説明

シューズのソール構造体

【課題】 クッション性を向上でき、かつ走行中の荷重移動をコントロールできるシューズ用ソール構造体を提供する。
【解決手段】 シューズのソール構造体1において、上方に配置された上部シート部2と、上部シート部2の下面において、下方に凸状に湾曲する下凸状湾曲部31〜35をそれぞれ有しかつ前後方向に一部オーバラップしつつ並設された複数の湾曲シート部3(3〜3)とを設ける。各湾曲シート部3〜3が、各下凸状湾曲部31〜35の両側に第1および第2の端部A(A〜A)、B(B〜B)をそれぞれ有している。湾曲シート部3の第1の端部Aは、ソール構造体1の前方側に配置されて上部シート部2の下面に固着されており、第2の端部Bは、ソール構造体1の後方側に配置されて当該湾曲シート部3の隣の湾曲シート部3の外面に固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズ用ソール構造体に関し、詳細には、クッション性を向上させかつ走行中の荷重移動をコントロールするための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ソール構造体として、たとえば特開平11−235202号公報に示すものが本件出願人により提案されている。このソール構造体は、複数の帯状波形シートを並設するとともに、隣り合う各帯状波形シートを連結部により連結することにより構成されている。
【0003】
また、特開2003−339405号公報には、上下方向に一定の空隙を介して対向配置された上下部プレートと、上下部プレート間に配設されるとともに、その上側凸面が上部プレートに固着されかつその下側凸面が下部プレートに固着された波形プレートとからなるソール構造体が示されている。
【0004】
さらに、国際公開第2006/129837号パンフレットには、上部プレートと、その下方に配設され、上部プレートとの間で空隙を形成する2つの膨出部を有する波状の下部プレートと、各膨出部間に形成された上凸部分を上部プレートに連結する弾性ブロックとを備えたソール構造体が示されている。
【特許文献1】特開平11−235202号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2003−339405号公報(図2参照)
【特許文献3】国際公開第2006/129837号パンフレット(第1A図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特開平11−235202号公報に示すソール構造体においては、シューズの着地時には、各帯状波形シートの波形状部分が扁平となるように圧縮変形するとともに、この変形時に各波形状部分によって捩じられる連結部がトーションバーとして作用することにより、各帯状波形シートの波形状部分の変形と相俟って衝撃荷重が吸収される。
【0006】
しかしながら、この場合には、隣り合う各帯状波形シートが連結部により連結されていることにより、各帯状波形シートの波形状部分の圧縮変形量が規制されている。
【0007】
また、上記特開2003−339405号公報に示すソール構造体においては、シューズの着地時には、波形プレートの各波形状部分が扁平となるように圧縮変形することで、上下部プレート間の空隙がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0008】
しかしながら、この場合には、波形プレートの上側凸面が上部プレートに固着されかつ下側凸面が下部プレートに固着されていることで、波形プレートの上側および下側凸面が上下部プレートで拘束されていることにより、波形プレートの波形状部分の圧縮変形量が規制されている。
【0009】
さらに、上記国際公開第2006/129837号パンフレットに示すソール構造体においては、シューズの着地時には、下部プレートの各膨出部が扁平となるように圧縮変形することで、上下部プレート間の空隙がクッションホールとして作用して、衝撃荷重が吸収される。
【0010】
この場合、上述した2つの公報に記載のソール構造体に比べると、下部プレートの各膨出部間の上凸部分が弾性ブロックを介して上部プレートに連結されているので、各膨出部の圧縮変形が比較的容易であり、クッション性が向上している。
【0011】
しかしながら、この場合には、各膨出部がそれぞれ独立して圧縮変形するように構成されており、各膨出部の圧縮変形量が各膨出部の剛性で決まるため、ソール構造体全体のクッション性を向上させるにも限界がある。
【0012】
その一方、走行時の荷重移動をコントロールして、とくにライド感をより向上させたいとする業界の要請がある。
【0013】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、圧縮変形を容易にしてクッション性を向上でき、さらに走行中の荷重移動をコントロールできるシューズ用ソール構造体を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明に係るシューズ用ソール構造体は、上方に配置された上部シート部と、上部シート部の下面に設けられ、下方に凸状に湾曲する下凸状湾曲部をそれぞれ有しかつ前後方向に一部オーバラップしつつ並設された複数の湾曲シート部とを備えている。各湾曲シート部は、各下凸状湾曲部の両側に第1および第2の端部をそれぞれ有している。各湾曲シート部の各第1の端部は、上部シート部の下面に固着され、各第2の端部は、当該湾曲シート部と隣り合う湾曲シート部の外面に固着されている。
【0015】
