シャシーダイナモメータ
【課題】固定側ローラと移動側ローラの間の狭い空間を通してピットカバーを垂下させて該ピットカバーの下端部を略直角に折り曲げて移動側ローラの下部に設けたカバー収容部59に収納する。
【解決手段】シャシーダイナモメータ31は被試験車両の車輪の前後いずれか一方の車輪を載置する固定側のローラ32と、他方の車輪を載置する移動側のローラ33と、該移動側のローラの移動に追従させてピット開口部の位置を移動させるピットカバー装置51と、を備えている。移動側のローラの下方には、固定側のローラに接近させたときに、これら移動側のローラと固定側のローラの間を垂下したのち、略直角に折り曲げられたピットカバー装置51のカバー本体部54の先端部を収容するカバー収容部59を設けた。
【解決手段】シャシーダイナモメータ31は被試験車両の車輪の前後いずれか一方の車輪を載置する固定側のローラ32と、他方の車輪を載置する移動側のローラ33と、該移動側のローラの移動に追従させてピット開口部の位置を移動させるピットカバー装置51と、を備えている。移動側のローラの下方には、固定側のローラに接近させたときに、これら移動側のローラと固定側のローラの間を垂下したのち、略直角に折り曲げられたピットカバー装置51のカバー本体部54の先端部を収容するカバー収容部59を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピット内に配置したローラ上に、被試験車両の駆動輪を載せて、該駆動輪を回転させることにより被試験車両の各種試験を行なうシャシーダイナモメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャシーダイナモメータとして、図10に示すものが知られている。1はピット、2はシャシーダイナモメータでローラ3に直結されており、可動台車4に搭載されている。5はピット1の上部に配置されキャタピラ状をなすピットカバー装置で、該ピットカバー装置5は、可動台車4の前端に一端が連結された前部側の左右1対の1組と、可動台車4の上部後端に一端が連結された後部側の左右1対の他の1組とからなる。ピットカバー装置5は、多数のピットカバー板6と、これらを連結するリンク手段7と、移動用の滑車12を備えており、ピット1に固定された案内レール13に移動用の滑車12が案内され、前後方向に移動可能になっている。
【0003】
図11は、上記リンク手段7の構成を示す。図11において、8は第1のリンクで、両側1対のリンク板8a,8bからなり、リンク板8bにはカバー取付座8cが設けられており、ピットカバー板6が取り付けられている。9は第2のリンクで、両側1対のリンク板9a,9bからなり、リンク板9bにはカバー取付座9cが設けられており、ピットカバー板6が取り付けられている。リンク9にはブッシュ10が固着されており、隣接するリンク8と連結ピン11を介して可動に連結されている。ブッシュ10には移動用の滑車12が回転自在にはめられている。移動用の滑車12は案内レール13に上下から案内され、各ピットカバー板6の連動移動を可能にしている。
【0004】
そして、図10に示すように、被試験車両としての自動車15の前,後輪16,17の間隔に合わせて可動台車4を移動し、ピット1の下部に固定する。この可動台車4の移動につれて、各ピットカバー装置5は同方向に移動する。そして、自動車15をピットカバー装置5上に移動し、自動車15の駆動輪16をローラ3の垂直中心線上に載せる。従動輪17の下方前後にはストッパ18をかませ固定する。そして、駆動輪16を回転駆動してシャシーダイナモメータにより被試験車両15の試験を行なう。(特許文献1の段落0002〜0005参照)。
【0005】
また、他のシャシーダイナモメータとして、図12に示すように、自動車の駆動輪を載せる駆動輪用のローラ21と、自動車の従動輪を載せる従動輪用のローラ22を前後に配置したシャシーダイナモメータも知られている。この種のシャシーダイナモメータにおいては、自動車の前輪と後輪の間隔に応じて上記ローラ21,22の間隔を調整するために、前後のローラ21,22のうちの一方のローラは、前後方向に移動可能になっている。
【0006】
例えば、ローラ21が前後方向に移動可能に設けられているとすると、このローラ21の移動に対応させてピット穴23の位置を移動調整するために、前後一対のスライドシャッター式のピットカバー24,25が案内レール(図示省略)に沿って移動可能に設けられている。
【0007】
上記ピットカバー25の一端は、ローラ21に近接させて設けられるが、他端側は、ピット1内に垂れ下がり、巻き込まれる構成になっている。巻き込まれた部分の先端は、図13に示すように、ピット1内に設けられたチェーン26と連接され、このチェーン26によって垂直方向に吊り下げられる構成になっている。(特許文献2の段落0002等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−187966号公報
【特許文献2】特開2002−116118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記従来のシャシーダイナモメータのピットカバー装置には次に述べるような問題点があった。
(1)図13に示すように、ピットカバー25の先端を折り返してチェーン26で吊り上げるようにしたシャシーダイナモメータは、ピットカバー25の先端を折り返してチェーン26で吊り下げるために、ある程度の幅を有するピットカバー収納スペースを必要とする。特に、軽自動車やコンパクトカーのようにホイルベースの短い試験車両に適用する場合は、ローラ21とローラ22の間隔が非常に狭くなる。さらに、駆動輪用のローラ21と従動輪用のローラ22等の両サイドに車輪のセンタリング装置やトルクを測定するためのロードセルやアーム等が配置されている場合には、ピットカバー25を折り返すためのスペースを取るのが難しいという問題点があった。ピットカバー25を折り返すためのピットカバー収納スペースを取るのが難しい場合には、ピットカバー25を垂直に吊り下げた侭の状態でその下端部を収容するピットカバー収納部をピット1の下部に設ければよいが、ピット1の下部に上記のようなピットカバー収納部を設けることができない場合が多々ある。
