説明

ショーケース

【課題】底面通風路を薄型としながらもショーケース冷却空気の風量を大きくすることが可能なショーケースを提供する。
【解決手段】送風機20のプロペラファン21が、底面通風路7の高さ寸法よりも大きい外径を有し、プロペラファン21の外形に沿うファンリング50を、底面通風路7をファン上流風路71とファン下流風路73とに区画するバッフル板41の開口部41aに接続し、プロペラファン21の翼部21aにおいて、ファンリング50よりもファン下流風路73側に位置する部分の寸法が、翼部21a全体の高さ寸法の50%よりも大きくなるようにプロペラファン21とファンリング50との位置関係が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料、食料などの商品を冷蔵、冷凍貯蔵、陳列するショーケースに関し、特に、ショーケースの風路内への庫内送風機の搭載形態に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のショーケースとして、正面を開口したショーケース本体の内側に、底面、背面及び天面に連通する循環風路を有し、循環風路の一部を構成する底面通風路にプロペラファンを配置し、底面通風路の正面側上部に設けた空気吸込口からプロペラファンにより庫内空気を吸い込み、循環風路を介して循環させ、ショーケース本体の正面上部に設けたエアーカーテン吹出口から吹き出すようにしたショーケースがある。この種のショーケースでは、底面通風路内に、この底面通風路を構成する上下の面に対してファン回転軸が平行になるようにプロペラファンを配置している(例えば、特許文献1参照。)。または、ファン回転軸が、空気吸込口側で低く、反対側で高くして斜めとなるように配置しているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−308298号公報(第6頁、第1図、第2図、第7図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のショーケースにおいて、底面通風路を構成する上下の面に対してファン回転軸が平行となるようにプロペラファンを設置した場合には、プロペラファンの外径以上に風路高さが必要であり、商品を収納するスペースが犠牲になるという課題があった。また、風路高さを抑制した場合には外径が小さいプロペラファンを搭載する必要があり、十分な風量が得られない、もしくは必要な風量を確保するために、プロペラファンの個数が多くなり製品のコストが高くなるという課題があった。また、プロペラファンを風路の中に斜めに配置する場合は、プロペラファンの流入流出空気の非対称性が大きく、プロペラファンの昇圧特性を十分に得られず、ショーケースとして十分な風量を得られないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、底面通風路を薄型としながらもショーケース冷却空気の風量を大きくすることが可能なショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るショーケースは、正面を開口したショーケース本体の内側に、底面、背面及び天面に連通する循環風路を有し、循環風路の一部を構成する底面通風路に送風機を配置し、底面通風路の正面側上部に設けた空気吸込口から送風機により庫内空気を吸い込み、循環風路を介して循環させ、ショーケース本体の正面上部に設けたエアーカーテン吹出口から吹き出すようにしたショーケースであって、送風機のプロペラファンは、底面通風路の高さ寸法よりも大きい外径を有し、プロペラファンの外形に沿うファンリングを、底面通風路をファン上流風路とファン下流風路とに区画するバッフル板の開口部に接続し、プロペラファンの翼部において、ファンリングよりもファン下流風路側に位置する部分の寸法が、翼部全体の高さ寸法の50%よりも大きくなるようにプロペラファンとファンリングとの位置関係が設定されているものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、遠心作用による昇圧を促進するとともに、流れを安定させるという特徴があり、ショーケースを循環する冷気の風量を大きくするという効果がある。風量を大きくすることは、冷凍サイクルの効率向上による省エネルギー化によるコスト低減を実現できる。また大風量の置き換えとして、底面通風路の薄型化による収納庫の容量拡大や、送風機の個数削減による低コストを実現することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態におけるショーケースの構造を示す側断面図である。図2は、図1の庫内送風機とその周囲の風路部分の拡大断面図である。なお、以下の説明において、正面側とは、各図の左側を指し、背面側とは、各図の右側を指すものとする。
