説明

ショーケース用整流部材及びその製造方法

【課題】製造工程の簡素化を図ることができるとともに、補強部材が容易に剥離することのないショーケース用整流部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の平板部材11と波形の複数の屈曲部材12とを交互に積層することにより、従来のハニカム構造体と同等の整流機能を有する整流部材10を製造することができ、しかもハニカム構造体よりも製造が容易である。この場合、各平板部材11及び各屈曲部材12の積層方向一端側に平板部材11よりも厚さ寸法の大きい補強部材13を配置し、各平板部材11、各屈曲部材12及び補強部材13を一体に接合して整流部材10を形成するようにしたので、補強部材13を各平板部材11及び各屈曲部材12と同一工程で一体に接合することができ、後工程で補強部材を別途接着する場合に比べて接着不良の発生が少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等において冷凍または冷蔵の商品を陳列するためのショーケースに用いられるショーケース用整流部材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のショーケースとしては、ショーケース本体の前面に商品出し入れ用の開口部を有するとともに、この開口部の上端に空気吐出口を設け、空気吐出口から吐出される冷気によってショーケース本体の前面開口部にエアカーテンを形成するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−313309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記ショーケースでは、前記空気吐出口にハニカム状の整流部材が取付けられているが、整流部材は空気吐出口に沿ってショーケース本体の幅方向に長く形成されているため、整流部材の前面及び背面にハニカム構造体の撓みを防止するための板状の補強部材を設けている。しかしながら、前記ショーケースでは、ハニカム構造体を空気吐出口に対応した形状に形成した後、その前面及び背面に板状の補強部材を接着しているため、製造工程が複雑化するという問題点があった。また、補強部材を別工程で接着しているため、接着不良により補強部材が剥離し易く、補強部材が剥離した場合はショーケースのエアカーテンを適正に形成できなくなるという問題点もあった。
【0004】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造工程の簡素化を図ることができるとともに、補強部材が容易に剥離することのないショーケース用整流部材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、ショーケースの空気吐出口に取付けられ、空気吐出口から吐出する空気を流通するショーケース用整流部材の製造方法において、所定厚さのシート材からなる複数の平板部材と、シート材を波形に屈曲してなる複数の屈曲部材とを交互に積層するとともに、各平板部材及び各屈曲部材の積層方向少なくとも一端側に平板部材よりも厚さ寸法の大きいシート材からなる補強部材を配置している。
【0006】
これにより、複数の平板部材と波形の複数の屈曲部材とを交互に積層することにより、ハニカム構造体を用いることなく空気の流通部分が形成される。この場合、各平板部材及び各屈曲部材の積層方向一端側に平板部材よりも厚さ寸法の大きい補強部材が配置されることから、撓みを防止するための板状の補強部材を別途接着する必要がなく、しかも後工程で補強部材を別途接着する場合に比べて接着不良の発生が少ない。
【0007】
また、本発明は前記目的を達成するために、ショーケースの空気吐出口に取付けられ、空気吐出口から吐出する空気を流通するショーケース用整流部材の製造方法において、所定厚さのシート材からなる複数の平板部材と、シート材を波形に屈曲してなる複数の屈曲部材とを交互に積層するとともに、各平板部材及び各屈曲部材の積層方向少なくとも一端側に平板部材よりも厚さ寸法の大きいシート材からなる補強部材を配置し、各平板部材、各屈曲部材及び補強部材を一体に接合して前記空気吐出口に対応した形状の整流部材を形成するようにしている。
【0008】