(2)図11(A)に示したように、案内レール13を、断面略コ字状のリップ溝形鋼(C形鋼)で形成していたために、案内レール13を、図10に示すように、折り曲げるためには、折り曲げ部分の曲率半径Rをある程度大きくする必要があり、このような案内レール13を使用するためにはスペース的な制約を受ける。
【0010】
本発明の目的は、上記従来のシャシーダイナモメータの問題点を解決し、ローラの両サイドに車輪のセンタリング装置やトルクを測定するためのロードセルやアーム等が配置されている場合にも容易に適用して、ピットカバーの先端部を収納することが可能なシャシーダイナモメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明のシャシーダイナモメータは、被試験車両の車輪の前後いずれか一方の車輪を載置する固定側のローラと、他方の車輪を載置する移動側のローラと、該移動側のローラの移動に追従させてピット開口部の位置を移動させるピットカバー装置と、を備えたシャシーダイナモメータにおいて、
上記固定側のローラに接近させた上記移動側のローラの下方位置に、上記移動側のローラと固定側のローラの間を垂下して略直角に折り曲げられた上記ピットカバー装置のカバー本体部の先端部を収容するカバー収容部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載のシャシーダイナモメータにおいて、上記ピットカバー装置は、多数のピットカバー板,これらピットカバー板を連結するリンク手段,移動用の滑車を備えたカバー本体部と、上記カバー本体部の移動をガイドするガイドレールと、を備え、
上記ガイドレールは、上記カバー本体部をピットの上部を覆った状態に支持する第1のレール部と、上記移動側のローラと固定側のローラの間に配置されていて上記移動側のローラを固定側のローラ側に移動させたときにカバー本体部の垂下をガイドする第2のレール部と、該2のレール部に連続し上記カバー本体部の先端部を上記カバー収容部内に導く第3のレール部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載のシャシーダイナモメータにおいて、上記ガイドレールは、上記第1〜第3のレール部が連続して略コ字状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2に記載のシャシーダイナモメータにおいて、ガイドレールは、第1のレール部と第2のレール部の間は不連続に、第2のレール部と第3のレール部は、互いに連続する略L字状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項2に記載のシャシーダイナモメータにおいて、移動用の滑車は、移動側のローラを固定側のローラから離間する方向に移動させたときに第1のレール部の外面上を転動してカバー本体部を第1のレール部の外面上に引き出す第1の滑車と、移動側のローラを固定側のローラに接近する方向に移動させた時に、第3のレール部の内面上を転動してカバー本体部を第3のレール部に吊り下げる第2の滑車と、からなることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項2〜5のいずれかに記載のシャシーダイナモメータにおいて、第1の滑車は、連結するリンク手段の軸に回転自在に取付けられ、第2の滑車は、ピットカバー板にブラケットにより回転自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項2〜6のいずれかに記載のシャシーダイナモメータにおいて、第2の滑車は、移動側のローラを固定側のローラに接近させたときに第3のレール部に位置する複数のピットカバー板に設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項2〜7のいずれかに記載のシャシーダイナモメータにおいて、ガイドレールは、細長い平板状の鋼板またはT字鋼を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
(1)請求項1のシャシーダイナモメータは、移動側のローラを固定側のローラに接近させたときに、これら移動側のローラと固定側のローラの間を垂下して略直角に折り曲げられたピットカバー装置のカバー本体部の先端部を、上記移動側のローラの下方に設けたカバー収容部に収容する構成にしたので、図13に示す従来のピットカバーの先端を折り返してチェーンで吊り下げるものに較べて、広いピットカバー収納スペースを必要とせず、駆動輪用のローラと従動輪用のローラ等の両サイドに車輪のセンタリング装置やトルクを測定するためのロードセルやアーム等が配置されている場合においてもカバー本体部の先端部を容易に収容することができる。
(2)請求項2のシャシーダイナモメータは、第1のレール部によりカバー本体部でピットを覆った状態に維持し、第2のレール部によりカバー本体部を、移動側のローラを固定側のローラの間において垂下させ、第3のレール部によりカバー本体部の先端部を略直角に曲げて、移動側のローラの下方に設けたカバー収容部に収容することができる。
(3)請求項3のシャシーダイナモメータは、細長い平板状の鋼板等を略コ字状に折り曲げることにより容易に形成することができる。また、上記従来のガイドレールにC形鋼を使用していたものに較べてコーナー部を小さな曲率で折り曲げることができる。
(4)請求項4のシャシーダイナモメータは、ガイドレールを、第1のレール部と、第2,第3のレール部と、に2分割したので、請求項3の第1〜第3のレール部を一体に形成したものに較べてピットへの組み付けが容易になる。
