ショートパッチアンテナ装置の製造方法
【課題】 簡易な構造であっても、金型を用いた封止により、樹脂(誘電体)による小型化が可能であるショートパッチアンテナ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1凹部を有し、その縁に同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程の前に、第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面を、第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面を載置し、第1窪み部に同軸線路を、第2窪み部に同軸線路を載置する載置工程と、金型型締め工程の後に、第1金型と第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備える。
【解決手段】 第1凹部を有し、その縁に同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程の前に、第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面を、第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面を載置し、第1窪み部に同軸線路を、第2窪み部に同軸線路を載置する載置工程と、金型型締め工程の後に、第1金型と第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射導体と接地導体とを短絡させることにより、放射導体が使用周波数の1/4波長で共振して電波を送受信することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用周波数の1/2波長で放射導体(パッチ)が共振するパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)を小型化するために、放射導体と接地導体とを短絡させて使用周波数の1/4波長で放射導体(パッチ)を共振させる手法を用いたショートパッチアンテナがある(例えば、非特許文献1参照)。このショートパッチアンテナは、パッチアンテナと比較して、放射導体の一辺の寸法を1/2以下にすることも可能であることが、従来から知られている。
【0003】
ショートパッチアンテナには、特許文献1に記載のようにマイクロストリップ線路によって給電を行うもの、特許文献2に記載のように同軸線路によって給電を行うものなどがある。また、ショートパッチアンテナの構造は、誘電体基板に導体層を形成したものや(例えば、特許文献1の図1や図3参照)、一枚の金属板を折り曲げて形成するもの(例えば、特許文献2の図1〜7、図10参照)などが代表的なものとして挙げられる。
【0004】
ショートパッチアンテナには、ケース内に内蔵して使用されるものがある。例えば、特許文献2の図11〜16には、アンテナ200(アンテナ素子)をレドーム300,301に内蔵したショートパッチアンテナやそれに関連するものが記載されている。また、一般的に、ケース内に基板などの電子部品を配置して樹脂で封止する技術(例えば、特許文献3)や、ケースを用いずに、金型内に樹脂を注入して、基板などの電子部品を封止する技術がある(例えば、特許文献4及び5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−222940号公報
【特許文献2】特表2002−530908号公報
【特許文献3】特開平7−86085号公報
【特許文献4】特開平11−138585号公報
【特許文献5】特開2010−89429号公報
【0006】
【非特許文献1】小型・平面アンテナ 羽石操、平澤一紘、鈴木康夫共著 電子情報通信学会刊 1996年(133頁〜139頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
UHF帯やマイクロ帯のRFID(Radio_Frequency_IDentification)リーダライタ用のアンテナなどの無線通信装置に使用する送受信アンテナとしてパッチアンテナが使用される場合が多い。近年、入退場システムや工場の工程管理システムなどに、RFIDシステムが適用される場面が増えてきているが、アンテナを設置する場所が大きく制限されることが少なくない。このようなアンテナの設置場所の制限から、アンテナの小型化が必要となってきている。
【0008】
しかし、従来のショートパッチアンテナには、構造が複雑になってしまう、放射導体と接地導体との短絡から得られる放射導体の小型化では対応しきれないことがあるなどの種々の課題がある。
【0009】
特許文献1の図1のように、誘電体基板を用いたショートパッチアンテナでは、誘電体基板の比誘電率に応じた波長短縮効果があるので、放射導体を小型化することができるが、短絡導体にスルーホールを用いると構造が複雑になるという課題もある。さらに、スルーホールに代えて、誘電体基板の側面に短絡導体のパターンを形成することも困難であるという課題もある。また、特許文献1の図3のように、ショートパッチ(放射導体と短絡導体)のみを金属板(板金)で構成する場合は、アンテナ全体の厚みが厚くなるという課題やアンテナの構造が複雑になってしまうという課題がある。
【0010】
次に、特許文献2のように、ショートパッチアンテナのアンテナ素子を一枚の金属板を折り曲げて形成する場合は、金属板の厚みを厚いものを選択することにより、短絡方向の電流成分を増やして、交差偏波に寄与する電流成分を大きくすることができるが、アンテナ素子が金属板で構成されているので、耐衝撃性が弱いという課題がある。また、特許文献2に記載のショートパッチアンテナは、レドームを有する構成なので、アンテナの外寸が大きくなってしまうという課題もある。
【0011】
特許文献2に記載のようなコ字状のアンテナ素子を有するショートパッチアンテナを小型化するためには、アンテナ素子の周囲に樹脂で封止することで、特許文献1に記載のような誘電体基板と同様に、波長短縮効果が得られるので、アンテナ素子を小型化することが可能である。しかし、ケース内に基板などの電子部品を配置して樹脂を流し込む封止手法(特許文献3の図3及び4)では、固化時の樹脂の収縮によるアンテナ素子への圧力が掛かることを考慮しないといけないだけでなく、樹脂の収縮によりケースが変形する可能性があるので、ケースに使用できる材料や選択できるケースの形状・肉厚に大きな制限が掛かってしまうという課題がある。特に、ケースに充填する樹脂に熱硬化樹脂を選定した場合、硬化温度はケースの耐熱温度以下の樹脂とせねばならず、課題が顕著となる。また、ケースに充填する樹脂が自然硬化又は熱硬化する樹脂を選定しなければならず、電気特性に対する自由度が低く、硬化する時間が掛かるため製造時間が長くなってしまうという課題もある。
【0012】
なお、特許文献4及び5に記載のように、ケースを用いずに、金型内に樹脂を注入して、封止する手法では、金型内のキャビティの圧力を減圧したり、固化後の樹脂の収縮を考慮した圧を掛けて樹脂をキャビティに注入したりすることで、樹脂の収縮によるアンテナ素子への圧力を減じることは可能であるが、特許文献4及び5にはショートパッチアンテナのアンテナ素子や同軸線路などの給電線路を封止することに関する記載はない。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、簡易な構造であっても、金型を用いた封止により、樹脂(誘電体)による小型化が可能であるショートパッチアンテナ装置を得るための新規なショートパッチアンテナ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に挿入された内導体と前記放射導体面とが電気的に接続され、外導体と前記接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備したショートパッチアンテナ装置の製造方法であって、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路を載置する工程であって、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を載置する第1載置工程と、前記第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路とを載置する工程であって、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する第2載置工程と、前記第1載置工程及び前記第2載置工程の後に、前記第1金型と前記第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に挿入された内導体と前記放射導体面とが電気的に接続され、外導体と前記接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備したショートパッチアンテナ装置の製造方法であって、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の前に、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する載置工程と、前記金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、導体板をコ字状に折り曲げ、前記導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子を形成する折曲工程と、内導体と外導体とを有する同軸線路を前記アンテナ素子と電気的に接続する工程であって、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に前記同軸線路を挿入して、前記同軸線路の内導体と前記放射導体面とを電気的に接続し、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続する同軸線路取付工程と、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路を載置する工程であって、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を載置する第1載置工程と、前記第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路とを載置する工程であって、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する第2載置工程と、前記第1載置工程及び前記第2載置工程の後に、前記第1金型と前記第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項4の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、導体板をコ字状に折り曲げ、前記導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子を形成する折曲工程と、内導体と外導体とを有する同軸線路を前記アンテナ素子と電気的に接続する工程であって、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に前記同軸線路を挿入して、前記同軸線路の内導体と前記放射導体面とを電気的に接続し、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続する同軸線路取付工程と、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の前に、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する載置工程と、前記金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項5の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記同軸線路取付工程が、前記短絡側面と前記接地導体面とが接する辺以外の前記接地導体面の辺と連続する外導体載置部に前記同軸線路の外導体を接触させて、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続するものである請求項3又は4に記載のものである。
【0019】
請求項6の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記折曲工程が、前記導体板に、U字状の切り欠き部を形成する導体板加工工程と、前記U字状の切り欠き部を開口部に変換するように前記導体板の前記U字状の切り欠き部における二股部分の先端部分を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記U字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域を別の平面にする第1の折曲工程と、前記導体板の前記U字状の切り欠き部又は前記開口部に対して前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域、及び、前記開口部が形成された前記導体板の領域以外の前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域を別の平面にする第2の折曲工程とを行い、前記第2の折曲工程で折り曲げられ、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域と別の平面となった前記開口部が形成された前記導体板の領域以外の前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域、及び、前記第1の折曲工程で折り曲げられ、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域と別の平面となった前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記U字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域を対向させるものである請求項3又は4に記載のものである。
【0020】
請求項7の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記折曲工程が、前記導体板に、U字状の切り欠き部、及び、このU字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域に対して反対の領域であって、前記導体板の辺が切り欠かれたスリット部を形成する導体板加工工程と、前記U字状の切り欠き部を開口部に変換するように前記導体板の前記U字状の切り欠き部における二股部分の先端部分を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域を別の平面にする第1の折曲工程と、前記導体板の前記U字状の切り欠き部又は前記開口部と前記スリット部との間の領域を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域、及び、前記スリット部が形成された前記導体板の領域を別の平面にする第2の折曲工程とを行い、前記スリット部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域を対向させるものである請求項3又は4に記載のものである。
【0021】
請求項8の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記同軸線路取付工程が、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域に連続して、前記開口部と接する部分から延びた領域を外導体載置部とし、外導体を電気的に接続し、前記開口部を介して内導体を延ばして前記スリット部が形成された前記導体板の領域へ電気的に接続し、前記導体板に前記同軸線路を固定するものである請求項7に記載のものである。
【0022】
請求項9の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記樹脂注入工程の後に、前記スリット部の寸法を変更するスリット調整工程を備えた請求項8に記載のものである。
【0023】
請求項10の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記樹脂注入工程が、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における前記開口部に対向する位置に形成された注入口から樹脂を注入するものである請求項6〜9のいずれかに記載のものである。
【0024】
請求項11の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子を、前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部の少なくとも一方に対して、誘電体板を介して載置するものである請求項1〜10のいずれかに記載のものである。
【0025】
請求項12の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子を、前記第1凹部の底部に対して、誘電体板を介して載置し、前記アンテナ素子と前記誘電体板との間に前記同軸線路を配置するものである請求項1〜10に記載のものである。
【0026】
請求項13の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記誘電体板に形成された窪みに前記同軸線路を配置するものである請求項12に記載のものである。
【0027】
請求項14の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子と前記誘電体板との間に接着層を介在させるものである請求項10〜13のいずれかに記載のものである。
【0028】
請求項15の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部の少なくとも一方に前記アンテナ素子を載置したときに、前記短絡側面の一部が前記第1凹部の側壁及び前記第2凹部の側壁の少なくとも一方に接するものである請求項1〜14のいずれかに記載のものである。
【0029】
請求項16の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記樹脂注入工程が、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における前記短絡側面と接触していない側壁に形成された注入口から樹脂を注入するものである請求項15に記載のものである。
【0030】
請求項17の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記同軸線路と前記同軸線路載置管との間に硬度の低い樹脂を配置するものである請求項1〜16のいずれかに記載のものである。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、請求項1及び2に係る発明によれば、第1金型と第2金型とを重ね合わせて形成される同軸線路載置管から同軸線路をキャビティ(第1金型と第2金型)の外部に出した状態で、キャビティに樹脂を注入するので、アンテナ素子に同軸線路が接続された状態でアンテナ素子とアンテナ素子及び同軸線路の電気的な接続部分とを容易に封止することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0032】
請求項3及び4に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂により装置全体を小型化することが容易な性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0033】
請求項5に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂により装置全体を小型化することが容易な上に、アンテナ素子を構成する放射導体面と接地導体面との間に挟まれる空間内の同軸線路の主構成を内導体とすることが可能で、放射導体面における給電点の設定位置の選択肢を多くすることができるので、性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0034】
請求項6に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂により装置全体を小型化することが容易な性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0035】
請求項7に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂やスリット部により装置全体を小型化することが容易な性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0036】
請求項8に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂やスリット部により装置全体を小型化することが容易な上に、アンテナ素子を構成する放射導体面と接地導体面との間に挟まれる空間内の同軸線路の主構成を内導体とすることが可能で、放射導体面における給電点の設定位置の選択肢を多くすることができ、導体板の寸法公差に起因する給電点(アンテナ素子)と給電線路(同軸線路)とのインピーダンスの不整合を調整して整合をとることが容易で、性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0037】
請求項9に係る発明によれば、請求項8の効果に加えて、スリット部の調整を行えるので、導体板の寸法公差に起因する給電点(アンテナ素子)と給電線路(同軸線路)とのインピーダンスの不整合を調整して整合をとることが容易で、性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0038】
請求項10に係る発明によれば、請求項6〜9の効果に加えて、樹脂注入工程において、より確実にアンテナ素子の短絡側面の周辺に樹脂を封入することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0039】
請求項11に係る発明によれば、請求項1〜10の効果に加えて、ショートパッチアンテナ装置の放射導体面と接地導体面との少なくとも一方の面上に誘電体板の層を形成することができるショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0040】
請求項12に係る発明によれば、請求項1〜10の効果に加えて、誘電体板の層とショートパッチアンテナ装置と接地導体面との間に同軸線路を配置したショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0041】
請求項13に係る発明によれば、請求項12の効果に加えて、キャビティ内でのアンテナ素子の安定性を容易に確保して製造可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0042】
請求項14に係る発明によれば、請求項10〜13の効果に加えて、アンテナ素子に誘電体板を確実に固定することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0043】
請求項15に係る発明によれば、アンテナ素子の短絡側面の少なくとも一部が露出するので、樹脂材料の使用量を減じることが可能であり、軽量化したショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0044】
請求項16に係る発明によれば、アンテナ素子を構成する放射導体面と接地導体面との間に挟まれる空間へ効率よく樹脂を注入することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0045】
請求項17に係る発明によれば、樹脂注入工程において、同軸線路載置管から樹脂が漏れ出す可能性を減じたショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図8】この発明の実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図10】この発明の実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図11】この発明の実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の図(断面のイメージ図)である。
【図12】この発明の実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図13】この発明の実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図14】この発明の実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置のスリット調整工程説明図である。
【図15】この発明の実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図16】この発明の実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図17】この発明の実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図18】この発明の実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置のケースを透視していない状態の斜視図である。
【図19】この発明の実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図20】この発明の実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図21】この発明の実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(矢印Fはアンテナの正面の方向を指す)である。
【図22】この発明の実施の形態1〜5と実施の形態6との対比説明用のショートパッチアンテナ装置の筐体構成図(矢印Fはアンテナの正面の方向を指す)である。
【図23】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図24】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図25】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図26】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図27】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板構成図である。
【図28】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図29】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図30】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図31】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図32】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図33】この発明の実施の形態7及び9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図34】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図35】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図36】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図37】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図38】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図39】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図及び外観図である。
【図40】この発明の実施の形態8に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図41】この発明の実施の形態8に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図42】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図43】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図44】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図45】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図46】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図47】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図48】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図及び外観図である。
【図49】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図50】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図51】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図52】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図53】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図54】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図55】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図56】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図57】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図58】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図59】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本願において、断面のイメージ図とするものは、アンテナ素子を構成する導体板に同軸線路が貫通している断面図において、同軸線路に関しては断面ではなく側面から見た状態を示したものである。なお、図1〜59において、アンテナ素子に接続された同軸線路のアンテナ素子と反対側の端部が図面上断線したようになっているが、実際は、RFIDリーダライタなどの無線通信装置に接続されるものであり、接続対象を省略したために図1〜59のような記載となっている。さらに、同軸線路に装着された樹脂製のブッシュや熱収縮チューブも省略している場合がある。
【0048】
本願において、実施の形態1〜6では、ショートパッチアンテナ装置(におけるアンテナ素子)やその製造方法を主に説明し、実施の形態7〜11で、ショートパッチアンテナ装置(における樹脂封止)やその製造方法を説明する。ショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子は、コ字状のアンテナ素子であれば、実施の形態1〜6で説明するものや一体(一枚)の導体板で構成されるものでなくてもよい。なお、実施の形態5及び6で説明するように、コ字状のアンテナ素子とは、放射導体面における短絡側面と連続する屈曲部分(辺)と対向する辺にて、放射導体面と連続する整合調整面が存在する場合も含めるとする。また、放射導体面と整合調整面とは屈曲部分(辺)を介して連続しているものである。
【0049】
つまり、導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、放射導体面と接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する放射導体面と接地導体面との間に挿入された内導体と放射導体面とが電気的に接続され、外導体と接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備しておればよい。
【0050】
しかし、実施の形態1〜6で説明するショートパッチアンテナ装置(におけるアンテナ素子)の製造方法を用いることにより、特許文献2の図7及び図10のような場合であって、所望のアンテナ性能を得るために、アンテナの給電点を短絡側寄りに設定する必要ある場合に、同軸線路の内導体(中心導体)を複雑に曲げる必要があり構造が複雑化する、同軸線路を接地させるために、金属板以外の別の部材(特許文献2では「延出脚部48」に相当する)を金属板に接続する必要があり構造が複雑化する、金属板の折り曲げ角の変化が給電点と給電線路とのインピーダンス整合に影響を及ぼす、アンテナ素子の厚みが安定しないため、寸法公差確保がさらに難しくなるという課題を解決することができる。
【0051】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜7を用いて説明する。図1(a)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図1(b)(c)はショートパッチアンテナ装置の誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図、図2(a)は一体の導体板の上面図、図2(b)は一体の導体板に加工する形状を示す概念図、図2(c)及び図3(a)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施した後の上面図、図2(d)(e)は一体の導体板に対して導体板加工工程(二つのスリット部を複数形成した場合)を施した後の上面図、図3(b)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、短絡側面(開口部)側から導体板を見た図、図3(c)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、放射導体面側から導体板を見た図、図3(d)は図3(c)に記載の一点鎖線ABから見た導体板の断面図、図3(e)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後の斜視図、図4(a)はアンテナ素子に同軸線路を挿入した図、図4(b)はアンテナ素子の放射導体面に同軸線路の内導体を半田付けした図、図4(c)は同軸線路に絶縁ブッシュを装着した図、図4(d)はアンテナ素子の外導体載置部に同軸線路の外導体を半田付けした図、図5(a)は同軸線路に熱収縮チューブを装着した図、図5(b)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図5(c)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図ある。
【0052】
図1〜5において、1は一体(一枚)の導体板(折曲前の状態や折曲後の状態も便宜上含める)、2は折り曲げられた一体の導体板1で構成され、導体板1の対向する一方の面に形成された放射導体面(導体板1の折曲前の状態も便宜上含める)、3は折り曲げられた一体の導体板1で構成され、導体板1の対向する他方の面に形成された接地導体面(導体板1の折曲前の状態も便宜上含める)、4は折り曲げられた一体の導体板1で構成され、導体板1で放射導体面2と接地導体面3とを短絡する短絡側面(導体板1の折曲前の状態も便宜上含める)である。なお、導体板1を折曲して(折り曲げて)形成されるものであるため、放射導体面2,接地導体面3,短絡側面4は「面」と表現しているが、アンテナ素子としては、放射導体面2は放射導体2(パッチ2),接地導体面3は接地導体3,短絡側面4は短絡導体4と表現してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0053】
図1〜5において、5は接地導体面3に形成された孔部、6は放射導体面2に形成された孔部であり、ショートパッチアンテナ装置の給電点に当る。7は放射導体面2の対向する二辺の両側から対向して形成された二つのスリット部であり、形状は、図示するような矩形に限らず、波長短縮効果が得られるような形状で放射導体面2に形成された切り欠きであればよい。また、スリット部7は放射導体面2の対向する二辺に対称に形成する必要はなく一辺だけでもよい(放射導体面2の辺が切り欠かれたスリット部7)し、放射導体面2の対向する二辺に沿って複数形成してもよい。このようにスリット部7は放射導体面2、特に接地導体面3と対向する面の面積を小型化することができる小型化機能部として機能する。8は同軸ケーブルなどの同軸線路、9は同軸線路8の内導体、9aは孔部6に挿入された内導体9を電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、10は同軸線路8の外導体、11は内導体を被覆する円筒状の絶縁性皮膜、12は樹脂性のブッシュ(軸受け筒)、13は熱収縮チューブである。同軸線路8は内導体9と外導体10との間に絶縁性皮膜11が存在し、内導体9と外導体10とが絶縁されている。なお、本願において、同軸線路8の最外殻、つまり、外導体10も円筒状の絶縁性皮膜により被覆されたものを用いて説明を行う。取り付け後であっても、ブッシュ12や熱収縮チューブ13を省略している図面もある。図内で同軸線路8としている部分が、同軸線路8の最外殻である絶縁性皮膜の部分を指している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0054】
図1〜5において、14は接地導体面3上に形成された誘電体基板又は誘電体シートなどで構成させる誘電体板(化粧パネル)である。誘電体板14は接地導体面3と対向する面に同軸線路8(外導体10,絶縁性皮膜11などから構成される箇所)が配置される場合は、接地導体面3と対向する面に同軸線路8(外導体10,絶縁性皮膜11などから構成される箇所)を収納することができる窪みを有していてもよい。15は放射導体面2上に形成された誘電体基板又は誘電体シートなどで構成させる誘電体板(化粧パネル)である。誘電体板15は放射導体面2と対向する面に同軸線路8(内導体9,電気接続手段9aなどから構成される箇所)が配置される(突出している)場合は、放射導体面2と対向する面に同軸線路8(内導体9,電気接続手段9aなどから構成される箇所)を収納することができる窪みを有していてもよい。16はアンテナ素子を構成する放射導体面と接地導体面との間に挟まれる空間などに充填されるエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂である誘電体の樹脂(誘電体基板に相当する)である。ブッシュ12と熱収縮チューブ13とは後述の金型(第1金型及び第2金型)に充填される樹脂16が、筐体16から漏れることを防ぐためのものであり、ブッシュ12と熱収縮チューブ13とは一体であってもよい。17は短絡側面4に少なくとも接地導体面3側まで切り欠かれた開口である開口部、18は接地導体面3における短絡側面4上の開口部17と接する部分から延び、導体板1と一体である外導体載置部(導体板1の折曲前や同軸線路8の接触前の状態も便宜上含める)であり、外導体載置部18に同軸線路8の外導体10が接触して同軸線路8が接地導体面3に接地されている。10aは外導体10と外導体載置部18とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、19は導体板1に形成されたU字状の切り欠き部であり、切り欠き部19が導体板1の折り曲げによって開口して開口部17と外導体載置部18となる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0055】
図1に図示された実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の構造は、放射導体面2(パッチ)が短絡側面4によって接地導体面3に接地されているアンテナ素子が同軸線路8によって給電されているものである。アンテナ素子の周囲に充填された樹脂16が封入されている。したがって、導体板1により形成された放射導体面2、接地導体面3、短絡側面4に囲われた空間に樹脂16による誘電体層を容易に形成でき、樹脂16の比誘電率に応じた波長短縮効果が得られるので、ショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子(放射導体面2)の小型化を図ることができる。さらに、アンテナの放射面である放射導体面2には、導体板1の折り曲げ方向と同じ方向に沿って切り欠かれたスリット部7が形成されているので、このスリット部7による波長短縮効果により放射導体面2が短くなり、よりショートパッチアンテナ装置を小型化することができる。
【0056】
実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の給電点は、図1(a)〜(c)では放射導体面2上の対向する二つのスリット部7の間に配置されているものを図示しているが、放射導体面2上であれば、給電点の位置は、この位置に限らない(なお、他の実施の形態においても、給電点に関しては、上記のことがいえる)。ここで、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に樹脂16が充填されている空間に、接地導体面3の孔部5から内導体9又は絶縁性皮膜11付きの内導体9が挿入されている簡便な構造なので、同軸線路8の外導体10を外導体載置部18に接地することで、同軸コネクタを用いた給電を必要としないので、装置全体の小型化が可能である。また、給電点と給電線路(同軸線路8)とのインピーダンス整合をとるために行うアンテナ(導体板1)の寸法調整によって、給電点が短絡側面4側寄りに移動する必要があったとしても、図1、特に図1(c)に示すように、導体板1以外の別の部材や前述のような同軸コネクタが不要である簡便な構造なので給電点の移動が容易に行える。
【0057】
次に、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法について、図2〜5を中心に説明する。まず、図2及び3を用いて一枚の導体板1を折り曲げることにより、アンテナ素子を得る手順を説明する。図2(a)はアンテナ素子の元となる折り曲げ前の導体板1の上面を示している。まず、導体板加工工程として、導体板1に、U字状の切り欠き部19、U字状の切り欠き部に囲まれた導体板1の領域に対して反対の領域(最終的に、放射導体面2となる領域)であって、対向する導体板1の二辺の両側から対向して形成された二つのスリット部7、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域に対して、スリット部7が形成された導体板1の領域の反対側における領域(最終的に接地導体面3となる領域)に孔部5、及び、二つのスリット部7を形成した領域に孔部6を形成する。導体板加工工程は一般的な板金加工の手法を用いて図2(b)に示す導体板1の点線部分を加工すればよい。U字状の切り欠き部19,スリット部7,孔部5,孔部6の形成する順序は特に問わない。また、U字状の切り欠き部19,スリット部7,孔部5,孔部6を型抜きなどの手法にて同時に形成してもよい。なお、U字状の切り欠き部19は、図2(b)(c)に示すような直線状の外形でもよいし、丸みを持たせた外形でもよい。本願では、U字状とはV字状やC字状などの形状を包含したものとする。これは、切り欠き部19がアンテナ素子の短絡側面4に形成されるためで、短絡導体である短絡側面4に形成された切り欠き部19はショートパッチアンテナ装置の動作に与える影響が少ないからである。