請求項1の発明においては、シューズの着地時には、湾曲シート部の下凸状湾曲部が圧縮変形することにより、衝撃荷重が吸収される。しかも、この場合には、湾曲シート部が圧縮変形したとき、その第2の端部が、当該湾曲シート部の隣の湾曲シート部の外面を押圧して圧縮変形させる。
【0016】
このように請求項1の発明によれば、いずれかの湾曲シート部の圧縮変形に起因して、隣の湾曲シート部が圧縮変形を起こすので、ソール構造体全体のクッション性を向上できる。
【0017】
さらに、この場合には、複数の湾曲シート部の各々について、第1の端部をソール構造体の前方に配置しかつ第2の端部をソール構造体の後方に配置するように構成すれば、ソール構造体の後方から前方に体重が移動していく際に、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえるようになって、ライド感を向上できる。
【0018】
これとは逆に、複数の湾曲シート部の各々について、第1の端部をソール構造体の後方に配置しかつ第2の端部をソール構造体の前方に配置するように構成した場合には、ソール構造体の後方から前方に体重が移動していく際に、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動にブレーキがかかり、これにより、前方への荷重移動をコントロールできる。
【0019】
請求項2の発明に係るシューズ用ソール構造体は、上方に配置された上部シート部と、上部シート部の下面に設けられ、下方に凸状に湾曲する下凸状湾曲部をそれぞれ有し、前後方向に一部オーバラップしつつ並設された第1ないし第3の湾曲シート部とを備えている。第1ないし第3の湾曲シート部は、各下凸状湾曲部の両側に第1および第2の端部をそれぞれ有している。第1ないし第3の湾曲シート部の各第1の端部は、上部シート部の下面に固着されている。第1の湾曲シート部の第2の端部は、当該第1の湾曲シート部と隣り合う第2の湾曲シート部の外面に固着されている。第2の湾曲シート部の第2の端部は、当該第2の湾曲シート部と隣り合う第3の湾曲シート部の外面に固着されている。
【0020】
請求項2の発明においては、シューズの着地時には、湾曲シート部の下凸状湾曲部が圧縮変形することにより、衝撃荷重が吸収される。しかも、この場合には、いずれかの湾曲シート部、例えば第1の湾曲シート部が圧縮変形したとき、その第2の端部が、第1の湾曲シート部の隣の第2の湾曲シート部の外面を押圧して第2の湾曲シート部を圧縮変形させる。また、第2の湾曲シート部が圧縮変形した場合には、その第2の端部が、第2の湾曲シート部の隣の第3の湾曲シート部の外面を押圧して第3の湾曲シート部を圧縮変形させる。
【0021】
このように請求項2の発明によれば、いずれかの湾曲シート部の圧縮変形に起因して、隣の湾曲シート部が圧縮変形を起こすので、ソール構造体全体のクッション性を向上できる。
【0022】
さらに、この場合には、第1ないし第3の湾曲シート部の各々について、第1の端部をソール構造体の前方に配置しかつ第2の端部をソール構造体の後方に配置するように構成すれば、ソール構造体の後方から前方に体重が移動していく際に、第1ないし第3の湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえるようになって、ライド感を向上できる。
【0023】
これとは逆に、第1ないし第3の湾曲シート部の各々について、第1の端部をソール構造体の後方に配置しかつ第2の端部をソール構造体の前方に配置するように構成した場合には、ソール構造体の後方から前方に体重が移動していく際に、第1ないし第3の湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動にブレーキがかかり、これにより、前方への荷重移動をコントロールできる。
【0024】
請求項3の発明では、請求項1または2において、各湾曲シート部の第2の端部は、これが固着される隣の湾曲シート部の下凸状湾曲部の最下点の位置と当該隣の湾曲シート部の第1の端部との間の位置に固着されている。
【0025】
この場合には、圧縮変形した湾曲シート部の第2の端部が隣の湾曲シート部の外面を押圧した際に、隣の湾曲シート部の変形が容易に行われるので、ソール構造体全体のクッション性を向上できる。
【0026】
請求項4の発明では、請求項1ないし3のいずれかにおいて、各湾曲シート部の第2の端部が固着される隣の湾曲シート部の第1の端部が、当該第2の端部を有する湾曲シート部の下凸状湾曲部の最下点の位置を越える位置までオーバラップしている。
【0027】
この場合には、湾曲シート部の下凸状湾曲部の最下点に作用した荷重を当該湾曲シート部およびその隣の湾曲シート部の少なくとも2つの湾曲シート部で支持することになるので、衝撃吸収性を向上できる。
【0028】
請求項5の発明では、請求項1ないし4のいずれかにおいて、当該ソール構造体の圧縮変形時には、湾曲シート部が圧縮変形するとともに、圧縮変形した湾曲シート部の第2の端部が、当該湾曲シート部の隣の湾曲シート部を押圧して隣の湾曲シート部を圧縮変形させるようになっている。
【0029】
請求項5の発明によれば、いずれかの湾曲シート部の圧縮変形に起因して、隣の湾曲シート部が圧縮変形を起こすので、ソール構造体全体のクッション性を確実に向上できる。
【0030】
請求項6の発明では、請求項1において、第1の端部が当該ソール構造体の前方側に配置され、第2の端部が当該ソール構造体の後方側に配置されている。
【0031】
この場合には、ソール構造体の後方から前方に体重が移動していく際に、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なうことができ、これにより、ライド感を向上できる。
【0032】