ショーケース1は、正面側に向かって開口3aを有するショーケース本体3を有し、ショーケース本体3の内側に、前記開口3aを商品出し入れ口とした商品収納庫5と、底面、背面及び天面に連通する循環風路を有している。循環風路は、商品収納庫5の底面に設けた底面通風路7と、この底面通風路7と連通し、商品収納庫5の背面から天面に繋がる背面通風路9及び天面通風路11とから構成されている。また、ショーケース本体3の下には、下部台13が設けられている。
【0009】
底面通風路7には、ショーケース1の横幅寸法(図1、図2の紙面垂直方向寸法)に応じて、1台または複数台の庫内送風機20が設けられており、庫内空気を、背面通風路9内に設けた冷却器15を介して冷却し、背面通風路9及び天面通風路11を介して商品収納庫5の正面上部に設けた整流用のハニカムを有するエアーカーテン吹出口17から正面下部に向けて吹き出すように構成されている。冷却器15は圧縮機や凝縮器(ともに図示省略)などと接続し冷凍サイクルを構成し、冷凍サイクルの作用により冷却器15が冷却される。圧縮機や凝縮器などは下部台13に収納される。なお、圧縮機や凝縮器などはショーケース1とは別体に構成しても良い。
【0010】
ショーケース本体3は、その天面及び背面を断熱壁31で覆っており、天面及び背面の断熱壁31から離間して天面仕切り板33及び背面仕切り板35が配置され、断熱壁31との間に上記天面通風路11及び背面通風路9を形成している。また、ショーケース本体3の底面、すなわち底面通風路7の底面にも、断熱壁31aが設けられている。
【0011】
また、商品収納庫5には、複数段の商品棚が設置できるようになっており、最下段の商品棚板37は、着脱自在で商品収納庫5側から庫内送風機20などのメンテナンスができるようになっている。この最下段の商品棚板37は、底面通風路7の上面7aを構成する風路構成部材となるものであり、商品収納庫5との境の正面側に、空気吸込口39を形成している。
【0012】
以下、底面通風路7及び庫内送風機20周囲の構成に関し記述する。庫内送風機20は、プロペラファン21とプロペラファン21を回転駆動するモータ23とを備えており、ファン回転軸25が正面側に向けて傾斜するように底面通風路7内に設置されている。また、底面通風路7内には、開口部41aを有するバッフル板41が、ファン回転軸25に対して略垂直に設置されており、開口部41aの内側にプロペラファン21が位置するようになっている。そして、バッフル板41の開口部41aには、プロペラファン21の外形に沿う円筒状のファンリング50が開口部41aから上方側に延びるように接続されている。
【0013】
また、バッフル板41は、底面通風路7の上面7a及び下面7bに連結板43を介して連結されており、底面通風路7内を、ファン上流風路71とファン下流風路73とに区画している。すなわち、バッフル板41の上面と商品棚板37の下面(底面通風路7の上面7aに相当)との間でファン上流風路71を形成し、バッフル板41の下面7bと底面側断熱壁31の上面(底面通風路7の下面7bに相当)との間でファン下流風路73を形成している。なお、底面通風路7において、その上面7aと下面7bとは概ね平行に構成されており、底面通風路7の高さ寸法は略一様に形成されている。また、モータ23は、プロペラファン21の上流の流れを阻害しないように、プロペラファン21の空気流れ下流側、すなわちファン下流風路73内に設置されている。
【0014】
ここで、プロペラファン21は、底面通風路7の高さHa1(上面7aと下面7bとの間の距離)よりも大きい外径Wのものを採用する。この点は、後述の各実施の形態に共通の構成である。また、プロペラファン21の翼部21aの高さHb1に対して、ファンリング50よりも下流側の高さHb2を下流翼比=Hb2/Hb1と定義した場合、下流翼比≧0.5となるように、ファンリング50とプロペラファン21との位置関係が設定されている。
【0015】
次に動作について説明する。
