説明

シャープペンシル

【課題】筆記によるチャック5及び連結具9の前後動と連動してスライド部材3が前後動することにより芯ホルダー16が一方向に回転し、この芯ホルダー16の回転に伴い芯15及びチャック5を回転させるシャープペンシルに関するものである。
【解決手段】チャック5の頭部5Aに締具6を外嵌し、この締具6を受け止める連結具9をスライド部材3に回動可能に取り付ける。このスライド部材3に対し把持部材1を長手方向に適宜移動可能で回動不能に取り付ける。更に、スライド部材3に対しカム部材を回動不能に構成し、このカム部材に前カムと後カムを形成するとともに回転部材14に前カム14Aと後カム14Bを形成する。前記カム部材と回転部材14が互いに前後に移動することによって、回転部材14と連動する芯ホルダー16を一方向に所定角度毎に回転させる。前記芯ホルダー16の回転に伴って芯15を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記によるチャック及び連結具の前後動と連動してスライド部材が前後動することにより芯ホルダーが一方向に回転し、この芯ホルダーの回転に伴い芯及びチャックを回転させるシャープペンシルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に筆記具は若干傾けて筆記するが、シャープペンシルを傾けて筆記すると芯が片減りしてしまうために、芯の端面が楕円状になってしまい筆記幅が次第に太くなってしまうものであった。そのため、細い筆記幅を保つためにはシャープペンシルを回転する必要があった。
この点を解消するために、軸筒内に配設されたチャックユニットの前後動により筆記芯の解除と把持を行い、前記筆記芯を前方に繰り出すことができるように構成されたシャープペンシルであって、前記チャックユニットが、筆記芯を把持した状態で軸芯を中心にして回転可能となるように前記軸筒内に保持されると共に、前記筆記芯の筆記圧による前記チャックユニットの後退動作に伴い、回転子を回転駆動させる回転駆動機構が具備され、前記回転子の回転運動を前記チャックユニットを介して前記筆記芯に伝達するように構成したシャープペンシルが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、上記シャープペンシルは、チャックユニットで把持された芯は回転するが、筆記中の芯が摩耗してチャックユニットで把持されなくなった場合には芯が回転できなくなり、無駄になってしまう芯の量が多くなってしまうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4240417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、筆記中の芯が短くなってチャックで保持できなくなった場合には芯を回転させることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チャックの頭部に締具を外嵌し、前記チャックをチャックスプリングにより長手方向後方に付勢し、チャックに押圧された締具を受け止める連結具をスライド部材に対し回動可能に構成し、把持部材に対してスライド部材が長手方向に移動可能で回動不能に構成するとともに、スライド部材に対しカム部材を回動不能に構成し、更に、カム部材に前カムと後カムを形成するとともに回転部材に前カムと後カムを形成し、前記カム部材の前カムと回転部材の前カムを互いに当接可能に構成するとともに、カム部材の後カムと回転部材の後カムを互いに当接可能に構成し、筆記によるチャック及び連結具の前後動と連動してスライド部材が前後動することにより、カム部材と回転部材が互いに前後に移動し、カム部材の前カムと回転部材の前カム及びカム部材の後カムと回転部材の後カムが前後して互いに当接することにより回転部材が一方向に回転し、この回転部材と連動して芯ホルダーを所定角度毎に回転させ、芯ホルダーの回転に伴って芯ホルダーに適宜の力で保持された芯を回転させることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、筆記によるチャック及び連結具の前後動と連動してスライド部材が前後動することにより芯ホルダーが一方向に回転し、この芯ホルダーの回転に伴い芯を回転させるので、チャックに保持されなくなった短い芯でも回転させることができる利点が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1のシャープペンシルを示す断面図である。(実施例1)
【図2】図2は、本発明の実施例1のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】図3は、図2のA−A線を示す拡大断面図である。(実施例1)
【図4】図4は、図2における摺動部材と回転部材による回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図5】図5は、本発明の実施例1のシャープペンシルにおいて筆圧を加えた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例1)
【図6】図6は、図5における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図7】図7は、図5の状態から筆圧を解除した状態における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例1)
【図8】図8は、本発明の実施例2のシャープペンシルを示す断面図である。(実施例2)
【図9】図9は、本発明の実施例2のシャープペンシルにおいて筆圧を加えた状態を示す主要部断面図である。(実施例2)
【図10】図10は、本発明の実施例3のシャープペンシルを示す断面図である。(実施例3)
【図11】図11は、本発明の実施例4のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例4)
【図12】図12は、図11における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例4)
【図13】図13は、実施例4のシャープペンシルにおいて、筆圧を加えた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例4)
【図14】図14は、図13における摺動部材と回転部材の回転機構の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例4)
【図15】図15は、本発明の実施例5のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例5)
【図16】図16は、実施例5のシャープペンシルにおいて筆圧を加えた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例5)
【図17】図17は、本発明の実施例6のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例6)
【図18】図18は、実施例6のシャープペンシルにおいて、筆圧を加えた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例6)
【図19】図19は、本発明の実施例7のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例7)
【図20】図20は、本発明の実施例8のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例8)
【図21】図21は、本発明の実施例9のシャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例9)
【図22】図22は、本発明の実施例9のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例9)
【図23】図23は、本発明の実施例10のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例10)
【図24】図24は、図23のシャープペンシルを示す主要部拡大平面図である。(実施例10)
【図25】図25は、本発明の実施例11のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例11)
【図26】図26は、実施例11のシャープペンシルにおいて、芯の回転を防止した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例11)
【図27】図27は、本発明の実施例12のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例12)
【図28】図28は、図27におけるロック部材のカム部と前軸のカム部の展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例12)
【図29】図29は、実施例12のシャープペンシルにおいて、芯の回転を防止した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例12)
【図30】図30は、図29におけるロック部材のカム部と前軸のカム展開状態を示す主要部拡大説明図である。(実施例12)
【図31】図31は、本発明の実施例13のシャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例13)
【図32】図32は、実施例13のシャープペンシルにおいて、芯の回転を防止した状態を示す主要部断面図である。(実施例13)
【図33】図33は、本発明の実施例14のシャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例14)
【図34】図34は、本発明の実施例15のシャープペンシルを示す主要部断面図である。(実施例15)
