭電気刺激(GVS)と組み合わせて眼振及び関係のある前庭系を操作することに関する。
【背景技術】
【0004】
頭の加速度は、頭の動揺を補償するために前庭受容体から応答を誘引する。これは、前庭眼反射(VOR)と呼ばれる。正常状態の下では、VORは、頭のすべての運動に対して、等しい且つ逆の代償性の目の運動が存在することを保証することによって、人が頭の運動の間に固視を維持できるようにする。半規管における前庭受容体の刺激は、頭の角加速度から及び線加速度(すなわち重力、頭位傾斜、及び遠心力)からの耳骨器官の刺激から生じることがある。これらの信号は、外眼筋、視覚系、及び姿勢の変化を誘引する反射を通じて、頭の回転の間の明瞭度と体位の変化の間のバランスを強化する中枢神経系を働かせることがある。半規管とそれらが脳に送る信号は、ヨークで繋がれた対として機能する。頭の動揺のない場合、頭の各側からパルス列が送られる。頭が加速度(重力以外の)を経験する際に、頭の一方の側でのパルス列の周波数が増加し、一方、他方の側ではこれは減少する。我々の脳は、この差分信号を加速度として解釈するように適合されている。中枢神経系が半規管及び耳骨器官からの興奮性入力と抑制性入力とのバランスをとることができないとき、人は動性錯覚及び/又はバランスの損失を経験することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シミュレータ、指向性キューイング、及び動揺病の症状の緩和の観点での前庭電気刺激の使用への種々の学術研究がなされているが、現在の技術への多くの改善が依然として必要とされている。特に、ボート、飛行機、自動車などのような乗り物を運転しているより現実的な映像をユーザに与えるシミュレータシステムが必要とされている。例えば、動揺プラットフォームを用いる飛行シミュレータでさえも、それらがユーザに与えることができる動揺の量及び種類が限られている。動揺病の感じを緩和するためのGVSの使用における幾つかの研究もなされている。しかしながら、現在のシステムは、自然な脳信号をオーバーライドするために、ヒトの具合を悪くさせるAC電流を使用する。このオーバーライディングは、より多くの電気エネルギーがユーザに提供されることを要求する。より多くの電気エネルギーの使用は、ユーザへの安全にかかわることがある。したがって、ヒトに対してより少ない外部電気エネルギーを用いるGVS技術が必要とされている。加えて、ユーザに該ユーザを物理的に左右に動かすGVS技術が適用されている。しかしながら、この技術を、より厳密且つ正確なものにすると共に、ヒトを前方及び後方を含む多くの異なる方向に動かすことができるように開発する必要性がある。例えば、GVS技術の使用により、ヒト又は人々の群を特定の別個の場所に厳密に導くことができるようになることは、公共に有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、刺激プロセスのためのシステム及び技術に関する。例えば、前庭電気刺激(GVS)、向きセンサ、及び視覚入力と組み合わせて眼振及び関係のある前庭系を操作するための材料及び方法が提供される。例えば、回転運動(例えば、ロール、ピッチ、及びヨー)をシミュレートするための材料及び方法が提供される。例えば、知覚された回転及び方向を分離するための刺激の組合せを特色とする方法が提供される。例えば、表面電極を特色とする前庭電気刺激器と、動揺知覚を強化及び軽減するための方法が提供される。
【0007】
GVSのこうした使用は、GVSが被験者のための眼のクルー(clue)及び前庭のクルーと整合する(又はおそらく不整合でさえもある)ことを試みるために、そうでなければ被験者によって経験される動揺を強調する又は減少させるのに用いられる、種々の環境で採用されてもよい。例えば、シミュレータによって投影される動画、若しくは被験者が乗っているセット又は他のプラットフォームの実際の動揺のいずれかからの、飛行シミュレータにおける動揺を知覚している被験者は、往々にしてシミュレータ酔いに悩まされる場合がある。GVSは、そうでなければ被験者がこうした状況(往々にして「シミュレータ酔い」として知られている)で経験するかもしれなかった悪心及びめまい感の発生数とひどさとの両方を減少させ、したがって、より報いのある且つ長期にわたる訓練を可能にするために用いられてもよい。本発明はまた、被験者が動揺病のためにシミュレータ研修会の直後に飛ぶことに対する制限を回避できるようにする。したがって、本発明は、被験者が具合が悪くならずにシミュレータ研修会を終えて、シミュレータのすぐ後の現実のミッションを飛ぶことを可能にするであろう。これは、ミッションシミュレーションの作成において最新情報が用いられることを可能にする。同様に、電子GVSは、動揺病の発生数及びひどさを減少させるために、飛行機のような実際の乗り物において感知される動揺と調和されてもよい。GVSはまた、プロフェッショナル飛行シミュレータ又はビデオゲームなどにおいて被験者の他の動揺の知覚を増大させるために用いられてもよく、ゲームコントローラは、ゲームにおける被験者の動揺についての入力をGVSコントローラに提供してもよく、次にGVSコントローラが、被験者の1つ又は複数の画面上で被験者が見ている視覚的動揺と少なくとも或る程度まで整合する物理的動揺を被験者が知覚するように、被験者に刺激を提供してもよい。
【0008】
GVSシステムは、被験者によって経験され感知される動揺に対応する入力を受信するコンピュータを有する動揺シミュレーションシステムとして例示されてもよい。システムはまた、コンピュータによって受信される場合の被験者によって経験される動揺に対応する被験者における知覚される非視覚的動揺をもたらすために、被験者に提供されるべき電気刺激のレベルを決定するためのコンピュータに接続される、電子刺激決定モジュールを含む。また、システムは、被験者によって経験され感知される動揺と合致した動揺の感覚を被験者にもたらすために、電極を通して電気信号を生成するための電子刺激決定モジュールに接続された電気刺激器を有する。システムは、電気刺激器に接続された少なくとも別個の3組の電極をさらに含む。電極は被験者上に位置する。刺激は、各別個の組の少なくとも2つの電極の間を通る。電極のこれらの3つの別個の組は、好ましくは、被験者の額上の電極、被験者の乳様突起上の電極、被験者のもう1つの乳様突起上の電極、及び被験者の後頸部上の電極を含んでもよい。
【0009】
被験者によって経験され感知される動揺の指示を受信するステップと、被験者によって経験され感知される動揺への被験者の応答と整合するのに必要とされる動揺と関係のある刺激のレベルを判定するステップと、被験者によって経験され感知される動揺と調和される少なくとも3つの個別の方向の動揺の非視覚的知覚を被験者に提供するために、被験者と接触して置かれた少なくとも別個の3組の電極に電気信号を送達するステップとを含む、被験者の知覚における動揺をシミュレートする、コンピュータで実行される方法も存在する。
【0010】
指向性キューイングを提供する、コンピュータで実行される方法は、被験者の動揺の方向及び速度の指示を受信するステップと、被験者を所望の場所に導くために必要とされる針路を判定するステップとを含む。針路は、被験者を所望の場所に動かすのに必要とされる1つ又は複数の移動を含む。プロセスにおける別のステップは、所望の場所への針路を達成するのに必要とされる移動を被験者に提案するのに必要とされる刺激のレベルを判定することである。刺激のレベルは、針路内で必要とされる各移動のための入力である所望の方向及び速度と関連がある。方法は、被験者を針路に沿って所望の場所に動かすために、被験者と接触して置かれた少なくとも別個の2組の電極に電気信号を送達するステップをさらに含む。
【0011】
被験者の場所及び移動に対応する動揺入力を受信するコンピュータを含む指向性キューイングを提供するためのシステムも存在する。動揺入力は、方向及び速度の測定値を含む。システムはまた、被験者を針路上で所望の場所に導くために被験者に提供されるべき電気刺激のレベルを決定するための、コンピュータに接続された電子刺激決定モジュールを有する。この針路は、1つ又は複数の方向及び速度成分を含む。システムは、被験者を針路と整合する1つ又は複数の方向に及び或る速度で所望の場所に動かすために、電気信号を生成するための電子刺激決定モジュールに接続された電気刺激器をさらに含む。被験者刺激器は、被験者が所望の場所に到着したときに電気信号の生成を止める。電気刺激器に接続された少なくとも別個の2組の電極も存在する。これらの電極は、被験者上に位置して、電子刺激器からの刺激を各別個の組の少なくとも2つの電極の間を通過させる。
【0012】
他に定めのない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、この発明が関係する当該技術分野の当業者によって通例理解されるものと同じ意味をもつ。本発明を実施するために本明細書で説明されるものと同様の又は等価なシステム及び技術を用いることができるが、適切なシステム及び技術が以下で説明される。本明細書で言及されたすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それらの全体が引用により組み入れられる。対立する場合には、定義を含む本明細書が制御するであろう。加えて、材料、方法、及び例は、単なる例示であって、限定することを意図されたものではない。
【0013】
1つ又は複数の実施形態の詳細が付属の図面と以下の説明に記載される。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から並びに請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】被験者の頭の頂部から示される場合の本発明の種々の刺激の実施形態の電極の位置を例示する図である。
【図1B】3つの別個の組で用いられる電極を含む本発明の実施形態を例示する図である。
【図1C】3つの別個の組で用いられる電極を含む本発明の実施形態を例示する図である。
【図1D】電極の2つの別個でない組を例示する図である。
【図2A】頭を交差する冠状面110と矢状面112の三次元の図である。
【図2B】前頭線111及び矢状線113上に置かれた電極201、204及び中性電極205を例示する図である。
【図2C】前頭線111及び矢状線113上に置かれた電極201、202、及び203を例示する図である。