請求項7の発明では、請求項1において、第1の端部が当該ソール構造体の後方側に配置され、第2の端部が当該ソール構造体の前方側に配置されている。
【0033】
この場合には、ソール構造体の後方から前方に体重が移動していく際に、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動にブレーキをかけることができ、これにより、前方への荷重移動をコントロールできる。
【0034】
請求項8の発明では、請求項1ないし7のいずれかにおいて、当該ソール構造体がシューズの踵部に設けられている。
【0035】
この場合には、踵部の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、踵部において走行中の荷重移動をコントロールできるようになる。
【0036】
請求項9の発明では、請求項1ないし7のいずれかにおいて、当該ソール構造体がシューズの前足部に設けられている。
【0037】
この場合には、前足部の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、前足部において走行中の荷重移動をコントロールできるようになる。
【0038】
請求項10の発明では、請求項1ないし7のいずれかにおいて、当該ソール構造体がシューズのソール全面に設けられている。
【0039】
この場合には、ソール全面の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、踵からつま先にかけてのソール全面において走行中の荷重移動をコントロールできるようになる。
【0040】
請求項11の発明では、請求項6記載のソール構造体が、シューズの踵部から前足部にかけて設けられるとともに、当該ソール構造体の一部に不連続部が設けられている。
【0041】
ここで、本明細書中において、「不連続部」とは、その前後に配置された湾曲シート部とは異なる形状の部位であって、例えば、隣り合う各湾曲シート部の間に設けられ、各湾曲シート部を連結する上凸状の湾曲部(または平坦状部)を指しているか、あるいは、隣り合う各湾曲シート部の間に設けられ、各湾曲シート部を連結する下凸状湾曲部であって、その第1および第2の端部がいずれも上部シート部に固着された連結部などを指している。
【0042】
この場合には、ソール構造体の踵部から不連続部を介して前足部に体重が移動していく際に、踵部から不連続部までは、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形して、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえるが、不連続部において、湾曲シート部の変形が規制されるため、走行中の前方への荷重移動に一旦ブレーキがかかる。その後、不連続部から前足部に体重が移動していくと、再び各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が後方側から前方側にかけて順に折り畳まれるようにして変形して、走行中の荷重移動をスムーズに行なえる。
【0043】
このようにして、請求項11の発明によれば、踵部から前足部に至る走行中の荷重移動をより細やかにコントロールできるようになり、競技種目に応じたソール構造体を実現できる。
【0044】
請求項12の発明では、請求項7記載のソール構造体が、シューズの踵部から前足部にかけて設けられるとともに、当該ソール構造体の一部に不連続部が設けられている。
【0045】
この場合には、ソール構造体の踵部から不連続部を介して前足部に体重が移動していく際に、踵部から不連続部までは、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形して、走行中の前方への荷重移動にブレーキがかかるが、不連続部において、湾曲シート部の変形が規制されるため、ブレーキ力が一旦弱められる。その後、不連続部から前足部に体重が移動していくと、再び各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形して、走行中の前方への荷重移動にブレーキがかかる。
【0046】
このようにして、請求項12の発明によれば、踵部から前足部に至る走行時の荷重移動をより細やかにコントロールできるようになり、競技種目に応じたソール構造体を実現できる。
【0047】
請求項13の発明では、請求項11または12において、不連続部が、前足部側のソール構造体および後足部側のソール構造体を前後方向に連結する連結シート部から構成されている。
【0048】
この場合には、連結シート部によって、上部シート部の沈み込みを防止できるので、走行中にシューズの土踏まず部を上方に持ち上げるようにして支持して、シャンク効果を発揮できる。
【0049】
請求項14の発明では、請求項6記載のソール構造体がシューズの後足部に設けられるとともに、請求項7記載のソール構造体がシューズの前足部に設けられている。
【0050】
この場合には、ソール構造体の後足部において、後方から前方に体重が移動していく際に、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえる。その一方、ソール構造体の前足部において、後方から前方に体重が移動していく際には、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形して、走行中の前方への荷重移動にブレーキをかけることができる。
【0051】
このようにして、請求項14の発明によれば、後足部から前足部に至る走行中の荷重移動をより細やかにコントロールできるようになり、競技種目に応じたソール構造体を実現できる。