このように構成されたショーケース1において、先ず全体の空気の流れについて説明する。図2の太実線矢印A及びBはショーケース1を循環する気流の大まかな流れを示している。庫内送風機20が駆動すると、空気吸込口39から庫内の冷気と外気が混合され、底面通風路7内に取りこまれる。そして、矢印Aで示すようにファン上流風路71の正面側から背面側へと送られ、ファン下流風路73を介して、矢印Bで示すように背面通風路9側へと案内される。そして、背面通風路9において冷却器15を通過し、ここで熱交換してより温度の低い冷気となり、冷却器15を通過した冷気の一部が、背面仕切り板35に設けた開口穴(図示せず)より商品収納庫5へ吹出す。冷却器15を通過した冷気の残りは、背面通風路9及び天面通風路11を経由して、エアーカーテン吹出口17から下方に向かって吹き出す。
【0016】
次に、プロペラファン21内部および近傍の流れについて図2を参照して説明する。なお、図2の破線矢印は、プロペラファン21内部および近傍の子午面流れを示している。
ショーケース1の正面側に設けた空気吸込口39から取り入れられた空気は、ファン上流風路71を経てプロペラファン21の上部および側面部からプロペラファン21内に流入する。また、ファン上流風路71内において、ファン回転軸25よりも背面側に相当する部分からも、プロペラファン21内に空気が流入する。
【0017】
ここで、プロペラファン21において、翼部21aの下流側がファンリング50よりも下方に大きく張り出しているので、遠心力により翼部21aの外周部分からファン下流風路73へ流出する流量が大きくなる。その結果、プロペラファン21内部の子午面流れは内周から外周へ流れる遠心流れが強くなり、遠心流れによる昇圧作用により高い昇圧が得られる。また、ここでは、下流翼比を0.5以上としているので、0.5未満とする場合に比べて翼部21aと底面通風路7の上面7aとの距離Hc1を確保することができる。そのため、翼部21aの外周上流部での循環流れ60が安定し、プロペラファン21内部流れ全体を安定させることができる。
【0018】
また、プロペラファン21から流出する流れは、軸流方向の流れから径方向へ拡がる流れとなるため、底面通風路7の下面7bへの気流の衝突が抑制できる。同時にプロペラファン21の下流にあるモータ23への気流の衝突も抑制することができ、風量損失を抑制することができる。
【0019】
また、ファンリング50が、バッフル板41の開口部41aから上方側に延びるように設けられているので、言い換えれば、バッフル板41が、ファンリング50の下流側と繋がる構造となっているので、図3に示すように、バッフル板41をファンリング50の上流と繋げる場合に比べて、ファン上流風路71の風路高さを高く確保できる。このため、ファン上流風路71において空気吸込口39と反対側部分(背面側部分)への空気の流れが容易となる。従って、プロペラファン21を通過する流れが、ファン上流風路71において、プロペラファン21の空気吸込口39側とその反対側とで非対称となることを抑制することができる。すなわち、プロペラファン21の全周で均一に吸い込む事が可能となり、その結果、ショーケース1の風量を大きくすることが可能となる。
【0020】
また、バッフル板41を仮にファンリング50の上流と繋げた場合、空気の流れは図3の矢印aで示したようになるが、その通過流路は、ファンリング50の下流側の端部と底面通風路7の下面7bとの間で一旦狭められ、その後、バッフル板41と底面通風路7の下面7bとの間で急拡大する。このため、吹出し流れの急拡大による風量損失が生じる。しかしながら、この実施の形態1では、バッフル板41をファンリング50の下流側と繋がる構造としているため、このような不都合が生じない。
【0021】
以上のように、実施の形態1のショーケース1では、搭載するプロペラファン21において、下流翼比を0.5以上となるようにしているので、遠心流れ作用により高い昇圧が得られ、ファン下流風路73の風路高さが低くとも、吹出し流れの底面通風路7の下面7bへの衝突による風量損失を抑制でき、ショーケース1として大きな風量を得ることができる。さらにファンリング50の下流側がバッフル板41に繋がる形状としているので、上述したようにファン上流風路71の風路高さを高く確保できてプロペラファン21に流入する空気の非対称性を抑制できる。また、吹出し流れの急拡大による損失を防ぐことができ、ショーケース1の風量を大きくする効果を高めることができる。
【0022】
また、ショーケース1を循環する風量を大きくすることが可能な点及びプロペラファン21への空気流入の非対称性を緩和できる点から、以下の(1)〜(4)の効果を得ることもできる。
(1)冷却器15を通過する風量が大きくなるため冷却器15の蒸発処理能力が高まり、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。この結果、圧縮機の入力を低減でき、入力の小さいショーケース1とすることができる。また、蒸発処理能力の向上は冷却器15の削減に置き換えることができ、この場合は製造コストの小さいショーケース1を得ることができる。
