シャッター
【課題】シャッター扉10の開閉操作性を向上させつつ、コイルバネ32a,32bが係止されている中間引手3がガイドレール20a,20bから逸脱してしまうおそれを低減する。
【解決手段】シャッター扉10が開放されている時にシャッター扉10を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉10が閉鎖されている時にシャッター扉10を開放する向きに付勢するコイルバネ32a,32bを設け、シャッター扉10が装着されている筺体100にコイルバネ32a,32bの一端を係止し、中間引手3にコイルバネ32a,32bの他端を係止し、中間引手3と、中間引手3に連結されている末端側のスラット1とを一体化する補強板40を設け、中間引手3を補強板40に対して押圧し、補強板40のコ字状の端部40bによって中間引手3の末端側に位置するスラット1を拘束した。
【解決手段】シャッター扉10が開放されている時にシャッター扉10を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉10が閉鎖されている時にシャッター扉10を開放する向きに付勢するコイルバネ32a,32bを設け、シャッター扉10が装着されている筺体100にコイルバネ32a,32bの一端を係止し、中間引手3にコイルバネ32a,32bの他端を係止し、中間引手3と、中間引手3に連結されている末端側のスラット1とを一体化する補強板40を設け、中間引手3を補強板40に対して押圧し、補強板40のコ字状の端部40bによって中間引手3の末端側に位置するスラット1を拘束した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材を樹脂材料の押出し成形によって複数形成し、隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とを嵌合させ、それにより、複数のシャッター扉構成部材を相互に連結し、シャッター扉を構成したシャッターに関する。
【0002】
特に、本発明は、シャッター扉の開閉操作性を向上させつつ、コイルバネが係止されているシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱してしまうおそれを低減することができるシャッターに関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材を樹脂材料の押出し成形によって複数形成し、隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とを嵌合させ、それにより、複数のシャッター扉構成部材を相互に連結し、シャッター扉を構成したシャッターが知られている。この種のシャッターの例としては、例えば特開2005−133438号公報に記載されたものがある。
【0004】
特開2005−133438号公報に記載されたシャッターでは、連結用凹部がシャッター扉構成部材(スラット、引手部材)の上端に配置され、連結用凸部がシャッター扉構成部材(スラット、引手部材)の下端に配置されている。更に、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材(スラット、引手部材)を開閉操作するための引手部が、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材(スラット、引手部材)のうち、最も下側に配置されたシャッター扉構成部材(引手部材)に、設けられている。詳細には、引手部が設けられていないシャッター扉構成部材(スラット)の連結用凸部と引手部が設けられているシャッター扉構成部材(引手部材)の連結用凹部とが嵌合せしめられ、引手部が設けられていないシャッター扉構成部材(スラット)と引手部が設けられているシャッター扉構成部材(引手部材)とが相互に連結されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−133438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特開2005−133438号公報に記載されたシャッターのシャッター扉開閉操作性を向上させるためには、シャッター扉をガイドするためのガイドレールを設け、シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢することが好ましい。
【0007】
シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢するためには、例えばコイルバネを設け、シャッター扉が装着されている筺体にコイルバネの一端を係止し、更に、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材のうちの1個のシャッター扉構成部材にコイルバネの他端を係止する方法が考えられる。
【0008】
詳細には、例えば筺体の開口の半分程度がシャッター扉によって閉鎖されている時にコイルバネの長さが自然長になるようにコイルバネを係止することにより、シャッター扉の開放時にコイルバネの張力によってシャッター扉を閉鎖する向きに付勢することができ、シャッター扉の閉鎖時にコイルバネの張力によってシャッター扉を開放する向きに付勢することができる。
【0009】
ところが、シャッター扉構成部材の構造上、コイルバネの他端をシャッター扉構成部材の重心位置に係止することができない。そのため、コイルバネの他端をシャッター扉構成部材に係止すると、シャッター扉の開放時あるいは閉鎖時に、コイルバネの張力に伴うモーメントがそのシャッター扉構成部材にかかってしまう。
【0010】
詳細には、コイルバネの他端を1個のシャッター扉構成部材に係止すると、コイルバネの張力に伴うモーメントが、そのシャッター扉構成部材に集中してかかってしまい、その結果、そのシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱するおそれが生じてしまう。
【0011】
前記問題点に鑑み、本発明は、シャッター扉の開閉操作性を向上させつつ、コイルバネが係止されているシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱してしまうおそれを低減することができるシャッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材を樹脂材料の押出し成形によって複数形成し、隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とを嵌合させ、それにより、複数のシャッター扉構成部材を相互に連結し、シャッター扉を構成したシャッターにおいて、シャッター扉をガイドするためのガイドレールを設け、シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢するための2個のコイルバネを設け、シャッター扉が装着されている筺体に対して2個のコイルバネの一端を係止し、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材のうちの1個のシャッター扉構成部材に対して2個のコイルバネの他端を係止し、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材と、そのシャッター扉構成部材に対して連結されている隣のシャッター扉構成部材とを一体化するための補強板を設け、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が、隣のシャッター扉構成部材に対して回転できないようにするために、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材を補強板に対して押圧すると共に、コ字状に曲げ加工された補強板の端部によって、隣のシャッター扉構成部材を拘束したことを特徴とするシャッターが提供される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、シャッター扉構成部材に貫通穴を形成し、補強板に貫通穴を形成し、ボルトと、そのボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットと、2個のコイルバネの他端が係止されるリング状部材と、スペーサとを設け、ボルトの雄ねじ部をリング状部材の穴、スペーサの穴、補強板の貫通穴、および、シャッター扉構成部材の貫通穴に挿入し、ボルトのねじ頭とナットとによってリング状部材とスペーサと補強板とシャッター扉構成部材とが狭持され、スペーサとシャッター扉構成部材との間に補強板が位置するように、ボルトの雄ねじ部とナットの雌ねじ部とを螺合させ、補強板がシャッター扉構成部材の長手方向のほぼ全長にわたって延びていることを特徴とする請求項1に記載のシャッターが提供される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材の長手方向に直交する断面形状が凹状になるように、そのシャッター扉構成部材を形成すると共に、補強板の断面形状がシャッター扉構成部材の断面形状と概略相補形状になるように、補強板を曲げ加工したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッターが提供される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のシャッターでは、本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材が、樹脂材料の押出し成形によって複数形成されている。更に、隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とが嵌合せしめられ、それにより、複数のシャッター扉構成部材が相互に連結され、シャッター扉が構成されている。また、シャッター扉をガイドするためのガイドレールが設けられている。
【0016】