【0058】
導体板加工工程後は、図2(c)に示す導体板1が得られる。この導体板1を折り曲げてアンテナ素子を構成する対向した導体を得るために、孔部5が形成された導体板1の領域、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を対向させる導体板対向工程を行う。導体板対向工程は、図3に示す第1の折曲工程と第2の折曲工程からなる工程であるが、第1の折曲工程、第2の折曲工程の実行の順序は問わない。また、第1の折曲工程及び第2の折曲工程を同時に行ってもよいし、前述の導体板加工工程も同時に行ってもよい。なお、導体板対向工程の後に、導体板加工工程を行ってもよい。導体板1に導体板加工工程及び導体板対向工程の施すことにより、導体板1は、図3(b)〜(e)に示すように、開口部17を有する短絡側面4と、接地導体面3とが接する線分(辺)から導体板1と一体の外導体載置部18が、短絡側面4と接地導体面3から飛び出した形状で得られる。このような加工から、接地導体面3と外導体載置部18とは、ほぼ水平となるが、別途、互いに角度をつけてもよい。
【0059】
なお、図2(a)〜(c)に記載の二つのスリット部7が放射導体面2に一箇所に形成されているもの(スリット部7単体は二つ)を用いて導体板加工工程を説明したが、二つのスリット部7を放射導体面2の対向する二辺に沿って複数形成してもよい。このような場合は、放射導体面2をさらに小型化することができる。図2(d)(e)に記載のように、二つのスリット部7を二箇所に形成することが例として挙げられる。図2(d)は、短絡側面4側にある二つのスリット部7の間に孔部6(給電点)が配置されたもので、図2(e)は、孔部6(給電点)が対向する二つのスリット部7の間から外れた位置に配置されたものである。図2(d)(e)に記載の折り曲げ線X及びYに関しては、導体板対向工程にて詳細な説明を行う。導体板対向工程に関しては、図2(c)〜(e)に記載の導体板1に共通のものである。
【0060】
第1の折曲工程とは、U字状の切り欠き部19を開口部17に変換するように導体板1のU字状の切り欠き部19における二股部分の先端部分を折り曲げて、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域、及び、孔部5が形成された導体板1の領域を別の平面にするものであり、接地導体面3と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図3(a)に記載の折り曲げ線Xを第1の折曲工程の折り曲げ方向Xdに折り曲げることにより行う。
【0061】
第2の折曲工程とは、導体板1のU字状の切り欠き部19又は開口部17とスリット部7との間の領域を折り曲げて、U字状の切り欠き部19又は開口部17が形成された導体板1の領域、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を別の平面にするものであり、放射導体面2と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図3(a)に記載の折り曲げ線Yを第2の折曲工程の折り曲げ方向Ydに折り曲げることにより行う。
【0062】
導体板対向工程後の導体板1は、アンテナ素子を構成する。その形状は、図3(b)〜図3(e)に示すようなものとなる。図3(b)(d)(e)から、開口部17が短絡側面4に形成され、開口部17の接地導体面3側には外導体載置部18が設けられていることが分かる。図3(c)(e)から放射導体面2にスリット部7が形成されていることが分かる。また、スリット部7から接地導体面3が見える。
【0063】
放射導体面2にスリット部7が形成されていない場合でも、導体板加工工程,第1の折曲工程,第2の折曲工程は実行できる。詳しくは、導体板1にU字状の切り欠き部19を形成する導体板加工工程後に、U字状の切り欠き部19を開口部17に変換するように導体板1のU字状の切り欠き部19における二股部分の先端部分を折り曲げて、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域、及び、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域に対してU字状の切り欠き部19に囲まれた導体板の領域を別の平面にする第1の折曲工程、導体板1のU字状の切り欠き部19又は開口部17に対して第1の折曲工程で折り曲げられた導体板の箇所と反対側の領域を折り曲げて、U字状の切り欠き部又は開口部17が形成された導体板1の領域、及び、開口部17が形成された導体板1の領域以外の第1の折曲工程で折り曲げられた導体板1の箇所と反対側の領域を別の平面にする第2の折曲工程を行い、第2の折曲工程で折り曲げられ、U字状の切り欠き部19又は開口部17が形成された導体板1の領域と別の平面となった開口部17が形成された導体板1の領域以外の第1の折曲工程で折り曲げられた導体板1の箇所と反対側の領域、及び、第1の折曲工程で折り曲げられ、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域と別の平面となったU字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域に対してU字状の切り欠き部19に囲まれた導体板1の領域を対向させる導体板対向工程後が完了する。
【0064】
導体板加工工程及び導体板対向工程の導体板1に同軸線路8を取り付ける(固定する)ことでアンテナ素子が完成する(本願では、同軸線路8の取り付け前であってもアンテナ素子と呼ぶ場合はある)。そのための同軸線路取付工程に関して図4を用いて説明する。まず、同軸線路8の先端部分の内導体9を露出させ、その後段は順に、絶縁性被覆11付き内導体9、絶縁性被覆11の上を外導体10で覆った状態としてから、図4(a)に示すように、同軸線路8が孔部5を介して接地導体面3に挿入し、同軸線路8の先端部分の内導体9を延ばして、内導体9の先端部分を孔部6に挿し込む。次に、図4(b)に示すように、孔部6に挿し込んだ先端部分の内導体9を電気接続手段9aにより電気的に接続及び固定する。これにより、同軸線路8の内導体9と放射導体面2とが導通する。なお、同軸線路8の内導体9と放射導体面2との導通は、放射導体面2に孔部6を設けずに、直接、同軸線路8の内導体9を放射導体面2(給電点に当る部分)に半田付けしてもよい。続いて、同軸線路8にブッシュ12を装着する(図4(c))。そして、図4(d)に示すように、孔部5が形成された導体板1の領域と連続して開口部17と接する部分から延びた領域である外導体載置部18に外導体10を電気接続手段10aにより電気的に接続する。図4(b)(c)(d)に記載の工程に関して、順は問わない。
【0065】
図5において、アンテナ素子に同軸線路8を取り付けた導体板1の周囲(図5(a))へ樹脂16を充填させることにより、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。図5(b)(c)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図5(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである(図1(a)と同じ構成)。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図5(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。
【0066】
続いて、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の変形例に関して図6及び7を用いて説明する。図4及び5に記載のアンテナ素子やショートパッチアンテナ装置との相違点は、同軸線路8の内導体9は、少なくとも孔部5から放射導体面2までの部分とそれ以外の部分とは別の部材である点である。この場合は、孔部5から放射導体面2までの部分に、内導体9よりも、樹脂を封入する際に優位な形状の導体を採用することが可能である。実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の変形例(製造方法)は、同軸線路取付工程が、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法と異なるので、この異なる部分を説明する。
【0067】
図6(a)はアンテナ素子に絶縁性被膜に覆われた導体を挿入した図、図6(b)はアンテナ素子の放射導体面に絶縁性被膜に覆われた導体を半田付けした図、図6(c)は同軸線路の内導体と絶縁性被膜に覆われた導体とを接触させた図、図6(d)は同軸線路に絶縁ブッシュを装着した図、図6(e)はアンテナ素子の外導体載置部に同軸線路の外導体を半田付けした図、図6(f)は同軸線路の内導体と絶縁性被膜に覆われた導体とを半田付けした図、図7(a)は同軸線路を接続したアンテナ素子を筐体に載置した図、図7(b)は同軸線路に熱収縮チューブを装着した図、図7(c)は筐体に誘電体の樹脂を充填し、アンテナ素子を封止した図である。図6及び7において、20は線状導体、20aは線状導体20と放射導体面2とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、20bは線状導体20と内導体9とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、21は線状導体20の先端部と基端部を露出させた状態で被覆する絶縁性被覆である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0068】
変形例の同軸線路取付工程に関して図6を用いて説明する。まず、同軸線路8の先端部分の内導体9を露出させ、その後段は絶縁性被覆11の上を外導体10で覆った状態とする。一方、図6(a)に示すように、導体板1へ孔部5を介して絶縁性被覆21で被覆した線状導体20を挿入し、線状導体20の先端部分を孔部6に挿し込む。次に、図6(b)に示すように、孔部6に挿し込んだ線状導体20の先端部分を電気接続手段20aにより電気的に接続及び固定する。これにより、線状導体20と放射導体面2とが導通する。なお、線状導体20と放射導体面2との導通は、放射導体面2に孔部6を設けずに、直接、線状導体20を放射導体面2(給電点部分)に半田付けしてもよい。同軸線路8の内導体9の先端部分を線状導体20の基端部分(孔部5側)に接触させる(図6(c))。続いて、同軸線路8にブッシュ12を装着する(図6(d))。そして、図6(e)に示すように、孔部5が形成された導体板1の領域と連続して開口部17と接する部分から延びた領域である外導体載置部18に外導体10を電気接続手段10aにより電気的に接続し、図6(f)に示すように、同軸線路8の内導体9の先端部分と線状導体20の基端部分(孔部5側)とを電気接続手段20bにより電気的に接続する。図6(b)〜(f)に記載の工程に関して、順は問わない。
【0069】
図7において、アンテナ素子に同軸線路8を取り付けた導体板1の周囲(図7(a))へ樹脂16を充填させることにより、実施の形態1(変形例)に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。図7(b)(c)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段20bを含む、内導体9及び内導体20並びに外導体10)を配置し、誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段20aを含む内導体20)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図7(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図7(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。
【0070】
図7に記載のショートパッチアンテナ装置は、図5を用いて説明したものと同軸線路8の構成が異なっているだけで基本的には同様である。但し、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置(変形例)は、説明した通り、同軸線路8の内導体9が、少なくとも孔部5から放射導体面2までの部分とそれ以外の部分とは別の部材(線状導体20)であるので、内導体9を曲げる必要がない。つまり、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置では、内導体9の破損せずに折り曲げられる最小の折り曲げ半径によって、給電点の変更できる幅が決まっていた(特に、短絡側面4側)。しかし、この変形例に係るショートパッチアンテナ装置は、内導体9と線状導体20を曲げずに直線的に配置することにより、内導体9の破損せずに折り曲げられる最小の折り曲げ半径を考慮しなくてもよいものである。また、図7(c)に示すように、樹脂16の固化後のショートパッチアンテナ装置の内導体9と線状導体20の接続箇所は、樹脂16に封止されるために、強度しては、線状導体20を用いない場合との実用上の差異はない(もちろん、電気接続手段20bが露出していても、誘電体板14により覆われているので、強度が確保されている)。
【0071】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図8〜11を用いて説明する。実施の形態1では、孔部5を利用して接地導体面3から同軸線路8(内導体9)を挿入する場合について説明したが、この実施の形態2では、開口部17を利用して接地導体面3側の短絡側面4から同軸線路8(内導体9)を挿入する場合について説明する。なお、このような場合では孔部5は必ずしも必要ではない。図8(a)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図8(b)(c)はショートパッチアンテナ装置の誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図、図9(a)はアンテナ素子に同軸線路を挿入した図、図9(b)はアンテナ素子の放射導体面に同軸線路の内導体を半田付けした図、図9(c)は同軸線路に絶縁ブッシュを装着した図、図9(d)はアンテナ素子の外導体載置部に同軸線路の外導体を半田付けした図、図10(a)は同軸線路に熱収縮チューブを装着した図、図10(b)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図10(c)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図10(d)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図ある。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0072】
図8に図示された実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の構造は、放射導体面2(パッチ)が短絡側面4によって接地導体面3に接地されているアンテナ素子が同軸線路8によって給電されているものである。アンテナ素子の周囲に充填された樹脂16が封入されている。したがって、樹脂16の比誘電率に応じた波長短縮効果が得られるので、ショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子(放射導体面2)の小型化を図ることができる。さらに、アンテナの放射面である放射導体面2には、導体板1の折り曲げ方向と同じ方向に沿って切り欠かれたスリット部7が形成されているので、波長短縮効果により放射導体面2が短くなり、よりショートパッチアンテナ装置を小型化することができるなどの事項は、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の構造と同様である。
【0073】
実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の給電点に関しても、実施の形態1で行ったものと同様のものなので説明を省略する。もちろん、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置にも、同軸線路8の外導体10を外導体載置部18に接地することで、同軸コネクタを用いた給電を必要としないので、装置全体の小型化が可能である。また、アンテナの寸法調整によって、給電点が短絡側面4側に移動する必要があったとしても、導体板1以外の別の部材や前述のような同軸コネクタが不要である簡便な構造なので給電点の移動が容易に行える。さらに、孔部5が無いために孔部5の位置による同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)の配線取り回しの影響がないだけでなく、折り曲げられた導体板1内に同軸線路8(主に、絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されるので、ショートパッチアンテナ装置の厚みを薄くすることができる。次に、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法における導体板1の加工に関してだが、導体板1に必ずしも孔部5を設ける必要がないという点を除けば、図2及び3で説明した導体板加工工程及び導体板対向工程と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
導体板加工工程及び導体板対向工程の導体板1に同軸線路8を取り付ける(固定する)ことでアンテナ素子が完成する。そのための同軸線路取付工程に関して図9を用いて説明する。まず、同軸線路8の先端部分の内導体9を露出させ、その後段は順に、絶縁性被覆11付き内導体9、絶縁性被覆11の上を外導体10で覆った状態としてから、図9(a)に示すように、同軸線路8が開口部17を介して短絡側面4に挿入し、同軸線路8の先端部分の内導体9を折り曲げ、延ばして孔部6に挿し込む。次に、図9(b)に示すように、孔部6に挿し込んだ同軸線路8の先端部分の内導体9を電気接続手段9aにより電気的に接続及び固定する。これにより、同軸線路8の内導体9と放射導体面2とが導通する。なお、同軸線路8の内導体9と放射導体面2との導通は、放射導体面2に孔部6を設けずに、直接、同軸線路8の内導体9を放射導体面2(給電点部分)に半田付けしてもよい。続いて、同軸線路8にブッシュ12を装着する(図9(c))。そして、図9(d)に示すように、導体板1の領域(接地導体面3)と連続して開口部17と接する部分から延びた領域である外導体載置部18に外導体10を電気接続手段10aにより電気的に接続する。図9(b)(c)(d)に記載の工程に関して、順は問わない。
【0075】
図10(図8(a))において、アンテナ素子に同軸線路8を取り付けた導体板1の周囲(図10(a))へ樹脂16を充填させることにより、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。図8(a),図10(b)(c)(d)は誘電体板14、誘電体板15の少なくとも一方をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図8(a)、図10(図)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図10(c)(d)は誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0076】
図8(a)、図10(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図10(b)(d)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。
【0077】
また、図8(a),図10(b)(c)(d)に記載のショートパッチアンテナ装置は、開口部17に挿入された同軸線路8(ここでは、絶縁性皮膜11付きの内導体9)の径が開口部よりも小さければ小さいほど、同軸線路8が挿入された後の開口部17の開口面積が大きくなるので、後述の金型(第1金型及び第2金型)を重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における開口部17に対向する位置に形成された注入口から樹脂を注入するものことで、樹脂16を注入する際、同軸線路8が挿入された後の開口部17の開口から樹脂16がアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3との間に流入するので、全体に効率よく樹脂16を充填することができる。
【0078】
以上のように、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置は、開口部17を利用して同軸線路8(内導体9)を接地導体面3側の短絡側面4から挿入するので、アンテナの電気的な性能を変化させることなく、ショートパッチアンテナ装置の厚み方向(短絡側面4が延びる方向)の長さを実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置よりも薄くすることができる。
【0079】
さらに、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置は、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の変形例と同じく、同軸線路8の内導体9は、少なくとも接地導体面3から放射導体面2に亘る方向に延びた部分とそれ以外の部分とは別の部材でもよい。それ以外の部分とは、実施の形態1(変形例)で示すように、曲げていない内導体9(絶縁性皮膜11から露出した部分)を指す。ここで、図11において、22は線状導体、23は線状導体を被覆する円筒状の絶縁性皮膜であり、点線で示す部分に線状導体22が内挿されている。24は線状導体22が接地導体面3と短絡しないように絶縁するスペーサ、22aは線状導体22と放射導体面2とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、22bは線状導体22と内導体9とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0080】
実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の変形例に関して図11を用いて説明する。図11(a)はショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の断面のイメージ図(同軸線路8形成済み)、図11(b)はショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の断面のイメージ図(同軸線路8なし)である。なお、図11は図6に相当するので(特に、図11(a)は図6(f)に相当し、図11(b)は図6(a)に相当する)、実施の形態1(変形例)及び実施の形態2と異なる点だけを説明すると、図11(a)に示すように、孔部6に挿し込んだ線状導体22の先端部分は、電気接続手段22aにより電気的に接続及び固定されており、線状導体22と放射導体面2とが導通している。また、同軸線路8の内導体9の先端部分と線状導体22の基端部分(接地導体面3寄りの側)は、電気接続手段22bにより電気的に接続されている。また、この内導体9が電気的に接続された線状導体22の基端部分は、スペーサ24により接地導体面3と絶縁されており、線状導体22及び内導体9が短絡しない構造となっている。
【0081】
実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置(変形例)の給電部分の製造方法は、先端部分と基端部分を露出させた状態で絶縁性皮膜23に被覆された線状導体22の先端部分を放射導体面2の孔部6に挿し込み、線状導体22の基端部分と接地導体面3との間にスペーサ24を挟む。この状態で、電気接続手段22a、22bを行えばよい。なお、スペーサ24を挟む前に、電気接続手段22a又は電気接続手段22bを行ってもよいし、線状導体22の先端部分を放射導体面2の孔部6に挿し込み、線状導体22の基端部分と接地導体面3との間にスペーサ24を挟め、電気接続手段22bを行った後に、電気接続手段22aを行ってもよい。さらに、事前にスペーサ24にザグリ孔を空けて、そのザグリ孔に線状導体22の基端部分を挿し込んで、線状導体22(絶縁性皮膜23を含む)とスペーサ24とを一体化したものを製造して、この実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置(変形例)の給電部分に使用してもよい。
【0082】
この実施の形態2では、「孔部5は必ずしも必要ではない。」としてきたが、前述のような、一体化したスペーサ24と線状導体22を使用する場合は、図11(b)に示すように、接地導体面3に孔部5を有する導体板1(アンテナ素子)を用いた方が、一体化したスペーサ24と線状導体22を固定し易い。本願では、アンテナ素子には、交差偏波を考慮してある程度の厚みがある導体板1を使用しているために、孔部5の径とスペーサ24の径とを孔部5がスペーサ24を嵌合できる程度のものを選ぶことにより、スペーサ24を接地導体面3で支持・固定することができる。もちろん、樹脂16を注入することにより、スペーサ24(線状導体22を含む)が固定されるので、孔部5がスペーサ24を嵌合していなくてもよいが、嵌合されていた方が、電気接続手段22a、22bを実行し易い。
【0083】
次に、一体化したスペーサ24と線状導体22を使用する場合の手順を説明する。導体板1へ孔部5を介して一体化したスペーサ24と線状導体22とを挿入し、線状導体22の先端部分を孔部5に挿し込み(図11(b))、孔部5に挿し込んだ線状導体22の先端部分を電気接続手段22aにより電気的に接続及び固定する。これにより、線状導体22と放射導体面2とが導通する。なお、線状導体22と放射導体面2との導通は、放射導体面2に孔部6を設けずに、直接、線状導体22を放射導体面2(給電点部分)に半田付けしてもよい。開口部17を介し、同軸線路8の内導体9の先端部分を線状導体22の基端部分(孔部5寄りの側)と接触させる。続いて、同軸線路8にブッシュ12を装着する。そして、孔部6が形成された導体板1の領域と連続して開口部17と接する部分から延びた領域である外導体載置部18に外導体10を電気接続手段10aにより電気的に接続し、同軸線路8の内導体9の先端部分と線状導体20の基端部分(孔部5側)とを電気接続手段22bにより電気的に接続する。
【0084】
この実施の形態2(変形例)においても、アンテナ素子に同軸線路8を取り付け、導体板1の周囲に樹脂16を充填させることにより、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。また、開口部17を利用して同軸線路8(内導体9)を接地導体面3側の短絡側面4から挿入するので、アンテナの電気的な性能を変化させることなく、ショートパッチアンテナ装置の厚み方向(短絡側面4が延びる方向)の長さを実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置よりも薄くすることができる。
【0085】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図12〜14を用いて説明する。この実施の形態3では、実施の形態2で説明した開口部17に同軸線路8を挿入したものを例に説明を行う。また、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の構造は、孔部6を形成せずに、内導体9の先端を折り曲げて、放射導体面2へ電気接続手段9aに電気的に接続されている以外は、実施の形態1及び2(変形例を含み)に係るショートパッチアンテナ装置の構造と同様であり、動作に関しても同様である。
【0086】
図12(a)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図12(b)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図12(c)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図13(a)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図13(b)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図13(c)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図である。図14において、25はスリット部7が導体板1を削られることによりできた拡幅したスリット部、26は導体板1の導体除去箇所、27はスリット部7が導体板1に導体を追加されてできた狭幅したスリット部、28は導体板1に追加された追加導体である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0087】
以下、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明する。アンテナ素子に同軸線路8を取り付け、導体板1の周囲に樹脂16を充填させることにより、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。図12(a)及び図13(a)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図12(b)及び図13(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14及び誘電体板15を有し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。図12(c)及び図13(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板15を有し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。誘電体板14のみを有するショートパッチアンテナ装置は記載を省略する。
【0088】
実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置において、図12(b)図13(a)に示すように、少なくとも二つのスリット部7を露出させた構造に関して説明する。図14(a)は、樹脂16の固化後において、ショートパッチアンテナ装置の導体板1部分に焦点を当てたショートパッチアンテナ装置の上面図である。アンテナ素子の小型に寄与するスリット部7の寸法が適切かどうかを検討するため、実際にこのショートパッチアンテナ装置の電気的な(電波的な)性能を測定する。その結果、以下のスリット調整工程を行う。スリット部7を拡幅する必要がある場合は、図14(b)に示すように、導体板1のスリット部7(の導体除去箇所26)をルーターなどの一般的な外形加工機を用いて削り取って、拡幅してスリット部25を得る。スリット部7を狭幅する必要がある場合は、図14(c)に示すように、導体板1のスリット部7に導体箔や半田などの追加導体28を追加し(追加導体28を導体板1に導通させ)、狭幅してスリット部27を得る。もちろん、追加導体28により狭幅化したスリット部27の一部を削り取って、微調整してもよい。もちろん、微調整の後に、放射導体面2上に誘電体板15を形成してもよい。
【0089】
このように、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法では、樹脂16を放射導体面2及び接地導体面3の間に配置した後に、スリット調整工程を行うことができる構造を含むので、最終的なショートパッチアンテナ装置の比誘電率に近い状態でスリット部7の調整を行うことができるだけなく、導体板のみのアンテナ素子を加工する場合では誘電体基板に相当する樹脂が無いため、導体板1のスリット部7(の導体除去箇所26)をルーターなど用いて削り取った場合に、導体板における放射導体面と接地導体面との対向する角度が狂ってしまうおそれを排除してスリット部7の拡幅を行うことができる。さらに、導体板のみのアンテナ素子を加工する場合では誘電体基板に相当する樹脂が無いため、非常に困難であるスリット部の狭幅化も容易に行うことができる。狭幅化は、導体板のみのアンテナ素子で行うことは困難で、小型化の妨げとなることはいうまでもない。
【0090】
また、この実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置は、放射導体面2及び接地導体面3上に、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部から同軸線路8が突起していないために、後述の金型(第1金型及び第2金型)の凹部に誘電体板14及び誘電体板15を配置しなくともよいので、誘電体板14及び誘電体板15がショートパッチアンテナ装置に必要かどうかの判断を自由にすることが可能となる。さらに、樹脂の固化後に誘電体板14又は誘電体板15をアンテナ素子に貼り付けてもよい。
【0091】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図15〜17を用いて説明する。この実施の形態4では、実施の形態3で説明したショートパッチアンテナ装置とは、孔部5から同軸線路8(絶縁性皮膜11部分)を挿入した点が異なるので、その相違点を中心に説明する。図15、16、17は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。以下、実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明する。アンテナ素子に孔部5を介して同軸線路8を取り付け、導体板1の周囲に樹脂16を充填させることにより、実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。
【0092】
図15に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14及び誘電体板15を有し、誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図16に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14及び誘電体板15を有し、誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。図16に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14を有し、誘電体板14及び誘電体板15を有し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。図17に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14を有し、誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。なお、誘電体板14を有し、誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したもの、つまり、誘電体板15がないものは記載を省略する。
【0093】
実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置において、図17に示すように、少なくとも二つのスリット部7を露出させた構造に関して説明する。スリット調整工程は、実施の形態3において図14を用いて説明したものと同様であるので説明は省略する。この実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法では、樹脂16を放射導体面2及び接地導体面3の間に配置した後に、スリット調整工程を行うことができる構造を含むので、最終的なショートパッチアンテナ装置の比誘電率に近い状態でスリット部7の調整を行うことができるだけなく、導体板のみのアンテナ素子を加工する場合では誘電体基板に相当する樹脂が無いため、導体板1のスリット部7(の導体除去箇所26)をルーターなど用いて削り取った場合に、導体板における放射導体面と接地導体面との対向する角度が狂ってしまうおそれを排除してスリット部7の拡幅を行うことができる。さらに、導体板のみのアンテナ素子を加工する場合では誘電体基板に相当する樹脂が無いため、非常に困難であるスリット部の狭幅化も容易に行うことができる。狭幅化は、導体板のみのアンテナ素子で行うことは困難で、小型化の妨げとなることはいうまでもない。
【0094】
また、この実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置は、放射導体面2上に、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部から同軸線路8が突起していないために、後述の金型(第2金型)の凹部に誘電体板15を配置しなくともよいので、誘電体板15がショートパッチアンテナ装置に必要かどうかの判断を自由にすることが可能となる。さらに、樹脂の固化後に誘電体板14及び誘電体板15をアンテナ素子に貼り付けてもよい。
【0095】
図18は、実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置の概観を示している。図18(a)は実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置に絶縁性材料で形成されたケース29を被せた状態の斜視図、図18(b)は実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置に絶縁性材料で形成されたケース29を被せた状態の側面図である。なお、実施の形態6で説明するケース30もケース29と同様に絶縁性材料で形成されたものである。従来の誘電体基板を使ったショートパッチアンテナでは、誘電体基板に放射導体や接地導体に対して、パターンエッチングを行い製造していたので、誘電体基板の側面に上下と導通が取れる金属が必要であり、製造が困難であるという課題や、コネクタ給電(誘電体基板を貫通させる給電)を必要とする場合が多く、コネクタを含めたアンテナ厚みが増すなどの課題があるが、実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置はそのような課題を解決している。次に、金属板や導体板用いた板金製造のショートパッチアンテナでは、中空構造であり、小型化が困難である(誘電体の波長短縮効果が得られない)という課題や、コネクタ給電必要で厚みが厚い、耐衝撃性が弱い、寸法公差確保が難しい(アンテナ素子の厚みが安定しない)、板金のアンテナ素子が不安定であるため寸法調整が難しいなどの課題があるが、実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置はそのような課題を解決している。
【0096】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5について図19〜21を用いて説明する。実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置における放射導体面2の面積の小型化をスリット部7で図ることが可能であることを説明したが、この実施の形態5では、放射導体面2の面積を増やしながらも、ショートパッチアンテナ装置を小型化できる手法について説明する。なお、この手法とスリット部7とを併用してもよい。図19(a)はショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図19(b)はショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図19(c)はショートパッチアンテナ装置の誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7無し)、図19(d)はショートパッチアンテナ装置の誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7有り)、図20(a)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施した後の上面図、図20(b)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、短絡側面(開口部)側から導体板を見た図、図20(c)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、放射導体面側から導体板を見た図、図20(d)は図20(c)に記載の一点鎖線ABから見た導体板の断面図、図20(e)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後の斜視図である。
【0097】
図19〜21において、31は放射導体面2の先端が接地導体面3側へ折曲された整合調整面(導体板1の折曲前の状態も便宜上含める)である。なお、放射導体面2の基端は、短絡側面4側である。導体板1を折曲して(折り曲げて)形成されるものであるため、放射導体面2,接地導体面3,短絡側面4に加え、整合調整面31も「面」と表現しているが、アンテナ素子としては、整合調整面31も放射導体2である放射導体面2の一部と解釈してよい。導体板1は、折り曲げられることによって、コ字状のアンテナ素子となるが、これは、放射導体面2における短絡側面4と連続する屈曲部分(辺)と対向する辺にて、放射導体面2と連続する整合調整面31が存在する場合も含めるとする。前述の通り、放射導体面2と整合調整面31とは屈曲部分(辺)を介して連続しているとする。また、整合調整面31,放射導体面2,短絡側面4の形状がコ字状と解釈してもよい。
【0098】
整合調整面31と比較すると、スリット部7は、波長短縮効果により放射導体面2の面積を小型化するものであったが、整合調整面31を用いることで、アンテナ素子の放射導体が放射導体面2から折れ曲がった整合調整面31と放射導体面2とで構成することができるので、アンテナ素子の放射導体として面積はそのまま確保しつつ、放射導体面2の面積を小型化することができる。このように整合調整面31は、放射導体面2の先端が接地導体面3側に屈曲しているので、スリット部7と同様に放射導体面2、特に接地導体面3と対向する面の面積を小型化することができる小型化機能部として機能する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0099】
図19(a)に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図19(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。
【0100】