【0023】
(2)ショーケース1を循環する風量の増加は底面通風路7の薄型化に置き換えることができる。底面通風路7の薄型化によりショーケース1の全体の容積を同じとした場合に商品収納庫5の容積を大きくすることができ、多くの商品を収納、出し入れを容易にすることができる。また底面通風路7の薄型化により下部台13から商品収納庫5までの高さを低くすることができ、視覚的に優れたショーケース1を得ることができる。
【0024】
(3)ショーケース1を循環する風量の増加は、庫内送風機20の台数削減に置き換えることができる場合もある。その場合は製造コストの低いショーケース1とすることができる。
【0025】
(4)プロペラファン21への空気流入の非対称性を緩和できるため、循環流れを安定させ、ファン内部の流れを安定させたショーケース1とすることができる。このため、ファン騒音の低いショーケース1を得ることができる。また風量の小さいショーケース1とした場合はさらにファン騒音の低いショーケース1とすることができる。
【0026】
図4は、風量−昇圧(静圧)特性を示した図で、ショーケース1に搭載する庫内送風機1台当たりの特性を試験したものである。ここでは、底面通風路7の上下方向の距離Ha1=160mmとし、外径W=200mmのプロペラファン21を搭載した場合の試験結果を示している。プロペラファン21の翼部21aの高さHb1=55mmであり、Hb2/Hb1で定義する下流翼比を、0.45、0.50、0.65とした場合のそれぞれの風量−昇圧(静圧)特性を示している。下流翼比=0.45に対して、0.50及び0.65の場合、すなわち0.5以上とした場合では、運転範囲内での昇圧を高くできることがわかる。なお、運転範囲は、プロペラファン21が効率良く運転できる範囲として予め決められた範囲である。
【0027】
実施の形態2.
実施の形態2は、プロペラファン21を、そのファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに略垂直となるように設置したものである。
【0028】
図5は、この発明の実施の形態2におけるショーケースの構造を示す側断面図である。図6は、図5の庫内送風機とその周囲の風路部分の拡大断面図である。なお、図5及び図6において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0029】
以下、実施の形態2の特徴部分の構成を説明する。
実施の形態1のショーケース1では、プロペラファン21のファン回転軸25を空気吸込口39側に傾けて設置していたが、本実施の形態2のショーケース1では、底面通風路7の下面7bに対して垂直となるように設置している。また、バッフル板41は、実施の形態1と同様にファン回転軸25に対して略垂直に配置されるため、実施の形態2では、底面通風路7の下面7b(上面7a)に略平行に配置された状態となっている。また、底面通風路7は、高さ略一様に形成されているため、底面通風路7の下面7bに略平行に配置されたバッフル板41により、バッフル板41と底面通風路7の上面7a又は下面7bとの間のそれぞれの空間の高さは、それぞれの空間において略一様に形成されている。なお、実施の形態2のショーケース1では、下流翼比については、特に限定しないものとする。
【0030】
次に動作について説明する。
ショーケース1全体の大まかな空気の流れは実施の形態1の通りである。ここではプロペラファン21内部および近傍の流れについて図6を参照して説明する。なお、図6の破線矢印は、プロペラファン21内部および近傍の子午面流れを示している。
【0031】
ショーケース1の正面側に設けた空気吸込口39から取り入れられた空気は、ファン上流風路71を経てプロペラファン21の上部及び側面部からプロペラファン21内に流入する。すなわち、ファン上流風路71内において、ファン回転軸25よりも背面側に相当する部分からも、プロペラファン21内に空気が流入する。ここで、バッフル板41は、底面通風路7の上面7aと概ね平行となるので、ファン上流風路71の空気吸込口39側(図6の紙面左側)から背面側(図6の紙面右側)にかけてファン上流風路71が狭められることがなく、空気の流れが阻害されない。このため、プロペラファン21への空気の流入に際し、プロペラファン21の上部全面から略均等に空気を流入させることが可能となり、実施の形態1に比べて更に、プロペラファン21の周方向における空気流入の非対称性を抑制できる。
