説明

シャッタ機構

【課題】シャッタ1により筐体101の開口部を開閉するシャッタ機構において、簡単な構成で、シャッタ1を開閉し、閉状態にて完全にシャッタ1をロックする。
【解決手段】シャッタ1は開閉方向端部にピン1a(1b)を備え、前記シャッタ1の開閉方向に移動可能で、前記シャッタ1を閉じたときに前記ピン1a(1b)を上昇させ前記シャッタ1を開くときに下降させるカム溝5a(5b)を有するラックギア5と、当該ラックギア5を前記シャッタ1の開閉方向に移動させるピニオン4と、前記ピン1a(1b)をガイドし前記シャッタ1を閉じたときに前記ピン1a(1b)を退避する退避部2a(22a)を有するガイドレール2、22と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機や現金処理装置などの自動取引装置の入出金口等に設けられるシャッタ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現金自動預払機や現金処理装置などの自動取引装置では、高い防盗性が必要なために、紙幣や硬貨などの現金を投入したり出金したりする筐体の開口部にはシャッタを設け、当該シャッタを入出金するときのみ開き、その他の時は閉じてロックするシャッタ機構が設けられている。
【0003】
このシャッタ機構として、モータでベルトを駆動し、ベルトに固定したリンク機構を介してシャッタを開閉したり、ロックしたりする技術はあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−99647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のシャッタ機構は、省スペースで強固な構造とはなっているが、部品点数がまだ多く、装置コストが高くなってしまうという問題があった。或いはさらに、筺体とシャッタ間の隙間から筺体内部で発生する騒音が筺体外に漏れてしまうという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、シャッタにより筐体の開口部を開閉するシャッタ機構において、前記シャッタは開閉方向端部にピンを備え、前記シャッタの開閉方向に移動可能で、前記シャッタを閉じたときに前記ピンを上昇させ前記シャッタを開くときに下降させるカム溝を有するラックギアと、当該ラックギアを前記シャッタの開閉方向に移動させる駆動手段と、前記ピンをガイドし前記シャッタを閉じたときに前記ピンを退避する退避部を有するガイドレールと、を設けた。或いはさらに、前記シャッタと筐体間の隙間に防音材を設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシャッタ機構によれば、以上のように構成したので、簡単な構成で、シャッタを開閉し、確実にシャッタをロックすることができる。或いはさらに、筺体とシャッタ間の隙間から筺体内部の騒音が筺体外に漏れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の自動化機器の構成を示す外観斜視図である。
【図2】実施例1のシャッタ機構の構成図である。
【図3】実施例1のシャッタ機構の動作説明図である。
【図4】実施例1のシャッタ機構の動作説明図である。
【図5】実施例2のシャッタ機構の構成図である。
【図6】実施例2のシャッタ機構の動作説明図である。
【図7】実施例2のシャッタ機構の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0010】
(構成)
まず、図1の実施例1の自動取引装置の外観斜視図を用いて実施例1の自動取引装置の構成を説明する。自動取引装置200は、顧客操作側から見て手前に(以下、「装置前方側」といい、後側を「装置後方側」という)、選択する取引や口座番号等を入力するためのタッチパネルおよびLCD等から構成される操作部205が配置され、その装置後方側に紙幣の入出金を行う紙幣投入口201および硬貨の入出金を行う硬貨投入口202がそれぞれシャッタ1により覆われて配置されている。
【0011】
さらにその装置後方側には、通帳の投入または返却をする通帳投入口203およびカードの投入または返却をするカード投入口204が配置されている。
【0012】
図2は、前述の紙幣投入口201や硬貨投入口202における筐体101a、101b間の開口部8に備えるシャッタ1と、これを開閉する実施例1のシャッタ機構の構成を示す側面図である。
【0013】
同図に示したように、実施例1のシャッタ機構は、ピン1aおよびピン1bを開閉方向の端部に備えるシャッタ1と、ピン1aをガイドしシャッタ1を閉じたときに退避させる退避部2aを備えたガイドレール2と、装置前方側に配置されピン1bの移動をガイドするガイドレール22と、カム溝5aを備えガイドレール2に沿って移動するラックギア5と、ラックギア5を駆動する駆動手段としてのピニオン4と、シャッタ1の開状態を検知するシャッタ開センサ23とシャッタ1のロックを検知するシャッタロックセンサ24とから構成される。
【0014】
(動作)