(5)請求項5のシャシーダイナモメータは、移動側のローラを固定側のローラから離間する方向に移動させたときに第1の滑車は、第1のレール部の外面上を転動してカバー本体部を上記第1のレール部の外面上に載置した状態でピットの上部に引き出す。また、上記移動側のローラを固定側のローラに接近する方向に移動させると、カバー本体部は、移動側のローラと固定側のローラの間を第2のレール部に沿って垂下して行く。そして、カバー本体部の先端が第3のレール部の位置に移動して来ると、第2の滑車は、第3のレール部の内面上に載り、該内面を転動してカバー本体部を第3のレール部に吊り下げた状態で移動させ、かつ支持する。
(6)請求項6のシャシーダイナモメータは、第1の滑車をリンク手段の軸に回転自在に取付け、第2の滑車をピットカバー板にブラケットで回転自在に取り付けたので、リンク手段の軸に第1の滑車を設けた既存のカバー本体部に第2の滑車を付設するという簡単な構成で本願のカバー本体部を形成することができる。(7)請求項7のシャシーダイナモメータは、移動側のローラを固定側のローラに接近させたときに第3のレール部に位置する複数のピットカバー板に第2の滑車を設けたので、第2の滑車の数を必要最小限に抑えて、効果的にカバー本体部を上記第3のレール部に吊り下げて支持することができる。
(8)請求項8のシャシーダイナモメータは、細長い平板状の鋼板またはT字鋼を使用したので、これを切断したり、折り曲げることによりガイドレールを容易かつ安価に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】移動側のローラを固定側のローラに最も接近させた状態を示す説明図。
【図2】図1からセンタリング装置やロードセル等を取り外した状態の略示的説明図。
【図3】移動側のローラを固定側のローラに最も離間させた状態を示す説明図。
【図4】図2のA部分の拡大図。
【図5】図2のB部分の拡大図。
【図6】ガイドレールの第1実施例の略示的斜視図。
【図7】ガイドレールの第2実施例の略示的斜視図。
【図8】図3のA−A断面図。
【図9】図5のB−B断面図。
【図10】従来のピットカバー装置の側面図。
【図11】(A)は図8のA6−A6断面図、(B)は(A)のB6−B6断面図。
【図12】他の従来例の説明図。
【図13】上記他の従来例の問題点を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図5は、本発明のシャシーダイナモメータの要部を示す説明図である。
【0022】
シャシーダイナモメータ31は、図示を省略した被試験車両の前輪と後輪をそれぞれ載置する固定側のローラ32と移動側のローラ33をピット34内の固定台35と移動台36にそれぞれ回転自在に取り付け、上記移動側のローラ33をレール37に沿って移動させることにより上記移動側のローラ33と固定側のローラ32との間隔を被試験車両の前輪と後輪の間隔に合わせて調整可能になっている。そして、被試験車両の前輪と後輪を、それぞれピット開口部38を介して固定側のローラ32と移動側のローラ33上に載置する構成になっている。
【0023】
ピット開口部38は、固定台35と移動台36の上部に四角形の枠体等を設けることにより形成されていて、該枠体の一側部に後に説明するピットカバー装置51のカバー本体部54の一端部が取り付けられている。なお、移動側のローラ33と固定側のローラ32の両サイドには、車輪センタリング装置41やトルクを測定するためのロードセル42、ロードセル42とローラに連結された図示省略のダイナモメータに連結するアーム43が配置されている。
【0024】
上記シャシーダイナモメータ31は、移動側のローラ33の移動に伴ってピット開口部38を移動させるためのピットカバー装置51を備えている。
【0025】
図5に示すように、ピットカバー装置51は、多数のピットカバー板52をリンク手段53で連結してなるカバー本体部54と、該カバー本体部53に設けられていてカバー本体部54を円滑に移動させる滑車55と、ピット34に設けられていて滑車55を転動させてカバー本体部54の移動をガイドするガイドレール56と、を備えている。
【0026】
滑車55は、次に図6、図7を参照して詳しく説明するガイドレール56の第1のレール部56aの外面56dに接触して該外面56d上を転動する第1の滑車55aと、ガイドレール56の第3のレール部56cの内面56eに接触して該内面56e上を転動する第2の滑車55bと、を備えている。
【0027】
第1の滑車55aは、リンク手段53を構成する軸57に回転自在に取り付けられている。また、第2の滑車55bは、ブラケット58によりカバー本体部54に回転自在に取り付けられている。
【0028】
図6、図7に示すように、ガイドレール56は、カバー本体部54をピットの上部を覆った状態に支持する第1のレール部56aと、移動側のローラ33と固定側のローラ32の間に配置されていて移動側のローラ33を固定側のローラ32側に移動させたときにカバー本体部54の垂下をガイドする第2のレール部56bと、該2のレール部56bに連続し,カバー本体部54の先端部を移動側のローラ33の下方に設けたカバー収容部59内に導く第3のレール部56cと、を備えている。
【0029】
図6はガイドレール56の第1実施例を示す。この実施例において、第1のレール部56aと第2のレール部56bの間は分断されている。一方、第2のレール部56bと第3のレール部56cは、折り曲げ部56fを介して連続して略L字状に形成されている。第2のレール部56bに対して第3のレール部56cは、直角又は直角よりも大きな折り曲げ角度θ(90°≦θ<180°好ましくは、95°<θ<135°)で折り曲げられた状態になっている。
【0030】
図4、図6に示すように、第1のレール部56aは、ピットの上部に取り付けられている。第2のレール部56bは、第1のレール部56aの一端部56a´に対して所定の間隙61を持たせた状態でレール取付部材62によって移動側のローラ33を固定側のローラ32の間に垂直に取り付けられている。
【0031】
そして、図2に示すように、第2のレール部56bの下端に連続する第3のレール部56cは、好ましくは5°から45°の下り勾配の傾斜角度で、上記カバー収容部59内に挿入されている。63は、第1のレール部56aの一端部56a´から外れたピットカバー板52を第2のレール部56b側に導くためのガイドでありガイド取付部材64により移動側のローラ33を固定側のローラ32の間に取り付けられている。