【0032】
ここで、プロペラファン21は、ファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに略垂直となるように配置されており、且つバッフル板41が底面通風路7の下面7bに略平行に配置されているため、プロペラファン21の翼部21aの空気吸込口39側とは反対側の部分と底面通風路7の上面7aとの距離Hc1が、空気吸込口39側と同様に確保されている。そのため翼部21aの外周上流部での循環流れ61、62が安定し、ファン内部流れ全体を安定させることができる。また、ファン下流風路73の高さ寸法もプロペラファン21の周方向で一様となるため、吹出し流れも周方向で一様となり、ファン内部流れを安定させることができる。
【0033】
以上のように、実施の形態2のショーケース1では、プロペラファン21を、ファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに対し垂直となるように配置するとともに、バッフル板41を底面通風路7の下面7bに略平行に配置して、バッフル板41と底面通風路7の上面7a又は下面7bとの間のそれぞれの空間の高さを、それぞれの空間において略一様としたため、実施の形態1に比べて更に、プロペラファン21の流入及び流出側のそれぞれで周方向に安定した空気の流れとなり、プロペラファン21内部の流れも安定した流れとすることができる。そのため、プロペラファン21の昇圧特性を損なわず、ショーケース1として大きな風量を得ることができる。
【0034】
また、実施の形態1と同様に、ファンリング50の下流側がバッフル板41に繋がる構造としているので、プロペラファン21に流入する空気の非対称性を抑制でき、また、吹出し流れの急拡大による損失を防いでいるため、ショーケース1の風量を大きくする効果を高めることができる。
【0035】
また、プロペラファン21を、ファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに対し垂直となるように設置したため、実施の形態1のように底面通風路7の下面7bに対し斜めにした場合に比べて、より大きな外径のプロペラファン21を搭載することが可能となる。そのため、ショーケース1の風量をより大きくすることができる。
【0036】
また、上記実施の形態1と同様に、上記(1)〜(4)の効果を得ることができる。
【0037】
図7は、風量−昇圧(静圧)特性を示した図で、ショーケース1に搭載する庫内送風機1台当たりの特性を試験したものである。ここでは、底面通風路7の上下方向の距離Ha1=160mmとし、外径W=200mmのプロペラファン21を搭載している。図8に示すファン軸角度(プロペラファン21のファン回転軸25を底面通風路7の下面7bに垂直な位置から空気吸込口39側へ傾ける角度)を0度、5度、10度と変化させた場合の、それぞれの風量−昇圧(静圧)特性を示している。図7より、ファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに対し垂直となるファン軸角度0度の場合に運転範囲の昇圧を高くできることがわかる。
【0038】
実施の形態3.
実施の形態2では、プロペラファン21を、そのファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに略垂直となるように設置するとともに、バッフル板41を、底面通風路7の下面7b(上面7a)に略平行に配置していたが、実施の形態3では、更に、ファン下流風路73のファン回転軸方向の高さ寸法をファン外径寸法に対して規定するものである。
【0039】
図9は、この発明の実施の形態3におけるショーケースの構造を示す側断面図である。図10は、図9の庫内送風機とその周囲の風路部分の拡大断面図である。なお、図9及び図10において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0040】
以下、実施の形態3の特徴部分の構成を説明する。
実施の形態3では、ファン上流風路71の高さHd1をファン下流風路73の高さHa2よりも大きく設定している。さらに、ファン下流風路73の高さHa2をファン外径Wの25%以下となるように設定している。なお、実施の形態3のショーケース1では、下流翼比については、特に限定しないものとする。
【0041】
次に動作について説明する。