【図3】電極の組の指向性刺激に応答する知覚される動揺を例示する図である。
【図4A】被験者の回転による眼振を表す経時的な眼球運動速度(度/秒)のプロットであり、GVSなし(電気刺激なし)の眼球運動速度のプロットである。
【図4B】被験者の回転による眼振を表す経時的な眼球運動速度(度/秒)のプロットであり、同時GVSありの眼球運動速度のプロットである。
【図5】視覚アナログスケールで表示されたランプ刺激プロトコルへの例示的な被験者の応答の描写を示す図である。
【図6】0、300、及び600ミリ秒における立ち上げ時間に対する被験者群の視覚アナログスケールからの平均記録値のプロットである。
【図7】1組の電極の間の刺激電流(mA)と各軸を中心とした知覚された回転との間の関係性を示す代表的なプロットである。
【図8】動揺刺激システムの略ブロック図である。
【図9】被験者への動揺刺激を用いる方法を示すフローチャートである。
【図10A】GVSあり及びGVSなし(偽)のシミュレータ試験の結果としてもたらされた病状の平均観測スコアのグラフである。
【図10B】GVSあり及びGVSなし(偽)のシミュレータ試験の結果としてもたらされた病状の平均自己報告スコアのグラフである。
【図10C】GVSなし(偽)及びGVSありの悪心の症状に関するすべての被験者の自己報告スコアのグラフィカルな比較のための図である。
【図11】電子部品を含む本発明の一実施形態の略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この文書は、刺激システムのためのシステム及び技術に関する。例えば、前庭電気刺激(GVS)、加速度計、及び視覚入力と組み合わせて眼振及び関係のある前庭系を操作するための材料及び方法が提供される。例えば、表面電極を特色とするバッテリ駆動の前庭電気刺激器と、被験者における動揺をシミュレートするための方法が提供される。
【0016】
動揺キューに影響を及ぼすために、本明細書で説明されるGVSシステム及び方法を用いることができる。本システム及び方法に関係する動揺は、直線方向、回転方向、及び直線方向と方向との組合せであってもよい。直線方向の動揺は、垂直な、前/後、及び左/右の移動である。回転運動は、ヨー角、ピッチ角、及びロール角を含む。ヨーは、z-軸を中心とした回転であり、ピッチは、y-軸を中心とした回転であり、ロールは、x-軸を中心とした回転である。例えば、本明細書で説明されるGVSシステムは、約90度以上までの右ロール、約90度以上までの左ロール、約90度以上までのプラスピッチ、約90度以上までのマイナスピッチ、約360度以上までの右ヨー、及び約360度以上までの左ヨーをシミュレートするのに用いることができる。幾つかの場合において、純粋なピッチ、ロール、及びヨーをシミュレートすることができる。幾つかの場合において、ピッチ、ロール、及びヨーの組合せをシミュレートすることができる。幾つかの場合において、本明細書で説明される材料及び方法は、実際の動揺と組み合わせて被験者の動揺の感覚を強化することができる。例えば、被験者が回転椅子で回転している状態で、回転加速度の強化された知覚を刺激することができる。幾つかの場合において、本明細書で説明される材料及び方法は、場所の失見当を軽減するために用いることができる。例えば、低下した動揺の感覚を刺激することができる。幾つかの場合において、本明細書で説明される材料及び方法は、訓練目的でシミュレータにおける場所の失見当をもたらすために用いることができる。幾つかの場合において、本明細書で説明される材料及び方法は、動揺病又はシミュレータ酔いを軽減するために用いることができる。幾つかの場合において、本明細書で説明される材料及び方法は、指向性キューイングのために用いることができる。例えば、ターンすること又は止まることと関連付けられた感覚を、歩行できる被験者に提供することができる。
【0017】
本明細書で説明されるGVSシステム及び方法は、被験者の前庭系を刺激するための少なくとも2つの電極を含む。また、2つ又はそれ以上の電極が用いられてもよい。図1Aは、4つの活性電極を備えた鼻102及び耳103を示す被験者の頭100の頂部の図により、本発明の可能な実施形態の群を描いている。図1の4つの可能な活性電極は、被験者の左乳様突起201、被験者の額202、被験者の右乳様突起203、及び被験者の首204に位置決めされる。電極の各組の間、すなわち、左乳様突起の電極と額の電極との間(212)、額の電極と右乳様突起の電極との間(223)、左乳様突起の電極と右乳様突起の電極との間(213)、右乳様突起の電極と首の電極との間(234)、左乳様突起の電極と首の電極との間(214)、並びに額の電極と首の電極との間(224)の、刺激の方向が示される。また、他の電極配置が作製されてもよい。
【0018】
例えば、本明細書で説明されるGVSシステムは、額上に取り付けられた1つの電極、左上の乳様突起上の1つの電極、左下の乳様突起上の1つの電極、及び首の項上の1つの電極を有することができる。幾つかの場合において、本明細書で説明されるGVSシステムは、右上の乳様突起上の1つの電極、右下の乳様突起上の1つの電極、左上の乳様突起上の1つの電極、及び左下の乳様突起上の1つの電極を有することができる。幾つかの場合において、GVSシステムは、安全性のために、例えば首の項のようなあらゆる適切な位置に位置付けることができる接地電極を含むことができる。幾つかの場合において、GVSシステムは、ヘッドバンド又はヘルメットのようなデバイスに集積された電極を特色とすることができる。
【0019】
本シミュレータの実施形態は、活性少なくとも別個の2組の電極、より好ましくは活性電極の3つ以上の別個の組を含んでもよい。例えば図1Bでは、第1の組は、額の電極と左乳様突起の電極(212)であってもよく、第2の組は、左乳様突起の電極と右乳様突起の電極(213)であってもよく、第3の組は、右乳様突起の電極と首の電極(234)であってもよい。例えば図1Cでは、第1の組は、額の電極と左乳様突起の電極(212)であってもよく、第2の組は、左乳様突起の電極と右乳様突起の電極(213)であってもよく、第3の組は、左乳様突起の電極と首の電極(214)であってもよい。図1Dでは、額の電極と左乳様突起の電極との組(212)と、額の電極と右乳様突起の電極との組(223)は、対称的なものであり、別個のものとは考えられない。図1Dは、結果として電極の1つのみの別個の組をもたらすGVSシステムを用いる被験者を表示する。対称的な組212及び223の間の刺激は、結果として同一平面内のシミュレートされた動揺をもたらし、したがって、電極の組201-202及び202-203は、互いに別個のものとは考えられない。
【0020】
本発明は、図2A〜図2Cに示された実施形態でさらに例示される。ユーザの頭を二分する矢状面112と冠状面110とを示す被験者の頭の等角図が、図2Aに示される。ユーザの頭を二分する平面の線は、矢状線113及び前頭線111として示される。図2B及び図2Cにおいて、一実施形態は、前頭線111に沿って被験者の左上の乳様突起に位置決めされた電極201、前頭線111に沿って被験者の右上の乳様突起に位置決めされた電極203、矢状線113に沿って被験者の額に位置決めされた電極202を備えた被験者の頭を含み、電極204と中性電極205は、矢状線113に沿って被験者の首の項に位置決めされる。
【0021】
ロール、ピッチ、及びヨーの動揺のシミュレーションは、電極の組又は電極の組の組合せの間の指向性刺激によって達成することができる。動揺のシミュレーションを達成するためにすべての該当する電極が同時に刺激されてもよい。指向性刺激は、刺激が組内の2つの電極の間をいずれかの方向に通ることを可能にする。刺激が1つの方向又は別の方向に通ることを可能にするために、組内の第1の電極は、電流を吸収するように命令され(アノード)、一方、組内の第2の電極は、電流を放出するように命令される(カソード)。したがって、刺激は、第2の電極から第1の電極に指向的に流れるであろう。例えば、主に左ロールの動揺は、右乳様突起(アノード)及び首の項(カソード)における電極を刺激して電流を首から右乳様突起の方向に流すことによってシミュレートされてもよい。例えば、主に右ロール及び後方ピッチの動揺は、額(アノード)及び右上の乳様突起(カソード)における電極を刺激して電流を右上の乳様突起から額に向かう方向に流すことによってシミュレートされてもよい。例えば、主に右ヨーの動揺は、右上の乳様突起(アノード)及び左上の乳様突起(カソード)における電極を刺激して電流を左上の乳様突起から右上の乳様突起の方向に流すことによってシミュレートすることができる。幾つかの場合において、純粋なピッチは、額及び右乳様突起における電極を刺激すること(左ロール及び前方ピッチ)と、左上の乳様突起及び首の項における電極を刺激すること(右ロール)とを組み合わせることのような刺激の組合せを用いることによってシミュレートすることができる。
【0022】
本明細書で説明されるGVSシステム及び方法は、AC電流又は好ましくはDCに近い電流を用い、且つ約2.5mAの最大刺激を用いてもよい。幾つかの場合において、刺激適用量は、約1mAから約2.5mAまでとすることができる。例えば、刺激適用量は、約1、1.5、2.0、及び2.5mAとすることができる。幾つかの場合において、最大刺激は、如何なる時間遅延もなしに且つ2.5mAよりも大きい電流で適用することができる。幾つかの場合において、刺激は、或る期間にわたって最大刺激電流まで立ち上げられることが可能である。例えば、刺激は、約0msから約600ミリ秒までで立ち上げられることが可能である。例えば、刺激は、約25、75、175、300、又は600ミリ秒以内に立ち上げられることが可能である。幾つかの場合において、刺激は、応答が達成された直後に終わることができる。幾つかの場合において、刺激は、立ち下げることができる。例えば、刺激は、約0msから約600ミリ秒まで立ち下げることができる。例えば、刺激は、25、75、175、300、又は600ミリ秒にわたって立ち下げることができる。
【0023】
