説明

シャワー装置

【課題】着座姿勢で使用するシャワー装置と身体の洗浄に使用する水栓や鏡を一体に構成し、省スペースと使い勝手の向上を図るシャワー装置を提供する。
【解決手段】ノズルユニット12を所定幅の開放面17を介して左右に設置し、ノズルアーム15をノズルユニット12の上部に略上下方向に回動および保持自在に設置し、開放空間の下部に洗い場吐水口18を設置し、洗い場吐水口18の下方に所定の空間を確保した位置に着座手段と洗面台を兼ねた台座部20を設置し、台座部20を固定部21と前後に水平移動する可動部22で構成することにより、着座してシャワーを浴びる時にはゆったりと着座でき、洗面器を載置して洗顔や身体の洗浄作業を行う際には楽な姿勢で作業ができるため、省スペースと使い勝手を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着座姿勢で使用するシャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のシャワー装置は、正面中央に鏡を設置した収納ユニットの両側部に、複数のノズルを備えたアームを垂直な回転軸を介して横方向に回転するように設置し、収納ユニットの下方に水栓を備えたカウンターを設置するとともに、水栓の下方には洗面器を載置する可倒式の洗面器台を設置した構成において、着座してシャワー浴を行うときは洗面器台を倒した状態で、収納ユニットの前に置いた椅子に着座してシャワーを浴びるものである。また、洗顔等の洗面器を使用する入浴作業を行うときは、洗面台を起こしその上に洗面器を載置して入浴作業を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、特許文献1に記載された従来のシャワー装置を示すものである。
【0004】
図に示すように、収納ユニット1の一側方には収納棚2設置してあり、他方には通常シャワー3が設置してある。収納ユニット1の左右には複数のノズル4を備えたアーム5が水平方向に回動自在に設置してある。また収納ユニット1の中央部には鏡6が設置してあり、その下方には水栓7を備えたカウンター8が設置してあり、カウンター8の下方には可倒式の洗面器台9を設置した構成となっている。
【特許文献1】特開2001−204644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、着座してシャワー浴を行う場合には専用の椅子が必要であり、また洗顔等の一般の入浴作業を行うときは、可倒式の洗面器台を起こし、別の椅子が必要なので余分な浴室スペースや椅子の収納スペースが必要である。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、着座姿勢で使用するシャワー装置と身体の洗浄に使用する水栓や鏡を一体に構成し、着座に必要な奥行広さと洗面器を置いて洗顔するのに最適な奥行をひとつの台座部で提供し、浴室内の省スペースと使い勝手の向上を図るシャワー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のシャワー装置は、ノズルユニットを所定幅の開放面を介して左右に設置し、ノズルアームをノズルユニットの上部に略上下方向に回動および保持自在に設置し、開放面の下部に洗い場吐水口を設置し、洗い場吐水口の下方に所定の空間を確保した位置に着座手段と洗面台を兼ねた台座部を設置し、前記台座部は固定部と前後に水平移動し所定の位置で固定される可動部を有する構成とした。
【0008】
これによって、台座部に着座してノズルユニットとノズルアームのノズルから噴霧する湯水を浴びる時には、台座部の可動部を手前に移動させて、着座面を広くしてゆったりと着座でき、またシャワーを使用しないときは、台座部の可動部を後方に移動させて洗顔・身体の洗浄の際に、最適な洗い場吐水口からの距離を得ることができ、同一場所でシャワー浴と一般の入浴の洗浄作業を最適な姿勢で行うことができるため、浴室内に余分なスペースを確保する必要がなく浴室の省スペースと使い勝手を向上することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシャワー装置は、同一場所でシャワー浴と一般の入浴の洗浄作業をそれぞれ最適な姿勢で行うことができるため、浴室内に余分なスペースを確保する必要がなく浴室の省スペースと使い勝手を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は使用者の後方より噴霧するノズルを有するノズルユニットと、使用者の身体を包み込むように噴霧する複数のノズルを配設したノズルアームと、着