説明

シャフトロッド及び綜絖

【課題】改良されたシャフトロッドを提供する。
【解決手段】本発明に従うシャフトロッド(2)は、その狭い面の1つにおいて、シャフトロッドに後に設けられ、補強要素(24)が接着される少なくとも1つの凹部(21)を有する。シャフトロッドの外側の材料は、付加的要素を取り付けるための固定領域(32,33)を形成する。凹部は好ましくは、補強要素が接着される凹部として利用されるエロクサール層のない中空スペースが露出するように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織機のためのシャフトロッドと、少なくとも1つのこのシャフトロッドを有する綜絖(ヘルドシャフト)に関する。
【背景技術】
【0002】
綜絖は支持力に関する増加する要件を受けやすい。このような要件は、経済的理由のためにさらに大きい出力、従ってさらに大きい生産性で作動しなければならない織機の増大する作動速度(rpm)から始まる。織機の限られた構造スペース内で前記の要件を満足する綜絖を構成するために、原則として縦の運動方向のたわみに非常に抵抗力のあるシャフトロッドが先ず必要である。
【0003】
従来技術においてはシャフトロッドの構造に関して様々な提案が知られている。しかしながら、これら提案の極少数だけが実用的だと証明されている。例えば、特許文献1は側面部品と強化部分からなるシャフトロッドを開示する。しかしながら、このシャフトロッドの製造にはかなりの出費が伴い、よって高価になる。
【0004】
特許文献2は鋼の使用に制限された装置を開示する。比較的安価な材料の使用のため、この構造は幾らか成功を収めている。しかしながら、重量を考慮するとこの構造は制限される。
【0005】
別な提案が特許文献3でなされている。しかしながら、提案された高価な繊維強化材の過度の使用は経済的な成功のかなりの障害である。
【0006】
興味深い装置が特許文献4に記載されている。これは、端において楔形状に切れた補強要素を具備した単一室又は複数室の押出成形アルミニウム部材から始まる、シャフトロッドの製造を開示する。補強要素はアルミニウム基体に接着される。補強要素をアルミニウム基体に導入するために、例えば、押出成形アルミニウムの初めから閉じた室がその領域に存在する押出部材の壁を部分的に取り除くことで少なくとも1つの面に対して開かれる。補強要素はこのようにして得られた細長い開口を介してシャフトロッドに導入され、そこに接着される。このコンセプトに基づいて、軽量だが硬いシャフトロッドが経済的に製造される。しかしながら、駆動要素をこのシャフトロッドに固定することに困難がある。さらに、補強要素とシャフトロッドとの接着結合は構造の弱い部分であることが証明される。
【0007】
【特許文献1】DE3937657
【特許文献2】DE4101512
【特許文献3】EP0288652
【特許文献4】DE10349382
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は改良されたシャフトロッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的は請求項1,3又は15に記載されたシャフトロッドにより達成される。
【0010】
本発明に従うシャフトロッドは、請求項1に従う第1実施形態では、細い面に位置し凹部が形成されたウェブを具備した基体を有する。凹部は好ましくはウェブを貫通せず、むしろ5つの面上の壁で囲まれた一方に開いたポケットだけを形成する。これは、例えばウェブに形成された凹部の深さをウェブの厚さより小さくすることで実現される。細長い凹部又はポケットの境界を定める底部は貫かれない。基体の壁厚より大きい壁厚の補強要素が設けられる場合でもこれを可能にするために、それぞれのウェブの厚さがその平坦面の基体の壁厚より著しく大きいと好ましい。例えば、ウェブは少なくともほぼ正方形の横断面を有する。深めのポケットの装備を可能にする非常に重いウェブ(massive web)の形成により、同時に、凹部の外側に残るウェブの部分が駆動要素などの他の要素のための固定位置を構成する利点がある。
