説明

ショートニング用乳化剤組成物

油中水型製品を生成する方法が記載されている。この方法は、疎水性成分を油中水型エマルジョンと混合して前記油中水型製品を形成するステップを含む。前記疎水性成分は、疎水性媒体中にプロバイオティックを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費者に栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができるプロバイオティック製品の製造方法に関する。本発明はまた、プロバイオティック製品の使用に関する。本明細書で使用する「製品」という用語は、「調製物」という用語と交換可能である。好ましくは、プロバイオティック製品は、油中水型製品である。油中水型製品は、時には脂肪中水型(water-in-fat)製品と呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
食事と健康の関係の認識が高まってきた結果、健康を増進させることができ、且つ基本栄養素を提供する食品の需要が増加している。こうした食品の例には、プロバイオティクスがある。
【0003】
「生命のための」を意味するプロバイオティックという用語は、かねてプロバイオティック培養物の最も基本的な特徴を示すギリシア語に由来する。プロバイオティックという用語は、「ある微生物によって分泌され、別の微生物の増殖を刺激する物質」を記述するために、Lilly及びStillwell(1965年)によって初めて使用され、したがって、抗生物質という用語と対比された(Lilly and Stillwell, 1965 Science 147: 747-748)。プロバイオティックという用語が、その後他の対象に適用され、より一般的な意味を得たのは、この定義の明確で且つ一般的な主張のためかもしれない。現在、この用語の定義は、「宿主の健康に有益な影響を及ぼす生菌(viable bacteria)」を指す。
【0004】
様々な研究で、平均的なヒト及び動物の腸が、例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、カルノバクテリウム(Carnobacterium)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属、ラクトバチラス(Lactobacillus)属、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する細菌などの「プロバイオティック」細菌を含めた、約100種の異なる細菌種を含むことが実証されてきた。
【0005】
「プロバイオティック」細菌を定期的に消費すると、胃腸管の機能及び安定性が高まり、感染症及び発癌性変異誘発物質に対する保護が改善され、免疫系が増強され、乳酸に対する不耐性が軽減され、消化及び栄養素の吸収が改善され、血中コレステロールが減少し、アレルギーへの危険性及び小麦に対する不耐性が軽減されることが報告されている。
【0006】
ビフィドバクテリウム属の細菌は、1899年に母乳で育てられた乳児の糞便中に発見された。こうした細菌が、パンで育てられた乳児にしばしば最も豊富に存在し、それらの乳児の疾患に対する一般的な抵抗力が高まっている主要な理由と見なされていることは、特に興味深いことであった。
【0007】
ビフィズス菌が、ヒト及び動物の一生を通じてそれらの腸内ミクロフローラに重要な役割を果たすことが知られている。クローン病患者は、しばしば便中のビフィズス菌の数が健康な個人よりかなり低い。小児は、通常便中に成人より大量のビフィズス菌を有し、したがって便のpHが低く、そのことが病原性微生物が定着する可能性が低い理由として示唆されてきた。
【0008】
今日、プロバイオティック細菌培養物は、乳製品や、水中油型製品や油中水型製品のような様々なエマルジョンなど、広範囲の消費用製品に見られる。
【0009】
特に、こうした配合物中へのプロバイオティクスの組込みは、加工条件が非常に厳しいために様々な困難を伴う。
【0010】
一般に、プロバイオティック培養物は、他の水相成分と一緒に、場合によっては事前に低温殺菌された水相を経由して水中油型スプレッド中に組み込まれる。
【0011】
油中水型製品を調製するときは、プロバイオティック微生物は、油相に導入され、それによって、例えば管状のかき取り表面熱交換器(SSHE)中で低温(deep)冷却及びかき取りを施したとき、損傷を受け、生存力が著しく低下する。
【0012】
プロバイオティック微生物の生存力及び生存率を維持するための特定の手法は、加工中に適切な水滴サイズを生成することである。
【0013】
しかし、この手法は、非常に狭い範囲内でしか動作できず、したがってプロバイオティック微生物の生存力を制限し、最終的には最終油中水型製品の貯蔵寿命を著しく短縮させる可能性のある、プロセスの開発をもたらす可能性がある。
【0014】
欧州特許出願公開第0376407号は、乳酸菌を含む油中水型スプレッドを開示している。乳酸菌がスプレッド製造用の他の成分と一緒にSSHE中で攪拌しながら50℃に加熱されてエマルジョンが形成される。
【0015】
欧州特許出願公開第1010372号は、非焼成の脂肪ベースの組成物及び焼成部分を含む焼成製品の形の機能性食品/健康食品を開示している。乳酸菌が、脂肪ベースの組成物の他の成分と一緒に40℃超に加熱せずに混合される。
【0016】
欧州特許出願公開第0948896号は、油中水型エマルジョンを調製する方法を開示している。液体脂肪相、水相、フレーバー、及びプロバイオティック微生物が一緒に混合され、均一な油中水型エマルジョンが得られるまでボテーター型のかき取り式熱交換器内で処理される。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0376407号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1010372号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0948896号
【非特許文献1】Lilly and Stillwell, 1965 Science 147: 747-748
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、分散液(例えば、油中水型エマルジョンなど)を形成するためのより広い限界(margin)を提供しながら、プロバイオティック微生物への損傷が制限される、油中水型製品などのプロバイオティック製品を製造する方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
広範な態様
本明細書で使用する「油中水型製品」及び「油中水型エマルジョン」という用語は、それぞれプロバイオティック製品及び分散液の一例である。ただし、本発明が、分散液を、生きたプロバイオティック微生物を疎水性媒体中に含む不活性な疎水性成分と混合することによって形成される、他のプロバイオティック製品を包含することを当業者なら理解するであろう。
【0019】
広範な態様では、本発明は、生きたプロバイオティック微生物を疎水性媒体中に含む疎水性成分(時には「疎水性組合せ」、場合によっては「組合せ」と呼ばれる)を、油中水型エマルジョンと混合することを含む、油中水型調製物(時には「油中水型組成物」又は「油中水型製品」と呼ばれる)を形成する方法に関する。この生きたプロバイオティック微生物は、消費者に栄養上及び/又は健康上の利益を与える。
【0020】
本発明はまた、油中水型エマルジョン及び疎水性成分を含み、前記油中水型エマルジョンが、疎水性成分とは別々に形成され、この疎水性成分が、油中水型エマルジョンが形成された後に、前記油中水型エマルジョンに加えられる、油中水型製品を製造する方法に関する。
【0021】
本発明はさらに、適切な連続油相(a continuous oil phase)中の生きた乳酸微生物を混合することによってインサイチュー(in situ)で調製される、疎水性成分を含む油中水型製品に関する。
【0022】
本発明はまた、消費者に栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができる生きた乳酸微生物を含む調製物が提供されるように油中水型製品を形成する方法に関する。
【0023】
本発明はさらに、分散液を不活性な疎水性成分と混合することを含む、プロバイオティック製品を調製する方法であって、プロバイオティックが混合製品中で前記分散液とは離散状態に保たれるように、前記疎水性成分が疎水性媒体中のプロバイオティックを含む方法に関する。「離散」という用語は、プロバイオティックと分散液の接触が、分離した状態に保たれ、又は制限されることを意味する。特定の理論に拘泥するものではないが、このプロバイオティックは、プロバイオティックと分散液を分離し/その接触を制限する、疎水性媒体の薄膜によって封入される。
【0024】
本発明はさらに、ピーナッツバターとプロバイオティックを含む製品に関する。
【0025】
本発明はまた、本発明の方法によって製造される製品に関する。
【0026】
具体的には、製造日に約10〜10cfu/g(製品1グラム当たりのコロニー形成単位)の乳酸微生物を含み、製造日から約12週後に乳酸微生物約10〜10cfu/gが生存可能な状態である、油中水型調製物を提供する。
【0027】
今まで、油中水型エマルジョンなど、疎水性媒体中のプロバイオティックを事前に形成された分散液と混合することを示唆した人はいなかった。本発明の方法は、分散液の形成中に生じるプロバイオティックへの損傷を回避する。本発明の方法によってさらに、プロバイオティックの損傷によってプロバイオティック製品の貯蔵寿命が短縮されることなく、分散液の形成により広いパラメータを使用することが可能になる。さらに、本発明の方法は、プロバイオティック製品中でのプロバイオティックの再水和を実質上妨げる。本明細書で使用する「分散液」という用語は、粒子がその中に分散される、気体、液体、又はコロイドを含む系を指す。
【0028】
本発明のプロバイオティック製品は、消費者に栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができる。
【0029】
好ましくは、本発明は、生きた乳酸微生物を連続油相中に含む疎水性組合せによって油中水型エマルジョンに導入された生きた乳酸微生物を含む油中水型製品を形成するのに適した油中水型組成物に関する。
【0030】
本発明の他の態様は、添付の特許請求の範囲及び以下の説明に示されている。それらの態様は、別々の節見出しのもとに示されている。しかし、各節における教示が、特定の節見出しに必ずしも限定されないことを理解されたい。
【0031】
特定の態様
本発明の一態様は、油中水型製品を製造する方法であって、疎水性媒体中にプロバイオティックを含む疎水性成分を油中水型エマルジョンと混合して前記油中水型製品を形成するステップを含む方法に関する。
【0032】
本発明の別の態様では、プロバイオティックは、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、カルノバクテリウム属、プロピオニバクテリウム属、ラクトバチラス属、及びビフィドバクテリウム属からなる群から選択される生きた微生物を含む。好ましくは、この微生物は、ビフィドバクテリウム属及び/又はラクトバチラス属である。より好ましくは、この微生物は、ビフィドバクテリウムsp.420及び/又はラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)である。
【0033】
本発明の一態様では、疎水性成分は、疎水性媒体中にプロバイオティックを含む。好ましくは、この疎水性媒体は油相であり、より好ましくは連続油相である。より好ましくは、この疎水性媒体は、不飽和の液体油とトリグリセリドを含む連続油相を含み、好ましくは、このトリグリセリドはまたモノエステルをも含む。
【0034】
本発明の一態様では、疎水性成分は、疎水性媒体中にプロバイオティックを含み、このプロバイオティックは、乾燥タイプ、好ましくは粉末タイプで疎水性媒体に加えられる。
【0035】
本発明の別の態様では、油中水型製品を製造する方法であって、疎水性成分を油中水型エマルジョンと混合することを含み、この油中水型製品が、細胞損傷を引き起こす恐れのある物理的操作を受けない方法が提供される。
【0036】
本発明のさらに別の態様では、油中水型製品を製造する方法であって、疎水性成分を油中水型エマルジョンと混合することを含み、この油中水型製品が、プレバイオティックをさらに含む方法が提供される。
【0037】
本発明の別の態様では、分散液を不活性な疎水性成分と混合することを含む、プロバイオティック製品を調製する方法であって、プロバイオティックが混合製品中で前記分散液とは離散状態に保たれるように、前記疎水性成分が疎水性媒体中のプロバイオティックを含む方法が提供される。
【0038】
本発明の別の態様では、分散液は、エマルジョン、好ましくは油中水型エマルジョンである。
【0039】
本発明の別の態様では、プロバイオティック製品はピーナッツバターである。
【0040】
本発明の別の態様では、本発明の方法によって製造される製品が提供される。
【0041】
本発明の別の態様では、本発明の方法によって製造される製品を使用することによって得られる製品が提供される。
【0042】
一態様では、本発明は、本発明の方法によって製造される製品又は包装後の製品を提供する。
【0043】
一態様では、本発明は、ピーナッツバターとプロバイオティックを含む製品を提供する。
【0044】
別の態様では、本発明は、生きた乳酸微生物を連続油相中に含む疎水性成分を有する油中水型製品を形成するのに適した油中水型エマルジョンに関する。
【0045】
別の態様では、本発明は、生きた乳酸微生物を連続油相中に含む疎水性成分を有する油中水型製品を形成するための油中水型エマルジョンの使用に関する。
【0046】
別の態様では、本発明はさらに、適切な連続脂肪相中の生きた乳酸微生物を混合することによってインサイチューで調製される、疎水性組合せを含む油中水型組成物に関する。適切な連続脂肪相は、不飽和の液体油及びトリグリセリドを含み、このトリグリセリドはまたモノエステルを含む。好ましくは、この液体油は、不飽和の液体油を約95%〜98%の範囲で含み、このトリグリセリドは約2%〜5%の範囲であり、モノエステル成分はトリグリセリドの少なくとも10%である。好ましくは、トリグリセリドは、ヨウ素価が2〜35である。
【0047】
別の態様では、本発明はまた、油中水型エマルジョン及び疎水性組合せを含む油中水型調製物であって、前記疎水性組合せは連続油相中に生きた乳酸微生物を含み、前記製品は生きた乳酸微生物を製造日から約12週後に10〜10cfu/g含む調製物に関する。
【0048】
別の態様では、本発明は、油中水型エマルジョンを形成するステップと、生きた乳酸菌を含む疎水性組合せを加えるステップと、このエマルジョンを前記疎水性組合せと混合するステップとを含む、油中水型調製物を製造する方法であって、この疎水性組合せが、エマルジョンの形成後に油中水型エマルジョンに加えられ、この生きた乳酸微生物が、消費者に栄養上及び/又は健康上の利益を与える、油中水型調製物の製造方法に関する。
【0049】
別の態様では、本発明は、生きた乳酸菌を連続油相中で生成するために、不飽和の液体油と、モノエステルを含有するトリグリセリドとを含む連続油相に乳酸菌を組み込むステップを含む、疎水性組合せを調製するためのインサイチュー方法を提供する。
【0050】
好ましい態様
さらなる好ましい態様では、生きた乳酸微生物は、粉末形で疎水性組合せに加えられる。
【0051】
好ましくは、生きた乳酸菌は、粉末形で連続油相に組み込まれる。
【0052】
別の好ましい態様では、生きた乳酸微生物は、生きた乳酸菌である。
【0053】
別の好ましい態様では、生きた乳酸菌は、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、カルノバクテリウム属、プロピオニバクテリウム属、ビフィドバクテリウム属、及びラクトバチラス属からなる群から選択される。
【0054】
本発明の好ましい一態様では、生きた乳酸菌は、ビフィドバクテリウム属及び/又はラクトバチラス属に属する。
【0055】
本発明の別の好ましい態様では、生きた乳酸菌は、ビフィドバクテリウムsp.420種に属する。疑念を避けるために言っておくと、ビフィドバクテリウムsp.420の分類名は、ビフィドバクテリウムラクティス(Bifidobacterium lactis)420である。これらの用語は、本明細書で互換的に使用される。
【0056】
分類学上ビフィドバクテリウムラクティスとして分類されてきた種は、現在再検討中であることに留意されたい。具体的には、以前にB.ラクティスとして分類されたいくつかの種が、実際はB.アニマーリス(animalis)である可能性があると考えられている。本発明ではいくつかの態様において、今後B.アニマーリスとして分類学上改名される可能性があるB.ラクティス種を包含することが意図されており、また逆も同様である。具体的には、ビフィドバクテリウムsp.420は、以前はB.ラクティス420として分類されていた。
【0057】
しかし、この微生物がB.アニマーリス420として分類し直された場合(さらに言えば、ビフィドバクテリウムの他の任意の種として分類し直された場合も)、この微生物は本発明によって包含されることが意図されている。
【0058】
一実施形態では、本発明による微生物は、ビフィドバクテリウムsp.420でよい。
【0059】
ビフィドバクテリウムsp.420は、Danisco社(デンマーク)から市販されている。
【0060】
本発明の別の好ましい態様では、生きた乳酸菌は、ラクトバチルス・アシドフィルスに属する。
【0061】
本発明の別の好ましい態様では、本発明の疎水性組合せを含む容器であって、前記疎水性組合せを含む製品を消費した後に胃腸管の微生物のバランスを向上させる使用及び/又は使用承認を示すラベルも付いた容器も提供される。
【0062】
本発明の別の好ましい態様では、本発明の油中水型製品を含む容器であって、この製品を消費した後に胃腸管の微生物のバランスを向上させる使用及び/又は使用承認を示すラベルも付いた容器が提供される。
【0063】
別の好ましい態様では、本明細書に記載される方法によって得られる油中水型調製物は、生きた乳酸微生物を加えた後に、細胞損傷を引き起こす恐れのある物理的操作を受けない。
【0064】
別の好ましい態様では、疎水性組合せの連続油相は、不飽和の液体油及びトリグリセリドを含み、好ましくはこのトリグリセリドはモノエステルを含む。
【0065】
別の好ましい態様では、連続油相は、液体油が約95%〜98%の範囲にあり、トリグリセリドが2%〜5%の範囲にあり、このトリグリセリドはまたモノエステルを少なくとも10%含む。
【0066】
さらに別の好ましい態様では、疎水性組合せのトリグリセリド成分は、ヨウ素価が2〜35であり、このヨウ素価は、トリグリセリド100グラムに吸収されるヨウ素のグラム数である。
【0067】
別の好ましい態様では、疎水性組合せのトリグリセリド成分は、完全に水素化されていても、且つ/又は水素化されていなくても、且つ/又は部分的に水素化されていてもよく、前記トリグリセリドは完全に水素化されている。
【0068】
別の態様では、好ましくは、分散液を不活性な疎水性成分と混合することを含む、プロバイオティック製品を形成する方法であって、前記疎水性成分は、プロバイオティックが混合製品中で前記分散液とは離散状態に保たれるように、疎水性媒体中にプロバイオティックを含み、このプロバイオティック製品がピーナッツバターである、方法が提供される。
【0069】
別の好ましい態様では、好ましくは、分散液は、エマルジョン、好ましくは油中水型エマルジョンである。
この油中水型エマルジョンは、脂肪含有量を約5wt%〜約98wt%含むことができる。
【0070】
ある点において、好ましくは、油中水型エマルジョンは、脂肪含有量を、少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも15wt%、より好ましくは少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、さらに好ましくは少なくとも35wt%含む。
【0071】
ある点において、好ましくは、油中水型エマルジョンは、脂肪含有量を、最高で95wt%、好ましくは最高で90wt%、より好ましくは最高で75wt%、より好ましくは65%、さらに好ましくは最高で55wt%含む。
【0072】
ある点において、好ましくは、油中水型エマルジョンは、脂肪含有量が約40%である。
【0073】
好ましくは、油中水型製品は、油中水型スプレッド、油中水型バター、油中水型マーガリンであり、或いは本明細書に記載される油中水型組成物から利益を得ることができるいずれの油中水型製品でもよい。
【0074】
ある点において、好ましくは、油中水型製品は、低脂肪の油中水型スプレッド、低脂肪の油中水型バター、低脂肪の油中水型マーガリンとすることができる低脂肪の油中水型製品であり、或いは本明細書に記載される油中水型組成物から利益を得ることができるいずれの低脂肪の油中水型製品でもよい。
【0075】
ある点において、好ましくは、油中水型製品は、減脂肪の油中水型スプレッド、減脂肪の油中水型バター、減脂肪の油中水型マーガリンであり、或いは本明細書に記載される油中水型組成物から利益を得ることができるいずれの減脂肪の脂肪油中水型製品でもよい。
【0076】
ある点において、好ましくは、油中水型製品は、脂肪分無調整の油中水型スプレッド、脂肪分無調整の油中水型バター、脂肪分無調整の油中水型マーガリンであり、或いは本明細書に記載される油中水型組成物から利益を得ることができるいずれの脂肪分無調整の油中水型製品でもよい。
【0077】
「スプレッド」という用語は、油中水型エマルジョンの形の、食用油及び水からなる塗り拡げ可能な食品である食用油スプレッドを意味する。スプレッドの例としては、バター、マーガリン、及び低脂肪スプレッドが挙げられる。
【0078】
本明細書で使用する「脂肪分無調整の」という用語は、脂肪含有量が約63wt%〜約98wt%の範囲にあることを特徴とする油中水型製品を意味する。
【0079】
本明細書で使用する「減脂肪の」という用語は、その相当物で通常見られる又は一般にそれに関連する脂肪含有量より少ない脂肪含有量を特徴とする油中水型製品を意味する。減脂肪の製品は、脂肪含有量を、その相当物で通常見られる又は一般にそれに関連する脂肪含有量の1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、30%、40%以下を有することができる。
【0080】
本明細書で使用する「低脂肪の」という用語は、脂肪含有量が約5wt%〜約40wt%の範囲にあることを一般に特徴とする油中水型製品を意味する。
【0081】
好ましくは、低脂肪の油中水型製品は、脂肪含有量が、40wt%未満、好ましくは39wt%未満、好ましくは38wt%未満、好ましくは37wt%未満、好ましくは35wt%未満、好ましくは30wt%未満、好ましくは20wt%未満、好ましくは10wt%未満、好ましくは約5wt%である。
【0082】
ある点において、好ましくは、本明細書に記載される減脂肪の油中水型製品は、脂肪含有量が約43wt%〜約62wt%の範囲にある。
【0083】
好ましい態様では、油中水型エマルジョンは、消費者にプレバイオティック効果を与えることができる。
【0084】
好ましくは、油中水型エマルジョンはまた、ポリデキストロースを含み、このポリデキストロースは、Litesse(商標)、ペクチン、及び/又はマルトデキストロースである。
【0085】
ある点において、好ましくは、本発明は、油中水型エマルジョン、及び生きた乳酸菌を連続油相中に含有する疎水性組合せを含む油中水型調製物であって、スプレッドが、消費者にプロバイオティック効果及び/又はプレバイオティック効果及び/又はシンバイオティック(symbiotic)効果を与えることができる、調製物を提供する。
【発明の効果】
【0086】
本発明のいくつかの利点は、上記で論じられている。さらなるいくつかの利点が、以下に示される。
【0087】
本発明の主要な利点は、長期間生きたままのプロバイオティック(例えば乳酸微生物)を含む油中水型調製物を提供することである。これは、生きた乳酸微生物を疎水性媒体(例えば連続油相)中に含む疎水性成分を、事前に形成された油中水型エマルジョンに加えることによって実現される。
【0088】
本発明の別の利点は、本明細書に記載される油中水型組成物が、様々な量の脂肪含有量を特徴とする油中水型製品の調製に使用され得ることである。好ましくは、油中水型製品の脂肪含有量は、約5%〜約98%の範囲にある。
【0089】
本発明の別の利点は、疎水性成分が、通常、調製物の油/脂肪要素に局在し、したがって生きた乳酸微生物と水の接触が制限されることである。この特定の区分化(compartmentalisation)の組合せは、生きた乳酸微生物の再水和を制限し、防ぎ、又は減少させる能力を有し、したがって微生物の生存力を延ばす。
【0090】
本発明の別の利点は、油中水型製品の製造後に、生きた乳酸微生物が、この製品1g当たり約10〜10cfuの範囲にあることである。
【0091】
本発明の別の利点は、潜在的に延長した貯蔵寿命を特徴とする油中水型調製物を提供することである。製品の貯蔵寿命は、一般に、約10〜10cfu/gの範囲の生存数を示す乳酸微生物の能力によって決まる。例を挙げると、油中水型製品は、生きた乳酸微生物が製造日から約12週後に約10〜10cfu/gの範囲にあることを特徴とすることができる。
【0092】
本発明の別の利点は、油中水型エマルジョンを形成するプロセスが疎水性組合せを形成するプロセスと分離されることである。
【0093】
本発明の別の利点は、油中水型製品を混合し、場合によっては包装する前に、疎水性組合せを事前に形成された油中水型エマルジョンに加えることである。
【0094】
有利には、疎水性組合せの生きた乳酸微生物は、消費者に栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができるどんな微生物でもよい。
【0095】
本発明の別の利点では、油中水型調製物はまた、ポリデキストロース(すなわちLitesse(商標))、ペクチン、マルトデキストリンなどのプレバイオティックサプリメントを補充した油中水型エマルジョンを含んでもよい。ポリデキストロースは独特の減カロリー(1カロリー/グラム)添加物なので、減カロリー製品として分類することができる油中水型製品を形成することができる。
【0096】
本発明の別の利点は、消費したとき、油中水型製品を形成するのに適した油中水型組成物が、消費後に胃腸管の微生物バランスを向上させることができることである。
【0097】
本発明の別の利点は、消費したとき、油中水型製品を形成するのに適した油中水型組成物が、消費者にプレバイオティック効果を与えることができることである。
【0098】
本発明の別の利点は、消費したとき、油中水型製品を形成するのに適した油中水型組成物が、消費後に胃腸管の栄養バランス及び/又は微生物バランスを向上させることができることである。言い換えると、この油中水型製品は、消費者に対してシンバイオティックとして作用する能力を有する。
【0099】
有利には、製品が食品である場合、生きた微生物は、その食品が小売業者によって売りに出される通常の「販売妥当(sell-by)」期限又は「有効(expiration)」期限まで有効であり続けるべきである。好ましくは、この有効時間は、こうした期限を超えて、通常の賞味期間が終わるまで延びるべきである。有効時間及び通常の貯蔵寿命の所望の長さは、食品ごとに変わる可能性があり、この貯蔵寿命時間が、その食品のタイプ、食品調製物のサイズ、貯蔵温度、処理条件、包装材料、及び包装設備に応じて変わることを当業者なら認識するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0100】
脂肪
本明細書全体を通して、油及び脂肪という用語は互換的に使用される。
【0101】
本発明によれば、油は、消費に適したどんな油又は脂肪も包含する。
【0102】
したがって、油中水型調製物の脂肪又は油は、植物由来の脂肪、乳製品由来の脂肪、非乳製品由来の脂肪、又は合成によって生成される脂肪である、消費に適したいずれかの脂肪とすることもできる。
【0103】
脂肪又は油は、液状の脂肪若しくは油、及び/又は固形の脂肪若しくは油とすることができる。
【0104】
液体形の油又は脂肪は、植物源に由来しても、動物源に由来してもよい。脂肪の液体の植物油は、大豆油、ヒマワリ油、ヤシ油、パームナッツ油、高エルカ酸の菜種油、低エルカ酸の菜種油、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、及びそれらの混合物に由来することができる。
【0105】
液体の動物油又は脂肪は、魚油、牛脂、イワシ油、乳脂肪、及びそれらの混合物に由来することができる。
【0106】
固形の油又は脂肪は、植物源又は動物源からのトリグリセリドを含んでいてもよい。こうした植物のトリグリセリドとしては、大豆油、ヒマワリ油、ヤシ油、パームナッツ油、高エルカ酸と低エルカ酸の両方の菜種油、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0107】
動物源からのトリグリルセリドとしては、魚油、牛脂、イワシ油、乳脂肪、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0108】
乳脂肪は、そのミルクが消費に適している、乳を出すいずれの家畜動物に由来することもできる。こうした家畜動物の例としては、雌牛、水牛、ヤギ、ラマ、羊、馬、ラクダ、及びその他の反芻動物が挙げられる。
【0109】
好ましい実施形態では、雌牛の乳脂肪は、本発明の実施に際して使用される乳脂肪の適切な源を提供することができる。
【0110】
先に使用した「乳脂肪」は、クリーム、スキムミルク、セミスキムミルク、脂肪分無調整のミルク、培養バターミルク、バターミルク粉末、スキムミルク粉末、ヨーグルト、クォークチーズ(quark)、フロマージュフレ、ホエイ粉末、及びバターに由来するものでよい。
【0111】
油中水型調製物を形成するのに使用することができるその他の適切な脂肪源には、大豆やイネなどの植物に由来するものでよい「非乳脂肪」があり、或いは合成によって生成される消費に適した脂肪でもよい。
【0112】
合成によって生成される消費に適した脂肪は、水素化され、分留され、且つ/又は相互エステル化されたトリグリセリド混合物、その2種以上の混合物など、化学的改質、物理的改質、及び/又は遺伝子組換えによる製品でもよく、且つトリグリセリドの代わりに、又はトリグリセリドとの混合物として使用することができる、ワックス、例えばホホバ油、単糖類又は二糖類のポリ脂肪酸エステルなど、トリグリセリドに物理的に類似する食用物質でもよい。
【0113】
固体の脂肪含有量は、好都合には、Fette, Seifen, Anstrichmittel, 80 (1978), 180-186に記載のようにNMRでN値を測定することによって決定することができ、これは、脂肪の質量に対する百分率で表した、固体状態で存在する脂肪の量を示す。
【0114】
本発明の実施に有用なその他の脂肪は、the Encyclopedia of Chemical Technology, Volume 8, The Interscience Encyclopedia, Inc., New York, pages 800 through 808に記載されている。
【0115】
脂肪含有量が、油中水型製品中の生きた乳酸微生物のテキスチャ、フレーバー、及び安定性に対して直接影響を与えるということを当業者なら理解するであろう。
【0116】
こうした性質に影響を及ぼす脂肪の2つの特質は、固体脂指数(SFI)、及び使用される脂肪の結晶構造であることが示唆されている。通常、本明細書に記載される油中水型製品は、所望のSFIを生じるために少なくとも2種の異なる脂肪からなるものでよい。複数の脂肪を使用すると、最終油中水型製品中の微生物の結晶構造を、したがって生存を安定化させるのにも役立つ。
【0117】