一実施形態において、パルス列を自然に変化させるために、頭上の1つの刺激点において正であり且つ別の刺激点において負であってもよい、低レベルDC信号が用いられてもよい。正の信号は、セルを消極してそれらの有効待ち時間を減少させるように働き、一方、負の信号は、反対の効果を有する。或る実装では、電流により制限される刺激が用いられてもよいが、一方では、電極のあらゆる組の間の最大電流は2.5mAに保たれる。例えば、図3は、前庭活性化パターンが各状態の上に重ね合わされた、3つの異なる状態にある被験者100の例を示す。第1の状態は、頭の両側で等しい活性化レベル(104、105)である被験者の平衡を示し、一方、第2の状態は、被験者が該被験者の頭を傾けるときに該被験者において誘起された自然な前庭活性化信号(106、107)を示す。第3の状態は、頭上の2つの異なる点での等しくないGVS刺激によって被験者において誘起される傾き又は動揺の知覚を示す。この第3の状態は、図1A〜図1Cに示すような電極の組のあらゆるバリエーションで誘起されてもよいが、少なくとも3つの別個の組を有することが好ましい。第3の状態における前庭信号(108、109)は、第2の状態における前庭信号(106、107)と同様のものである。第2の状態(頭位傾斜)において、被験者の頭の一方の側でのパルス列が減速し、一方、他の側でのパルス列は加速する。パルス列を変化させるために、刺激は、被験者に印加される電圧及び電流の増加/減少を含む。電圧及び電流を増加させる/減少させることによって、特定の運動と整合するようにパルス列を加速又は減速することができる。第3の状態において、電圧と電流との両方が被験者の頭上の2つの異なる点に不平等に印加されて平衡状態(104、105)から第3の状態(108、109)への前庭信号の変化が引き起こされた。したがって、GVSの適用(第3の状態)が、頭を傾けることなく被験者にこの同じ効果を誘起した。
【0024】
被験者からのフィードバック機構はまた、ここで論述された他の機構と組み合わせることができる。例えば、被験者は、視覚的動揺(例えば、被験者の前に動いて表示されているシミュレータ又はビデオゲームの背景を介する)、知覚される動揺(例えばGVS刺激を介する)、及び現実の非視覚的動揺(例えば、被験者がその上に位置決めされる座席又は乗り物のような他のプラットフォームを介する)、又はこの3つのあらゆる組合せを体験することができる。被験者は、ジョイスティックを用いて被験者のすべての動揺の知覚に関するフィードバックを提供してもよい。加えて、被験者には、知覚される動揺のレベルを制御するために、シミュレータのための操縦桿又はビデオゲームのためのD-パッドといった、ジョイスティックのような付加的な入力機構が提供されてもよく、被験者は、シミュレータ又はビデオゲームシステムへの被験者独自の入力によって被験者が作成した知覚される動揺のレベルに関する入力を、異なるジョイスティック上に代替的に又は同時に提供することができる。
【0025】
本発明は、特許請求の範囲で説明される本発明の範囲を制限しない以下の実施例でさらに説明されるであろう。
【0026】
(実施例)
(実施例1-前庭刺激を用いる動揺知覚の強化)
電極を図2B及び図2Cに示すように被験者に取り付けた。図2A〜図2Cに示すように、電極は、矢状面及び冠状面(それぞれ112及び110)に沿って置かれてもよい。矢状面及び冠状面に沿った位置付けは、被験者に対する知覚される動揺のより正確な/厳密な誘起を可能にする。冠状面ライン111に沿って、1つ又は複数の電極が乳様突起に沿って置かれてもよい。矢状面ライン113に沿って、1つ又は複数の電極が額の中心線上又は後頸部上に置かれてもよい。電極は、左上の乳様突起201、額202、右上の乳様突起203、及び首の項204上に、1つずつ位置決めされてもよい。接地電極(中性)205は、首上に位置決めされてもよい。接地電極205は、アクティブではなく、被験者の頭に残ったあらゆる電流を吸収するための安全対策として与えられる。
【0027】
第1の試験において、被験者は、回転椅子に座り、如何なる電気刺激もなしに一定の速度で(最初に一方の側に、次いで他方の側に)回転させられた。眼球運動速度をモニタリングすることによって眼振を判定した。第2の試験において、被験者は、再び回転させられたが、それと共に、図1Bに示すように電極の組を刺激することによってヨー方向の(ヨーをシミュレートする)動揺の前庭刺激が加えられた。ヨー方向は、垂直軸を中心としてターンする回転椅子のスピンと同じである。被験者をヨー方向に刺激することは、回転椅子における実際の運動を増幅させる。図4A及び図4Bは、被験者の回転による眼振を表す経時的な眼球運動速度(度/秒)のプロットを表示する。これらの図中の点線は、椅子の速度を表す。図4Aでは、椅子で回転されている間に被験者に対して用いられる電気刺激は存在しなかった。図4Bは、GVS刺激が加えられたときの被験者の眼球運動速度への影響を表示する。これらのグラフの比較は、前庭刺激が被験者の動揺の感覚に対して有することができる影響を説明する。図4B及びTable 1(表1)において、結果は、より大きい知覚された回転速度と一致する強化された眼球運動速度を示す。これらの結果は、GVSありの強化された動揺の感覚を実証する。
【0028】
【表1】

【0029】
(実施例2-刺激の立ち上げ及び立下り)
この実施例において説明される刺激方法は、DCに近い値に基づいてもよい。所望の刺激レベルの達成は、立ち上げ及び立ち下がりをもつことを含む多数の方法で達成することができる。Table 2(表2)は、試験された刺激スクリプトの例をまとめたものである。データは、刺激が異なる立ち上げ時間又は立ち上げ時間と立ち下がり時間を含んだこと以外は、前述のように7人の被験者から収集された。
【0030】
【表2】

【0031】
図5は、視覚アナログスケールで表示された刺激立ち上げ及び立ち下がりプロトコルへの典型的な応答を示す。図6は、すべての7人の被験者についてのデータ(立ち上げ時間に対する被験者の視覚アナログスケールからの平均記録値のプロット)を示す。このデータは、皮膚での感覚が、被験者の間で或るばらつきを伴って、より長い立ち上げ時間と共に減少したことを示す。
【0032】
(実施例3-適用量応答試験)
データの収集
被験者は、上記で示されたように電極が置かれた状態で回転椅子に座った。所望の回転の感じを誘起するために、視覚入力が要求されることなく、各組内の正極及び負極に電流が同時に印加された。すべての3つの回転軸における適用量応答を定量化するために、各被験者は、20秒間持続する30個のプロトコルを受けた。プロトコルは、すべての3つの回転軸における適用量応答を定量化するために電極刺激の組の10通りの異なる組合せを使用するものであった(Table3(表3))。試験の前に、スクリプトの順序は各被験者に対して無作為化された。知覚データは、各被験者からアバタープログラムを介して収集された。被験者には、感知した動揺を報告するための無線ジョイスティックが提供された。データは21人の被験者から収集された。
【0033】
【表3】

【0034】
データは、x-軸(ピッチ、±180度として報告される)、y-軸(ロール、±90度として報告される)、及びz-軸(ヨー、±180度として報告される)をそれぞれを中心としたアバターの3つの傾斜角として記録された。図7は、適用量-応答試験から得られたデータの典型的なプロットを示す。各曲線は、20秒の刺激期間にわたる各軸(x、y、z)に対する電極201と電極203との間の知覚された回転を表す。この例では、x-軸を中心とした非常に小さい知覚された回転が存在したが、この刺激に対するy-軸及びz-軸の各々を中心とした回転はかなり大きかった。すべての場合において、刺激(S)なしでの知覚された回転(R)はゼロであった。3つの軸(Rx、Ry、及びRz)を中心とした知覚された回転と刺激の方向との間の基本的な関係性は、これらのデータプロットを通じて曲線の当てはめを行うことによって得られた。
【0035】
一実施形態において(例えば図1C)、電極は1〜4と番号付けされ、電極の組は、S12、S13、及びS14とラベル付けされた。図面に示すように、電極1は201であり、電極2は202であり、電極3は203であり、電極4は204である。電極2と比べてより高い電圧を電極1にかけることによって、電流が電極1から電極2に流れる。これは正のS12をもたらす。しかしながら、S23、S13、S14、S12、S31、S14等のような電極の他の組合せを含む他の実施形態が可能であってもよい。
【0036】
電極2から電極3への刺激は、結果として電極2から電極1への刺激と等しいがしかし反対の効果をもたらした。逆に、電極3から電極2への刺激は、結果として電極2から電極1への刺激と等しい効果をもたらした。電極3から電極2への刺激の結果と電極2から電極1への刺激の結果が平均された(S321、電極3から電極2又は電極2から電極1へのいずれかの刺激)。状況は、1から4への刺激と4から3への刺激について同一であり、そのためデータは単一の値S143にまとめられた。
【0037】
試験の間、対照を維持するために、或る被験者はGVSで刺激される場合があり、一方、他の被験者はGVSで刺激されなかった。刺激された被験者は、僅かな刺痛又は潜在的に軽い刺痛のような限局性の感覚を経験する場合がある。したがって、刺激されていない被験者には、小さな「偽」刺激が与えられてもよい、例えば、被験者に該被験者がGVSを受けていると信じさせるように、耳の後ろなどに左右対称に1mAの電流が印加されてもよい。
【0038】
データ解析
入力(S)と出力回転(R)との関係性を説明するために、1組の3つの式を用いることができ、x、y、又はzにおける回転(ロール、ピッチ、及びヨー)は、次式によって与えられる。
Rx=AS13+BS321+CS143
Ry=DS13+ES321+FS143 R=f(S)
Rz=GS13+HS321+IS143
これらの式において、値Rは、度/秒、ラジアン毎時などであってもよい知覚された回転に対するものであり、値Sは、ミリアンペア(mA)、アンペアなどの刺激であることに注意されたい。各文字(A〜I)は、入力S対出力Rに関係する行列における時間と共に変化する値を表す。前方を見ている被験者では、知覚された回転は、シミュレータ軸に沿ったものであった。他の場所を見ている被験者では、シミュレータの相対的な向きを、傾きトラッカを用いて、且つ3つの所望の回転による実際の向きを乗算し又は他の方法で数学的に除去して評価することができる。Sを所望のRと関係付けることは、次式の生成を可能にした。
S13=A'Rx+B'Ry+C'Rz
S321=D'Rx+E'Ry+F'Rz S=f'(R)
S143=G'Rx+H'Ry+I'Rz
【0039】