図19(c)(d)に記載の実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子は、それぞれ、整合調整面31を有するものと整合調整面31とスリット部7との両方を有するものであるが、形状の比較を分かり易くするために、便宜上、ほぼ同じ寸法のものを記載しているが、実際は、導体板1や樹脂16を同じもの使用する場合は、図19(c)に記載された放射導体面2の面積よりも、図19(d)に記載された放射導体面2の面積の方が小さくなる。なお、アンテナ素子(導体板1)の強度面では、整合調整面31のみを用いたもの方がスリット部7による導体板1のくびれ部分が無いので優位性が高い。誘電体板15をスリット部7による導体板1のくびれ部分の補強材として使用してもよい。この場合、誘電体板15はある程度の硬度を有する誘電体である必要がある。図20は整合調整面31とスリット部7との両方を有するアンテナ素子を得るための工程を示している。これは、他の実施の形態でも同様である。
【0101】
次に、実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法について、図20を用いて説明する。導体板加工工程に関するアンテナ素子を得る手順の説明は、図2を用いた実施の形態1におけるもの同様であるので、ここでは、導体板加工工程以降の固定を説明する。導体板加工工程後に得られた導体板1を図20(a)に示す。この導体板1を折り曲げてアンテナ素子を構成する対向した導体を得るために、外導体載置部18と連続する領域(孔部5を有する場合は、孔部5が形成された導体板1の領域ともいえる。図20は、孔部5が無い場合を示している)、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を対向させる導体板対向工程を行う。導体板対向工程は、図20に示す第1の折曲工程と第2の折曲工程からなる工程を主とし、整合調整面31を得るための第3の折曲工程が副次的に生じる。この第3の折曲工程は、第1の折曲工程、第2の折曲工程の実行の前後のいずれであってもよいし、アンテナ素子(導体板1)に同軸線路8を接続した後でもよい。
【0102】
実施の形態1と同様に、第1の折曲工程、第2の折曲工程の実行の順序は問わない。また、第1の折曲工程及び第2の折曲工程を同時に行ってもよいし、前述の導体板加工工程も同時に行ってもよい。なお、導体板対向工程の後に、導体板加工工程を行ってもよい。導体板1に導体板加工工程及び導体板対向工程の施すことにより、導体板1は、図20(b)〜(e)に示すように、開口部17を有する短絡側面4と、接地導体面3とが接する線分(辺)から導体板1と一体の外導体載置部18が、短絡側面4と接地導体面3から飛び出した形状で得られる。このような加工から、接地導体面3と外導体載置部18とは、ほぼ水平となるが、別途、互いに角度をつけてもよい。また、第3の折曲工程により、得られた整合調整面31は、短絡側面4(開口部17)と正対するように配置すると、後述する金型(第1金型及び第2金型)の形状の簡便化に繋がる。
【0103】
第1の折曲工程とは、U字状の切り欠き部19を開口部17に変換するように導体板1のU字状の切り欠き部19における二股部分の先端部分を折り曲げて、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域、及び、外導体載置部18と連続する領域を別の平面にするものであり、接地導体面3と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図20(a)に記載の折り曲げ線Xを第1の折曲工程の折り曲げ方向Xdに折り曲げることにより行う。
【0104】
第2の折曲工程とは、導体板1のU字状の切り欠き部19又は開口部17とスリット部7との間の領域を折り曲げて、U字状の切り欠き部19又は開口部17が形成された導体板1の領域、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を別の平面にするものであり、放射導体面2と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図20(a)に記載の折り曲げ線Yを第2の折曲工程の折り曲げ方向Ydに折り曲げることにより行う。
【0105】
第3の折曲工程とは、導体板1のスリット部7が形成された領域に対して、導体板1のU字状の切り欠き部19又は開口部17が形成された領域と反対側の端部を折り曲げて、アンテナ素子の放射導体を別の二つの平面である放射導体面2と整合調整面31とにするものであり、放射導体面2と整合調整面31との2面に90°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図20(a)に記載の折り曲げ線Zを第3の折曲工程の折り曲げ方向Zdに折り曲げることにより行う。
【0106】
実施の形態5に係る加工工程においては、第3の折曲工程を含めて、導体板加工工程,第1の折曲工程,第2の折曲工程がスリット部7なしの導体板1に対しても実施の形態1で説明した加工工程と同様に適用できる。第3の折曲工程は、直接的には、スリット部7とは関係がない。
【0107】
導体板対向工程後の導体板1は、アンテナ素子を構成する。その形状は、図20(b)〜図20(e)に示すようなものとなる。図20(b)(d)(e)から、開口部17が短絡側面4に形成され、開口部17の接地導体面3側には外導体載置部18が設けられていることが分かる。また、開口部17から整合調整面31が見える。図20(c)(e)から放射導体面2にスリット部7が形成されていることが分かる。また、スリット部7から接地導体面3が見える。実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子は、実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置のいずれにも適用なのである。
【0108】
実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置は、同軸ケーブルなど同軸線路で直接給電することが容易に可能なので、コネクタ不要となり、コネクタ分の厚みが減る。また、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置は、容易に導体厚を厚くすることが可能なので、交差偏波成分が増大し通信対象のアンテナの向きが交差偏波方向の場合でも通信できる可能性を容易に高めることができる。もちろん、図21及び後述する図22に示すショートパッチアンテナ装置の偏波と同じ向きの偏波を有するアンテナと通信することを主とする場合は、交差偏波成分の必要性は低くなるので、短絡側面4を短くして、放射導体面2と接地導体面3との距離を近づけて、ショートパッチアンテナ装置の小型化を図ってもよい。さらに、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置は、樹脂(誘電体樹脂)や誘電体板14(誘電体板15)でモールドされるため、耐環境性が高く安定した性能を維持できる。経年劣化、衝撃などによるアンテナ寸法変化がほとんどないなどの利点がある。
【0109】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6について図22〜29を用いて説明する。実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置では、主として同軸線路8に対して平行方向(短絡側面4に直交方向)の偏波を得るしかできないために、ショートパッチアンテナ装置を90°傾けて配置することで対応する必要がある(図21に示すように正面方向Fを固定した場合、つまり、正面方向Fを軸にショートパッチアンテナ装置を90°傾ける。)。しかし、外導体載置部18に載置された同軸線路8がアンテナ素子やケース29(ケース29がアンテナ素子を内蔵する最低限の容積の場合)から出ているために、ショートパッチアンテナ装置の配置が制限されてしまう可能性がある。ショートパッチアンテナ装置を90°傾けた場合のケースをケース30とする。なお、実施の形態5で説明した図21は、アンテナ素子と樹脂16などを透視した図であり、外導体載置部18と同軸線路8との関係が分かる(正面方向Fを固定した場合)。実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置は、同軸線路8に対して直交方向の偏波を容易に得ることが可能なものである。
【0110】
図22(a)は実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置における同軸線路8と熱収縮チューブ13を点線で図示し、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置における同軸線路8と熱収縮チューブ13を点線で図示したショートパッチアンテナ装置概観図(斜視図)、図22(b)は実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置における同軸線路8と熱収縮チューブ13を点線で図示し、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置における同軸線路8と熱収縮チューブ13を点線で図示したショートパッチアンテナ装置概観図(上面図)である。なお、図22(b)において2点鎖線で示したものは、短絡側面4の配置を示している。
【0111】
図23(a)(c)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14及び誘電体板15有り)、図23(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板15有り)、図23(d)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(孔部5有りだが、同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されているために、孔部5の符号の図示はしていない)、図24(a)(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14及び誘電体板15有り)、図24(c)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(孔部5有りだが、同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されているために、孔部5の符号の図示はしていない)、図25(a)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7有り、孔部5無し)、図25(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7有り、孔部5有りだが、同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されているために、孔部5の符号の図示はしていない)、図26(a)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7無し、整合調整面31有り)、図25(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7有り、整合調整面31有り)である。
【0112】
図27(a)は図25(a)に記載のアンテナ素子を折り曲げる前の導体板1(スリット部7有り、孔部5無し)の構成図、図27(b)は図25(b)に記載のアンテナ素子を折り曲げる前の導体板1(スリット部7有り、孔部5有り)の構成図、図27(c)は図26(a)に記載のアンテナ素子を折り曲げる前の導体板1(スリット部7無し、整合調整面31有り)の構成図、図27(d)は図26(b)に記載のアンテナ素子を折り曲げる前の導体板1(スリット部7有り、整合調整面31有り)の構成図、図28(a)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施した後の上面図、図28(b)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、短絡側面側から導体板を見た図、図28(c)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、放射導体面側から導体板を見た図、図28(d)は図28(c)に記載の一点鎖線ABから見た導体板の断面図、図28(e)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後の斜視図、図29(a)は二枚の一体の導体板を得るための導体板の上面図、図29(b)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施す過程の上面図、図29(c)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施した後の上面図(図27(a)及び図28(a)と同等のもの)である。
【0113】
図22〜29において、32は接地導体面3における短絡側面4と接する辺と連続する接地導体面3の辺から延び、導体板1と一体である外導体載置部(導体板1の折曲前や同軸線路8の接触前の状態も便宜上含める)である。外導体載置部32は、短絡側面4と接地導体面3とが接する辺と交差する接地導体面3の辺と連続しているので、外導体載置部32に同軸線路8の外導体10が接触させることにより、同軸線路8が接地導体面3に接地された状態となる。外導体10と外導体載置部32とは電気接続手段10aにより電気的に接続されている。なお、図示はしていないが、外導体載置部32は、短絡側面4と接地導体面3とが接する辺以外の接地導体面3の辺と電気的に連続しているものであればよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0114】
実施の形態1〜5において断面図と称するものは、図22(b)に記載の1点鎖線AA’による断面(同軸線路8に関連の部材は側面)に相当するものを図示しているが、実施の形態6において断面図と称するものは、図22(b)に記載の1点鎖線BB’による断面(同軸線路8に関連の部材は側面)に相当するものを図示している。そのため、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の断面図では、短絡側面4が見えない。
【0115】
実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置は、同軸線路8の外導体10を外導体載置部32に接地して、同軸線路8を固定することで、同軸コネクタを用いた給電を必要としないので、装置全体の小型化が可能である。また、アンテナの寸法調整によって、給電点が短絡側面4側に移動する必要があったとしても、導体板1以外の別の部材や前述のような同軸コネクタが不要である簡便な構造なので給電点の移動が容易に行える。さらに、図23(a)(b)(c)及び図25(a)並びに、図26(a)(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、孔部5を用いていないものであるので、孔部5の位置による同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)の配線取り回しの影響がないだけでなく、折り曲げられた導体板1内に同軸線路8(主に、絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されるので、ショートパッチアンテナ装置の厚みを薄くすることができる。
【0116】
図23(a)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図23(b)は誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0117】
図23(a)(b)はアンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。図23(c)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図23(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板15は、アンテナ素子と誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させ、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成していないもの、つまり、誘電体板14がないものは記載を省略する。
【0118】
図24(a)(b)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図24(a)はアンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。図24(b)はアンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成していないものである。
【0119】
一方、図25(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、折り曲げられた導体板1内に同軸線路8(主に、絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が孔部5を介して挿入されるので、ショートパッチアンテナ装置の厚みは、若干孔部5がないものよりも厚くなるが、同軸線路8を強固に固定できるという効果がある。もちろん、図23(a)(b)及び図25(a)並びに、図26(a)(b)に記載のショートパッチアンテナ装置に孔部5を形成して、折り曲げられた導体板1内に孔部5を介して同軸線路8(主に、絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)を挿入する構造としてもよい。
【0120】
次に、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法について、図28を用いて説明する。ここでは、一例として、図27(a)に示す導体板1を挙げる。導体板加工工程に関するアンテナ素子を得る手順の説明は、図2を用いた実施の形態1におけるもの同様であるので、ここでは、導体板加工工程以降の固定を説明する。導体板加工工程後に得られた導体板1を図28(a)に示す。この導体板1を折り曲げてアンテナ素子を構成する対向した導体を得るために、外導体載置部32と連続する領域(孔部5を有する場合は、孔部5が形成された導体板1の領域ともいえる。図28は、孔部5が無い場合を示している)、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を対向させる導体板対向工程を行う。導体板対向工程は、図28に示す第1の折曲工程と第2の折曲工程からなる工程であるが、第1の折曲工程、第2の折曲工程の実行の順序は問わない。
【0121】
実施の形態1と同様に、第1の折曲工程,第2の折曲工程は、前述の導体板加工工程も同時に行ってもよい。なお、導体板対向工程の後に、導体板加工工程を行ってもよい。導体板1に導体板加工工程及び導体板対向工程の施すことにより、導体板1は、図28(b)〜(e)に示すように、短絡側面4と接地導体面3とが接する線分(辺)と接すると接地導体面3から導体板1と一体の外導体載置部32が、接地導体面3から飛び出した形状で得られる。このような加工から、接地導体面3と外導体載置部32とは、ほぼ水平となるが、別途、互いに角度をつけてもよい。外導体載置部32と外導体載置部18とが異なる点は、外導体載置部32の形状を得るために、折り曲げる前の導体板1の外形を利用している点である。
【0122】
第1の折曲工程とは、接地導体面3となる導体板1の領域と短絡側面4となる導体板1の領域との間を折り曲げて、短絡側面4となる部分の導体板1の領域と外導体載置部32が形成された導体板1の領域とを別の平面にするものであり、接地導体面3と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図28(a)に記載の折り曲げ線Xを第1の折曲工程の折り曲げ方向Xdに折り曲げることにより行う。
【0123】
第2の折曲工程とは、スリット部7が形成された導体板1の領域と短絡側面4となる導体板1の領域との間を折り曲げて、短絡側面4となる導体板1の領域と孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を別の平面にするものであり、放射導体面2と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図28(a)に記載の折り曲げ線Yを第2の折曲工程の折り曲げ方向Ydに折り曲げることにより行う。
【0124】
実施の形態6に係る加工工程においては、第3の折曲工程を含めて、導体板加工工程,第1の折曲工程,第2の折曲工程がスリット部7なしの導体板1に対しても実施の形態1及び5で説明した加工工程と同様に適用できる。第3の折曲工程は、直接的には、スリット部7とは関係がない。
【0125】
導体板対向工程後の導体板1は、アンテナ素子を構成する。その形状は、図28(b)〜図28(e)に示すようなものとなる。図28(b)(e)から、接地導体面3に外導体載置部18が設けられていることが分かる。図28(d)から短絡側面4が平坦であることが分かる。図28(c)(e)から放射導体面2にスリット部7が形成されていることが分かる。また、スリット部7から接地導体面3が見える。実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子は、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置のいずれにも適用なのである。
【0126】
実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置における外導体載置部32は、前述の通り、外導体載置部32の形状を得るために、折り曲げる前の導体板1の外形を利用しているので、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置における外導体載置部18と比較して、導体板1に切り欠き部19を形成する必要が無い分だけ比較的容易に得ることができるが、導体板1の外形に出っ張りを設ける必要があるので、導体板1の面積が大きくなってしまう。
【0127】
そこで、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置のうち、スリット部7を有するものにおいて、図29(b)に示すように、折り曲げる前の導体板1のスリット部7と外導体載置部32との位置を、二枚の導体板1のうち、一方の導体板1を180°回転させて並べたときに、一方の導体板1の外導体載置部32が他方の導体板1のスリット部7に嵌め込まれるような配置となるように設定することで、一枚の導体板1を切断して、二枚の導体1を得る場合に、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置に用いる元の導体板1と同じ面積のものを使用することが可能となる。
【0128】
次に、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置のうち、内導体9が放射導体面2から突出していない形状のものを図30及び31を用いて説明する。図30(a)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14及び誘電体板15有り)、図30(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板15有り)、図30(c)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14有り)、図30(d)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図、図31(a)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14及び誘電体板15有り)、図31(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14有り)、図31(c)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14有り)、図31(d)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(孔部5有りだが、同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されているために、孔部5の符号の図示はしていない)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0129】
図30(a)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図31(a)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0130】
図30(b)は、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。アンテナ素子と誘電体板15は、アンテナ素子と誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図31(b)は誘電体板14をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14は、アンテナ素子と誘電体板14との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0131】
図30(c)は誘電体板14をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。アンテナ素子と誘電体板14は、アンテナ素子と誘電体板14との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図31(c)は誘電体板14をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14は、アンテナ素子と誘電体板14との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0132】
図30(a)(b)、図31(a)(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。図30(c)、図31(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成していないものである。
【0133】
本願のショートパッチアンテナ装置の製造においては、以下の工程がある。導体板加工工程、折曲工程(第1の折曲工程,第2の折曲工程,導体板対向工程)、同軸線路取付工程、載置工程(第1載置工程,第2載置工程)、金型型締め工程、封止工程(モールド工程又は樹脂注入工程)、スリット調整工程。実施の形態1〜6では、導体板加工工程、折曲工程(第1の折曲工程,第2の折曲工程,導体板対向工程)、同軸線路取付工程、スリット調整工程を主に説明したが、以下の実施の形態7〜11では、載置工程(第1載置工程,第2載置工程)、金型型締め工程、封止工程(樹脂注入工程)を主に説明する。なお、載置工程とは、本願に係るショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子を金型(第1金型,第2金型)に載置する工程である。この工程が完了した金型を型締めする工程が金型型締め工程であるが、本願では、型締めに関しては、射出成形の一般的な技術を使用するので、構成やその説明・図示は省略し、説明の簡略化のために、第1金型と第2金型とを重ね合わせた状態のみを図示する。次に、封止工程とは、型締めされた金型に樹脂を注入し、アンテナ素子の内側に、詳しくは、対向する放射導体面2と接地導体面3との間に、樹脂16を充填する工程である。封止工程後に、アンテナ素子に誘電体板14(誘電体板15)を貼り付けてもよい。
【0134】
以下の実施の形態7及び8,実施の形態10及び11では、図12及び図13を用いて説明したショートパッチアンテナ装置を用いたショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明する。実施の形態9では、図30を用いて説明したショートパッチアンテナ装置を用いたショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明する。なお、実施の形態11の説明で用いる図59のみ、図16を用いて説明したショートパッチアンテナ装置を用いたショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明である。また、実施の形態7〜11にてそれぞれ説明する事項や構成は、実施の形態1〜11の相互に適用することが可能である。なお、実施の形態1〜11において、関係する図面では、第1金型と第2金型とを重ね合わせて形成するキャビティ内に樹脂16を注入する前の段階を示している。樹脂16を注入し、キャビティから取り出したショートパッチアンテナ装置の構造(外観、断面)は、実施の形態1〜6で説明した構成のうち、対応するものを参照することができる。
【0135】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7について図32〜39を用いて説明する。図32(a)は金型の側面図、図32(b)は図32(a)の矢印Aから見た金型の外観図、図33(a)〜(e)は図32(a)(又は後述の図42(a))の一点鎖線BCから矢印方向に見た金型の外観図(同軸線路8に関しては断面図、図では内導体9や外導体10は省略)、図34(a)〜(c)は図32(b)の一点鎖線ABによる断面図、図34(d)は図32(b)の一点鎖線CDによる断面図、図35は図34(c)(d)の一点鎖線ABから矢印方向に見た金型の断面図、図36(a)〜(c)は図32(b)の一点鎖線ABによる断面図、図36(d)は図32(b)の一点鎖線CDによる断面図、図37(a)は図36(c)(d)の一点鎖線ABから矢印方向に見た金型の断面図、図37(b)は図36(c)(d)の第1金型と第2金型との型合わせ面から第1金型の方を見た金型の断面図、図38(a)(b)は図32(b)の一点鎖線ABによる断面図、図38(c)は図38(a)(b)の矢印Aから見た金型の外観図、図39(a)は図38(a)(b)図39(b)の一点鎖線BCによる断面図、図39(b)は図39(a)の矢印Aから見た金型の外観図である。
【0136】
図32〜39において、33は第1凹部を有する第1金型、33aは第1金型33の縁に形成された同軸線路8の径よりも大径の第1窪み部、33bは第1窪み部33aに同軸線路8を載置する際に第1窪み部33aと同軸線路8との間に挟みこむ低硬度のシリコン(硬度の低い)コンパウンドやスポンジなどの樹脂、34は第1金型33と重ねたときに、第1金型33の第1凹部と対向する位置に第2凹部を有する第2金型、34aは第2金型34の縁に形成された同軸線路8の径よりも大径の第2窪み部、34bは第2窪み部34aに同軸線路8を載置する際に第2窪み部34aと同軸線路8との間に挟みこむ低硬度の(硬度の低い)シリコンコンパウンドやスポンジなどの樹脂である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0137】
第1窪み部33aと第2窪み部34aは、第1金型33と第2金型34と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティ(第1凹部と第2凹部とによるもの)とこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものである。同軸線路載置管を得るためには、第1窪み部33aと第2窪み部34aを設けずに、第1金型33と第2金型34との型合わせ面において、第1金型33と第2金型34との一方の同軸線路8の径よりも大径の窪み部を形成して同軸線路載置管を得てもよい。このような同軸線路載置管を介して同時線路8が外部からキャビティへ配線される。結果的に、同軸線路載置管と同軸線路8との間に挟まれる樹脂33b及び樹脂34bはキャビティ内に樹脂16を注入した際に、樹脂16が同軸線路載置管から漏れないようにするためのものである。よって、樹脂33b及び樹脂34bではなく、同軸線路載置管と接する同軸線路8の部分に予め低硬度の樹脂などを巻きつけておいてもよいし、ブッシュ12だけで樹脂16の漏れが抑えられるのであれば、樹脂33b及び樹脂34bを同軸線路載置管と同軸線路8との間に設ける必要はない。
【0138】
図32〜39において、35、36、37、38は第1金型33と第2金型34と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を注入するために、キャビティと外部とを連通させる注入口(注入溝、注入管)であり、金型には少なくとも注入口35、注入口36、注入口37、注入口38のいずれか一つが形成されている。これらの注入口は、本願では第2金型34に形成しているが、第1金型33に形成してもよいし、同軸線路載置管と同じように、第1金型33と第2金型34との両方又は一方に窪み(溝)を設け、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで形成してもよい。注入口35は、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における開口部17若しくは短絡側面4に対向する位置に形成されたものである。注入口36は、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺を基端としたときに、その辺に対向する反対側の辺である放射導体面2及び接地導体面3の先端」に対向する位置に形成されたものである。つまり、注入口35と注入口36とがそれぞれ形成されたキャビティの側壁同士が対向していることになる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0139】
図32〜39において、注入口37は第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺」に対向する位置に形成されたものである。注入口38は第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の他方の辺」に対向する位置に形成されたものである。つまり、注入口37と注入口38とがそれぞれ形成されたキャビティの側壁同士が対向していることになる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0140】
図32は第1金型33と第2金型34とを重ね合わせて型締めした状態(金型型締め工程)を示す外観図である。この金型型締め工程へ到る工程を順番に説明していく。図33(a)及び図34(a)は第1金型33と第2金型34とを示す図である。まず、第1金型33にアンテナ素子と同軸線路を載置する第1載置工程を説明する。第1金型33の第1凹部の縁に形成された第1窪み部33aに樹脂33bを載置する(図33(b))。第1金型33の第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面3を載置し、第1窪み部33aに同軸線路8を載置する(図33(c)及び図34(b))。次に、第2金型34にアンテナ素子と同軸線路を載置する第2載置工程を説明する。第2金型34の第2凹部の縁に形成された第2窪み部34aに樹脂34bを載置する、若しくは、第2金型34と第1金型33とを重ね合わせたときに、第2窪み部34aと同軸線路8とが対向する位置である同軸線路8の部分に樹脂34bを被せる(図33(c)から図33(d)への流れに相当)。第2金型34と第1金型33とを重ね合わせ、第2金型34の第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面2を載置し、第2窪み部34aに同軸線路8を載置する(図33(e)及び図34(c)(d),図35)。第1載置工程及び第2載置工程に際しては、折曲工程にて、対向させたアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3とが短絡側面4から離れるにつれて、徐々に放射導体面2と接地導体面3とが離れていくように導体板1を折り曲げておけば、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせたときに、第1金型33の第1凹部の底部と接地導体面3とが密着し、第2金型34の第2凹部の底部と放射導体面2とが密着する。
【0141】
このような第1載置工程及び第2載置工程からなる載置工程である「第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面3を、第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面2を載置し、第1窪み部33aに同軸線路8を、第2窪み部34aに同軸線路8を載置する工程」の後に、第1金型33と第2金型34との型締めを行う金型型締め工程を行ってから、樹脂注入工程を実行する。樹脂注入工程は、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂16を外部から注入口35を介して注入するものである。短絡側面4の開口部17から、樹脂16がアンテナ素子の対向する放射導体面2と接地導体面3との間に流入するので、全体に効率よく樹脂16を充填することができる。
【0142】
図33及び図34は第1金型33と第2金型34と第1載置工程及び第2載置工程とを示す図である。第1載置工程及び第2載置工程は、順序が逆転していてもよい。つまり、図33及び34に示されている第1金型33と第2金型34との位置を逆転させる。第2金型34を下側にしてアンテナ素子の放射導体面2を第2金型34の第2凹部へ、同軸線路8を第2金型34の第2窪み部へ載置してから(第2載置工程)、アンテナ素子の接地導体面3を第1金型33の第1凹部を被せ、同軸線路8を第1金型33の第1窪み部へ被せる(第2載置工程)こと順序を逆転させて実行可能である。また、アンテナ素子(同軸線路8)を第1金型33と第2金型34とで挟み込むことにより、第1載置工程及び第2載置工程を実行することもできる。
【0143】
なお、樹脂16注入に際して、キャビティの圧力を減圧したり、固化後の樹脂16の収縮を考慮した圧を掛けて樹脂をキャビティに注入したりすることで、樹脂16の収縮によるショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子を構成する導体板1への圧力を減じるができる。樹脂16の固化後に、第1金型33及び第2金型34(金型)の型締めを解除して、ショートパッチアンテナ装置を取り出すことで、本願に係るショートパッチアンテナ装置を得ることができる。なお、アンテナ素子にスリット部7が形成されている場合、スリット調整工程は、第1金型33及び第2金型34(金型)からショートパッチアンテナ装置を取り出す前でも、型締めを解除して、第2金型34を外して、放射導体面2(スリット部7)が露出しておれば実行することが可能である。また、誘電体板14及び誘電体板15は、樹脂注入工程(スリット調整工程を行う場合は、少なくとも誘電体板15のアンテナ素子への取り付けは、スリット調整工程後)後に取り付ければよい。誘電体板14及び誘電体板15の取り付けは、どちらか一方でもよい。アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0144】
図34及び35で説明した第1金型33及び第2金型34では、外導体載置部18を載置するスペースを確保するために、第1金型33及び第2金型34によるキャビティの側壁(壁面)と短絡側面4との間に、外導体載置部18が無い場所にも空間が存在し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16が形成されていた。そこで、図34及び35にそれぞれ対応する図36及び37には、接地導体面3の形状に第1凹部の底部の形状を合わせた第1金型33と放射導体面2の形状に第2凹部の底部の形状を合わせた第2金型34とを用いた場合を説明する。図36(c)に示すように、短絡側面4に第1金型33及び第2金型34(金型)の側壁を接触させ、注入口35のキャビティ側の開口を短絡側面4の開口部17と位置合わせすることにより、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4(開口部17を除く)上には樹脂16が形成されないので、樹脂16の使用量を減らすことやショートパッチアンテナ装置の重量を軽減することができる。もちろん、第1金型33及び第2金型34(金型)のキャビティの形状が開口部17の周辺の短絡側面4に樹脂16が付着するものであってもよい。
【0145】
これまでは、第1金型33及び第2金型34(金型)に注入口35のみを形成した場合を説明してきたが、注入口35は配置上、同軸線路8に近くにキャビティ側の開口を有することになるので、樹脂注入工程による同軸線路8や同軸線路8とアンテナ素子の各電気的接続部分に与える影響を減じたい場合は、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティにおける短絡側面4と接触又は対向していない側壁に形成された注入口から樹脂16を注入すればよい。これは、図38に示すように、第1金型33及び第2金型34(金型)に注入口36を形成する場合や、図38に示すように、第1金型33及び第2金型34(金型)に注入口37及び注入口38を形成する場合が考えられる。注入口35,注入口36,注入口37,注入口38は、全て第1金型33及び第2金型34(金型)に形成してもよいし、図示はしていないが、一つだけ第1金型33及び第2金型34(金型)に形成してもよい。もちろん、各注入口を適宜組み合わせてもよい。
【0146】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8について図40及び41を用いて説明する。実施の形態7では、誘電体板14及び誘電体板15は、樹脂注入工程(スリット調整工程を行う場合は、少なくとも誘電体板15のアンテナ素子への取り付けは、スリット調整工程後)後に取り付けていたが、実施の形態8では第1金型33及び第2金型34(金型)への樹脂注入工程前に行う場合を説明する。図40(a)(b)及び図41(a)(b)は図32(b)の一点鎖線ABによる断面図である。図40(a)及び図41(a)は、放射導体面2に誘電体板15を取り付けた場合を示し、図40(b)及び図41(b)は、接地導体面3に誘電体板14を取り付け、放射導体面2に誘電体板15を取り付けた場合を示している。なお、図41に記載の第1金型33の第1凹部及び第2金型34の第2凹部の底部は、前述のアンテナ素子(放射導体面2,接地導体面3)の形状に合わせたものである。図40及び41において、14aは接地導体面3と誘電体板14との間に介在して、接地導体面3と誘電体板14とを接着させる両面テープや接着剤・接着シートなどの接着層、15aは放射導体面2と誘電体板15との間に介在して、放射導体面2と誘電体板15とを接着させる両面テープや接着剤・接着シートなどの接着層である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0147】
実施の形態8における誘電体板14及び誘電体板15の少なくとも一方のアンテナ素子への取り付けは、載置工程前にアンテナ素子に取り付けを行ってよいし、第1金型33の第1凹部に誘電体板14を載置してから、その上に、接着層14aを介して接地導体面3を載置してもよい。同じく、第2金型34の第2凹部に誘電体板15を載置してから、その上に、接着層15aを介して放射導体面2を載置してもよい。つまり、アンテナ素子を、第1凹部の底部及び第2凹部の底部の少なくとも一方に対して、誘電体板14(誘電体板15)を介して載置すればよい。なお、樹脂注入工程の際に生じる熱により、樹脂14a(樹脂15a)が溶けて、アンテナ素子に張り付くようにしてもよい。
【0148】
実施の形態9.
