説明

シャフトに発生した損傷検査方法及びその装置

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、シャフトに発生した損傷としての亀裂を検査する方法及びその装置に係り、特に高温雰囲気のもとで繰返し荷重あるいは変動荷重を受けるようなポンプのシャフトの検査に関するものである。
[従来の技術]
高温雰囲気のもとで繰返し荷重を受ける機械構造物として発電プラント用高速ポンプ等がある。このような高速ポンプは、起動,停止の繰返し、あるいは、負荷の変動に伴いポンプを構成する機械構造物は、熱疲労と単なる疲労損傷を同時に受ける結果、疲労と材料の経年劣化に由来する損傷の累積により、部品に亀裂が生じて構造強度が低下する。
このような場合、機械構造物としての強度的な余寿命評価を行っておかないと、機器の破損や、それに伴う発電プラントの大事故に至る危険性があるものと考えられる。特に、高速ポンプのシャフトは構成上重要な位置にあり、強度上の余寿命評価を行うことが肝要である。そのため、シャフトに損傷としての亀裂等が発生しているか否か検査することが要請されている。
今日、機械構造物の検査を行う従来技術としては、種々のものが提案され、実用に供されつつある。
例えば、特願昭59−260759号公報のもの(第一の従来技術と云う)は、発電設備の中でボイラ,タービンにおける損傷評価技術として、クリープ疲労における部位の中の微視的な亀裂をCCDカメラと画像処理を用いて、一度に広範囲なサンプリングを行い、極値統計法から最大亀裂長さを予測するようにしている。
また、「材料強度研究における表面微小き裂検出への画像処理技術」(材料試験技術Vol.No.1 1989年1月)(第二の従来技術と云う)において、亀裂の進展,疲労の挙動状態を光学顕微鏡とCCDカメラと画像処理装置で検出することが論じられている。また、これを利用した非破壊検査法としては超音波やX線フォトグラフと画像処理装置を組合わせた形で行われているものもある。
さらに、一般的な非破壊検検査方法としては、検査者が金属材料の表面の亀裂を目視で確認したり、染色探傷探査(PT),磁粉探傷検査(MT)等の検査方法が主とされ、これらにより亀裂等の損傷の有無を判定するようにしている(第三の従来技術と云う)。染色探傷探査(PT)は染色液を被検査物であるシャフトの表面に吹き付け、そのシャフトの表面を拭き取ると、シャフトに亀裂が生じている場合には、亀裂部分に入り込んだ染色液を確認できることにより、亀裂などの損傷を認識するものである。磁粉探傷検査(MT)は、磁化させたシャフトに亀裂等の損傷があると、その損傷部分に磁束の漏れが生じ、小さな磁極ができることを利用したものであって、磁化させたシャフトの損傷部分に磁粉をかけ、その磁粉が損傷部分に吸着されたとき、その部分を見やすくするために蛍光を当て、該蛍光により損傷部分光って見えることにより、認識するものである。
[発明が解決しようとする課題]
上記の如く、発電設備の補機であるポンプのシャフトは、新製品の出荷時あるいは定期点検時に亀裂等の損傷を検査する必要がある。
しかし、第一,第二の従来技術のものでは実験室のような小規模の程度のものにしか適用されておらず、そのため、径や長さとも小さなシャフトを対象としているばかりでなく、極値統計法等を用いた推論で亀裂の余寿命を判定しているので、実用に際して信頼性の問題がある。しかもシャフトの損傷のデータ採取,データ処理や解析に時間がかかるばかりでなく、定量的なデータ把握蓄積が困難であると云う問題がある。
また、第三の従来技術のものでは染色探傷検査,磁粉探傷検査であるため、これらは検査者の目で確認することとなり、そのため、損傷の有無のみならず損傷の程度を正確に判定することが難しく、例え熟練検査者であっても微小な損傷では正確に判定することが難しい問題がある。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点に鑑み、実際に用いるシャフトの損傷の度合いに基づいて余寿命を判定し、またシャフトの損傷のデータを容易に管理でき、しかも損傷の検査時間の短縮化を図ることができ、以て信頼性の高い損傷評価や余寿命の判定を行うことができるシャフトに発生した損傷検査方法を提供することにあり、他の目的は上記方法を的確に実施できるシャフトに発生した損傷検査装置を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