【0011】
押出成形アルミニウム部材から出発して、シャフトロッドの製造は柔軟性があり、様々な条件に向けられる。例えば、所望のサイズに切られた押出成形部材において、先ずこれらの位置が決定される。これらには補強要素は固定されない。これらの位置では、何も重ウェブから取り除かれない。例えば、フライスプロセスによりこれらの位置の間に縦凹部又はポケットが設けられる。次いで、補強要素はこれらポケットに固定される。
【0012】
補強要素を固定するために接着技術が用いられると好ましい。凹部は底部で閉じているので、補強要素は少なくとも3つの側面でアルミニウム部材に接着される。たとえ大量生産において必ずしも全ての接着位置に対して同様に高品質が実現されなくても、補強要素の信頼できる取り付けが保証される。仮にあったとしても、大きい全接着面のために、補強要素とアルミニウム基体の接着結合の不可避的に存在する弱い位置はほとんど悪影響を有しない。
【0013】
好ましい実施形態によれば、補強要素は、互いに平行で離れた関係でシャフトロッドの両方のウェブに適用される。補強要素は好ましくは同じ材料で構成される。これにより、製造の間に広がる温度とは異なる温度で綜絖又はシャフトロッドを操作することができる。この形式では、シャフトロッドは少なくとも3つの材料、すなわち基礎部材のためのアルミニウム、シャフト支持レールのための鋼及び補強要素のための繊維強化プラスチックからなる。通常、これは操作の間にシャフトロッドのかなりのたわみをもたらす。例えば、そこに連続して配置されたヘルドが熱変形のためにもはやシフトしなくなるので、このたわみは非常に早くウェブシャフトを使い物にならなくしうる。シャフトロッドの反対側に位置する狭い面に同じタイプの2つの補強要素を設けることでこの現象が避けられ、この熱変形が許容できる限界内に維持される。
【0014】
請求項3のテーマである変形例では、補強要素を収容する凹部がウェブを貫通することが許される。この例ではウェブは、他の部分の基体よりかなり大きい厚さを有する。このようにして、補強要素の外側では、残りの厚いウェブ部分は駆動要素などの外側要素の取り付けの可能性を与える。補強要素の取り付けは任意の位置に可能である。取り付けのために設計された位置では、ウェブは取り除かれないが、力導入位置として利用できる。残りの位置では、補強要素のための収容スペースを与え、シャフトロッドの重量を減少させるために、ウェブは全体的又は部分的に取り除かれる。
【0015】
補強要素は好ましくは凹部と同じ横断面形状を有する。これは、補強要素の基体への所望の3面接着を保証する。補強要素、従って凹部は好ましくは長方形横断面を有する。しかしながら、本発明の範囲内で、台形、U形又は半円横断面などの他の横断面形状を使用することも可能である。さらに、円横断面を有する補強要素が半円横断面の凹部に接着されてもよい。
【0016】
さらに、補強要素は凹部のそれと等しい縦断面形状を有する。これは、補強要素の基体への5面接着を可能にする。この装置は必ずしも必要でないが、凹部、従って補強要素の端部もシャフトロッドの縦方向に急に終端しないことが重要である。むしろ、凹部が終端領域で平らに終端するように凹部の端部が徐々に切れることが求められる。従って、補強要素の端部は好ましくは楔形又はランプ形である。このような装置は、シャフトロッドの急な横断面の変化、従ってその剛性の急な変化の発生を防ぐ。これは、さもなければ生じる高い動的応力によるシャフトロッドの破壊を防ぎ、シャフトロッドの剛性の変化を実質的に局所的に防ぐ。凹部の切れは直線又は円弧状である。これに関連して、終端領域の長さを凹部の深さの最小で2倍、最大で4倍に設計することが求められる。凹部の縦断面形状及び補強要素のそれは終端領域で互いに一致するが、それらは互いに異なってもよい。終端領域の前記の長さは、例えば合成に関する不都合をもたらさずに凹部に円弧状端部を設け、補強要素に直線に延びる楔形端部を設けることを可能にする。
【0017】