【図35】図35は、実施例15のシャープペンシルにおける緩衝材を示す拡大正面図である。(実施例15)
【図36】図36は、図35の拡大右側面図である。(実施例15)
【図37】図37は、本発明の実施例16のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例16)
【図38】図38は、図37における前軸、スライド部材および摺動部材を示す主要部拡大断面図である。(実施例16)
【図39】図39は、図38のA−A線を示す拡大断面図である。(実施例16)
【図40】図40は、本発明の実施例17のシャープペンシルを示す断面図である。(実施例17)
【図41】図41は、本発明の実施例18のシャープペンシルを示す主要部拡大断面図である。(実施例18)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、筆記によるチャック及び連結具の前後動と連動してスライド部材が前後動することにより芯ホルダーが一方向に回転し、この芯ホルダーの回転に伴い芯を回転させるシャープペンシルを実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、図1、図2、図3、図4、図5、図6及び図7に基づいて、本発明における実施例1のシャープペンシルを説明する。また、図1の左側を前方とし、右側を後方とする。先ず、図1及び図2において、シリコンゴム等の軟質材で構成された把持部材1を前軸2に固定して取り付ける。この前軸2に前方よりスライド部材3を挿入するとともに後方より固定駒4を挿入し、スライド部材3と固定駒4を圧入固着する。このスライド部材3の後端と固定駒4の外段4Aとの間に前軸2の内鍔2Aを位置させ、前記前軸2の内鍔2Aはスライド部材3の後端と固定駒4の外段4Aの間を適宜前後動可能に構成する。また、スライド部材3の前部には円周方向等間隔に4個貫通したキー溝3Aを形成し、このキー溝3Aに前軸2の前部内面に内方に突出して形成されたキー2Bが係合し、スライド部材3と前軸2は長手方向には適宜移動可能でかつ回動不能に構成される。更に、前軸2のキー2Bの一部はスライド部材3の貫通したキー溝3Aより内方に突出して構成される。
【0011】
シャープペンシルの機構部は、頭部5Aが数分割されたチャック5と、チャック5の頭部5Aに外嵌される締具6と、チャック5の後部に固着されるコネクター7と、コネクター7に圧入固着されるパイプ状の芯タンク8と、締具6を受け止める連結具9と、連結具9とコネクター7の間に取付時荷重が100g程度で取り付けられるチャックスプリング10とにより構成される。更に、芯タンク8の前部にゴム等の軟質材からなる前Oリング11をコネクター7の外鍔7Aと接触させて取り付ける。
【0012】
前記機構部をスライド部材3の前方より挿入し、スライド部材3の内鍔3Bを連結具9の後部外鍔9Aが挿通し、スライド部材3の内鍔3Bが連結具9の前部外鍔9Bと後部外鍔9Aの間に回動自在に係合される。
【0013】
更に、先部材12の後部には後端から切り欠かれて伸びたキー溝12Aが相対位置に形成される。また、前部に芯ガイドパイプ13を固定した回転部材14を先部材12に回動可能に内蔵する。この回転部材14に芯15を50g程度の摩擦力で保持するゴム製の芯ホルダー16を取り付ける。
【0014】
次に、前記回転部材14を回転させるための回転機構を説明する。図4に示したように、回転部材14に、前外鍔の後面に形成した前カム14Aと後外鍔の前面に形成した後カム14Bを構成する。この回転部材14の前カム14Aは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面14Cと、傾斜面14Cと傾斜面14Cの間に位置する垂直面14Dにより構成する。また、回転部材14の後カム14Bは、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面14Eと、傾斜面14Eと傾斜面14Eの間に位置する垂直面14Fにより構成する。更に、カム部材としての摺動部材17の内側部に、前端面に形成した前カム17Aと後段面に形成した後カム17Bを構成する。この摺動部材17の前カム17Aは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面17Cと、傾斜面17Cと傾斜面17Cの間に位置する垂直面17Dにより構成する。また、摺動部材17の後カム17Bは、左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面17Eと、傾斜面17Eと傾斜面17Eの間に位置する垂直面17Fにより構成する。更に、摺動部材17の前カム17Aの傾斜面17Cと後カム17Bの傾斜面17Eは同数で前カム17Aの傾斜面17Cの略中心に後カム17Bの垂直面17Fが位置する。また、回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cと後カム14Bの傾斜面14Eも摺動部材17の前カム17Aの傾斜面17C及び後カム17Bの傾斜面17Eと同数で、やはり前カム17Aの傾斜面17Cの略中心に後カム17Bの垂直面17Fが位置する。前記摺動部材17の内側部を前記回転部材14の前カム14Aと後カム14Bの間に取り付け、回転部材14の前カム14Aと摺動部材17の前カム17Aを対面させるとともに、回転部材14の後カム14Bと摺動部材17の後カム17Bを対面させて構成する。また、回転部材14に対し摺動部材17は長手方向に適宜前後動可能に構成し、回転部材14の前カム14Aと摺動部材17の前カム17A及び回転部材14の後カム14Bと摺動部材17の後カム17Bは当接可能に構成される。
【0015】
この回転部材14及び摺動部材17は先部材12に内蔵されるが、先部材12のキー溝12Aに摺動部材17の相対位置に係止された突部17Gが挿入され、先部材12に対して摺動部材17は長手方向に移動可能で回動不能に構成される。また、摺動部材17の突部17Gは先部材12の後部周面より円周方向外方に突出する。また、先部材12の内段12Bと摺動部材17の外段17Hとの間に前スプリング18を取り付け、摺動部材17を長手方向後方に付勢する。
【0016】
上記先部材12を前記スライド部材3に着脱可能に螺合し、先部材12の係止段12Cと連結具9の前端との間に回転部材14を回動可能に内蔵し、取付時荷重100g程度で取り付けられた前スプリング18により長手方向後方に付勢された摺動部材17の後カム17Bを回転部材14の後カム14Bに当接するとともに、摺動部材17の突部17Gを前軸2のキー2Bに当接させる。すると、前軸2の内鍔2Aが固定駒4の外段4Aに当接される。
【0017】
更に、前軸2の後方から円筒状の重量体19を挿入し、重量体19を芯タンク8の外面と固定駒4の内面の間に長手方向に摺動可能に遊嵌する。尚、芯タンク8の外面と重量体19の内面との隙間より重量体19の外面と固定駒4の内面との隙間を狭く構成する。
【0018】
後軸20にはクリップ21が一体に構成されるとともに、後軸20の前方より中子22を挿入する。この中子22には内鍔22A前端にゴム等の軟質材からなる後Oリング23を圧入固着する。また、後軸20の後方より押圧部材24を挿入し、中子22の開口窓22Bに押圧部材24の係止突起24Aを係止するとともに押圧部材24の前端を中子22の内鍔22Aに当接し、中子22と押圧部材24を連結する。更に、後軸20の内鍔20Aと押圧部材24の外段24Bとの間には取付時荷重300g程度でリターンスプリング25を取り付け、押圧部材24を長手方向後方に付勢する。この押圧部材24には内孔24Cが形成されて芯15が通過可能に構成されるとともに、押圧部材24の後部内側に消しゴム26が取り付けられる。また、押圧部材24の後部外側には消しゴム26を覆うためにノブ27が着脱可能に嵌合される。
【0019】
この後軸20を前記前軸2に着脱可能に螺合するとともに、芯タンク8内に予備の芯15を収納して振出式のシャープペンシルを構成する。
【0020】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押圧され図5に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、固定駒4、先部材12及び回転部材14は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は前進し、前軸2のキー2Bに突部17Gが当接した摺動部材17も前軸2とともに前スプリング18を圧縮しながら前進する。すると、摺動部材17の前カム17Aが回転部材14の前カム14Aに当接し、摺動部材17の前カム17Aの傾斜面17Cが回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cに当接する。しかし、摺動部材17は突部17Gが先部材12のキー溝12Aに挿入されて回動不能となっているので、回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cが摺動部材17の前カム17Aの傾斜面17Cの略半分を滑って、図6に示したように回転部材14が前方に対して右回転する。回転部材14とともに回転部材14に取り付けられた芯ホルダー16が右回転すると芯15も右に回転する。この時、芯15を保持するチャック5も、締具6及び連結具9とともにスライド部材3に対して右に回転する。
【0021】