更に、請求項1に記載のシャッターでは、シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢するための2個のコイルバネが設けられている。詳細には、シャッター扉が装着されている筺体に対して2個のコイルバネの一端が係止され、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材のうちの1個のシャッター扉構成部材に対して2個のコイルバネの他端が係止されている。そのため、請求項1に記載のシャッターによれば、2個のコイルバネが設けられていない場合よりも、シャッター扉の開閉操作性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項1に記載のシャッターでは、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材と、そのシャッター扉構成部材に対して連結されている隣のシャッター扉構成部材とを一体化するための補強板が設けられている。詳細には、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が、隣のシャッター扉構成部材に対して回転できないようにするために、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が、補強板に対して押圧されており、更に、コ字状に曲げ加工された補強板の端部によって隣のシャッター扉構成部材が拘束されている。
【0018】
つまり、補強板が設けられていない場合には、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材に対して、2個のコイルバネの張力に伴うモーメントが集中してかかってしまい、そのシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱するおそれが生じてしまうのに対し、補強板が設けられている請求項1に記載のシャッターでは、2個のコイルバネの張力に伴うモーメントが、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材、および、補強板によって一体化されている隣のシャッター扉構成部材に分散してかかる。
【0019】
そのため、請求項1に記載のシャッターによれば、補強板が設けられていない場合よりも、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0020】
すなわち、請求項1に記載のシャッターによれば、シャッター扉の開閉操作性を向上させつつ、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0021】
請求項2に記載のシャッターでは、シャッター扉構成部材に貫通穴が形成され、補強板に貫通穴が形成されている。更に、ボルトと、そのボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットと、2個のコイルバネの他端が係止されるリング状部材と、スペーサとが設けられている。また、ボルトの雄ねじ部が、リング状部材の穴、スペーサの穴、補強板の貫通穴、および、シャッター扉構成部材の貫通穴に挿入されている。
【0022】
更に、請求項2に記載のシャッターでは、ボルトのねじ頭とナットとによってリング状部材とスペーサと補強板とシャッター扉構成部材とが狭持され、スペーサとシャッター扉構成部材との間に補強板が位置するように、ボルトの雄ねじ部とナットの雌ねじ部とが螺合せしめられている。
【0023】
また、請求項2に記載のシャッターでは、スペーサとシャッター扉構成部材との間に位置する補強板が、シャッター扉構成部材の長手方向のほぼ全長にわたって延びている。
【0024】
そのため、請求項2に記載のシャッターによれば、樹脂材料の押出し成形によって形成されたシャッター扉構成部材がスペーサと接触せしめられるのに伴って、2個のコイルバネの張力に伴う応力が、シャッター扉構成部材のうち、スペーサと接触する部分に集中し、シャッター扉構成部材が破損してしまうおそれを排除することができる。
【0025】
更に、請求項2に記載のシャッターによれば、補強板がシャッター扉構成部材の長手方向のほぼ全長にわたって延びていない場合よりも、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が2個のコイルバネの張力発生時に湾曲してしまうおそれを低減することができる。
【0026】
請求項3に記載のシャッターでは、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材の長手方向に直交する断面形状が凹状になるように、そのシャッター扉構成部材が形成されると共に、補強板の断面形状がシャッター扉構成部材の断面形状と概略相補形状になるように、補強板が曲げ加工されている。
【0027】
そのため、請求項3に記載のシャッターによれば、補強板の断面形状がシャッター扉構成部材の断面形状と概略相補形状になるように補強板が曲げ加工されていない場合よりも、補強板の剛性を向上させることができ、それにより、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が2個のコイルバネの張力発生時に湾曲してしまうおそれを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明のシャッターの第1の実施形態について説明する。図1および図2は第1の実施形態のシャッターが適用された筺体100を示した図である。詳細には、図1はシャッター扉10がほぼ閉鎖された状態を示した図、図2はシャッター扉10が開放された状態を示した図である。更に詳細には、図1(A)はシャッター扉10がほぼ閉鎖された状態における筺体100を右前側かつ上側から見た斜視図、図1(B)はシャッター扉10がほぼ閉鎖された状態における筺体100を右後側かつ上側から見た斜視図、図1(C)はシャッター扉10がほぼ閉鎖された状態における筺体100の後側面図である。図2(A)はシャッター扉10が開放された状態における筺体100を右前側かつ上側から見た斜視図、図2(B)はシャッター扉10が開放された状態における筺体100を右後側かつ上側から見た斜視図、図2(C)はシャッター扉10が開放された状態における筺体100の後側面図である。図3は第1の実施形態のシャッターの分解斜視図である。
【0029】
図1〜図3において、100aは筺体100の前側開口を示しており、100bは筺体100の後側開口を示しており、100cは筺体100の左側壁を示しており、100dは筺体100の右側壁を示している。1はシャッター扉10を構成するシャッター扉構成部材としてのスラットを示しており、2はシャッター扉10を構成するシャッター扉構成部材としての引手を示しており、3はシャッター扉10を構成するシャッター扉構成部材としての中間引手を示している。20a,20bはシャッター扉10をガイドするためのガイドレールを示している。第1の実施形態のシャッターでは、図3に示すように、シャッター扉10を構成するスラット1、引手2および中間引手3の左側端部がガイドレール20aに挿入され、スラット1、引手2および中間引手3の右側端部がガイドレール20bに挿入される。
【0030】
また、図1〜図3において、30は、図2に示すようにシャッター扉10が開放されている時(詳細には、筺体100の前側開口100aがシャッター扉10によって覆われていない時)にシャッター扉10を閉鎖する向きに付勢し、図1に示すようにシャッター扉10が閉鎖されている時(詳細には、筺体100の前側開口100aがシャッター扉10によって覆われている時)にシャッター扉10を開放する向きに付勢するためのバランサーを示している。32a,32bはバランサー30の一部を構成するコイルバネを示している。31aはコイルバネ32aの一端を筺体100の左側壁100cに対して係止するための係止部材を示しており、31bはコイルバネ32bの一端を筺体100の右側壁100dに対して係止するための係止部材を示している。33はコイルバネ32a,32bの他端が係止されるリング状部材を示している。
【0031】
更に、図1〜図3において、34はシャッター扉構成部材としての中間引手3に対してリング状部材33を固定するためのボルトを示しており、35はボルト34の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットを示している。40は中間引手3とその末端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の下側)に位置するスラット1とを一体化するための補強板を示している。
【0032】
図4は図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としてのスラット1の部品図である。詳細には、図4(A)はスラット1の正面図、図4(B)はスラット1の右側面図である。図4において、1aはスラット1の本体部を示しており、1bはスラット1の連結用凹部を示しており、1cはスラット1の連結用凸部を示している。第1の実施形態のシャッターでは、スラット1が樹脂材料の押出し成形によって複数形成される。
【0033】
図5は複数のスラット1が相互に連結される様子を示した図である。詳細には、図5(A)は複数のスラット1が相互に連結される様子を示した正面図、図5(B)は相互に連結された複数のスラット1の右側面図である。第1の実施形態のシャッターでは、図5(A)に示すように、隣接する2個のスラット1を長手方向(図5(A)の左右方向)に相対移動させることにより、一方のスラット1の連結用凹部1bと他方のスラット1の連結用凸部1cとが嵌合せしめられる。その結果、図5(B)に示すように、複数のスラット1が相互に連結される。
【0034】
図6は図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としての引手2の部品図である。詳細には、図6(A)は引手2の正面図、図6(B)は引手2の右側面図である。図6において、2aは引手2の本体部を示しており、2a1はシャッター扉10の開閉操作時に操作者が指をかけるための凹部を示している。2bは引手2の連結用凹部を示しており、2dは戸当たりを示している。第1の実施形態のシャッターでは、引手2が樹脂材料の押出し成形によって1個形成される。
【0035】