上記目的を達成するため、本発明方法では、サンプリングされたシャフトの検査部位を、全周に亘り検査体によって拡大して撮像したとき、その拡大画像に基づきシャフトの損傷として亀裂の有無を判定し、該亀裂が発生している場合、該亀裂データに基づきシャフトの予想余寿命を判定する方法であって、シャフトに亀裂が発生している場合、検査体を、シャフトの検査部位に対し焦点位置を若干ずらして位置決めし、撮像画像上で亀裂を浮き上がらせるようしている。
また、本発明装置では、サンプリングされたシャフトの検査部位に移動し、該検査部位を全周に亘り拡大して撮像する検査体と、その拡大画像に基づきシャフトの損傷としての亀裂の有無を判定し、該亀裂が発生している場合、亀裂データに基づきシャフトの予想余寿命を判定するマイクロコンピュータとを備えている。そして、シャフトに亀裂が発生している場合、シャフトの検査部位に対し検査体の焦点位置を若干ずらして位置決め制御し、撮像画像上で亀裂を浮き上がらせる手段を有している。
[作用]
本発明方法では、サンプリングされたシャフトの検査部位に検査体を移動し、該検査体によりシャフトの検査部位を拡大して撮像し、マイクロコンピュータにより、その拡大撮像したデータに基づいてシャフトに損傷としての亀裂が発生しているか否かを判定し、亀裂が発生している場合、該亀裂データに基づきシャフトの予想余寿命を判定するようにしたので、微小な亀裂からシャフトの予想余寿命の判定まで自動的に行うことができる。
従って、マイクロコンピュータを使用することにより、検査時間を大幅に短縮させることができ、しかもデータ採取,データ処理や解析を短時間で処理することができると共に、それらの処理能力の増加を図ることも可能となる。
また、シャフトに亀裂が発生している場合、検査体がシャフトの検査部位に対し焦点位置を若干ずらし、撮像した画像上でその亀裂が浮き出るようにしたので、亀裂を明確に識別することができ、マイクロコンピュータによる亀裂識別を確実にかつ容易に実行することができる。加えて、実際のシャフトをサンプリングし、そのシャフトの損傷度合いに基づいて検査を行うので、極値統計法のような推論で処理することがなく、また熟練検査者を必要とせず、亀裂を正確に判定することができるので、シャフトの余寿命を定量的にかつ正確に診断することが可能となる。その結果、実機に対応した信頼性の高い損傷評価や余寿命評価を行うことができる効果がある。
また、本発明装置では、前述の如く、サンプリングされたシャフトの検査部位に移動しい、該検査部位を全周に亘り拡大して撮像する検査体と、その拡大画像に基づきシャフトの損傷としての亀裂の有無を判定し、該亀裂が発生している場合、亀裂データに基づきシャフトの予想余寿命を判定するマイクロコンピュータとを備え、シャフトに亀裂が発生している場合、シャフトの検査部位に対し検査体の焦点位置を若干して位置決め制御し、撮像画像上で亀裂を浮き上がらせる手段を有しているので、上記方法を的確に実施できる効果がある。
[実施例]
以下、本発明の実施例を第1図乃至第3図により説明する。第1図は本発明の損傷検査方法を実施するための損傷検査装置の一実施例を示す全体説明図、第2図は制御手段の処理内容を示す説明図、第3図はシャフトの検査部位を拡大撮像した微小亀裂を示す説明図である。
本発明の損傷検査方法を実施するための実施例の損傷検査装置は、大別すると、シャフト1用の支持手段2と、検査体としての撮像カメラ9と、該撮像カメラ9を移動させる移動機構と、画像処理部16と、マイクロコンピュータ19とを備えて構成されている。
前記支持手段2は、第1図及び第2図に示すように、チャック部3とセンタリング部4とステッピングモータ5とが架台6に取付けられている。ステッピングモータ5の出力軸が減速機7を介しチャック部3に連結され、駆動装置8によって駆動されるようにしている。そして、チャック部3によりシャフト1の一端部をチャックすると共に、その他端面の中央をセンタリング部4により支持し、ステッピングモータ6でチャック部3を駆動することにより、シャフト1を軸周りに回転させ、シャフト1の任意の検査部位を所望位置に位置決めするようにしている。
撮像カメラ9は、シャフト1の表面を撮像するものであって、例えばCCD素子等の固体撮像素子を組込んで構成されたビデオカメラからなっており、そのレンズにシャフト1を拡大視するために光学顕微鏡10を取付けている。そして、シャフト1が支持手段2によって位置決めされたとき、その表面の所望部位を光学顕微鏡10により拡大させ、撮像カメラ9により撮像するようにしている。光学顕微鏡10の拡大率は予め適宜に選定されているが、その都度決定されても良い。