【0032】
次に、本発明のシャシーダイナモメータの作用について説明する。
図1,図2に示すように、移動側のローラ33が固定側のローラ32に最も接近した状態から、図3に示すように、移動側のローラ33を固定側のローラ32から離間する方向に移動させると、図8に示すように、第1のレール部56aの外面56d上を第1の滑車55aが転動して、カバー本体部54は、第1のレール部56a上に載った状態でピット34の上部を覆う方向に移動する。
【0033】
また、図3に示すカバー本体部54がピット34の上部に引き出された状態から、移動側のローラ33を固定側のローラ32に接近する方向に移動させると、カバー本体部54は、第2のレール部56bに沿って垂下する。そして、カバー本体部54の下端部がコーナー部56fの位置に移動して来ると、図9に示すように、第2の滑車55bが第3のレール部56cの内面56e上に載り、上記カバー本体部54は、第3のレール部56cに吊り下げられた状態で移動し、図1に示すように、カバー本体部54の先端側は、移動側のローラ33の下部に設けたカバー収納部59に収納されるのである。
【0034】
上述したように第3のレール部56cは、傾斜しているので、第2の滑車55bは、第3のレール部56cの内面56e上を円滑に滑り下りて、カバー本体部54の一端側はカバー収納部59に収納される。
【0035】
なお、図1,図2に示すように、上記第2の滑車55bは、移動側のローラ33を固定側のローラ32に最も接近させたときに、上記コーナー部56fから第3のレール部56eにかけて位置する複数のピットカバー板、例えば、カバー本体部54の一端側のピットカバー板52から7,8番目のピットカバー板52にかけて形成されていて、必要最小限の数の第2の滑車55bで確実にカバー本体部54を吊り下げて支持する構成になっている。
【0036】
図7は、ガイドレール56の第2実施例を示す。この実施例において、ガイドレール56は、第1のレール部56aと第2のレール部56bの間を分断せずにコーナー部56gで連続させた場合を示す。第1,2実施例のガイドレールは、細長い平板状の鋼板またはT字鋼を折り曲げることにより形成されている。すなわち、従来のガイドレールにC形鋼を使用していたものに較べて、コーナー部を小さな曲率で折り曲げることが可能である。
【0037】
第2実施例のガイドレールは、第1,第2,第3のレール部56a,56b,56cを一体に形成したので、第1実施例のガイドレールに較べてガイド63及びガイド取付部材64等の部品点数の削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0038】
31…シャシーダイナモメータ
32…固定側のローラ
33…移動側のローラ
34…ピット
35…固定台
36…移動台
37…ピット開口部(ピット穴)
41…車両センタリング装置
42…ロードセル
43…アーム
51…ピットカバー装置
52…ピットカバー板
53…リンク部
54…カバー本体部
55…滑車
55a…第1の滑車
55b…第2の滑車
56…ガイドレール
57…リンク部の軸
58…ブラケット
59…カバー収納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピット内に配置したローラ上に、被試験車両の駆動輪を載せて、該駆動輪を回転させることにより被試験車両の各種試験を行なうシャシーダイナモメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャシーダイナモメータとして、図10に示すものが知られている。1はピット、2はシャシーダイナモメータでローラ3に直結されており、可動台車4に搭載されている。5はピット1の上部に配置されキャタピラ状をなすピットカバー装置で、該ピットカバー装置5は、可動台車4の前端に一端が連結された前部側の左右1対の1組と、可動台車4の上部後端に一端が連結された後部側の左右1対の他の1組とからなる。ピットカバー装置5は、多数のピットカバー板6と、これらを連結するリンク手段7と、移動用の滑車12を備えており、ピット1に固定された案内レール13に移動用の滑車12が案内され、前後方向に移動可能になっている。
【0003】
図11は、上記リンク手段7の構成を示す。図11において、8は第1のリンクで、両側1対のリンク板8a,8bからなり、リンク板8bにはカバー取付座8cが設けられており、ピットカバー板6が取り付けられている。9は第2のリンクで、両側1対のリンク板9a,9bからなり、リンク板9bにはカバー取付座9cが設けられており、ピットカバー板6が取り付けられている。リンク9にはブッシュ10が固着されており、隣接するリンク8と連結ピン11を介して可動に連結されている。ブッシュ10には移動用の滑車12が回転自在にはめられている。移動用の滑車12は案内レール13に上下から案内され、各ピットカバー板6の連動移動を可能にしている。
【0004】
そして、図10に示すように、被試験車両としての自動車15の前,後輪16,17の間隔に合わせて可動台車4を移動し、ピット1の下部に固定する。この可動台車4の移動につれて、各ピットカバー装置5は同方向に移動する。そして、自動車15をピットカバー装置5上に移動し、自動車15の駆動輪16をローラ3の垂直中心線上に載せる。従動輪17の下方前後にはストッパ18をかませ固定する。そして、駆動輪16を回転駆動してシャシーダイナモメータにより被試験車両15の試験を行なう。(特許文献1の段落0002〜0005参照)。
【0005】
また、他のシャシーダイナモメータとして、図12に示すように、自動車の駆動輪を載せる駆動輪用のローラ21と、自動車の従動輪を載せる従動輪用のローラ22を前後に配置したシャシーダイナモメータも知られている。この種のシャシーダイナモメータにおいては、自動車の前輪と後輪の間隔に応じて上記ローラ21,22の間隔を調整するために、前後のローラ21,22のうちの一方のローラは、前後方向に移動可能になっている。