図7は図1〜図3に示した複数のスラット1のうちの最も先端側(図1(A)、図2(A)および図3の下側)に位置するスラット1と図6に示した引手2とが相互に連結される様子を示した図である。詳細には、図7(A)は最も先端側に位置するスラット1と引手2とが相互に連結される様子を示した正面図、図7(B)は相互に連結されたスラット1および引手2の右側面図である。第1の実施形態のシャッターでは、図7(A)に示すように、スラット1および引手2を長手方向(図7(A)の左右方向)に相対移動させることにより、引手2の連結用凹部2bとスラット1の連結用凸部1cとが嵌合せしめられる。その結果、図7(B)に示すように、スラット1および引手2が相互に連結される。
【0036】
図8は図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としての中間引手3の部品図である。詳細には、図8(A)は中間引手3の正面図、図8(B)は中間引手2の右側面図である。図8において、3aは中間引手3の本体部を示しており、3a1は補強板40の一部と嵌合するための凹部を示している。3a1aはボルト34の雄ねじ部を収容するための貫通穴を示しており、3bは中間引手3の連結用凹部を示しており、3cは中間引手3の連結用凸部を示している。第1の実施形態のシャッターでは、中間引手3が樹脂材料の押出し成形よって1個形成され、例えば追加工によって、中間引手3の凹部3a1に貫通穴3a1aが形成される。
【0037】
図9は図1〜図3に示した複数のスラット1のうちの最も末端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の下側)に位置するスラット1と、図8に示した中間引手3と、中間引手3よりも先端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の上側)に位置するスラット1とが相互に連結される様子を示した図である。詳細には、図9(A)は最も末端側に位置するスラット1と中間引手3と中間引手3よりも先端側に位置するスラット1とが相互に連結される様子を示した正面図、図9(B)は相互に連結されたスラット1および中間引手3の右側面図である。
【0038】
第1の実施形態のシャッターでは、図9(A)に示すように、最も末端側(図9(A)の上側)に位置するスラット1と中間引手3とを長手方向(図9(A)の左右方向)に相対移動させることにより、中間引手3の連結用凹部3bとスラット1の連結用凸部1cとが嵌合せしめられる。その結果、図9(B)に示すように、最も末端側(図9(B)の上側)に位置するスラット1と中間引手3とが相互に連結される。
【0039】
更に、第1の実施形態のシャッターでは、図9(A)に示すように、中間引手3よりも先端側(図9(A)の下側)に位置するスラット1と中間引手3とを長手方向(図9(A)の左右方向)に相対移動させることにより、中間引手3の連結用凸部3cとスラット1の連結用凹部1bとが嵌合せしめられる。その結果、図9(B)に示すように、中間引手3と中間引手3よりも先端側(図9(B)の下側)に位置するスラット1とが相互に連結される。
【0040】
第1の実施形態のシャッターでは、図5、図7および図9に示すように複数のスラット1と引手2と中間引手3とを相互に連結することにより、図3に示すようなシャッター扉10が構成される。第1の実施形態のシャッターでは、図1(A)に示すように、シャッター扉10のうち、筺体100の前側開口100aを覆う部分に中間引手3が配置されていないが、第2の実施形態のシャッターでは、筺体100の前側開口100aを覆う幾つかのスラット1に代えて中間引手3を配置することも可能である。詳細には、筺体100の前側開口100aを覆う中間引手3には、穴3a1a(図8参照)が形成されない。
【0041】
第1の実施形態のシャッターの説明に戻り、図10は中間引手3とその末端側に位置するスラット1(最も末端側に位置するスラット1)とを一体化するための補強板40の部品図である。詳細には、図10(A)は補強板40の右側面図、図10(B)は補強板40の後側面図、図10(C)は中間引手3およびその末端側に位置するスラット1に対して補強板40が装着される様子を示した右側面図である。
【0042】
図10において、40aは中間引手3の凹部3a1と嵌合するための凸部を示しており、40a1はボルト34の雄ねじ部を収容するための貫通穴を示している。40bは最も末端側(図10(C)の下側)に位置するスラット1の連結用凹部1bを拘束するためのコ字状の端部を示しており、40cは戸当たりを示している。第1の実施形態のシャッターでは、図10に示すように、補強板40のうち、戸当たり40cを除く部分が例えば板金によって形成される。更に、可撓性部材によって形成された戸当たり40cが、例えば接着によって端部40bの下端に取り付けられる。詳細には、例えば板金のような平板状の部材を曲げ加工することにより、凸部40aおよびコ字状の端部40bが形成される。
【0043】
図11は中間引手3および補強板40に対してバランサー30が固定される様子を示した斜視図である。詳細には、図11は筺体100を右後側かつ上側から見た斜視図である。図12は中間引手3および補強板40に対してバランサー30が固定された状態を示した部分断面右側面図である。
【0044】
第1の実施形態のシャッターでは、図11に示すように、ボルト34の雄ねじ部が、リング状部材33の穴を通され、次いで、スペーサ36としてのナットの穴を通され、次いで、補強板40の穴40a1を通され、次いで、中間引手3の穴3a1a(図8および図9参照)を通され、ナット35の雌ねじ部と螺合せしめられる。その結果、図12に示すように、ボルト34のねじ頭とナット35とによって、リング状部材33とスペーサ36と補強板40と中間引手3とが狭持されている。
【0045】
詳細には、第1の実施形態のシャッターでは、図12に示すように、ボルト34およびナット35によって、中間引手3が補強板40に対して押圧されている。また、スペーサ36と中間引手3との間に補強板40が配置されている。更に、図11に示すように、補強板40が中間引手3の長手方向のほぼ全長にわたって延びている。
【0046】
第1の実施形態のシャッターでは、図12に示すように、ねじ溝が形成されていない軸部が、ボルト34の雄ねじ部とねじ頭との間に配置され、その軸部の周りにリング状部材33が配置されているが、第3の実施形態のシャッターでは、代わりに、ねじ溝が形成されていない軸部を省略し、ボルト34の雄ねじ部の周りにリング状部材33を配置することも可能である。
【0047】
また、第1の実施形態のシャッターでは、図11に示すように、スペーサ36として、雌ねじ部を有するナットが用いられているが、第4の実施形態のシャッターでは、代わりに、雌ねじ部を有さない筒状部材をスペーサ36として用いることも可能である。
【0048】
図13は中間引手3にかかるモーメントを説明するための図である。詳細には、図13(A)は図1に示すようにシャッター扉10が閉鎖されている時(詳細には、筺体100の前側開口100aがシャッター扉10によって覆われている時)に中間引手3にかかるモーメントを説明するための図、図13(B)は図2に示すようにシャッター扉10が開放されている時(詳細には、筺体100の前側開口100aがシャッター扉10によって覆われていない時)に中間引手3にかかるモーメントを説明するための図である。
【0049】
第1の実施形態のシャッターでは、図1に示すように、シャッター扉10が閉鎖されている時に、バランサー30のコイルバネ32a,32bによって、シャッター扉10が、開放する向き(図1(A)の上向き)に付勢されている。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、コイルバネ32a,32bが設けられていない場合よりも、シャッター扉10の開操作性を向上させることができる。
【0050】
ところが、シャッター扉10が閉鎖されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(A)に矢印で示すような時計回りのモーメントが中間引手3にかかる。
【0051】
仮に、中間引手3が補強板40によって中間引手3の末端側(図13(A)の下側)のスラット1と一体化せしめられておらず、中間引手3がその末端側のスラット1に対して図13(A)の時計回りに回転できるように構成されている場合には、シャッター扉10が閉鎖されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(A)に矢印で示すような時計回りのモーメントが中間引手3に集中してかかってしまい、中間引手3がガイドレール20a,20bから逸脱するおそれが生じてしまう。
【0052】
この点に鑑み、第1の実施形態のシャッターでは、中間引手3がその末端側のスラット1に対して図13(A)の時計回りに回転できないように構成されている。詳細には、図11および図12に示すように、中間引手3が、ボルト34およびナット35によって補強板40に対して押圧されると共に、中間引手3の末端側のスラット1の連結用凹部1bが、補強板40のコ字状の端部40bによって拘束されている。
【0053】
そのため、第1の実施形態のシャッターでは、シャッター扉10が閉鎖されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(A)に矢印で示すような時計回りのモーメントが、中間引手3、および、補強板40によって一体化されている中間引手3の末端側(図13(A)の下側)のスラット1に分散してかかる。それゆえ、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40が設けられていない場合よりも、シャッター扉10が閉鎖されている時に中間引手3がガイドレール20a,20b(図3参照)から逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0054】
また、第1の実施形態のシャッターでは、図2に示すように、シャッター扉10が開放されている時に、バランサー30のコイルバネ32a,32bによって、シャッター扉10が、閉鎖する向き(図2(A)の下向き)に付勢されている。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、コイルバネ32a,32bが設けられていない場合よりも、シャッター扉10の閉操作性を向上させることができる。
【0055】