次に、筆記を止め芯15を紙面より離すと、手で把持された前軸2及び把持部材1に対して、前スプリング18により前方に付勢された先部材12及びスライド部材3が前進する。すると、スライド部材3とともに、連結具9、締具6、チャック5、回転部材14、芯ホルダー16が芯15とともに前進する。そして、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eが摺動部材17の後カム17Bの傾斜面17Eに当接し、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eが摺動部材17の後カム17Bの傾斜面17Eの略半分を滑って図7に示したように回転部材14が前方に対して右回転する。また、固定駒4の外段4Aが前軸2の内鍔2Aに当接し、図1及び図2の状態に復帰する。すると、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eは摺動部材17の後カム17Bの傾斜面17Eを1つ乗り越えて右隣りの傾斜面17Eに当接され、図7に示したように芯15は回転部材14の後カム14Bの1つの傾斜面14E寸法だけ右に回転する。また、筆記中の芯15が短くなってチャック5で保持できない場合でも、短くなった芯15をチャック5に保持された芯15で押し出せば続けて筆記を行うことができ、短くなった芯15は回転する。ただし、この場合はチャック5は回転せず、チャック5に保持されている芯15は回転しない。尚、チャック5、コネクター7及び芯タンク8と押圧部材24が分離されているとともに、固定駒4と重量体19の隙間より重量体19と芯タンク8の隙間が大きく構成されているので、芯タンク8の回転を押圧部材24や重量体19によって妨げられる恐れはない。
【0022】
筆記を行うことによって芯15が摩耗した場合には、手で把持した把持部材1を振ると、重量体19が先ず後方に移動して後Oリング23に当接する。その反動で把持部材1を前方に振ると、重量体19は前方に移動して前Oリング11に当接する。この重量体19の慣性力によりチャック5、コネクター7、芯タンク8を前進させ、従来公知の振出式シャープペンシルと同様に一定量芯15を繰り出す。
【0023】
この実施例1のシャープペンシルの場合には、回転部材14を回転させる機構が先部材12の中に内蔵されているので、連結具9の後方は通常の振出式シャープペンシルと同様の構造となり、容易に振出式のシャープペンシルを構成できる利点がある。また、先部材12に回転部材14を回転させる機構が内蔵されるので、回転機構及び機構部の組立を容易に行える利点がある。更に、芯15をガイドする芯ガイドパイプ13も芯15とともに回転するので、芯15と芯ガイドパイプ13との間で摩擦力が発生するおそれは全くない。
【実施例2】
【0024】
以下、図8及び図9に基づいて本発明における実施例2のシャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図8において、軟質材で構成された把持部材1を前軸102に固定して取り付ける。また、固定駒104の後部に雄ネジ部104Bを形成する。前記前軸102に前方よりスライド部材3を挿入するとともに後方より固定駒104を挿入し、スライド部材3と固定駒104を圧入固着する。このスライド部材3の後端と固定駒104の外段104Aとの間に前軸102の内鍔102Aを位置させ、前記前軸102の内鍔102Aはスライド部材3の後端と固定駒104の外段104Aの間を適宜前後動可能に構成する。また、スライド部材3のキー溝3Aに前軸102のキー102Bが係合し、スライド部材3と前軸102は長手方向には適宜移動可能でかつ回動不能に構成される。更に、前軸102のキー102Bの一部はスライド部材3の貫通したキー溝3Aより内方に突出して構成される。前記固定駒104の後方から円筒状の重量体19を挿入し、重量体19を芯タンク8の外面と固定駒104の内面の間に長手方向に摺動可能に遊嵌する。尚、芯タンク8の外面と重量体19の内面との隙間より重量体19の外面と固定駒104の内面との隙間を狭く構成する。更に、前記固定駒104の雄ネジ部104Bに後軸20を着脱可能に螺合して振出式のシャープペンシルを構成する。
【0025】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押圧され図9に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、固定駒104、後軸20、先部材12及び回転部材14は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸102及び把持部材1は前進し、前軸102のキー102Bに突部17Gが当接した摺動部材17も前軸102とともに前スプリング18を圧縮しながら前進する。すると、カム部材としての摺動部材17の前カム17Aが回転部材14の前カム14Aに当接し、摺動部材17の前カム17Aの傾斜面17Cが回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cに当接する。しかし、摺動部材17は突部17Gが先部材12のキー溝12Aに挿入されて回動不能となっているので、回転部材14の前カム14Aの傾斜面14Cが摺動部材17の前カム17Aの傾斜面17Cの略半分を滑って、回転部材14が前方に対して右回転する。回転部材14とともに、回転部材14に取り付けられた芯ホルダー16が右回転すると芯15も右に回転する。この時、芯15を保持するチャック5も、締具6及び連結具9とともにスライド部材3に対して右に回転する。
【0026】
次に、筆記を止め芯15を紙面より離すと、手で把持された前軸102及び把持部材1に対して、前スプリング18により前方に付勢された先部材12、スライド部材3、固定駒4及び後軸20が前進する。すると、スライド部材3とともに、連結具9、締具6、チャック5、回転部材14、芯ホルダー16が芯15とともに前進する。そして、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eが摺動部材17の後カム17Bの傾斜面17Eに当接し、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eが摺動部材17の後カム17Bの傾斜面17Eの略半分を滑って回転部材14が前方に対して右回転する。また、固定駒104の外段104Aが前軸102の内鍔102Aに当接し、図8の状態に復帰する。すると、回転部材14の後カム14Bの傾斜面14Eは摺動部材17の後カム17Bの傾斜面17Eを1つ乗り越えて右隣りの傾斜面17Eに当接され、芯15は回転部材14の後カム14Bの1つの傾斜面14E寸法だけ右に回転する。尚、芯15を繰り出す操作は実施例1と同様に行われる。
【0027】
この実施例2のシャープペンシルの場合には、芯15に筆圧を加えると、手で把持した把持部材1及び前軸102に対して先部材12、スライド部材3及び後軸20が一体で後退する為、先部材内を芯が後退するものと比べて芯が後退するという感覚が薄れ、筆記し易くなるものである。
【実施例3】
【0028】
以下、図10に基づいて本発明における実施例3のシャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、前軸2に前方よりスライド部材3を挿入するとともに後方より固定駒204を挿入し、スライド部材3と固定駒204を圧入固着する。このスライド部材3の後端と固定駒204の外段204Aとの間に前軸2の内鍔2Aを位置させ、前記前軸2の内鍔2Aはスライド部材3の後端と固定駒204の外段204Aとの間を適宜前後動可能に構成する。
【0029】
シャープペンシルの機構部は、頭部が数分割されたチャック105と、チャック105の頭部に外嵌される締具6と、チャック105の後部に固着されるパイプ状の芯タンク108と、締具6を受け止める連結具9と、連結具9と芯タンク108の間に取付時荷重が500g程度で取り付けられるチャックスプリング10とにより構成される。
【0030】
筆圧により芯15が回転する操作は実施例1と同様に行われる。尚、チャック105及び芯タンク108が回転する時、芯タンク108と押圧部材24が分離されているので、芯タンク108の回転を押圧部材24によって妨げられる恐れはない。
【0031】
筆記を行うことによって芯15が摩耗した場合には、ノブ27を押圧することにより押圧部材24を前進させ、押圧部材24が芯タンク108の後端に当接して芯タンク108及びチャック105を前進させれば、従来公知のノック式シャープペンシルと同様に一定量芯15を繰り出す。
【実施例4】
【0032】
以下、図11、図12、図13及び図14に基づいて本発明における実施例4のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図11において、前部に芯ガイドパイプ13を固定した回転部材114を先部材12に回動可能に内蔵する。この回転部材114に芯15を50g程度の摩擦力で保持するゴム製の芯ホルダー16を取り付ける。
【0033】
次に、前記回転部材114を回転させるための回転機構を説明する。回転部材114に突部114Gを形成し、この突部114Gの前面に前カム114Aを形成するとともに、突部114Gの後面に後カム114Bを形成する。この回転部材114の前カム114Aは、図12に示したように、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面114Cと、傾斜面114Cと傾斜面114Cの間に位置する垂直面114Dにより構成する。回転部材114の後カム114Bは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面114Eと、傾斜面114Eと傾斜面114Eの間に位置する垂直面114Fにより構成する。また、カム部材としての摺動部材117に、前内鍔117Iの後面に形成した前カム117Aと後内鍔117Jの前面に形成した後カム117Bを構成する。この摺動部材117の前カム117Aは、左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面117Cと、傾斜面117Cと傾斜面117Cの間に位置する垂直面117Dにより構成する。また、摺動部材117の後カム117Bは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面117Eと、傾斜面117Eと傾斜面117Eの間に位置する垂直面117Fにより構成する。更に、摺動部材117の前カム117Aの傾斜面117Cと後カム117Bの傾斜面117Eは同数で前カム117Aの傾斜面117Cの略中心に後カム117Bの垂直面117Fが位置する。また、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cと後カム114Bの傾斜面114Eも摺動部材117の前カム117Aの傾斜面117C及び後カム117Bの傾斜面117Eと同数で、やはり前カム117Aの傾斜面117Cの略中心に後カム117Bの垂直面117Fが位置する。前記摺動部材117の前カム117Aと後カム117Bの間に回転部材114の突部114Gを取り付け、回転部材114の前カム114Aと摺動部材117の前カム117Aを対面させるとともに、回転部材114の後カム114Bと摺動部材117の後カム117Bを対面させて構成する。また、回転部材114に対し摺動部材117は長手方向に適宜前後動可能に構成し、回転部材114の前カム114Aと摺動部材117の前カム117A及び回転部材114の後カム114Bと摺動部材117の後カム117Bは当接可能に構成する。