既に述べたように、本発明は、油中水型エマルジョンと、生きた乳酸微生物を連続油相中に含む疎水性組合せとを有する油中水型調製物に関する。油中水型エマルジョンを形成してから、生きた乳酸微生物を疎水性媒体中に含む疎水性組合せをその油中水型エマルジョンに加える。
【0118】
2種の物質、すなわち水及び油は、一般には混ざらないが、固形脂肪は、混ぜるために十分に過剰な固形脂肪があれば、混合物が厳密に言って混合物の形でない場合であっても、水を懸濁状態に保つ。したがって、油を例えば約45%を超える範囲で含むことができる従来の油中水型調製物では、脂肪は十分過剰に存在し、したがってその混合製品はあらゆる商用目的で安定になる。
【0119】
しかし、別の極端な場合では、油を例えば約45%未満しか含まない低脂肪の油中水型製品中では水の割合が相対的により多いので、両者が適切に分散しない限り、混合物は不安定になる。水中に脂肪を均一に分散させるには、とりわけ高圧及び引掻き(scraping)を使用する特定の装置が用いられる。こうした装置には、Votator(商標)やDiacoolerなどの管状表面熱交換器(SSHE)があるが、それだけに限らない。
【0120】
一般に、分散した水相の平均水滴サイズは、約1〜60μmであるが、それより大きくても小さくてもよい。好ましくは、水滴サイズは、約1〜約30の範囲である。
【0121】
本明細書で言う平均水滴サイズは、水滴サイズ分布の体積加重平均である。これは、参照により本明細書に組み込まれるJ.Colloid and Interface Science 140, (1990), pp. 105-113及び米国特許第5,302,408号に記載される手順に従ってNMRにより決定することができる。
【0122】
こうした水滴サイズにすると、口中で十分なフレーバーの放出を得ることができる。
【0123】
特定の理論に拘泥するものではないが、微生物がプロバイオティック製品(例えば油中水型製品)中で長期間生きたままでいることができるのは、微生物が、脂肪小滴のすぐ近傍又はその内部に局在している(すなわち離散している)ことと示唆されている。こうした局在により、微生物の再水和が著しく制限され、又は妨げられ、それによってこの微生物の生存力が延びる。好ましくは、油中水型組成物の乳酸微生物は、油中水型製品の製造日から最高12週間生きたままである。
【0124】
小滴の平均サイズは、一般に、調製中の諸条件を調整することによって変えることができる。例えば、Votator(商標)装置を使用してスプレッドを調製する場合、例えば、例えばローター速度を上げ、又はブレードの数を増加させることによって加わる剪断力を増大させることにより、或いは環(annulus)を減少させることによって、小滴の平均サイズを縮小させることができる。
【0125】
油中水型エマルジョンの混合
本発明による油中水型組成物の油中水型エマルジョンの形成は、油中水型の相関係を形成するのに有利な条件下で脂肪と水を混合するステップを含み、この条件は、本開示に照らせば関連分野の当業者によって最小限の実験により容易に決定することができる。
【0126】
例を挙げると、乳化剤の存在下で水と油の混合物を乳化する方法が提供される。この方法では、この水が溶融脂肪の温度とほぼ等しい温度に加熱される。水を事前に加熱すると、この混合物の所望の乳化を促進することに加えて、脂肪結晶群(population)の上述の調整に必要とされる熱力学的プロセスが過度に妨害されないことが保証される。水は、32℃〜39.5℃(好ましくは33℃〜37℃)に加熱する。混合物の温度が約40℃を超える場合、例えば脂肪結晶群を熱的に調整することに伴う利益が失われるだけでなく、転相も起こる恐れがあり、これを考慮に入れるように混合物への水の熱寄与を調整すべきであることに留意されたい。
【0127】
次いで、2種の成分、すなわち水及び油又は脂肪を、水が初期のエマルジョンの転相を開始するのに十分な局所濃度に決してならないような形で水を油に導入することによって、連続攪拌下で混合する。水を油中に遅い速度で添加し、噴霧(高圧)すると、乳化プロセスの最初に水が局在化するのを最小限に抑える助けとなる。
【0128】
分散相を、混合を助ける乳化剤固有の能力及び/又は、もしあれば、追加の能力(すなわち、界面を安定化させ続けるのに必要なように界面の表面積を増加させる乳化剤の能力)の限界に近付く点にまで分割し細分割することができる。
【0129】
例を挙げると、上述の均一な分散を実現するために、とりわけ高圧を使用する特定の装置を用いることができる。こうした装置には、Votator(商標)やDiacooler(商標)の管状表面熱交換器(SSHE)があるが、それだけに限らない。
【0130】
ピーナッツバター分散液の混合
本発明の一態様では、ピーナッツバターが消費者に対して栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができるように、プロバイオティックを含むピーナッツバターが提供される。
【0131】
本発明の別の態様では、分散液を不活性な疎水性成分と混合することを含む、プロバイオティック製品を形成する方法であって、前記疎水性成分は、プロバイオティックが混合製品中で前記分散液とは離散状態に保たれるように、疎水性媒体中にプロバイオティックを含み、このプロバイオティック製品がピーナッツバター製品である、方法が提供される。
【0132】
こうした分散液の形成は、ピーナッツバターペーストを加熱し、場合によっては、砂糖、塩、乳化剤、及び/又はその他の成分を添加するステップを含む。次いで、このピーナッツバターを冷却し、本発明の疎水性成分と混合する。
【0133】
ピーナッツバターが冷えるにつれて、分散液はより安定になり、完成製品中の液体油が分離する可能性はより小さくなる。しかし、温度が低くなるにつれて、分散液の粘度が増大し、そのため疎水性成分の混合及び包装中の製品の取扱いはより困難になる。したがって、粘度と安定性の間のバランスを実現しなければならない。ピーナッツバターを冷却する温度範囲は、使用する乳化剤など、ピーナッツバターの組成、及び包装中に望まれる粘度に依存することを当業者なら理解するであろう。
【0134】
ピーナッツバターと疎水性成分が混合される温度は、プロバイオティックが生きるのに最適な温度であることが好ましい。好ましくは、この温度は40℃を超えず、好ましくは、この温度は37℃を超えない。より好ましくは、ピーナッツバターと疎水性成分が混合される温度は、25〜40℃であり、好ましくは30〜37℃である。
【0135】
疎水性媒体
本発明の方法によって形成されるプロバイオティック製品は、疎水性成分によって分散液に導入されたプロバイオティックを含む、すなわち、プロバイオティックは、疎水性媒体中に存在する。
【0136】
好ましくは、疎水性媒体は、油相であり、より好ましくは連続油相である。
【0137】
本発明のプロバイオティック組成物の連続油相成分を、前述の事前に形成された分散液に添加し、次いで混合し、次いで、場合によっては、プロバイオティック調製物を包装する。
【0138】
好ましくは、この連続油相は、消費に適したものである。
【0139】
好ましくは、この連続油相は、液体油及びトリグリセリドを含み、このトリグリセリドはまた、モノエステルを含む。したがって、生きた乳酸微生物がその中に再分配され、且つ/又は再懸濁される連続油相は、液体油要素及び固形油要素又は硬質油要素を含む。
【0140】
好ましくは、疎水性組合せの液体油要素は、植物、動物、又は合成に由来するものである。
【0141】
好ましくは、液体油は、多価不飽和及び/又はモノ不飽和である。
【0142】
疎水性組合せのトリグリセリド要素は、ヨウ素価が約2〜約35である。当業者は、ヨウ素価が、一般に脂肪酸の飽和レベルを表すのに使用されることを承知しているであろう。
【0143】
好ましくは、連続油相のトリグリセリドは、脂肪酸モノエステルを含む完全に水素化されたトリグリセリドである。例を挙げると、疎水性組合せのトリグリセリド及びモノエステルは、Grindsted(商標)から供給されるものでよい。
【0144】
連続油相の粘度及び細胞密度が、用途及び/又は適用様式及び/又は投与様式に応じて変調される可能性があることは、本発明の範囲内である。
【0145】
本明細書では、「変調する(modulate)」という用語は、油中水型組成物の特定の成分レベルに影響を及ぼすこと、それを変えること、調整すること、増加させること、減少させること、或いは一般的に調節又は改変できることを意味する。
【0146】
したがって、トリグリセリドに添加される微生物の比を調整することによって、連続油相中の生きた乳酸微生物の希釈度を変調することが可能である。
【0147】
その代わりに又はそれに加えて、トリグリセリドの飽和及び不飽和レベルを調整することによって、生きた乳酸微生物の希釈度を変調することができる。
【0148】
その代わりに、又はそれに加えて、モノエステルの含有量を調整することによって、生きた乳酸微生物の希釈度を変調することができる。
【0149】
好ましくは、連続油相中の液体油の量は、約95%〜約98%、好ましくは約95.5%〜約97.5%、好ましくは約96%〜約97%の範囲にある。最も好ましくは、液体油は約98%である。
【0150】
好ましくは、疎水性組合せの連続油相中の完全に飽和した又は部分的に飽和したトリグリセリドの量は、約1.5%〜約5%、好ましくは約2%〜約4%、好ましくは約2.5%〜約3.5%を占める。好ましくは、疎水性組合せの連続油相の部分的に飽和した又は完全に飽和したトリグリセリド成分は、約2%である。前述のようにトリグリセリドは、完全に飽和していても、部分的に飽和していてもよい。
【0151】
好ましくは、疎水性組合せの連続油相の部分的に飽和した又は完全に飽和したトリグリセリドの脂肪酸モノエステル成分の量は、約5%〜約15%の範囲にある。好ましくは、モノエステルの量は、約6%〜約12%の範囲にある。好ましくは約7%〜約10%である。
【0152】
最も好ましくは、疎水性組合せの連続油相中の部分的に飽和した又は完全に飽和したトリグリセリドの脂肪酸モノエステル成分の量は、約10%である。
【0153】
好ましくは、疎水性成分は、水分活性(a)が0.2未満である。ただし、水分活性とは、相対湿度を100で割った値に相当する水分含有量の測度である。
【0154】
組合せのインサイチュー調製
本発明の一態様によれば、連続油相中に生きた乳酸微生物を含む疎水性組合せは、インサイチューで生成される。
【0155】
この連続油相は、最初に、液体油とモノエステルを含むトリグリセリドとを、トリグリセリド及びモノエステルの融点を少なくとも約10℃超える温度に加熱することによって形成される。最初に、トリグリセリド1部及び液体油5部を、約70℃〜約85℃の範囲の温度に加熱する。好ましくは、約72℃〜約82℃の温度。好ましくは、約75℃〜約80℃。好ましくは、液体油及び硬質形状物を溶融する温度は、約80℃である。トリグリセリドが完全に溶融した後、液体油の残りを連続油相に加える。
【0156】
特定の理論に拘泥するものではないが、溶融した連続油相を冷却すると、周囲温度で結晶型の網目状物が形成される。この段階で、凍結乾燥又は噴霧乾燥又は冷凍乾燥した生きた乳酸微生物培養物を連続油相に加え、それを均一になるまで穏やかに混合する。生きた乳酸微生物の均質な連続油相中懸濁液を得るために、結晶構造を徐々に破壊して、均等に分布した生きた乳酸微生物を含む連続油相を形成する。
【0157】
好ましくは、冷却された連続油相の温度は、乳酸微生物の生存力に悪影響を及ぼさない。
【0158】
好ましくは、生きた乳酸生物と連続油相の混合は、乳酸微生物の生存力を危うくし、又はその他の形で損なう恐れがある激しい物理的操作を含まない。
【0159】
連続油相中に生きた乳酸微生物を含む、このように形成された疎水性組合せを、後の使用のために包装し貯蔵することができる。
【0160】
或いは、本明細書に記載される油中水型製品を生成するために、疎水性組合せを、事前に形成した油中水型懸濁液に加えることもできる。
【0161】
プロバイオティック製品の調製
油中水型エマルジョンを、ここでは分散液の例として使用する。しかし、他の分散液を油中水型エマルジョンと互換的に使用することができることを当業者なら理解するであろう。
【0162】
好ましくは、疎水性成分と油中水型エマルジョンの混合は、プロバイオティックの生存力を危うくし、又はその他の形で損なう恐れがある激しい操作を含まない。
【0163】
好ましくは、疎水性成分及び油中水型エマルジョンを、均一になるまで混合する。好ましくは、油中水型エマルジョンと疎水性成分を混合することによって加えられる剪断力の継続期間及び強さを最小限に抑える。
【0164】
好ましくは、攪拌速度は、約50rpmより大きく、より好ましくは50〜1000rpm、より好ましくは約100rpmである。
【0165】
好ましくは、油中水型エマルジョンと疎水性成分が混合される温度は、プロバイオティックが生きるのに最適なものである。好ましくは、この温度は約40℃を超えず、好ましくは、この温度は、5〜40℃、より好ましくは10〜25℃である。
【0166】
微生物
「微生物」という用語は、様々な微生物を包含し、正常な成長及び発育能力がある単細胞でも多細胞でもよい微視的生物を意味する。
【0167】
本発明で使用するのに適した微生物には、細菌、カビ、及び/又は酵母がある。
【0168】
微生物は、天然に存在する微生物でもよく、或いは形質転換された微生物でもよい。微生物はまた、適切な微生物の組合せでもよい。
【0169】
添付の特許請求の範囲を含めた本明細書中で、1種の微生物又は1種の抗微生物剤との言及がなされる場合、こうした言及は、本文中に特に別段の記載がない限り、1種若しくは複数の微生物、又は1種若しくは複数の抗微生物剤、及びそれらの混合物を含むことを意味することを理解されたい。
【0170】
好ましくは、微生物は乳酸菌(LAB)である。好ましくは、LABは、正常な成長及び発育能力があるものである。
【0171】
場合によっては、LABは、遺伝子技術など様々な技術によって形質転換されたものでもよい。
【0172】
本明細書では、形質転換されたという用語は、組換え微生物を包含する。「組換え微生物」という用語は、外来遺伝子をコードしている組換え塩基配列を有する微生物を意味する。形質転換されたLABはまた、例えば、炭素源として様々な酵素基質を利用する能力、様々な温度範囲で発酵を行う能力を有し、バクテリオファージの攻撃に対する耐性を示し、親LABに比べて、腸管内での再水和の後に複製をより速く行う能力をもつ。有利には、組換え微生物は、消費者の腸管内で腸の下部に向かう経路中で出会う低いpH値に対する増大した耐性を有することができることがある。