以上の構成により実施例1のシャッタ機構は、以下のように動作する。この動作を、前述のシャッタ1を閉じた状態を示す図2、シャッタ1を開き始めた状態を示す図3およびシャッタ1を開いた状態を示す図4を用いて以下詳細に説明する。
【0015】
まず、図2のシャッタ1を閉じた状態からシャッタ1を開く場合は、シャッタロックセンサ24によりシャッタ1がロックされていることを確認した後、ピニオン4を矢印A方向に回転し、ラックギア5を矢印A’方向に移動する。
【0016】
すると、シャッタ1に設けられたピン1aはカム溝5aにガイドされ下降し始め、それに伴ってシャッタ1の装置後方側が開き始め、図3の状態となる。このとき、装置前方側のピン1bはガイドレール22によりガイドされて移動する。
【0017】
そして、さらにピニオン4を矢印A方向に回転し、ラックギア5を矢印A’方向に移動させると、図4に示したように、ラックギア5がシャッタ開センサ23を横切り、これを検知するとシャッタ1が完全に開いた状態となったと判断し、ピニオン4の駆動を停止する。
【0018】
一方、図4のシャッタ開状態からシャッタ1を閉じる場合は、シャッタ開センサ23にてシャッタ1の開状態を確認した後、ピニオン4を矢印B方向に回転すると、ラックギア5が矢印B’方向に移動し始め、ピン1aがガイドレール2とカム溝5aにガイドされて矢印B’方向に移動し始め、これに伴いシャッタ1が移動し、図3の状態となる。
【0019】
さらに、ピニオン4を矢印B方向に回転すると、ピン1aがカム溝5aの斜面とガイドレール2とにガイドされ、退避部2aに移動し、さらにピニオン4を矢印B方向に回転すると、図2のように、ラックギア5がシャッタロックセンサ24を横切り、ロックされたことを検知するとピニオン4の駆動を停止する。このとき、装置前方側のピン1bは、シャッタ1を開く場合と同様、ガイドレール22によりガイドされて移動する。
【0020】
ところで、図2のシャッタ1を閉じロックされた状態において、シャッタ1が外部から外力を受けた場合、筺体101表面に垂直な方向の力F1はカム溝5aで受け、筺体101表面に平行な方向の力F2は退避部2aで受けるため、ピニオン4を回転させる力とはならず、ラックギア5も動かず、シャッタ1も動くことがない。
【0021】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1のシャッタ機構によれば、シャッタにより筐体の開口部を開閉するシャッタ機構において、前記シャッタは開閉方向端部にピンを備え、前記シャッタの開閉方向に移動可能で、前記シャッタを閉じたときに前記一方のピンを上昇させ前記シャッタを開くときに下降させるカム溝を有するラックギアと、当該ラックギアを前記シャッタの開閉方向に移動させる駆動手段と、前記ピンをガイドし前記シャッタを閉じたときに前記一方のピンを退避する退避部を有するガイドレールと、を設けたので、簡単な構成で、シャッタを開閉し、閉状態にて完全にシャッタをロックすることができる。
【実施例2】
【0022】
(構成)
図5は、実施例2のシャッタ機構の構成図である。同図に示したように、実施例2のシャッタ機構では、ラックギア5の装置前方側(図中右側)にもカム溝5bを設け、ガイドレール22にも装置前方側(図中右側)に退避部22aを設けた構成となっている。
【0023】
また、筺体101a、101bにより形成される開口部8の筺体裏側に防音材7を設けている。なお、シャッタ1を閉じた状態を示す図5では、便宜上、防音材7が筺体101a、101bの2辺のみに配置された図となっているが、シャッタ1と筐体101間に隙間が発生しないように開口部8を囲う4辺すべてに防音材7が設けられている。その他の構成は実施例1のシャッタ機構と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0024】
(動作)
以上の構成により、実施例2のシャッタ機構は、以下のように動作する。この動作を前述のシャッタ1を閉じた状態を示す図5、シャッタ1を開き始めた状態を示す図6およびシャッタ1を開いた状態を示す図7を用いて以下詳細に説明する。
【0025】
まず、シャッタ1を開き始める動作では、図5に示したように、シャッタロックセンサ24が検知されているので、図示しない制御部は、このセンサの検知信号を確認し、ピニオン4を矢印A方向に回転し、ラックギア5を矢印A’方向に移動する。
【0026】
すると、シャッタ1に設けられたピン1aおよびピン1bは、図6のように、ラックギア5に設けられたカム溝5aおよびカム溝5bにそれぞれガイドされて下降し始め、それに伴ってシャッタ1が開き始める。
【0027】
そして、さらに、ピニオン4を矢印A方向に回転し、ラックギア5を矢印A’方向に移動させると、ピン1aおよびピン1bがガイドレール2および22によりそれぞれガイドされ、シャッタ1は矢印A’方向に移動する。
【0028】
そして、図7のように、ラックギア5がシャッタ開センサ23を横切りこれを検知すると、シャッタ1が完全に開いた状態となったと判断し、ピニオン4の駆動を停止する。
【0029】
一方、図7の状態からシャッタ1を閉じる場合は、シャッタ開センサ23にてシャッタ1の開状態を確認した後、ピニオン4を矢印B方向に回転すると、ラックギア5が矢印B’方向に移動し始め、ピン1aおよびピン1bがガイドレール2およびガイドレール22にそれぞれガイドされガイドされて矢印B’方向に移動し始め、これに伴いシャッタ1も矢印B’方向に移動し、図6の状態となる。