結論として、要求される刺激Sを所望の回転Rの関数として示す3つの式は、動揺シミュレーションシステム内の前庭刺激を流すために必要とされる入力である。したがって、所望の動揺(入力)は、式の出力に対する特定のパターンの電極の組の刺激を命令するためにこれらの3つの式を組み込んだ刺激ソフトウェアを走らせることによって達成することができる。
【0040】
6つの多さの動揺までの、3つよりも多い動揺を可能にする、本発明の他の実施形態も存在する。これらの他の動揺は付加的な式で可能である。例えば、ロール、ピッチ、ヨー、垂直、前/後、及び左/右は、次式のように達成することができる。
【0041】
【数1】

【0042】
M'は、刺激の6つの方向を6つの動揺上にマップする6x6行列の逆行列である。ロール、ピッチ、及びヨーは回転方向であり、垂直(上及び下)、前/後、及び左/右は直線方向である。これは、3つまでの可能性のある回転方向と3つの可能性のある直線方向とを付加する。回転方向は、R(RX、RY、及びRZ)とラベル付けされる。直線方向は、D(DV、DF、及びDL)とラベル付けされる。この式中のSは、本発明の中で適用される刺激として定義される。Sの付いた各文字は電極の組を表す。例えば、Aは電極の組212であってもよく、Bは電極の組214であってもよく、以下同様である。上記に示すように、電極の組の各集合は、出力R及び/又はDの特定の組で一定のままである行列を有する。電極の組は、次いで、所望の動揺を達成するために、式の入力に基づく特定のレベルで刺激されてもよい。
【0043】
図8は、動揺刺激システム700の一実施形態の略ブロック図である。一般に、システム700は、被験者上の電極の組を通した刺激を、被験者の動揺の知覚に影響を及ぼすように被験者の視覚又は実際の動揺と調和させるのに用いられてもよい。視覚的動揺は、被験者が動くときに又は被験者が1つ又は複数のコンピュータ制御されたディスプレイデバイス702上でシミュレートされた環境を見るときに被験者の周りを動く被験者の周囲を見ることなどによって、被験者が該被験者の目で知覚する動揺である。実際の動揺は、動いている乗り物のようなプラットフォーム又はシミュレータシステムなどにおける機械的に動かされたプラットフォームに乗っている被験者704によって達成されてもよい。したがって、システム700は、飛行機又は他の乗り物のような実際のシステム、若しくはビデオゲームのようなシミュレータシステム、或いは飛行シミュレータのようなフルスケールシミュレータにおける動揺を補償するために実装されてもよい。
【0044】
図8の特定のコンポーネントを参照すると、被験者704が可動プラットフォーム706上に示されている。被験者704は、上記で論述された様式で彼らの頭の周りのような彼らの身体の付近に取り付けられた電極708を有する。電極は、電流発生器714に接続され、電流発生器714は次に、パーソナルコンピュータ又は乗り物コンピュータのようなデジタルコンピュータの形態の中央コントローラ716に接続される。システム700によってシミュレートされた運動が被験者704に提供される実装において、プラットフォームを所望の方向に所望の速度で動かすために、制御ライン710によってプラットフォーム706に動揺コントローラ712が接続される。加えて、コンピュータ716は、ビデオコネクタ718を介して1つ又は複数のビデオディスプレイデバイス702に接続することができる。
【0045】
コンピュータ716は、システム700の作動のための中央コントローラである。コンピュータは、最初に、実際の動揺又はシミュレートされた動揺を含む場合がある、被験者704の動揺についての入力を受信してもよい。これらの入力は、被験者上に置かれたセンサ722から受信される。入力は、向き、速度、方向、観測された動揺などの測定値を含む場合がある。センサは、さらなる計算のために入力をライン720に沿ってコンピュータに送る。例えば、被験者704は、システムの所望の運動をもたらすように実際の動作又はシミュレートされた動作の一部としてジョイスティック(有線又は無線のいずれか)のようなヨーク又は他のコントローラを動かしてもよい。こうした入力は、実際のシステム又はシミュレータシステムのいずれかにおいて馴染みのある形態をとってもよい。コンピュータ716は、システム700がシミュレータシステムである場合、被験者704からの入力への応答を計算してもよく、且つ入力の結果をディスプレイデバイス702上に表示してもよい。
【0046】
コンピュータ716はまた、被験者704が適切な量の動揺又は所望の動揺を物理的に知覚するように被験者704への動揺刺激に関して提供されなければならないパラメータを判定してもよい。これらのパラメータは、コンピュータ716及び/又は電流発生器714内に搭載されてもよい刺激判定モジュール(図示せず)内の刺激ソフトウェアを通じて判定されてもよい。このソフトウェアはまた、上記で論述された種々の行列式を組み込んでいてもよい。
【0047】
例えば、動揺プラットフォーム706が(床の動揺又は誘起された動揺のいずれかによって)アクティブな状態のシステム700において、望みは、被験者704にとって動作をより快適なものにするようにプラットフォーム706における被験者704のすべての又は幾つかの実際の動揺を打ち消すことであってもよい。こうした環境では、望みはまた、そうでなければ介入なしに彼らが知覚するであろうレベル以外の或るレベルまで被験者の知覚される動揺を変化させることであってもよい。動揺プラットフォーム706がアクティブ又は非アクティブであるシステム700において、目的は、プラットフォーム706を有さないビデオゲームシステムなどにおいて、ディスプレイ702上の視覚的動揺と整合する且つ調和されるすべての知覚される動揺を提供することであってもよい。プラットフォーム706が利用可能である場合、目的は、ユーザのすべての知覚される動揺(実際の動揺+誘起された知覚される動揺)が彼らがディスプレイ702上で見ているものと整合するようにプラットフォーム706の実際の動揺に知覚される動揺を付加することであってもよい。したがって、コンピュータ716は、被験者704をディスプレイ702によって提供される視覚キューと整合することが可能な程度まで動かし、且つ所望の目標に到達するべく動揺の適切なすべての非視覚的知覚を補償し且つ提供するために刺激を加えるように、動揺コントローラ712と電流発生器714に適切な信号を送ることができる。
【0048】
他の付加的な又は代替的な機能部もまた、システム700に提供されてもよい。例えば、ディスプレイ702及び/又はプラットフォーム706を制御するためのヨーク又は他のコントローラを被験者704に提供することに加えて又は代替的に、種々の刺激を受けることに反応して感じた不快レベルを報告することのような知覚される動揺を報告するための入力機構が被験者に提供されてもよい。こうした入力は、被験者704が動揺と関係のある不快への該被験者の感受性を判定することを研究するため、及び、被験者704に提供されているGVS刺激が効果的であるか又は調整される必要があるかを判定するために用いられてもよい。このように、動揺により誘起された効果を打ち消すためのGVSシステムは、特定の被験者に対して校正されてもよく、次いで、こうした校正によって提案される設定が、該被験者に対して用いられてもよい。例えば、これらの設定は、電子的に格納され、次いで、被験者がシミュレータ訓練のために現れる次回にロードされてもよい。また、動揺病を有する人々のためにポータブル刺激システムが提供されてもよく、ポータブルデバイスに動揺センサ(例えば、加速度計及び/又はジャイロスコープ)が置かれてもよく、且つ、被験者に提供されるべき刺激を、被験者が搭乗する飛行機又はその他の乗り物の動揺センサによって感知される動揺とオフセットさせてもよい。例えば、ポータブルボックスが被験者のベルトに設置されてもよく、刺激電極を収容するキャップ又はヘッドバンドが被験者の頭の上に置かれてもよい。
【0049】
図9は、被験者への動揺刺激を用いるための方法の一実施形態を示すフローチャートである。一般に、プロセスは、被験者の実際の動揺又は被験者が知覚している若しくは視覚的に知覚するべき動揺についての入力を受信することに向けられる。シミュレータ環境において、こうした入力は、それらの動揺の非視覚的知覚をそれらの動揺の視覚的知覚とより良好に整合するように、プロセスによってユーザに提供されるあらゆる実際の動揺を補足するであろう。プロセスは、被験者の動揺を受信するステップを含み、且つ、被験者に表示されている情景の動揺を受信するステップ(802)を含んでもよい。付加的なステップは、ユーザによって指定される場合の或る方向の及び或る速度での所望の運動に関するユーザからの制御入力を受信することであってもよい。こうした入力は、実システムでは、飛行機のような乗り物に搭載されたジョイスティック、加速度計、及び/又は他のセンサから来るものであってもよい。シミュレータ又は他の形態のビデオゲームでは、入力は、彼らがシミュレートされている乗り物を動かすようにヨーク又は手持ち式コントローラのような入力機構を動かしている被験者から来るものであってもよい。プロセスにおける別のステップは、ユーザの頭の向きを判定することである(804)。これは、ユーザの実際の動揺がユーザの頭の向きに基づいて判定されることを意味する。上で述べたように、実際の動揺は、現実の活動が行われているシステムの外部から来るものであってもよく、又はユーザがその上に乗っている又はその中に入っているプラットフォーム、筐体、椅子、又は他の同様のデバイスをプロセスが制御してもよい、システムの内部から来るものであってもよい。後者の状況では、プラットフォーム又は筐体の運動は、動揺のユーザの非視覚的知覚を動揺のユーザの視覚的知覚と整合するのに不十分な場合がある。
【0050】
プロセスはまた、必要とされる知覚される非視覚的動揺のレベルを判定するステップ(806)を含む。典型的な状況において、こうした判定は、システムのビデオディスプレイに視覚的に提供されている動揺のレベルを判定し、被験者が接続される物理的プラットフォームによって被験者に提供されている実際の動揺の対応するレベルを差し引くことによってなされてもよい。また、被験者の頭の向きが考慮に入れられてもよい。こうした比較及び計算は、従来の機構によって成し遂げられてもよい。計算は、シミュレーションを走らせるコンピュータで、又は知覚された視覚的動揺と適切に整合するように知覚される非視覚的動揺をもたらす刺激を提供することに向けられた専用コントローラで生じてもよい。