【0173】
好ましい態様では、微生物は、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、カルノバクテリウム属、プロピオニバクテリウム属、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチラス属、それらの組合せなどの乳酸細菌各属からなる群から選択することができる。
【0174】
好ましくは、本発明の微生物は、ビフィドバクテリウム属及び/又はラクトバチラス属からの細菌でよい。
【0175】
好ましくは、本発明の微生物は、以下の微生物、すなわち、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アニマーリスのうちの1種又は複数でよい。
【0176】
適切には、本発明の微生物は、ビフィドバクテリウムsp.420である。
【0177】
疑念を避けるために言っておくと、ビフィドバクテリウムsp.420の分類名は、ビフィドバクテリウム・ラクティス420である。本明細書では、これらの用語は互換的に使用される。
【0178】
腸管全体で、約1014個の細菌細胞を含む。腸の内容物1グラム当たり10〜10個の最小細胞数で細菌の生理的効果が観察されることが報告されている。したがって、プロバイオティックの濃度は消費される1日用量の平均によって決まり、後者は、貯蔵寿命の最終日に利用可能な生きたプロバイオティクス微生物の数に直接依存する。
【0179】
本発明によれば、油中水型調製物は、生きた乳酸微生物が製造日から約12週後に10〜10cfu/gの範囲にあることを特徴とすることができる。
【0180】
好ましくは、生きた乳酸微生物は、本明細書に記載される疎水性組合せの連続油相に粉末の形で添加される。この生きた乳酸微生物は、上述の乳酸微生物の凍結乾燥された培養物でも、冷凍乾燥された培養物でも、噴霧乾燥された培養物でもよい。
【0181】
有利なことに、生きた乳酸微生物を連続油相に粉末の形で添加すると、油相中でのより速くより均一な再分配が促進される。
【0182】
調製
プロバイオティック組成物から、又は本発明の方法によって調製されることから利益を得ることができるどんなプロバイオティック調製物(例えば油中水型調製物)も、本発明で使用することができる。これには、植物性のプロバイオティック食品、プロバイオティック乳酪食品、スプレッドなど乳酪食品由来の製品、化粧品、及び医薬品が含まれるが、それだけには限らない。好ましくは、プロバイオティック調製物は、植物性の油中水型食品、プロバイオティック乳酪食品、スプレッドなど乳酪食品由来の製品、化粧品、及び医薬品である。
【0183】
こうした製品の脂肪含有量が、約5wt%〜98wt%の範囲にあってよいことも、本発明の範囲内である。
【0184】
好ましい一態様では、プロバイオティック調製物はピーナッツバターである。
【0185】
上記のように、スプレッドは塗り拡げ可能な食用油製品である。これは、油中水型エマルジョンの形の、食用油及び水からなる。スプレッドの例には、バター、マーガリン、及び低脂肪スプレッドがある。
【0186】
例を挙げると、本明細書に記載される組成物はさらに、アメリカンチーズソース、粉チーズ及び細断チーズ用の固結防止剤、チップディップ、クリームチーズ、乾燥混合(dry blend)したホイップをトッピングした無脂肪サワークリーム、冷凍/解凍の生ホイップクリーム、冷凍/解凍のホイップチッピング(tipping)、低脂肪及び低カロリーのナチュラルチェダーチーズ、低脂肪スイス式ヨーグルト、炭酸フローズンデザート、ハードパック(hard pack)のアイスクリーム、ラベルが親しみやすく経済性と嗜好性が改善されたハードパックのアイスクリーム、低脂肪アイスクリーム、ソフトクリーム、バーベキューソース、チーズディップソース、カッテージチーズドレッシング、乾燥混合アルフレードソース、混合チーズソース、乾燥混合トマトソース、ピーナッツバターなどの食品中の成分として使用することができる。
【0187】
本発明はまた、本発明による油中水型組成物を別の食品成分と混合することを含む、食品又は食品成分を調製する方法を提供する。
【0188】
有利には、本発明は、本発明の油中水型組成物(及び場合によっては他の材料/成分)と接触させてあり、製品の栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができる量で使用される、油中水型組成物に関する。
【0189】
本明細書では、「接触させた(contacted)」という用語は、本発明の油中水型組成物を製品に間接又は直接に適用することを指す。使用できる適用方法の例としては、油中水型組成物を含有する材料中で製品を処理すること、油中水型組成物を製品と混合することによる直接的適用、油中水型組成物を製品表面上に噴霧すること、又は製品を油中水型組成物の調製物中に浸漬することが挙げられるが、それだけには限らない。
【0190】
本発明の製品が食品である場合、好ましくは、本発明の油中水型組成物は、この製品と混合される。
【0191】
一部の適用例では、油中水型組成物を、影響を受ける/処理される製品の表面上で又は表面にとって利用可能な状態にすることが重要である。こうすると、油中水型組成物に、以下の有利な特性、すなわち栄養上及び/又は健康上の利益の1つ又は複数を与えることが可能になる。
【0192】
本発明の組成物は、制御された量の生きた微生物を製品中に散在させ、且つ/又は製品に微生物を含浸させるように適用することができる。
【0193】
好ましい一態様では、本発明の組成物は、油中水型スプレッドの形成に使用される。
【0194】
別の好ましい一態様では、本発明の組成物は、油中水型バターの形成に使用される。
【0195】
成分
本明細書に記載されるプロバイオティック調製物を形成するのに適したプロバイオティック組成物は、香味料、矯味用砂糖(例えばラクトース)、塩、保存料、酸性化剤、ビタミン、着色料など、いくつかの随意選択の成分を含むことができる。
【0196】
好ましくは、香味料のレベルは、0.5wt%未満、例えば0.01〜0.2wt%である。好ましくは、塩(塩化ナトリウム)のレベルは、0〜4wt%、より好ましくは0.1〜3wt%、最も好ましくは0.3〜1.7wt%である。
【0197】
保存料は、好ましくは0〜4wt%、より好ましくは0.01〜1wt%、最も好ましくは0.05〜0.3wt%のレベルで組み込まれる。ソルビン酸カリウムの使用が特に好ましい。好ましい着色料は、βカロテンであり、着色料の好ましいレベルは、0〜1wt%、より好ましくは0.01〜0.2wt%である。酸性化剤は、製品のpHを所望のレベルにするために組み込むことができ、好ましくは、この製品のpHは、3〜10、より好ましくは3.5〜7である。適切な酸性化剤は、例えば乳酸又はクエン酸である。
【0198】
プロバイオティック調製物は、最適には、増粘料又は増粘料の組合せを含むことができる。増粘料が存在すると、分散剤の口当り(oral response)を改善することができる。特に好ましい増粘料はキサンである。こうした増粘料によって生成される構造は、ある程度壊れる可能性があるが、製品が急激にとても薄くなるのを防ぎ、いくらかの残留粘性を維持させて、所望の消費特徴をもたらすことができる。含めることのできる他のゲル化剤は、ゼラチン、カラゲーニン、寒天、アルギン酸塩、ゲラン(gellan)、ペクチン、ファーセレラン(furcelleran)、アミロースとアミロペクチンのゲル化用澱粉混合物、ゲル化用マルトデキストリン、及び参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5338560号に記載されるような急速ゲル化澱粉である。増粘料及びゲル化剤は、最高10wt%、好ましくは0.01〜5wt%、最も好ましくは0.01〜3wt%の量で存在することができる。
【0199】
最適な感覚刺激特性を得るために、好ましくは、油中水型調製物は、約20℃〜約45℃、より好ましくは約30℃〜約37℃の温度で溶融する連続相を有する。こうすると、口中での崩壊が促進され、油中水型製品がワックスのように感じられるのが防止される。
【0200】
プロバイオティック組成物は、最終製品の消費者による想定される用途から見て望ましいと考えられる、他の成分を含むことができる。例えば、このプロバイオティック組成物は、着色物質、例えばβカロテン、矯味(taste)化合物及び香味化合物、例えば塩化ナトリウム、又は非ゲル化乳タンパク質、保存料、例えばソルビン酸カリウム、増粘料、例えば非ゲル化澱粉及び/若しくはタンパク質、並びにゴム、例えばキサンタンガムを含むことができる。
【0201】
他の成分との組合せ
本発明のプロバイオティック組成物は、他の成分と組み合わせて使用することができる。
【0202】
場合によっては、又はさらに、本発明は、消費者に医学的又は生理的な利益を提供することができる。
【0203】
組成物に加えることができる他の適切な成分の例としては、増粘料、ゲル化剤、乳化剤、結合剤、結晶改質剤(modifier)、甘味料(人工甘味料を含む)、レオロジー改質剤、安定化剤、酸化防止剤、染料、酵素、担体、ビヒクル、賦形剤、希釈剤、潤滑剤、香味料、着色物質、懸濁化剤、崩壊剤、顆粒結合剤、コレステロール還元剤(ステロールやスタノールなど)などの1種又は複数が挙げられる。好ましくは、その他の成分には、酵母エキス及びマグネシウムイオン(Mg2+)が含まれる。これらの他の成分は、化学的及び/又は酵素的技術の使用によって調製することができ、且つ/或いはその天然の環境から単離することができる。
【0204】
本明細書では、本明細書で使用する「増粘料又はゲル化剤」という用語は、粒子、すなわち、非混和性液体、気体、又は不溶性固体の小滴の動きを遅くし、又は妨げることによって分離を防止する試剤又は物質を指す。増粘は、個々の水和分子が粘性の増加を引き起こしたときに起こり、それによってチーズ製品中での分離が遅くなる。ゲル化は、水和分子が連結して、三次元のネットワークを形成したときに起こり、このネットワークが粒子を捕捉し、それによって粒子をチーズ製品中で固定化する。
【0205】
ここで使用する「安定化剤」という用語は、製品(例えば油中水型製品)が時間と共に変化しないようにする成分、又は諸成分の組合せとして定義される。時間と共に変化するという用語は、例えば、色の変化や、製品を早く腐敗させ、又は油中水型製品の貯蔵寿命を短縮させる可能性がある生きた乳酸微生物の再水和に関して使用されることがある。
【0206】
本明細書で使用する「乳化剤」という用語は、エマルジョンの分離を防止する成分、又は諸成分の組合せ(例えば油中水型製品)を指す。エマルジョンは、2種の混和しない物質であり、一方が小滴の形で存在し、もう一方中に含まれる。小滴又は分散相が油であり、連続相が水である場合、エマルジョンは、水中油型からなることができ、或いは水が分散相で、連続相が油である場合、エマルジョンは、油中水型からなることができる。
【0207】
好ましくは、本明細書に記載されるエマルジョンは、油中水型エマルジョンである。
【0208】
乳化剤は、水に対して親和性(親水性)を有する極性基と、油に引きつけられる(親油性)非極性基を有する。これらは、2つの物質の界面で吸収され、それによってエマルジョンを安定化するように作用する界面膜を提供する。乳化剤の親水性/親油性特性は、分子の構造によって影響される。これらの特性は、親水性/親油性バランス(HLB)値によって識別される。低いHLB値は、親油性傾向がより大きいことを示し、この傾向は油中水型エマルジョンを安定化させるのに使用される。高いHLB値は、一般に水中油型エマルジョンにおいて使用される親水性の乳化剤に割り当てられる。これらの値は、単純な系から導き出される。
【0209】
本明細書に記載の方法に従って調製できる様々なタイプの油中水型製品は、しばしば乳化特性に影響を及ぼす他の成分を含むので、HLB値は、必ずしも乳化剤選択のための信頼できる指針にはならない恐れがある。
【0210】
本明細書で使用する「結晶改質剤」という用語は、脂肪又は水の結晶化に影響を及ぼす成分(例えば油中水型調製物成分)を指す。氷の結晶の安定化は、2つの理由で重要である。第1は、分離の点から製品の安定性に直接的に関係する。油中水型製品が受ける凍結/解凍サイクルが多ければ多いほど、氷の結晶はより大きくなる。こうした大きな結晶は、製品の構造を破壊する恐れがあり、細胞壁の場合のように自然に発生し、或いは「エレーション(elation)」によって生じる。
【0211】
水はもはや定位置に保持されないので、油中水型製品は解凍後に過度な滲み出し(weeping)を示す可能性があり、それによって、微生物の再水和をまねく恐れがある。さらに、冷凍状態で消費される製品の場合には、こうした大きな結晶は、望ましくないザラザラした舌触りを生じる可能性がある。
【0212】
「担体」又は「ビヒクル」は、化合物の投与に適した材料を意味し、例えば、無毒性であり、組成物のいずれの成分とも有害な形で相互作用しない、任意の液体、ゲル、溶媒、液体希釈剤、可溶化剤など、当技術分野で周知のこうした任意の材料が挙げられる。
【0213】
栄養的に許容される担体の例としては、例えば、水、塩溶液、アルコール、シリコーン、ワックス、ペトロラタム、植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、ペトロエトラル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0214】
賦形剤の例としては、微結晶性セルロース及びその他のセルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、グリシン、澱粉、乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールのうちの1種又は複数が挙げられる。
【0215】
崩壊剤の例としては、澱粉(好ましくは、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、又はタピオカ澱粉)、グリコール酸ナトリウム澱粉、クロスカルメロースナトリウム、及びいくつかの複合ケイ酸塩のうちの1種又は複数が挙げられる。
【0216】
顆粒結合剤の例としては、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、マルトース、ゼラチン、及びアラビアゴムのうちの1種又は複数が挙げられる。
【0217】