この発明の実施の形態9について図33及び図42〜48を用いて説明する。実施の形態7及び8では、アンテナ素子に外導体載置部18が存在している場合を例に説明を行ったが、この実施の形態9では、アンテナ素子に外導体載置部32が存在している場合を例に説明を行う。つまり、アンテナ素子の短絡側面4が金型内のキャビティと全面的に接する場合である(後述の図48(a)に示す状態)。図42(a)は金型の側面図、図42(b)は図42(a)の矢印Aから見た金型の外観図、図33(a)〜(e)は図32(a)の一点鎖線BCから矢印方向に見た金型の外観図(同軸線路8に関しては断面図、図では内導体9や外導体10は省略)、図43(a)(b)は図42(b)の一点鎖線ABによる断面図、図43(c)は図42(b)の一点鎖線CDによる断面図、図44は図43(b)(c)の一点鎖線ABから矢印方向に見た金型の断面図、図45(a)(b)は図42(b)の一点鎖線ABによる断面図、図45(c)は図42(b)の一点鎖線CDによる断面図、図46(a)は図45(b)(c)の一点鎖線ABから矢印方向に見た金型の断面図、図46(b)は図45(b)(c)の第1金型と第2金型との型合わせ面から第1金型の方を見た金型の断面図、図47(a)(b)は図42(b)の一点鎖線ABによる断面図、図47(c)は図47(a)(b)の矢印Aから見た金型の外観図、図48(a)は図47(a)(b)図48(b)の一点鎖線BCによる断面図、図48(b)は図48(a)の矢印Aから見た金型の外観図である。
【0149】
図33及び図42〜48において、39は第1凹部を有する第1金型、33aは第1金型33の縁に形成された同軸線路8の径よりも大径の第1窪み部、33bは第1窪み部33aに同軸線路8を載置する際に第1窪み部33aと同軸線路8との間に挟みこむ低硬度のシリコン(硬度の低い)コンパウンドやスポンジなどの樹脂、40は第1金型39と重ねたときに、第1金型39の第1凹部と対向する位置に第2凹部を有する第2金型、34aは第2金型40の縁に形成された同軸線路8の径よりも大径の第2窪み部、34bは第2窪み部34aに同軸線路8を載置する際に第2窪み部34aと同軸線路8との間に挟みこむ低硬度の(硬度の低い)シリコンコンパウンドやスポンジなどの樹脂である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0150】
第1窪み部33aと第2窪み部34aは、第1金型39と第2金型40重ね合わせることで内部に形成されるキャビティ(第1凹部と第2凹部とによるもの)とこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものである。同軸線路載置管を得るためには、第1窪み部33aと第2窪み部34aを設けずに、第1金型39と第2金型40との型合わせ面において、第1金型39と第2金型40との一方の同軸線路8の径よりも大径の窪み部を形成して同軸線路載置管を得てもよい。このような同軸線路載置管を介して同時線路8が外部からキャビティへ配線される。結果的に、同軸線路載置管と同軸線路8との間に挟まれる樹脂33b及び樹脂34bはキャビティ内に樹脂16を注入した際に、樹脂16が同軸線路載置管から漏れないようにするためのものである。よって、樹脂33b及び樹脂34bではなく、同軸線路載置管と接する同軸線路8の部分に予め低硬度の樹脂などを巻きつけておいてもよいし、ブッシュ12だけで樹脂16の漏れが抑えられるのであれば、樹脂33b及び樹脂34bを同軸線路載置管と同軸線路8との間に設ける必要ない。
【0151】
図33及び図42〜48において、41、42、43は第1金型39と第2金型40と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を注入するために、キャビティと外部とを連通させる注入口(注入溝、注入管)であり、金型には少なくとも注入口41、注入口42、注入口43のいずれか一つが形成されている。これらの注入口は、本願では第2金型40に形成しているが、第1金型39に形成してもよいし、同軸線路載置管と同じように、第1金型39と第2金型40との両方又は一方に窪み(溝)を設け、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで形成してもよい。注入口41は第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺(同軸線路8が挿入されている側)」に対向する位置に形成されたものである。注入口42は第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の他方の辺(同軸線路8が挿入されている側と反対側)」に対向する位置に形成されたものである。つまり、注入口41と注入口42とがそれぞれ形成されたキャビティの側壁同士が対向していることになる。注入口43は、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺を基端としたときに、その辺に対向する反対側の辺である放射導体面2及び接地導体面3の先端」に対向する位置に形成されたものである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0152】
図42は第1金型39と第2金型40とを重ね合わせて型締めした状態(金型型締め工程)を示す外観図である。この金型型締め工程へ到る工程を順番に説明していく。図33(a)及び図43(a)は第1金型39と第2金型40とを示す図である。まず、第1金型39にアンテナ素子と同軸線路を載置する第1載置工程を説明する。第1金型39の第1凹部の縁に形成された第1窪み部33aに樹脂33bを載置する(図33(b))。第1金型39の第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面3を載置し、第1窪み部33aに同軸線路8を載置する(図33(c)及び図43(a))。次に、第2金型40にアンテナ素子と同軸線路を載置する第2載置工程を説明する。第2金型40の第2凹部の縁に形成された第2窪み部34aに樹脂34bを載置する、若しくは、第2金型40と第1金型33とを重ね合わせたときに、第2窪み部34aと同軸線路8とが対向する位置である同軸線路8の部分に樹脂34bを被せる(図33(c)から図33(d)への流れに相当)。第2金型40と第1金型39とを重ね合わせ、第2金型40の第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面2を載置し、第2窪み部34aに同軸線路8を載置する(図33(e)及び図43(b)(c),図44)。第1載置工程及び第2載置工程に際しては、折曲工程にて、対向させたアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3とが短絡側面4から離れるにつれて、徐々に放射導体面2と接地導体面3とが離れていくように導体板1を折り曲げておけば、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせたときに、第1金型39の第1凹部の底部と接地導体面3とが密着し、第2金型40の第2凹部の底部と放射導体面2とが密着する。
【0153】
このような第1載置工程及び第2載置工程からなる載置工程である「第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面3を、第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面2を載置し、第1窪み部33aに同軸線路8を、第2窪み部34aに同軸線路8を載置する工程」の後に、第1金型39と第2金型40との型締めを行う金型型締め工程を行ってから、樹脂注入工程を実行する。樹脂注入工程は、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂16を外部から注入口41を介して注入するものである。樹脂16がアンテナ素子の対向する放射導体面2と接地導体面3との間に流入するので、全体に効率よく樹脂16を充填することができる。
【0154】
図33及び図43は第1金型39と第2金型40と第1載置工程及び第2載置工程とを示す図である。第1載置工程及び第2載置工程は、実施の形態7と同じく順序が逆転していてもよい。つまり、図33及び図43に示されている第1金型39と第2金型40との位置を逆転させる。第2金型40を下側にしてアンテナ素子の放射導体面2を第2金型40の第2凹部へ、同軸線路8を第2金型40の第2窪み部へ載置してから(第2載置工程)、アンテナ素子の接地導体面3を第1金型39の第1凹部を被せ、同軸線路8を第1金型39の第1窪み部へ被せる(第2載置工程)こと順序を逆転させて実行可能である。また、アンテナ素子(同軸線路8)を第1金型39と第2金型40とで挟み込むことにより、第1載置工程及び第2載置工程を実行することもできる。
【0155】
なお、樹脂16注入に際して、キャビティの圧力を減圧したり、固化後の樹脂16の収縮を考慮した圧を掛けて樹脂をキャビティに注入したりすることで、樹脂16の収縮によるショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子を構成する導体板1への圧力を減じるができる。樹脂16の固化後に、第1金型39及び第2金型40(金型)の型締めを解除して、ショートパッチアンテナ装置を取り出すことで、本願に係るショートパッチアンテナ装置を得ることができる。なお、アンテナ素子にスリット部7が形成されている場合、スリット調整工程は、第1金型39及び第2金型40(金型)からショートパッチアンテナ装置を取り出す前でも、型締めを解除して、第2金型40を外して、放射導体面2(スリット部7)が露出しておれば実行することが可能である。また、誘電体板14及び誘電体板15は、樹脂注入工程(スリット調整工程を行う場合は、少なくとも誘電体板15のアンテナ素子への取り付けは、スリット調整工程後)後に取り付ければよい。誘電体板14及び誘電体板15の取り付けは、どちらか一方でもよい。アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。もちろん、実施の形態8で説明した手法を実施の形態9に適用してもよい。
【0156】
図43及び44で説明した第1金型39及び第2金型40では、外導体載置部32を載置するスペースを確保するために、第1金型39及び第2金型40によるキャビティの側壁(壁面)とアンテナ素子との間に、外導体載置部32が無い場所にも空間が存在し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側であって、「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺(同軸線路8が挿入されている側)」に対向する位置に樹脂16が形成されていた。そこで、図43及び44にそれぞれ対応する図45及び46には、接地導体面3の形状に第1凹部の底部の形状を合わせた第1金型39と放射導体面2の形状に第2凹部の底部の形状を合わせた第2金型40とを用いた場合を説明する。
【0157】
図45(c)に示すように、「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺(同軸線路8が挿入されている側)」に第1金型39及び第2金型40(金型)の側壁を接触させ、注入口41のキャビティ側の開口を放射導体面2及び接地導体面3の間に位置合わせすることにより、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の内側にのみ樹脂16が形成されるので、樹脂16の使用量を減らすことやショートパッチアンテナ装置の重量を軽減することができる。もちろん、第1金型39及び第2金型40(金型)のキャビティの形状が「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺(同軸線路8が挿入されている側)」に対向する位置の周辺に樹脂16が付着するものであってもよい。
【0158】
これまでは、第1金型39及び第2金型40(金型)に注入口41のみを形成した場合を説明してきたが、注入口41は配置上、同軸線路8に近くにキャビティ側の開口を有することになる可能性があるので、樹脂注入工程による同軸線路8や同軸線路8とアンテナ素子の各電気的接続部分に与える影響を減じたい場合は、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティにおける短絡側面4と接触していない側壁に形成された注入口から樹脂16を注入すればよい。これは、図47に示すように、第1金型39及び第2金型40(金型)に注入口42を形成する場合や、図48に示すように、第1金型39及び第2金型40(金型)に注入口43を形成する場合が考えられる。注入口41,注入口42,注入口43は、全て第1金型39及び第2金型40(金型)に形成してもよいし、図示はしていないが、一つだけ第1金型39及び第2金型40(金型)に形成してもよい。もちろん、各注入口を適宜組み合わせてもよい。
【0159】
実施の形態10.
この発明の実施の形態10について図49〜53を用いて説明する。実施の形態7〜9では、載置工程(第1載置工程,第2載置工程)におけるアンテナ素子又は誘電体板14(誘電体板15)の載置方法は、単に金型(第1金型,第2金型)の第1凹部(第2凹部)の底部に置く、若しくは、底部をアンテナ素子に被せることで実行したが、実施の形態10では、その底部に真空引き口を形成して、金型のキャビティ内を真空引きする場合を説明する。この場合は、実施の形態7〜9のように、折曲工程にて、対向させたアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3とが短絡側面4から離れるにつれて、徐々に放射導体面2と接地導体面3とが離れていくように導体板1を折り曲げておかずとも、放射導体面2及び接地導体面3を金型(第1金型,第2金型)の第1凹部(第2凹部)の底部に密着させることができる。もちろん、真空引き口からの吸引力を適正に設定することで、折曲工程にて、対向させたアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3とが短絡側面4から離れるにつれて、徐々に放射導体面2と接地導体面3とが離れていくように導体板1を折り曲げた場合でも、放射導体面2及び接地導体面3を金型(第1金型,第2金型)の第1凹部(第2凹部)の底部に密着させることができることはいうまでもない。
【0160】
図49(a)は金型の側面図、図49(b)は図49(a)の矢印Aから見た金型(第2金型34)の外観図、図49(c)は図49(a)の矢印Bから見た金型(第1金型33)の外観図、図50及び52は図49(b)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図51は図50の第1金型33と第2金型34との型合わせ面から第1金型33の方を見た金型の断面図、図53は図52の第1金型33と第2金型34との型合わせ面から第1金型33の方を見た金型の断面図である。図49〜図53において、44は第1金型33の表面側の開口から第1凹部の底部側の開口まで貫通した真空引き口、45は第2金型34の表面側の開口から第2凹部の底部側の開口まで貫通した真空引き口である。真空引き口44及び真空引き口45における金型の表面側の開口には、真空ポンプ又は吸引装置が接続されており(図示は省略)、複数の真空引き口44及び複数の真空引き口45から、それぞれほぼ均等な力で真空引き(吸引)を行い、金型内のキャビティに負圧を生じさせるものである(吸引工程)。この負圧(吸引)により、複数の真空引き口44が接地導体面3を第1金型33の第1凹部の底部に貼り付け、複数の真空引き口45が放射導体面2を第2金型34の第2凹部の底部に貼り付ける。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0161】
図49は、第1金型33及び第2金型34の外観図であり、図49(b)には、符号は省略しているが、第2金型34に真空引き口45が複数形成されている。図49(c)には、符号は省略しているが、第1金型33に真空引き口44が複数形成されている。図50の記載の第1金型33及び第2金型34からも分かる通り、真空引き口45は、第2金型34における放射導体面2と載置工程にて接触する位置、つまり、放射導体面2の外形内に収まるように第2金型34の底部に穿たれている。同じく、真空引き口44は、第1金型33における接地導体面3と載置工程にて接触する位置、つまり、接地導体面3(外導体載置部18を含めた)の外形内に収まるように第1金型33の底部に穿たれている。図51に記載の点線の丸は、真空引き口44の位置を透視した図であるが、真空引き口44が、接地導体面3が第1金型33の第1凹部の底部に載置さ(被せら)れたときに、接地導体面3(外導体載置部18を含めた)の外形内に収まるように第1金型33の底部に穿たれていることが分かる。真空引き口44及び真空引き口45の配置は、樹脂注入工程時に樹脂16と真空引き口44及び真空引き口45の開口に掛からないようにするためである。
【0162】
次に吸引工程の説明を行う。実施の形態10に係る吸引工程は、載置工程が完了した後に行うことで、第1金型33(第1凹部の底部)及び第2金型34(第2凹部の底部)とアンテナ素子(接地導体面3及び放射導体面2)との密着性が高まる。この吸引工程を載置工程の一環として行ってもよい。また、吸引工程を継続しながら、樹脂注入工程を実行してもよいし、吸引工程によりアンテナ素子を構成する導体板1が変形して、アンテナ素子(接地導体面3及び放射導体面2)が第1金型33(第1凹部の底部)及び第2金型34(第2凹部の底部)に密着し手いる場合は、吸引工程を終了させてから、樹脂注入工程を実行してもよい。
【0163】
この実施の形態10においても、実施の形態7〜9と同じく、第1金型33(第1凹部)及び第2金型34(第2凹部)によるキャビティの形状をアンテナ素子の外形に合わせてもよい。図52及び53には、接地導体面3の形状に第1凹部の底部の形状を合わせた第1金型33と放射導体面2の形状に第2凹部の底部の形状を合わせた第2金型34とを用いたものを記載している。短絡側面4に第1金型33及び第2金型34(金型)の側壁を接触させ、注入口35のキャビティ側の開口を短絡側面4の開口部17と位置合わせすることにより、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4(開口部17を除く)上には樹脂16が形成されないので、樹脂16の使用量を減らすことやショートパッチアンテナ装置の重量を軽減することができる。もちろん、第1金型33及び第2金型34(金型)のキャビティの形状が開口部17の周辺の短絡側面4に樹脂16が付着するものであってもよい。
【0164】
また、この場合は、第1金型33(第1凹部)及び第2金型34(第2凹部)によるキャビティの形状をアンテナ素子の外形に合わせているので、真空引き口44及び真空引き口45の開口(金型の底部側)は、自ずと以下の通りになる。図52の記載の第1金型33及び第2金型34から、真空引き口45は、第2金型34における放射導体面2と載置工程にて接触する位置、つまり、放射導体面2の外形内に収まって第2金型34の底部に穿たれている。同じく、真空引き口44は、第1金型33における接地導体面3と載置工程にて接触する位置、つまり、接地導体面3(外導体載置部18を含めた)の外形内に収まって第1金型33の底部に穿たれている。図53に記載の点線の丸は、真空引き口44の位置を透視した図であるが、真空引き口44が、接地導体面3が第1金型33の第1凹部の底部に載置さ(被せら)れたときに、接地導体面3(外導体載置部18を含めた)の外形内に収まって、第1金型33の底部に穿たれていることが分かる。
【0165】
実施の形態11.