ところが、シャッター扉10が開放されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(B)に矢印で示すような反時計回りのモーメントが中間引手3にかかる。
【0056】
仮に、中間引手3が補強板40によって中間引手3の末端側(図13(B)の下側)のスラット1と一体化せしめられておらず、中間引手3がその末端側のスラット1に対して図13(B)の反時計回りに回転できるように構成されている場合には、シャッター扉10が開放されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(B)に矢印で示すような反時計回りのモーメントが中間引手3に集中してかかってしまい、中間引手3がガイドレール20a,20bから逸脱するおそれが生じてしまう。
【0057】
この点に鑑み、第1の実施形態のシャッターでは、中間引手3がその末端側のスラット1に対して図13(B)の反時計回りに回転できないように構成されている。詳細には、図11および図12に示すように、中間引手3が、ボルト34およびナット35によって補強板40に対して押圧されると共に、中間引手3の末端側のスラット1の連結用凹部1bが、補強板40のコ字状の端部40bによって拘束されている。
【0058】
そのため、第1の実施形態のシャッターでは、シャッター扉10が開放されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(B)に矢印で示すような反時計回りのモーメントが、中間引手3、および、補強板40によって一体化されている中間引手3の末端側(図13(B)の下側)のスラット1に分散してかかる。それゆえ、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40が設けられていない場合よりも、シャッター扉10が開放されている時に中間引手3がガイドレール20a,20b(図3参照)から逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0059】
更に、第1の実施形態のシャッターでは、図13(B)に示すように、補強板40の上端部が、中間引手3よりも先端側(図13(B)の上側)に位置するスラット1の本体部1aまで延びている。つまり、第1の実施形態のシャッターでは、中間引手3がその先端側のスラット1に対して図13(B)の反時計回りに回転できないように構成されている。
【0060】
そのため、第1の実施形態のシャッターでは、シャッター扉10が開放されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(B)に矢印で示すような反時計回りのモーメントが、中間引手3、および、その末端側(図13(B)の下側)のスラット1のみならず、その先端側(図13(B)の上側)のスラット1にも分散してかかる。それゆえ、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40の上端部が中間引手3の先端側(図13(B)の上側)のスラット1の本体部1aまで延ばされていない場合よりも、シャッター扉10が開放されている時に中間引手3がガイドレール20a,20b(図3参照)から逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0061】
また、第1の実施形態のシャッターでは、図11および図12に示すように、中間引手3とスペーサ36との間に補強板40が配置され、中間引手3がスペーサ36と接触せしめられない。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、樹脂材料の押出し成形によって形成された中間引手3がスペーサ36と接触せしめられるのに伴って、コイルバネ32a,32bの張力に伴う応力が、中間引手3のうち、スペーサ36と接触する部分に集中し、中間引手3が破損してしまうおそれを排除することができる。
【0062】
更に、第1の実施形態のシャッターでは、図11に示すように、中間引手3とスペーサ36との間に位置する補強板40が、中間引手3の長手方向(図11の左右方向)のほぼ全長にわたって延びている。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40が中間引手3の長手方向のほぼ全長にわたって延びていない場合よりも、コイルバネ32a,32bの張力発生時に中間引手3が湾曲してしまうおそれを低減することができる。
【0063】
また、第1の実施形態のシャッターでは、図12に示すように、中間引手3の断面形状が凹状になるように中間引手3に凹部3aが形成されると共に、補強板40の断面形状が中間引手3の凹部3aの断面形状と概略相補形状になるように、曲げ加工によって凸部40aが形成されている。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40の断面形状が中間引手3の凹部3aの断面形状と概略相補形状になるように補強板40が曲げ加工されていない場合よりも、補強板40の剛性を向上させることができ、それにより、コイルバネ32a,32bの張力発生時に中間引手3が湾曲してしまうおそれを低減することができる。
【0064】
第5の実施形態では、上述した第1から第4の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】シャッター扉10がほぼ閉鎖された状態を示した図である。
【図2】シャッター扉10が開放された状態を示した図である。
【図3】第1の実施形態のシャッターの分解斜視図である。
【図4】図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としてのスラット1の部品図である。
【図5】複数のスラット1が相互に連結される様子を示した図である。
【図6】図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としての引手2の部品図である。
【図7】図1〜図3に示した複数のスラット1のうちの最も先端側(図1(A)、図2(A)および図3の下側)に位置するスラット1と図6に示した引手2とが相互に連結される様子を示した図である。
【図8】図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としての中間引手3の部品図である。
【図9】図1〜図3に示した複数のスラット1のうちの最も末端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の下側)に位置するスラット1と、図8に示した中間引手3と、中間引手3よりも先端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の上側)に位置するスラット1とが相互に連結される様子を示した図である。
【図10】中間引手3とその末端側に位置するスラット1(最も末端側に位置するスラット1)とを一体化するための補強板40の部品図である。
【図11】中間引手3および補強板40に対してバランサー30が固定される様子を示した斜視図である。
【図12】中間引手3および補強板40に対してバランサー30が固定された状態を示した部分断面右側面図である。
【図13】中間引手3にかかるモーメントを説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
1 スラット
1a 本体部
1b 連結用凹部
1c 連結用凸部
2 引手
2a 本体部
2a1 凹部
2b 連結用凹部
2d 戸当たり
3 中間引手
3a 本体部
3a1 凹部
3a1a 穴
3b 連結用凹部
3c 連結用凸部
10 シャッター扉
20a,20b ガイドレール
30 バランサー
31a,31b 係止部材
32a,32b コイルバネ
33 リング状部材
34 ボルト
35 ナット
36 スペーサ
40 補強板
40a 凸部
40a1 穴
40b 端部
40c 戸当たり
100 筺体
100a 前側開口
100b 後側開口
100c 左側壁
100d 右側壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材を樹脂材料の押出し成形によって複数形成し、隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とを嵌合させ、それにより、複数のシャッター扉構成部材を相互に連結し、シャッター扉を構成したシャッターに関する。
【0002】
特に、本発明は、シャッター扉の開閉操作性を向上させつつ、コイルバネが係止されているシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱してしまうおそれを低減することができるシャッターに関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材を樹脂材料の押出し成形によって複数形成し、隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とを嵌合させ、それにより、複数のシャッター扉構成部材を相互に連結し、シャッター扉を構成したシャッターが知られている。この種のシャッターの例としては、例えば特開2005−133438号公報に記載されたものがある。
【0004】
特開2005−133438号公報に記載されたシャッターでは、連結用凹部がシャッター扉構成部材(スラット、引手部材)の上端に配置され、連結用凸部がシャッター扉構成部材(スラット、引手部材)の下端に配置されている。更に、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材(スラット、引手部材)を開閉操作するための引手部が、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材(スラット、引手部材)のうち、最も下側に配置されたシャッター扉構成部材(引手部材)に、設けられている。詳細には、引手部が設けられていないシャッター扉構成部材(スラット)の連結用凸部と引手部が設けられているシャッター扉構成部材(引手部材)の連結用凹部とが嵌合せしめられ、引手部が設けられていないシャッター扉構成部材(スラット)と引手部が設けられているシャッター扉構成部材(引手部材)とが相互に連結されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−133438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特開2005−133438号公報に記載されたシャッターのシャッター扉開閉操作性を向上させるためには、シャッター扉をガイドするためのガイドレールを設け、シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢することが好ましい。
【0007】
シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢するためには、例えばコイルバネを設け、シャッター扉が装着されている筺体にコイルバネの一端を係止し、更に、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材のうちの1個のシャッター扉構成部材にコイルバネの他端を係止する方法が考えられる。
【0008】
詳細には、例えば筺体の開口の半分程度がシャッター扉によって閉鎖されている時にコイルバネの長さが自然長になるようにコイルバネを係止することにより、シャッター扉の開放時にコイルバネの張力によってシャッター扉を閉鎖する向きに付勢することができ、シャッター扉の閉鎖時にコイルバネの張力によってシャッター扉を開放する向きに付勢することができる。
【0009】
ところが、シャッター扉構成部材の構造上、コイルバネの他端をシャッター扉構成部材の重心位置に係止することができない。そのため、コイルバネの他端をシャッター扉構成部材に係止すると、シャッター扉の開放時あるいは閉鎖時に、コイルバネの張力に伴うモーメントがそのシャッター扉構成部材にかかってしまう。
【0010】
詳細には、コイルバネの他端を1個のシャッター扉構成部材に係止すると、コイルバネの張力に伴うモーメントが、そのシャッター扉構成部材に集中してかかってしまい、その結果、そのシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱するおそれが生じてしまう。
【0011】
前記問題点に鑑み、本発明は、シャッター扉の開閉操作性を向上させつつ、コイルバネが係止されているシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱してしまうおそれを低減することができるシャッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材を樹脂材料の押出し成形によって複数形成し、隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とを嵌合させ、それにより、複数のシャッター扉構成部材を相互に連結し、シャッター扉を構成したシャッターにおいて、シャッター扉をガイドするためのガイドレールを設け、シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢するための2個のコイルバネを設け、シャッター扉が装着されている筺体に対して2個のコイルバネの一端を係止し、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材のうちの1個のシャッター扉構成部材に対して2個のコイルバネの他端を係止し、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材と、そのシャッター扉構成部材に対して連結されている隣のシャッター扉構成部材とを一体化するための補強板を設け、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が、隣のシャッター扉構成部材に対して回転できないようにするために、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材を補強板に対して押圧すると共に、コ字状に曲げ加工された補強板の端部によって、隣のシャッター扉構成部材を拘束したことを特徴とするシャッターが提供される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、シャッター扉構成部材に貫通穴を形成し、補強板に貫通穴を形成し、ボルトと、そのボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットと、2個のコイルバネの他端が係止されるリング状部材と、スペーサとを設け、ボルトの雄ねじ部をリング状部材の穴、スペーサの穴、補強板の貫通穴、および、シャッター扉構成部材の貫通穴に挿入し、ボルトのねじ頭とナットとによってリング状部材とスペーサと補強板とシャッター扉構成部材とが狭持され、スペーサとシャッター扉構成部材との間に補強板が位置するように、ボルトの雄ねじ部とナットの雌ねじ部とを螺合させ、補強板がシャッター扉構成部材の長手方向のほぼ全長にわたって延びていることを特徴とする請求項1に記載のシャッターが提供される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材の長手方向に直交する断面形状が凹状になるように、そのシャッター扉構成部材を形成すると共に、補強板の断面形状がシャッター扉構成部材の断面形状と概略相補形状になるように、補強板を曲げ加工したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッターが提供される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のシャッターでは、本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材が、樹脂材料の押出し成形によって複数形成されている。更に、隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とが嵌合せしめられ、それにより、複数のシャッター扉構成部材が相互に連結され、シャッター扉が構成されている。また、シャッター扉をガイドするためのガイドレールが設けられている。
【0016】
更に、請求項1に記載のシャッターでは、シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢するための2個のコイルバネが設けられている。詳細には、シャッター扉が装着されている筺体に対して2個のコイルバネの一端が係止され、相互に連結された複数のシャッター扉構成部材のうちの1個のシャッター扉構成部材に対して2個のコイルバネの他端が係止されている。そのため、請求項1に記載のシャッターによれば、2個のコイルバネが設けられていない場合よりも、シャッター扉の開閉操作性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項1に記載のシャッターでは、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材と、そのシャッター扉構成部材に対して連結されている隣のシャッター扉構成部材とを一体化するための補強板が設けられている。詳細には、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が、隣のシャッター扉構成部材に対して回転できないようにするために、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が、補強板に対して押圧されており、更に、コ字状に曲げ加工された補強板の端部によって隣のシャッター扉構成部材が拘束されている。
【0018】
つまり、補強板が設けられていない場合には、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材に対して、2個のコイルバネの張力に伴うモーメントが集中してかかってしまい、そのシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱するおそれが生じてしまうのに対し、補強板が設けられている請求項1に記載のシャッターでは、2個のコイルバネの張力に伴うモーメントが、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材、および、補強板によって一体化されている隣のシャッター扉構成部材に分散してかかる。
【0019】
そのため、請求項1に記載のシャッターによれば、補強板が設けられていない場合よりも、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0020】
すなわち、請求項1に記載のシャッターによれば、シャッター扉の開閉操作性を向上させつつ、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材がガイドレールから逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0021】
請求項2に記載のシャッターでは、シャッター扉構成部材に貫通穴が形成され、補強板に貫通穴が形成されている。更に、ボルトと、そのボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットと、2個のコイルバネの他端が係止されるリング状部材と、スペーサとが設けられている。また、ボルトの雄ねじ部が、リング状部材の穴、スペーサの穴、補強板の貫通穴、および、シャッター扉構成部材の貫通穴に挿入されている。
【0022】
更に、請求項2に記載のシャッターでは、ボルトのねじ頭とナットとによってリング状部材とスペーサと補強板とシャッター扉構成部材とが狭持され、スペーサとシャッター扉構成部材との間に補強板が位置するように、ボルトの雄ねじ部とナットの雌ねじ部とが螺合せしめられている。
【0023】
また、請求項2に記載のシャッターでは、スペーサとシャッター扉構成部材との間に位置する補強板が、シャッター扉構成部材の長手方向のほぼ全長にわたって延びている。
【0024】
そのため、請求項2に記載のシャッターによれば、樹脂材料の押出し成形によって形成されたシャッター扉構成部材がスペーサと接触せしめられるのに伴って、2個のコイルバネの張力に伴う応力が、シャッター扉構成部材のうち、スペーサと接触する部分に集中し、シャッター扉構成部材が破損してしまうおそれを排除することができる。