【0006】
例えば、ローラ21が前後方向に移動可能に設けられているとすると、このローラ21の移動に対応させてピット穴23の位置を移動調整するために、前後一対のスライドシャッター式のピットカバー24,25が案内レール(図示省略)に沿って移動可能に設けられている。
【0007】
上記ピットカバー25の一端は、ローラ21に近接させて設けられるが、他端側は、ピット1内に垂れ下がり、巻き込まれる構成になっている。巻き込まれた部分の先端は、図13に示すように、ピット1内に設けられたチェーン26と連接され、このチェーン26によって垂直方向に吊り下げられる構成になっている。(特許文献2の段落0002等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−187966号公報
【特許文献2】特開2002−116118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記従来のシャシーダイナモメータのピットカバー装置には次に述べるような問題点があった。
(1)図13に示すように、ピットカバー25の先端を折り返してチェーン26で吊り上げるようにしたシャシーダイナモメータは、ピットカバー25の先端を折り返してチェーン26で吊り下げるために、ある程度の幅を有するピットカバー収納スペースを必要とする。特に、軽自動車やコンパクトカーのようにホイルベースの短い試験車両に適用する場合は、ローラ21とローラ22の間隔が非常に狭くなる。さらに、駆動輪用のローラ21と従動輪用のローラ22等の両サイドに車輪のセンタリング装置やトルクを測定するためのロードセルやアーム等が配置されている場合には、ピットカバー25を折り返すためのスペースを取るのが難しいという問題点があった。ピットカバー25を折り返すためのピットカバー収納スペースを取るのが難しい場合には、ピットカバー25を垂直に吊り下げた侭の状態でその下端部を収容するピットカバー収納部をピット1の下部に設ければよいが、ピット1の下部に上記のようなピットカバー収納部を設けることができない場合が多々ある。
(2)図11(A)に示したように、案内レール13を、断面略コ字状のリップ溝形鋼(C形鋼)で形成していたために、案内レール13を、図10に示すように、折り曲げるためには、折り曲げ部分の曲率半径Rをある程度大きくする必要があり、このような案内レール13を使用するためにはスペース的な制約を受ける。
【0010】
本発明の目的は、上記従来のシャシーダイナモメータの問題点を解決し、ローラの両サイドに車輪のセンタリング装置やトルクを測定するためのロードセルやアーム等が配置されている場合にも容易に適用して、ピットカバーの先端部を収納することが可能なシャシーダイナモメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明のシャシーダイナモメータは、被試験車両の車輪の前後いずれか一方の車輪を載置する固定側のローラと、他方の車輪を載置する移動側のローラと、該移動側のローラの移動に追従させてピット開口部の位置を移動させるピットカバー装置と、を備えたシャシーダイナモメータにおいて、
上記固定側のローラに接近させた上記移動側のローラの下方位置に、上記移動側のローラと固定側のローラの間を垂下して略直角に折り曲げられた上記ピットカバー装置のカバー本体部の先端部を収容するカバー収容部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載のシャシーダイナモメータにおいて、上記ピットカバー装置は、多数のピットカバー板,これらピットカバー板を連結するリンク手段,移動用の滑車を備えたカバー本体部と、上記カバー本体部の移動をガイドするガイドレールと、を備え、
上記ガイドレールは、上記カバー本体部をピットの上部を覆った状態に支持する第1のレール部と、上記移動側のローラと固定側のローラの間に配置されていて上記移動側のローラを固定側のローラ側に移動させたときにカバー本体部の垂下をガイドする第2のレール部と、該2のレール部に連続し上記カバー本体部の先端部を上記カバー収容部内に導く第3のレール部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載のシャシーダイナモメータにおいて、上記ガイドレールは、上記第1〜第3のレール部が連続して略コ字状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2に記載のシャシーダイナモメータにおいて、ガイドレールは、第1のレール部と第2のレール部の間は不連続に、第2のレール部と第3のレール部は、互いに連続する略L字状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項2に記載のシャシーダイナモメータにおいて、移動用の滑車は、移動側のローラを固定側のローラから離間する方向に移動させたときに第1のレール部の外面上を転動してカバー本体部を第1のレール部の外面上に引き出す第1の滑車と、移動側のローラを固定側のローラに接近する方向に移動させた時に、第3のレール部の内面上を転動してカバー本体部を第3のレール部に吊り下げる第2の滑車と、からなることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項2〜5のいずれかに記載のシャシーダイナモメータにおいて、第1の滑車は、連結するリンク手段の軸に回転自在に取付けられ、第2の滑車は、ピットカバー板にブラケットにより回転自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項2〜6のいずれかに記載のシャシーダイナモメータにおいて、第2の滑車は、移動側のローラを固定側のローラに接近させたときに第3のレール部に位置する複数のピットカバー板に設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項2〜7のいずれかに記載のシャシーダイナモメータにおいて、ガイドレールは、細長い平板状の鋼板またはT字鋼を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