【0051】
プロセスの別の部分は、知覚される非視覚的動揺のレベルを生成するのに必要とされる刺激を計算するステップ(808)である。したがって、例えば、知覚される動揺のレベルを判定するステップ(806)の間に、ユーザに1秒間で90度までの回転の知覚が提供されることが必要であると判定される場合がある。プラットフォームがその知覚の半分を提供することができることがさらに判定される場合がある。したがって、それらの知覚される非視覚的動揺を知覚された視覚的動揺と整合するために、ユーザに45度入力が提供される(例えばビデオモニタによって提供される)ことが必要な場合がある。刺激を計算するステップ(808)は、こうした知覚を提供するのに必要とされる時間にわたる刺激のレベル及び刺激プロフィールを判定するために上記の技術を用いてもよい。或る状況では、必要とされる知覚される非視覚的動揺は、この2つを整合することが不可能であるときなどに、知覚された視覚的動揺と整合する必要がない場合がある。こうした状況では、最も実際的なシミュレートされた非視覚的動揺が判定されてもよく、被験者にこうした動揺の知覚を与えるために刺激が提供されてもよい。
【0052】
プロセスはまた、刺激を生成し且つ前述のように被験者上に置かれた電極の多数の組への導線などで刺激を被験者に伝達するステップを含む。刺激は、前述のように適切なランプ角を有するランプのあるステップ信号のような適切なプロフィールをとってもよく、該プロフィールは、その間に被験者の知覚がシミュレートされるべき時間のような時間にわたって繰返されることが可能である。例えば、被験者が飛行機の長い(例えば数秒の)バンキング動作をシミュレートしている場合、関連するバンキング手順の発生に伴って飛行機の外の映像を示すビデオ信号と調和して、該動作の非視覚的知覚を達成するのに必要とされる刺激が、バンキング手順の間に被験者に繰返し送達されてもよい。
【0053】
(実施例4-シミュレータと関係のある病気の緩和)
シミュレータ酔い及び動揺の感度と関連付けられた悪心及びめまい感の軽減におけるGVSの使用を試験した。30人の試験被験者の各々に頭のすべての電極モンタージュを適用し、そのうち半数が前述の式による実際のGVSを受け、半数が偽刺激(GVSなし)を受けた。各被験者は、シミュレータの一部としての実際のフライトシートの複製物に座り、ビデオディスプレイの前に位置決めされた。各被験者は同じ指示を与えられた。次いで、すべてではないがほとんどの被験者に或るレベルの刺激器病を経験させるように設計された一連の入力が行われた。最初の5分間にわたって、視野は、制御入力に対して期待されたように反応した。この最初の順化期間後に、ユーザが命令された動揺の0.5から5倍までの振幅をもつ4Hzでの正弦波によって、スロットルからの入力が自動的に修正された。例えば、被験者が30度/秒でヨーにおける一定のターンを命令された場合、順化期間後に、このターンの速度は、15度/秒から150度/秒までの間で変化するであろう。複雑な視覚で生じる場合がある主観性を排除するために視覚フローフィールド(黒い背景上の白い点)が表示された。制御は、ジョイスティック(ピッチとロールを制御する)、スロットル(速度を制御する)、及びフットペダル(ヨーを制御する)を含むものであった。
【0054】
被験者は、すべての軸において動くように訓練された。試験は、(a)20分間、(b)被験者が望むだけ、及び/又は(c)被験者が苦痛に陥ったという試験管理者による判断に基づいて、のうちの最も短いものと等しい時間にわたって行われた。シミュレータ酔いの症状は、被験者によって報告され、且つ試験管理者によって0から10までランク付けされる視覚アナログスケールで評価された。症状は、嗜眠状態、蒼白、嘔吐、めまい感、発汗、悪心、頭痛、温感、唾液分泌、及び他の関係のある症状のような不快感を含むものであった。データは、自己報告された症状と観測された症状との両方に対する視覚アナログスケールからの各症状について表にした。平均は、偽被験者に対してはおよそ4.2のスコアを示し、実際にGVSを受けた被験者に対しては2.8のスコアを示す。すべての症状は、被験者又は試験管理者によって0から10までのスケールでスコア付けされ、より高い数字はより高いひどさを示す。例えば、スコア4は、スコア2よりも常に「悪い」ものであった。最も高い個々のスコアは10であったが、5よりも高い平均スコアを有した症状はなかった。図10A〜図10Bの棒グラフに基づいて、めまい感、悪心、及び発汗の著しい減少があったが、GVSが適用されたときに嗜眠状態の僅かな増加があった。図10Cは、悪心の症状がシミュレータ酔いに最も直接該当するため、記録することができたすべての23人の被験者に対する悪心スコアを引き離したものである。
【0055】
図10A〜図10Cに示すように、自己報告されたスコアと観測されたスコアは、GVSと結合されたシミュレータを用いることで認められた以下の傾向、すなわち、(1)すべて動揺病の症状である、悪心、めまい感、発汗、及び温感が平均して著しく減少すること、(2)悪心の発生数とひどさとの両方が減少したこと、及び(3)嗜眠状態の僅かな増加が認められたこと、と一致したパターンを実証する。悪心の発生数は、12人の偽被験者のうちの8人(67%)から11人のGVS被験者のうちの4人(36%)まで減少した。そのうえ、悪心が報告されたときに、中間値が6から2.5まで減少した。したがって、本発明は、悪心の発生数(67%〜36%)とひどさ(6〜2.5)との両方を減少させた。これは、全体としてより少ない人々が吐き気を催し、人々によって感じられた悪心のひどさがGVSの適用により減少したことを意味する。
【0056】
この例において適用されたGVSは、シミュレータについて前述されたものと同じ構成を用いるものである。視野と整合する前庭動揺感覚を誘起するためにGVSを用いることによって、シミュレータと関連付けられた動揺と関係のある症状の発生数及びひどさが減少した。
【0057】
(実施例5-コンピュータと電気コンポーネント)
図11は、本明細書で説明される技術と共に用いられてもよい、汎用コンピューティングデバイス1000と汎用モバイルコンピュータデバイス1050とを含む一実施形態を示す。コンピューティングデバイス1000は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータのような種々の形態のデジタルコンピュータを表すことを意図される。モバイルコンピュータデバイス1050は、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、及び他の同様のコンピューティングデバイスのような種々の形態のモバイルデバイスを表すことを意図される。1つの例として、コンピューティングデバイス1000は、シミュレーションシステムを動作させ、入力を受信し、継続中の刺激と調和されたGVS刺激を提供するために用いられてもよい。このシステムは、被験者のシミュレータ酔いを低減させること、又は被験者に対するすべての知覚される動揺を被験者が受けている動揺の視覚的知覚と整合することができるであろう。モバイルコンピュータデバイス1050は、民間航空機の乗客などの動揺病が低減するようにGVSを提供するために用いることができるポータブルデバイスであってもよい。ここで示された電気コンポーネント、それらの接続及び関係性、並びにそれらの機能は、単なる例示的なものとなることを意図されており、この文書で説明された及び/又は特許請求された発明の実装を制限することを意図されていない。
【0058】
コンピューティングデバイス1000は、プロセッサ1002、メモリ1004、記憶デバイス1006、メモリ1004に接続された高速インターフェース1008、高速拡張ポート1010、並びに低速バス1014及び記憶デバイス1006に接続された低速インターフェース1012を含む。コンポーネント1002、1004、1006、1008、1010、及び1012の各々は、種々のバスを用いて相互接続され、且つ共通のマザーボード上に又は適宜他の様式で設置されてもよい。コンピューティングデバイス1000はまた、低速バス1014又は高速インターフェース1008に直接接続された刺激発生器カード714を含んでもよい。刺激発生器714は、1組の電極708に出力する。刺激発生器714は、或る量の電気信号を電極708に送る。刺激発生器714はまた、発生器カード714内に搭載された刺激判定モジュールを含んでもよく、又はモジュールがプロセッサ1002内に搭載されてもよい。このモジュールは、刺激発生器714によって電極708に送られるべき必要な刺激の量を計算するために用いられる。プロセッサ1002は、高速インターフェース1008に結合されたディスプレイ1016のような外部入力/出力デバイス上にGUIのためのグラフィカル情報を表示するために、メモリ1004内に又は記憶デバイス1006上に格納された命令を含む、コンピューティングデバイス1000内で実行するための命令(電極の刺激のような)を処理することができる。他の実装において、多数のメモリ及び種々のタイプのメモリと共に、多数のプロセッサ及び/又は多数のバスが適宜用いられてもよい。また、多数のコンピューティングデバイス1000が、必要な動作の部分を提供する各デバイスと(例えば、サーババンク、ブレードサーバの群、又はマルチプロセッサシステムとして)接続されてもよい。
【0059】
メモリ1004は、コンピューティングデバイス1000内に情報を格納する。一実装において、メモリ1004は、揮発性メモリユニット(単数又は複数)である。別の実装において、メモリ1004は、不揮発性メモリユニット(単数又は複数)である。メモリ1004はまた、磁気ディスク又は光ディスクのような別の形態のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0060】
記憶デバイス1006は、コンピューティングデバイス1000のための大容量記憶装置を提供することができる。一実装において、記憶デバイス1006は、フロッピー(登録商標)ディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、テープデバイス、フラッシュメモリ、又は他の同様のソリッドステートメモリデバイス、或いはストレージエリアネットワーク又は他の構成のデバイスを含むデバイスのアレイのようなコンピュータ可読媒体であってもよい又はこれを収容してもよい。コンピュータプログラム製品は、情報担体において明白に具体化することができる。コンピュータプログラム製品はまた、実行されたときに、前述したもののような1つ又は複数の方法を実行する命令を収容してもよい。情報担体は、メモリ1004、記憶デバイス1006、プロセッサ1002上のメモリ、又は伝搬された信号のようなコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体である。