【0052】
請求項15の発明では、請求項6記載のソール構造体がシューズの前足部に設けられるとともに、請求項7記載のソール構造体がシューズの後足部に設けられている。
【0053】
この場合には、ソール構造体の後足部において、後方から前方に体重が移動していく際には、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形して、走行中の前方への荷重移動にブレーキをかけることができる。その一方、ソール構造体の前足部において、後方から前方に体重が移動していく際には、各湾曲シート部の下凸状湾曲部から第1の端部にかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形して、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえる。
【0054】
このようにして、請求項15の発明によれば、後足部から前足部に至る走行中の荷重移動をより細やかにコントロールできるようになり、競技種目に応じたソール構造体を実現できる。
【0055】
請求項16の発明では、請求項14または15において、前足部側のソール構造体と後足部側のソール構造体とが連結シート部を介して前後方向に連結されている。
【0056】
この場合には、連結シート部によって、上部シート部の沈み込みを防止できるので、走行中にシューズの土踏まず部を上方に持ち上げるようにして支持して、シャンク効果を発揮できる。
【発明の効果】
【0057】
以上のように、本発明に係るソール構造体によれば、上方に配置された上部シート部と、その下面に配置され、下方に凸状に湾曲する下凸状湾曲部をそれぞれ有しかつ前後方向に一部オーバラップしつつ並設された複数の湾曲シート部とを設け、湾曲シート部の第1の端部を上部シート部の下面に固着し、第2の端部を当該湾曲シート部の隣の湾曲シート部の外面に固着するようにしたので、シューズの着地時には、湾曲シート部の下凸状湾曲部が圧縮変形することにより、衝撃荷重が吸収されるばかりでなく、湾曲シート部が圧縮変形したとき、その第2の端部が当該湾曲シート部の隣の湾曲シート部の外面を押圧して圧縮変形させるので、ソール構造体全体のクッション性を向上できる。しかも、本発明によれば、湾曲シート部の第1の端部を当該ソール構造体の前方に配置することで、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行うことができ、また湾曲シート部の第1の端部を当該ソール構造体の後方に配置することで、走行中の前方への荷重移動にブレーキをかけることができ、このようにして、走行中の荷重移動をコントロールできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
〔第1の実施例〕
図1ないし図6は、本発明の第1の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図1(a)はソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体の一部に圧縮荷重が作用した状態を示す図、(c)は(a)のソール構造体の走行中における変形状態を示す図、図2は図1のソール構造体がシューズの踵部に適用された例を示す側面図、図3は図1のソール構造体がシューズの前足部に適用された例を示す側面図、図4は図1のソール構造体がシューズのソール全面に適用された例を示す側面図、図5および図6は図1のソール構造体がシューズの踵部から前足部にかけて設けられるとともに、その一部に不連続部が設けられた例を示す側面図である。なお、これらの図において、同一符号は同一または相当部分を示している。
【0059】
図1(a)に示すように、このソール構造体1は、上方に配置された上部シート部2と、上部シート部2の下面2aに設けられ、下方に凸状に湾曲する下凸状湾曲部31〜35をそれぞれ有しかつ前後方向(同図左右方向)に一部オーバラップしつつ並設された複数の湾曲シート部3(3〜3)とを備えている。
【0060】
各湾曲シート部3は、各下凸状湾曲部31〜35の両側に第1の端部A(A〜A)および第2の端部B(B〜B)をそれぞれ有している(図1中、A、Bは図示省略)。第1の端部A(A〜A)はソール構造体1の前方側に配置され、第2の端部B(B〜B)はソール構造体1の後方側に配置されている。各湾曲シート部3の各第1の端部Aは、上部シート部2の下面2aに固着されている。各第1の端部Aにおいて、各湾曲シート部3が上部シート部2の後方側に対してなす角度αは、好ましくは鋭角になっている。各第2の端部Bは、当該湾曲シート部3と隣り合う隣の湾曲シート部3の外面に固着されている。
【0061】
すなわち、湾曲シート部3の第2の端部Bは、湾曲シート部3と隣り合う湾曲シート部3の外面に固着されており、湾曲シート部3の第2の端部Bは、湾曲シート部3と隣り合う湾曲シート部3の外面に固着されている。
【0062】
同様に、湾曲シート部3の第2の端部Bは、湾曲シート部3と隣り合う湾曲シート部3の外面に固着されており、湾曲シート部3の第2の端部Bは、湾曲シート部3と隣り合う湾曲シート部3の外面に固着されている。
【0063】
また、各湾曲シート部3の第2の端部Bは、これが固着される隣の湾曲シート部3の下凸状湾曲部31〜35の最下点Cの位置と当該隣の湾曲シート部の第1の端部Aとの間の位置に固着されている。
【0064】