座手段と洗面台を兼ねた台座部と、洗い場吐水口と、ノズルと洗い場吐水口に供給する湯水を制御する制御手段を備え、ノズルユニットは所定幅の開放面を介して左右に設置し、ノズルアームはノズルユニットの上部に略上下方向に回動および保持自在に設置し、開放面の下部に洗い場吐水口を設置し、洗い場吐水口の下方に所定の空間を確保した位置に着座手段と洗面器台を兼ねた台座部を設置し、前記台座部は固定部と前後に水平移動し所定の位置に固定してなる可動部を有し、前記固定部に制御手段を設置した構成とすることにより、ノズルアームを上方に回動し所定位置に保持した状態で、使用者は台座部に着座して、ノズルユニットのノズルとノズルアームのノズルから噴霧する湯水を浴びる時に台座部の可動部を手前に移動させて、着座面を広くしてゆったりと着座でき、またシャワーを使用しないときは、台座部の可動部を後方に移動させて洗顔や身体の洗浄の際に、最適な洗い場吐水口からの距離を得ることができ、同一場所でシャワー浴と一般の入浴の洗浄作業を最適な姿勢で行うことができるため、浴室内に余分なスペースを確保する必要がなく浴室の省スペースと使い勝手を向上することができる。
【0011】
第2の発明は使用者の後方より噴霧するノズルを有するノズルユニットと、使用者の身体を包み込むように噴霧する複数のノズルを配設したノズルアームと、着座手段と洗面台を兼ねた台座部と、洗い場吐水口と、ノズルと洗い場吐水口に供給する湯水を制御する制御手段を備え、ノズルユニットは所定幅の開放面を介して左右に設置し、ノズルアームはノズルユニットの上部に略上下方向に回動および保持自在に設置し、開放面の下部に洗い場吐水口を設置し、洗い場吐水口の下方に所定の空間を確保した位置に着座手段と洗面器台を兼ねた台座部を設置し、前記台座部は固定部と上下移動し所定の高さに固定してなる可動部を有し、前記固定部に制御手段を設置した構成とすることにより、ノズルアームを上方に回動し所定位置に保持した状態で、使用者は台座部に着座して、ノズルユニットのノズルとノズルアームのノズルから噴霧する湯水を浴びる時に台座部の可動部を上方に上げて、着座面を最適な高さにして着座でき、またシャワーを使用しないときは、台座部の可動部を下方に下げて洗面台として最適な台座部の高さを得ることができ、同一場所でシャワー浴と一般の入浴の洗浄作業を最適な姿勢で行うことができるため、浴室内に余分なスペースを確保する必要がなく浴室の省スペースと使い勝手を向上することができる。
【0012】
第3の発明は使用者の後方より噴霧するノズルを有するノズルユニットと、使用者の身体を包み込むように噴霧する複数のノズルを配設したノズルアームと、着座手段と洗面台を兼ねた台座部と、洗い場吐水口と、ノズルと洗い場吐水口に供給する湯水を制御する制御手段を備え、ノズルユニットは所定幅の開放面を介して左右に設置し、ノズルアームはノズルユニットの上部に略上下方向に回動および保持自在に設置し、開放面の下部に洗い場吐水口を設置し、洗い場吐水口の下方に所定の空間を確保した位置に着座手段と洗面器台を兼ねた台座部を設置し、前記台座部は固定部と前後・上下に移動し、上部手前及び、下部後方に固定してなる可動部を有し、前記固定部に制御手段を設置した構成とすることにより、ノズルアームを上方に回動し所定位置に保持した状態で、使用者は台座部に着座して、ノズルユニットのノズルとノズルアームのノズルから噴霧する湯水を浴びる時に台座部の可動部を上部手前に移動させて、着座面を最適な奥行・高さにして着座でき、またシャワーを使用しないときは、台座部の可動部を下部後方にイ゛同させて洗面台として最適な奥行・高さの台座部を得ることができ、同一場所でシャワー浴と一般の入浴の洗浄作業を最適な姿勢で行うことができるため、浴室内に余分なスペースを確保する必要がなく浴室の省スペースと使い勝手を向上することができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態におけるシャワー装置を設置した状態の斜視図を示すものであり、図2はシャワー装置の側断面図を示すものである。
【0015】
図1に示すように、本発明のシャワー装置は浴室の洗い場10及び、前記洗い場10に対応する壁面11に設置してある。浴室の壁面11に固定した本発明のシャワー装置は、両側部には樹脂材料を略直方形状に成型したノズルユニット13が配置してあり、左右のノズルユニット12の前面上部には、使用者の主に肩に向かって衝撃的な水流を噴出するマッサージノズル13がそれぞれ設置してあり、前面下部には使用者の主に腰部に向かって微細水流を噴出するシャワーノズル14がそれぞれ設置してある。
【0016】