この発明の実施の形態11について図54〜59を用いて説明する。実施の形態10では誘電体板14(誘電体板15)を用いずにアンテナ素子を金型に載置する場合を説明したが、実施の形態11では誘電体板14(誘電体板15)を用いる場合を説明する。図54(a)は金型の側面図、図54(b)は図54(a)の矢印Aから見た金型(第2金型34)の外観図、図54(c)は図54(a)の矢印Bから見た金型(第1金型33)の外観図、図54(d)は図54(a)の矢印Aから見た金型(第2金型34)の外観図、図54(e)は図54(a)の矢印Bから見た金型(第1金型33)の外観図、図55(a)は図54(b)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図55(b)は図54(b)(e)の一点鎖線ABによる断面図、図56は図55(b)の第1金型33と第2金型34との型合わせ面から第1金型33の方を見た金型の断面図、図57(a)は図54(d)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図57(b)は図54(d)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図58は図57(b)の第1金型33と第2金型34との型合わせ面から第1金型33の方を見た金型の断面図、図59(a)は図54(d)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図59(b)は図59(a)に示す第1金型33に載置された誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(外導体10,絶縁性皮膜11)を配置した状態を示す図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0166】
実施の形態10では、真空引き口44及び真空引き口45により負圧により、直接、アンテナ素子の放射導体面2及び接地導体面3を金型の凹部の底部に貼り付けていたが、この実施の形態11では、アンテナ素子を、第1凹部(第1金型33)の底部及び第2凹部(第2金型34)の底部の少なくとも一方に対して、誘電体板14(誘電体板15)を介して載置する場合を説明する。載置工程の前に予め、誘電体板14(誘電体板15)を接着層14a(接着層15a)を用いてアンテナ素子の接地導体面3(放射導体面2)に貼り付けてもよいし、誘電体板14(誘電体板15)の一方の面を第1金型33の第1凹部の底部(第2金型34の第2凹部の底部)に載置し、誘電体板14(誘電体板15)の他方の面に接着層14a(接着層15a)を形成してから、アンテナ素子の接地導体面3(放射導体面2)を接着層14a(接着層15a)上に載置してもよい。
【0167】
図54は、第1金型33及び第2金型34の外観図であるが、実施の形態11に係る第1金型33及び第2金型34は、誘電体板14及び誘電体板15の使用の有無で、真空引き口44及び真空引き口45を形成する位置が変わるので、図54(a)に記載の第1金型33及び第2金型34の外観図は、複数の組み合わせの第1金型33及び第2金型34が集約されて一つの例示として記載されているとの前提で説明を進める。なお、誘電体板14及び誘電体板15の使用の有無で、真空引き口44及び真空引き口45を形成する位置が変わるとは、誘電体板14又は誘電体板15、誘電体板14及び誘電体板15を使用することで、金型の凹部の底部にアンテナ素子が、直接、触れないので、アンテナ素子の形状、具体的には、放射導体面2及び接地導体3の形状(外形)を考慮する必要がないためである。もちろん、接地導体面3の外形と同じ外形の誘電体板14と放射導体面2の外形と同じ外形の誘電体板15とを用いることで、実施の形態10で説明した真空引き口44及び真空引き口45の配置で吸引工程を実行することができる。
【0168】
図54(b)(d)には、符号は省略しているが、第2金型34に真空引き口45が複数形成されている。図54(c)(e)には、符号は省略しているが、第1金型33に真空引き口44が複数形成されている。図55(a)に示すように、誘電体板15のみを使用する場合は、第1金型33は図54(c)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(b)に記載のものを使用すればよい。図55(b)に示すように、誘電体板14及び誘電体板15を使用する場合は、第1金型33は図54(e)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(b)に記載のものを使用すればよい。図56に記載の点線の丸は、真空引き口44の位置を透視した図であるが、真空引き口44が、誘電体板14が第1金型33の第1凹部の底部に載置されたときに、誘電体板14の外形内に収まるように第1金型33の底部に穿たれていることが分かる。
【0169】
実施の形態11においても、実施の形態7〜10と同じく、第1金型33(第1凹部)及び第2金型34(第2凹部)によるキャビティの形状をアンテナ素子の外形に合わせてもよい。図57及び58には、接地導体面3の形状に第1凹部の底部の形状を合わせた第1金型33と放射導体面2の形状に第2凹部の底部の形状を合わせた第2金型34とを用いたものを記載している。図57(a)に示すように、誘電体板15のみを使用する場合は、第1金型33は図54(c)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(d)に記載のものを使用すればよい。図57(b)に示すように、誘電体板14及び誘電体板15を使用する場合は、第1金型33は図54(c)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(d)に記載のものを使用すればよい。図58に記載の点線の丸は、真空引き口44の位置を透視した図であるが、真空引き口44が、誘電体板14、又は、誘電体板14及び接地導体面3が第1金型33の第1凹部の底部に載置されたときに、誘電体板14、又は、誘電体板14及び接地導体面3の外形内に収まるように第1金型33の底部に穿たれていることが分かる。
【0170】
次に吸引工程の説明を行う。実施の形態11に係る吸引工程は、載置工程が完了した後に行うことで、第1金型33(第1凹部の底部)及び第2金型34(第2凹部の底部)とアンテナ素子(接地導体面3及び放射導体面2)との密着性、又は、第1金型33の第1凹部の底部(第2金型34第2凹部の底部)と誘電体板14(誘電体板15)との密着性が高まる。この吸引工程を載置工程の一環として行ってもよい。また、吸引工程を継続しながら、樹脂注入工程を実行してもよいし、吸引工程によりアンテナ素子を構成する導体板1が変形して、アンテナ素子(接地導体面3及び放射導体面2)が第1金型33(第1凹部の底部)及び第2金型34(第2凹部の底部)に密着し手いる場合は、吸引工程を終了させてから、樹脂注入工程を実行してもよい。なお、実施の形態11に係る吸引工程による導体板1(アンテナ素子)の適正形状への変形を要する場合であって、導体板1(アンテナ素子)に誘電体板14(誘電体板15)が設けられているときは、樹脂層14a(樹脂層15a)の接着力よりも大きな力が真空引きにより樹脂層14a(樹脂層15a)に掛からない場合に実行できる。
【0171】
実施の形態11では、例えば、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置のように、放射導体面2及び接地導体面3上に、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部から同軸線路8が突起していないために、第1金型33及び第2金型34の第1凹部及び第2凹部に誘電体板14及び誘電体板15を配置しなくともよい場合の例に説明を行ったが、実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置のように、放射導体面2及び接地導体面3上に、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部から同軸線路8が突起しているものでも適用できることを説明する。つまり、アンテナ素子を、第1凹部(第2凹部)の底部に対して、誘電体板14(誘電体板15)を介して載置し、アンテナ素子と誘電体板14(誘電体板15)との間に同軸線路を配置する場合であり、誘電体板14(誘電体板15)に窪みを形成して、その窪みに同軸線路8を配置するものである場合である。
【0172】
図59(a)に示すように、誘電体板14及び誘電体板15を使用する場合は、第1金型33は図54(c)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(d)に記載のものを使用すればよく、さらに、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部に孔部5を介して内導体9(絶縁性皮膜11)を挿入しているので、図59(b)に示すように、接地導体面3と誘電体板14との間に同軸線路8(外導体10、絶縁性皮膜11)を配置できる形状の窪みが表面に形成された誘電体板14を用いるとよい。なお。接着層14aは、前述の窪みが表面に形成された誘電体板14の表面を全面的に覆うものである必要はない。
【0173】
放射導体面2(孔部6)から内導体9(電気接続手段9)が突出している場合は、図示はしていないが、放射導体面2と誘電体板15との間に同軸線路8(内導体9(電気接続手段9a))を配置できる形状の窪みが表面に形成された誘電体板15を用いるとよい。なお。接着層15aは、前述の窪みが表面に形成された誘電体板15の表面を全面的に覆うものである必要はない。
【符号の説明】
【0174】
1・・導体板、2・・放射導体面(放射導体、パッチ)、3・・接地導体面(接地導体)、4・・短絡側面(短絡導体)、5・・孔部、6・・孔部、7・・スリット部、8・・同軸線路、9・・内導体、9a・・電気接続手段、10・・外導体、10a・・電気接続手段、11・・絶縁性皮膜、12・・ブッシュ(軸受け筒)、13・・熱収縮チューブ、14・・誘電体板(化粧パネル)、14a・・接着層(両面テープ、接着シート)、15・・誘電体板(化粧パネル)、15a・・接着層(両面テープ、接着シート)、16・・樹脂、17・・開口部、18・・外導体載置部、19・・切り欠き部、20・・線状導体、20a・・電気接続手段、20b・・電気接続手段、21・・絶縁性皮膜、22・・線状導体、22a・・電気接続手段、22b・・電気接続手段、23・・絶縁性皮膜、24・・スペーサ、25・・スリット部、26・・導体除去箇所、27・・スリット部、28・・追加導体、29・・ケース、30・・ケース、31・・整合調整面、32・・外導体載置部、33・・第1金型、33a・・第1窪み部、33b・・樹脂、34・・第2金型、34a・・第2窪み部、34b・・樹脂、35・・注入口(注入溝、注入管)、36・・注入口(注入溝、注入管)、37・・注入口(注入溝、注入管)、38・・注入口(注入溝、注入管)、39・・第1金型、40・・第2金型、41・・注入口(注入溝、注入管)、42・・注入口(注入溝、注入管)、43・・注入口(注入溝、注入管)、44・・真空引き口、45・・真空引き口。
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射導体と接地導体とを短絡させることにより、放射導体が使用周波数の1/4波長で共振して電波を送受信することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用周波数の1/2波長で放射導体(パッチ)が共振するパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)を小型化するために、放射導体と接地導体とを短絡させて使用周波数の1/4波長で放射導体(パッチ)を共振させる手法を用いたショートパッチアンテナがある(例えば、非特許文献1参照)。このショートパッチアンテナは、パッチアンテナと比較して、放射導体の一辺の寸法を1/2以下にすることも可能であることが、従来から知られている。
【0003】
ショートパッチアンテナには、特許文献1に記載のようにマイクロストリップ線路によって給電を行うもの、特許文献2に記載のように同軸線路によって給電を行うものなどがある。また、ショートパッチアンテナの構造は、誘電体基板に導体層を形成したものや(例えば、特許文献1の図1や図3参照)、一枚の金属板を折り曲げて形成するもの(例えば、特許文献2の図1〜7、図10参照)などが代表的なものとして挙げられる。
【0004】
ショートパッチアンテナには、ケース内に内蔵して使用されるものがある。例えば、特許文献2の図11〜16には、アンテナ200(アンテナ素子)をレドーム300,301に内蔵したショートパッチアンテナやそれに関連するものが記載されている。また、一般的に、ケース内に基板などの電子部品を配置して樹脂で封止する技術(例えば、特許文献3)や、ケースを用いずに、金型内に樹脂を注入して、基板などの電子部品を封止する技術がある(例えば、特許文献4及び5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−222940号公報
【特許文献2】特表2002−530908号公報
【特許文献3】特開平7−86085号公報
【特許文献4】特開平11−138585号公報
【特許文献5】特開2010−89429号公報
【0006】
【非特許文献1】小型・平面アンテナ 羽石操、平澤一紘、鈴木康夫共著 電子情報通信学会刊 1996年(133頁〜139頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
UHF帯やマイクロ帯のRFID(Radio_Frequency_IDentification)リーダライタ用のアンテナなどの無線通信装置に使用する送受信アンテナとしてパッチアンテナが使用される場合が多い。近年、入退場システムや工場の工程管理システムなどに、RFIDシステムが適用される場面が増えてきているが、アンテナを設置する場所が大きく制限されることが少なくない。このようなアンテナの設置場所の制限から、アンテナの小型化が必要となってきている。
【0008】
しかし、従来のショートパッチアンテナには、構造が複雑になってしまう、放射導体と接地導体との短絡から得られる放射導体の小型化では対応しきれないことがあるなどの種々の課題がある。
【0009】
特許文献1の図1のように、誘電体基板を用いたショートパッチアンテナでは、誘電体基板の比誘電率に応じた波長短縮効果があるので、放射導体を小型化することができるが、短絡導体にスルーホールを用いると構造が複雑になるという課題もある。さらに、スルーホールに代えて、誘電体基板の側面に短絡導体のパターンを形成することも困難であるという課題もある。また、特許文献1の図3のように、ショートパッチ(放射導体と短絡導体)のみを金属板(板金)で構成する場合は、アンテナ全体の厚みが厚くなるという課題やアンテナの構造が複雑になってしまうという課題がある。
【0010】
次に、特許文献2のように、ショートパッチアンテナのアンテナ素子を一枚の金属板を折り曲げて形成する場合は、金属板の厚みを厚いものを選択することにより、短絡方向の電流成分を増やして、交差偏波に寄与する電流成分を大きくすることができるが、アンテナ素子が金属板で構成されているので、耐衝撃性が弱いという課題がある。また、特許文献2に記載のショートパッチアンテナは、レドームを有する構成なので、アンテナの外寸が大きくなってしまうという課題もある。
【0011】
特許文献2に記載のようなコ字状のアンテナ素子を有するショートパッチアンテナを小型化するためには、アンテナ素子の周囲に樹脂で封止することで、特許文献1に記載のような誘電体基板と同様に、波長短縮効果が得られるので、アンテナ素子を小型化することが可能である。しかし、ケース内に基板などの電子部品を配置して樹脂を流し込む封止手法(特許文献3の図3及び4)では、固化時の樹脂の収縮によるアンテナ素子への圧力が掛かることを考慮しないといけないだけでなく、樹脂の収縮によりケースが変形する可能性があるので、ケースに使用できる材料や選択できるケースの形状・肉厚に大きな制限が掛かってしまうという課題がある。特に、ケースに充填する樹脂に熱硬化樹脂を選定した場合、硬化温度はケースの耐熱温度以下の樹脂とせねばならず、課題が顕著となる。また、ケースに充填する樹脂が自然硬化又は熱硬化する樹脂を選定しなければならず、電気特性に対する自由度が低く、硬化する時間が掛かるため製造時間が長くなってしまうという課題もある。
【0012】
なお、特許文献4及び5に記載のように、ケースを用いずに、金型内に樹脂を注入して、封止する手法では、金型内のキャビティの圧力を減圧したり、固化後の樹脂の収縮を考慮した圧を掛けて樹脂をキャビティに注入したりすることで、樹脂の収縮によるアンテナ素子への圧力を減じることは可能であるが、特許文献4及び5にはショートパッチアンテナのアンテナ素子や同軸線路などの給電線路を封止することに関する記載はない。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、簡易な構造であっても、金型を用いた封止により、樹脂(誘電体)による小型化が可能であるショートパッチアンテナ装置を得るための新規なショートパッチアンテナ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に挿入された内導体と前記放射導体面とが電気的に接続され、外導体と前記接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備したショートパッチアンテナ装置の製造方法であって、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路を載置する工程であって、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を載置する第1載置工程と、前記第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路とを載置する工程であって、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する第2載置工程と、前記第1載置工程及び前記第2載置工程の後に、前記第1金型と前記第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に挿入された内導体と前記放射導体面とが電気的に接続され、外導体と前記接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備したショートパッチアンテナ装置の製造方法であって、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の前に、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する載置工程と、前記金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項3の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、導体板をコ字状に折り曲げ、前記導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子を形成する折曲工程と、内導体と外導体とを有する同軸線路を前記アンテナ素子と電気的に接続する工程であって、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に前記同軸線路を挿入して、前記同軸線路の内導体と前記放射導体面とを電気的に接続し、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続する同軸線路取付工程と、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路を載置する工程であって、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を載置する第1載置工程と、前記第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路とを載置する工程であって、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する第2載置工程と、前記第1載置工程及び前記第2載置工程の後に、前記第1金型と前記第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項4の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、導体板をコ字状に折り曲げ、前記導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子を形成する折曲工程と、内導体と外導体とを有する同軸線路を前記アンテナ素子と電気的に接続する工程であって、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に前記同軸線路を挿入して、前記同軸線路の内導体と前記放射導体面とを電気的に接続し、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続する同軸線路取付工程と、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の前に、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する載置工程と、前記金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項5の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記同軸線路取付工程が、前記短絡側面と前記接地導体面とが接する辺以外の前記接地導体面の辺と連続する外導体載置部に前記同軸線路の外導体を接触させて、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続するものである請求項3又は4に記載のものである。
【0019】
請求項6の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記折曲工程が、前記導体板に、U字状の切り欠き部を形成する導体板加工工程と、前記U字状の切り欠き部を開口部に変換するように前記導体板の前記U字状の切り欠き部における二股部分の先端部分を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記U字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域を別の平面にする第1の折曲工程と、前記導体板の前記U字状の切り欠き部又は前記開口部に対して前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域、及び、前記開口部が形成された前記導体板の領域以外の前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域を別の平面にする第2の折曲工程とを行い、前記第2の折曲工程で折り曲げられ、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域と別の平面となった前記開口部が形成された前記導体板の領域以外の前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域、及び、前記第1の折曲工程で折り曲げられ、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域と別の平面となった前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記U字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域を対向させるものである請求項3又は4に記載のものである。
【0020】
請求項7の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記折曲工程が、前記導体板に、U字状の切り欠き部、及び、このU字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域に対して反対の領域であって、前記導体板の辺が切り欠かれたスリット部を形成する導体板加工工程と、前記U字状の切り欠き部を開口部に変換するように前記導体板の前記U字状の切り欠き部における二股部分の先端部分を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域を別の平面にする第1の折曲工程と、前記導体板の前記U字状の切り欠き部又は前記開口部と前記スリット部との間の領域を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域、及び、前記スリット部が形成された前記導体板の領域を別の平面にする第2の折曲工程とを行い、前記スリット部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域を対向させるものである請求項3又は4に記載のものである。
【0021】
請求項8の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記同軸線路取付工程が、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域に連続して、前記開口部と接する部分から延びた領域を外導体載置部とし、外導体を電気的に接続し、前記開口部を介して内導体を延ばして前記スリット部が形成された前記導体板の領域へ電気的に接続し、前記導体板に前記同軸線路を固定するものである請求項7に記載のものである。
【0022】
請求項9の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記樹脂注入工程の後に、前記スリット部の寸法を変更するスリット調整工程を備えた請求項8に記載のものである。
【0023】
請求項10の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記樹脂注入工程が、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における前記開口部に対向する位置に形成された注入口から樹脂を注入するものである請求項6〜9のいずれかに記載のものである。
【0024】
請求項11の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子を、前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部の少なくとも一方に対して、誘電体板を介して載置するものである請求項1〜10のいずれかに記載のものである。
【0025】
請求項12の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子を、前記第1凹部の底部に対して、誘電体板を介して載置し、前記アンテナ素子と前記誘電体板との間に前記同軸線路を配置するものである請求項1〜10に記載のものである。
【0026】
請求項13の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記誘電体板に形成された窪みに前記同軸線路を配置するものである請求項12に記載のものである。
【0027】
請求項14の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子と前記誘電体板との間に接着層を介在させるものである請求項10〜13のいずれかに記載のものである。
【0028】
請求項15の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部の少なくとも一方に前記アンテナ素子を載置したときに、前記短絡側面の一部が前記第1凹部の側壁及び前記第2凹部の側壁の少なくとも一方に接するものである請求項1〜14のいずれかに記載のものである。
【0029】
請求項16の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記樹脂注入工程が、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における前記短絡側面と接触していない側壁に形成された注入口から樹脂を注入するものである請求項15に記載のものである。
【0030】
請求項17の発明に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記同軸線路と前記同軸線路載置管との間に硬度の低い樹脂を配置するものである請求項1〜16のいずれかに記載のものである。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、請求項1及び2に係る発明によれば、第1金型と第2金型とを重ね合わせて形成される同軸線路載置管から同軸線路をキャビティ(第1金型と第2金型)の外部に出した状態で、キャビティに樹脂を注入するので、アンテナ素子に同軸線路が接続された状態でアンテナ素子とアンテナ素子及び同軸線路の電気的な接続部分とを容易に封止することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0032】
請求項3及び4に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂により装置全体を小型化することが容易な性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0033】
請求項5に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂により装置全体を小型化することが容易な上に、アンテナ素子を構成する放射導体面と接地導体面との間に挟まれる空間内の同軸線路の主構成を内導体とすることが可能で、放射導体面における給電点の設定位置の選択肢を多くすることができるので、性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0034】
請求項6に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂により装置全体を小型化することが容易な性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0035】
請求項7に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂やスリット部により装置全体を小型化することが容易な性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0036】
請求項8に係る発明によれば、請求項1及び2の効果に加えて、一枚の導体板の形状を加工して折り曲げてアンテナ素子を構成することにより、樹脂やスリット部により装置全体を小型化することが容易な上に、アンテナ素子を構成する放射導体面と接地導体面との間に挟まれる空間内の同軸線路の主構成を内導体とすることが可能で、放射導体面における給電点の設定位置の選択肢を多くすることができ、導体板の寸法公差に起因する給電点(アンテナ素子)と給電線路(同軸線路)とのインピーダンスの不整合を調整して整合をとることが容易で、性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0037】
請求項9に係る発明によれば、請求項8の効果に加えて、スリット部の調整を行えるので、導体板の寸法公差に起因する給電点(アンテナ素子)と給電線路(同軸線路)とのインピーダンスの不整合を調整して整合をとることが容易で、性能が安定した小型のショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0038】
請求項10に係る発明によれば、請求項6〜9の効果に加えて、樹脂注入工程において、より確実にアンテナ素子の短絡側面の周辺に樹脂を封入することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0039】
請求項11に係る発明によれば、請求項1〜10の効果に加えて、ショートパッチアンテナ装置の放射導体面と接地導体面との少なくとも一方の面上に誘電体板の層を形成することができるショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0040】
請求項12に係る発明によれば、請求項1〜10の効果に加えて、誘電体板の層とショートパッチアンテナ装置と接地導体面との間に同軸線路を配置したショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0041】
請求項13に係る発明によれば、請求項12の効果に加えて、キャビティ内でのアンテナ素子の安定性を容易に確保して製造可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0042】
請求項14に係る発明によれば、請求項10〜13の効果に加えて、アンテナ素子に誘電体板を確実に固定することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0043】
請求項15に係る発明によれば、アンテナ素子の短絡側面の少なくとも一部が露出するので、樹脂材料の使用量を減じることが可能であり、軽量化したショートパッチアンテナ装置を得ることが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0044】
請求項16に係る発明によれば、アンテナ素子を構成する放射導体面と接地導体面との間に挟まれる空間へ効率よく樹脂を注入することが可能なショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【0045】
請求項17に係る発明によれば、樹脂注入工程において、同軸線路載置管から樹脂が漏れ出す可能性を減じたショートパッチアンテナ装置の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図8】この発明の実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図10】この発明の実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の製造工程図(断面のイメージ図)である。
【図11】この発明の実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の図(断面のイメージ図)である。
【図12】この発明の実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図13】この発明の実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図14】この発明の実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置のスリット調整工程説明図である。
【図15】この発明の実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図16】この発明の実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図17】この発明の実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の構成図(断面のイメージ図)である。
【図18】この発明の実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置のケースを透視していない状態の斜視図である。
【図19】この発明の実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図20】この発明の実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図21】この発明の実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(矢印Fはアンテナの正面の方向を指す)である。
【図22】この発明の実施の形態1〜5と実施の形態6との対比説明用のショートパッチアンテナ装置の筐体構成図(矢印Fはアンテナの正面の方向を指す)である。
【図23】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図24】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図25】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図26】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図27】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板構成図である。
【図28】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図29】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置に使用する導体板の製造工程図である。
【図30】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図31】この発明の実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の透視図である。
【図32】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図33】この発明の実施の形態7及び9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図34】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図35】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図36】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図37】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図38】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図39】この発明の実施の形態7に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図及び外観図である。
【図40】この発明の実施の形態8に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図41】この発明の実施の形態8に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図42】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図43】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図44】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図45】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図46】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図47】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図48】この発明の実施の形態9に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図及び外観図である。