すなわち、湾曲シート部3の第2の端部Bは、これが固着される隣の湾曲シート部3の下凸状湾曲部32の最下点Cの位置と当該湾曲シート部32の第1の端部Aとの間の位置に固着されており、また、湾曲シート部3の第2の端部Bは、これが固着される隣の湾曲シート部3の下凸状湾曲部33の最下点Cの位置と当該湾曲シート部33の第1の端部Aとの間の位置に固着されている(以下、他の湾曲シート部3〜3についても同様)。
【0065】
好ましくは、各湾曲シート部3の第2の端部Bが固着される隣の湾曲シート部3の第1の端部Aは、当該第2の端部Bを有する湾曲シート部3の下凸状湾曲部31〜35の最下点Cの位置を越える位置までオーバラップしている。
【0066】
すなわち、湾曲シート部3の第2の端部Bが固着される隣の湾曲シート部3の第1の端部Aは、第2の端部Bを有する湾曲シート部3の下凸状湾曲部31の最下点Cの位置(図1(a)中の一点鎖線位置)を越える図示左方位置までオーバラップしている。同様に、湾曲シート部3の第2の端部Bが固着される隣の湾曲シート部3の第1の端部Aは、第2の端部Bを有する湾曲シート部3の下凸状湾曲部32の最下点Cの位置を越える図示左方位置までオーバラップしている(以下、他の湾曲シート部3〜3についても同様)。
【0067】
上部シート部2および各湾曲シート部3〜3は、好ましくは、樹脂により一体成形されている。使用する樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)等の熱可塑性材料の他、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性材料も用いられる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やラバー等を用いて一体成形することも可能である。なお、上部シート部2および各湾曲シート部3〜3は、別々に成形した後、これらを接着剤等で貼り合わせるようにしてもよい。
【0068】
次に、本実施例の作用効果について、図1(b)および(c)を用いて説明する。
ソール構造体の着地時において、いずれかの湾曲シート部(ここでは湾曲シート部3)に圧縮荷重Wが作用すると、湾曲シート部3の下凸状湾曲部34が圧縮変形することにより、衝撃荷重が吸収される。また、このとき、湾曲シート部3の第2の端部Bが、隣の湾曲シート部3の外面を押圧して圧縮変形させる(図1(b)参照)。
【0069】
このように、いずれかの湾曲シート部の圧縮変形に起因して、隣の後方側の湾曲シート部が圧縮変形を起こすので、ソール構造体全体のクッション性が向上する。
【0070】
なお、このとき、各湾曲シート部3〜3の第2の端部B〜Bの固着位置が、隣の湾曲シート部3〜3の下凸状湾曲部31〜35の最下点C〜Cの位置と当該隣の湾曲シート部3〜3の第1の端部A〜Aとの間の位置に配置されているので、圧縮変形した湾曲シート部3〜3の第2の端部B〜Bが隣の湾曲シート部3〜3の外面を押圧した際に、当該隣の湾曲シート部3〜3の変形が容易になって、ソール構造体全体のクッション性がさらに向上する。
【0071】
また、このとき、各湾曲シート部3〜3の第2の端部B〜Bが固着される隣の湾曲シート部3〜3の第1の端部A〜Aが、当該第2の端部B〜Bを有する湾曲シート部3〜3の下凸状湾曲部31〜35の最下点C〜Cの位置を越える位置までオーバラップして配置されているので、湾曲シート部3〜3の下凸状湾曲部31〜35の最下点C〜Cに作用した荷重を当該湾曲シート部およびその隣の湾曲シート部の少なくとも2つの湾曲シート部で支持することができ、これにより、衝撃吸収性が向上する。
【0072】
シューズ着地後、前方(図示左方)に向かって荷重が移動していくと、各湾曲シート部3〜3の下凸状湾曲部31〜35から第1の端部A〜Aにかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形する(図1(c)参照)。これにより、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえるようになって、ライド感が向上する。
【0073】
次に、本実施例によるソール構造体が実際のシューズに適用された例を図2ないし図6に示す。図2ないし図4は、ソール構造体がそれぞれシューズの踵部、前足部、ソール全面に適用された例を示す側面図である。また、図5および図6は、ソール構造体をシューズの踵部から前足部にかけて適用するとともに、その一部に不連続部を設けた例を示す側面図である。なお、図中、参照符号S、Sは、樹脂の発泡体等の軟質弾性部材から構成される一般的なソールを示している。また、参照部号Uは、ソール構造体にその下部が固着されるアッパーである。
【0074】
図2に示すように、ソール構造体1をシューズの踵部に適用した場合には、踵部の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、踵部において前方への荷重移動をスムーズに行なえるようになって、ライド感を向上できる。
【0075】
図3に示すように、ソール構造体1をシューズの前足部に適用した場合には、前足部の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、前足部において前方への荷重移動をスムーズに行なえるようになって、ライド感を向上できる。
【0076】
図4に示すように、ソール構造体1をシューズのソール全面に適用した場合には、ソール全面の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、踵からつま先にかけてのソール全面において前方への荷重移動をスムーズに行なえるようになって、ライド感を向上できる。
【0077】