左右のノズルユニット12の外側部には、上端部を支点として略上下方向に回動自在で、かつ任意の角度で保持が可能なように略直方体形状のノズルアーム15がそれぞれ設置してある。左右のノズルアーム15は連結バー(図示せず)で連結することにより、一方のノズルアーム15を回動すれば他方も同様に回動する構成となっている。
【0017】
ノズルアーム15の裏面には微細水流を使用者の身体を包み込むように噴出する複数のシャワーノズル14と、ミスト状の水流を使用者の身体全体を包み込むように噴出するミストノズル16がノズルアーム15のほぼ全長にわたり所定の間隔で交互に配設してある。
【0018】
マッサージノズル13とシャワーノズル14とミストノズル16は種類毎にノズルユニット12とノズルアーム15の内部に配設した配管(図示せず)により互いに連通する構成となっている。また、マッサージノズル13とシャワーノズル14とミストノズル16は個々に水流の噴出方向を変更できる調整機能を備えている。
【0019】
左右のノズルユニット13の間に位置する開放面17の下部には下方に向かって開放した洗い場吐水口18が設置してある。
【0020】
開放面17の前面には左右のノズルユニット12の上下端部に枢支し、左右に開閉自在な背もたれカバー19が設置してある。
【0021】
開放面17の下方にはノズルユニット12の下端とほぼ等しい高さに着座手段と洗面台を兼ねた台座部20が設置してあり、前記台座部20は固定部21と前後に水平移動し所定の位置に固定してなる可動部22とで構成されている。通常の入浴作業の際に可動部22を後方に移動させて、前記可動部22の上に洗面器等を載置する時、前記洗い場吐水口と使用者身体を最適な距離にして使用できる。
【0022】
前記台座部20に着座してノズルユニット12とノズルアーム15から噴霧湯水を浴びる際には、台座部20を手前に水平移動させて、着座部の奥行寸法を広げて、ゆったりと着座して使用できる。
【0023】
以上のように構成されたシャワー装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0024】
まず、図1、図2に示すようにノズルアーム15を回動して使用者の体格にあわせた位置に保持し、使用者が台座部20に着座する。この時、台座部20の可動部22を前方に水平移動させて固定することにより、着座面の奥行寸法を広げ使用者はゆったりと着座し、噴霧水流を浴びることができる。
【0025】
また、図1、図2に示すように、ノズルアーム15を収納し背もたれカバー19を開放した状態では、台座面20は洗面器や入浴用品を載置するカウンターとして使用することができる。この状態では、台座部20の可動部22を後方に水平移動させて固定することにより、吐水口18と使用者の距離を縮め、最適な位置から通常の身体洗浄作業を行うことができる。
【0026】
以上のように、本実施の形態においてはノズルアームを上方に回動し所定位置に保持し、台座部を手前に水平移動して引き出すことにより、ゆったりと着座して、ノズルユニットのノズルとノズルアームのノズルとハンドシャワーから噴出する湯水により、4種類のシャワー浴を行うことができる。また、ノズルアームを収納した状態では、台座部を奥に水平移動させて、カウンターとして最適な奥行寸法にすることにより、吐水口と使用者の身体とを最適な距離関係にし、身体の洗浄作業等を楽に行うことができる。
【0027】
このように同一場所でシャワー浴と通常の入浴作業を行うことができるので、浴室内に余分なスペースを確保する必要がなく浴室の省スペースと使い勝手を向上することができる。
【0028】
(実施の形態2)
図3は本発明の第2の実施の形態におけるシャワー装置の斜視図を示すものであり、図4は第2の実施の形態の側断面図である。本実施の形態が第1の実施の形態と異なるところは、図3、図4に示すように台座部20を固定部21と上下移動して所定の高さで固定してなる可動部23を設けた構成である。
【0029】
なお、実施の形態1と同一符号のものは同一構造を有し説明は省略する。
【0030】
上記構成とすることにより、台座部20に着座してノズルユニット12とノズルアーム15から噴霧湯水を浴びる際には台座部20の可動部23を上方に持ち上げて固定することにより、最適な着座姿勢を採る事ができる。
【0031】
また、通常の入浴作業の際には、台座部20の可動部23を下方に下げて固定することにより、台座部20が洗面器を使用したすすぎ洗いや洗顔等に最適な高さとなり、楽な姿勢で行う事ができる。
【0032】
上記のように、本実施の形態のシャワー装置はシャワー浴と通常入浴の両方の場合の使い勝手の効果を備えた物である。
【0033】
(実施の形態3)