請求項15で定められるシャフトロッドの好ましい実施形態では、シャフトロッドはその外側面に、傷つきにくさを増加させ、腐食傾向を減少させるエロクサール層が設けられる。しかしながら、補強要素を収容するための凹部はエロクサールコーティングはないままである。それにもかかわらず、エロクサール層は凹部の端部に存在する。そこでは邪魔にならない。これは製造信頼性及びシャフトロッドの必要な強度に適合する。補強要素とアルミニウム基体との接着結合がエロクサール層の存在によってかなり改良されることが分かった。これらの条件は、基体の外側面にエロクサール層を付与する間、まず押出成形アルミニウム部材に存在する中空チャネルを閉じたままに維持することで得られる。アルミニウム基体に作用する電解質はアルミニウム基体のチャネルに場合によっては入り込むが、エロクサール層はせいぜい端部の短い領域にだけ形成される。エロクサールプロセスの完了後にのみウェブ部分は取り除かれ、従って中空チャネルが横に開く。よって、補強要素の接着の際、固い接着接合が作られるべきエロクサールのないシャフトロッドの壁領域が影響される。
【0018】
先ず、エロクサールプロセスに続いて所望の凹部がフライス加工される重ウェブ領域が形成される場合、このプロセスはより信頼できる。このようにして得られた凹部は、補強要素が接着により固定して結合される非酸化壁を有する。
【0019】
補強要素は、炭素繊維などの好ましくは高分子の一方向に並んだ繊維を有するプラスチック要素であると好ましい。このような補強要素は、シャフト支持レールに面する面上のシャフトロッドの全長に沿って形成される。しかしながら、好ましくはシャフトロッドの端部にはない。
【0020】
反対側の面にも、少なくとも1つの端から端まで延びる連続した補強要素が設けられる。好ましくは、溝状の縦に延びる凹部はシャフトロッドの端面に達しない。むしろ、コーナー連結部、駆動要素などの他の要素が取り付けられる、短い、例えば数十ミリメートルの長さの重ウェブ部分が残る。他の位置、例えば駆動要素をそこに収容するために1,2又はそれ以上の位置で凹部を遮断することも可能である。連続した補強要素の代わりに、所望の構造に基づいて、凹部部分の長さに対応する複数の異形部材が利用される。全ての場合において、異形部材は3つの縦の面に接着される。補強要素がある程度支持されていない凹部の開いた面は、好ましくはシャフトの運動方向にある。
【0021】
3つの面の接着によって、固い耐変形構造を構成するシャフトロッドの高い信頼性を保証する非常に大きい接着面が得られる。それは、強度特性に関する損失を考慮する必要なく特定の織機構造の条件及び要件に柔軟かつ経済的に適合する。本発明に従う綜絖の1つだけのシャフトロッド、好ましくは上側シャフトロッドを構成し、下側シャフトロッドのために従来のアルミニウム部材を使用することも可能である。この解決法は特に複数の駆動位置が下側シャフトロッドに存在するときに意味がある。下側シャフトロッドの短い自由なたわみ長さに基づいて、この用途におけるたわみの程度が限界内で維持される。高価な補強要素を下側シャフトロッドに適用することは経済的考慮からは意味がない。これに対して本発明に従うシャフトロッドを用いて、例えば280cmを超える大きい編み幅のために綜絖の上側シャフトロッドとして用いられる場合、上側シャフトロッドと下側シャフトロッドの間の距離を保証する中間補強材は必要ない。編み物の質に常に悪影響を及ぼすこのような中間材がなくて済む。上側シャフトロッドとして働く本発明に従うシャフトロッドは、上側シャフトロッドと下側シャフトロッドの間の異なるたわみ長さにもかかわらず許容できる限界内でたわみの程度を維持するのに十分な剛性を有する。このようにして、経済的に特に有利な解決が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態の別な有利な詳細は図面、明細書及び/又は請求項に含まれる。
【0023】
図面では、本発明の実施形態が示される。
【0024】
図1は、高速作動織機の部分を形成する綜絖1を示す。綜絖は、端バインダー4,5により互いに連結した上側シャフトロッド2と下側シャフトロッド3を有する。シャフトロッド2,3の間に、織機(図示せず)のたて糸をガイドする働きをするヘルド(図示せず)が設置される。