また、前記移動機構は、第一の移動部を有している。該第一の移動部は、駆動装置11によって駆動されかつ前記架台6上に設置されたステッピングモータ12と、その出力軸に連結され、かつ両端部が保持部13に保持されたスクリュー軸14と、両保持部13,13間にスクリュー軸14と平行に取付けられたガイドレール15とを具えている。ガイドレール15は撮像カメラ9を挿通しており、スクリュー軸14は撮像カメラ9に設けられたナット(図示せず)と螺合している。そして、ステッピングモータ12が駆動され、スクリュー軸14が軸周りに回転すると、撮像カメラ9がガイドレール15に沿って移動、即ち撮像カメラ9がシャフト1の軸方向に移動するようにしている。また、前記移動機構は図示していないが、撮像カメラ9をシャフト1の軸方向と直交する方向、即ち垂直方向に移動させる第二の移動部と、撮像カメラ9をシャフト1に対しフォーカス方向に移動させる第三の移動部とを有している。
従って、前記移動機構は、第一〜第三の移動部によりシャフト1の表面の所望位置に撮像カメラ9を移動させることができるようにしている。
前記画像処理部16は撮像カメラ9の第一の出力側に接続され、撮像カメラ9によって撮像されたシャフト1表面のビデオ信号を横微分処理或いは2値化処理することにより、後述するマイクロコンピュータ19に処理データを送るようにしている。
この場合、撮像カメラ9の第二の出力側にはビデオレコーダー17及びビデオモニター18が接続され、撮像カメラ9によって撮像されたシャフト1の所望位置をビデオレコーダー17によって記録すると共に、ビデオモニター18により映し出すようにしている。
マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称す)19は、画像処理部16とインターフェース20を介し接続され、またそのインターフェース20にインターフェース21を介しステッピングモータ用の駆動装置8及び11が接続されている。そして、画像処理部16によって入力されたデータに基づきシャフト1の周囲に亀裂があるか否かを判定する。
即ち、マイコン19は第2図に示すように、入力処理部31によってステッピングモータ用の駆動装置8,11及び撮像カメラ9の移動手段の夫々の指令を送り、その指令に従ってシャフト1が回転して位置決めされると共に、撮像カメラ9が移動してシャフト1の検査部位を拡大して撮像すると、その駆動装置8,11からインターフェース21,20を経て入力処理部31にシャフト1の位置データ及び撮像カメラ9の位置データが入力されると共に、撮像カメラ9から画像処理部16,インターフェース20を経てシャフト1の撮像データが入力され、それらのデータを入力時の計測データ32としてメモリに格納し、そのデータに基づいて亀裂データを解析すべく編集処理33するようにしている。そのため、マイコン19はシャフト1及び撮像カメラ9を所望位置に位置決めし得るように駆動装置8及び駆動装置11を制御するようにしている。
前記編集処理33においては、格納されたデータに基づきまずシャフト表面に亀裂があるか否かを判定し、その結果、第1図に符号Aで示すように、亀裂があることによって亀裂認識し、その亀裂のシャフト1上での位置及び亀裂の大きさ等を読み取り、しかもその際同図及び第3図3図に示すように、双方の亀裂a,bが互いに近接した位置にある場合には一つの亀裂とみなすことにより亀裂の合体処理を行い、さらにそのシャフト1の外表面の微小亀裂分布の解析を行うようにしている。
前記亀裂の合体処理においては、双方の亀裂a,bが略同方向に向いていて、かつ互いに予め定められた基準値より短い距離で離れている場合等に、それらを一つの亀裂とみなすようにしている。前記微小亀裂分布の解析は、シャフト1の外表面において亀裂が周方向の表面はもとより軸方向の表面の何れにあるのかを求める。
このようにして、亀裂認識,合体処理,微小亀裂分布解析を行った後、編集処理33を実行する。該編集処理33過程においては、第1図に示すように、検出された亀裂がその長さ毎にシャフト1の外表面においてどの程度の頻度で存在するのかを判定し、即ちシャフト1の外表面に発生した亀裂の頻度とその亀裂の長さとの関係から微小亀裂頻度分布解析し(B)、さらに微小亀裂頻度分布と微小亀裂分布との関係から最大亀裂長さを判定する(C)ようにする。そして、最大亀裂長さからその亀裂の予想される進展度合いをマスターカーブにして表示する(D)と共に、最大亀裂長さとシャフト1の余寿命との関係のパラメータに基づいて演算することにより、そのシャフト1の予想余寿命を判定する(E)ようにもしている。
さらに、マイコン19は、最大亀裂長さを判定すると、微小亀裂分布解析と微小亀裂頻度分布と最大亀裂長さとを表示データ34としてメモリに格納し、この表示データ34を表示処理部35によって画像処理部16に設けられているモニター36に写し出すと共に、プリンタ37によりプリントアウトするようにしている。