【図49】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図50】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図51】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図52】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図53】この発明の実施の形態10に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図54】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の外観図である。
【図55】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図56】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図57】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図58】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【図59】この発明の実施の形態11に係るショートパッチアンテナ装置の製造に使用する金型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本願において、断面のイメージ図とするものは、アンテナ素子を構成する導体板に同軸線路が貫通している断面図において、同軸線路に関しては断面ではなく側面から見た状態を示したものである。なお、図1〜59において、アンテナ素子に接続された同軸線路のアンテナ素子と反対側の端部が図面上断線したようになっているが、実際は、RFIDリーダライタなどの無線通信装置に接続されるものであり、接続対象を省略したために図1〜59のような記載となっている。さらに、同軸線路に装着された樹脂製のブッシュや熱収縮チューブも省略している場合がある。
【0048】
本願において、実施の形態1〜6では、ショートパッチアンテナ装置(におけるアンテナ素子)やその製造方法を主に説明し、実施の形態7〜11で、ショートパッチアンテナ装置(における樹脂封止)やその製造方法を説明する。ショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子は、コ字状のアンテナ素子であれば、実施の形態1〜6で説明するものや一体(一枚)の導体板で構成されるものでなくてもよい。なお、実施の形態5及び6で説明するように、コ字状のアンテナ素子とは、放射導体面における短絡側面と連続する屈曲部分(辺)と対向する辺にて、放射導体面と連続する整合調整面が存在する場合も含めるとする。また、放射導体面と整合調整面とは屈曲部分(辺)を介して連続しているものである。
【0049】
つまり、導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、放射導体面と接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する放射導体面と接地導体面との間に挿入された内導体と放射導体面とが電気的に接続され、外導体と接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備しておればよい。
【0050】
しかし、実施の形態1〜6で説明するショートパッチアンテナ装置(におけるアンテナ素子)の製造方法を用いることにより、特許文献2の図7及び図10のような場合であって、所望のアンテナ性能を得るために、アンテナの給電点を短絡側寄りに設定する必要ある場合に、同軸線路の内導体(中心導体)を複雑に曲げる必要があり構造が複雑化する、同軸線路を接地させるために、金属板以外の別の部材(特許文献2では「延出脚部48」に相当する)を金属板に接続する必要があり構造が複雑化する、金属板の折り曲げ角の変化が給電点と給電線路とのインピーダンス整合に影響を及ぼす、アンテナ素子の厚みが安定しないため、寸法公差確保がさらに難しくなるという課題を解決することができる。
【0051】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1〜7を用いて説明する。図1(a)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図1(b)(c)はショートパッチアンテナ装置の誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図、図2(a)は一体の導体板の上面図、図2(b)は一体の導体板に加工する形状を示す概念図、図2(c)及び図3(a)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施した後の上面図、図2(d)(e)は一体の導体板に対して導体板加工工程(二つのスリット部を複数形成した場合)を施した後の上面図、図3(b)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、短絡側面(開口部)側から導体板を見た図、図3(c)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、放射導体面側から導体板を見た図、図3(d)は図3(c)に記載の一点鎖線ABから見た導体板の断面図、図3(e)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後の斜視図、図4(a)はアンテナ素子に同軸線路を挿入した図、図4(b)はアンテナ素子の放射導体面に同軸線路の内導体を半田付けした図、図4(c)は同軸線路に絶縁ブッシュを装着した図、図4(d)はアンテナ素子の外導体載置部に同軸線路の外導体を半田付けした図、図5(a)は同軸線路に熱収縮チューブを装着した図、図5(b)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図5(c)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図ある。
【0052】
図1〜5において、1は一体(一枚)の導体板(折曲前の状態や折曲後の状態も便宜上含める)、2は折り曲げられた一体の導体板1で構成され、導体板1の対向する一方の面に形成された放射導体面(導体板1の折曲前の状態も便宜上含める)、3は折り曲げられた一体の導体板1で構成され、導体板1の対向する他方の面に形成された接地導体面(導体板1の折曲前の状態も便宜上含める)、4は折り曲げられた一体の導体板1で構成され、導体板1で放射導体面2と接地導体面3とを短絡する短絡側面(導体板1の折曲前の状態も便宜上含める)である。なお、導体板1を折曲して(折り曲げて)形成されるものであるため、放射導体面2,接地導体面3,短絡側面4は「面」と表現しているが、アンテナ素子としては、放射導体面2は放射導体2(パッチ2),接地導体面3は接地導体3,短絡側面4は短絡導体4と表現してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0053】
図1〜5において、5は接地導体面3に形成された孔部、6は放射導体面2に形成された孔部であり、ショートパッチアンテナ装置の給電点に当る。7は放射導体面2の対向する二辺の両側から対向して形成された二つのスリット部であり、形状は、図示するような矩形に限らず、波長短縮効果が得られるような形状で放射導体面2に形成された切り欠きであればよい。また、スリット部7は放射導体面2の対向する二辺に対称に形成する必要はなく一辺だけでもよい(放射導体面2の辺が切り欠かれたスリット部7)し、放射導体面2の対向する二辺に沿って複数形成してもよい。このようにスリット部7は放射導体面2、特に接地導体面3と対向する面の面積を小型化することができる小型化機能部として機能する。8は同軸ケーブルなどの同軸線路、9は同軸線路8の内導体、9aは孔部6に挿入された内導体9を電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、10は同軸線路8の外導体、11は内導体を被覆する円筒状の絶縁性皮膜、12は樹脂性のブッシュ(軸受け筒)、13は熱収縮チューブである。同軸線路8は内導体9と外導体10との間に絶縁性皮膜11が存在し、内導体9と外導体10とが絶縁されている。なお、本願において、同軸線路8の最外殻、つまり、外導体10も円筒状の絶縁性皮膜により被覆されたものを用いて説明を行う。取り付け後であっても、ブッシュ12や熱収縮チューブ13を省略している図面もある。図内で同軸線路8としている部分が、同軸線路8の最外殻である絶縁性皮膜の部分を指している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0054】
図1〜5において、14は接地導体面3上に形成された誘電体基板又は誘電体シートなどで構成させる誘電体板(化粧パネル)である。誘電体板14は接地導体面3と対向する面に同軸線路8(外導体10,絶縁性皮膜11などから構成される箇所)が配置される場合は、接地導体面3と対向する面に同軸線路8(外導体10,絶縁性皮膜11などから構成される箇所)を収納することができる窪みを有していてもよい。15は放射導体面2上に形成された誘電体基板又は誘電体シートなどで構成させる誘電体板(化粧パネル)である。誘電体板15は放射導体面2と対向する面に同軸線路8(内導体9,電気接続手段9aなどから構成される箇所)が配置される(突出している)場合は、放射導体面2と対向する面に同軸線路8(内導体9,電気接続手段9aなどから構成される箇所)を収納することができる窪みを有していてもよい。16はアンテナ素子を構成する放射導体面と接地導体面との間に挟まれる空間などに充填されるエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂である誘電体の樹脂(誘電体基板に相当する)である。ブッシュ12と熱収縮チューブ13とは後述の金型(第1金型及び第2金型)に充填される樹脂16が、筐体16から漏れることを防ぐためのものであり、ブッシュ12と熱収縮チューブ13とは一体であってもよい。17は短絡側面4に少なくとも接地導体面3側まで切り欠かれた開口である開口部、18は接地導体面3における短絡側面4上の開口部17と接する部分から延び、導体板1と一体である外導体載置部(導体板1の折曲前や同軸線路8の接触前の状態も便宜上含める)であり、外導体載置部18に同軸線路8の外導体10が接触して同軸線路8が接地導体面3に接地されている。10aは外導体10と外導体載置部18とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、19は導体板1に形成されたU字状の切り欠き部であり、切り欠き部19が導体板1の折り曲げによって開口して開口部17と外導体載置部18となる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0055】
図1に図示された実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の構造は、放射導体面2(パッチ)が短絡側面4によって接地導体面3に接地されているアンテナ素子が同軸線路8によって給電されているものである。アンテナ素子の周囲に充填された樹脂16が封入されている。したがって、導体板1により形成された放射導体面2、接地導体面3、短絡側面4に囲われた空間に樹脂16による誘電体層を容易に形成でき、樹脂16の比誘電率に応じた波長短縮効果が得られるので、ショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子(放射導体面2)の小型化を図ることができる。さらに、アンテナの放射面である放射導体面2には、導体板1の折り曲げ方向と同じ方向に沿って切り欠かれたスリット部7が形成されているので、このスリット部7による波長短縮効果により放射導体面2が短くなり、よりショートパッチアンテナ装置を小型化することができる。
【0056】
実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の給電点は、図1(a)〜(c)では放射導体面2上の対向する二つのスリット部7の間に配置されているものを図示しているが、放射導体面2上であれば、給電点の位置は、この位置に限らない(なお、他の実施の形態においても、給電点に関しては、上記のことがいえる)。ここで、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に樹脂16が充填されている空間に、接地導体面3の孔部5から内導体9又は絶縁性皮膜11付きの内導体9が挿入されている簡便な構造なので、同軸線路8の外導体10を外導体載置部18に接地することで、同軸コネクタを用いた給電を必要としないので、装置全体の小型化が可能である。また、給電点と給電線路(同軸線路8)とのインピーダンス整合をとるために行うアンテナ(導体板1)の寸法調整によって、給電点が短絡側面4側寄りに移動する必要があったとしても、図1、特に図1(c)に示すように、導体板1以外の別の部材や前述のような同軸コネクタが不要である簡便な構造なので給電点の移動が容易に行える。
【0057】
次に、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法について、図2〜5を中心に説明する。まず、図2及び3を用いて一枚の導体板1を折り曲げることにより、アンテナ素子を得る手順を説明する。図2(a)はアンテナ素子の元となる折り曲げ前の導体板1の上面を示している。まず、導体板加工工程として、導体板1に、U字状の切り欠き部19、U字状の切り欠き部に囲まれた導体板1の領域に対して反対の領域(最終的に、放射導体面2となる領域)であって、対向する導体板1の二辺の両側から対向して形成された二つのスリット部7、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域に対して、スリット部7が形成された導体板1の領域の反対側における領域(最終的に接地導体面3となる領域)に孔部5、及び、二つのスリット部7を形成した領域に孔部6を形成する。導体板加工工程は一般的な板金加工の手法を用いて図2(b)に示す導体板1の点線部分を加工すればよい。U字状の切り欠き部19,スリット部7,孔部5,孔部6の形成する順序は特に問わない。また、U字状の切り欠き部19,スリット部7,孔部5,孔部6を型抜きなどの手法にて同時に形成してもよい。なお、U字状の切り欠き部19は、図2(b)(c)に示すような直線状の外形でもよいし、丸みを持たせた外形でもよい。本願では、U字状とはV字状やC字状などの形状を包含したものとする。これは、切り欠き部19がアンテナ素子の短絡側面4に形成されるためで、短絡導体である短絡側面4に形成された切り欠き部19はショートパッチアンテナ装置の動作に与える影響が少ないからである。
【0058】
導体板加工工程後は、図2(c)に示す導体板1が得られる。この導体板1を折り曲げてアンテナ素子を構成する対向した導体を得るために、孔部5が形成された導体板1の領域、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を対向させる導体板対向工程を行う。導体板対向工程は、図3に示す第1の折曲工程と第2の折曲工程からなる工程であるが、第1の折曲工程、第2の折曲工程の実行の順序は問わない。また、第1の折曲工程及び第2の折曲工程を同時に行ってもよいし、前述の導体板加工工程も同時に行ってもよい。なお、導体板対向工程の後に、導体板加工工程を行ってもよい。導体板1に導体板加工工程及び導体板対向工程の施すことにより、導体板1は、図3(b)〜(e)に示すように、開口部17を有する短絡側面4と、接地導体面3とが接する線分(辺)から導体板1と一体の外導体載置部18が、短絡側面4と接地導体面3から飛び出した形状で得られる。このような加工から、接地導体面3と外導体載置部18とは、ほぼ水平となるが、別途、互いに角度をつけてもよい。
【0059】
なお、図2(a)〜(c)に記載の二つのスリット部7が放射導体面2に一箇所に形成されているもの(スリット部7単体は二つ)を用いて導体板加工工程を説明したが、二つのスリット部7を放射導体面2の対向する二辺に沿って複数形成してもよい。このような場合は、放射導体面2をさらに小型化することができる。図2(d)(e)に記載のように、二つのスリット部7を二箇所に形成することが例として挙げられる。図2(d)は、短絡側面4側にある二つのスリット部7の間に孔部6(給電点)が配置されたもので、図2(e)は、孔部6(給電点)が対向する二つのスリット部7の間から外れた位置に配置されたものである。図2(d)(e)に記載の折り曲げ線X及びYに関しては、導体板対向工程にて詳細な説明を行う。導体板対向工程に関しては、図2(c)〜(e)に記載の導体板1に共通のものである。
【0060】
第1の折曲工程とは、U字状の切り欠き部19を開口部17に変換するように導体板1のU字状の切り欠き部19における二股部分の先端部分を折り曲げて、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域、及び、孔部5が形成された導体板1の領域を別の平面にするものであり、接地導体面3と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図3(a)に記載の折り曲げ線Xを第1の折曲工程の折り曲げ方向Xdに折り曲げることにより行う。
【0061】
第2の折曲工程とは、導体板1のU字状の切り欠き部19又は開口部17とスリット部7との間の領域を折り曲げて、U字状の切り欠き部19又は開口部17が形成された導体板1の領域、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を別の平面にするものであり、放射導体面2と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図3(a)に記載の折り曲げ線Yを第2の折曲工程の折り曲げ方向Ydに折り曲げることにより行う。
【0062】
導体板対向工程後の導体板1は、アンテナ素子を構成する。その形状は、図3(b)〜図3(e)に示すようなものとなる。図3(b)(d)(e)から、開口部17が短絡側面4に形成され、開口部17の接地導体面3側には外導体載置部18が設けられていることが分かる。図3(c)(e)から放射導体面2にスリット部7が形成されていることが分かる。また、スリット部7から接地導体面3が見える。
【0063】
放射導体面2にスリット部7が形成されていない場合でも、導体板加工工程,第1の折曲工程,第2の折曲工程は実行できる。詳しくは、導体板1にU字状の切り欠き部19を形成する導体板加工工程後に、U字状の切り欠き部19を開口部17に変換するように導体板1のU字状の切り欠き部19における二股部分の先端部分を折り曲げて、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域、及び、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域に対してU字状の切り欠き部19に囲まれた導体板の領域を別の平面にする第1の折曲工程、導体板1のU字状の切り欠き部19又は開口部17に対して第1の折曲工程で折り曲げられた導体板の箇所と反対側の領域を折り曲げて、U字状の切り欠き部又は開口部17が形成された導体板1の領域、及び、開口部17が形成された導体板1の領域以外の第1の折曲工程で折り曲げられた導体板1の箇所と反対側の領域を別の平面にする第2の折曲工程を行い、第2の折曲工程で折り曲げられ、U字状の切り欠き部19又は開口部17が形成された導体板1の領域と別の平面となった開口部17が形成された導体板1の領域以外の第1の折曲工程で折り曲げられた導体板1の箇所と反対側の領域、及び、第1の折曲工程で折り曲げられ、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域と別の平面となったU字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域に対してU字状の切り欠き部19に囲まれた導体板1の領域を対向させる導体板対向工程後が完了する。
【0064】
導体板加工工程及び導体板対向工程の導体板1に同軸線路8を取り付ける(固定する)ことでアンテナ素子が完成する(本願では、同軸線路8の取り付け前であってもアンテナ素子と呼ぶ場合はある)。そのための同軸線路取付工程に関して図4を用いて説明する。まず、同軸線路8の先端部分の内導体9を露出させ、その後段は順に、絶縁性被覆11付き内導体9、絶縁性被覆11の上を外導体10で覆った状態としてから、図4(a)に示すように、同軸線路8が孔部5を介して接地導体面3に挿入し、同軸線路8の先端部分の内導体9を延ばして、内導体9の先端部分を孔部6に挿し込む。次に、図4(b)に示すように、孔部6に挿し込んだ先端部分の内導体9を電気接続手段9aにより電気的に接続及び固定する。これにより、同軸線路8の内導体9と放射導体面2とが導通する。なお、同軸線路8の内導体9と放射導体面2との導通は、放射導体面2に孔部6を設けずに、直接、同軸線路8の内導体9を放射導体面2(給電点に当る部分)に半田付けしてもよい。続いて、同軸線路8にブッシュ12を装着する(図4(c))。そして、図4(d)に示すように、孔部5が形成された導体板1の領域と連続して開口部17と接する部分から延びた領域である外導体載置部18に外導体10を電気接続手段10aにより電気的に接続する。図4(b)(c)(d)に記載の工程に関して、順は問わない。
【0065】
図5において、アンテナ素子に同軸線路8を取り付けた導体板1の周囲(図5(a))へ樹脂16を充填させることにより、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。図5(b)(c)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図5(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである(図1(a)と同じ構成)。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図5(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。
【0066】
続いて、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の変形例に関して図6及び7を用いて説明する。図4及び5に記載のアンテナ素子やショートパッチアンテナ装置との相違点は、同軸線路8の内導体9は、少なくとも孔部5から放射導体面2までの部分とそれ以外の部分とは別の部材である点である。この場合は、孔部5から放射導体面2までの部分に、内導体9よりも、樹脂を封入する際に優位な形状の導体を採用することが可能である。実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の変形例(製造方法)は、同軸線路取付工程が、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法と異なるので、この異なる部分を説明する。
【0067】
図6(a)はアンテナ素子に絶縁性被膜に覆われた導体を挿入した図、図6(b)はアンテナ素子の放射導体面に絶縁性被膜に覆われた導体を半田付けした図、図6(c)は同軸線路の内導体と絶縁性被膜に覆われた導体とを接触させた図、図6(d)は同軸線路に絶縁ブッシュを装着した図、図6(e)はアンテナ素子の外導体載置部に同軸線路の外導体を半田付けした図、図6(f)は同軸線路の内導体と絶縁性被膜に覆われた導体とを半田付けした図、図7(a)は同軸線路を接続したアンテナ素子を筐体に載置した図、図7(b)は同軸線路に熱収縮チューブを装着した図、図7(c)は筐体に誘電体の樹脂を充填し、アンテナ素子を封止した図である。図6及び7において、20は線状導体、20aは線状導体20と放射導体面2とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、20bは線状導体20と内導体9とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、21は線状導体20の先端部と基端部を露出させた状態で被覆する絶縁性被覆である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0068】
変形例の同軸線路取付工程に関して図6を用いて説明する。まず、同軸線路8の先端部分の内導体9を露出させ、その後段は絶縁性被覆11の上を外導体10で覆った状態とする。一方、図6(a)に示すように、導体板1へ孔部5を介して絶縁性被覆21で被覆した線状導体20を挿入し、線状導体20の先端部分を孔部6に挿し込む。次に、図6(b)に示すように、孔部6に挿し込んだ線状導体20の先端部分を電気接続手段20aにより電気的に接続及び固定する。これにより、線状導体20と放射導体面2とが導通する。なお、線状導体20と放射導体面2との導通は、放射導体面2に孔部6を設けずに、直接、線状導体20を放射導体面2(給電点部分)に半田付けしてもよい。同軸線路8の内導体9の先端部分を線状導体20の基端部分(孔部5側)に接触させる(図6(c))。続いて、同軸線路8にブッシュ12を装着する(図6(d))。そして、図6(e)に示すように、孔部5が形成された導体板1の領域と連続して開口部17と接する部分から延びた領域である外導体載置部18に外導体10を電気接続手段10aにより電気的に接続し、図6(f)に示すように、同軸線路8の内導体9の先端部分と線状導体20の基端部分(孔部5側)とを電気接続手段20bにより電気的に接続する。図6(b)〜(f)に記載の工程に関して、順は問わない。
【0069】
図7において、アンテナ素子に同軸線路8を取り付けた導体板1の周囲(図7(a))へ樹脂16を充填させることにより、実施の形態1(変形例)に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。図7(b)(c)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段20bを含む、内導体9及び内導体20並びに外導体10)を配置し、誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段20aを含む内導体20)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図7(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図7(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。
【0070】
図7に記載のショートパッチアンテナ装置は、図5を用いて説明したものと同軸線路8の構成が異なっているだけで基本的には同様である。但し、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置(変形例)は、説明した通り、同軸線路8の内導体9が、少なくとも孔部5から放射導体面2までの部分とそれ以外の部分とは別の部材(線状導体20)であるので、内導体9を曲げる必要がない。つまり、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置では、内導体9の破損せずに折り曲げられる最小の折り曲げ半径によって、給電点の変更できる幅が決まっていた(特に、短絡側面4側)。しかし、この変形例に係るショートパッチアンテナ装置は、内導体9と線状導体20を曲げずに直線的に配置することにより、内導体9の破損せずに折り曲げられる最小の折り曲げ半径を考慮しなくてもよいものである。また、図7(c)に示すように、樹脂16の固化後のショートパッチアンテナ装置の内導体9と線状導体20の接続箇所は、樹脂16に封止されるために、強度しては、線状導体20を用いない場合との実用上の差異はない(もちろん、電気接続手段20bが露出していても、誘電体板14により覆われているので、強度が確保されている)。
【0071】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図8〜11を用いて説明する。実施の形態1では、孔部5を利用して接地導体面3から同軸線路8(内導体9)を挿入する場合について説明したが、この実施の形態2では、開口部17を利用して接地導体面3側の短絡側面4から同軸線路8(内導体9)を挿入する場合について説明する。なお、このような場合では孔部5は必ずしも必要ではない。図8(a)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図8(b)(c)はショートパッチアンテナ装置の誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図、図9(a)はアンテナ素子に同軸線路を挿入した図、図9(b)はアンテナ素子の放射導体面に同軸線路の内導体を半田付けした図、図9(c)は同軸線路に絶縁ブッシュを装着した図、図9(d)はアンテナ素子の外導体載置部に同軸線路の外導体を半田付けした図、図10(a)は同軸線路に熱収縮チューブを装着した図、図10(b)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図10(c)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図10(d)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図ある。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0072】
図8に図示された実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の構造は、放射導体面2(パッチ)が短絡側面4によって接地導体面3に接地されているアンテナ素子が同軸線路8によって給電されているものである。アンテナ素子の周囲に充填された樹脂16が封入されている。したがって、樹脂16の比誘電率に応じた波長短縮効果が得られるので、ショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子(放射導体面2)の小型化を図ることができる。さらに、アンテナの放射面である放射導体面2には、導体板1の折り曲げ方向と同じ方向に沿って切り欠かれたスリット部7が形成されているので、波長短縮効果により放射導体面2が短くなり、よりショートパッチアンテナ装置を小型化することができるなどの事項は、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の構造と同様である。
【0073】
実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の給電点に関しても、実施の形態1で行ったものと同様のものなので説明を省略する。もちろん、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置にも、同軸線路8の外導体10を外導体載置部18に接地することで、同軸コネクタを用いた給電を必要としないので、装置全体の小型化が可能である。また、アンテナの寸法調整によって、給電点が短絡側面4側に移動する必要があったとしても、導体板1以外の別の部材や前述のような同軸コネクタが不要である簡便な構造なので給電点の移動が容易に行える。さらに、孔部5が無いために孔部5の位置による同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)の配線取り回しの影響がないだけでなく、折り曲げられた導体板1内に同軸線路8(主に、絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されるので、ショートパッチアンテナ装置の厚みを薄くすることができる。次に、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法における導体板1の加工に関してだが、導体板1に必ずしも孔部5を設ける必要がないという点を除けば、図2及び3で説明した導体板加工工程及び導体板対向工程と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
導体板加工工程及び導体板対向工程の導体板1に同軸線路8を取り付ける(固定する)ことでアンテナ素子が完成する。そのための同軸線路取付工程に関して図9を用いて説明する。まず、同軸線路8の先端部分の内導体9を露出させ、その後段は順に、絶縁性被覆11付き内導体9、絶縁性被覆11の上を外導体10で覆った状態としてから、図9(a)に示すように、同軸線路8が開口部17を介して短絡側面4に挿入し、同軸線路8の先端部分の内導体9を折り曲げ、延ばして孔部6に挿し込む。次に、図9(b)に示すように、孔部6に挿し込んだ同軸線路8の先端部分の内導体9を電気接続手段9aにより電気的に接続及び固定する。これにより、同軸線路8の内導体9と放射導体面2とが導通する。なお、同軸線路8の内導体9と放射導体面2との導通は、放射導体面2に孔部6を設けずに、直接、同軸線路8の内導体9を放射導体面2(給電点部分)に半田付けしてもよい。続いて、同軸線路8にブッシュ12を装着する(図9(c))。そして、図9(d)に示すように、導体板1の領域(接地導体面3)と連続して開口部17と接する部分から延びた領域である外導体載置部18に外導体10を電気接続手段10aにより電気的に接続する。図9(b)(c)(d)に記載の工程に関して、順は問わない。
【0075】
図10(図8(a))において、アンテナ素子に同軸線路8を取り付けた導体板1の周囲(図10(a))へ樹脂16を充填させることにより、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。図8(a),図10(b)(c)(d)は誘電体板14、誘電体板15の少なくとも一方をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図8(a)、図10(図)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図10(c)(d)は誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0076】
図8(a)、図10(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図10(b)(d)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。
【0077】
また、図8(a),図10(b)(c)(d)に記載のショートパッチアンテナ装置は、開口部17に挿入された同軸線路8(ここでは、絶縁性皮膜11付きの内導体9)の径が開口部よりも小さければ小さいほど、同軸線路8が挿入された後の開口部17の開口面積が大きくなるので、後述の金型(第1金型及び第2金型)を重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における開口部17に対向する位置に形成された注入口から樹脂を注入するものことで、樹脂16を注入する際、同軸線路8が挿入された後の開口部17の開口から樹脂16がアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3との間に流入するので、全体に効率よく樹脂16を充填することができる。
【0078】
以上のように、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置は、開口部17を利用して同軸線路8(内導体9)を接地導体面3側の短絡側面4から挿入するので、アンテナの電気的な性能を変化させることなく、ショートパッチアンテナ装置の厚み方向(短絡側面4が延びる方向)の長さを実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置よりも薄くすることができる。
【0079】
さらに、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置は、実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置の変形例と同じく、同軸線路8の内導体9は、少なくとも接地導体面3から放射導体面2に亘る方向に延びた部分とそれ以外の部分とは別の部材でもよい。それ以外の部分とは、実施の形態1(変形例)で示すように、曲げていない内導体9(絶縁性皮膜11から露出した部分)を指す。ここで、図11において、22は線状導体、23は線状導体を被覆する円筒状の絶縁性皮膜であり、点線で示す部分に線状導体22が内挿されている。24は線状導体22が接地導体面3と短絡しないように絶縁するスペーサ、22aは線状導体22と放射導体面2とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段、22bは線状導体22と内導体9とを電気的に接続する半田付けなどの電気接続手段である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0080】
実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置の変形例に関して図11を用いて説明する。図11(a)はショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の断面のイメージ図(同軸線路8形成済み)、図11(b)はショートパッチアンテナ装置に使用するアンテナ素子の断面のイメージ図(同軸線路8なし)である。なお、図11は図6に相当するので(特に、図11(a)は図6(f)に相当し、図11(b)は図6(a)に相当する)、実施の形態1(変形例)及び実施の形態2と異なる点だけを説明すると、図11(a)に示すように、孔部6に挿し込んだ線状導体22の先端部分は、電気接続手段22aにより電気的に接続及び固定されており、線状導体22と放射導体面2とが導通している。また、同軸線路8の内導体9の先端部分と線状導体22の基端部分(接地導体面3寄りの側)は、電気接続手段22bにより電気的に接続されている。また、この内導体9が電気的に接続された線状導体22の基端部分は、スペーサ24により接地導体面3と絶縁されており、線状導体22及び内導体9が短絡しない構造となっている。
【0081】
実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置(変形例)の給電部分の製造方法は、先端部分と基端部分を露出させた状態で絶縁性皮膜23に被覆された線状導体22の先端部分を放射導体面2の孔部6に挿し込み、線状導体22の基端部分と接地導体面3との間にスペーサ24を挟む。この状態で、電気接続手段22a、22bを行えばよい。なお、スペーサ24を挟む前に、電気接続手段22a又は電気接続手段22bを行ってもよいし、線状導体22の先端部分を放射導体面2の孔部6に挿し込み、線状導体22の基端部分と接地導体面3との間にスペーサ24を挟め、電気接続手段22bを行った後に、電気接続手段22aを行ってもよい。さらに、事前にスペーサ24にザグリ孔を空けて、そのザグリ孔に線状導体22の基端部分を挿し込んで、線状導体22(絶縁性皮膜23を含む)とスペーサ24とを一体化したものを製造して、この実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置(変形例)の給電部分に使用してもよい。
【0082】
この実施の形態2では、「孔部5は必ずしも必要ではない。」としてきたが、前述のような、一体化したスペーサ24と線状導体22を使用する場合は、図11(b)に示すように、接地導体面3に孔部5を有する導体板1(アンテナ素子)を用いた方が、一体化したスペーサ24と線状導体22を固定し易い。本願では、アンテナ素子には、交差偏波を考慮してある程度の厚みがある導体板1を使用しているために、孔部5の径とスペーサ24の径とを孔部5がスペーサ24を嵌合できる程度のものを選ぶことにより、スペーサ24を接地導体面3で支持・固定することができる。もちろん、樹脂16を注入することにより、スペーサ24(線状導体22を含む)が固定されるので、孔部5がスペーサ24を嵌合していなくてもよいが、嵌合されていた方が、電気接続手段22a、22bを実行し易い。