【0025】
更に、請求項2に記載のシャッターによれば、補強板がシャッター扉構成部材の長手方向のほぼ全長にわたって延びていない場合よりも、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が2個のコイルバネの張力発生時に湾曲してしまうおそれを低減することができる。
【0026】
請求項3に記載のシャッターでは、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材の長手方向に直交する断面形状が凹状になるように、そのシャッター扉構成部材が形成されると共に、補強板の断面形状がシャッター扉構成部材の断面形状と概略相補形状になるように、補強板が曲げ加工されている。
【0027】
そのため、請求項3に記載のシャッターによれば、補強板の断面形状がシャッター扉構成部材の断面形状と概略相補形状になるように補強板が曲げ加工されていない場合よりも、補強板の剛性を向上させることができ、それにより、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が2個のコイルバネの張力発生時に湾曲してしまうおそれを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明のシャッターの第1の実施形態について説明する。図1および図2は第1の実施形態のシャッターが適用された筺体100を示した図である。詳細には、図1はシャッター扉10がほぼ閉鎖された状態を示した図、図2はシャッター扉10が開放された状態を示した図である。更に詳細には、図1(A)はシャッター扉10がほぼ閉鎖された状態における筺体100を右前側かつ上側から見た斜視図、図1(B)はシャッター扉10がほぼ閉鎖された状態における筺体100を右後側かつ上側から見た斜視図、図1(C)はシャッター扉10がほぼ閉鎖された状態における筺体100の後側面図である。図2(A)はシャッター扉10が開放された状態における筺体100を右前側かつ上側から見た斜視図、図2(B)はシャッター扉10が開放された状態における筺体100を右後側かつ上側から見た斜視図、図2(C)はシャッター扉10が開放された状態における筺体100の後側面図である。図3は第1の実施形態のシャッターの分解斜視図である。
【0029】
図1〜図3において、100aは筺体100の前側開口を示しており、100bは筺体100の後側開口を示しており、100cは筺体100の左側壁を示しており、100dは筺体100の右側壁を示している。1はシャッター扉10を構成するシャッター扉構成部材としてのスラットを示しており、2はシャッター扉10を構成するシャッター扉構成部材としての引手を示しており、3はシャッター扉10を構成するシャッター扉構成部材としての中間引手を示している。20a,20bはシャッター扉10をガイドするためのガイドレールを示している。第1の実施形態のシャッターでは、図3に示すように、シャッター扉10を構成するスラット1、引手2および中間引手3の左側端部がガイドレール20aに挿入され、スラット1、引手2および中間引手3の右側端部がガイドレール20bに挿入される。
【0030】
また、図1〜図3において、30は、図2に示すようにシャッター扉10が開放されている時(詳細には、筺体100の前側開口100aがシャッター扉10によって覆われていない時)にシャッター扉10を閉鎖する向きに付勢し、図1に示すようにシャッター扉10が閉鎖されている時(詳細には、筺体100の前側開口100aがシャッター扉10によって覆われている時)にシャッター扉10を開放する向きに付勢するためのバランサーを示している。32a,32bはバランサー30の一部を構成するコイルバネを示している。31aはコイルバネ32aの一端を筺体100の左側壁100cに対して係止するための係止部材を示しており、31bはコイルバネ32bの一端を筺体100の右側壁100dに対して係止するための係止部材を示している。33はコイルバネ32a,32bの他端が係止されるリング状部材を示している。
【0031】
更に、図1〜図3において、34はシャッター扉構成部材としての中間引手3に対してリング状部材33を固定するためのボルトを示しており、35はボルト34の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットを示している。40は中間引手3とその末端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の下側)に位置するスラット1とを一体化するための補強板を示している。
【0032】
図4は図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としてのスラット1の部品図である。詳細には、図4(A)はスラット1の正面図、図4(B)はスラット1の右側面図である。図4において、1aはスラット1の本体部を示しており、1bはスラット1の連結用凹部を示しており、1cはスラット1の連結用凸部を示している。第1の実施形態のシャッターでは、スラット1が樹脂材料の押出し成形によって複数形成される。
【0033】
図5は複数のスラット1が相互に連結される様子を示した図である。詳細には、図5(A)は複数のスラット1が相互に連結される様子を示した正面図、図5(B)は相互に連結された複数のスラット1の右側面図である。第1の実施形態のシャッターでは、図5(A)に示すように、隣接する2個のスラット1を長手方向(図5(A)の左右方向)に相対移動させることにより、一方のスラット1の連結用凹部1bと他方のスラット1の連結用凸部1cとが嵌合せしめられる。その結果、図5(B)に示すように、複数のスラット1が相互に連結される。
【0034】
図6は図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としての引手2の部品図である。詳細には、図6(A)は引手2の正面図、図6(B)は引手2の右側面図である。図6において、2aは引手2の本体部を示しており、2a1はシャッター扉10の開閉操作時に操作者が指をかけるための凹部を示している。2bは引手2の連結用凹部を示しており、2dは戸当たりを示している。第1の実施形態のシャッターでは、引手2が樹脂材料の押出し成形によって1個形成される。
【0035】
図7は図1〜図3に示した複数のスラット1のうちの最も先端側(図1(A)、図2(A)および図3の下側)に位置するスラット1と図6に示した引手2とが相互に連結される様子を示した図である。詳細には、図7(A)は最も先端側に位置するスラット1と引手2とが相互に連結される様子を示した正面図、図7(B)は相互に連結されたスラット1および引手2の右側面図である。第1の実施形態のシャッターでは、図7(A)に示すように、スラット1および引手2を長手方向(図7(A)の左右方向)に相対移動させることにより、引手2の連結用凹部2bとスラット1の連結用凸部1cとが嵌合せしめられる。その結果、図7(B)に示すように、スラット1および引手2が相互に連結される。
【0036】
図8は図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としての中間引手3の部品図である。詳細には、図8(A)は中間引手3の正面図、図8(B)は中間引手2の右側面図である。図8において、3aは中間引手3の本体部を示しており、3a1は補強板40の一部と嵌合するための凹部を示している。3a1aはボルト34の雄ねじ部を収容するための貫通穴を示しており、3bは中間引手3の連結用凹部を示しており、3cは中間引手3の連結用凸部を示している。第1の実施形態のシャッターでは、中間引手3が樹脂材料の押出し成形よって1個形成され、例えば追加工によって、中間引手3の凹部3a1に貫通穴3a1aが形成される。
【0037】
図9は図1〜図3に示した複数のスラット1のうちの最も末端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の下側)に位置するスラット1と、図8に示した中間引手3と、中間引手3よりも先端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の上側)に位置するスラット1とが相互に連結される様子を示した図である。詳細には、図9(A)は最も末端側に位置するスラット1と中間引手3と中間引手3よりも先端側に位置するスラット1とが相互に連結される様子を示した正面図、図9(B)は相互に連結されたスラット1および中間引手3の右側面図である。
【0038】
第1の実施形態のシャッターでは、図9(A)に示すように、最も末端側(図9(A)の上側)に位置するスラット1と中間引手3とを長手方向(図9(A)の左右方向)に相対移動させることにより、中間引手3の連結用凹部3bとスラット1の連結用凸部1cとが嵌合せしめられる。その結果、図9(B)に示すように、最も末端側(図9(B)の上側)に位置するスラット1と中間引手3とが相互に連結される。
【0039】
更に、第1の実施形態のシャッターでは、図9(A)に示すように、中間引手3よりも先端側(図9(A)の下側)に位置するスラット1と中間引手3とを長手方向(図9(A)の左右方向)に相対移動させることにより、中間引手3の連結用凸部3cとスラット1の連結用凹部1bとが嵌合せしめられる。その結果、図9(B)に示すように、中間引手3と中間引手3よりも先端側(図9(B)の下側)に位置するスラット1とが相互に連結される。
【0040】
第1の実施形態のシャッターでは、図5、図7および図9に示すように複数のスラット1と引手2と中間引手3とを相互に連結することにより、図3に示すようなシャッター扉10が構成される。第1の実施形態のシャッターでは、図1(A)に示すように、シャッター扉10のうち、筺体100の前側開口100aを覆う部分に中間引手3が配置されていないが、第2の実施形態のシャッターでは、筺体100の前側開口100aを覆う幾つかのスラット1に代えて中間引手3を配置することも可能である。詳細には、筺体100の前側開口100aを覆う中間引手3には、穴3a1a(図8参照)が形成されない。
【0041】
第1の実施形態のシャッターの説明に戻り、図10は中間引手3とその末端側に位置するスラット1(最も末端側に位置するスラット1)とを一体化するための補強板40の部品図である。詳細には、図10(A)は補強板40の右側面図、図10(B)は補強板40の後側面図、図10(C)は中間引手3およびその末端側に位置するスラット1に対して補強板40が装着される様子を示した右側面図である。