【0061】
高速コントローラ1008は、コンピューティングデバイス1000の帯域幅集中的(bandwidth-intensive)動作を管理し、一方、低速コントローラ1012は、より低い帯域幅集中的動作を管理する。こうした機能の割り当ては、単なる例示的なものである。一実装において、高速コントローラ1008は、メモリ1004、ディスプレイ1016に(例えば、グラフィックスプロセッサ又はアクセラレータを通じて)、及び種々の拡張カード(図示せず)を受け入れてもよい高速拡張ポート1010に結合される。一実装において、低速コントローラ1012は、記憶デバイス1006と低速拡張ポート1014に結合される。種々の通信ポート(例えば、USB、Bluetooth(登録商標)、イーサネット(登録商標)、無線イーサネット(登録商標))を含んでもよい低速拡張ポートは、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、或いは例えばネットワークアダプタを通じてスイッチ又はルータのようなネットワーキングデバイスに、といった1つ又は複数の入力/出力デバイスに結合されてもよい。
【0062】
コンピューティングデバイス1000は、図11に示すように多数の異なる形態で実装されてもよい。例えば、これは、標準サーバ1020として、又はこうしたサーバの群に実装されてもよい。これはまた、ラックサーバシステム1024の一部として実装されてもよい。加えて、これは、ラップトップコンピュータ1022のようなパーソナルコンピュータに実装されてもよい。代替的に、コンピューティングデバイス1000からのコンポーネントは、デバイス1050のようなモバイルデバイスにおける他のコンポーネント(図示せず)と組み合わされてもよい。こうしたデバイスの各々は、1つ又は複数のコンピューティングデバイス1000、1050を収容してもよく、システム全体が、互いに通信する多数のコンピューティングデバイス1000、1050からなってもよい。
【0063】
モバイルコンピューティングデバイス1050は、他のコンポーネントの中でも、プロセッサ1052、メモリ1064、ディスプレイ及び/又は電極のような入力/出力デバイス1054、通信インターフェース1066、及び送受信器1068を含む。デバイス1050はまた、付加的な記憶装置を提供するためにマイクロドライブ又は他のデバイスのような記憶デバイスを備えてもよい。コンポーネント1050、1052、1064、1054、1066、及び1063の各々は、種々のバスを用いて相互接続され、コンポーネントのうちの幾つかは、共通のマザーボード上に又は適宜他の様式で設置されてもよい。
【0064】
プロセッサ1052は、メモリ1064に格納された命令を含む、モバイルコンピューティングデバイス1050内の命令を実行することができる。プロセッサは、個別の且つ多数のアナログ及びデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実装されてもよい。プロセッサは、例えば、ユーザインターフェース及び電極の制御のようなデバイス1050の他のコンポーネントの調和、デバイス1050によって走るアプリケーション、及びデバイス1050による無線通信を提供してもよい。
【0065】
プロセッサ1052は、入力/出力デバイス1054に結合された制御インターフェース1058及びディスプレイインターフェース1056を通じてユーザと通信してもよい。ディスプレイとしての入力/出力デバイス1054は、例えば、TFT LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)、又はOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、或いは他の適切なディスプレイ技術であってもよい。ディスプレイインターフェース1056は、グラフィカル情報、電気的情報及び他の情報をユーザに提示するようにディスプレイ1054を駆動するための適切な回路を備えてもよい。制御インターフェース1058は、ユーザからコマンドを受信し、且つこれらをプロセッサ1052に提出するために変換してもよい。この制御インターフェース1058はまた、入力/出力デバイス1054が1組の電極であるときには刺激発生器であってもよい。刺激発生器は、或る量の電気信号を電極に送る。また、刺激発生器内及び/又はプロセッサ1052内に組み込まれた刺激判定モジュールが存在してもよい。このモジュールは、電極に送られるべき必要な刺激の量を計算するために用いられる。加えて、デバイス1050と他のデバイスとの近エリア通信を可能にするようにプロセッサ1052と通信する外部インターフェース1062が提供されてもよい。外部インターフェース1062は、例えば、幾つかの実装における有線通信、又は他の実装における無線通信を提供してもよく、また、多数のインターフェースが用いられてもよい。
【0066】
メモリ1064は、モバイルコンピューティングデバイス1050内に情報を格納する。メモリ1064は、1つ又は複数のコンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット(単数又は複数)、又は不揮発性メモリユニット(単数又は複数)として実装することができる。拡張メモリ1074はまた、例えば、SIMM(シングルインラインメモリモジュール)カードインターフェースを含んでもよい拡張インターフェース1072を通じてデバイス1050に提供され且つ接続されてもよい。こうした拡張メモリ1074は、デバイス1050のための余分の記憶スペースを提供してもよく、又はデバイス1050のためのアプリケーション又は他の情報を格納してもよい。特に、拡張メモリ1074は、前述のプロセスを実行する又は補足するために命令を含んでもよく、且つ、同様に安全な情報を含んでもよい。したがって、例えば、拡張メモリ1074は、デバイス1050のためのセキュリティモジュールとして提供されてもよく、且つデバイス1050の安全な使用を可能にする命令でプログラムされてもよい。加えて、ハックできない様式でSIMMカード上に識別情報を入れることのような付加的な情報と共にSIMMカードを介して安全なアプリケーションが提供されてもよい。
【0067】
メモリは、後述するように、例えば、フラッシュメモリ及び/又はNVRAMメモリを含んでもよい。一実装において、コンピュータプログラム製品は、情報担体において明白に具体化される。コンピュータプログラム製品は、実行されたときに、前述したもののような1つ又は複数の方法を実行する命令を収容する。情報担体は、メモリ1064、拡張メモリ1074、プロセッサ1052上のメモリのようなコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体、若しくは、例えば、送受信器1068又は外部インターフェース1062の上で受信されてもよい伝搬された信号である。
【0068】
モバイルコンピューティングデバイス1050は、必要であればデジタル信号処理回路を含んでもよい通信インターフェース1066を通じて無線通信してもよい。通信インターフェース1066は、数ある中でも、GSM(登録商標)音声呼出し、SMS、EMS、又はMMSメッセージング、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA、CDMA2000、又はGPRSのような種々のモード又はプロトコルの下で通信を提供してもよい。こうした通信は、例えば、無線周波数送受信器1068を通じて生じてもよい。加えて、Bluetooth(登録商標)、WiFi、又は他のこうした送受信器(図示せず)を用いることのような短距離通信が生じてもよい。加えて、GPS(全地球測位システム)受信器モジュール1070は、付加的なナビゲーションと関係のある無線データ及び場所と関係のある無線データをデバイス1050に提供してもよく、該データは、デバイス1050上で走るアプリケーションによって適宜用いられてもよい。
【0069】
モバイルコンピューティングデバイス1050はまた、ユーザからの音声による情報を受信し、且つこれを使用可能なデジタル情報に変換してもよいオーディオコーデック1060を用いて可聴通信してもよい。オーディオコーデック1060は、例えば、デバイス1050のハンドセットのスピーカなどを通じてユーザに対して可聴音を同様に発生してもよい。こうした音は、音声電話呼び出しからの音、記録された音(例えば、ボイスメッセージ、ミュージックファイルなど)を含んでもよく、また、デバイス1050上で動作するアプリケーションによって発生した音を含んでもよい。
【0070】
モバイルコンピューティングデバイス1050は、図11に示すように多数の異なる形態で実装されてもよい。例えば、これは、携帯電話1080として実装されてもよい。これはまた、スマートフォン1082、パーソナルデジタルアシスタント、又は他の同様のモバイルデバイスの一部として実装されてもよい。
【0071】
ここで説明されるシステム及び技術の種々の実装は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組合せにおいて実現することができる。これらの種々の実装は、特別なもの又は汎用のものであってもよい少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な1つ又は複数のコンピュータプログラムにおける実装を含むことができる。プログラマブルプロセッサは、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスとの間でデータ及び命令を送受信するために結合されてもよい。