図5および図6に示すように、ソール構造体1をシューズの踵部から前足部にかけて設けるとともに、ソール構造体1の一部に不連続部5、6を設けた場合には、ソール構造体1の踵部から不連続部5、6を介して前足部に体重が移動していく際に、踵部から不連続部5、6までは、各湾曲シート部3の下凸状湾曲部から第1の端部Aにかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形して、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえるが、不連続部5、6において、湾曲シート部3の変形が規制されるため、走行中の前方への荷重移動に一旦ブレーキがかかる。その後、不連続部5、6から前足部に体重が移動していくと、再び各湾曲シート部3の下凸状湾曲部から第1の端部Aにかけての部分が後方側から前方側にかけて順に折り畳まれるようにして変形して、走行中の荷重移動をスムーズに行なえる。
【0078】
このようにして、踵部から前足部に至る領域において走行中の荷重移動をより細やかにコントロールできるようになって、競技種目に応じたソール構造体を実現できる。
【0079】
なお、不連続部5は、この例では、隣り合う各湾曲シート部3の間に設けられ、各湾曲シート部3を連結する上凸状の湾曲部または平坦状部である連結シート部50から構成されている。また、不連続部6は、この例では、隣り合う各湾曲シート部3の間に設けられ、各湾曲シート部3を連結する下凸状の湾曲部であって、その両端がいずれも上部シート部2に固着されたものから構成されている。
【0080】
〔第2の実施例〕
図7ないし図9は、本発明の第2の実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図7(a)はソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体の一部に圧縮荷重が作用した状態を示す図、図8は図7のソール構造体がシューズの踵部に適用された例を示す側面図、図9は図7のソール構造体がシューズの前足部に適用された例を示す側面図である。なお、これらの図において、前記第1の実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0081】
この第2の実施例においては、図7(a)に示すように、ソール構造体1が、上方に配置された上部シート部2と、上部シート部2の下面2aに設けられ、下方に凸状に湾曲する下凸状湾曲部31〜35をそれぞれ有しかつ前後方向(同図左右方向)に一部オーバラップしつつ並設された複数の湾曲シート部3(3〜3)とから構成されている点は前記第1の実施例と同様であるが、各湾曲シート部3の第1の端部A(A〜A)がソール構造体1の後方側に配置され、第2の端部B(B〜B)がソール構造体1の前方側に配置されている点が前記第1の実施例と異なっている。
【0082】
次に、本実施例の作用効果について、図7(b)を用いて説明する。
ソール構造体の着地時において、いずれかの湾曲シート部(ここでは湾曲シート部3)に圧縮荷重Wが作用すると、湾曲シート部3の下凸状湾曲部34が圧縮変形することにより、衝撃荷重が吸収される。また、このとき、湾曲シート部3の第2の端部Bが、隣の湾曲シート部3の外面を押圧して圧縮変形させる。
【0083】
このように、いずれかの湾曲シート部の圧縮変形に起因して、隣の前方側の湾曲シート部が圧縮変形を起こすので、ソール構造体全体のクッション性が向上する。
【0084】
なお、このとき、各湾曲シート部3〜3の第2の端部B〜Bの固着位置が、隣の湾曲シート部3〜3の下凸状湾曲部31〜35の最下点C〜Cの位置と当該隣の湾曲シート部3〜3の第1の端部A〜Aとの間の位置に配置されているので、圧縮変形した湾曲シート部3〜3の第2の端部B〜Bが隣の湾曲シート部3〜3の外面を押圧した際に、当該隣の湾曲シート部3〜3の変形が容易になって、ソール構造体全体のクッション性がさらに向上する。
【0085】
また、このとき、各湾曲シート部3〜3の第2の端部B〜Bが固着される隣の湾曲シート部3〜3の第1の端部A〜Aが、当該第2の端部B〜Bを有する湾曲シート部3〜3の下凸状湾曲部31〜35の最下点C〜Cの位置を越える位置までオーバラップして配置されているので、湾曲シート部3〜3の下凸状湾曲部31〜35の最下点C〜Cに作用した荷重を当該湾曲シート部およびその隣の湾曲シート部の少なくとも2つの湾曲シート部で支持することができ、これにより、衝撃吸収性が向上する。
【0086】
シューズ着地後、前方(図示左方)に向かって荷重が移動していくと、各湾曲シート部3〜3の下凸状湾曲部31〜35から第1の端部A〜Aにかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形する(図7(b)参照)。これにより、走行中の前方への荷重移動にブレーキがかかり、これにより、前方への荷重移動をコントロールできる。
【0087】
次に、本実施例によるソール構造体が実際のシューズに適用された例を図8および図9に示す。図8ないし図9は、ソール構造体がそれぞれシューズの踵部、前足部に適用された例を示す側面図である。なお、図中、参照符号S、Sは、樹脂の発泡体等の軟質弾性部材から構成される一般的なソールを示している。また、参照部号Uは、ソール構造体にその下部が固着されるアッパーである。
【0088】
図8に示すように、ソール構造体1をシューズの踵部に適用した場合には、踵部の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、踵部において走行中の前方への荷重移動にブレーキをかけることができ、前方への荷重移動をコントロールできる。
【0089】