【0025】
綜絖1の特徴はシャフトロッド2,3の構造にある。図2は、シャフトロッド2又は3のために基体7(例えば図3に示される)を作るための押出成形アルミニウム部材6を示す。押出成形アルミニウム部材6は、図3に従う基体7内に見出される2つの平坦面8,9を有する。平坦面は相互に平行な壁10,11で画定される。これら壁は、互いに離れた外側面において平坦か、成形され又は構成され、リブなどの平坦面の形状の凹部又は凸部分を有する。
【0026】
全体として一体構造の基体7の壁10,11並びに押出成形アルミニウム部材6の壁は、ウェブ12,13,14により互いに連結している。好ましくは重構造の上側ウェブ12はほぼ正方形の横断面を有する。その厚さD(図2に示される)は壁10,11の厚さW(やはり図2に示される)より著しく大きい。ウェブ12の厚さDは、壁10,11の間に囲まれた中空スペース15の内側幅より大きいと好ましい。
【0027】
ウェブ13,14の間に別な中空スペース16が囲まれている。その横断面はウェブ12の横断面と等しいか僅かに小さいと好ましい。壁10はウェブ12から下方に延び、例えば図4又は5に示されるようにシャフト支持レール18を収容するためのリブ17を具備する。このようにして、シャフト支持レール18又はリブ17はそれぞれ、重ウェブ12から離れた基体7(又は押出成形アルミニウム部材6)の面に設けられる。
【0028】
図2に示された押出成形アルミニウム部材6は外側面にエロクサール層、すなわち電気分解により生成された滑らかで傷つきにくい酸化アルミニウム層を具備している。この層は、平坦面8,9、平坦面19のウェブ12、外側に延びる狭い面20のウェブ14及びシャフト支持レール18を保持するためのリブ17と一体の壁部分10を覆う。中空スペース15,16は基本的に酸化アルミニウムがない、すなわち、とにかくエロクサール層がない。それでも、エロクサール層は、押出成形アルミニウム部材6の端面から数センチメートルだけ外側の露出した中空スペース15,16に延びてもよい。しかしながら、この層は中空スペース15,16に深く延びない。
【0029】
図3に見られるように狭い面19,20の両方で、押出成形アルミニウム部材6は、図1のシャフトロッド3に概略的に示された補強要素24,25,26を収容するための凹部21,22,23を具備している。凹部21,22は細長い部品としての重ウェブ12にフライス加工される。これらは、押出成形アルミニウム部材6の縦方向に一致するシャフトロッド3の縦方向L(図3に示される)に延びる。凹部21,22はリブ17を貫通せずに狭い面19を通る。従って、凹部21,22は閉じた底部27及び閉じた側壁28,29を有する。図1に見られるように、底部27は、基本的に狭い面19と平行なシャフトロッド3の比較的長い部分に沿って延びる。終端領域30,31を形成する端部領域では、凹部21,22の深さは直線の又は湾曲した上昇傾斜の形態で減少する。上昇は、弓形、S形でもよく、又は他の形状を有してもよい。凹部21,22は好ましくは一様な一定の幅を有する、すなわち、側壁28と29の距離は一定である。
【0030】
側壁28,29と底部27はエロクサールコーティングがない。エロクサールプロセスの後、凹部21,22が押出成形アルミニウム部材6に加工され、よって基本的にブランクな金属表面を有する。
【0031】
凹部21,22の間及びシャフトロッド3の端部では、ウェブ12は基本的に弱くない。これらの領域に固定領域32,33,34が形成され、ここに駆動装置又は力を導入する若しくは力を取り出す他の要素が固定される。
【0032】
縦方向Lに測定した固定領域32,33,34の長さは、それぞれの場合に要件に適応する。この長さは例えば20mm〜60mmである。凹部21,22が設けられた固定領域32,33,34の間に、ウェブ12から肉薄の残留物だけが残っている。底部27の下の位置では、壁厚は壁10,11の壁厚Wの程度である。
【0033】