【0072】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られている)は、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含み、且つ高レベル手続き型言語及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語で、及び/又はアセンブリ言語/機械語で実装することができる。本明細書で用いられる場合の「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械命令及び/又はデータを、機械可読信号として機械命令を受信する機械可読媒体を含むプログラマブルプロセッサに提供するのに用いられる、あらゆるコンピュータプログラム製品、装置、及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブル論理デバイス(PLD))のことを指す。「機械可読信号」という用語は、機械命令、及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するのに用いられるあらゆる信号のことを指す。
【0073】
ユーザとの対話を提供するために、ここで説明されるシステム及び技術は、情報をユーザに表示するためのディスプレイデバイス(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)を有するコンピュータ上に実装することができる。種々の実施形態における1組の電極はまた、出力デバイスとして実装されてもよい。キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)、及び向きセンサは、ユーザにコンピュータへの入力を提供するための手段を提供する。他の種類のデバイスは、同様にユーザとの対話を提供するのに用いることができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、知覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)のあらゆる形態とすることができ、ユーザからの入力は、聴覚入力、スピーチ入力、又は触覚入力を含むあらゆる形態で受信することができる。
【0074】
ここで説明されるシステム及び技術は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバとして)、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンドコンポーネント(例えば、それを通じてユーザが本明細書で説明されるシステム及び技術の実装と対話することができるグラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)、或いはこうしたバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、又はフロントエンドコンポーネントのあらゆる組合せを含むコンピューティングシステムに実装することができる。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信(例えば通信ネットワーク)のあらゆる形態又は媒体によって相互接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、広域ネットワーク(「WAN」)、及びインターネットを含む。
【0075】
コンピューティングシステムは、クライアントとサーバとを含むことができる。クライアントとサーバは、一般に互いから遠く離れており、典型的には通信ネットワークを通じて対話する。クライアントとサーバとの関係性は、それぞれのコンピュータ上で走る、互いにクライアントとサーバの関係性をもつ、コンピュータプログラムによって生じる。
【0076】
多数の実施形態が説明されている。それにもかかわらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の修正がなされてもよいことが理解されるであろう。例えば、本発明の多くは、GVSのための特定の使用に関して説明されているが、上記の説明を読んだ後の当業者によって理解されるように、上記で説明された本発明の他の用途及び組合せも対処されるであろう。
【0077】
加えて、図に描かれた論理フローは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序又は一連の順序を要求しない。加えて、他のステップが提供されてもよく、又は説明されたフローからステップが削除されてもよく、説明されたシステムに他のコンポーネントが付加され又は除去されてもよい。したがって、他の実施形態が以下の請求項の範囲内にある。
【0078】
(実施例6-指向性キューイング)
本発明の別の実施形態は、歩行できる被験者に指向性キューイングを提供する際のGVSの使用である。前述のように被験者に頭のすべての電極モンタージュを適用し、実施例3で判定されたように適用量応答に基づいて入力を与えた。目標の場所は、試験管理者によって無作為に選択され、次いで、被験者のベクトルを目標の方に向け直すために被験者にキューを与えた。キューは、速度成分と方向成分を含むものであった。被験者は、GVS入力に従って前方に動き、ターンし、及び止まることができた。この技術は、GVSの使用により被験者が厳密な目標まで動かされることを可能にする。
【0079】
指向性キューイングは、コンピュータシステム又はモバイルコンピュータシステム内で具体化されてもよい。このシステムは、被験者の動揺に関する入力を受信するコンピュータを含んでもよい。この入力は、被験者の場所及び運動の測定値を含む。測定値は、被験者の方向及び速度をさらに含んでもよい。キューイングシステムはまた、被験者を針路上で特定の場所に導くために被験者に提供されるべき刺激の量を計算するためのコンピュータに接続される刺激判定モジュールを含んでもよい。針路は、全針路内の各ステップの方向及び速度成分を含んでもよい。システムはまた、判定モジュールに接続される電流発生器を含んでもよい。電流発生器は、被験者を種々の速度及び方向で特定の目的地まで物理的に動かすために、電極を介して被験者に電気刺激を送る。被験者を或る速度で或る方向に動かす刺激を引き起こすための、被験者上に位置する1組の電極、好ましくは別個の2組の電極も存在する。
【0080】
このシステムは、指向性キューイングを提供するためのプロセスを含む。プロセスは、被験者の動揺の方向及び速度を含む入力を受信するステップを含んでもよい。このプロセスはまた、被験者を特定の場所に導くのに必要とされる針路を判定するステップを含んでもよい。別のステップは、被験者に特定の所望の場所への針路をとらせるのに要求される刺激の量を判定してもよい。刺激は、速度及び方向についてのユーザからの入力に関係する。また、被験者を所望の方向に及び速度で動かすために、被験者と接触している電極の組に刺激を送達する別のステップが存在してもよい。
【0081】
他の実施形態
他の実施形態は当業者には明らかであろう。上記の詳細な説明は、明確にするためにのみ提供され、単に例示的なものであることを理解されたい。本発明の精神及び範囲は、上記の実施例に限定されないが、以下の請求項によって包含される。本明細書で挙げられたすべての参考文献の内容は、参照によりそれらの全体が組み入れられる。
【0082】
当該技術分野の当業者による修正及び置換は、以下の請求項によって以外は制限されない本実施形態の範囲内となると考えられる。
【符号の説明】
【0083】
100 頭
102 鼻
103 耳
110 冠状面
111 前頭線
112 矢状面
113 矢状線
201 左乳様突起
202 額
203 右乳様突起
204 首
205 接地電極
212 左乳様突起の電極と額の電極との間
213 左乳様突起の電極と右乳様突起の電極との間
214 左乳様突起の電極と首の電極との間
223 額の電極と右乳様突起の電極との間
224 額の電極と首の電極との間
234 右乳様突起の電極と首の電極との間
700 動揺刺激システム
702 ディスプレイデバイス
704 被験者
706 可動プラットフォーム
708 電極
710 制御ライン
712 動揺コントローラ
714 電流発生器、刺激発生器
716 中央コントローラ
718 ビデオコネクタ
720 ライン
722 センサ
1000 コンピューティングデバイス
1002 プロセッサ
1004 メモリ
1006 記憶デバイス
1008 高速インターフェース
1010 高速拡張ポート
1012 低速インターフェース
1014 低速バス
1016 ディスプレイ
1020 標準サーバ
1022 ラップトップコンピュータ
1024 ラックサーバシステム
1050 モバイルコンピュータデバイス
1052 プロセッサ
1054 入力/出力デバイス
1056 ディスプレイインターフェース
1058 制御インターフェース
1062 外部インターフェース
1064 メモリ
1066 通信インターフェース
1068 送受信器
1070 GPS受信器モジュール
1072 拡張インターフェース
1074 拡張メモリ
1080 携帯電話
1082 スマートフォン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動揺シミュレーションシステムであって、
被験者によって経験され感知される動揺に対応する入力を受信するコンピュータと、
前記コンピュータによって受信される前記被験者によって経験される動揺に対応する、前記被験者によって知覚される非視覚的動揺をもたらすように、前記被験者に提供されるべき電気刺激のレベルを決定する、前記コンピュータに接続された電子刺激決定モジュールと、
前記被験者によって経験され感知される動揺と合致した動揺の感覚を前記被験者にもたらす電気信号を生成する、前記電子刺激決定モジュールに接続された電気刺激器と、
前記電気刺激器に接続された少なくとも別個の3組の電極とを備え、刺激が各別個の組の少なくとも2つの電極の間を通過するように、前記電極が前記被験者上に位置し、前記少なくとも別個の3組の電極が、前記被験者の額上の第1の電極、前記被験者の乳様突起上の第2の電極、前記被験者のもう1つの乳様突起上の第3の電極、及び前記被験者の後頸部上の第4の電極をさらに含む、システム。
【請求項2】
動揺シミュレーションシステムであって、
被験者によって経験され感知される動揺に対応する入力を受信するコンピュータと、