一方、編集処理33においては、微小亀裂分布解析と微小亀裂頻度分布と最大亀裂長さとを保存データ38としてフロッピーディスク39等にファイル処理し、またそれらのデータを送信データ40として予想余寿命判定プログラム42に転送処理41するようにしている。
さらに、前記マイコン19は、撮像カメラ9によるシャフト1の検査部位の撮像時、その検査部位に生じた亀裂を明確に識別できるようにするため、シャフト検査部位に対し撮像カメラ9の焦点位置が若干ずれるように前記移動機構の第三の移動部を制御するようにしている。
次に、損傷検査装置の動作に関連して本発明方法の一実施例を述べる。
まず、マイコン19により支持手段2を駆動し、シャフト1を軸周りに回転させ、シャフト1の検査すべき部位が撮像カメラ9と対応する位置に略位置するところで回転を止めてシャフト1を位置決めし、その位置決めしたシャフト1の検査部位に対し撮像カメラ9を移動手段により移動させることにより、撮像カメラ9がシャフト1の検査部位を拡大して撮像し、以下これを繰り返すことによりサンプリングされたシャフト1の外表面を全てにわたり拡大して撮像する。
このとき、撮像カメラ9によりシャフト1の検査位置がビデオレコーダー17に記録されると共に、ビデオモニター18に映し出される。
一方、画像処理部16は、撮像カメラ9によってビデオ信号が入力されると、そのビデオ信号に基づいて画像処理した後、その画像処理データをマイコン19に送る。マイコン19は画像処理データが入力されると、そのデータからシャフト1に亀裂が発生しているか否かを判定する。
その際、亀裂があると、マイコン19は、駆動装置8,11からインターフェース21,20を経て入力処理部31にシャフト1の位置データ及び撮像カメラ9の位置データが入力されると共に、撮像カメラ9から画像処理部16,インターフェース20を経てシャフト1の撮像データが入力され、その入力データに基づいて編集処理33する。即ち、マイコン19は、入力データに基づきシャフト1に亀裂があるか否かを判定する。その結果、亀裂がある場合には、第1図に示すように、亀裂認識する。
このとき、撮像カメラ9がシャフト1の検査部位に対し焦点位置を若干ずらすので、シャフト1に亀裂が発生している際にその亀裂が浮き出ることとなり、亀裂を明確に識別することができ、マイコン19による亀裂認識を確実にかつ容易に行うことができる。。
また上記亀裂認識後、亀裂が互いに近距離にあることによってそれらを一つの亀裂として合体処理し、さらにその合体処理に基づいてシャフト1の外表面における微小亀裂分布を解析する。
その後、亀裂長さとシャフト1の外表面における亀裂の頻度との関係から微小亀裂頻度分布を求め(B)、次いで最大亀裂長さを判定し(C)、予めメモリに入力された最大亀裂長さと余寿命との関係である微小亀裂進展のマスターカーブ(D)からシャフト1の予想余寿命判定を行う(E)。
このように、シャフト1に亀裂がある場合には、マイコン19を使用することにより、微小な亀裂からシャフト1の余寿命評価まで自動的に行うので、従来例に比べると、検査時間を大幅に短縮させることができ、しかもデータ採取,データ処理や解析を短時間で処理することができると共に、それらの処理能力の増加を図ることも可能になり、また保存データ38によってデータを登録しておくことができるので、定量的なデータの把握蓄積を容易に行うことができる。加えて、実際のシャフトの損傷度合いに基づいて検査を行うので、第一,第二の従来技術に比べ、極値統計法のような推論で処理することがなく、また第三の従来技術に比べ熟練検査者等を必要としないので、亀裂を正確に判定することができ、シャフト1の予想余寿命を正確にかつ定量的に判定することが可能となる。
実施例の損傷検査装置においては、シャフト1用の支持手段2と、撮像カメラ9と、該撮像カメラ9を移動させる移動機構と、画像処理部16と、マイクロコンピュータ19とを備えて構成されているので、微小な亀裂からそのシャフトの余寿命を確実に診断できる。
また移動機構が、検査体9をシャフト1の軸方向に沿って移動させる第一の移動部と、検査体9をシャフト1の軸方向と直交する方向に移動させる第二の移動部と、検査体9をシャフト1の検査部位に対しフォーカス方向に移動させる第三の移動部とを有しているので、これら第一〜第三の移動部により、シャフト1の外表面の所望位置に検査体9を容易に移動させることができ、シャフト1全体に亘り確実に亀裂を検査することができる。さらに、検査体9として、ビデオカメラで構成しているので、特殊なものを使用する必要がなく、市販のものでよいので、安価で容易に入手することができる。