図3にさらに示されるように、ウェブ14はシャフトロッドの全長に沿って又は少なくともその部分に沿って取り除かれている。従って、中空スペース16から、リブ17に向かって開いた、従ってリブ17で保持されるべきシャフト支持レールに向かって開いた凹部23が形成される。凹部23は、凹部21,22と同様に実質的に長方形又は正方形横断面を有する。しかし、これはシャフトロッド3の縦方向Lにわたって一定である。さらに、凹部23は基本的にエロクサール層がない。好ましくは、押出成形アルミニウム部材6のエロクサール処理の後、ウェブ14だけが取り除かれる。凹部23の壁は3つの側面にエロクサール層がない。
【0034】
後続の作業ステップでは、補強要素24,25,26が凹部21,22,23に接着される。補強要素24,25,26は繊維強化プラスチック又は他の軽量の耐応力性材料である。好ましくは、炭素繊維がでたらめな方向に又は縦方向に一直線に補強要素に導入された炭素繊維で満たされたプラスチックが利用される。
【0035】
補強要素24,25,26は外側面に接着剤を付けられ、凹部21,22,23に挿入される。このようにして、補強要素は少なくとも3つの面でそれぞれの凹部21,22,23、特に側壁28,29と凹部21,22の底部27に接着される。
【0036】
シャフトロッド3の完了作業として、図4に見られるようにシャフトロッドはその端(やはり図1参照)に中空室15に押し込まれ固定されるコーナー連結部35,36を備えられる。この固定のために、固定領域32,34に位置した対応する穿孔にねじ留めされる小ねじ37,38が利用される。固定領域32,34は安定した力導入・力引き出し領域として働く。さらに、シャフトロッド3の変形又は損傷の恐れなくエッジ連結部35,36を固定するためにこれらの位置で締め付け力が加えられる。駆動連結部39,40を介して端バインダー4,5に導入される駆動力はシャフトロッド3に伝達される。
【0037】
駆動部を保持するために、別な駆動連結部41が固定領域33に取り付けられる。例えばこのために、駆動連結部41の保持ねじに対応する穿孔が設けられる。
【0038】
図1で観察されるように、シャフトロッド2はシャフトロッド3と基本的に同一である。しかしながら、中央の固定領域33はない。2つの凹部21,22は連続した共通の凹部21aに結合する。そこに単一の補強要素24aが少なくとも3つの面で接着剤により保持されている。この例でも終端領域30,31は貫通していない狭い面19まで段階なく移行している。凹部21aの長さは、少なくとも十分長い2つの固定領域32,34の間の距離に対応し、シャフトロッド2が損傷なくコーナー連結部35,36から生じる駆動力及び締め付け力を受けることが保証される。
【0039】
図5はシャフトロッド2又は3の変形実施形態を示す。その特徴はウェブ12及びウェブ14が重ウェブである点にあり、好ましくは平坦面8,9に平行に測定したその高さは平坦面8,9の間で測定した幅と少なくとも等しい。先の説明は上側ウェブ12、凹部の配置及び補強要素24,25に完全に当てはまる。しかし、先の説明と対照的にウェブ14は完全には取り除かれず、凹部23を構成する溝状のポケットを具備するだけである。凹部はシャフトロッド3の全長にわたって延びるが、その端面に達する前に終わる。図5に示されるように凹部23は好ましくは深さが徐々に減少する終端領域42で終わるが、幅は一定のままである。凹部23はシャフトロッド3の他方の端でも同じように終端する。
【0040】
図1〜4に従う先に説明したシャフトロッド2,3と同様に、図5のシャフトロッド3はエッジ連結部、駆動要素及び他の付加的な要素を、具体的には重ウェブ12又は12及び14がそれぞれ著しく弱くない固定領域32,33,34に配置する大きな可能性を提供する。
【0041】