これにより、複数の平板部材と波形の複数の屈曲部材とを交互に積層することにより、ハニカム構造体を用いることなく空気の流通部分が形成される。この場合、各平板部材及び各屈曲部材の積層方向一端側に平板部材よりも厚さ寸法の大きい補強部材を配置し、各平板部材、各屈曲部材及び補強部材を一体に接合することにより整流部材が形成されることから、整流部材の撓みを防止するための板状の補強部材を別途接着する必要がなく、しかも後工程で補強部材を別途接着する場合に比べて接着不良の発生が少ない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハニカム構造体を用いることなく空気の流通部分を容易に形成することができるので、製造工程の簡素化を図ることができる。この場合、整流部材の撓みを防止するための板状の補強部材を別途接着する必要がないので、後工程で補強部材を別途接着する場合に比べて接着不良の発生を少なくすることができ、補強部材が容易に剥離することがないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図8は本発明の一実施形態を示すもので、図1は整流部材の取付けられるショーケースの側面断面図、図2は整流部材の全体斜視図、図3はその要部側面断面図、図4乃至図9はその製造工程を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すショーケース1は、前面を開口したショーケース本体2を有し、ショーケース本体2内には商品棚3を備えた商品収納部4が形成されている。また、ショーケース本体2の底面側、背面側及び上面側には互いに連続した通風路5が設けられ、通風路5の一端はショーケース本体2の前面上端に設けられた空気吐出口5aに連通し、その他端はショーケース本体2の前面下端に設けられた空気吸入口5bに連通している。このショーケース1では、通風路5内に設けられた送風機6によって空気吸入口5bから空気を吸入し、通風路5内の冷却器7によって冷却した空気を空気吐出口5aから吹き出すことにより、ショーケース本体2の前面開口部にエアカーテンAを形成するようになっている。
【0012】
また、前記空気吐出口5aには、吐出空気を所定方向に均一に流通させるための整流部材10が取付けられている。この整流部材10は、図3に示すように、所定厚さT1 のシート材(例えば、厚さ60μmのPP樹脂フィルム)からなる複数の平板部材11と、このシート材を波形に屈曲してなる複数の屈曲部材12と、平板部材11よりも大きい厚さ寸法T2 の他のシート材(例えば、厚さ.03〜0.5mmのPET樹脂)からなる補強部材13とからなり、各平板部材11及び各屈曲部材12を交互に積層するとともに、その積層方向一端側に補強部材13を配置することによって形成されている。以下、図4乃至図9を参照し、整流部材10の製造方法について説明する。尚、同図では整流部材10及びその材料の幅方向の長さを短く図示しているが、実際にはショーケース本体2の幅と同等の長さを有するものである。
【0013】
同図に示す製造方法においては、まず、図4に示すように平板部材11及び屈曲部材12を一枚ずつ貼り合わせ、図5に示すように板状の第1中間加工品14を形成する。次に、図6に示すように複数の第1中間加工品14を互いに重ね合わせて補強部材13の上に載置するとともに、各平板部材11、各屈曲部材12及び補強部材13を互いに接着して一体に接合することにより、図7に示すように図中高さ方向に所定寸法H1 をなす第2中間加工品15を形成する。この後、第2中間加工品15の幅方向両端側をそれぞれ図中破線部分で切断し、図8に示すように図中幅方向に所定寸法H2 をなす第3中間加工品16を形成する。続いて、図9に示すように第3中間加工品16を図中幅方向に図中破線部分で幅方向に直交する方向に所定の寸法H3 ずつ切断することにより、ショーケース1の空気吐出口5aに対応した形状の複数の整流部材10が完成する。
【0014】
このように、本実施形態によれば、複数の平板部材11と波形の複数の屈曲部材12とを交互に積層することにより、ハニカム構造体を用いることなく空気の流通部分を形成することができるので、従来のハニカム構造体と同等の整流機能を有する整流部材10を製造することができ、しかもハニカム構造体よりも製造が容易であることから、製造工程の簡素化を図ることができる。この場合、各平板部材11及び各屈曲部材12の積層方向一端側(図中下側)に平板部材11よりも厚さ寸法の大きい補強部材13を配置し、各平板部材11、各屈曲部材12及び補強部材13を一体に接合して整流部材10を形成するようにしたので、補強部材13を各平板部材11及び各屈曲部材12と同一工程で一体に接合することができ、後工程で補強部材を別途接着する場合に比べて接着不良の発生が少なく、補強部材13が容易に剥離することがないという利点がある。
【0015】
