説明

ショーツ

【目的】 ショーツの縫合箇所を少なくし、特に股下部に縫目をなくし、かつ腹部の押圧整形機能も持たせること。
【構成】 前身頃15上端中央部から後身頃17上端中央部までを厚手のパイル編地からなるほぼ長方形状の連続した中央部編地3とし、この中央部編地3の左右両側に、前身頃15側と後身頃17側の双方において、フライス編地からなる前身頃両側編地1Lと後身頃両側編地2Lを配置する。パイル編地とフライス編地は同時に織成して縫目のない連続一体の生地片とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案はショーツに係り、特にショーツの構成生地片を一枚にして縫合箇所を可及的に少なくすると共に、生地中央部に厚手のパイル編地を配し、生地両側には薄手のフライス編地を配したショーツに関する。
【0002】
【従来の技術】
図2(A)(B)(C)のように、婦人用ショーツ(5)は比較的薄手のレース編地からなる前見頃中央部編地(9)と、その左右両端に縦向きの縫合線(11)を形成して縫着された2枚1組の前見頃編地(6L)(6R)とによって前見頃(12)を形成している。前見頃編地(6L)(6R)と後見頃編地(7)
は、伸縮性に富んだ薄手の編成布、例えばジャガード編地から形成されており、前記前見頃中央部編地(9)と後見頃編地(7)との間には、やや緻密な編組織を有する股下部マチ布(8)が縫合さている。
【0003】
股下部マチ布(8)は、必要に応じて表裏2枚を重ね合わせ状態にして前見頃中央部編地(9)の下縁部と後見頃編地(7)の下縁部との間に縫合(14)されている。
【0004】
股下部マチ布(8)を折曲げ中心として前見頃(12)と後見頃編地(7)を重ね合わせ、縦向きに延びるそれぞれの両端(13)を縫合することによって婦人用ショーツ(5)ができ上がる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
図2に示す従来のショーツ(5)は、前見頃中央部編地(9)と後見頃編地(7)との間に2枚重ね構造を有する股下部マチ布(8)を縫合しているため、縫合箇所がショーツ(5)の股下部分と左右両側部分で少なくとも4箇所となる。
また縫合部(14)には段差が生じるから、ショーツ(5)の上に股下部分で縫目がゴロつくパンツ、例えばジーンズやスラックスを穿いたとき、ジーンズやスラックスの股下縫目自体によるゴロつき感に加えて、前記段差とパンツの縫目部分が重なり合うことによるゴロつき感も生まれて装用感が損われる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題の解決手段として本考案は、前見頃の中央部分上端から股下部分を通って後見頃の中央部分上端迄延びる中央部編地と、前見頃側で前記中央部編地の両側に左右対称に配置された前見頃両側編地と、後見頃側で前記中央部編地の両側に左右対称に配置された後見頃両側編地からなり、前記中央部編地を厚手のパイル編地にすると共に前記前見頃両側編地及び後見頃両側編地を薄手のフライス編地にしてなるショーツを提供する。
【0007】
中央部編地と、前記前身頃両側編地および前記後身頃両側編地とを、同時に織成して編地相互を縫目なしで連続させることができる。また前見頃両側編地と後見頃両側編地の各側端縁を、シーマーまたは平三本ミシンで相互に扁平状に縫い合わせすることができる。
【0008】
【作用】
前見頃の幅方向中央部分上端から後見頃の幅方向中央部分上端に向って延びる厚手パイル編地の中間股下部分が股下部マチ布として機能するから、従来必須の構成生地片であった股下部のハギが不要となり、ショーツの縫合箇所が2箇所少なくなる。また中央部編地は厚手のパイル編地なので腹部を押さえる十分な整形作用が生じる。さらに、人体腰横の曲面部分には薄手のフライス編地がしなやかに当たるので厚ぼったい装用感はまったくない。ショーツ両側におけるフライス編地相互の縫合手段としてシーマーまたは平三本ミシンを使用することによって、縫合部の段差が少なくなり、装用感の改善に役立つ。
【0009】
【実施例】
以下、図1を参照しながら本考案の具体例を説明する。
【0010】
本考案のショーツ(10)は、図1(C)に示すような一枚の生地片で構成されている。ショーツ(10)の前見頃(15)の中央部分上端から股下部分(16)を通って後見頃(17)の中央部分の上端迄延びるほぼ長方形状の部分が中央部編地(3)である。この中央部編地(3)の左右両側に、股下部分(16)
に相当する離間間隔を置いて、左右対称配置状態で前見頃両側編地(1L)(1R)及び後見頃両側編地(2L)(2R)が配置されている。
【0011】
中央部編地(3)は、厚手のパイル編地から形成されており、前見頃両側編地(1L)(1R)と後見頃両側編地(2L)(2R)は、薄手のフライス編地から形成されている。パイル編地とフライス編地は同時に織成されて縫目がなく完全に連続一体化されている。従って中央部編地(3)の左右両側の線4Bではパイルとフライスのわずかな厚みの段差のみが存在する。
【0012】
中央部編地(3)は、所定の幅寸法、例えば10cmの幅寸法を有するほぼ長方形のパイル編地からなり、その長さ方向中間部分には、左右両側に足ぐり用の狭搾部を配設してなる股下部分(16)が形成されている。
【0013】
前見頃(15)と後見頃(17)は、図1(A)及び(B)に示すように中央部編地(3)の股下部分(16)を折曲げ中心として重ね合わせ、この状態で前見頃両側編地(1L)(1R)と後見頃両側編地(2L)(2R)の側端縁同士を縫着(縫合線を4Aで表示する。)し、前見頃(15)と後見頃(17)の折り返された上縁にゴム帯を配設することによって、婦人用ショーツ(10)に仕上げられる。前見頃両側編地(1L)(1R)と後見頃両側編地(2L)(2R)の側端縁同士の縫着(4A)に際しては、縫い目の段差を極力少なくするため、シーマーまたは平三本ミシンによる扁平縫い方式を採用する。
【0014】
【考案の効果】
ショーツの構成生地片が一枚なので縫合箇所が少なく縫製工程が簡素化できる。ショーツの股下部分に縫目がないので、ジーンズやスラックスなど股下部分に厚い縫目が入っているものをはいても、縫目相互の重なり合いによるゴロつき感がないし、ジーンズやスラックス自体の縫目によるゴロつき感も厚手のパイル編地によって緩和解消される。またショーツ中央部分の厚手のパイル編地は腹部を押さえて整形効果も発揮する。
【提出日】平成6年5月16日

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 前見頃の中央部分上端から股下部分を通って後見頃の中央部分上端迄延びる中央部編地と、前見頃側で前記中央部編地の両側に左右対称に配置された前見頃両側編地と、後見頃側で前記中央部編地の両側に左右対称に配置された後見頃両側編地からなり、前記中央部編地を厚手のパイル編地にすると共に前記前見頃両側編地及び後見頃両側編地を薄手のフライス編地にしてなるショーツ。
【請求項2】 前記中央部編地と、前記前身頃両側編地および前記後身頃両側編地とを、同時に織成して編地相互を縫目なしで連続させた請求項1記載のショーツ。
【請求項3】 前見頃両側編地と後見頃両側編地の各側端縁を、シーマーまたは平三本ミシンで相互に扁平状に縫い合わせしてなる請求項1記載のショーツ。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3003595号
【登録日】平成6年(1994)8月17日
【発行日】平成6年(1994)10月25日
【考案の名称】ショーツ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−4511
【出願日】平成6年(1994)4月27日
【出願人】(593029075)株式会社アズ (8)