図6は、図5に従うシャフトロッド3のように、上側重ウェブ12及び同様に下側重ウェブ14を有するシャフトロッド2を示す。ウェブ12と14の両方において、平坦フランクで境界を定められた溝である凹部21a,23が設けられている。それぞれの例では、溝底部が薄ウェブ43,44を形成し、この厚さはほぼシャフトロッド2の壁厚程度である。凹部21a,23の端部で溝深さは徐々に減少し、段階のない溝の最初と最後が得られる。補強要素24a,26は凹部21a,23を補完する形状を有する。これは横断面形状と縦断面形状の両方に当てはまる。変形例では、補強要素24a,26の縦断面形状は特に端部領域で凹部21a,23の縦断面形状と異なってもよい。
【0042】
先の説明の出発点として、補強要素24,25,26は図7に示される長方形横断面Iを有する。しかしながら、凹部21〜23及び補強要素24〜26は、図7に従う、台形横断面II、丸みを帯びた長方形横断面III又は半円横断面IVなどの異なる横断面を有してもよい。これらの実施形態でも、凹部の横断面は好ましくはそれぞれの要素の横断面と合う。シャフトロッド2,3の2つの向かい合うウェブ12,14の異なる横断面を組み合わせることも可能である。さらに、対応してより多くの凹部が設けられる場合、シャフトロッド2又は3の長さに沿って2以上の補強要素24,25が延びてもよいことを銘記する。それぞれの場合にこれら凹部の間に固定領域が存在する。
【0043】
本発明に従うシャフトロッド2は、その狭い面の1つに、少なくとも1つの凹部21を有する。凹部は後にシャフトロッドに設けられ、そこに補強要素24が接着される。シャフトロッドの外側の材料は、付加的な要素を取り付ける働きをする固定領域32,33を形成する。好ましくは、補強要素が接着される凹部として利用されるエロクサールコーティングのない中空スペースが露出するように凹部は適用される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の綜絖、本発明の上側シャフトロッド及び本発明の下側シャフトロッドの概略正面図である。
【図2】本発明に従うシャフトロッドの製造のための押出成形アルミニウム部材の概略斜視図である。
【図3】シャフトロッドの製造のための補強要素を収容するための押出成形アルミニウム部材の概略斜視図である。
【図4】フライス加工された凹部及び接着された強化部を有する、本発明に従うシャフトロッドの部分斜視図である。
【図5】本発明に従うシャフトロッドの改良実施形態の斜視図である。
【図6】本発明に従うシャフトロッドの分解概略正面図である。
【図7】様々な補強要素の横断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 綜絖
2,3 シャフトロッド
4,5 端バインダー
6 押出成形アルミニウム部材
7 基体
8,9 平坦面
10,11 壁
12,13,14 ウェブ
15,16 中空スペース
17 リブ
18 シャフト支持レール
19,20 狭い面
21,22,23,21a 凹部
24,25,26,24a 補強要素
27 底部
28,29 側壁
30,31 終端領域
32,33,34 固定領域
35,36 コーナー連結部
37,38 小ねじ
39,40,41 駆動連結部
42 終端領域
43,44 ウェブ
D 厚さ
W 壁厚
L 縦方向
I 長方形横断面
II 台形横断面
III 丸みを帯びた長方形横断面
IV 半円横断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機のためのシャフトロッド(3)にして、
2つの平坦面(8,9)と、その間に基体(7)の狭い面を形成する少なくとも2つのウェブ(12,14)とを有する細長い中空の基体(7)と、
ウェブ(12,14)を貫通せず、平坦面(8,9)で閉じた、少なくとも1つのウェブ(12,14)に設けられた少なくとも1つの細長い凹部(21,23)と、
凹部(21,23)に配置され、基体(7)に接着された補強要素(24,26)
とを有するシャフトロッド。
【請求項2】
少なくとも1つのウェブ(12,14)が、平坦面(8,9)における基体(7)の壁厚(W)より大きい厚さ(D)を有することを特徴とする請求項1に記載のシャフトロッド。
【請求項3】
織機のためのシャフトロッド(3)にして、
