説明

シャープペンシル

【課題】 消しゴムのホルダーからの突出長さが短くなっても、また、ホルダーの芯収容管に対する嵌着力が大きい場合でも、ホルダーを容易に芯収容管の尾端開口から引き抜くことができるシャープペンシルを提供する。
【解決手段】 消しゴム4を保持したホルダー3が芯収容管2の尾端開口に嵌着されたシャープペンシルにおいて、ホルダーを芯収容管の尾端開口に嵌着したときに、ホルダーの尾端部に形成された鍔状のつまみ部31と芯収容管の尾端開口縁2aとの間に微小な隙間Sが形成されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダーで保持された消しゴムを内蔵するシャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャープペンシルの筆跡は、通常、消しゴムで消去可能であるために、消しゴムを内蔵したシャープペンシルが多用されている。普及型のシャープペンシルにおいては、円柱型の消しゴムを芯収容管の尾端開口に直接嵌着し、その上をノックカバーで覆っているものが多いが、高級型のシャープペンシルにおいては、消しゴムを円筒状のホルダーで保持し、このホルダーを芯収容管の尾端開口に嵌着している。そして、芯収容管に芯を補充するときなどは、ホルダーを指先で摘んで芯収容管の尾端開口から取り外す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図4は、消しゴムがホルダーに保持され、このホルダーを芯収容管の尾端開口に嵌着する構造の従来例を示すが、円柱状の消しゴム4が有底円筒状のホルダー3内に挿入されて保持されている。ホルダー3の尾端には鍔状のつまみ部31が形成されており、このつまみ部31が尾端開口縁2aに当接するまで、ホルダー3を芯収容管2の尾端開口に圧入して着脱可能に嵌着する。
【0004】
ここで、つまみ部31の幅(前後方向の長さ)を大きくすると、ホルダー3から突出した消しゴムの有効長さがそれだけ短くなるので、その幅さは小さく、例えば1.5〜2.0mm程度に設計される。また、ノック部材を芯収容管2の尾端部に被せ消しゴム4とホルダー3を覆う状態で芯収容管2に取り付けるので、つまみ部31の外径も制限があってあまり大きく取ることができない。つまり、つまみ部31は大きな力で摘みにくい形状をしている。
【0005】
芯を補充するときは、つまみ部31から消しゴム4にかけて指先で摘み、ホルダー3を芯収容管2から引き抜くが、消しゴム4をたびたび使用してホルダー3からの突出長さが短くなると、指先で摘む部分が少なくなるので、芯収容管2から引き抜きにくくなる。ことに、ホルダー3の外径寸法や芯収容管2の内径寸法のばらつきにより嵌着力にばらつきが生じるが、嵌着力が大きいほうにばらつくときわめて引き抜きにくくなる不具合が生じる。
【0006】
そこで本発明は、消しゴムのホルダーからの突出長さが短くなっても、また、ホルダーの芯収容管に対する嵌着力が大きい場合でも、ホルダーを容易に芯収容管の尾端開口から引き抜くことができるシャープペンシルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、消しゴムを保持したホルダーが芯収容管の尾端開口に嵌着されたシャープペンシルにおいて、ホルダーを芯収容管の尾端開口に嵌着したときに、ホルダーの尾端部に形成された鍔状のつまみ部と芯収容管の尾端開口縁との間に微小な隙間が形成されるようにする。
【発明の効果】
【0008】
鍔状のつまみ部と芯収容管の尾端開口縁との間に微小な隙間が形成されているので、つまみ部を摘んだときに、爪ないし指先の先端部がこの隙間に引っかかる。このため、消しゴムのホルダーからの突出長さが短くなっても、また、ホルダーの芯収容管に対する嵌着力が大きい場合であっても、ホルダーを容易に芯収容管の尾端開口から引き抜くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて発明を実施するための形態を説明する。図1において、軸筒1内に芯収容管2が前後動可能に配置されている。芯収容管2の先端部には、図示しないチャックやチャックリングなどからなる芯繰出機構が取り付けられており、軸筒1の先端開口から芯パイプ22が突出している。そして、円柱状の消しゴム4がホルダー3に保持され、このホルダー3が芯収容管2の尾端開口に嵌着されている。ノック部材5はクリップ6が取り付けられたキャップタイプであり、軸筒1の尾端部に被せると、ノック部材5の内周面が芯収容管2の外周面に圧接し、内部の段部が芯収容管2に形成された鍔状の段部21に当接する。そして、ノック部材5を指先で押圧してノック操作を行うと芯収容管2が前進して芯が芯パイプ22から繰出する。
【0010】
ホルダー3は略有底筒状であり、図2に示すように、縦方向に1本のスリット33が形成されており、消しゴム4をホルダー3内に差し込み易くなっている。そして、ホルダー3を芯収容管2の尾端開口に嵌着すると、芯収容管2の内周面によってホルダー3が締め付けられて消しゴム4が簡単には抜け落ちないようになっている。そして、ホルダー3の尾端部には鍔状のつまみ部31が形成されており、つまみ部31の先端側には、外径がつまみ部31よりも少し小さな円環状の突起32が隣接して形成されている。突起32の幅(前後方向の長さ)は0.6〜1.0mm程度であり、例えば0.8mmである。また、つまみ部31の幅も同程度である。ホルダー3の中腹部分34は先端部よりもやや大径になっている。
【0011】
かかるホルダー3を芯収容管2の尾端開口に差し込むと、図3に示すように、中腹部分34が芯収容管2の内周面に圧接するとともに、突起32が芯収容管2の尾端開口縁2aに当接する。したがって、ホルダー3を芯収容管2の尾端開口に着脱可能に嵌着したとき、つまみ部31と芯収容管2の尾端開口縁2aとの間に0.8mm程度の微小な隙間Sが形成される。
なお、隙間Sを形成する構造は、必ずしも突起32による必要はなく、嵌着を完了したときに隙間Sができるものであれは、いずれの構造であっても良い。
【0012】
しかして、芯収容管2に芯を補充するときは、つまみ部31を摘んでホルダー3を芯収容管2から抜き取るが、鍔状のつまみ部31と芯収容管2の尾端開口縁2aとの間に0.8mm程度の微小な隙間Sが形成されているので、つまみ部31を摘んだときに、爪ないし指先の先端部がこの隙間Sに引っかかる。このため、消しゴム4のホルダー3からの突出長さが短くなっても、また、ホルダー3の芯収容管2に対する嵌着力が大きい場合であっても、ホルダー3を容易に芯収容管2の尾端開口から引き抜くことができる。ここで、隙間Sが1.0mm以上あると、指先の引っかかり力は大きくなるが、外見上見苦しくなり、逆に0.6mmよりも小さいと十分な引っかかり力が得られない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明実施例の正面図である。
【図2】ホルダーの正面図である。
【図3】本発明実施例の要部の一部断面正面図である。
【図4】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1 軸筒
2 芯収容管
2a 芯収容管の尾端開口縁
22 芯パイプ
3 ホルダー
31 つまみ部
32 突部
4 消しゴム
5 ノック部材
6 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消しゴムを保持したホルダーが芯収容管の尾端開口に嵌着されたシャープペンシルにおいて、
前記ホルダーの尾端部に鍔状のつまみ部が形成され、該ホルダーを芯収容管の尾端開口に嵌着したときに、該つまみ部と芯収容管の尾端開口縁との間に微小な隙間が形成されることを特徴とするシャープペンシル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−212942(P2006−212942A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28403(P2005−28403)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000002314)セーラー万年筆株式会社 (49)
【Fターム(参考)】