潤滑剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びタルクのうちの1種又は複数が挙げられる。
【0218】
これらの他の成分は、同時に(例えば、これらが一緒に混合物の状態にある場合、さらには様々な経路によって送達される場合でも)使用することも、順に(例えば、これらは様々な経路によって送達され得る)使用することもできる。
【0219】
好ましくは、本発明の組成物が他の任意の成分と混合されるとき、乳酸微生物は、生きたままである。
【0220】
好ましくは、本明細書に記載される乳酸微生物は、再水和された状態になり、したがって、消費者によって摂取されたとき、乳酸微生物の栄養上及び/又は健康上の利益を発揮する能力を得る。
【0221】
本明細書では、「動物又はヒトの消費に適した成分」という用語は、栄養上利益のあるもの、繊維代替物でよく、或いは消費者に対して一般に有益な効果を有してよいサプリメントとして、本発明の組成物に添加される、又は添加することのできる成分を意味する。好ましくは、この成分は、製品の貯蔵寿命及び生きた培養物の安定性を向上させることができる。
【0222】
この成分は、アルギン酸塩、キサンタン、ペクチン、ローカストビーンガム(LBG)、イヌリン、グアールガム、ガラクトオリゴ糖(GOS)、フラクトオリゴ糖(FOS)、ラクトスクロース、大豆オリゴ糖、パラチノース、イソマルトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、及びキシロオリゴ糖などのプレバイオティックとすることができる。
【0223】
好ましくは、プレバイオティックは、Litesse(商標)、ペクチン、及びマルトデキストリンからなる群から選択されるポリデキストロースとして、プロバイオティック調製物に添加される。
【0224】
本明細書では、「結合剤」という用語は、物理的反応又は化学的反応によって製品に結合する成分(例えば油中水型製品成分)、又は諸成分の組合せを指す。例を挙げると、「エレーション」中に水を吸収し、それによって結合効果がもたらされる。しかし、結合剤はまた、油などの液体を吸収し、それによって、油中水型調製物中に液体を保持することもできる。本発明のいくつかの実施形態では、結合剤は、低水調製物において使用される。
【0225】
本発明に従って使用される、連続油相中に生きた乳酸微生物を含む組合せの最適量は、製品、及び/又は製品を組成物と接触させる方法、及び/又はその意図される使用に依存する。この組成物中で使用される生きた微生物の量は、前記組成物を含有する油中水型組成物の栄養上及び/又は健康上の利益を向上させるのに有効であり且つ十分に有効なままとなるのに十分な量とすべきである。この有効な時間の長さは、少なくとも製品の利用時間まで及ぶべきである。
【0226】
好ましくは、本発明の油中水型製品は、製造日から約12週後に製品1g当たり約10〜10cfu/g含む。
【0227】
組成物の調製
本発明のプロバイオティック組成物(例えば油中水型組成物)は、本明細書で言及するタイプのインサイチュー方法によって調製することができる。この場合、適切な微生物は、その生存力を維持することができる疎水性媒体中に存在する。
【0228】
組成物の成分は、別々に調製し、次いで一緒に組み合わせて組成物を形成することができることが好ましい。
【0229】
例を挙げると、油中水型エマルジョンは、エマルジョンを形成するために水と油成分を混合することによってインサイチューで調製することができる。上述したように、乳化は、管状のかき取り表面熱交換器(SSHE)などの装置、例えば、Votator(商標)又はDiacooler(商標)を使用することによって得ることができる。インサイチュー生成された油中水型エマルジョンは、それにプロバイオティック微生物を疎水性媒体中に含む組合せを添加したとき、製品の細胞密度が約10〜10cfu/g含むような形で貯蔵することができる。
【0230】
本発明の態様の1つによれば、連続油相中に生きた乳酸微生物を含む疎水性組合せは、インサイチューで調製される(上記の疎水性組合せのインサイチュー調製を参照のこと)。
【0231】
或いは、本発明の疎水性組合せは、例えば連続油相中の組換え乳酸微生物を組み合わせることによって形成することもできる。
【0232】
上述したように、組換え微生物は、組換え塩基配列を有することができる。本明細書では、「組換え塩基」という用語は、その塩基配列が、異なる生物に由来する、すなわち、自己の塩基配列ではないことを意味する。
【0233】
本発明の別の態様によれば、生きた乳酸微生物を連続油相中に含む疎水性組合せと混合される上記の油中水型エマルジョンを提供することによって、油中水型調製物を形成することを含む方法が提供される。生きた酸の微生物を連続油相中に含む疎水性組合せの量が、例えば、疎水性組合せの細胞密度や所望の最終製品の細胞密度など、様々な要因によって決まるはずであることを当業者なら理解するだろう。最終製品が、乳酸微生物を約10〜10cfu/gの範囲で含むことが意図されている。
【0234】
油中水型エマルジョンに添加される疎水性組合せの量は、全製品の約12%〜約0.01%とすることができる。好ましくは、油中水型エマルジョンに添加される疎水性組合せの量は、約11%〜約0.05%とすることができる。好ましくは、油中水型エマルジョンに添加される疎水性組合せの量は、約10%〜約0.1%とすることができる。好ましくは、油中水型エマルジョンに添加される疎水性組合せの量は、約9%〜約0.5%とすることができる。好ましくは、油中水型エマルジョンに添加される疎水性組合せの量は、約8%〜約1%とすることができる。好ましくは、油中水型エマルジョンに添加される疎水性組合せの量は、約7.5%〜約1.5%とすることができる。好ましくは、油中水型エマルジョンに対する疎水性組合せの量は、約5%〜約2%とすることができる。
【0235】
上述したように、油中水型エマルジョンに添加される疎水性組合せの量を変えることによって、製造日から約12週後に生きた乳酸微生物をおよそ約10〜10cfu/g含む製品を得ることができる。
【0236】
好ましくは、油中水型エマルジョンを疎水性組合せと混合したとき、混合物に、激しい物理的操作又は強力な剪断処理を加えない。例を挙げると、安定した油中水型調製物を生成するために、油中水型エマルジョンと疎水性組合せの混合は、ピンワーカー(pin-worker)又は当業者に周知であるはずの類似のタイプの装置中で行う。
【0237】
場合によっては、形成された油中水型調製物を、包装することができる。
【0238】
本明細書に記載される組成物を消費に適した脂肪中で生成することによって、前記組成物を含む油中水型製品は、添加剤を含有しているとのラベル表記をする必要がなくなる。
【0239】
この組成物、又は場合によっては単離された各成分は、有利には、例えば、油中水型スプレッド、又は油中水型バター、及びその他の油中水型ベースの製品、それらの関連製品を製造するための油中水型調製物を形成するのに適した油中水型組成物に加えることができる。
【0240】
本発明の組成物を使用すると、有利なことに、消費者に対してプロバイオティック及び/又はプレバイオティック及び/又はシンバイオティック効果を与えることのできる可能性がある油中水型製品が製造されるはずである。
【0241】
取扱い及び包装
本明細書に記載のプロバイオティック調製物、特に、低脂肪の油中水型スプレッドや低脂肪の油中水型バターなどの油中水型調製物の取扱い及び包装の際には、注意を払うべきである。圧力を低下させ、又は除去することが、製品の安定性、したがって乳酸微生物の生存力に取り返しのつかない損傷を与えるのを回避する上で重要であることが分かっている。
【0242】
本明細書に記載される疎水性組合せを油中水型エマルジョンと混合した後に、ライン圧力を最小にし、又は除去することが非常に望ましいが、使用する包装装置のタイプについて幾分配慮しておかなければならない。製品を小型容器(tub)中に包装する場合、圧力は、本明細書に照らせば当業者には明白であるように、容易に最小にすることができる。
【0243】
しかし、油中水型製品上に印刷を施す場合は、商業用の印刷装置で必要とされる最小操作圧力について考慮しなければならない。
【0244】
食品
本発明の組成物又は本発明による方法によって製造される組成物は、油中水型食品として、又はその調製の際に使用することができる。ここでは、「食品」という用語は、広い意味で使用され、ヒト用の食品をも動物用の食品(すなわち飼料)をも含む。好ましくは、この食品は、ヒトの消費用である。
【0245】
この食品は、用途及び/又は適用様式及び/又は投与様式に応じて、溶液の形でもよく、或いは固形としてでもよい。
【0246】
本発明の組成物を、機能性食品などの食品として、又はその調製の際に使用する場合、栄養上許容される担体、栄養上許容される希釈剤、栄養上許容される賦形剤、栄養上許容される補助薬、栄養的に有効な成分の1種又は複数と共に使用することができる。
【0247】
好ましくは、油中水型組成物は、この組成物の全ての成分、すなわち、前記油中水型エマルジョンと、本発明の生きた乳酸微生物を連続油相中に含む疎水性組合せとを含有する油中水型製品の調製に使用され、例えば10〜1010cfuの1日用量を提供する最終製品中濃度など、適切な濃度で、例えばヨーグルト又はサラダドレッシング又はサラダソースに成分として添加することができる。好ましくは、油中水型製品の脂肪含有量は、脂肪含有量約5%〜約98%を占める。
【0248】
好ましくは、本発明の組成物を使用して形成される油中水型製品は、油中水型スプレッド又は油中水型バター、又はそれらに由来する油中水型製品である。
【0249】
食品成分
本発明のプロバイオティック組成物又は本発明による方法によって生成された組成物は、食品成分及び/又は飼料成分として使用することができる。
【0250】
本明細書では、「食品成分」又は「飼料成分」という用語は、栄養補助食品として機能性食品若しくは食料品に添加される、又は添加することができる配合物を包含する。
【0251】
この食品成分は、用途及び/又は適用様式及び/又は投与様式に応じて、溶液の形でもよく、或いは固形としてでもよい。
【0252】
食品サプリメント
本発明のプロバイオティック組成物、又は本発明による方法によって生成されるプロバイオティック組成物は、食品サプリメントとすることができ、或いは食品サプリメントに添加してもよい。
【0253】
機能性食品
本発明のプロバイオティック組成物、又は本発明による方法によって生成される組成物はまた、いかなる機能性食品とすることもでき、或いはいかなる機能性食品に添加してもよい。
【0254】
本明細書では、「機能性食品」という用語は、栄養上及び/又は健康上の利益を提供するだけでなく、消費者にさらなる有益な効果を与えることができる製品を意味する。
【0255】
したがって、機能性食品は、純粋な栄養上の効果以外の特定の機能上の、例えば医学上又は生理学上の利益を食品に与える、(本明細書に記載するような)構成成分又は成分が組み込まれた通常の食品である。
【0256】
機能性食品の法的な定義は存在しないが、当分野に興味を有する者のほとんどは、これらが特定の健康上の効果を有するとして市販される食品であるということに同意している。
【0257】
いくつかの機能性食品は、栄養補助食品である。ここでは、「栄養補助食品」という用語は、栄養上の効果及び/又は味覚満足感を提供するだけでなく、消費者に治療効果(又は他の有益な効果)を与えることもできる食品を意味する。栄養補助食品は、食品と医薬品の間の従来の境界線を超えるものである。
【0258】
調査によれば、消費者が、心臓疾患に関する機能性食品の要求に最大の重点を置いていることが示唆されている。癌の予防は、消費者が大きな関心を抱く栄養の別の側面であるが、興味深いことに、これは、消費者が自身ではほとんど制御することができないと感じている領域である。実際には、世界保険機構によれば、癌の症例の少なくとも35%が、食事に関係している。さらに、骨粗鬆症、腸の健康、及び肥満効果に関する要求も、機能性食品の購入を刺激し、市場の発展を促す可能性の高い重要な要因である。
【0259】
繊維サプリメント
別の態様では、本発明のプロバイオティック組成物、又は本発明による方法によって生成される組成物は、繊維サプリメントとして、或いは繊維サプリメントの調製の際に使用することができる。
【0260】
最初、食品の成功は、実質的に「繊維」又は後には「ふすま(bran)」という言葉にかかっていた。繊維の特定の健康属性に関する相矛盾する研究結果にもかかわらず、専門家及び消費者の間で全体的に一致していることは、ほとんどの人々が、自身の食事においてより多くの繊維を必要としていることである。繊維はさらに、減脂肪食品における吸水やバルク構築物(bulk-building)など、その機能的性質に有用であることが証明されている。
【0261】
繊維は、長年にわたり、「粗質物」、「バルク」、「ふすま」、「繊維」、「植物残渣」、「プランティクス(plantix)」、及び「利用不可能な炭水化物」を含めた、多くの名で通ってきた。今日でさえ、食物繊維についての簡潔であるが完全な定義を考案することは、単純な仕事ではない。というのは、食物繊維は、様々な科学分野間で様々に定義される多様な成分の複雑なマトリクスだからである。
【0262】
ここでは、繊維という用語は、食品に関して使用され、したがって非消化性材料と呼ばれる。具体的には、繊維は、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、ゴム、粘質物、及びリグニンからなる。
【0263】
すべての繊維源が、これらの成分をすべて含むとは限らない。実際には、それは、様々な繊維成分に観察される広範な相異なる生理的及び機能的効果をもたらす多数の潜在的な組合せである。同様に、すべての繊維源が、100%食物繊維であるとは限らない。
【0264】
Canadian Harvest社(ミネソタ州ケンブリッジ)の国内セールスマーケティングマネージャーDiane Lardiereは、「総食物繊維(TDF)は、非消化性の炭水化物として定義される」と述べている。「ふすまは、TDFがわずか40%であるが、繊維成分と考えられる」。
【0265】
したがって、本発明のプロバイオティック組成物、又は本発明による方法によって生成されるプロバイオティック組成物を、繊維サプリメントに添加することができる。
【0266】
プロバイオティック組成物を、上記に詳述される様々な従来の繊維源と組み合わせて、食事に対するサプリメントとして使用することは、本発明の範囲内である。
【0267】