なお図示実施例では、検査体9として、光学顕微鏡を取付けたビデオカメラで構成した例を示したが、光学顕微鏡の代わりとして例えばレーザ光を利用するレーザ顕微鏡を用いると、レーザ光は直進性が良好であるため、シャフト1の亀裂の奥深くまで照射することができ、そのため、亀裂をより正確に認識することができることとなる結果、シャフトの予想余寿命をより正確に判定することが可能となるばかりか、ビデオカメラの解像度が低下するのを抑えることもできる。また図示実施例では、画像処理部16が検査体9からの撮像信号を取り込んで演算するように構成した例を示したが、例えば画像処理部16にX線回析機能を持たせ、該X線回析部によって検査体9の撮像信号からシャフト1の亀裂が発生する前の時点での劣化状態を判定することが可能になり、亀裂が発生しなくとも、シャフト1の劣化状態を確実に認識でき、それだけ高度な検査内容にすることができる。
[発明の効果]
以上述べたように、本発明方法によれば、検査時間を大幅に短縮でき、データ採取,データ処理や解析を短時間で処理できると共に、それらの処理能力の増加を図ることも可能となり、またシャフトに亀裂が発生している場合、撮像した画像上でその亀裂が浮き出るようすることにより、亀裂識別を確実にかつ容易に実行することができ、加えて、実際のシャフトの損傷度合いに基づいて検査を行うことにより、極値統計法のような推論で処理することがないばかりでなく、熟練検査者を必要とせず、亀裂を正確に判定でき、シャフトの余寿命を定量的にかつ正確に診断することが可能となる結果、実機に対応した信頼性の高い損傷評価や余寿命評価を行うことができる効果がある。
また本発明装置によれば、上記方法を的確に実施し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の損傷検査方法を実施するための損傷検査装置の一実施例を示す全体説明図、第2図は制御手段の処理内容を示す説明図、第3図はシャフトの検査部位を拡大撮像した微小亀裂を示す説明図である。
1……シャフト、2……支持手段、9……検査体、10……光学顕微鏡、11〜15……移動機構、16……画像処理部、19……マイクロコンピュータ、A……微小亀裂分布解析、B……微小亀裂頻度分布、C……最大亀裂長さ判定、E……予想余寿命判定。

【特許請求の範囲】
【請求項1】サンプリングされたシャフトの検査部位を、全周に亘り検査体によって拡大して撮像したとき、その拡大画像に基づきシャフトの損傷としての亀裂の有無を判定し、該亀裂が発生している場合、該亀裂データに基づきシャフトの予想余寿命を判定する方法であって、シャフトに亀裂が発生している場合、検査体を、シャフトの検査部位に対し焦点位置を若干ずらして位置決めし、撮像画像上で亀裂を浮き上がらせるようにすることを特徴とするシャフトに発生した損傷検査方法。
【請求項2】サンプリングされたシャフトの検査部位に移動し、該検査部位を全周に亘り拡大して撮像する検査体と、その拡大画像に基づきシャフトの損傷としての亀裂の有無を判定し、該亀裂が発生している場合、亀裂データに基づきシャフトの予想余寿命を判定するマイクロコンピュータとを備え、シャフトに亀裂が発生している場合、シャフトの検査部位に対し検査体の焦点位置を若干ずらして位置決め制御し、撮像画像上で亀裂を浮き上がらせる手段を有することを特徴とするシャフトに発生した損傷検査装置。
【請求項3】請求項2において、前記検査体を、レンズにレーザ顕微鏡を取付けたビデオカメラで構成することを特徴とするシャフトに発生した損傷検査装置。
【請求項4】請求項2において、前記画像処理装置は、X線回析装置を有することを特徴とするシャフトに発生した損傷検査装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【特許番号】第2839196号
【登録日】平成10年(1998)10月16日
【発行日】平成10年(1998)12月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−277134
【出願日】平成1年(1989)10月26日
【公開番号】特開平3−140846
【公開日】平成3年(1991)6月14日
【審査請求日】平成8年(1996)3月4日
【出願人】(999999999)株式会社日立製作所
【参考文献】
【文献】特開 昭61−160037(JP,A)
【文献】特開 昭62−54110(JP,A)
【文献】特開 昭59−150331(JP,A)
【文献】特開 昭64−57156(JP,A)
【文献】特開 平1−156641(JP,A)
【文献】実開 平1−129609(JP,U)