【0083】
次に、一体化したスペーサ24と線状導体22を使用する場合の手順を説明する。導体板1へ孔部5を介して一体化したスペーサ24と線状導体22とを挿入し、線状導体22の先端部分を孔部5に挿し込み(図11(b))、孔部5に挿し込んだ線状導体22の先端部分を電気接続手段22aにより電気的に接続及び固定する。これにより、線状導体22と放射導体面2とが導通する。なお、線状導体22と放射導体面2との導通は、放射導体面2に孔部6を設けずに、直接、線状導体22を放射導体面2(給電点部分)に半田付けしてもよい。開口部17を介し、同軸線路8の内導体9の先端部分を線状導体22の基端部分(孔部5寄りの側)と接触させる。続いて、同軸線路8にブッシュ12を装着する。そして、孔部6が形成された導体板1の領域と連続して開口部17と接する部分から延びた領域である外導体載置部18に外導体10を電気接続手段10aにより電気的に接続し、同軸線路8の内導体9の先端部分と線状導体20の基端部分(孔部5側)とを電気接続手段22bにより電気的に接続する。
【0084】
この実施の形態2(変形例)においても、アンテナ素子に同軸線路8を取り付け、導体板1の周囲に樹脂16を充填させることにより、実施の形態2に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。また、開口部17を利用して同軸線路8(内導体9)を接地導体面3側の短絡側面4から挿入するので、アンテナの電気的な性能を変化させることなく、ショートパッチアンテナ装置の厚み方向(短絡側面4が延びる方向)の長さを実施の形態1に係るショートパッチアンテナ装置よりも薄くすることができる。
【0085】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図12〜14を用いて説明する。この実施の形態3では、実施の形態2で説明した開口部17に同軸線路8を挿入したものを例に説明を行う。また、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の構造は、孔部6を形成せずに、内導体9の先端を折り曲げて、放射導体面2へ電気接続手段9aに電気的に接続されている以外は、実施の形態1及び2(変形例を含み)に係るショートパッチアンテナ装置の構造と同様であり、動作に関しても同様である。
【0086】
図12(a)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図12(b)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図12(c)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図13(a)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図13(b)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図13(c)は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図である。図14において、25はスリット部7が導体板1を削られることによりできた拡幅したスリット部、26は導体板1の導体除去箇所、27はスリット部7が導体板1に導体を追加されてできた狭幅したスリット部、28は導体板1に追加された追加導体である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0087】
以下、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明する。アンテナ素子に同軸線路8を取り付け、導体板1の周囲に樹脂16を充填させることにより、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。図12(a)及び図13(a)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図12(b)及び図13(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14及び誘電体板15を有し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。図12(c)及び図13(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板15を有し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。誘電体板14のみを有するショートパッチアンテナ装置は記載を省略する。
【0088】
実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置において、図12(b)図13(a)に示すように、少なくとも二つのスリット部7を露出させた構造に関して説明する。図14(a)は、樹脂16の固化後において、ショートパッチアンテナ装置の導体板1部分に焦点を当てたショートパッチアンテナ装置の上面図である。アンテナ素子の小型に寄与するスリット部7の寸法が適切かどうかを検討するため、実際にこのショートパッチアンテナ装置の電気的な(電波的な)性能を測定する。その結果、以下のスリット調整工程を行う。スリット部7を拡幅する必要がある場合は、図14(b)に示すように、導体板1のスリット部7(の導体除去箇所26)をルーターなどの一般的な外形加工機を用いて削り取って、拡幅してスリット部25を得る。スリット部7を狭幅する必要がある場合は、図14(c)に示すように、導体板1のスリット部7に導体箔や半田などの追加導体28を追加し(追加導体28を導体板1に導通させ)、狭幅してスリット部27を得る。もちろん、追加導体28により狭幅化したスリット部27の一部を削り取って、微調整してもよい。もちろん、微調整の後に、放射導体面2上に誘電体板15を形成してもよい。
【0089】
このように、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法では、樹脂16を放射導体面2及び接地導体面3の間に配置した後に、スリット調整工程を行うことができる構造を含むので、最終的なショートパッチアンテナ装置の比誘電率に近い状態でスリット部7の調整を行うことができるだけなく、導体板のみのアンテナ素子を加工する場合では誘電体基板に相当する樹脂が無いため、導体板1のスリット部7(の導体除去箇所26)をルーターなど用いて削り取った場合に、導体板における放射導体面と接地導体面との対向する角度が狂ってしまうおそれを排除してスリット部7の拡幅を行うことができる。さらに、導体板のみのアンテナ素子を加工する場合では誘電体基板に相当する樹脂が無いため、非常に困難であるスリット部の狭幅化も容易に行うことができる。狭幅化は、導体板のみのアンテナ素子で行うことは困難で、小型化の妨げとなることはいうまでもない。
【0090】
また、この実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置は、放射導体面2及び接地導体面3上に、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部から同軸線路8が突起していないために、後述の金型(第1金型及び第2金型)の凹部に誘電体板14及び誘電体板15を配置しなくともよいので、誘電体板14及び誘電体板15がショートパッチアンテナ装置に必要かどうかの判断を自由にすることが可能となる。さらに、樹脂の固化後に誘電体板14又は誘電体板15をアンテナ素子に貼り付けてもよい。
【0091】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について図15〜17を用いて説明する。この実施の形態4では、実施の形態3で説明したショートパッチアンテナ装置とは、孔部5から同軸線路8(絶縁性皮膜11部分)を挿入した点が異なるので、その相違点を中心に説明する。図15、16、17は誘電体の樹脂を充填したショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。以下、実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明する。アンテナ素子に孔部5を介して同軸線路8を取り付け、導体板1の周囲に樹脂16を充填させることにより、実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置が完成する。
【0092】
図15に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14及び誘電体板15を有し、誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。該空間内の外側(外面)の短絡側面4は、樹脂16により全面を覆われていてもよい。図16に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14及び誘電体板15を有し、誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。図16に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14を有し、誘電体板14及び誘電体板15を有し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。図17に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14を有し、誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。なお、誘電体板14を有し、誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したもの、つまり、誘電体板15がないものは記載を省略する。
【0093】
実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置において、図17に示すように、少なくとも二つのスリット部7を露出させた構造に関して説明する。スリット調整工程は、実施の形態3において図14を用いて説明したものと同様であるので説明は省略する。この実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法では、樹脂16を放射導体面2及び接地導体面3の間に配置した後に、スリット調整工程を行うことができる構造を含むので、最終的なショートパッチアンテナ装置の比誘電率に近い状態でスリット部7の調整を行うことができるだけなく、導体板のみのアンテナ素子を加工する場合では誘電体基板に相当する樹脂が無いため、導体板1のスリット部7(の導体除去箇所26)をルーターなど用いて削り取った場合に、導体板における放射導体面と接地導体面との対向する角度が狂ってしまうおそれを排除してスリット部7の拡幅を行うことができる。さらに、導体板のみのアンテナ素子を加工する場合では誘電体基板に相当する樹脂が無いため、非常に困難であるスリット部の狭幅化も容易に行うことができる。狭幅化は、導体板のみのアンテナ素子で行うことは困難で、小型化の妨げとなることはいうまでもない。
【0094】
また、この実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置は、放射導体面2上に、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部から同軸線路8が突起していないために、後述の金型(第2金型)の凹部に誘電体板15を配置しなくともよいので、誘電体板15がショートパッチアンテナ装置に必要かどうかの判断を自由にすることが可能となる。さらに、樹脂の固化後に誘電体板14及び誘電体板15をアンテナ素子に貼り付けてもよい。
【0095】
図18は、実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置の概観を示している。図18(a)は実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置に絶縁性材料で形成されたケース29を被せた状態の斜視図、図18(b)は実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置に絶縁性材料で形成されたケース29を被せた状態の側面図である。なお、実施の形態6で説明するケース30もケース29と同様に絶縁性材料で形成されたものである。従来の誘電体基板を使ったショートパッチアンテナでは、誘電体基板に放射導体や接地導体に対して、パターンエッチングを行い製造していたので、誘電体基板の側面に上下と導通が取れる金属が必要であり、製造が困難であるという課題や、コネクタ給電(誘電体基板を貫通させる給電)を必要とする場合が多く、コネクタを含めたアンテナ厚みが増すなどの課題があるが、実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置はそのような課題を解決している。次に、金属板や導体板用いた板金製造のショートパッチアンテナでは、中空構造であり、小型化が困難である(誘電体の波長短縮効果が得られない)という課題や、コネクタ給電必要で厚みが厚い、耐衝撃性が弱い、寸法公差確保が難しい(アンテナ素子の厚みが安定しない)、板金のアンテナ素子が不安定であるため寸法調整が難しいなどの課題があるが、実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置はそのような課題を解決している。
【0096】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5について図19〜21を用いて説明する。実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置における放射導体面2の面積の小型化をスリット部7で図ることが可能であることを説明したが、この実施の形態5では、放射導体面2の面積を増やしながらも、ショートパッチアンテナ装置を小型化できる手法について説明する。なお、この手法とスリット部7とを併用してもよい。図19(a)はショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図19(b)はショートパッチアンテナ装置の側面を透視したアンテナ構成図、図19(c)はショートパッチアンテナ装置の誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7無し)、図19(d)はショートパッチアンテナ装置の誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7有り)、図20(a)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施した後の上面図、図20(b)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、短絡側面(開口部)側から導体板を見た図、図20(c)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、放射導体面側から導体板を見た図、図20(d)は図20(c)に記載の一点鎖線ABから見た導体板の断面図、図20(e)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後の斜視図である。
【0097】
図19〜21において、31は放射導体面2の先端が接地導体面3側へ折曲された整合調整面(導体板1の折曲前の状態も便宜上含める)である。なお、放射導体面2の基端は、短絡側面4側である。導体板1を折曲して(折り曲げて)形成されるものであるため、放射導体面2,接地導体面3,短絡側面4に加え、整合調整面31も「面」と表現しているが、アンテナ素子としては、整合調整面31も放射導体2である放射導体面2の一部と解釈してよい。導体板1は、折り曲げられることによって、コ字状のアンテナ素子となるが、これは、放射導体面2における短絡側面4と連続する屈曲部分(辺)と対向する辺にて、放射導体面2と連続する整合調整面31が存在する場合も含めるとする。前述の通り、放射導体面2と整合調整面31とは屈曲部分(辺)を介して連続しているとする。また、整合調整面31,放射導体面2,短絡側面4の形状がコ字状と解釈してもよい。
【0098】
整合調整面31と比較すると、スリット部7は、波長短縮効果により放射導体面2の面積を小型化するものであったが、整合調整面31を用いることで、アンテナ素子の放射導体が放射導体面2から折れ曲がった整合調整面31と放射導体面2とで構成することができるので、アンテナ素子の放射導体として面積はそのまま確保しつつ、放射導体面2の面積を小型化することができる。このように整合調整面31は、放射導体面2の先端が接地導体面3側に屈曲しているので、スリット部7と同様に放射導体面2、特に接地導体面3と対向する面の面積を小型化することができる小型化機能部として機能する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0099】
図19(a)に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図19(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。
【0100】
図19(c)(d)に記載の実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子は、それぞれ、整合調整面31を有するものと整合調整面31とスリット部7との両方を有するものであるが、形状の比較を分かり易くするために、便宜上、ほぼ同じ寸法のものを記載しているが、実際は、導体板1や樹脂16を同じもの使用する場合は、図19(c)に記載された放射導体面2の面積よりも、図19(d)に記載された放射導体面2の面積の方が小さくなる。なお、アンテナ素子(導体板1)の強度面では、整合調整面31のみを用いたもの方がスリット部7による導体板1のくびれ部分が無いので優位性が高い。誘電体板15をスリット部7による導体板1のくびれ部分の補強材として使用してもよい。この場合、誘電体板15はある程度の硬度を有する誘電体である必要がある。図20は整合調整面31とスリット部7との両方を有するアンテナ素子を得るための工程を示している。これは、他の実施の形態でも同様である。
【0101】
次に、実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法について、図20を用いて説明する。導体板加工工程に関するアンテナ素子を得る手順の説明は、図2を用いた実施の形態1におけるもの同様であるので、ここでは、導体板加工工程以降の固定を説明する。導体板加工工程後に得られた導体板1を図20(a)に示す。この導体板1を折り曲げてアンテナ素子を構成する対向した導体を得るために、外導体載置部18と連続する領域(孔部5を有する場合は、孔部5が形成された導体板1の領域ともいえる。図20は、孔部5が無い場合を示している)、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を対向させる導体板対向工程を行う。導体板対向工程は、図20に示す第1の折曲工程と第2の折曲工程からなる工程を主とし、整合調整面31を得るための第3の折曲工程が副次的に生じる。この第3の折曲工程は、第1の折曲工程、第2の折曲工程の実行の前後のいずれであってもよいし、アンテナ素子(導体板1)に同軸線路8を接続した後でもよい。
【0102】
実施の形態1と同様に、第1の折曲工程、第2の折曲工程の実行の順序は問わない。また、第1の折曲工程及び第2の折曲工程を同時に行ってもよいし、前述の導体板加工工程も同時に行ってもよい。なお、導体板対向工程の後に、導体板加工工程を行ってもよい。導体板1に導体板加工工程及び導体板対向工程の施すことにより、導体板1は、図20(b)〜(e)に示すように、開口部17を有する短絡側面4と、接地導体面3とが接する線分(辺)から導体板1と一体の外導体載置部18が、短絡側面4と接地導体面3から飛び出した形状で得られる。このような加工から、接地導体面3と外導体載置部18とは、ほぼ水平となるが、別途、互いに角度をつけてもよい。また、第3の折曲工程により、得られた整合調整面31は、短絡側面4(開口部17)と正対するように配置すると、後述する金型(第1金型及び第2金型)の形状の簡便化に繋がる。
【0103】
第1の折曲工程とは、U字状の切り欠き部19を開口部17に変換するように導体板1のU字状の切り欠き部19における二股部分の先端部分を折り曲げて、U字状の切り欠き部19が形成された導体板1の領域、及び、外導体載置部18と連続する領域を別の平面にするものであり、接地導体面3と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図20(a)に記載の折り曲げ線Xを第1の折曲工程の折り曲げ方向Xdに折り曲げることにより行う。
【0104】
第2の折曲工程とは、導体板1のU字状の切り欠き部19又は開口部17とスリット部7との間の領域を折り曲げて、U字状の切り欠き部19又は開口部17が形成された導体板1の領域、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を別の平面にするものであり、放射導体面2と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図20(a)に記載の折り曲げ線Yを第2の折曲工程の折り曲げ方向Ydに折り曲げることにより行う。
【0105】
第3の折曲工程とは、導体板1のスリット部7が形成された領域に対して、導体板1のU字状の切り欠き部19又は開口部17が形成された領域と反対側の端部を折り曲げて、アンテナ素子の放射導体を別の二つの平面である放射導体面2と整合調整面31とにするものであり、放射導体面2と整合調整面31との2面に90°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図20(a)に記載の折り曲げ線Zを第3の折曲工程の折り曲げ方向Zdに折り曲げることにより行う。
【0106】
実施の形態5に係る加工工程においては、第3の折曲工程を含めて、導体板加工工程,第1の折曲工程,第2の折曲工程がスリット部7なしの導体板1に対しても実施の形態1で説明した加工工程と同様に適用できる。第3の折曲工程は、直接的には、スリット部7とは関係がない。
【0107】
導体板対向工程後の導体板1は、アンテナ素子を構成する。その形状は、図20(b)〜図20(e)に示すようなものとなる。図20(b)(d)(e)から、開口部17が短絡側面4に形成され、開口部17の接地導体面3側には外導体載置部18が設けられていることが分かる。また、開口部17から整合調整面31が見える。図20(c)(e)から放射導体面2にスリット部7が形成されていることが分かる。また、スリット部7から接地導体面3が見える。実施の形態5に係るショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子は、実施の形態1〜4に係るショートパッチアンテナ装置のいずれにも適用なのである。
【0108】
実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置は、同軸ケーブルなど同軸線路で直接給電することが容易に可能なので、コネクタ不要となり、コネクタ分の厚みが減る。また、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置は、容易に導体厚を厚くすることが可能なので、交差偏波成分が増大し通信対象のアンテナの向きが交差偏波方向の場合でも通信できる可能性を容易に高めることができる。もちろん、図21及び後述する図22に示すショートパッチアンテナ装置の偏波と同じ向きの偏波を有するアンテナと通信することを主とする場合は、交差偏波成分の必要性は低くなるので、短絡側面4を短くして、放射導体面2と接地導体面3との距離を近づけて、ショートパッチアンテナ装置の小型化を図ってもよい。さらに、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置は、樹脂(誘電体樹脂)や誘電体板14(誘電体板15)でモールドされるため、耐環境性が高く安定した性能を維持できる。経年劣化、衝撃などによるアンテナ寸法変化がほとんどないなどの利点がある。
【0109】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6について図22〜29を用いて説明する。実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置では、主として同軸線路8に対して平行方向(短絡側面4に直交方向)の偏波を得るしかできないために、ショートパッチアンテナ装置を90°傾けて配置することで対応する必要がある(図21に示すように正面方向Fを固定した場合、つまり、正面方向Fを軸にショートパッチアンテナ装置を90°傾ける。)。しかし、外導体載置部18に載置された同軸線路8がアンテナ素子やケース29(ケース29がアンテナ素子を内蔵する最低限の容積の場合)から出ているために、ショートパッチアンテナ装置の配置が制限されてしまう可能性がある。ショートパッチアンテナ装置を90°傾けた場合のケースをケース30とする。なお、実施の形態5で説明した図21は、アンテナ素子と樹脂16などを透視した図であり、外導体載置部18と同軸線路8との関係が分かる(正面方向Fを固定した場合)。実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置は、同軸線路8に対して直交方向の偏波を容易に得ることが可能なものである。
【0110】
図22(a)は実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置における同軸線路8と熱収縮チューブ13を点線で図示し、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置における同軸線路8と熱収縮チューブ13を点線で図示したショートパッチアンテナ装置概観図(斜視図)、図22(b)は実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置における同軸線路8と熱収縮チューブ13を点線で図示し、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置における同軸線路8と熱収縮チューブ13を点線で図示したショートパッチアンテナ装置概観図(上面図)である。なお、図22(b)において2点鎖線で示したものは、短絡側面4の配置を示している。
【0111】
図23(a)(c)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14及び誘電体板15有り)、図23(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板15有り)、図23(d)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(孔部5有りだが、同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されているために、孔部5の符号の図示はしていない)、図24(a)(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14及び誘電体板15有り)、図24(c)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(孔部5有りだが、同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されているために、孔部5の符号の図示はしていない)、図25(a)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7有り、孔部5無し)、図25(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7有り、孔部5有りだが、同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されているために、孔部5の符号の図示はしていない)、図26(a)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7無し、整合調整面31有り)、図25(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(スリット部7有り、整合調整面31有り)である。
【0112】
図27(a)は図25(a)に記載のアンテナ素子を折り曲げる前の導体板1(スリット部7有り、孔部5無し)の構成図、図27(b)は図25(b)に記載のアンテナ素子を折り曲げる前の導体板1(スリット部7有り、孔部5有り)の構成図、図27(c)は図26(a)に記載のアンテナ素子を折り曲げる前の導体板1(スリット部7無し、整合調整面31有り)の構成図、図27(d)は図26(b)に記載のアンテナ素子を折り曲げる前の導体板1(スリット部7有り、整合調整面31有り)の構成図、図28(a)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施した後の上面図、図28(b)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、短絡側面側から導体板を見た図、図28(c)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後、放射導体面側から導体板を見た図、図28(d)は図28(c)に記載の一点鎖線ABから見た導体板の断面図、図28(e)は一体の導体板に対して導体板対向工程を施した後の斜視図、図29(a)は二枚の一体の導体板を得るための導体板の上面図、図29(b)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施す過程の上面図、図29(c)は一体の導体板に対して導体板加工工程を施した後の上面図(図27(a)及び図28(a)と同等のもの)である。
【0113】
図22〜29において、32は接地導体面3における短絡側面4と接する辺と連続する接地導体面3の辺から延び、導体板1と一体である外導体載置部(導体板1の折曲前や同軸線路8の接触前の状態も便宜上含める)である。外導体載置部32は、短絡側面4と接地導体面3とが接する辺と交差する接地導体面3の辺と連続しているので、外導体載置部32に同軸線路8の外導体10が接触させることにより、同軸線路8が接地導体面3に接地された状態となる。外導体10と外導体載置部32とは電気接続手段10aにより電気的に接続されている。なお、図示はしていないが、外導体載置部32は、短絡側面4と接地導体面3とが接する辺以外の接地導体面3の辺と電気的に連続しているものであればよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0114】
実施の形態1〜5において断面図と称するものは、図22(b)に記載の1点鎖線AA’による断面(同軸線路8に関連の部材は側面)に相当するものを図示しているが、実施の形態6において断面図と称するものは、図22(b)に記載の1点鎖線BB’による断面(同軸線路8に関連の部材は側面)に相当するものを図示している。そのため、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の断面図では、短絡側面4が見えない。
【0115】
実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置は、同軸線路8の外導体10を外導体載置部32に接地して、同軸線路8を固定することで、同軸コネクタを用いた給電を必要としないので、装置全体の小型化が可能である。また、アンテナの寸法調整によって、給電点が短絡側面4側に移動する必要があったとしても、導体板1以外の別の部材や前述のような同軸コネクタが不要である簡便な構造なので給電点の移動が容易に行える。さらに、図23(a)(b)(c)及び図25(a)並びに、図26(a)(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、孔部5を用いていないものであるので、孔部5の位置による同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)の配線取り回しの影響がないだけでなく、折り曲げられた導体板1内に同軸線路8(主に、絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されるので、ショートパッチアンテナ装置の厚みを薄くすることができる。
【0116】
図23(a)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図23(b)は誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0117】
図23(a)(b)はアンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。図23(c)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図23(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16を形成していないものである。誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板15は、アンテナ素子と誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させ、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成していないもの、つまり、誘電体板14がないものは記載を省略する。
【0118】
図24(a)(b)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置し、誘電体板15に形成された窪みに同軸線路8(電気接続手段9aを含む内導体9)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図24(a)はアンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。図24(b)はアンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成していないものである。
【0119】
一方、図25(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、折り曲げられた導体板1内に同軸線路8(主に、絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が孔部5を介して挿入されるので、ショートパッチアンテナ装置の厚みは、若干孔部5がないものよりも厚くなるが、同軸線路8を強固に固定できるという効果がある。もちろん、図23(a)(b)及び図25(a)並びに、図26(a)(b)に記載のショートパッチアンテナ装置に孔部5を形成して、折り曲げられた導体板1内に孔部5を介して同軸線路8(主に、絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)を挿入する構造としてもよい。
【0120】
次に、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置の製造方法について、図28を用いて説明する。ここでは、一例として、図27(a)に示す導体板1を挙げる。導体板加工工程に関するアンテナ素子を得る手順の説明は、図2を用いた実施の形態1におけるもの同様であるので、ここでは、導体板加工工程以降の固定を説明する。導体板加工工程後に得られた導体板1を図28(a)に示す。この導体板1を折り曲げてアンテナ素子を構成する対向した導体を得るために、外導体載置部32と連続する領域(孔部5を有する場合は、孔部5が形成された導体板1の領域ともいえる。図28は、孔部5が無い場合を示している)、及び、孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を対向させる導体板対向工程を行う。導体板対向工程は、図28に示す第1の折曲工程と第2の折曲工程からなる工程であるが、第1の折曲工程、第2の折曲工程の実行の順序は問わない。
【0121】
実施の形態1と同様に、第1の折曲工程,第2の折曲工程は、前述の導体板加工工程も同時に行ってもよい。なお、導体板対向工程の後に、導体板加工工程を行ってもよい。導体板1に導体板加工工程及び導体板対向工程の施すことにより、導体板1は、図28(b)〜(e)に示すように、短絡側面4と接地導体面3とが接する線分(辺)と接すると接地導体面3から導体板1と一体の外導体載置部32が、接地導体面3から飛び出した形状で得られる。このような加工から、接地導体面3と外導体載置部32とは、ほぼ水平となるが、別途、互いに角度をつけてもよい。外導体載置部32と外導体載置部18とが異なる点は、外導体載置部32の形状を得るために、折り曲げる前の導体板1の外形を利用している点である。
【0122】
第1の折曲工程とは、接地導体面3となる導体板1の領域と短絡側面4となる導体板1の領域との間を折り曲げて、短絡側面4となる部分の導体板1の領域と外導体載置部32が形成された導体板1の領域とを別の平面にするものであり、接地導体面3と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図28(a)に記載の折り曲げ線Xを第1の折曲工程の折り曲げ方向Xdに折り曲げることにより行う。
【0123】
第2の折曲工程とは、スリット部7が形成された導体板1の領域と短絡側面4となる導体板1の領域との間を折り曲げて、短絡側面4となる導体板1の領域と孔部6とスリット部7とが形成された導体板1の領域を別の平面にするものであり、放射導体面2と短絡側面4との2面に180°以下の角度差を付けるものである。具体的には、図28(a)に記載の折り曲げ線Yを第2の折曲工程の折り曲げ方向Ydに折り曲げることにより行う。
【0124】
実施の形態6に係る加工工程においては、第3の折曲工程を含めて、導体板加工工程,第1の折曲工程,第2の折曲工程がスリット部7なしの導体板1に対しても実施の形態1及び5で説明した加工工程と同様に適用できる。第3の折曲工程は、直接的には、スリット部7とは関係がない。
【0125】
導体板対向工程後の導体板1は、アンテナ素子を構成する。その形状は、図28(b)〜図28(e)に示すようなものとなる。図28(b)(e)から、接地導体面3に外導体載置部18が設けられていることが分かる。図28(d)から短絡側面4が平坦であることが分かる。図28(c)(e)から放射導体面2にスリット部7が形成されていることが分かる。また、スリット部7から接地導体面3が見える。実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子は、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置のいずれにも適用なのである。
【0126】
実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置における外導体載置部32は、前述の通り、外導体載置部32の形状を得るために、折り曲げる前の導体板1の外形を利用しているので、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置における外導体載置部18と比較して、導体板1に切り欠き部19を形成する必要が無い分だけ比較的容易に得ることができるが、導体板1の外形に出っ張りを設ける必要があるので、導体板1の面積が大きくなってしまう。
【0127】