成人の繊維摂取の推奨用量は、1日当たり20〜35g、又は1000カロリー消費されるごとに10〜13gであり、子供については、一般に、摂取量は、その子供の年齢又は体重に基づき、体重1kg当たり繊維0.5g(若しくは体重1ポンド当たり0.23g)であり、1日当たり繊維35gを上限とする。
【0268】
推奨される1日の繊維摂取量(1日当たり20〜35g、又は1000カロリー消費ごとに10〜13g)が実現可能であることを保証する手段を提供することもまた、本発明の範囲内である。こうした錠剤、ピル、カプセル、卵形剤(ovule)、溶液、又は懸濁液は、食事及びスナックの代わりに、特に減量計画の始めの時期に処方することができる。
【0269】
健康の観点から重要なことに、繊維の錠剤、ピル、カプセル、卵形剤、溶液、又は懸濁液が、食事と共に服用される場合、結果として生じる食後の血糖値上昇を低下させる助けとなり、満足感を高める。
【0270】
本発明のプロバイオティック組成物を、繊維飲料に組み込むこともまた、本出願の範囲内である。研究によれば、水溶性繊維は、消化の健康状態を支援する助けとなり得、また水溶性繊維の多い食事(1日当たり少なくとも25g)は、正常なコレステロールレベルを維持する助けとなり得ることが判明している。
【0271】
プロバイオティック
本発明の一態様によれば、油中水型組成物は、製品の消費後に胃腸管の微生物バランスを調節することができる油中水型製品を調製するのに使用される。言い換えれば、本発明の油中水型組成物は、プロバイオティック効果を特徴とするチーズ製品の製造に使用することができる。
【0272】
いくつかの適用例では、本発明の油中水型組成物中の生きた乳酸微生物は、胃腸管においてプロバイオティック培養物効果を発揮することができると考えられている。
【0273】
本発明の油中水型組成物にさらなるプロバイオティック培養物を添加することも、本発明の範囲内にある。
【0274】
本明細書で使用する「プロバイオティック培養物」という用語は、宿主生物の腸内微生物バランスを改善することによって、この宿主生物に有益に影響を及ぼすことができる生きた微生物を定義している。本明細書で使用する「プロバイオティック」という用語はまた、免疫系の有益な分枝(branches)を刺激し、同時に腸内の炎症反応の大部分を低減させることができる生きた微生物を包含する。この点に関して、抗癌治療並びにアレルギー及び潰瘍性大腸炎の予防のために前記プロバイオティック成分を含む本発明の組成物を使用することも企図されている。
【0275】
プロバイオティックの摂取には下限又は上限は存在しないが、製品1ml当たり少なくとも10,000個の生きた細胞があると、腸のミクロフローラ内でその微生物が競争力を得る機会を与えられることが示唆されている。
【0276】
プロバイオティックの摂取には下限又は上限は存在しないが、1日用量として少なくとも10〜1010cfu、好ましくは10〜10cfuの範囲で摂取すると、腸のミクロフローラ内でその微生物が競争力を得る機会が与えられることが示唆されている。生理的効果は、10というより低い範囲でも観察されることに留意されたいが、それが消費された製品の摂取レベルに依存することは当業者には明らかである。
【0277】
本発明の微生物がプロバイオティック効果を有する可能性があることに加えて、本組成物と一緒に含めることができる他の化合物としてプレバイオティクスを提供することも、本発明の範囲内にある。
【0278】
プレバイオティック
上述したように、プロバイオティック調製物を形成するのに適した組成物は、消費者に対してプレバイオティック効果を有する可能性がある。ここでは、プレバイオティックとは、
「結腸中の1種又は限られた数の種の細菌の増殖及び/又は活性を選択的に刺激することによって宿主に有益に影響を及ぼす非消化性の食品成分」である(Am Clin Nutrit, 2001; 73:406S-409S)。
【0279】
1件のコンセンサスレポート(van Loo et al., 1999, Br. J. Nutr., 81: 121-132)によれば、プレバイオティックの定義は、胃腸管における主にビフィズス菌又は乳酸菌の数及び/又は活性の増加である。この場合、ビフィズス菌が、潜在的に致死的なE coli 0157及びE coli H88を含めた、広範な有害細菌及び食中毒細菌と闘うのを助けることができることが知られている。さらに、ビフィズス菌は、幼児が下痢にかかるのを防ぐことができることが知られている。ラクトバチラスGGは、抗生物質起因性の下痢の治療において有用である可能性があり、また旅行者の下痢及び世界中の子供の下痢の最も共通した原因であるロタウイルス感染のいくつかの症例の治療で有効性が示されている。
【0280】
本発明の組成物のプレバイオティック成分は、大腸内での緩やかな発酵を特徴とする。こうしたプレバイオティクスは、腸ミクロフローラに対して、特に、特定の腸癌及び潰瘍性大腸炎において特に障害になりやすい腸の領域である結腸の左側において、プラスの効果を発揮することができる。
【0281】
プレバイオティックは、一般に、上部消化管で分解されない、又は吸収されない非消化性の炭水化物(オリゴ糖若しくは多糖)又は糖アルコールである。商品中で使用され、且つ本発明によれば有用である既知のプレバイオティックには、イヌリン(フラクトオリゴ糖、すなわちFOS)及びトランスガラクト−オリゴ糖(GOS又はTOS)がある。その他の適切なプレバイオティックとしては、パラチノースオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴマー、非分解性の澱粉、ラクトサッカロース、ラクツロース、ラクチトール、マルチトール、ペクチン、マルトデキストリン、ポリデキストロース(すなわちLitesse(登録商標))などが挙げられる。
【0282】
プレバイオティックは、本発明の油中水型製品と同時に投与(例えば、一緒に混合して、又は同じ経路若しくは異なる経路によって同時に送達される)してもよく、或いは順に投与(例えば、同じ経路又は異なる経路によって)してもよい。
【0283】
例えば、本発明は、油中水型エマルジョンと疎水性組合せとを含み、前記疎水性組合せが、連続油相中の生きた乳酸微生物を、プレバイオティックと共に含み、このプレバイオティックが、消費者に対して栄養上及び/又は健康上の利益を有する、油中水型調製物の使用を企図する。
【0284】
シンバイオティック
本発明はまた、本発明の組成物に加えて、組合せ中の成分として、併用するとシンバイオティクスとなるプレバイオティクスとプロバイオティクスを共に使用することを企図している。
【0285】
こうすることの目的は、新しい有益な細菌の効果と、身体特有の有益な細菌の刺激とを組み合わせることである。これらのうちのいくつかは、強力で相乗的な栄養上及び/又は健康上の効果を十分に示すことができるので、こうした混合物の開発及び消費には高い潜在的可能性が存在する。
【0286】
したがって、本発明の組成物は、特に、消費者にシンバイオティック効果を提供することができる様々な成分を含む油中水型製品を形成するように設計することができる。
【0287】
薬剤
本発明の組成物又は本発明の方法によって生成される組成物は、薬剤として、又はその調製の際に使用することができる。ここでは、「薬剤」という用語は、広い意味で使用され、ヒト用の薬剤並びに動物用の薬剤(すなわち獣医の適用)を包含する。好ましい態様では、この薬剤は、ヒトの使用向け、及び/又は畜産用である。
【0288】
薬剤は、治療目的のためのものでよく、その性質上治療用でも緩和用でも予防用でもよい。さらに薬剤は、診断目的のためのものでもよい。
【0289】
本発明の組成物は、薬剤として、又はその調製の際に使用される場合、製薬上許容される担体、製薬上許容される希釈剤、製薬上許容される賦形剤、薬剤として許容される助剤、薬剤として有効な成分の1種又は複数と共に使用することができる。
【0290】
この薬剤は、用途及び/又は適用様式及び/又は投与様式に応じて、溶液の形でもよく、或いは固形としてでもよい。
【0291】
好ましくは、例えば、本明細書に記載される組成物を含む薬剤を摂取したとき、微生物の再水和後に、生きた乳酸微生物の効果が発揮される。
【0292】
一態様では、本発明による組成物は、エアロゾルの形で、例えば気道に投与するために、例えば鼻噴霧によって投与することができる。
【0293】
別の態様では、本発明による組成物は、有利には、外側が硬質若しくは軟質で、内側が液体若しくは流体のカプセル形又は咀嚼用カプセルで投与することができる。例を挙げると、疎水性組合せを、摂取用に魚油カプセル中に組み込んでもよい。
【0294】
薬剤成分
本発明の組成物、又は本発明の方法によって生成される組成物は、薬剤成分として使用することができる。ここでは、この組成物は、唯一の活性成分でもよく、或いはいくつか(すなわち2種以上)の有効成分の少なくとも1種でもよい。
【0295】
薬剤成分は、用途及び/又は適用様式及び/又は投与様式に応じて、溶液の形でもよく、或いは固形としてでもよい。
【0296】
形状
本発明の組成物は(本発明の方法によって生成される場合の組成物も含めて)、単独で存在する場合でも、他の構成成分又は成分と組み合わせて存在する場合でも、任意の適切な形で使用することができる。同様に、本発明の組成物と、他の構成成分及び/又は成分(すなわち、食品成分、薬剤成分、機能性食品成分などの成分)を含む組合せは、任意の適切な形で使用することができる。
【0297】
本発明の組成物は、固形調製物、液状調製物、又はそれらの代替物の形で使用することができる。固形調製物の例としては、湿潤性でも、噴霧乾燥されていても、冷凍乾燥されていても、凍結乾燥されていてもよい、錠剤、カプセル、微粉(dust)、顆粒、及び粉末が挙げられるが、それだけには限らない。液状調製物の例としては、水溶液、有機溶液、水性−有機性溶液、懸濁液、及びエマルジョンが挙げられるが、それだけには限らない。好ましくは、本明細書に記載される液状調製物は、脂肪含有量が約5%〜約98%である油中水型エマルジョンを含む油中水型調製物である。
【0298】
調製物の適切な例としては、即時放出、遅延放出、調節放出、持続放出、パルス型放出、又は制御放出の適用例用の、香味料又は着色料を含んでもよい、錠剤、ピル、カプセル、卵形剤、溶液、又は懸濁液の1種又は複数が挙げられる。徐放性適用については、例えば、連続油相中に生きた乳酸微生物を含む疎水性組合せの添加を調節し、それによって最終プロバイオティック製品中の細胞の数をより強く制御することが可能になる。
【0299】
例を挙げると、本発明の組成物が、機能性成分として使用するなどのために、錠剤形で使用される場合、この錠剤はまた、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、グリシンなどの賦形剤;澱粉(好ましくはトウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、又はタピオカ澱粉)、グリコール酸ナトリウム澱粉、クロスカルメロースナトリウム、いくつかの複合ケイ酸塩などの崩壊剤;ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴムなどの顆粒結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、タルクなどの潤滑剤の1種又は複数を含むことができる。
【0300】
調製物中で使用するための栄養的に許容される担体の例としては、例えば、水、塩溶液、アルコール、シリコーン、ワックス、ペトロラタム、植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、ペトロエトラル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル−セルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0301】
調製物のための好ましい賦形剤としては、ラクトース、ショ糖、マルトース、澱粉、セルロース、乳糖、又は高分子量のポリエチレングリコールが挙げられる。
【0302】
形状にはまた、ゼラチンカプセル、ファイバーカプセル、ファイバー錠剤など、さらには繊維飲物が含まれ得る。
[実施例]
【0303】
次に、本発明を、実施例により添付の図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0304】
疎水性成分を調製する方法
生きた乳酸微生物を含む油中水型製品の形成に使用することができる実施例を記載する。図1は、連続油相中に懸濁且つ/又は再分配された生きた乳酸ビフィドバクテリウムと混合する前に調製される油中水型エマルジョンの形成を示す。
【0305】
油中水型エマルジョンは、当業者に周知のSSHE装置を使用して形成することができる。
【0306】
疎水性成分(プロバイオティック懸濁液)は、以下のように作製することができる。さらなる希釈が所望されない限り、スプレッド200kgに1リットルで十分である。
【0307】
サンプルは200gであり、したがって各200g中に0.04gが存在する。これは、「活性な」又は「生きた」材料が0.02%であることと等しい。
4% プロバイオティックビフィド種420
94% 液体油(部分的に水素化されている、又は完全に不飽和である)
2% Grindsted PS 209(その10%がモノエステル)
材料1リットル
40g プロバイオティックビフィドバクテリウムsp.420
940g 液体油
20g Grindsted PS 209(トリグリセリド及びモノエステルを含む)
【0308】
手順
1.液体油及びPS 209を80℃に加熱する(又は、PS 209(1部)+液体油(5部)の希釈を行い、80℃に加熱し、残量の液体油に加える)。
2.溶液を20℃に冷却する。ゲルが形成する。
3.攪拌/混合操作によってゲルを破壊し、プロバイオティックビフィドバクテリウム種420を加え、油中に分散させる。分散した後、混合操作を停止する。プロバイオティックは懸濁状態のままである。
4.使用に必要となるまで、5℃で貯蔵する。
【0309】
この段階で、プロバイオティック懸濁液を包装し、後の使用のために貯蔵することができる。
【0310】
懸濁液を形成するのに使用されるプロバイオティクスの用量/比は、必要なログ値、製品サイズ、及び所与のエマルジョンの供給容量をプロバイオティック懸濁液の正しい比と正確に合致させることができるかどうかに依存することに留意されたい。一例として、以下の表1を参照されたい。
【0311】
【表1】