【0034】
この回転部材114及び摺動部材117は先部材12に内蔵されるが、先部材12のキー溝12Aに摺動部材117の相対位置に形成された突部117Gが挿入され、先部材12に対して摺動部材117は長手方向に移動可能で回動不能に構成される。また、摺動部材117の突部117Gは先部材12の後部表面より外方に突出する。更に、先部材12の内段12Bと摺動部材117の外段117Hとの間に前スプリング18を取り付け、摺動部材117を長手方向後方に付勢する。
【0035】
上記先部材12をスライド部材3に着脱可能に螺合し、先部材12の係止段12Cと連結具9の前端との間に回転部材114を回動可能に内蔵し、取付時荷重100g程度で取り付けられた前スプリング18により長手方向後方に付勢された摺動部材117の前カム117Aを回転部材114の前カム114Aに当接するとともに、摺動部材117の突部117Gを前軸2のキー2Bに当接させる。すると、前軸2の内鍔2Aが固定駒4の外段4Aに当接され、振出式のシャープペンシルを構成する。
【0036】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押圧され図13に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、固定駒4、先部材12及び回転部材114は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は前進し、前軸2のキー2Bに突部117Gが当接した摺動部材117も前軸2とともに前スプリング18を圧縮しながら前進する。すると、摺動部材117の後カム117Bが回転部材114の後カム114Bに当接し、摺動部材117の後カム117Bの傾斜面117Eが回転部材114の後カム114Bの傾斜面114Eに当接する。しかし、摺動部材117は突部117Gが先部材12のキー溝12Aに挿入されて回動不能となっているので、回転部材114の後カム114Bの傾斜面114Eが摺動部材117の後カム117Bの傾斜面117Eの略半分を滑って図14に示したように回転部材114が前方に対して右回転する。この回転部材114とともに、回転部材114に取り付けられた芯ホルダー16が右回転すると芯15も右に回転する。この時、芯15を保持するチャック5も、締具6及び連結具9とともにスライド部材3に対して右に回転する。
【0037】
次に、筆記を止め芯15を紙面より離すと、手で把持された前軸2及び把持部材1に対して、前スプリング18により前方に付勢された先部材12及びスライド部材3が前進する。すると、スライド部材3とともに、連結具9、締具6、チャック5、回転部材114、芯ホルダー16が芯15とともに前進する。そして、回転部材114に形成された前カム114Aの傾斜面114Cが摺動部材117に形成された前カム117Aの傾斜面117Cに当接し、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cが摺動部材117の前カム117Aの傾斜面117Cの略半分を滑って回転部材114が前方に対して右回転する。また、固定駒4の外段4Aが前軸2の内鍔2Aに当接し、図11の状態に復帰する。すると、回転部材114の前カム114Aの傾斜面114Cは摺動部材117の前カム117Aの傾斜面117Cを1つ乗り越えて右隣りの傾斜面117Cに当接され、芯15は回転部材114の後カム114Bの1つの傾斜面114E寸法だけ右に回転する。尚、チャック5、コネクター7及び芯タンク8が回転する時、芯タンク8と押圧部材24が分離されているとともに、固定駒4と重量体19の隙間より重量体19と芯タンク8の隙間が大きく構成されているので、芯タンク8の回転を押圧部材24や重量体19によって妨げられる恐れはない。
【0038】
この実施例4のシャープペンシルの場合も、回転部材114を回転させる機構が先部材12の中に内蔵されているので、連結具9から後方は通常の振出式のシャープペンシルと同様の構造となり、容易に振出式のシャープペンシルを構成できる利点がある。また、先部材12に回転部材114を回転させる機構が内蔵されるので、回転機構及び機構部の組立を容易に行える利点が得られる。
【実施例5】
【0039】
以下、図15及び図16に基づいて本発明における実施例5のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図15において、回転部材214に芯15を50g程度の摩擦力で保持するゴム等の芯ホルダー16を取り付ける。
【0040】
次に、前記回転部材214を回転させるための回転機構を説明する。回転部材214に突部214Gを形成し、この突部214Gの前面に前カム214Aを形成するとともに、突部214Gの後面に後カム214Bを形成する。この回転部材214の前カム214Aは、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。また、回転部材214の後カム214Bは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。先部材112には前カム112Dが形成され、この前カム112Dは左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。更に、内駒28の内側部前面に後カム28Aを構成する。この内駒28の後カム28Aは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。更に、回転部材214の前カム214Aの傾斜面と後カム214Bの傾斜面は同数で前カム214Aの傾斜面の略中心に後カム214Bの垂直面が位置する。また、先部材112の前カム112Dの傾斜面と内駒28の後カム28Aの傾斜面も回転部材214の前カム214Aの傾斜面及び後カム214Bの傾斜面と同数に構成する。前記回転部材214を先部材112内に長手方向に摺動可能でかつ回動可能に内蔵する。更に、先部材112の位置決め溝112Eに内駒28の位置決め突起28Bを挿入して位置決めし、先部材112に内駒28を圧入固着する。この先部材112と内駒28によりカム部材を構成する。すると、先部材112に形成された前カム112Dの傾斜面の略中心に内駒28に形成した後カム28Aの垂直面が位置して構成される。そして、先部材112の前カム112Dと回転部材214の前カム214Aを対面させて構成するとともに、回転部材214の後カム214Bと内駒28の後カム28Aを対面させて構成する。
【0041】
また、回転部材214の突部214Gは先部材112の前カム112Dと内駒28の後カム28Aの間を長手方向に適宜前後動可能に構成し、先部材112の前カム112Dと回転部材214の前カム214A及び回転部材214の後カム214Bと内駒28の後カム28Aは当接可能に構成する。更に、先部材112の内段112Bと回転部材214の外段214Hとの間に取付時荷重100g程度で前スプリング118を取り付け、回転部材214を長手方向後方に付勢して回転部材214の後カム214Bを内駒28の後カム28Aに当接させる。
【0042】
上記先部材112に後端から切り欠かれて伸びたキー溝112Aを相対位置に形成し、このキー溝112Aに摺動部材217の相対位置に形成された突部217Gを挿入して、先部材112に対して摺動部材217を長手方向に移動可能で回動不能に構成する。また、摺動部材217の突部217Gは先部材112の後部表面より外方に突出する。
【0043】
前記先部材112をスライド部材3に着脱可能に螺合し、摺動部材217の突部217Gを前軸2のキー2Bに当接させるとともに、摺動部材217の前端に回転部材214の後端を当接可能に構成し、振出式のシャープペンシルを構成する。
【0044】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押されて図16に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、先部材112及び内駒28は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は前進し、前軸2のキー2Bに突部217Gが当接した摺動部材217も前軸2とともに前スプリング118を圧縮しながら前進する。すると、摺動部材217の前端に回転部材214の後端が当接し、摺動部材217に押されて回転部材214も前進する。そして、回転部材214の前カム214Aの傾斜面が先部材112の前カム112Dの傾斜面に当接すると、回転部材214の前カム214Aの傾斜面が先部材112の前カム112Dの傾斜面の略半分を滑って回転部材214が前方に対して右回転する。この回転部材214とともに、回転部材214に取り付けられた芯ホルダー16が右回転すると芯15も右に回転する。この時、芯15を保持するチャック5も、締具6及び連結具9とともにスライド部材3に対して右に回転する。
【0045】