ショーケース1全体の大まかな空気の流れは実施の形態1の通りである。ここではプロペラファン21内部および近傍の流れについて図10を参照して説明する。なお、図10の破線矢印は、プロペラファン21内部および近傍の子午面流れを示している。
【0042】
ショーケース1の正面側に設けた空気吸込口39から底面通風路7内に取り入れられた空気は、ファン上流風路71を経てプロペラファン21の上部及び側面部からプロペラファン21内に流入する。実施の形態3では、ファン上流風路71の高さHd1をファン下流風路73の高さHa2よりも大きく設定しているため、実施の形態2に比べて更に、ファン上流風路71全体の空気の流れが容易となる。また、バッフル板41は、実施の形態2と同様に底面通風路7の上面7a及び下面7bと概ね平行となるので、ファン上流風路71の空気吸込口39側(図の紙面左側)から背面側(図の紙面右側)にかけてファン上流風路71が狭められることがなく、空気の流れが阻害されない。以上のことから、プロペラファン21への空気の流入に際し、プロペラファン21の上部全面から略均等に空気を流入させることが可能となり、実施の形態1及び実施の形態2に比べて更に、プロペラファン21の周方向における空気流入の非対称性を抑制できる。
【0043】
また、実施の形態3では、ファン下流風路73の高さHa2が小さく設定されているために、プロペラファン21からの吹出し気流は強制的に外周側へ向いた流れとなり安定する。その結果、ファン内部の子午面流れは内周から外周へ流れる遠心流れが強くなり、遠心流れによる昇圧作用により高い昇圧が得られる。また、翼部21aの外周部分で循環流れ61、62が生成され、プロペラファン21へ流入する空気のうち、ファン回転軸25に近い部分(径の小さい部分)から流入する比率が、ファン下流風路73の高さHa2をファン外径Wの25%以上とした場合に比べて高くなる。このため、ファン内部流れ全体を安定させることができる。またプロペラファン21から流出する流れは軸流方向の流れから径方向へ拡がる流れに変わり、プロペラファン21の下流にあるモータ23への空気の衝突が抑制され、風圧損失を抑制することができる。
【0044】
以上のように、実施の形態3のショーケース1では、ファン上流風路71の高さHd1をファン下流風路73の高さHa2よりも大きく設定し、且つ、ファン下流風路73の高さをファン外径Wの25%以下としているので、プロペラファン21の遠心流れを強めることができ、また、流入側で安定した流れとすることができる。そのためプロペラファン21の昇圧特性を高め、ショーケース1として大きな風量を得ることができる。
【0045】
更に、実施の形態1と同様、ファンリング50の下流側がバッフル板41に繋がる構造としているので、プロペラファン21に流入する空気の非対称性を抑制し、また、吹出し流れの急拡大による損失を防いでいるため、ショーケース1の風量を大きくする効果を高めることができる。
【0046】
また、プロペラファン21を、ファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに対し垂直となるように設置したため、実施の形態1のように底面通風路7の下面7bに対し斜めにした場合に比べて、より大きな外径のプロペラファン21を搭載することが可能となる。そのため、ショーケース1の風量をより大きくすることができる。
【0047】
また、上記実施の形態1と同様に、上記(1)〜(4)の効果を得ることができる。
【0048】
ここで、実施の形態3では、実施の形態2と同様にプロペラファン21の回転軸を底面通風路7の下面7bに垂直とした構成を有しており、この構成により、ショーケース1の風量を大きく、騒音を小さくする効果を有していることは前述の通りである。そして、実施の形態3では、この構成に、更に実施の形態3特有の構成を加えているため、上記した理由により、更に風量が大きく、騒音が小さいショーケース1とすることが可能となる。
【0049】
図11は、ファン下流風路73の高さ(Ha2)/プロペラファン21の外径(W)−風量比特性を示した図で、ショーケース1に搭載する庫内送風機1台当たりの特性を試験したものである。なお、縦軸において、Ha2/Wが50%の風量を1としている。ここでは、ファン下流風路73の高さHa2を変えて風量変化を試験したものである。外径W=200mmのプロペラファン21を搭載し、ファン下流風路73の高さHa2を100mmから42mm、つまり、Ha2/Wを、50%から21%まで変化させている。図11より、Ha2/Wが40%よりも小さくなる辺りから風量比が高くなり、25%辺りで極地を迎えることがわかる。
【0050】
実施の形態4.