【0312】
ログを大きくしたい場合は、単に10倍する。また、細菌とトリグリセリド懸濁液のブレンドの比を調整し、またトリグリセリドの飽和及び不飽和のレベルを調整し、さらにモノエステルの含有を調整することによって、希釈度、濃度、粘度を調整する。
【実施例2】
【0313】
油中水型調製物を調製する方法
本発明の組成物を使用した油中水型製品の生成を示す実験データを提供する。ここでは、本発明に従って使用することができるSSHE装置の概略図も示される(図2を参照)。SSHE装置は、ユニットT及びTを含む。ユニットTは、ユニットT及びT中で調製された油中水型エマルジョンと、連続油相中に生きた乳酸ビフィドバクテリウムsp.420を含む疎水性組合せとを混合するのに適したピンワーカーを表わす。
【0314】
この実験で使用される組成物は、次の成分を含む(以下の表2を参照)。
【0315】
【表2】

【0316】
表2に示した成分はすべて、連続油相中のプロバイオティック乳酸菌とは別に、ユニットTに加えた。これはSSHE装置の第1ユニットである。ユニットTに入る成分の温度は、tで示す(表3を参照)。
【0317】
SSHEのユニットTから出て、SSHEのユニットTに入る油中水型エマルジョンの温度をtとする(表3を参照)。SSHEのユニットTから出て、混合ユニットTに入る油中水型エマルジョンの温度をtとする(以下の表3を参照)。
【0318】
【表3】