次に、筆記を止めて芯15を紙面より離すと、手で把持された前軸2及び把持部材1に対して、前スプリング118により前方に付勢された先部材112及びスライド部材3が前進する。すると、先部材112及びスライド部材3とともに、内駒28、連結具9、締具6、チャック5及び芯15が前進する。しかし、把持部材1及び前軸2とともに摺動部材217及び回転部材214は停止しているので、内駒28に形成された後カム28Aの傾斜面が回転部材214に形成された後カム214Bの傾斜面に当接し、回転部材214の後カム214Bの傾斜面が内駒28の後カム28Aの傾斜面の略半分を滑って回転部材214が前方に対して右回転する。また、固定駒4の外段4Aが前軸2の内鍔2Aに当接し、図15の状態に復帰する。すると、回転部材214の後カム214Bの傾斜面は内駒28の後カム28Aの傾斜面を1つ乗り越えて右隣りの傾斜面に当接され、芯15は回転部材214の後カム214Bの1つの傾斜面寸法だけ右に回転する。
【実施例6】
【0046】
以下、図17及び図18に基づいて本発明における実施例6のシャープペンシルを説明する。尚、図15と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、図17において、回転部材314を回転させるための回転機構を説明する。回転部材314に外鍔314Iを形成し、この外鍔314Iの前面に後カム314Bを形成する。この回転部材314の後カム314Bは、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。また、回転部材314の後カム314B前方には前カム部材29が圧入固着される。この前カム部材29は、前カム部材29の凹部29Aに回転部材314の凸部314Jが係合されて位置合わせされている。この前カム部材29の後面に前カム29Bが形成され、この前カム29Bは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。前記前カム部材29の前カム29Bの傾斜面と回転部材314の後カム314Bの傾斜面は同数で、前カム部材29の前カム29Bの傾斜面の略中心に回転部材314の後カム314Bの垂直面が位置する。また、内駒128の内側部前面に前カム128Cを形成するとともに、内側部後面に後カム128Aを構成する。この内駒128の前カム128Cは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。更に、内駒128の後カム128Aは、左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。前記内駒128の前カム128Cの傾斜面と後カム128Aの傾斜面は同数で前カム128Cの傾斜面の略中心に後カム128Aの垂直面が位置する。しかも、内駒128の前カム128Cの傾斜面と後カム128Aの傾斜面は、前記前カム部材29の前カム29Bの傾斜面及び回転部材314の後カム314Bの傾斜面と同数に構成する。また、内駒128の内側部を前記前カム部材29の前カム29Bと回転部材314の後カム314Bの間に位置して構成し、前カム部材29の前カム29Bと内駒128の前カム128Cを対面させて構成するとともに、内駒128の後カム128Aと回転部材314の後カム314Bを対面させて構成する。更に、内駒128の内側部は、前カム部材29の前カム29Bと回転部材314の後カム314Bの間を長手方向に適宜前後動可能に構成し、前カム部材29の前カム29Bと内駒128の前カム128C及び内駒128の後カム128Aと回転部材314の後カム314Bは当接可能に構成する。前記内駒128は先部材212に圧入固着して取り付けられ、回転部材314を先部材212内に長手方向に適宜移動可能でかつ回動可能に内蔵する。前記内駒128と先部材212によりカム部材を構成する。また、先部材212の内段212Bと前カム部材29の間に取付時荷重100g程度で前スプリング118を取り付け、回転部材314を長手方向後方に付勢して前カム部材29の前カム29Bを内駒128の前カム128Cに当接させる。
【0047】
上記先部材212のキー溝212Aに摺動部材217の突部217Gを挿入し、先部材212に対して摺動部材217を長手方向に移動可能で回動不能に構成する。また、摺動部材217の突部217Gは先部材212の後部表面より円周方向外方に突出する。
【0048】
前記先部材212をスライド部材3に着脱可能に螺合し、摺動部材217の突部217Gを前軸2のキー2Bに当接させるとともに、摺動部材217の前端に回転部材314の後端を当接可能に構成し、振出式のシャープペンシルを構成する。
【0049】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押されて図18に示したように、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材3、先部材212及び内駒128は停止しているが、スライド部材3に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は前進し、前軸2のキー2Bに突部217Gが当接した摺動部材217も前軸2とともに前スプリング118を圧縮しながら前進する。すると、摺動部材217の前端に回転部材314の後端が当接し、摺動部材217に押されて回転部材314も前進する。そして、回転部材314の後カム314Bの傾斜面が内駒128の後カム128Aの傾斜面に当接すると、回転部材314の後カム314Bの傾斜面が内駒128の後カム128Aの傾斜面の略半分を滑って回転部材314が前方に対して右回転する。この回転部材314とともに、回転部材314に取り付けられた芯ホルダー16が右回転すると芯15も右に回転する。この時、芯15を保持するチャック5も、締具6及び連結具9とともにスライド部材3に対して右に回転する。
【0050】
次に、筆記を止め芯15を紙面より離すと、手で把持された前軸2及び把持部材1に対して、前スプリング118により前方に付勢された先部材212及びスライド部材3が前進する。すると、スライド部材3とともに、連結具9、締具6、チャック5及び内駒128が芯15とともに前進する。しかし、把持部材1及び前軸2とともに摺動部材217及び回転部材314は停止しているので、内駒128に形成された前カム128Cの傾斜面が回転部材314に設けられた前カム部材29の前カム29Bの傾斜面に当接し、前カム部材29の前カム29Bの傾斜面が内駒128の前カム128Cの傾斜面を滑って、前カム部材29及び回転部材314が前方に対して右回転する。また、固定駒4の外段4Aが前軸2の内鍔2Aに当接し、図17の状態に復帰する。すると、前カム部材29の前カム29Bの傾斜面は内駒128の前カム128Cの傾斜面を1つ乗り越えて右隣りの傾斜面に当接され、芯15は前カム部材29の前カム29Bの1つの傾斜面寸法だけ右に回転する。
【実施例7】
【0051】
以下、図19に基づいて本発明における実施例7のシャープペンシルを説明する。尚、図2と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、回転部材414に、前外鍔414Kの後面に形成した前カム414Aと後外鍔414Lの前面に形成した後カム414Bを構成する。この回転部材414の前カム414Aは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。また、回転部材414の後カム414Bは、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面と垂直面により構成する。また、回転部材414の前カム414Aの傾斜面及び後カム414Bの傾斜面は、カム部材としての摺動部材17の前カム17Aの傾斜面17Cと同数に形成する。更に、回転部材414の前カム414Aの傾斜面の略中心に後カム414Bの垂直面が位置する。そして、摺動部材17の内側部を前記回転部材414の前カム414Aと後カム414Bの間に取り付け、回転部材414の前カム414Aと摺動部材17の前カム17Aを対面させるとともに、回転部材414の後カム414Bと摺動部材17の後カム17Bを対面させて構成する。また、回転部材414に対し摺動部材17は長手方向に適宜前後動可能に構成し、回転部材414の前カム414Aと摺動部材17の前カム17A及び回転部材414の後カム414Bと摺動部材17の後カム17Bは当接可能に構成する。
【0052】
更に、前記回転部材414の内面に後方から長手方向前方に伸びたキー溝414Mを相対位置に形成する。また、前部に芯ガイドパイプ13を固定した中駒30に芯ホルダー16を取り付ける。前記中駒30の外面の相対位置にキー30Aを形成する。この中駒30を回転部材414の後方から挿入し、中駒30のキー30Aを回転部材414のキー溝414Mに係合させることにより、回転部材414に対して中駒30及び芯ホルダー16を長手方向には摺動可能で回動不能に構成する。
【0053】
上記先部材12をスライド部材3に着脱可能に螺合し、先部材12と連結具9の前端との間に回転部材414を回動可能に内蔵し、取付時荷重100g程度で取り付けられた前スプリング18により長手方向後方に付勢された摺動部材17の突起17Gを前軸2のキー2Bに当接させる。すると、前軸2の内鍔2Aが固定駒4の外段4Aに当接される。
【0054】
更に、前軸2の後方から円筒状の重量体19を挿入し、重量体19を芯タンク8の外面とガイド部材としての固定駒4の内面との間に長手方向に摺動可能に遊嵌する。尚、芯タンク8の外面と重量体19の内面との隙間より重量体19の外面と固定駒4の内面との隙間を狭く構成し、振出式シャープペンシルを構成する。
【0055】
したがって、芯15が紙面に押圧され、回転部材414が前方に対して右回転すると、中駒30及び芯ホルダー16も右回転するために、芯15も右に回転する。
【0056】
この実施例7の場合には、携帯時に中駒30及び芯ガイドパイプ13を後退させれば、先部材12内に芯ガイドパイプ13を没入させることができる。
【実施例8】
【0057】