【0042】
図10において、40aは中間引手3の凹部3a1と嵌合するための凸部を示しており、40a1はボルト34の雄ねじ部を収容するための貫通穴を示している。40bは最も末端側(図10(C)の下側)に位置するスラット1の連結用凹部1bを拘束するためのコ字状の端部を示しており、40cは戸当たりを示している。第1の実施形態のシャッターでは、図10に示すように、補強板40のうち、戸当たり40cを除く部分が例えば板金によって形成される。更に、可撓性部材によって形成された戸当たり40cが、例えば接着によって端部40bの下端に取り付けられる。詳細には、例えば板金のような平板状の部材を曲げ加工することにより、凸部40aおよびコ字状の端部40bが形成される。
【0043】
図11は中間引手3および補強板40に対してバランサー30が固定される様子を示した斜視図である。詳細には、図11は筺体100を右後側かつ上側から見た斜視図である。図12は中間引手3および補強板40に対してバランサー30が固定された状態を示した部分断面右側面図である。
【0044】
第1の実施形態のシャッターでは、図11に示すように、ボルト34の雄ねじ部が、リング状部材33の穴を通され、次いで、スペーサ36としてのナットの穴を通され、次いで、補強板40の穴40a1を通され、次いで、中間引手3の穴3a1a(図8および図9参照)を通され、ナット35の雌ねじ部と螺合せしめられる。その結果、図12に示すように、ボルト34のねじ頭とナット35とによって、リング状部材33とスペーサ36と補強板40と中間引手3とが狭持されている。
【0045】
詳細には、第1の実施形態のシャッターでは、図12に示すように、ボルト34およびナット35によって、中間引手3が補強板40に対して押圧されている。また、スペーサ36と中間引手3との間に補強板40が配置されている。更に、図11に示すように、補強板40が中間引手3の長手方向のほぼ全長にわたって延びている。
【0046】
第1の実施形態のシャッターでは、図12に示すように、ねじ溝が形成されていない軸部が、ボルト34の雄ねじ部とねじ頭との間に配置され、その軸部の周りにリング状部材33が配置されているが、第3の実施形態のシャッターでは、代わりに、ねじ溝が形成されていない軸部を省略し、ボルト34の雄ねじ部の周りにリング状部材33を配置することも可能である。
【0047】
また、第1の実施形態のシャッターでは、図11に示すように、スペーサ36として、雌ねじ部を有するナットが用いられているが、第4の実施形態のシャッターでは、代わりに、雌ねじ部を有さない筒状部材をスペーサ36として用いることも可能である。
【0048】
図13は中間引手3にかかるモーメントを説明するための図である。詳細には、図13(A)は図1に示すようにシャッター扉10が閉鎖されている時(詳細には、筺体100の前側開口100aがシャッター扉10によって覆われている時)に中間引手3にかかるモーメントを説明するための図、図13(B)は図2に示すようにシャッター扉10が開放されている時(詳細には、筺体100の前側開口100aがシャッター扉10によって覆われていない時)に中間引手3にかかるモーメントを説明するための図である。
【0049】
第1の実施形態のシャッターでは、図1に示すように、シャッター扉10が閉鎖されている時に、バランサー30のコイルバネ32a,32bによって、シャッター扉10が、開放する向き(図1(A)の上向き)に付勢されている。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、コイルバネ32a,32bが設けられていない場合よりも、シャッター扉10の開操作性を向上させることができる。
【0050】
ところが、シャッター扉10が閉鎖されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(A)に矢印で示すような時計回りのモーメントが中間引手3にかかる。
【0051】
仮に、中間引手3が補強板40によって中間引手3の末端側(図13(A)の下側)のスラット1と一体化せしめられておらず、中間引手3がその末端側のスラット1に対して図13(A)の時計回りに回転できるように構成されている場合には、シャッター扉10が閉鎖されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(A)に矢印で示すような時計回りのモーメントが中間引手3に集中してかかってしまい、中間引手3がガイドレール20a,20bから逸脱するおそれが生じてしまう。
【0052】
この点に鑑み、第1の実施形態のシャッターでは、中間引手3がその末端側のスラット1に対して図13(A)の時計回りに回転できないように構成されている。詳細には、図11および図12に示すように、中間引手3が、ボルト34およびナット35によって補強板40に対して押圧されると共に、中間引手3の末端側のスラット1の連結用凹部1bが、補強板40のコ字状の端部40bによって拘束されている。
【0053】
そのため、第1の実施形態のシャッターでは、シャッター扉10が閉鎖されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(A)に矢印で示すような時計回りのモーメントが、中間引手3、および、補強板40によって一体化されている中間引手3の末端側(図13(A)の下側)のスラット1に分散してかかる。それゆえ、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40が設けられていない場合よりも、シャッター扉10が閉鎖されている時に中間引手3がガイドレール20a,20b(図3参照)から逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0054】
また、第1の実施形態のシャッターでは、図2に示すように、シャッター扉10が開放されている時に、バランサー30のコイルバネ32a,32bによって、シャッター扉10が、閉鎖する向き(図2(A)の下向き)に付勢されている。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、コイルバネ32a,32bが設けられていない場合よりも、シャッター扉10の閉操作性を向上させることができる。
【0055】
ところが、シャッター扉10が開放されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(B)に矢印で示すような反時計回りのモーメントが中間引手3にかかる。
【0056】
仮に、中間引手3が補強板40によって中間引手3の末端側(図13(B)の下側)のスラット1と一体化せしめられておらず、中間引手3がその末端側のスラット1に対して図13(B)の反時計回りに回転できるように構成されている場合には、シャッター扉10が開放されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(B)に矢印で示すような反時計回りのモーメントが中間引手3に集中してかかってしまい、中間引手3がガイドレール20a,20bから逸脱するおそれが生じてしまう。
【0057】
この点に鑑み、第1の実施形態のシャッターでは、中間引手3がその末端側のスラット1に対して図13(B)の反時計回りに回転できないように構成されている。詳細には、図11および図12に示すように、中間引手3が、ボルト34およびナット35によって補強板40に対して押圧されると共に、中間引手3の末端側のスラット1の連結用凹部1bが、補強板40のコ字状の端部40bによって拘束されている。
【0058】
そのため、第1の実施形態のシャッターでは、シャッター扉10が開放されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(B)に矢印で示すような反時計回りのモーメントが、中間引手3、および、補強板40によって一体化されている中間引手3の末端側(図13(B)の下側)のスラット1に分散してかかる。それゆえ、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40が設けられていない場合よりも、シャッター扉10が開放されている時に中間引手3がガイドレール20a,20b(図3参照)から逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0059】
更に、第1の実施形態のシャッターでは、図13(B)に示すように、補強板40の上端部が、中間引手3よりも先端側(図13(B)の上側)に位置するスラット1の本体部1aまで延びている。つまり、第1の実施形態のシャッターでは、中間引手3がその先端側のスラット1に対して図13(B)の反時計回りに回転できないように構成されている。
【0060】
そのため、第1の実施形態のシャッターでは、シャッター扉10が開放されている時にコイルバネ32a,32bに張力が発生すると、図13(B)に矢印で示すような反時計回りのモーメントが、中間引手3、および、その末端側(図13(B)の下側)のスラット1のみならず、その先端側(図13(B)の上側)のスラット1にも分散してかかる。それゆえ、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40の上端部が中間引手3の先端側(図13(B)の上側)のスラット1の本体部1aまで延ばされていない場合よりも、シャッター扉10が開放されている時に中間引手3がガイドレール20a,20b(図3参照)から逸脱してしまうおそれを低減することができる。
【0061】
また、第1の実施形態のシャッターでは、図11および図12に示すように、中間引手3とスペーサ36との間に補強板40が配置され、中間引手3がスペーサ36と接触せしめられない。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、樹脂材料の押出し成形によって形成された中間引手3がスペーサ36と接触せしめられるのに伴って、コイルバネ32a,32bの張力に伴う応力が、中間引手3のうち、スペーサ36と接触する部分に集中し、中間引手3が破損してしまうおそれを排除することができる。
【0062】