【0319】
サンプル1.1では、50RPM(1分間当たりの回転数)で非常に多くの縞があり、RPMを100RPMに増大させなければならなかったことに留意されたい。
【0320】
混合ユニットTは、油中水型エマルジョンと、連続油相中に生きた乳酸微生物を含む疎水性組合せとを混合し、且つ/又は再懸濁するのに使用される。混合ユニットTは、どんな激しい物理的操作も行わない。T内で激しい物理的操作を行わないと、乳酸菌が油中水型懸濁液中に生きたままであることが可能になる。また、連続油相中に再分配された生きた細胞の、油中水型製品中で脂肪球に局在する能力が、その生存力に影響を及ぼす可能性がある。
【0321】
5℃でのサンプルの評価は、次の特性を示した。
−サンプル1.1は、軟らかく、空気を含み、少し縞があった。
−サンプル1.2は、より軟らかく、より一層縞があった。
−サンプル1.3は、かなり縞があり、軟らかかった。
−サンプル1.4は、粘度(consistency)は良好であり、縞はほんのわずかであった。
【0322】
これらの実験で使用した生きた乳酸菌は、ビフィドバクテリウムsp.420である。しかし、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって調製された他のプロバイオティック乳酸菌も、類似の方式で組み込むことができることが企図されている。
【実施例3】
【0323】
油中水型製品の調製
次に、油中水型エマルジョンにプレバイオティック成分を含まない組成物を使用した油中水型製品の製造を示す実験データを提供する。図2に示したものと同じ構成のSSHE装置を使用する。SSHE装置は、ユニットT及びTを含む。ユニットTは、ユニットT及びT中で調製された油中水型エマルジョンと、連続油相中に生きた乳酸ビフィドバクテリウムsp.420を含む疎水性組合せとを混合するのに適したピンワーカーを表わす。
【0324】
エマルジョンを形成するためにこの実験で使用した組成物は、次の成分を含む(以下の表4を参照)。
【0325】
【表4】