図12は、この発明の実施の形態4におけるショーケースの構造を示す側断面図である。図13は、図12の庫内送風機とその周囲の風路部分の拡大断面図である。なお、図12及び図13において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。また、ショーケース1の全体的な構成及び大まかな空気の流れは実施の形態1で説明した通りである。
【0051】
実施の形態4のショーケース1は、上記実施の形態1〜3のそれぞれ特徴部分である、以下の(a)〜(d)の構成を有するとともに、更に、(e)の構成を有するものである。
【0052】
(a)プロペラファン21の外径Wは、底面通風路7の高さHa1よりも大きい。
(b)底面通風路7において、下流翼比が0.5以上となるようにプロペラファン21を設置する。
(c)プロペラファン21を、そのファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに垂直となるように設置するとともに、バッフル板41を、底面通風路7の上面7a及び下面7bに平行となるように設置する。
(d)ファン上流風路71の高さHd1を、ファン下流風路73の高さHa2よりも高くするとともに、ファン下流風路73の高さをファン外径Wの25%以下とする。
(e)底面通風路7の高さHa1をプロペラファン21の外径の47%から70%とする。
【0053】
以上の構成を有することにより、上記実施の形態1〜3で説明した気流の流れを得ることができ、実施の形態1〜3と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
図13は、風量−昇圧(静圧)特性を示した図で、ショーケース1に搭載する庫内送風機20台当たりの特性を試験したものである。ここでは、外径W=200mmのプロペラファン21をファン回転軸25が底面通風路7の下面7bに対して垂直となるように設置してある。また、ファン下流風路73のファン回転軸方向高さHa2を、プロペラファン21の外径Wの23%となる45mmとし、プロペラファン21の下流翼比は0.65としている。そして、底面通風路7の高さHa1を、ファン外径Wの80%、70%、60%、47%となる160mm、140mm、120mm、94mmと変化させて特性を評価している。また図13における従来の搭載形態の特性は、Ha1=160mm、下流翼比を0.45とした場合の特性を示している。図13より、Ha1をファン外径Wの70%、140mmの場合に特に高い昇圧が得られ、47%、94mmの場合には昇圧が他と比べれば低下するが従来形態に比べては優位性を得ることがわかる。
【0055】
なお、上述した実施の形態1〜4においてそれぞれ別の実施の形態として説明したが、各実施の形態を適宜組み合わせたショーケース1としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、薄型の底面通風路が要求されるショーケース1において高静圧つまり高風量を得られるものである。特に構造、製造が容易なプロペラファン21を用いており、またファンモータ23をファンの下流、つまり重力方向に設置した場合に効果が得られる形態であるので、重量の大きい安価なインダクションモータを適用する場合に有効であるので、コストが求められる場合にも適用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施の形態1を示すショーケースの構造を示す側断面図である。
【図2】図1の庫内送風機とその周囲の風路部分の拡大断面図である。
【図3】ファンリングをバッフル板の開口部の下流側に接続した場合の風路説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1のショーケースの要部である庫内送風機の特性図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示すショーケースの構造を示す側断面図である。
【図6】図5の庫内送風機とその周囲の風路部分の拡大断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2のショーケースの要部である庫内送風機の特性図である。
【図8】この発明の実施の形態2を示すショーケースの要部である庫内送風機の特徴を説明するための補足図である。
【図9】この発明の実施の形態3を示すショーケースの構造を示す側断面図である。
【図10】図9の庫内送風機とその周囲の風路部分の拡大断面図である。
【図11】この発明の実施の形態4のショーケースの要部である庫内送風機の特性図である。
【図12】この発明の実施の形態4を示すショーケースの構造を示す側断面図である。
【図13】図12の庫内送風機とその周囲の風路部分の拡大断面図である。