図9に示すように、ソール構造体1をシューズの前足部に適用した場合には、前足部の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、前足部において走行中の前方への荷重移動にブレーキをかけることができ、前方への荷重移動をコントロールできる。
【0090】
なお、図示していないが、ソール構造体1をシューズのソール全面に適用するようにしてもよく、この場合には、ソール全面の圧縮変形を容易にしてクッション性を向上できるとともに、踵からつま先にかけてのソール全面において前方への荷重移動にブレーキをかけることができ、前方への荷重移動をコントロールできる。また、ソール構造体1をシューズの踵部から前足部にかけて設けるとともに、ソール構造体1の一部に不連続部を設けるようにしてもよい。
【0091】
このようにして、踵部から前足部に至る領域において走行中の荷重移動をより細やかにコントロールできるようになって、競技種目に応じたソール構造体を実現できる。
【0092】
〔第3の実施例〕
この第3の実施例は、前記第1および第2の実施例を組み合わせたものであって、図10は前記第1の実施例によるソール構造体がシューズの後足部に設けられかつ前記第2の実施例によるソール構造体がシューズの前足部に設けられた例を示す側面図、図11は前記第2の実施例によるソール構造体がシューズの後足部に設けられかつ前記第1の実施例によるソール構造体がシューズの前足部に設けられた例を示す側面図である。なお、これらの図において、前記各実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0093】
図10に示すように、第1の実施例によるソール構造体1をシューズの後足部に設けかつ第2の実施例によるソール構造体1をシューズの前足部に設けた場合には、ソール構造体1の後足部において、後方から前方に体重が移動していく際に、各湾曲シート部3の下凸状湾曲部から第1の端部Aにかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえる。その一方、ソール構造体1の前足部において、後方から前方に体重が移動していく際には、各湾曲シート部3の下凸状湾曲部から第1の端部Aにかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動にブレーキがかけられる。
【0094】
このようにして、後足部から前足部に至る走行中の荷重移動をより細やかにコントロールできるようになり、競技種目に応じたソール構造体を実現できる。
【0095】
図11に示すように、第2の実施例によるソール構造体1をシューズの後足部に設けかつ第1の実施例によるソール構造体1をシューズの前足部に設けた場合には、ソール構造体1の後足部において、後方から前方に体重が移動していく際には、各湾曲シート部3の下凸状湾曲部から第1の端部Aにかけての部分が後方側に折り畳まれるようにして変形するので、走行中の前方への荷重移動にブレーキがかけられる。その一方、ソール構造体1の前足部において、後方から前方に体重が移動していく際には、各湾曲シート部3の下凸状湾曲部から第1の端部Aにかけての部分が前方側に向かって順に折り畳まれるようにして変形して、走行中の前方への荷重移動をスムーズに行なえる。
【0096】
このようにして、後足部から前足部に至る走行時の荷重移動をより細やかにコントロールできるようになり、競技種目に応じたソール構造体を実現できる。
【0097】
また、前足部側のソール構造体1と後足部側のソール構造体1とは、連結シート部7を介して前後方向に連結されている。
【0098】
この場合には、連結シート部7によって、上部シート部2の沈み込みを防止できるので、走行中にシューズの土踏まず部を上方に持ち上げるようにして支持して、シャンク効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】(a)は本発明の第1の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体の一部に圧縮荷重が作用した状態を示す図、(c)は(a)のソール構造体の走行中における変形状態を示す図である。
【図2】ソール構造体(図1)がシューズの踵部に適用された例を示す側面図である。
【図3】ソール構造体(図1)がシューズの前足部に適用された例を示す側面図である。
【図4】ソール構造体(図1)がシューズのソール全面に適用された例を示す側面図である。
【図5】ソール構造体(図1)がシューズの踵部から前足部にかけて設けられるとともに、その一部に不連続部が設けられた例を示す側面図である。
【図6】ソール構造体(図1)がシューズの踵部から前足部にかけて設けられるとともに、その一部に不連続部が設けられた例を示す側面図である。
【図7】(a)は本発明の第2の実施例によるシューズ用ソール構造体の側面拡大図、(b)は(a)のソール構造体の一部に圧縮荷重が作用した状態を示す図である。
【図8】ソール構造体(図7)がシューズの踵部に適用された例を示す側面図である。
【図9】ソール構造体(図7)がシューズの前足部に適用された例を示す側面図である。
【図10】前記第1の実施例によるソール構造体がシューズの後足部に設けられかつ前記第2の実施例によるソール構造体がシューズの前足部に設けられた例を示す側面図である。
【図11】前記第2の実施例によるソール構造体がシューズの後足部に設けられかつ前記第1の実施例によるソール構造体がシューズの前足部に設けられた例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0100】
1: ソール構造体

2: 上部シート部
2a: 下面

3、3〜3: 湾曲シート部