【0030】
さらに、ピニオン4を矢印B方向に回転すると、ピン1aおよびピン1bがカム溝5aおよびカム溝5bの斜面にそれぞれガイドされて上昇し、図5のように、ガイドレール2および22の退避部2aおよび22aにそれぞれ移動し、ラックギア5がシャッタロックセンサ24を横切る位置でピニオン4の駆動を停止させる。このとき、シャッタ1端部が防音材7と当接し、シャッタ1と筺体101端部間が防音材7により密閉された状態となる。
【0031】
ところで、図5のシャッタ1を閉じロックされた状態において、シャッタ1が外部から外力を受けた場合、筺体101表面に垂直な方向の力F1はカム溝5aおよびカム溝5bで受け、筺体101表面に平行な方向の力F2は退避部2aおよび退避部22aで受けるため、ピニオン4を回転させる力とはならず、ラックギア5も動かず、シャッタ1も動くことがない。
【0032】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2のシャッタ機構によれば、シャッタにより筐体の開口部を開閉するシャッタ機構において、前記シャッタは開閉方向端部にピンを備え、前記シャッタの開閉方向に移動可能で、前記シャッタを閉じたときに前記両方のピンを上昇させ前記シャッタを開くときに下降させるカム溝を有するラックギアと、当該ラックギアを前記シャッタの開閉方向に移動させる駆動手段と、前記両方のピンをガイドし前記シャッタを閉じたときに前記両方のピンを退避する退避部を有するガイドレールと、前記シャッタを閉じたときに前記シャッタと筐体間の隙間を密閉する防音材と、を設けたので、実施例1の効果に加え、前記シャッタを閉じたときの筺体内部から発生する騒音の漏れを低減することができる。
【0033】
《その他の変形例》
なお、実施例1の説明では、防音材を設けない例として説明したが、開口部8の筐体裏側に防音材を設けるようにしてもよい。実施例1の場合、開口部8の筐体裏側すべての防音材を設けると、図3において、ピニオン4を矢印A方向に回転させラックギア5を矢印A’方向に移動させる場合(或いはこの逆の動作において)、シャッタ1と防音材がこすれ、磨耗するため、装置後方側の筐体101aの裏側周辺のみに防音材を設けるようにするのがよい。
【0034】
また、実施例2の説明では、シャッタ1と筐体101間に隙間が発生しないように開口部8を囲う4辺すべてに防音材7を設け、シャッタ1と筺体101端部間を防音材7により密閉する例として説明したが、4辺のうちいずれか、或いは各辺の一部にのみ防音材7を設けるようにしてもよい。
【0035】
また、以上の実施例の説明では、装置後方側にシャッタ1を移動させて開く例を示したが、装置前方側にシャッタ1を移動させて開く場合であっても本発明を適用することができる。この場合、各部の配置および形状は、図2から図7において、図面上、左右対称にすればよい。
【0036】
また、以上の実施例の説明では、シャッタ開センサ23およびシャッタロックセンサ24を設け、シャッタ1の開閉を制御するように説明したが、ピニオン4の回転量を計数してシャッタ1の開閉を制御するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、防盗性を要しシャッタ機構を有する現金自動預払機や現金処理装置などの自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 シャッタ
1a、1b ピン
2、22 ガイドレール
2a、22a 退避部
4 ピニオン
5 ラックギア
5a、5b カム溝
7 防音材
23 シャッタ開センサ
24 シャッタロックセンサ
101、101a、101b 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッタにより筐体の開口部を開閉するシャッタ機構において、
前記シャッタは開閉方向端部にピンを備え、
前記シャッタの開閉方向に移動可能で前記シャッタを閉じたときに前記ピンを上昇させ前記シャッタを開くときに下降させるカム溝を有するラックギアと、
当該ラックギアを前記シャッタの開閉方向に移動させる駆動手段と、
前記ピンをガイドし前記シャッタを閉じたときに前記ピンを退避する退避部を備えたガイドレールと、を設けたことを特徴とするシャッタ機構。
【請求項2】
前記ピンを前記シャッタの開閉方向の両端に備えたことを特徴とする請求項1記載のシャッタ機構。
【請求項3】
前記シャッタと筐体間の隙間に防音材を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のシャッタ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238181(P2012−238181A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106859(P2011−106859)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】