以下、図20に基づいて本発明における実施例8のシャープペンシルを説明する。尚、図2あるいは図15と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、回転部材514に突部514Gを形成し、この突部514Gの前面に前カム514Aを形成するとともに、突部514Gの後面に後カム514Bを形成する。この回転部材514の前カム514Aは、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。また、回転部材514の後カム514Bは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。更に、回転部材514の内面に後方から長手方向前方に伸びたキー溝514Mを相対位置に形成する。また、前部に芯ガイドパイプ13を固定した中駒130に芯ホルダー16を取り付ける。前記中駒130の相対位置にキー130Aを形成する。この中駒130を回転部材514の後方から挿入し、中駒130のキー130Aを回転部材514のキー溝514Mに係合させることにより、回転部材514に対して中駒130及び芯ホルダー16を長手方向には摺動可能で回動不能に構成する。更に、先部材312の内段312Bと回転部材514の内段514Nとの間に前スプリング118を取り付け、回転部材514を長手方向後方に付勢して回転部材514の後カム514Bを内駒28の後カム28Aに当接させる。この内駒28は、先部材312の位置決め溝312Eに内駒28の位置決め突起28Bを挿入して位置決めした後、先部材312に圧入固着される。この先部材312と内駒28によりカム部材を構成する。
【0058】
したがって、芯15が紙面に押圧され、回転部材514が前方に対して右回転すると、中駒130及び芯ホルダー16も右回転するために、芯15も右に回転する。
【0059】
この実施例8の場合も、携帯時に中駒130及び芯ガイドパイプ13を後退させれば、先部材312内に芯ガイドパイプ13を没入させることができる。
【実施例9】
【0060】
以下、図21及び図22に基づいて本発明における実施例9のシャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、シリコンゴム等の軟質材で構成された把持部材1を前軸202に固定して取り付ける。この前軸202には中間部に内鍔202Aが形成されるとともに、前部に前方から後方に伸びたキー溝202Cが互いに対向して形成されるとともに、その前方に雌ネジ部202Dが形成される。
【0061】
シャープペンシルの機構部は、チャック5と、締具6と、コネクター7と、芯タンク8と、締具6を長手方向に適宜移動可能に凹溝109C内に遊嵌する連結具109と、連結具109とコネクター7の間に取付時荷重が100g程度で取り付けられるチャックスプリング10とにより構成される。
【0062】
前記機構部をスライド部材103の前方より挿入し、スライド部材103の内鍔103Bが連結具109の前部外鍔109Bと後部外鍔109Aの間に回動自在に係合される。
【0063】
更に、先部材412には芯ガイドパイプ13を固定した回転部材614が回動可能に内蔵され、回転部材614の前外鍔614Oを先部材412の係止段412Cと先部材412に取り付けられた駒31との間に回動自在に配置する。この回転部材614に芯15を50g程度の摩擦力で保持するゴム製の芯ホルダー16を取り付ける。
【0064】
次に、前記回転部材614を回転させるための回転機構を説明する。回転部材614に、前段の後面に形成した前カム614Aと後段の前面に形成した後カム614Bを構成する。この回転部材614の前カム614Aは、右回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。また、回転部材614の後カム614Bは、右回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。更に、カム部材としての摺動部材317の内側部に、前端面に形成した前カム317Aと後端面に形成した後カム317Bを構成する。この摺動部材317の前カム317Aは、左回転方向に向かって前方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。また、摺動部材317の後カム317Bは、左回転方向に向かって後方に傾斜する多数の傾斜面と、傾斜面と傾斜面の間に位置する垂直面により構成する。更に、摺動部材317の前カム317Aの傾斜面と後カム317Bの傾斜面は同数で前カム317Aの傾斜面の略中心に後カム317Bの垂直面が位置する。また、回転部材614の前カム614Aの傾斜面と後カム614Bの傾斜面も摺動部材317の前カム317Aの傾斜面及び後カム317Bの傾斜面と同数で、やはり前カム614Aの傾斜面の略中心に後カム614Bの垂直面が位置する。前記摺動部材317の内側部を前記回転部材614の前カム614Aと後カム614Bの間に取り付け、回転部材614の前カム614Aと摺動部材317の前カム317Aを対面させるとともに、回転部材614の後カム614Bと摺動部材317の後カム317Bを対面させて構成する。また、回転部材614に対し摺動部材317は長手方向に適宜前後動可能に構成し、回転部材614の前カム614Aと摺動部材317の前カム317A及び回転部材614の後カム614Bと摺動部材317の後カム317Bは当接可能に構成される。
【0065】
この回転部材614を先部材412に内蔵し、先部材412の係止段412Cと先部材412に圧入固着された駒31の間に回転部材614の前外鍔614Oを配置し、先部材412に対して回転部材614を回動自在でかつ長手方向に移動不能に取り付ける。
【0066】
更に、前記回転機構の摺動部材317をスライド部材103に圧入固着し、摺動部材317とスライド部材103を回動不能に連結する。
【0067】
前記前軸202に回転機構を取り付けるには、先ず、前軸202に前方より緩衝スプリング32を挿入し、その後、先部材412、摺動部材317及び回転部材614を組み立てたスライド部材103を前軸202の前方より挿入し、摺動部材317のキー317Kを前軸202のキー溝202Cに挿入するとともに、前軸202の雌ネジ部202Dに先部材412の雄ネジ部412Fを着脱可能に螺合する。また、スライド部材103の後端と前軸202の内鍔202Aとの間に取付時荷重150g程度で緩衝スプリング32が取り付けられる。
【0068】
更に、前軸202の後方から円筒状の重量体19を挿入し、重量体19を芯タンク8の外面と前軸202の内面との間に長手方向に摺動可能に遊嵌する。尚、芯タンク8の外面と重量体19の内面との隙間より重量体19の外面と前軸202の内面との隙間を狭く構成し、振出式のシャープペンシルを構成する。
【0069】
この実施例9の振出式のシャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押され、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具109、スライド部材103が後退し緩衝スプリング32を圧縮する。すると、スライド部材103に固着された摺動部材317も後退し、摺動部材317の後カム317Bの傾斜面が回転部材614の後カム614Bの傾斜面に当接する。しかし、摺動部材317はキー317Kが前軸202のキー溝202Cに挿入されて前軸202に対し回動不能となっているので、回転部材614の後カム614Bの傾斜面が摺動部材317の後カム317Bの傾斜面の略半分を滑って、回転部材614が前方に対して右回転する。回転部材614とともに回転部材614に取り付けられた芯ホルダー16が右回転すると芯15も右に回転する。この時、芯15を保持するチャック5も、締具6及び連結具109とともにスライド部材103に対して右に回転する。
【0070】
次に、筆記を止めて芯15を紙面より離すと、緩衝スプリング32により前方に付勢されたスライド部材103が前進する。すると、スライド部材103とともに、連結具109、締具6、チャック5、摺動部材317が前進する。そして、摺動部材317の前カム317Aの傾斜面が回転部材614の前カム614Aの傾斜面に当接し、回転部材614の前カム614Aの傾斜面が摺動部材317の前カム317Aの傾斜面の略半分を滑って回転部材614が前方に対して右回転する。すると、回転部材614の前カム614Aの傾斜面は摺動部材317の前カム317Aの傾斜面を1つ乗り越えて右隣りの傾斜面に当接され、芯15は回転部材614の前カム614Aの1つの傾斜面寸法だけ右に回転する。
【実施例10】
【0071】
以下、図23及び図24に基づいて本発明における実施例10のシャープペンシルを説明する。尚、図19と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、先部材512を透明あるいは着色した透明性を有する合成樹脂で構成し、表面に梨地加工や不透明のインキで印刷を行うかあるいは転写を行うとともに、その一部に透明性を有する窓部512Gを形成する。更に、先部材512の後部に後端から切り欠かれて伸びたキー溝512Aを相対位置に形成する。また、回転部材414に表示部材33を圧入固着して取り付ける。この表示部材33には芯15の回転が目視できるように表示33Aが設けられる。この表示部材33の表示33Aは、印刷、転写あるいはシール等により構成する。尚、図示していないが、表示部材は回転部材と一体に構成しても良い。
【0072】
この回転部材414を前記先部材512内に内蔵するとともに、先部材512のキー溝512Aにカム部材としての摺動部材17の突部17Gを挿入する。そして、先部材512をスライド部材3に着脱可能に螺合して取り付ける。すると、表示部材33に形成された表示33Aが先部材512の窓部512Gより目視可能となる。したがって、回転部材414が回転する状態を先部材512の窓部512Gより常時目視することができる。
【0073】
尚、先部材512の窓部512Gは、円周状に形成したり円周方向等間隔に複数形成することが好ましい。
【0074】
この実施例10のシャープペンシルの場合には、芯15の回転を示す表示33Aが先部材512の窓部512Gを通して目視でき、筆記中に表示33Aが目視し易いという利点が得られる。
【実施例11】
【0075】