更に、第1の実施形態のシャッターでは、図11に示すように、中間引手3とスペーサ36との間に位置する補強板40が、中間引手3の長手方向(図11の左右方向)のほぼ全長にわたって延びている。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40が中間引手3の長手方向のほぼ全長にわたって延びていない場合よりも、コイルバネ32a,32bの張力発生時に中間引手3が湾曲してしまうおそれを低減することができる。
【0063】
また、第1の実施形態のシャッターでは、図12に示すように、中間引手3の断面形状が凹状になるように中間引手3に凹部3aが形成されると共に、補強板40の断面形状が中間引手3の凹部3aの断面形状と概略相補形状になるように、曲げ加工によって凸部40aが形成されている。そのため、第1の実施形態のシャッターによれば、補強板40の断面形状が中間引手3の凹部3aの断面形状と概略相補形状になるように補強板40が曲げ加工されていない場合よりも、補強板40の剛性を向上させることができ、それにより、コイルバネ32a,32bの張力発生時に中間引手3が湾曲してしまうおそれを低減することができる。
【0064】
第5の実施形態では、上述した第1から第4の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】シャッター扉10がほぼ閉鎖された状態を示した図である。
【図2】シャッター扉10が開放された状態を示した図である。
【図3】第1の実施形態のシャッターの分解斜視図である。
【図4】図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としてのスラット1の部品図である。
【図5】複数のスラット1が相互に連結される様子を示した図である。
【図6】図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としての引手2の部品図である。
【図7】図1〜図3に示した複数のスラット1のうちの最も先端側(図1(A)、図2(A)および図3の下側)に位置するスラット1と図6に示した引手2とが相互に連結される様子を示した図である。
【図8】図1〜図3に示したシャッター扉構成部材としての中間引手3の部品図である。
【図9】図1〜図3に示した複数のスラット1のうちの最も末端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の下側)に位置するスラット1と、図8に示した中間引手3と、中間引手3よりも先端側(図1(B)、図1(C)、図2(B)および図2(C)の上側)に位置するスラット1とが相互に連結される様子を示した図である。
【図10】中間引手3とその末端側に位置するスラット1(最も末端側に位置するスラット1)とを一体化するための補強板40の部品図である。
【図11】中間引手3および補強板40に対してバランサー30が固定される様子を示した斜視図である。
【図12】中間引手3および補強板40に対してバランサー30が固定された状態を示した部分断面右側面図である。
【図13】中間引手3にかかるモーメントを説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
1 スラット
1a 本体部
1b 連結用凹部
1c 連結用凸部
2 引手
2a 本体部
2a1 凹部
2b 連結用凹部
2d 戸当たり
3 中間引手
3a 本体部
3a1 凹部
3a1a 穴
3b 連結用凹部
3c 連結用凸部
10 シャッター扉
20a,20b ガイドレール
30 バランサー
31a,31b 係止部材
32a,32b コイルバネ
33 リング状部材
34 ボルト
35 ナット
36 スペーサ
40 補強板
40a 凸部
40a1 穴
40b 端部
40c 戸当たり
100 筺体
100a 前側開口
100b 後側開口
100c 左側壁
100d 右側壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材を樹脂材料の押出し成形によって複数形成し、
隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とを嵌合させ、それにより、複数のシャッター扉構成部材を相互に連結し、シャッター扉を構成したシャッターにおいて、
シャッター扉をガイドするためのガイドレールを設け、
シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢するための2個のコイルバネを設け、
シャッター扉が装着されている筺体に対して2個のコイルバネの一端を係止し、
相互に連結された複数のシャッター扉構成部材のうちの1個のシャッター扉構成部材に対して2個のコイルバネの他端を係止し、
2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材と、そのシャッター扉構成部材に対して連結されている隣のシャッター扉構成部材とを一体化するための補強板を設け、
2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が、隣のシャッター扉構成部材に対して回転できないようにするために、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材を補強板に対して押圧すると共に、コ字状に曲げ加工された補強板の端部によって、隣のシャッター扉構成部材を拘束したことを特徴とするシャッター。
【請求項2】
シャッター扉構成部材に貫通穴を形成し、
補強板に貫通穴を形成し、
ボルトと、そのボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットと、2個のコイルバネの他端が係止されるリング状部材と、スペーサとを設け、
ボルトの雄ねじ部をリング状部材の穴、スペーサの穴、補強板の貫通穴、および、シャッター扉構成部材の貫通穴に挿入し、
ボルトのねじ頭とナットとによってリング状部材とスペーサと補強板とシャッター扉構成部材とが狭持され、スペーサとシャッター扉構成部材との間に補強板が位置するように、ボルトの雄ねじ部とナットの雌ねじ部とを螺合させ、
補強板がシャッター扉構成部材の長手方向のほぼ全長にわたって延びていることを特徴とする請求項1に記載のシャッター。
【請求項3】
2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材の長手方向に直交する断面形状が凹状になるように、そのシャッター扉構成部材を形成すると共に、補強板の断面形状がシャッター扉構成部材の断面形状と概略相補形状になるように、補強板を曲げ加工したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッター。
【請求項1】
本体部と連結用凹部と連結用凸部とを具備するシャッター扉構成部材を樹脂材料の押出し成形によって複数形成し、
隣接する2個のシャッター扉構成部材を長手方向に相対移動させることにより、一方のシャッター扉構成部材の連結用凹部と他方のシャッター扉構成部材の連結用凸部とを嵌合させ、それにより、複数のシャッター扉構成部材を相互に連結し、シャッター扉を構成したシャッターにおいて、
シャッター扉をガイドするためのガイドレールを設け、
シャッター扉が開放されている時にシャッター扉を閉鎖する向きに付勢し、シャッター扉が閉鎖されている時にシャッター扉を開放する向きに付勢するための2個のコイルバネを設け、
シャッター扉が装着されている筺体に対して2個のコイルバネの一端を係止し、
相互に連結された複数のシャッター扉構成部材のうちの1個のシャッター扉構成部材に対して2個のコイルバネの他端を係止し、
2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材と、そのシャッター扉構成部材に対して連結されている隣のシャッター扉構成部材とを一体化するための補強板を設け、
2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材が、隣のシャッター扉構成部材に対して回転できないようにするために、2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材を補強板に対して押圧すると共に、コ字状に曲げ加工された補強板の端部によって、隣のシャッター扉構成部材を拘束したことを特徴とするシャッター。
【請求項2】
シャッター扉構成部材に貫通穴を形成し、
補強板に貫通穴を形成し、
ボルトと、そのボルトの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有するナットと、2個のコイルバネの他端が係止されるリング状部材と、スペーサとを設け、
ボルトの雄ねじ部をリング状部材の穴、スペーサの穴、補強板の貫通穴、および、シャッター扉構成部材の貫通穴に挿入し、
ボルトのねじ頭とナットとによってリング状部材とスペーサと補強板とシャッター扉構成部材とが狭持され、スペーサとシャッター扉構成部材との間に補強板が位置するように、ボルトの雄ねじ部とナットの雌ねじ部とを螺合させ、
補強板がシャッター扉構成部材の長手方向のほぼ全長にわたって延びていることを特徴とする請求項1に記載のシャッター。
【請求項3】
2個のコイルバネの他端が係止されているシャッター扉構成部材の長手方向に直交する断面形状が凹状になるように、そのシャッター扉構成部材を形成すると共に、補強板の断面形状がシャッター扉構成部材の断面形状と概略相補形状になるように、補強板を曲げ加工したことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−297709(P2008−297709A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141877(P2007−141877)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(591220665)株式会社石黒製作所 (18)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(591220665)株式会社石黒製作所 (18)
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