更に、各平板部材11、各屈曲部材12及び補強部材13を一体に接合した後、ショーケース1の空気吐出口5aに対応した形状に切断することにより複数の整流部材10を形成するようにしたので、単体の補強部材を個々に接着する場合に比べて製造工数を大幅に低減することができ、生産性をより向上させることができるとともに、各整流部材10を同一の長さ寸法(図中幅方向の寸法H2 )に切り揃えることができるので、寸法誤差の少ない高品質な製品を製造することができる。
【0016】
この場合、各平板部材11、各屈曲部材12及び補強部材13の幅方向両端側をそれぞれ切断した後、幅方向に直交する方向に所定の寸法ずつ切断するようにしたので、同一の長さ寸法の整流部材10を効率よく切断することができる。
【0017】
また、前記整流部材10を台形の側面形状に形成する場合には、図10に示すように第3中間加工品16に図中垂直方向の切断面17aと図中垂直方向に対して傾斜した切断面17bを交互に形成することにより、図中上面側における幅方向に直交する方向の寸法H3 −1と下面側における幅方向に直交する方向の寸法H3 −2とが互いに異なるように切断する。これにより、第3中間加工品16を無駄なく用いて台形の整流部材10を形成することができるので、材料コストの低減を図ることができる。
【0018】
尚、前記実施形態では、各平板部材11及び各屈曲部材12の積層方向一端側に補強部材13を配置したものを示したが、積層方向両端側に補強部材13をそれぞれ配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の整流部材の取付けられるショーケースの一実施形態を示す側面断面図
【図2】整流部材の全体斜視図
【図3】整流部材の要部側面断面図
【図4】整流部材の製造工程を示す斜視図
【図5】整流部材の製造工程を示す斜視図
【図6】整流部材の製造工程を示す斜視図
【図7】整流部材の製造工程を示す斜視図
【図8】整流部材の製造工程を示す斜視図
【図9】整流部材の製造工程を示す斜視図
【図10】台形の整流部材の製造工程を示す側面図
【符号の説明】
【0020】
1…ショーケース、5a…空気吐出口、10…整流部材、11…平板部材、12…屈曲部材、13…補強部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケースの空気吐出口に取付けられ、空気吐出口から吐出する空気を流通するショーケース用整流部材の製造方法において、
所定厚さのシート材からなる複数の平板部材と、シート材を波形に屈曲してなる複数の屈曲部材とを交互に積層するとともに、
各平板部材及び各屈曲部材の積層方向少なくとも一端側に平板部材よりも厚さ寸法の大きいシート材からなる補強部材を配置した
ことを特徴とするショーケース用整流部材。
【請求項2】
ショーケースの空気吐出口に取付けられ、空気吐出口から吐出する空気を流通するショーケース用整流部材の製造方法において、
所定厚さのシート材からなる複数の平板部材と、シート材を波形に屈曲してなる複数の屈曲部材とを交互に積層するとともに、
各平板部材及び各屈曲部材の積層方向少なくとも一端側に平板部材よりも厚さ寸法の大きいシート材からなる補強部材を配置し、
各平板部材、各屈曲部材及び補強部材を一体に接合して前記空気吐出口に対応した形状の整流部材を形成する
ことを特徴とするショーケース用整流部材の製造方法。
【請求項3】
前記各平板部材、各屈曲部材及び補強部材を一体に接合した後、前記空気吐出口に対応した形状に切断することにより複数の整流部材を形成する
ことを特徴とする請求項2記載のショーケース用整流部材の製造方法。
【請求項4】
互いに接合された各平板部材、各屈曲部材及び補強部材の幅方向両端側をそれぞれ切断した後、幅方向に直交する方向に所定の寸法ずつ切断する
ことを特徴とする請求項3記載のショーケース用整流部材の製造方法。
【請求項5】
互いに接合された各平板部材、各屈曲部材及び補強部材の一方の面側における幅方向に直交する方向の寸法と他方の面側における幅方向に直交する方向の寸法とが互いに異なるように切断する
ことを特徴とする請求項4記載のショーケース用整流部材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−223329(P2006−223329A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37273(P2005−37273)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】