図5は本発明の第3の実施の形態におけるシャワー装置の斜視図を示すものであり、図6は第3の実施の形態の側断面図である。本実施の形態が第1の実施の形態と異なるところは、図5、図6に示すように台座部20を固定部21と前後上下に移動して上部手前及び、下部後方ら固定してなる可動部24を設けた構成である。
【0034】
なお、実施の形態1と同一符号のものは同一構造を有し説明は省略する。
【0035】
上記構成とすることにより、台座部20に着座してノズルユニット12とノズルアーム15から噴霧湯水を浴びる際には台座部20の可動部24を上方手前に引上げて固定することにより、着座するのに最適な高さとゆったりとした奥行広さのある着座面を得る事ができ、楽な着座姿勢をとる事ができる。
【0036】
また、通常の入浴作業の際には、台座部20の可動部24を下方奥に押し下げて固定することにより、台座部20が洗面器でのすすぎ洗いや洗顔等に最適な高さとなり、楽な姿勢で行う事ができる。
【0037】
上記のように、本実施の形態のシャワー装置はシャワー浴と通常入浴の両方の場合の使い勝手の効果を備えた物である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明にかかるシャワー装置は、同一場所でシャワー浴と一般の入浴の洗浄作業を行うことができるため、浴室内に余分なスペースを確保する必要がなく浴室の省スペースと使い勝手を向上するが可能となるので、介護装置などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1におけるシャワー装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるシャワー装置の側断面図
【図3】本発明の実施の形態2におけるシャワー装置の斜視図
【図4】本発明の実施の形態2におけるシャワー装置の側断面図
【図5】本発明の実施の形態3におけるシャワー装置の斜視図
【図6】本発明の実施の形態3におけるシャワー装置の側断面図
【図7】従来のシャワー装置の正面図
【符号の説明】
【0040】
12 ノズルユニット
13 マッサージノズル(ノズル)
14 シャワーノズル(ノズル)
15 ノズルアーム
16 ミストノズル(ノズル)
17 開放面
18 洗い場吐水口
20 台座部
21 固定部
22、23、24 可動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の後方より噴霧するノズルを有するノズルユニットと、使用者の身体を包み込むように噴霧する複数のノズルを配設したノズルアームと、着座手段と洗面台を兼ねた台座部と、洗い場吐水口と、ノズルと洗い場吐水口に供給する湯水を制御する制御手段を備え、ノズルユニットは所定幅の開放面を介して左右に設置し、ノズルアームはノズルユニットの上部に略上下方向に回動および保持自在に設置し、開放空間の下部に洗い場吐水口を設置し、前記台座部が固定部と前後に水平移動し所定の位置に固定してなる可動部を有したシャワー装置。
【請求項2】
使用者の後方より噴霧するノズルを有するノズルユニットと、使用者の身体を包み込むように噴霧する複数のノズルを配設したノズルアームと、着座手段と洗面台を兼ねた台座部と、洗い場吐水口と、ノズルと洗い場吐水口に供給する湯水を制御する制御手段を備え、ノズルユニットは所定幅の開放面を介して左右に設置し、ノズルアームはノズルユニットの上部に略上下方向に回動および保持自在に設置し、開放空間の下部に洗い場吐水口を設置し、前記台座部が固定部と上下移動し所定の高さで固定してなる可動部を有したシャワー装置。
【請求項3】
使用者の後方より噴霧するノズルを有するノズルユニットと、使用者の身体を包み込むように噴霧する複数のノズルを配設したノズルアームと、着座手段と洗面台を兼ねた台座部と、洗い場吐水口と、ノズルと洗い場吐水口に供給する湯水を制御する制御手段を備え、ノズルユニットは所定幅の開放面を介して左右に設置し、ノズルアームはノズルユニットの上部に略上下方向に回動および保持自在に設置し、開放空間の下部に洗い場吐水口を設置し、前記台座部が固定部と前後上下に移動し、上部手前及び、下部後方に固定してなる可動部を有したシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−263150(P2006−263150A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85481(P2005−85481)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】