31〜35: 下凸状湾曲部

A、A〜A: 第1の端部
B、B〜B: 第2の端部
C、C〜C: 最下点

W: 圧縮荷重

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズのソール構造体であって、
上方に配置された上部シート部と、
前記上部シート部の下面に設けられ、下方に凸状に湾曲する下凸状湾曲部をそれぞれ有しかつ前後方向に一部オーバラップしつつ並設された複数の湾曲シート部とを備え、
前記各湾曲シート部が、前記各下凸状湾曲部の両側に第1および第2の端部をそれぞれ有しており、
前記各湾曲シート部の前記各第1の端部が前記上部シート部の前記下面に固着され、前記各第2の端部が、当該湾曲シート部と隣り合う前記湾曲シート部の外面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項2】
シューズのソール構造体であって、
上方に配置された上部シート部と、
前記上部シート部の下面に設けられ、下方に凸状に湾曲する下凸状湾曲部をそれぞれ有しかつ前後方向に一部オーバラップしつつ並設された第1ないし第3の湾曲シート部とを備え、
前記第1ないし第3の湾曲シート部が、前記各下凸状湾曲部の両側に第1および第2の端部をそれぞれ有しており、
前記第1ないし第3の湾曲シート部の前記各第1の端部が前記上部シート部の前記下面に固着されるとともに、前記第1の湾曲シート部の前記第2の端部が、当該第1の湾曲シート部と隣り合う前記第2の湾曲シート部の外面に固着されており、前記第2の湾曲シート部の前記第2の端部が、当該第2の湾曲シート部と隣り合う前記第3の湾曲シート部の外面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記各湾曲シート部の前記第2の端部は、これが固着される隣の前記湾曲シート部の前記下凸状湾曲部の最下点の位置と当該隣の湾曲シート部の前記第1の端部との間の位置に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記各湾曲シート部の前記第2の端部が固着される隣の前記湾曲シート部の前記第1の端部は、当該第2の端部を有する前記各湾曲シート部の前記下凸状湾曲部の最下点の位置を越える位置までオーバラップしている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
当該ソール構造体の圧縮変形時には、前記湾曲シート部が圧縮変形するとともに、圧縮変形した前記湾曲シート部の前記第2の端部が、当該湾曲シート部と隣り合う隣の前記湾曲シート部を押圧して圧縮変形させるようになっている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1の端部が当該ソール構造体の前方側に配置され、前記第2の端部が当該ソール構造体の後方側に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1の端部が当該ソール構造体の後方側に配置され、前記第2の端部が当該ソール構造体の前方側に配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
当該ソール構造体が、シューズの踵部に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
当該ソール構造体が、シューズの前足部に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
当該ソール構造体が、シューズのソール全面に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項11】
請求項6記載のソール構造体が、シューズの踵部から前足部にかけて設けられるとともに、当該ソール構造体の一部に不連続部が設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項12】
請求項7記載のソール構造体が、シューズの踵部から前足部にかけて設けられるとともに、当該ソール構造体の一部に不連続部が設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項13】
請求項11または12において、
前記不連続部が、前足部側の前記ソール構造体および後足部側の前記ソール構造体を前後方向に連結する連結シート部から構成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項14】
請求項6記載のソール構造体がシューズの後足部に設けられるとともに、請求項7記載のソール構造体がシューズの前足部に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項15】
請求項6記載のソール構造体がシューズの前足部に設けられるとともに、請求項7記載のソール構造体がシューズの後足部に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項16】
請求項14または15において、
前足部側の前記ソール構造体と後足部側の前記ソール構造体とが、連結シート部を介して前後方向に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−240590(P2009−240590A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91737(P2008−91737)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】