(1)請求項1のシャシーダイナモメータは、移動側のローラを固定側のローラに接近させたときに、これら移動側のローラと固定側のローラの間を垂下して略直角に折り曲げられたピットカバー装置のカバー本体部の先端部を、上記移動側のローラの下方に設けたカバー収容部に収容する構成にしたので、図13に示す従来のピットカバーの先端を折り返してチェーンで吊り下げるものに較べて、広いピットカバー収納スペースを必要とせず、駆動輪用のローラと従動輪用のローラ等の両サイドに車輪のセンタリング装置やトルクを測定するためのロードセルやアーム等が配置されている場合においてもカバー本体部の先端部を容易に収容することができる。
(2)請求項2のシャシーダイナモメータは、第1のレール部によりカバー本体部でピットを覆った状態に維持し、第2のレール部によりカバー本体部を、移動側のローラを固定側のローラの間において垂下させ、第3のレール部によりカバー本体部の先端部を略直角に曲げて、移動側のローラの下方に設けたカバー収容部に収容することができる。
(3)請求項3のシャシーダイナモメータは、細長い平板状の鋼板等を略コ字状に折り曲げることにより容易に形成することができる。また、上記従来のガイドレールにC形鋼を使用していたものに較べてコーナー部を小さな曲率で折り曲げることができる。
(4)請求項4のシャシーダイナモメータは、ガイドレールを、第1のレール部と、第2,第3のレール部と、に2分割したので、請求項3の第1〜第3のレール部を一体に形成したものに較べてピットへの組み付けが容易になる。
(5)請求項5のシャシーダイナモメータは、移動側のローラを固定側のローラから離間する方向に移動させたときに第1の滑車は、第1のレール部の外面上を転動してカバー本体部を上記第1のレール部の外面上に載置した状態でピットの上部に引き出す。また、上記移動側のローラを固定側のローラに接近する方向に移動させると、カバー本体部は、移動側のローラと固定側のローラの間を第2のレール部に沿って垂下して行く。そして、カバー本体部の先端が第3のレール部の位置に移動して来ると、第2の滑車は、第3のレール部の内面上に載り、該内面を転動してカバー本体部を第3のレール部に吊り下げた状態で移動させ、かつ支持する。
(6)請求項6のシャシーダイナモメータは、第1の滑車をリンク手段の軸に回転自在に取付け、第2の滑車をピットカバー板にブラケットで回転自在に取り付けたので、リンク手段の軸に第1の滑車を設けた既存のカバー本体部に第2の滑車を付設するという簡単な構成で本願のカバー本体部を形成することができる。(7)請求項7のシャシーダイナモメータは、移動側のローラを固定側のローラに接近させたときに第3のレール部に位置する複数のピットカバー板に第2の滑車を設けたので、第2の滑車の数を必要最小限に抑えて、効果的にカバー本体部を上記第3のレール部に吊り下げて支持することができる。
(8)請求項8のシャシーダイナモメータは、細長い平板状の鋼板またはT字鋼を使用したので、これを切断したり、折り曲げることによりガイドレールを容易かつ安価に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】移動側のローラを固定側のローラに最も接近させた状態を示す説明図。
【図2】図1からセンタリング装置やロードセル等を取り外した状態の略示的説明図。
【図3】移動側のローラを固定側のローラに最も離間させた状態を示す説明図。
【図4】図2のA部分の拡大図。
【図5】図2のB部分の拡大図。
【図6】ガイドレールの第1実施例の略示的斜視図。
【図7】ガイドレールの第2実施例の略示的斜視図。
【図8】図3のA−A断面図。
【図9】図5のB−B断面図。
【図10】従来のピットカバー装置の側面図。
【図11】(A)は図8のA6−A6断面図、(B)は(A)のB6−B6断面図。
【図12】他の従来例の説明図。
【図13】上記他の従来例の問題点を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図5は、本発明のシャシーダイナモメータの要部を示す説明図である。
【0022】
シャシーダイナモメータ31は、図示を省略した被試験車両の前輪と後輪をそれぞれ載置する固定側のローラ32と移動側のローラ33をピット34内の固定台35と移動台36にそれぞれ回転自在に取り付け、上記移動側のローラ33をレール37に沿って移動させることにより上記移動側のローラ33と固定側のローラ32との間隔を被試験車両の前輪と後輪の間隔に合わせて調整可能になっている。そして、被試験車両の前輪と後輪を、それぞれピット開口部38を介して固定側のローラ32と移動側のローラ33上に載置する構成になっている。
【0023】
ピット開口部38は、固定台35と移動台36の上部に四角形の枠体等を設けることにより形成されていて、該枠体の一側部に後に説明するピットカバー装置51のカバー本体部54の一端部が取り付けられている。なお、移動側のローラ33と固定側のローラ32の両サイドには、車輪センタリング装置41やトルクを測定するためのロードセル42、ロードセル42とローラに連結された図示省略のダイナモメータに連結するアーム43が配置されている。
【0024】
上記シャシーダイナモメータ31は、移動側のローラ33の移動に伴ってピット開口部38を移動させるためのピットカバー装置51を備えている。
【0025】
図5に示すように、ピットカバー装置51は、多数のピットカバー板52をリンク手段53で連結してなるカバー本体部54と、該カバー本体部53に設けられていてカバー本体部54を円滑に移動させる滑車55と、ピット34に設けられていて滑車55を転動させてカバー本体部54の移動をガイドするガイドレール56と、を備えている。
【0026】
滑車55は、次に図6、図7を参照して詳しく説明するガイドレール56の第1のレール部56aの外面56dに接触して該外面56d上を転動する第1の滑車55aと、ガイドレール56の第3のレール部56cの内面56eに接触して該内面56e上を転動する第2の滑車55bと、を備えている。