前記コンピュータによって受信される前記被験者によって経験される動揺に対応する、前記被験者によって知覚される非視覚的動揺をもたらすように、前記被験者に提供されるべき電気刺激のレベルを決定する、前記コンピュータに接続された電子刺激決定モジュールと、
前記被験者によって経験され感知される動揺と合致した動揺の感覚を前記被験者にもたらす電気信号を生成する、前記電子刺激決定モジュールに接続された電気刺激器と、
前記電気刺激器に接続された少なくとも別個の3組の電極とを備え、前記電子刺激器からの電気刺激が各別個の組の少なくとも2つの電極の間を通るように、前記電極が前記被験者上に位置する、システム。
【請求項3】
少なくとも1つの電極が、前記被験者の頭の冠状面に沿って置かれる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記冠状面に沿った少なくとも1つの電極が、上側の乳様突起に沿って置かれる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの電極が、前記被験者の頭の矢状面に沿って置かれる、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記矢状面に沿った少なくとも1つの電極が、前記被験者の額の中心線に沿って置かれる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記矢状面に沿った少なくとも1つの電極が、前記被験者の後頸部の中心線に沿って置かれる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記被験者の後頸部に沿った少なくとも1つの電極が活性電極であり、且つ前記被験者の後頸部に沿った少なくとも1つの電極が中性電極である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
第1の組の電極が、前記被験者の額上の第1の電極と前記被験者の乳様突起上の第2の電極とを含み、第2の組の電極が、前記第2の電極と前記被験者のもう1つの乳様突起上の第3の電極とを含み、第3の組の電極が、前記第3の電極と、前記被験者の後頸部上の第4の電極とを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記感知される動揺が、前記被験者の頭の向きの測定値をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記コンピュータがさらに、前記被験者によって経験され感知される動揺を示すビデオディスプレイをもたらすための情報を生成するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記感知される同様を前記被験者に示す、1つ又は複数のビデオディスプレイデバイスをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
被験者を取り囲む、又は被験者を座らせるもしくは立たせる可動物体をさらに含み、前記可動物体が、前記コンピュータによって制御され、前記感知される動揺と関連した前記被験者の実際の運動を生み出すように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
前記被験者によって作動される電子入力デバイスをさらに含み、前記電子入力デバイスの操作が前記感知される動揺をもたらす、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
電源、スイッチ、及び前記電源から前記電極に電圧を供給するためのスイッチ制御をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項16】
前記被験者によって経験される動揺を加える又は動揺を減少させる前庭電気刺激を誘起するように、前記スイッチ制御が、第2の電極にサイクルされる電圧とは異なる量の電圧を第1の電極に制御可能に供給するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
被験者の知覚における動揺をシミュレートする、コンピュータで実行される方法であって、
被験者によって経験され感知される動揺の指示を受信するステップと、
前記被験者によって経験され前記感知される動揺への前記被験者の応答と整合するのに必要とされる動揺と関係のある刺激のレベルを決定するステップと、
前記被験者によって経験され前記感知される動揺と調和される少なくとも3つの個別の方向の動揺の非視覚的知覚を前記被験者に提供するように、前記被験者と接触して置かれる少なくとも別個の3組の電極に電気信号を送達するステップとを含む方法。
【請求項18】
前記少なくとも3つの個別の方向が、ロール、ピッチ、及びヨーをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも3つの個別の方向が、ロール、ピッチ、ヨー、上/下、右/左、及び前/後からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記感知される動揺に対応する表示を1つ又は複数のビデオディスプレイデバイス上に提供するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
必要とされる動揺と関係のある刺激のレベルを決定するステップが、前記ビデオディスプレイデバイス上の前記動揺に対応する表示と整合する非視覚的動揺のレベルを識別するステップと、前記必要とされる動揺と関係のある刺激のレベルに実質的に対応する感覚をもたらすのに適した前庭電気刺激のレベルを識別することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記被験者によって経験され感知される動揺の指示が、前記被験者が感知ユニットでシミュレートされる動揺を生み出すための入力を提供することに応答して受信される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記感知ユニットが、シミュレートされる乗り物のための操舵組立体の一部である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
必要とされる動揺と関係のある刺激のレベルを決定するステップが、前記被験者によって経験される動揺によって生じるシミュレータ酔いを打ち消す非視覚的動揺のレベルを識別するステップと、前記必要とされる動揺と関係のある刺激のレベルに実質的に対応する感覚をもたらすのに適した前庭電気刺激のレベルを識別するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記電気信号が、前記被験者の頭の周りの異なる場所に適用される異なる値のDC信号を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記異なる値のDC信号が、繰返される周期的DC刺激を含み、前記被験者の頭の周りの異なる場所における少なくとも2つの電極が、実質的に等しい振幅の刺激を受信する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記被験者に接触する前記電極の組に電気信号を送達するステップが、動揺と関係のある病気を緩和する、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記動揺と関係のある病気が、嗜眠状態、蒼白、嘔吐、めまい感、発汗、悪心、頭痛、温感、及び唾液分泌からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
指向性キューイングを提供する、コンピュータで実行される方法であって、
被験者の動揺の被験者方向及び被験者速度の指示を受信するステップと、
前記被験者を所望の場所に導くために必要とされる針路を判定するステップとを含み、前記針路は、前記被験者を所望の場所に動かすのに必要な1つ又は複数の移動を含む、
前記方法は、
前記所望の場所への前記針路を達成するのに必要とされる前記移動を前記被験者に提案するのに必要とされる刺激のレベルを決定するステップと、前記刺激のレベルが、前記針路内で必要とされる各移動のための所望の方向及び所望の速度の入力と関連し、
前記方法は、
前記被験者を前記針路に沿って前記所望の場所に動かすために、前記被験者と接触して置かれた少なくとも別個の2組の電極に電気信号を送達するステップとを含む方法。
【請求項30】
指向性キューイングを提供するシステムであって、
被験者の場所及び運動に対応する、複数の動揺入力を受信するコンピュータを含み、前記動揺入力は、方向及び速度の測定値を含み、
前記システムが、
針路上で前記被験者を所望の場所に導くように、前記被験者に提供される電気刺激のレベルを決定する、前記コンピュータに接続された電子刺激決定モジュールを含み、前記針路は、1つ又は複数の方向及び速度成分を含み、
前記システムが、
前記被験者を前記針路と整合する1つ又は複数の方向に及び或る速度で前記所望の場所に動かすために、前記電気信号を生成するように、電子刺激決定モジュールに接続された電気刺激器を含み、前記被験者が前記所望の場所に到着したときに、前記電気刺激器が電気信号の生成を止め、
前記システムが、
前記電気刺激器に接続された少なくとも別個の2組の電極を備え、前記電子刺激器からの電気刺激が各別個の組の少なくとも2つの電極の間を通るように、前記電極が前記被験者上に置かれる、システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−519538(P2012−519538A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552943(P2011−552943)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/000657
【国際公開番号】WO2010/101641
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511214819)インフォサイテックス・コーポレーション (1)
【出願人】(501083115)メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ (27)
【Fターム(参考)】