以下、図25及び図26に基づいて本発明における実施例11のシャープペンシルを説明する。尚、図23と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、先部材612を透明あるいは着色した透明性を有する合成樹脂で構成し、表面後部に雄ネジ部612Hを構成する。この先部材612の表面に、不透明のインキで印刷を行うかあるいは転写を行うとともに、その一部に透明性を有する窓部を形成する。更に、先部材612の後部に後端から切り欠かれて伸びたキー溝612Aを相対位置に形成する。また、ロック部材34に雌ネジ部34Aを形成するとともに係止部34Bを後方に伸ばして構成する。このロック部材34を先部材612に長手方向に移動可能に螺合する。しかも、このロック部材34の係止部34Bは前軸2の前端と当接可能に構成する。そして、通常は、ロック部材34の係止部34Bと前軸2の前端とが適宜離間して構成し、図25の状態にすれば、先部材612及びスライド部材3に対して前軸2が長手方向に移動可能となっている。したがって、この状態では回転部材414の回転機構が働き、筆記を行えば芯15が回転する。
【0076】
また、芯15の回転を止めたい場合には、ロック部材34を回転させて後退させ、係止部34Bを前軸2に当接させ図26の状態にする。すると、先部材612及びスライド部材3に対して前軸2が長手方向に移動できなくなり、筆記を行っても芯15が回転しない。
【0077】
この実施例11の場合には、使用者の使用目的によって芯15が回転する状態と芯15が回転しない状態を選択できるとともに、芯15の回転を先部材612の窓部より確認できるので、筆記中に芯15が回転しているのか回転していないのかが自然に判断できる利点が得られる。
【実施例12】
【0078】
以下、図27、図28、図29及び図30に基づいて本発明における実施例12のシャープペンシルを説明する。尚、図25と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、先部材712を透明あるいは着色した透明性を有する合成樹脂で構成し、表面後部712Iを隆起させて構成するとともに、その表面後部712Iに円周方向に伸びた突状部712Jを形成する。この先部材712の表面に、不透明のインキで印刷を行うかあるいは転写を行うとともに、その一部に透明性を有する窓部を形成する。更に、先部材712の後部に後端から切り欠かれて伸びたキー溝712Aを相対位置に形成する。また、ロック部材134の内面に円周方向に伸びた凹状部134Cを形成するとともに、後方に伸ばしたカム部134Dを相対位置に形成する。このカム部134Dには、係止部134Bと係止部134Bより更に後方に伸びたストッパー部134Eを形成する。また、前軸302のカム部302Eには、後方に切り欠かれた凹部302Fを相対位置に形成する。前記ロック部材134の凹状部134Cを先部材712の突状部712Jに回動自在に取り付ける。また、ロック部材134のカム部134Dを前軸302の凹部302Fに合わせて図27及び図28に示した状態にすれば、ロック部材134のカム部134Dと前軸302のカム部302Eが適宜離間して、先部材712及びスライド部材3に対して前軸302が長手方向に移動可能となる。したがって、この状態では回転部材414の回転機構が働き、筆記を行えば芯15が回転する。
【0079】
また、芯15の回転を止めたい場合には、ロック部材134を前方に対して右に回転させれば、ロック部材134のストッパー部134Eが前軸302のカム部302Eに形成した凹部302Fの縁302Gに当接してロック部材134の回転が停止されるとともに、ロック部材134の係止部134Bが前軸302のカム部302Eに接触して図29及び図30に示した状態となる。この状態では、先部材712及びスライド部材3に対して前軸302が長手方向前方に移動できなくなり、筆記を行なっても芯15が回転しない。
【0080】
この実施例12の場合にも、使用目的によって芯15が回転する状態と芯15が回転しない状態を選択できるとともに、芯15の回転を先部材712の窓部より確認できるので、筆記中に芯15が回転しているのか回転していないのかが自然に判断できる利点が得られる。
【実施例13】
【0081】
以下、図31及び図32に基づいて本発明における実施例13のシャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、軟質材で構成された把持部材1を前軸402に固定して取り付ける。また、前軸402の後部に雌ネジ部402Hを形成する。更に、ロック部材234の前部に雄ネジ部234Fを形成するとともに、後部234Gを太径に形成する。前記前軸402の雌ネジ部402Hにロック部材234の雄ネジ部234Fが長手方向に移動可能に螺合され、かつ、ロック部材234の後部234Gが固定駒304の外鍔304Cに被さって構成される。そして、図31に示した状態では、先部材12に対してカム部材としての摺動部材17は長手方向に移動可能に構成される。したがって、この状態では回転部材14の回転機構が働き、筆記を行えば芯15が回転する。
【0082】
また、芯15の回転を止めたい場合には、ロック部材234を回転させて前軸402を長手方向前方に移動させる。すると、図32に示した状態となり、前軸402のキー402Bに押されて摺動部材17が前方に移動し、先部材12のキー溝12Aの前端縁に摺動部材17の突部17Gが当接する。この状態では、先部材12及びスライド部材3に対して前軸402及び摺動部材17が長手方向に往復動できなくなり、筆記を行なっても芯15が回転しない。
【0083】
この実施例13の場合には、筆記中にロック部材234が指に当たらないので、誤作動が発生する恐れが少なくなる。尚、図示していないが、この実施例13においても芯15の回転を表示する表示部材を取り付けることもできる。
【実施例14】
【0084】
以下、図33に基づいて本発明における実施例14のシャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、スライド部材203の後端と前軸2の内鍔2Aとの間に取付時荷重が150g程度の緩衝スプリング32を取り付ける。この緩衝スプリング32の取付時荷重は前スプリング18の取付時荷重より強く構成する。また、スライド部材203に固定駒404が圧入固着され、固定駒404の外段404Aが前軸2の内鍔2Aに当接される。この固定駒404の後方から円筒状の重量体19を挿入し、重量体19を芯タンク8の外面と固定駒404の内面との間に長手方向に摺動可能に遊嵌する。尚、芯タンク8の外面と重量体19の内面との隙間より重量体19の外面と固定駒404の内面との隙間を狭く構成する。前記固定駒404の後部に後軸20を着脱可能に螺合してシャープペンシルを構成する。
【0085】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押圧され、筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材203、固定駒404、先部材12及び回転部材14は停止しているが、スライド部材203に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は緩衝スプリング32を圧縮しながら前進し、前軸2のキー2Bに突部17Gが当接したカム部材としての摺動部材17も前軸2とともに前スプリング18を圧縮しながら前進する。この摺動部材17の往復動によって回転部材14を回転させる。
【0086】
したがって、芯15が筆圧を受けることによって手で把持された前軸2及び把持部材1が前進する時、緩衝スプリング32によってゆるやかに移動させることができ、筆記中に前軸2及び把持部材1が揺動することによって生じる筆記の妨げを緩和できる利点が得られる。
【実施例15】
【0087】
以下、図34、図35及び図36に基づいて本発明における実施例15のシャープペンシルを説明する。尚、図33と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、スライド部材203の後端と前軸2の内鍔2Aとの間にゴムあるいは低反発発泡体等の軟質材で構成された緩衝部材35を取付時荷重150g程度で取り付ける。この緩衝部材35は円筒状に形成し、その後部には長手方向後方に突出する突部35Aが円周方向等間隔に複数形成されている。また、緩衝部材35の取付時荷重は前スプリング18の取付時荷重より強く構成する。
【0088】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押圧され、筆記を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材203、固定駒404、先部材12及び回転部材14は停止しているが、スライド部材203に対し手で把持された前軸2及び把持部材1は緩衝部材35を圧縮しながら前進し、前軸2のキー2Bに突部17Gが当接したカム部材としての摺動部材17も前軸2とともに前スプリング18を圧縮しながら前進する。この摺動部材17の往復動によって回転部材14を回転させる。
【0089】
したがって、芯15が筆圧を受けることによって手で把持された前軸2及び把持部材1が前進する時、緩衝部材35によって緩やかに移動させることができ、筆記中に前軸2及び把持部材1が揺動することによって生じる筆記の妨げを緩和できる利点が得られる。
【実施例16】
【0090】
以下、図37、図38及び図39に基づいて本発明における実施例16のシャープペンシルを説明する。尚、図15と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、機構部をスライド部材303の前方より挿入し、スライド部材303の内鍔303Bを連結具9の後部外鍔9Aが挿通し、スライド部材303の内鍔303Bが連結具9の前部外鍔9Bと後部外鍔9Aの間に回動自在に係合される。前記スライド部材303の前部には雄ネジ部303Cが形成されるとともに、図示していないがスライド部材303の後部に後軸が着脱可能に螺合されている。
【0091】