【図14】この発明の実施の形態4のショーケースの要部である庫内送風機の特性図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ショーケース、3 ショーケース本体、3a 開口、5 商品収納庫、7 底面通風路、7a 上面、7b 下面、9 背面通風路、11 天面通風路、17 エアーカーテン吹出口、20 庫内送風機、21 プロペラファン、21a 翼部、23 ファンモータ、25 ファン回転軸、39 空気吸込口、41 バッフル板、41a 開口部、50 ファンリング、71 ファン上流風路、73 ファン下流風路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面を開口したショーケース本体の内側に、底面、背面及び天面に連通する循環風路を有し、循環風路の一部を構成する底面通風路に送風機を配置し、前記底面通風路の正面側上部に設けた空気吸込口から前記送風機により庫内空気を吸い込み、前記循環風路を介して循環させ、前記ショーケース本体の正面上部に設けたエアーカーテン吹出口から吹き出すようにしたショーケースであって、
前記送風機のプロペラファンは、前記底面通風路の高さ寸法よりも大きい外径を有し、前記プロペラファンの外形に沿うファンリングを、前記底面通風路をファン上流風路とファン下流風路とに区画するバッフル板の開口部に接続し、前記プロペラファンの翼部において、前記ファンリングよりも前記ファン下流風路側に位置する部分の寸法が、前記翼部全体の高さ寸法の50%よりも大きくなるように前記プロペラファンと前記ファンリングとの位置関係が設定されていることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
正面を開口したショーケース本体の内側に、底面、背面及び天面に連通する循環風路を有し、循環風路の一部を構成する底面通風路にプロペラファンを配置し、前記底面通風路の正面側上部に設けた空気吸込口から前記プロペラファンにより庫内空気を吸い込み、前記循環風路を介して循環させ、前記ショーケース本体の正面上部に設けたエアーカーテン吹出口から吹き出すようにしたショーケースであって、
前記プロペラファンは、前記底面通風路の高さ寸法よりも大きい外径を有し、前記プロペラファンの外形に沿うファンリングを、前記底面通風路をファン上流風路とファン下流風路とに区画するバッフル板の開口部に接続するとともに、前記バッフル板を、前記底面通風路の上面及び下面に略平行となるように前記底面通風路内に設け、また、前記プロペラファンを、そのファン回転軸が前記底面通風路の下面に垂直となるように設置したことを特徴とするショーケース。
【請求項3】
前記プロペラファンの翼部において、前記ファンリングよりも前記ファン下流風路側に位置する部分の寸法が、前記翼部全体の高さ寸法の50%よりも大きくなるように前記プロペラファンと前記ファンリングとの位置関係が設定されていることを特徴とする請求項2記載のショーケース。
【請求項4】
正面を開口したショーケース本体の内側に、底面、背面及び天面に連通する循環風路を有し、循環風路の一部を構成する底面通風路にプロペラファンを配置し、前記底面通風路の正面側上部に設けた空気吸込口から前記プロペラファンにより庫内空気を吸い込み、前記循環風路を介して循環させ、前記ショーケース本体の正面上部に設けたエアーカーテン吹出口から吹き出すようにしたショーケースであって、
前記プロペラファンは、前記底面通風路の高さ寸法よりも大きい外径を有し、前記プロペラファンの外形に沿うファンリングを、前記底面通風路をファン上流風路とファン下流風路とに区画するバッフル板の開口部に接続するとともに、前記バッフル板を、前記底面通風路の上面及び下面に略平行となるように前記底面通風路内に設け、また、前記プロペラファンを、そのファン回転軸が前記底面通風路の下面に垂直となるように設置し、更に、前記ファン上流風路の高さ寸法を前記ファン下流風路の高さ寸法よりも大きくするとともに、前記ファン下流風路の高さ寸法を、前記プロペラファンの外径の25%よりも小さくしたことを特徴とするショーケース。
【請求項5】
前記プロペラファンの翼部において、前記ファンリングよりも前記ファン下流風路側に位置する部分の寸法が、前記翼部全体の高さ寸法の50%よりも大きくなるように前記プロペラファンと前記ファンリングとの位置関係が設定されていることを特徴とする請求項4記載のショーケース。
【請求項6】
前記底面通風路は、高さ略一様に形成されており、その高さ寸法を、前記プロペラファンの外径の47%から70%としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のショーケース。
【請求項7】
前記ファンリングを、前記バッフル板の前記開口部から上方側に延びるように前記バッフル板に接続したことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−138948(P2009−138948A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312151(P2007−312151)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】