【0027】
第1の滑車55aは、リンク手段53を構成する軸57に回転自在に取り付けられている。また、第2の滑車55bは、ブラケット58によりカバー本体部54に回転自在に取り付けられている。
【0028】
図6、図7に示すように、ガイドレール56は、カバー本体部54をピットの上部を覆った状態に支持する第1のレール部56aと、移動側のローラ33と固定側のローラ32の間に配置されていて移動側のローラ33を固定側のローラ32側に移動させたときにカバー本体部54の垂下をガイドする第2のレール部56bと、該2のレール部56bに連続し,カバー本体部54の先端部を移動側のローラ33の下方に設けたカバー収容部59内に導く第3のレール部56cと、を備えている。
【0029】
図6はガイドレール56の第1実施例を示す。この実施例において、第1のレール部56aと第2のレール部56bの間は分断されている。一方、第2のレール部56bと第3のレール部56cは、折り曲げ部56fを介して連続して略L字状に形成されている。第2のレール部56bに対して第3のレール部56cは、直角又は直角よりも大きな折り曲げ角度θ(90°≦θ<180°好ましくは、95°<θ<135°)で折り曲げられた状態になっている。
【0030】
図4、図6に示すように、第1のレール部56aは、ピットの上部に取り付けられている。第2のレール部56bは、第1のレール部56aの一端部56a´に対して所定の間隙61を持たせた状態でレール取付部材62によって移動側のローラ33を固定側のローラ32の間に垂直に取り付けられている。
【0031】
そして、図2に示すように、第2のレール部56bの下端に連続する第3のレール部56cは、好ましくは5°から45°の下り勾配の傾斜角度で、上記カバー収容部59内に挿入されている。63は、第1のレール部56aの一端部56a´から外れたピットカバー板52を第2のレール部56b側に導くためのガイドでありガイド取付部材64により移動側のローラ33を固定側のローラ32の間に取り付けられている。
【0032】
次に、本発明のシャシーダイナモメータの作用について説明する。
図1,図2に示すように、移動側のローラ33が固定側のローラ32に最も接近した状態から、図3に示すように、移動側のローラ33を固定側のローラ32から離間する方向に移動させると、図8に示すように、第1のレール部56aの外面56d上を第1の滑車55aが転動して、カバー本体部54は、第1のレール部56a上に載った状態でピット34の上部を覆う方向に移動する。
【0033】
また、図3に示すカバー本体部54がピット34の上部に引き出された状態から、移動側のローラ33を固定側のローラ32に接近する方向に移動させると、カバー本体部54は、第2のレール部56bに沿って垂下する。そして、カバー本体部54の下端部がコーナー部56fの位置に移動して来ると、図9に示すように、第2の滑車55bが第3のレール部56cの内面56e上に載り、上記カバー本体部54は、第3のレール部56cに吊り下げられた状態で移動し、図1に示すように、カバー本体部54の先端側は、移動側のローラ33の下部に設けたカバー収納部59に収納されるのである。
【0034】
上述したように第3のレール部56cは、傾斜しているので、第2の滑車55bは、第3のレール部56cの内面56e上を円滑に滑り下りて、カバー本体部54の一端側はカバー収納部59に収納される。
【0035】
なお、図1,図2に示すように、上記第2の滑車55bは、移動側のローラ33を固定側のローラ32に最も接近させたときに、上記コーナー部56fから第3のレール部56eにかけて位置する複数のピットカバー板、例えば、カバー本体部54の一端側のピットカバー板52から7,8番目のピットカバー板52にかけて形成されていて、必要最小限の数の第2の滑車55bで確実にカバー本体部54を吊り下げて支持する構成になっている。
【0036】
図7は、ガイドレール56の第2実施例を示す。この実施例において、ガイドレール56は、第1のレール部56aと第2のレール部56bの間を分断せずにコーナー部56gで連続させた場合を示す。第1,2実施例のガイドレールは、細長い平板状の鋼板またはT字鋼を折り曲げることにより形成されている。すなわち、従来のガイドレールにC形鋼を使用していたものに較べて、コーナー部を小さな曲率で折り曲げることが可能である。
【0037】
第2実施例のガイドレールは、第1,第2,第3のレール部56a,56b,56cを一体に形成したので、第1実施例のガイドレールに較べてガイド63及びガイド取付部材64等の部品点数の削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0038】
31…シャシーダイナモメータ
32…固定側のローラ
33…移動側のローラ
34…ピット
35…固定台
36…移動台
37…ピット開口部(ピット穴)
41…車両センタリング装置
42…ロードセル
43…アーム
51…ピットカバー装置
52…ピットカバー板
53…リンク部
54…カバー本体部
55…滑車
55a…第1の滑車
55b…第2の滑車
56…ガイドレール
57…リンク部の軸
58…ブラケット
59…カバー収納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験車両の車輪の前後いずれか一方の車輪を載置する固定側のローラと、他方の車輪を載置する移動側のローラと、該移動側のローラの移動に追従させてピット開口部の位置を移動させるピットカバー装置と、を備えたシャシーダイナモメータにおいて、
上記固定側のローラに接近させた上記移動側のローラの下方位置に、上記移動側のローラと固定側のローラの間を垂下して略直角に折り曲げられた上記ピットカバー装置のカバー本体部の先端部を収容するカバー収容部を設けたことを特徴とするシャシーダイナモメータ。
【請求項2】