前軸502には、前部に雄ネジ部502Iと外鍔502Jが形成されるとともに、外鍔502Jより長手方向後方に伸びた片502Kが相対位置に形成される。更に、この片502Kには雌ネジ部502Hが形成される。また、摺動部材417は、後部に外鍔417Lが形成され、この外鍔417Lには半円弧状の貫通孔417Mが左右の対象位置に形成される。
【0092】
前記前軸502の片502Kを摺動部材417の貫通孔417Mに挿通し、前軸502に対し摺動部材417を長手方向には摺動可能で回動不能に取り付ける。更に、前軸502の片502Kに形成した雌ネジ部502Hにスライド部材303の雄ネジ部303Cを着脱可能に螺合して取り付ける。また、摺動部材417の外鍔417L表面には凹溝417Nが形成される。更に、シリコンゴム等の軟質材あるいは合成樹脂等の硬質材で構成された把持部材101の前部内面に前内鍔101Aが形成される。この把持部材101の前内鍔101Aが前記摺動部材417の外鍔417L表面に形成された凹溝417Nに圧入固着されることによって係止され、摺動部材417と把持部材101が連結されて、振出式のシャープペンシルを構成する。
【0093】
前記シャープペンシルで筆記を行うと、芯15が紙面に押され筆圧を受けるチャック5、締具6、連結具9、スライド部材303、先部材812、前軸502及び内駒28は停止しているが、スライド部材303に対し手で把持された把持部材101は前進し、把持部材101に連結された摺動部材417も前進する。すると、摺動部材417に押されて回転部材214も前スプリング118を圧縮しながら前進する。そして、回転部材214の前カム214Aの傾斜面が先部材812の前カム812Dの傾斜面に当接すると、回転部材214の前カム214Aの傾斜面が先部材812の前カム812Dの傾斜面の略半分を滑って回転部材214が前方に対して右回転する。この回転部材214とともに、回転部材214に取り付けられた芯ホルダー16が右回転すると芯15も右に回転する。この時、芯15を保持するチャック5も、締具6及び連結具9とともにスライド部材303に対して右に回転する。
【0094】
次に、筆記を止め芯15を紙面より離すと、手で把持された把持部材101に対して、前スプリング118により前方に付勢された先部材812、前軸402及びスライド部材203が前進する。すると、先部材812、前軸502及びスライド部材303とともに、内駒28、連結具9、締具6及びチャック5が芯15とともに前進する。しかし、把持部材101とともに摺動部材417及び回転部材214は停止しているので、内駒28に形成された後カム28Aの傾斜面が回転部材214に形成された後カム214Bの傾斜面に当接し、回転部材214の後カム214Bの傾斜面が内駒28の後カム28Aの傾斜面の略半分を滑って回転部材214が前方に対して右回転する。また、スライド部材303の外段303Dが把持部材101の後端に当接し、図37の状態に復帰する。すると、回転部材214の後カム214Bの傾斜面は内駒28の後カム28Aの傾斜面を1つ乗り越えて右隣りの傾斜面に当接され、芯15は回転部材214の後カム214Bの1つの傾斜面寸法だけ右に回転する。
【0095】
この実施例16の場合には、先部材812と内駒28によりカム部材を構成する。また、把持部材101に摺動部材417が固定されるので、先部材812と前軸502あるいは前軸502とスライド部材303を分離しても、それぞれに内蔵された部材は外れる心配がなく、また、組立性も向上するものである。
【実施例17】
【0096】
以下、図40に基づいて本発明における実施例17のシャープペンシルを説明する。尚、図1と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、合成樹脂で構成された把持部材201の前方よりスライド部材3を挿入するとともに後方より固定駒4を挿入し、スライド部材3と固定駒4を圧入固着する。このスライド部材3の後端と固定駒4の外段4Aとの間に把持部材201の内鍔201Bを位置させ、前記把持部材201の内鍔201Bはスライド部材3の後端と固定駒4の外段4Aの間を適宜前後動可能に構成する。また、スライド部材3のキー溝3Aに把持部材201のキー201Cが係合し、スライド部材3と把持部材201は長手方向には適宜移動可能でかつ回動不能に構成される。更に、把持部材201のキー201Cの一部はスライド部材3の貫通したキー溝3Aより内方に突出して構成される。また、前スプリング18により長手方向後方に付勢されたカム部材としての摺動部材17の突部17Gを把持部材201のキー201Cに当接させる。前記把持部材201に後軸20を着脱可能に螺合して振出式のシャープペンシルを構成する。
【0097】
尚、筆記により芯15を回転する手段は実施例1と同様に行なわれる。
【実施例18】
【0098】
以下、図41に基づいて本発明における実施例18のシャープペンシルを説明する。尚、図19と同一部材は同一の符号を付してその説明を省略する。先ず、芯ガイドパイプ113内に芯ホルダー116を取り付け、この芯ガイドパイプ113を中駒230の前部に固定する。前記中駒230の外面の相対位置にキー230Aを形成する。この中駒230を回転部材414の後方から挿入し、中駒230のキー230Aを回転部材414のキー溝414Mに係合させることにより、回転部材414に対して中駒230、芯ガイドパイプ113及び芯ホルダー116を長手方向には摺動可能で回動不能に構成する。尚、先部材912については詳しく説明しないが、先端孔912Kを太くなった芯ガイドパイプ113が挿通可能にするために若干太くしたが、その他は先部材12と同じである。
【0099】
したがって、芯15が紙面に押圧され、回転部材414が前方に対して右回転すると、中駒230、芯ガイドパイプ113及び芯ホルダー116も右に回転するために、芯15も右に回転する。
【0100】
この実施例18の場合には、芯ガイドパイプ113の先端近くまで芯ホルダー116が配置されているので、残芯として排出される芯15は非常に短くなり、経済的となる。
【0101】
尚、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、把持部材、前軸、先部材、スライド部材、固定駒、回転部材、摺動部材、連結具といった部材は説明を簡略化するためにそれぞれ1個の部材として図示しているが、それぞれ2個以上の部材を螺合、圧入等により一体化すれば良い。また、回転部材、中駒、芯ガイドパイプに取り付けられる芯ホルダーは、ゴムに限定されるものではなく、金属の板を筒状に形成し、その一部に弾性部を形成したり、あるいは回転部材、中駒あるいは芯ガイドパイプ等の一部に弾性部を形成して一体に構成しても良い。更に、上記実施例は前カムの傾斜面の略中心に後カムの垂直面を位置させて構成しているが、これは説明を明確にするためであって、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、互いに当接する前カムの傾斜面同士が接触して合致した時、互いに当接可能な後カムの接触面同士は離間するとともに傾斜面寸法の略半分程度円周方向にずれて構成され、かつ、前カムの傾斜面と後カムの傾斜面が円周方向に対して逆向きに傾斜して構成されていれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0102】
筆記によるチャック及び連結具の前後動と連動してスライド部材が前後動することにより芯ホルダーが一方向に回転し、この芯ホルダーの回転に伴い芯を回転させるので、チャックに保持されなくなった短い芯でも回転させることができるシャープペンシルに適用できる。
【符号の説明】
【0103】
1 把持部材
3 スライド部材
5 チャック
5A チャック5の頭部
6 締具
9 連結具
10 チャックスプリング
14 回転部材
14A 回転部材14の前カム
14B 回転部材14の後カム
15 芯
16 芯ホルダー
101 把持部材
103 スライド部材
105 チャック
105A チャック105の頭部
109 連結具
114 回転部材
114A 回転部材114の前カム
114B 回転部材114の後カム
116 芯ホルダー
201 把持部材
203 スライド部材
214 回転部材
214A 回転部材214の前カム
214B 回転部材214の後カム
303 スライド部材
314 回転部材
314B 回転部材314の後カム
414 回転部材
414A 回転部材414の前カム
414B 回転部材414の後カム
514 回転部材
514A 回転部材514の前カム
514B 回転部材514の後カム
614 回転部材
614A 回転部材614の前カム
614B 回転部材614の後カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックの頭部に締具を外嵌し、前記チャックをチャックスプリングにより長手方向後方に付勢し、チャックに押圧された締具を受け止める連結具をスライド部材に対し回動可能に構成し、把持部材に対してスライド部材が長手方向に移動可能で回動不能に構成するとともに、スライド部材に対しカム部材を回動不能に構成し、更に、カム部材に前カムと後カムを形成するとともに回転部材に前カムと後カムを形成し、前記カム部材の前カムと回転部材の前カムを互いに当接可能に構成するとともに、カム部材の後カムと回転部材の後カムを互いに当接可能に構成し、筆記によるチャック及び連結具の前後動と連動してスライド部材が前後動することにより、カム部材と回転部材が互いに前後に移動し、カム部材の前カムと回転部材の前カム及びカム部材の後カムと回転部材の後カムが前後して互いに当接することにより回転部材が一方向に回転し、この回転部材と連動して芯ホルダーを所定角度毎に回転させ、芯ホルダーの回転に伴って芯ホルダーに適宜の力で保持された芯を回転させることを特徴とするシャープペンシル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−240389(P2012−240389A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115412(P2011−115412)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】