2つの平坦面(8,9)と、その間に基体(7)の狭い面を形成する少なくとも2つのウェブ(12,14)とを有する細長い中空の基体(7)とを有し、
さらに、凹部(21,23)に配置され、基体(7)に接着された補強要素(24,26)
を有し、
少なくとも1つのウェブ(12,14)は基体(7)の壁厚(W)より大きい厚さを有し、平坦面(8,9)に向かって閉じた少なくとも1つの細長い凹部(21,23)がウェブ(12,14)に設けられているシャフトロッド。
【請求項4】
基体(7)が一体部品であることを特徴とする請求項1又は3に記載のシャフトロッド。
【請求項5】
基体(7)が異形アルミニウム部材であることを特徴とする請求項1又は3に記載のシャフトロッド。
【請求項6】
補強要素(24,26)が、凹部(21,23)のそれと同一の横断面形状を有することを特徴とする請求項1に記載のシャフトロッド。
【請求項7】
補強要素(24,26)が、凹部(21,23)のそれと同一の縦断面形状を有することを特徴とする請求項1又は3に記載のシャフトロッド。
【請求項8】
補強要素(24,26)が、凹部(21,23)のそれと同一でない縦断面形状を有することを特徴とする請求項1又は3に記載のシャフトロッド。
【請求項9】
凹部(21,23)が、その端部において終端領域(30,31)で平らに終端していることを特徴とする請求項1又は3に記載のシャフトロッド。
【請求項10】
終端領域(30,31)の長さが、凹部(21,23)の深さの少なくとも2倍であることを特徴とする請求項9に記載のシャフトロッド。
【請求項11】
終端領域(30,31)の長さが、凹部(21,23)の深さの最大で4倍であることを特徴とする請求項9に記載のシャフトロッド。
【請求項12】
凹部(21,23)が、平坦面(8,9)における基体(7)の壁厚(W)よりかなり大きい深さを有することを特徴とする請求項1又は3に記載のシャフトロッド。
【請求項13】
同一のウェブ(12)に、少なくとも2つの凹部(21,22)が縦方向に並んで設けられることを特徴とする請求項1又は3に記載のシャフトロッド。
【請求項14】
少なくとも1つの凹部(21)を具備したウェブ(12)が、凹部の外側において、シャフトロッドに連結されるべき要素(35)のための固定領域(32)を画定することを特徴とする請求項1又は3に記載のシャフトロッド。
【請求項15】
織機のためのシャフトロッドにして、
異形アルミニウム部材として形成され、エロクサール層を具備した外側面を有する細長い基体(7)と、
その壁がエロクサール層を具備していない、外側面を貫通した少なくとも1つの細長い凹部(21)と、
凹部(21)に位置し、その壁に接着された少なくとも1つの補強部材(24)と
を有するシャフトロッド。
【請求項16】
基体(7)が、2つの平坦面(8,9)と、その間に基体(7)の狭い面を形成する少なくとも2つのウェブ(12,14)とを有し、さらに凹部が少なくとも1つのウェブ(12,14)に形成されることを特徴とする請求項15に記載のシャフトロッド。
【請求項17】
凹部を有するウェブ(12)が、平坦面(8,9)における基体(7)の壁厚(W)よりも大きい厚さ(D)を有することを特徴とする請求項16に記載のシャフトロッド。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載された少なくとも1つのシャフトロッドを有する綜絖。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか一項に記載された、駆動装置(39,40,41)と連結していないシャフトロッド(2)だけが形成されることを特徴とする請求項18に記載の綜絖。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−84991(P2007−84991A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244231(P2006−244231)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)