【0326】
表4に示すすべての成分を、ユニットTに添加した。これはSSHE装置の第1ユニットである。ユニットTに入る成分の温度は、tで示す(表5を参照)。上記の表4に示した成分が、プレバイオティック成分Litesse(商標)を組み込んでいないことに注意されたい。
【0327】
SSHEのユニットTから出て、SSHEのユニットTに入る油中水型エマルジョンの温度をtとする(表5を参照)。SSHEのユニットTから出て、混合ユニットTに入る油中水型エマルジョンの温度をtとする(以下の表5を参照)。
【0328】
【表5】

【0329】
本実験で使用される毎分回転数(RPM)は、実施例2に示される実験で使用した100RPMを超えないRPMに比べてより高かった(最高約500RPMに達した)。
【0330】
混合ユニットTは、油中水型エマルジョンと、連続油相中に生きた乳酸微生物を含む疎水性組合せとを混合し、且つ/又は再懸濁するのに使用される。混合ユニットTは、どんな激しい物理的操作も行わない。T内で激しい物理的操作を行わないと、乳酸菌が油中水型懸濁液中に生きたままであることが可能になる。また連続油相中に再分配された生きた細胞の、油中水型製品中の脂肪球に局在化できる能力が、それらの生存力に影響を及ぼす可能性がある。
【0331】
この実施例で使用した生きた乳酸菌は、0.04wt%の量のビフィドバクテリウムsp.420でもある。しかし、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって調製された他のプロバイオティック乳酸菌も、類似の方式で組み込むことができることが企図されている。
【実施例4】
【0332】
油中水型製品中のプロバイオティック微生物の生存力
乳酸菌が製品中で生きたままでいる期間を決定するために、生きた乳酸菌を含む油中水型製品を形成するのに適した組成物をテストした。
【0333】
生きた乳酸菌を含む一部の油中水型製品において、細菌の生存力が、製造日の直後に劇的に50%も低下することが報告されている。
【0334】
本発明の組成物を使用すると、長期間生きたままの生きた乳酸菌を含む安定した油中水型製品を得ることが可能であった。
【0335】
プロバイオティック油中水型スプレッド中のビフィズス菌sp.420について、新鮮なまま(fresh)、及び実施例2の方法で得られたサンプル1.1〜1.4では最高10週間、実施例3で得られたサンプル2.1〜2.4では最高2週間の分析を行う(以下の表6を参照)。
【0336】
DOM(製造日)から2週後に、細胞数のわずかな減少が観察される。
【0337】
【表6】

【0338】
【表7】

【実施例5】
【0339】
油中水型製品中のプロバイオティック微生物についてのさらなる生存力試験
実施例2の方法を使用した別の一連のテストを行った。
【0340】
サンプル1〜4は、実施例4のサンプル1.1〜1.4と同じ組成物及び方法を使用して得られた。
【0341】
本発明による方法で調製される組成物を使用すると、長期間生きたままの生きた乳酸菌を含む安定した油中水型製品を得ることが可能であった。具体的には、油中水型製品は、13週後に10〜10CFU/g含む。
【0342】
【表8】

【実施例6】
【0343】
疎水性成分中のプロバイオティックの生存力
疎水性媒体中のプロバイオティックの生存力をテストした。疎水性媒体を実施例1の方法によって調製した。
【0344】
その結果は、疎水性成分中のビフィズス菌細胞数が6カ月間安定であることを示している。
【0345】
【表9】

【実施例7】
【0346】
油中水型/水中油型製品中のプロバイオティックの生存力
サンプル1〜6を、表10(下記)の組成物及び実施例2の方法を使用して形成した。
【0347】
【表10】

【0348】
本発明による方法で調製した表10の組成物を使用すると、長期間生きたままの生きた乳酸菌を含む安定した油中水型製品及び水中油型製品を得ることが可能であった。具体的には、油中水型製品及び水中油型製品は、12週後に10〜10CFU/g含む。
【0349】
【表11】

【実施例8】
【0350】
ピーナッツバター中のプロバイオティックの生存力
精製されたピーナッツバターペーストを80℃に加熱し、砂糖、塩、及び/又は乳化剤など、その他の成分を添加することによって、サンプル1〜3を形成した(加えた特定の生成物については表12を参照のこと)。
【0351】
【表12】

【0352】
ペーストをSSHE中で約35℃に冷却し、korumaミキサーに移し、3分間真空下に置く。実験全体を通して、korumaミキサーのボトム型攪拌機を動作不能にし、ニアウォール(near wall)型攪拌機を低RPMに設定した。ピーナッツバター中のプロバイオティックの質量パーセントが0.04になるように、ピーナッツバター分散液に液体油中のビフィドバクテリウムsp.420を混合する。形成されたピーナッツバター製品を真空下に1分間置き、次いで、容器のヘッドスペースを最小にして、30℃で150g単位で包装し、貯蔵する。
【0353】
表13は、製造日から1カ月後のサンプル1〜3の生存力を示す。サンプル1a、2a、及び3aを、5℃で貯蔵し、サンプル1b、2b、及び3bを、20〜23℃で貯蔵した。
【0354】
【表13】

【0355】
表を見ると分かるように、5℃及び20〜23℃で貯蔵した製品の1カ月貯蔵後のすべてのサンプル中のビフィドバクテリウム細胞数は安定している。
【0356】
まとめ
次に、本発明を、番号を付した項目によって記載する。
1.油中水型調製物を形成するのに適した組成物であって、油中水型エマルジョンと、連続油相中に生きた乳酸微生物を含有する組合せとを含む組成物。
2.前記油中水型エマルジョンが、前記組合せとは別々に形成される、第1項に記載の組成物。
3.前記組合せが、インサイチューで形成される、第1項に記載の組成物。
4.前記連続油相が、不飽和の液体油及びトリグリセリドを含む組成物であって、好ましくは、このトリグリセリドがモノエステルをも含む、第2項に記載の組成物。
5.前記連続油相が、不飽和の液体油を約95%〜98%の範囲で、トリグリセリドを約2%〜5%の範囲で含み、前記トリグリセリドがモノエステルを少なくとも10%含む、第3項に記載の組成物。
6.前記トリグリセリドは、ヨウ素価が約2〜約35である、第4項に記載の組成物。
7.前記トリグリセリドが、完全に水素化されていても、且つ/又は水素化されていなくても、且つ/又は部分的に水素化されていてもよく、好ましくは、前記トリグリセリド(triglyceryde)が完全に水素化されている、第5項に記載の組成物。
8.生きた乳酸微生物が、連続油相に粉末の形で添加される、第1から第5項のいずれか一項に記載の組成物。
9.前記生きた乳酸微生物が、生きた乳酸菌である、第8項に記載の組成物。
10.前記プロバイオティックの生きた乳酸菌が、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、カルノバクテリウム属、プロピオニバクテリウム属、ビフィドバクテリウム属、及びラクトバチラス属からなる群から選択される、第9項に記載の組成物。
11.生きた乳酸微生物が、ビフィドバクテリウム属に属する、第10項に記載の組成物。
12.生きた乳酸微生物が、ビフィドバクテリウムsp.420に属する、第11項に記載の組成物。
13.生きた乳酸微生物が、ラクトバチラス属に属する、第10項に記載の組成物。
14.生きた乳酸微生物が、ラクトバチルス・アシドフィルスに属する、第13項に記載の組成物。
15.生きた乳酸微生物が、栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができる、第1から第14項のいずれか一項に記載の組成物。
16.油中水型エマルジョンが、約5%〜約98%の脂肪含有量を含む、第1項から第15項のいずれかに記載の組成物。
17.前記油中水型エマルジョンが、ポリデキストロースを含む、第16項に記載の組成物。
18.前記ポリデキストロースが、Litesse(商標)、ペクチン、及びマルトデキストリンからなる群から選択される、第17項に記載の組成物。
19.第1項から第18項のうちの一項に定義される組合せを含む容器。
20.前記組合せを含有する製品を消費した後に栄養を提供し胃腸管の微生物バランスを向上させる使用及び/又は使用承認を示すラベルが付いている、第19項に定義される、組合せを含む容器。
21.油中水型調製物を調製するための組成物の使用であって、前記組成物が、油中水型エマルジョンと、連続油相中に生きた乳酸微生物を含有する組合せとを含む、使用。
22.第1から第18項のいずれか一項に記載の組成物を使用して生成される、油中水型製品。
23.第1から第18項のいずれか一項に定義される組成物を含む、油中水型製品。
24.油中水型調製物は、脂肪含有量が約5%〜約98%の範囲にある、第23項に記載の油中水型製品。
25.油中水型調製物を生成する方法であって、
i)油中水型エマルジョンを形成するステップと、
ii)第1項から第18項のいずれか一項に定義される組合せを油中水型エマルジョン中に添加するステップと、
iii)i)とii)の生成物を混合して、油中水型調製物を形成するステップと、
iv)場合によっては、調製物を包装するステップとを含み、
包装された油中水型調製物が、消費者に対して栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができる、方法。
26.前記組合せを加えた後に、油中水型調製物が、細胞損傷を引き起こす恐れのある物理的操作を受けない、第25項に記載の方法。
27.乳酸微生物が、油中水型調製物中で生きたままである、第26項に記載の方法。
28.第25項から第27項のいずれか一項の方法によって得られる油中水型製品。
29.油中水型製品の油含有量が、約5wt%〜約98wt%の範囲にある、第28項に記載の油中水型製品。
30.製品の脂肪含有量が、40wt%未満である、第29項に記載の油中水型製品。
31.製品が、油中水型緩衝剤又は油中水型マーガリンである、第29項に記載の油中水型製品。
32.製造日に生きた乳酸微生物を10〜10cfu/g含む、第28項から第31項のいずれか一項に記載の油中水型製品。
33.製造日から約12週後に約10〜10cfu/g含む、第32項に記載の油中水型製品。
34.消費者に対して栄養上及び/又は健康上の利益を与えることができる、第28項から第33項のいずれか一項に記載の油中水型製品。
35.前記製品はプロバイオティック効果及び/又はプレバイオティック効果及び/又はシンバイオティック効果を与えることができる、第28項から第34項のいずれか一項に記載の油中水型製品。
36.油中水型製品を含む容器であって、前記製品が、第28項から第35項のいずれか一項に記載の製品である、油中水型製品を含む容器。
37.油中水型製品を含む容器であって、前記製品が、第28項から第35項のいずれか一項に記載の製品であり、前記容器が、前記製品を消費した後に、胃腸管の栄養及び微生物のバランスを向上させる使用及び/又は使用承認を示すラベルが付いている、容器。
38.栄養上及び/又は健康上の利益を与えるための、第25項から第27項のいずれか一項の方法によって得られる、第1項から第18項のいずれか一項に記載の組成物、第22項から第24項のいずれか一項に記載の油中水型調製物、又は第28項から第35項のいずれか一項に記載の油中水型製品の、使用。
39.組合せのインサイチュー生成プロセスであって、
i)生きた乳酸微生物を提供するステップと、
ii)不飽和の液体油と、モノエステルをも有するトリグリセリドとを含む連続油相を提供するステップと、
iii)ステップi)とii)の生成物を混合して、連続油相中に生きた乳酸微生物を生成するステップとを含む、プロセス。
40.乳酸菌が、粉末の形で連続油相に添加される、第39項に記載のプロセス。
41.生きた乳酸菌が、ビフィドバクテリウム及び/又はラクトバチラスでよい、第40項に記載のプロセス。
42.実質的に本明細書に記載される油中水型製品、方法、プロセス、又は使用。
【0357】
本文書で言及される参照、特許出願、及び特許の各々、並びに本明細書に引用され、又は言及されるいずれかの製品用のいずれの製造者の指示書又はカタログも、参照により本明細書に組み込まれる。
【0358】
本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載された方法及びシステムの種々の改変及び変更は、当業者には明らかであろう。本発明を、特定の好ましい実施形態に関して説明してきたが、特許請求の範囲に記載される本発明がこうした特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、化学及び食品科学又は関連分野の当業者には自明である、本発明を実施するためのここに記載した形態の種々の改変は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0359】
【図1】油中水型エマルジョン中に冷凍乾燥されたビフィズス菌を液体油懸濁液状態で組み込んだ図である。
【図2】油中水型製品を形成するのに適したSSHE装置及びピンワーカーを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性成分を油中水型エマルジョンと混合して油中水型製品を形成するステップを含む、油中水型製品を製造する方法であって、
前記疎水性成分が、疎水性媒体中にプロバイオティックを含む方法。
【請求項2】
プロバイオティックが、ラクトコッカス、ストレプトコッカス、ペディオコッカス、エンテロコッカス、ロイコノストック、カルノバクテリウム、プロピオニバクテリウム、ラクトバチラス、及びビフィドバクテリウムからなる群から選択される生きた微生物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微生物が、ビフィドバクテリウム及び/又はラクトバチラスである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
微生物が、ビフィドバクテリウムsp.420及び/又はラクトバチルス・アシドフィルスである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
疎水性媒体が、油相、好ましくは連続油相である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
疎水性媒体が、不飽和の液体油及びトリグリセリドを含む方法であって、好ましくは、前記トリグリセリドがモノエステルをも含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プロバイオティックが、乾燥形で、好ましくは粉末の形で疎水性媒体に添加される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
疎水性成分を混合した後に、細胞損傷を引き起こす恐れのある物理的操作を油中水型製品に施さない、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
油中水型製品がさらに、プレバイオティックを含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
分散液を不活性な疎水性成分と混合することを含むプロバイオティック製品を調製する方法であって、プロバイオティックが混合製品中で前記分散液とは離散状態に保たれるように、前記疎水性成分が疎水性媒体中のプロバイオティックを含む方法。
【請求項11】
分散液が、エマルジョンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
エマルジョンが、油中水型エマルジョンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロバイオティック製品が、ピーナッツバターである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかの方法によって製造される製品。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかの方法によって製造される製品の使用によって得られる製品。
【請求項16】
ピーナッツバター及びプロバイオティックを含む製品。
【請求項17】
包装された、請求項11から13のいずれか一項に記載の製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−529214(P2007−529214A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503417(P2007−503417)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001041
【国際公開番号】WO2005/089564
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(397060588)ダニスコ エイ/エス (67)
【Fターム(参考)】