上記ピットカバー装置は、多数のピットカバー板,これらピットカバー板を連結するリンク手段,移動用の滑車を備えたカバー本体部と、上記カバー本体部の移動をガイドするガイドレールと、を備え、
上記ガイドレールは、上記カバー本体部をピットの上部を覆った状態に支持する第1のレール部と、上記移動側のローラと固定側のローラの間に配置されていて上記移動側のローラを固定側のローラ側に移動させたときにカバー本体部の垂下をガイドする第2のレール部と、該2のレール部に連続し上記カバー本体部の先端部を上記カバー収容部内に導く第3のレール部と、を備えていることを特徴とする請求項1記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項3】
上記ガイドレールは、上記第1〜第3のレール部が連続して略コ字状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項4】
上記ガイドレールは、上記第1のレール部と第2のレール部の間は不連続に、上記第2のレール部と第3のレール部は、互いに連続する略L字状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項5】
上記移動用の滑車は、上記移動側のローラを上記固定側のローラから離間する方向に移動させたときに上記第1のレール部の外面上を転動してカバー本体部を上記第1のレール部の外面上に引き出す第1の滑車と、上記移動側のローラを上記固定側のローラに接近する方向に移動させた時に、上記第3のレール部の内面上を転動して上記カバー本体部を上記第3のレール部に吊り下げる第2の滑車と、からなることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項6】
上記第1の滑車は、上記連結するリンク手段の軸に回転自在に取付けられ、上記第2の滑車は、上記ピットカバー板にブラケットにより回転自在に取り付けられていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項7】
上記第2の滑車は、上記移動側のローラを上記固定側のローラに接近させたときに少なくとも上記第3のレール部に位置する複数のピットカバー板に設けられていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項8】
上記ガイドレールは、細長い平板状の鋼板またはT字鋼を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項1】
被試験車両の車輪の前後いずれか一方の車輪を載置する固定側のローラと、他方の車輪を載置する移動側のローラと、該移動側のローラの移動に追従させてピット開口部の位置を移動させるピットカバー装置と、を備えたシャシーダイナモメータにおいて、
上記固定側のローラに接近させた上記移動側のローラの下方位置に、上記移動側のローラと固定側のローラの間を垂下して略直角に折り曲げられた上記ピットカバー装置のカバー本体部の先端部を収容するカバー収容部を設けたことを特徴とするシャシーダイナモメータ。
【請求項2】
上記ピットカバー装置は、多数のピットカバー板,これらピットカバー板を連結するリンク手段,移動用の滑車を備えたカバー本体部と、上記カバー本体部の移動をガイドするガイドレールと、を備え、
上記ガイドレールは、上記カバー本体部をピットの上部を覆った状態に支持する第1のレール部と、上記移動側のローラと固定側のローラの間に配置されていて上記移動側のローラを固定側のローラ側に移動させたときにカバー本体部の垂下をガイドする第2のレール部と、該2のレール部に連続し上記カバー本体部の先端部を上記カバー収容部内に導く第3のレール部と、を備えていることを特徴とする請求項1記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項3】
上記ガイドレールは、上記第1〜第3のレール部が連続して略コ字状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項4】
上記ガイドレールは、上記第1のレール部と第2のレール部の間は不連続に、上記第2のレール部と第3のレール部は、互いに連続する略L字状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項5】
上記移動用の滑車は、上記移動側のローラを上記固定側のローラから離間する方向に移動させたときに上記第1のレール部の外面上を転動してカバー本体部を上記第1のレール部の外面上に引き出す第1の滑車と、上記移動側のローラを上記固定側のローラに接近する方向に移動させた時に、上記第3のレール部の内面上を転動して上記カバー本体部を上記第3のレール部に吊り下げる第2の滑車と、からなることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項6】
上記第1の滑車は、上記連結するリンク手段の軸に回転自在に取付けられ、上記第2の滑車は、上記ピットカバー板にブラケットにより回転自在に取り付けられていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項7】
上記第2の滑車は、上記移動側のローラを上記固定側のローラに接近させたときに少なくとも上記第3のレール部に位置する複数のピットカバー板に設けられていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項8】
上記ガイドレールは、細長い平板状の鋼板またはT字鋼を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−15467(P2013−15467A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149622(P2011−149622)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
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