そこで、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置のうち、スリット部7を有するものにおいて、図29(b)に示すように、折り曲げる前の導体板1のスリット部7と外導体載置部32との位置を、二枚の導体板1のうち、一方の導体板1を180°回転させて並べたときに、一方の導体板1の外導体載置部32が他方の導体板1のスリット部7に嵌め込まれるような配置となるように設定することで、一枚の導体板1を切断して、二枚の導体1を得る場合に、実施の形態1〜5に係るショートパッチアンテナ装置に用いる元の導体板1と同じ面積のものを使用することが可能となる。
【0128】
次に、実施の形態6に係るショートパッチアンテナ装置のうち、内導体9が放射導体面2から突出していない形状のものを図30及び31を用いて説明する。図30(a)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14及び誘電体板15有り)、図30(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板15有り)、図30(c)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14有り)、図30(d)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図、図31(a)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14及び誘電体板15有り)、図31(b)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14有り)、図31(c)はショートパッチアンテナ装置の筐体の側面を透視したアンテナ構成図(誘電体板14有り)、図31(d)はショートパッチアンテナ装置の筐体と誘電体(樹脂や誘電体板)を透視したアンテナ構成図(孔部5有りだが、同軸線路8(絶縁性皮膜11に覆われた内導体9部分)が挿入されているために、孔部5の符号の図示はしていない)である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0129】
図30(a)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図31(a)は誘電体板14、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0130】
図30(b)は、誘電体板15をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。アンテナ素子と誘電体板15は、アンテナ素子と誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図31(b)は誘電体板14をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14は、アンテナ素子と誘電体板14との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0131】
図30(c)は誘電体板14をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。アンテナ素子と誘電体板14は、アンテナ素子と誘電体板14との間に接着層を介在させて接着させるとよい。図31(c)は誘電体板14をアンテナ素子の面に貼り付けて樹脂16を充填した状態を示している。誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(絶縁性皮膜11及び外導体10)を配置して、アンテナ素子と誘電体板14は、アンテナ素子と誘電体板14との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0132】
図30(a)(b)、図31(a)(b)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成したものである。図30(c)、図31(c)に記載のショートパッチアンテナ装置は、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上にも樹脂16を形成していないものである。
【0133】
本願のショートパッチアンテナ装置の製造においては、以下の工程がある。導体板加工工程、折曲工程(第1の折曲工程,第2の折曲工程,導体板対向工程)、同軸線路取付工程、載置工程(第1載置工程,第2載置工程)、金型型締め工程、封止工程(モールド工程又は樹脂注入工程)、スリット調整工程。実施の形態1〜6では、導体板加工工程、折曲工程(第1の折曲工程,第2の折曲工程,導体板対向工程)、同軸線路取付工程、スリット調整工程を主に説明したが、以下の実施の形態7〜11では、載置工程(第1載置工程,第2載置工程)、金型型締め工程、封止工程(樹脂注入工程)を主に説明する。なお、載置工程とは、本願に係るショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子を金型(第1金型,第2金型)に載置する工程である。この工程が完了した金型を型締めする工程が金型型締め工程であるが、本願では、型締めに関しては、射出成形の一般的な技術を使用するので、構成やその説明・図示は省略し、説明の簡略化のために、第1金型と第2金型とを重ね合わせた状態のみを図示する。次に、封止工程とは、型締めされた金型に樹脂を注入し、アンテナ素子の内側に、詳しくは、対向する放射導体面2と接地導体面3との間に、樹脂16を充填する工程である。封止工程後に、アンテナ素子に誘電体板14(誘電体板15)を貼り付けてもよい。
【0134】
以下の実施の形態7及び8,実施の形態10及び11では、図12及び図13を用いて説明したショートパッチアンテナ装置を用いたショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明する。実施の形態9では、図30を用いて説明したショートパッチアンテナ装置を用いたショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明する。なお、実施の形態11の説明で用いる図59のみ、図16を用いて説明したショートパッチアンテナ装置を用いたショートパッチアンテナ装置の製造方法を説明である。また、実施の形態7〜11にてそれぞれ説明する事項や構成は、実施の形態1〜11の相互に適用することが可能である。なお、実施の形態1〜11において、関係する図面では、第1金型と第2金型とを重ね合わせて形成するキャビティ内に樹脂16を注入する前の段階を示している。樹脂16を注入し、キャビティから取り出したショートパッチアンテナ装置の構造(外観、断面)は、実施の形態1〜6で説明した構成のうち、対応するものを参照することができる。
【0135】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7について図32〜39を用いて説明する。図32(a)は金型の側面図、図32(b)は図32(a)の矢印Aから見た金型の外観図、図33(a)〜(e)は図32(a)(又は後述の図42(a))の一点鎖線BCから矢印方向に見た金型の外観図(同軸線路8に関しては断面図、図では内導体9や外導体10は省略)、図34(a)〜(c)は図32(b)の一点鎖線ABによる断面図、図34(d)は図32(b)の一点鎖線CDによる断面図、図35は図34(c)(d)の一点鎖線ABから矢印方向に見た金型の断面図、図36(a)〜(c)は図32(b)の一点鎖線ABによる断面図、図36(d)は図32(b)の一点鎖線CDによる断面図、図37(a)は図36(c)(d)の一点鎖線ABから矢印方向に見た金型の断面図、図37(b)は図36(c)(d)の第1金型と第2金型との型合わせ面から第1金型の方を見た金型の断面図、図38(a)(b)は図32(b)の一点鎖線ABによる断面図、図38(c)は図38(a)(b)の矢印Aから見た金型の外観図、図39(a)は図38(a)(b)図39(b)の一点鎖線BCによる断面図、図39(b)は図39(a)の矢印Aから見た金型の外観図である。
【0136】
図32〜39において、33は第1凹部を有する第1金型、33aは第1金型33の縁に形成された同軸線路8の径よりも大径の第1窪み部、33bは第1窪み部33aに同軸線路8を載置する際に第1窪み部33aと同軸線路8との間に挟みこむ低硬度のシリコン(硬度の低い)コンパウンドやスポンジなどの樹脂、34は第1金型33と重ねたときに、第1金型33の第1凹部と対向する位置に第2凹部を有する第2金型、34aは第2金型34の縁に形成された同軸線路8の径よりも大径の第2窪み部、34bは第2窪み部34aに同軸線路8を載置する際に第2窪み部34aと同軸線路8との間に挟みこむ低硬度の(硬度の低い)シリコンコンパウンドやスポンジなどの樹脂である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0137】
第1窪み部33aと第2窪み部34aは、第1金型33と第2金型34と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティ(第1凹部と第2凹部とによるもの)とこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものである。同軸線路載置管を得るためには、第1窪み部33aと第2窪み部34aを設けずに、第1金型33と第2金型34との型合わせ面において、第1金型33と第2金型34との一方の同軸線路8の径よりも大径の窪み部を形成して同軸線路載置管を得てもよい。このような同軸線路載置管を介して同時線路8が外部からキャビティへ配線される。結果的に、同軸線路載置管と同軸線路8との間に挟まれる樹脂33b及び樹脂34bはキャビティ内に樹脂16を注入した際に、樹脂16が同軸線路載置管から漏れないようにするためのものである。よって、樹脂33b及び樹脂34bではなく、同軸線路載置管と接する同軸線路8の部分に予め低硬度の樹脂などを巻きつけておいてもよいし、ブッシュ12だけで樹脂16の漏れが抑えられるのであれば、樹脂33b及び樹脂34bを同軸線路載置管と同軸線路8との間に設ける必要はない。
【0138】
図32〜39において、35、36、37、38は第1金型33と第2金型34と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を注入するために、キャビティと外部とを連通させる注入口(注入溝、注入管)であり、金型には少なくとも注入口35、注入口36、注入口37、注入口38のいずれか一つが形成されている。これらの注入口は、本願では第2金型34に形成しているが、第1金型33に形成してもよいし、同軸線路載置管と同じように、第1金型33と第2金型34との両方又は一方に窪み(溝)を設け、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで形成してもよい。注入口35は、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における開口部17若しくは短絡側面4に対向する位置に形成されたものである。注入口36は、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺を基端としたときに、その辺に対向する反対側の辺である放射導体面2及び接地導体面3の先端」に対向する位置に形成されたものである。つまり、注入口35と注入口36とがそれぞれ形成されたキャビティの側壁同士が対向していることになる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0139】
図32〜39において、注入口37は第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺」に対向する位置に形成されたものである。注入口38は第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の他方の辺」に対向する位置に形成されたものである。つまり、注入口37と注入口38とがそれぞれ形成されたキャビティの側壁同士が対向していることになる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0140】
図32は第1金型33と第2金型34とを重ね合わせて型締めした状態(金型型締め工程)を示す外観図である。この金型型締め工程へ到る工程を順番に説明していく。図33(a)及び図34(a)は第1金型33と第2金型34とを示す図である。まず、第1金型33にアンテナ素子と同軸線路を載置する第1載置工程を説明する。第1金型33の第1凹部の縁に形成された第1窪み部33aに樹脂33bを載置する(図33(b))。第1金型33の第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面3を載置し、第1窪み部33aに同軸線路8を載置する(図33(c)及び図34(b))。次に、第2金型34にアンテナ素子と同軸線路を載置する第2載置工程を説明する。第2金型34の第2凹部の縁に形成された第2窪み部34aに樹脂34bを載置する、若しくは、第2金型34と第1金型33とを重ね合わせたときに、第2窪み部34aと同軸線路8とが対向する位置である同軸線路8の部分に樹脂34bを被せる(図33(c)から図33(d)への流れに相当)。第2金型34と第1金型33とを重ね合わせ、第2金型34の第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面2を載置し、第2窪み部34aに同軸線路8を載置する(図33(e)及び図34(c)(d),図35)。第1載置工程及び第2載置工程に際しては、折曲工程にて、対向させたアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3とが短絡側面4から離れるにつれて、徐々に放射導体面2と接地導体面3とが離れていくように導体板1を折り曲げておけば、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせたときに、第1金型33の第1凹部の底部と接地導体面3とが密着し、第2金型34の第2凹部の底部と放射導体面2とが密着する。
【0141】
このような第1載置工程及び第2載置工程からなる載置工程である「第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面3を、第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面2を載置し、第1窪み部33aに同軸線路8を、第2窪み部34aに同軸線路8を載置する工程」の後に、第1金型33と第2金型34との型締めを行う金型型締め工程を行ってから、樹脂注入工程を実行する。樹脂注入工程は、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂16を外部から注入口35を介して注入するものである。短絡側面4の開口部17から、樹脂16がアンテナ素子の対向する放射導体面2と接地導体面3との間に流入するので、全体に効率よく樹脂16を充填することができる。
【0142】
図33及び図34は第1金型33と第2金型34と第1載置工程及び第2載置工程とを示す図である。第1載置工程及び第2載置工程は、順序が逆転していてもよい。つまり、図33及び34に示されている第1金型33と第2金型34との位置を逆転させる。第2金型34を下側にしてアンテナ素子の放射導体面2を第2金型34の第2凹部へ、同軸線路8を第2金型34の第2窪み部へ載置してから(第2載置工程)、アンテナ素子の接地導体面3を第1金型33の第1凹部を被せ、同軸線路8を第1金型33の第1窪み部へ被せる(第2載置工程)こと順序を逆転させて実行可能である。また、アンテナ素子(同軸線路8)を第1金型33と第2金型34とで挟み込むことにより、第1載置工程及び第2載置工程を実行することもできる。
【0143】
なお、樹脂16注入に際して、キャビティの圧力を減圧したり、固化後の樹脂16の収縮を考慮した圧を掛けて樹脂をキャビティに注入したりすることで、樹脂16の収縮によるショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子を構成する導体板1への圧力を減じるができる。樹脂16の固化後に、第1金型33及び第2金型34(金型)の型締めを解除して、ショートパッチアンテナ装置を取り出すことで、本願に係るショートパッチアンテナ装置を得ることができる。なお、アンテナ素子にスリット部7が形成されている場合、スリット調整工程は、第1金型33及び第2金型34(金型)からショートパッチアンテナ装置を取り出す前でも、型締めを解除して、第2金型34を外して、放射導体面2(スリット部7)が露出しておれば実行することが可能である。また、誘電体板14及び誘電体板15は、樹脂注入工程(スリット調整工程を行う場合は、少なくとも誘電体板15のアンテナ素子への取り付けは、スリット調整工程後)後に取り付ければよい。誘電体板14及び誘電体板15の取り付けは、どちらか一方でもよい。アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。
【0144】
図34及び35で説明した第1金型33及び第2金型34では、外導体載置部18を載置するスペースを確保するために、第1金型33及び第2金型34によるキャビティの側壁(壁面)と短絡側面4との間に、外導体載置部18が無い場所にも空間が存在し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4上には樹脂16が形成されていた。そこで、図34及び35にそれぞれ対応する図36及び37には、接地導体面3の形状に第1凹部の底部の形状を合わせた第1金型33と放射導体面2の形状に第2凹部の底部の形状を合わせた第2金型34とを用いた場合を説明する。図36(c)に示すように、短絡側面4に第1金型33及び第2金型34(金型)の側壁を接触させ、注入口35のキャビティ側の開口を短絡側面4の開口部17と位置合わせすることにより、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4(開口部17を除く)上には樹脂16が形成されないので、樹脂16の使用量を減らすことやショートパッチアンテナ装置の重量を軽減することができる。もちろん、第1金型33及び第2金型34(金型)のキャビティの形状が開口部17の周辺の短絡側面4に樹脂16が付着するものであってもよい。
【0145】
これまでは、第1金型33及び第2金型34(金型)に注入口35のみを形成した場合を説明してきたが、注入口35は配置上、同軸線路8に近くにキャビティ側の開口を有することになるので、樹脂注入工程による同軸線路8や同軸線路8とアンテナ素子の各電気的接続部分に与える影響を減じたい場合は、第1金型33と第2金型34とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティにおける短絡側面4と接触又は対向していない側壁に形成された注入口から樹脂16を注入すればよい。これは、図38に示すように、第1金型33及び第2金型34(金型)に注入口36を形成する場合や、図38に示すように、第1金型33及び第2金型34(金型)に注入口37及び注入口38を形成する場合が考えられる。注入口35,注入口36,注入口37,注入口38は、全て第1金型33及び第2金型34(金型)に形成してもよいし、図示はしていないが、一つだけ第1金型33及び第2金型34(金型)に形成してもよい。もちろん、各注入口を適宜組み合わせてもよい。
【0146】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8について図40及び41を用いて説明する。実施の形態7では、誘電体板14及び誘電体板15は、樹脂注入工程(スリット調整工程を行う場合は、少なくとも誘電体板15のアンテナ素子への取り付けは、スリット調整工程後)後に取り付けていたが、実施の形態8では第1金型33及び第2金型34(金型)への樹脂注入工程前に行う場合を説明する。図40(a)(b)及び図41(a)(b)は図32(b)の一点鎖線ABによる断面図である。図40(a)及び図41(a)は、放射導体面2に誘電体板15を取り付けた場合を示し、図40(b)及び図41(b)は、接地導体面3に誘電体板14を取り付け、放射導体面2に誘電体板15を取り付けた場合を示している。なお、図41に記載の第1金型33の第1凹部及び第2金型34の第2凹部の底部は、前述のアンテナ素子(放射導体面2,接地導体面3)の形状に合わせたものである。図40及び41において、14aは接地導体面3と誘電体板14との間に介在して、接地導体面3と誘電体板14とを接着させる両面テープや接着剤・接着シートなどの接着層、15aは放射導体面2と誘電体板15との間に介在して、放射導体面2と誘電体板15とを接着させる両面テープや接着剤・接着シートなどの接着層である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0147】
実施の形態8における誘電体板14及び誘電体板15の少なくとも一方のアンテナ素子への取り付けは、載置工程前にアンテナ素子に取り付けを行ってよいし、第1金型33の第1凹部に誘電体板14を載置してから、その上に、接着層14aを介して接地導体面3を載置してもよい。同じく、第2金型34の第2凹部に誘電体板15を載置してから、その上に、接着層15aを介して放射導体面2を載置してもよい。つまり、アンテナ素子を、第1凹部の底部及び第2凹部の底部の少なくとも一方に対して、誘電体板14(誘電体板15)を介して載置すればよい。なお、樹脂注入工程の際に生じる熱により、樹脂14a(樹脂15a)が溶けて、アンテナ素子に張り付くようにしてもよい。
【0148】
実施の形態9.
この発明の実施の形態9について図33及び図42〜48を用いて説明する。実施の形態7及び8では、アンテナ素子に外導体載置部18が存在している場合を例に説明を行ったが、この実施の形態9では、アンテナ素子に外導体載置部32が存在している場合を例に説明を行う。つまり、アンテナ素子の短絡側面4が金型内のキャビティと全面的に接する場合である(後述の図48(a)に示す状態)。図42(a)は金型の側面図、図42(b)は図42(a)の矢印Aから見た金型の外観図、図33(a)〜(e)は図32(a)の一点鎖線BCから矢印方向に見た金型の外観図(同軸線路8に関しては断面図、図では内導体9や外導体10は省略)、図43(a)(b)は図42(b)の一点鎖線ABによる断面図、図43(c)は図42(b)の一点鎖線CDによる断面図、図44は図43(b)(c)の一点鎖線ABから矢印方向に見た金型の断面図、図45(a)(b)は図42(b)の一点鎖線ABによる断面図、図45(c)は図42(b)の一点鎖線CDによる断面図、図46(a)は図45(b)(c)の一点鎖線ABから矢印方向に見た金型の断面図、図46(b)は図45(b)(c)の第1金型と第2金型との型合わせ面から第1金型の方を見た金型の断面図、図47(a)(b)は図42(b)の一点鎖線ABによる断面図、図47(c)は図47(a)(b)の矢印Aから見た金型の外観図、図48(a)は図47(a)(b)図48(b)の一点鎖線BCによる断面図、図48(b)は図48(a)の矢印Aから見た金型の外観図である。
【0149】
図33及び図42〜48において、39は第1凹部を有する第1金型、33aは第1金型33の縁に形成された同軸線路8の径よりも大径の第1窪み部、33bは第1窪み部33aに同軸線路8を載置する際に第1窪み部33aと同軸線路8との間に挟みこむ低硬度のシリコン(硬度の低い)コンパウンドやスポンジなどの樹脂、40は第1金型39と重ねたときに、第1金型39の第1凹部と対向する位置に第2凹部を有する第2金型、34aは第2金型40の縁に形成された同軸線路8の径よりも大径の第2窪み部、34bは第2窪み部34aに同軸線路8を載置する際に第2窪み部34aと同軸線路8との間に挟みこむ低硬度の(硬度の低い)シリコンコンパウンドやスポンジなどの樹脂である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0150】
第1窪み部33aと第2窪み部34aは、第1金型39と第2金型40重ね合わせることで内部に形成されるキャビティ(第1凹部と第2凹部とによるもの)とこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものである。同軸線路載置管を得るためには、第1窪み部33aと第2窪み部34aを設けずに、第1金型39と第2金型40との型合わせ面において、第1金型39と第2金型40との一方の同軸線路8の径よりも大径の窪み部を形成して同軸線路載置管を得てもよい。このような同軸線路載置管を介して同時線路8が外部からキャビティへ配線される。結果的に、同軸線路載置管と同軸線路8との間に挟まれる樹脂33b及び樹脂34bはキャビティ内に樹脂16を注入した際に、樹脂16が同軸線路載置管から漏れないようにするためのものである。よって、樹脂33b及び樹脂34bではなく、同軸線路載置管と接する同軸線路8の部分に予め低硬度の樹脂などを巻きつけておいてもよいし、ブッシュ12だけで樹脂16の漏れが抑えられるのであれば、樹脂33b及び樹脂34bを同軸線路載置管と同軸線路8との間に設ける必要ない。
【0151】
図33及び図42〜48において、41、42、43は第1金型39と第2金型40と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を注入するために、キャビティと外部とを連通させる注入口(注入溝、注入管)であり、金型には少なくとも注入口41、注入口42、注入口43のいずれか一つが形成されている。これらの注入口は、本願では第2金型40に形成しているが、第1金型39に形成してもよいし、同軸線路載置管と同じように、第1金型39と第2金型40との両方又は一方に窪み(溝)を設け、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで形成してもよい。注入口41は第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺(同軸線路8が挿入されている側)」に対向する位置に形成されたものである。注入口42は第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の他方の辺(同軸線路8が挿入されている側と反対側)」に対向する位置に形成されたものである。つまり、注入口41と注入口42とがそれぞれ形成されたキャビティの側壁同士が対向していることになる。注入口43は、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺を基端としたときに、その辺に対向する反対側の辺である放射導体面2及び接地導体面3の先端」に対向する位置に形成されたものである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0152】
図42は第1金型39と第2金型40とを重ね合わせて型締めした状態(金型型締め工程)を示す外観図である。この金型型締め工程へ到る工程を順番に説明していく。図33(a)及び図43(a)は第1金型39と第2金型40とを示す図である。まず、第1金型39にアンテナ素子と同軸線路を載置する第1載置工程を説明する。第1金型39の第1凹部の縁に形成された第1窪み部33aに樹脂33bを載置する(図33(b))。第1金型39の第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面3を載置し、第1窪み部33aに同軸線路8を載置する(図33(c)及び図43(a))。次に、第2金型40にアンテナ素子と同軸線路を載置する第2載置工程を説明する。第2金型40の第2凹部の縁に形成された第2窪み部34aに樹脂34bを載置する、若しくは、第2金型40と第1金型33とを重ね合わせたときに、第2窪み部34aと同軸線路8とが対向する位置である同軸線路8の部分に樹脂34bを被せる(図33(c)から図33(d)への流れに相当)。第2金型40と第1金型39とを重ね合わせ、第2金型40の第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面2を載置し、第2窪み部34aに同軸線路8を載置する(図33(e)及び図43(b)(c),図44)。第1載置工程及び第2載置工程に際しては、折曲工程にて、対向させたアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3とが短絡側面4から離れるにつれて、徐々に放射導体面2と接地導体面3とが離れていくように導体板1を折り曲げておけば、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせたときに、第1金型39の第1凹部の底部と接地導体面3とが密着し、第2金型40の第2凹部の底部と放射導体面2とが密着する。
【0153】
このような第1載置工程及び第2載置工程からなる載置工程である「第1凹部の底部にアンテナ素子の接地導体面3を、第2凹部の底部にアンテナ素子の放射導体面2を載置し、第1窪み部33aに同軸線路8を、第2窪み部34aに同軸線路8を載置する工程」の後に、第1金型39と第2金型40との型締めを行う金型型締め工程を行ってから、樹脂注入工程を実行する。樹脂注入工程は、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂16を外部から注入口41を介して注入するものである。樹脂16がアンテナ素子の対向する放射導体面2と接地導体面3との間に流入するので、全体に効率よく樹脂16を充填することができる。
【0154】
図33及び図43は第1金型39と第2金型40と第1載置工程及び第2載置工程とを示す図である。第1載置工程及び第2載置工程は、実施の形態7と同じく順序が逆転していてもよい。つまり、図33及び図43に示されている第1金型39と第2金型40との位置を逆転させる。第2金型40を下側にしてアンテナ素子の放射導体面2を第2金型40の第2凹部へ、同軸線路8を第2金型40の第2窪み部へ載置してから(第2載置工程)、アンテナ素子の接地導体面3を第1金型39の第1凹部を被せ、同軸線路8を第1金型39の第1窪み部へ被せる(第2載置工程)こと順序を逆転させて実行可能である。また、アンテナ素子(同軸線路8)を第1金型39と第2金型40とで挟み込むことにより、第1載置工程及び第2載置工程を実行することもできる。
【0155】
なお、樹脂16注入に際して、キャビティの圧力を減圧したり、固化後の樹脂16の収縮を考慮した圧を掛けて樹脂をキャビティに注入したりすることで、樹脂16の収縮によるショートパッチアンテナ装置のアンテナ素子を構成する導体板1への圧力を減じるができる。樹脂16の固化後に、第1金型39及び第2金型40(金型)の型締めを解除して、ショートパッチアンテナ装置を取り出すことで、本願に係るショートパッチアンテナ装置を得ることができる。なお、アンテナ素子にスリット部7が形成されている場合、スリット調整工程は、第1金型39及び第2金型40(金型)からショートパッチアンテナ装置を取り出す前でも、型締めを解除して、第2金型40を外して、放射導体面2(スリット部7)が露出しておれば実行することが可能である。また、誘電体板14及び誘電体板15は、樹脂注入工程(スリット調整工程を行う場合は、少なくとも誘電体板15のアンテナ素子への取り付けは、スリット調整工程後)後に取り付ければよい。誘電体板14及び誘電体板15の取り付けは、どちらか一方でもよい。アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15とは、アンテナ素子と誘電体板14及び誘電体板15との間に接着層を介在させて接着させるとよい。もちろん、実施の形態8で説明した手法を実施の形態9に適用してもよい。
【0156】
図43及び44で説明した第1金型39及び第2金型40では、外導体載置部32を載置するスペースを確保するために、第1金型39及び第2金型40によるキャビティの側壁(壁面)とアンテナ素子との間に、外導体載置部32が無い場所にも空間が存在し、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側であって、「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺(同軸線路8が挿入されている側)」に対向する位置に樹脂16が形成されていた。そこで、図43及び44にそれぞれ対応する図45及び46には、接地導体面3の形状に第1凹部の底部の形状を合わせた第1金型39と放射導体面2の形状に第2凹部の底部の形状を合わせた第2金型40とを用いた場合を説明する。
【0157】
図45(c)に示すように、「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺(同軸線路8が挿入されている側)」に第1金型39及び第2金型40(金型)の側壁を接触させ、注入口41のキャビティ側の開口を放射導体面2及び接地導体面3の間に位置合わせすることにより、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の内側にのみ樹脂16が形成されるので、樹脂16の使用量を減らすことやショートパッチアンテナ装置の重量を軽減することができる。もちろん、第1金型39及び第2金型40(金型)のキャビティの形状が「放射導体面2及び接地導体面3が短絡側面4と接続されている辺と連続している放射導体面2及び接地導体面3の一方の辺(同軸線路8が挿入されている側)」に対向する位置の周辺に樹脂16が付着するものであってもよい。
【0158】
これまでは、第1金型39及び第2金型40(金型)に注入口41のみを形成した場合を説明してきたが、注入口41は配置上、同軸線路8に近くにキャビティ側の開口を有することになる可能性があるので、樹脂注入工程による同軸線路8や同軸線路8とアンテナ素子の各電気的接続部分に与える影響を減じたい場合は、第1金型39と第2金型40とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティにおける短絡側面4と接触していない側壁に形成された注入口から樹脂16を注入すればよい。これは、図47に示すように、第1金型39及び第2金型40(金型)に注入口42を形成する場合や、図48に示すように、第1金型39及び第2金型40(金型)に注入口43を形成する場合が考えられる。注入口41,注入口42,注入口43は、全て第1金型39及び第2金型40(金型)に形成してもよいし、図示はしていないが、一つだけ第1金型39及び第2金型40(金型)に形成してもよい。もちろん、各注入口を適宜組み合わせてもよい。
【0159】
実施の形態10.
この発明の実施の形態10について図49〜53を用いて説明する。実施の形態7〜9では、載置工程(第1載置工程,第2載置工程)におけるアンテナ素子又は誘電体板14(誘電体板15)の載置方法は、単に金型(第1金型,第2金型)の第1凹部(第2凹部)の底部に置く、若しくは、底部をアンテナ素子に被せることで実行したが、実施の形態10では、その底部に真空引き口を形成して、金型のキャビティ内を真空引きする場合を説明する。この場合は、実施の形態7〜9のように、折曲工程にて、対向させたアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3とが短絡側面4から離れるにつれて、徐々に放射導体面2と接地導体面3とが離れていくように導体板1を折り曲げておかずとも、放射導体面2及び接地導体面3を金型(第1金型,第2金型)の第1凹部(第2凹部)の底部に密着させることができる。もちろん、真空引き口からの吸引力を適正に設定することで、折曲工程にて、対向させたアンテナ素子の放射導体面2と接地導体面3とが短絡側面4から離れるにつれて、徐々に放射導体面2と接地導体面3とが離れていくように導体板1を折り曲げた場合でも、放射導体面2及び接地導体面3を金型(第1金型,第2金型)の第1凹部(第2凹部)の底部に密着させることができることはいうまでもない。
【0160】
図49(a)は金型の側面図、図49(b)は図49(a)の矢印Aから見た金型(第2金型34)の外観図、図49(c)は図49(a)の矢印Bから見た金型(第1金型33)の外観図、図50及び52は図49(b)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図51は図50の第1金型33と第2金型34との型合わせ面から第1金型33の方を見た金型の断面図、図53は図52の第1金型33と第2金型34との型合わせ面から第1金型33の方を見た金型の断面図である。図49〜図53において、44は第1金型33の表面側の開口から第1凹部の底部側の開口まで貫通した真空引き口、45は第2金型34の表面側の開口から第2凹部の底部側の開口まで貫通した真空引き口である。真空引き口44及び真空引き口45における金型の表面側の開口には、真空ポンプ又は吸引装置が接続されており(図示は省略)、複数の真空引き口44及び複数の真空引き口45から、それぞれほぼ均等な力で真空引き(吸引)を行い、金型内のキャビティに負圧を生じさせるものである(吸引工程)。この負圧(吸引)により、複数の真空引き口44が接地導体面3を第1金型33の第1凹部の底部に貼り付け、複数の真空引き口45が放射導体面2を第2金型34の第2凹部の底部に貼り付ける。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0161】
図49は、第1金型33及び第2金型34の外観図であり、図49(b)には、符号は省略しているが、第2金型34に真空引き口45が複数形成されている。図49(c)には、符号は省略しているが、第1金型33に真空引き口44が複数形成されている。図50の記載の第1金型33及び第2金型34からも分かる通り、真空引き口45は、第2金型34における放射導体面2と載置工程にて接触する位置、つまり、放射導体面2の外形内に収まるように第2金型34の底部に穿たれている。同じく、真空引き口44は、第1金型33における接地導体面3と載置工程にて接触する位置、つまり、接地導体面3(外導体載置部18を含めた)の外形内に収まるように第1金型33の底部に穿たれている。図51に記載の点線の丸は、真空引き口44の位置を透視した図であるが、真空引き口44が、接地導体面3が第1金型33の第1凹部の底部に載置さ(被せら)れたときに、接地導体面3(外導体載置部18を含めた)の外形内に収まるように第1金型33の底部に穿たれていることが分かる。真空引き口44及び真空引き口45の配置は、樹脂注入工程時に樹脂16と真空引き口44及び真空引き口45の開口に掛からないようにするためである。
【0162】
次に吸引工程の説明を行う。実施の形態10に係る吸引工程は、載置工程が完了した後に行うことで、第1金型33(第1凹部の底部)及び第2金型34(第2凹部の底部)とアンテナ素子(接地導体面3及び放射導体面2)との密着性が高まる。この吸引工程を載置工程の一環として行ってもよい。また、吸引工程を継続しながら、樹脂注入工程を実行してもよいし、吸引工程によりアンテナ素子を構成する導体板1が変形して、アンテナ素子(接地導体面3及び放射導体面2)が第1金型33(第1凹部の底部)及び第2金型34(第2凹部の底部)に密着し手いる場合は、吸引工程を終了させてから、樹脂注入工程を実行してもよい。
【0163】
この実施の形態10においても、実施の形態7〜9と同じく、第1金型33(第1凹部)及び第2金型34(第2凹部)によるキャビティの形状をアンテナ素子の外形に合わせてもよい。図52及び53には、接地導体面3の形状に第1凹部の底部の形状を合わせた第1金型33と放射導体面2の形状に第2凹部の底部の形状を合わせた第2金型34とを用いたものを記載している。短絡側面4に第1金型33及び第2金型34(金型)の側壁を接触させ、注入口35のキャビティ側の開口を短絡側面4の開口部17と位置合わせすることにより、アンテナ素子を構成する放射導体面2と接地導体面3との間に挟まれる空間内の外側(外面)の短絡側面4(開口部17を除く)上には樹脂16が形成されないので、樹脂16の使用量を減らすことやショートパッチアンテナ装置の重量を軽減することができる。もちろん、第1金型33及び第2金型34(金型)のキャビティの形状が開口部17の周辺の短絡側面4に樹脂16が付着するものであってもよい。
【0164】
また、この場合は、第1金型33(第1凹部)及び第2金型34(第2凹部)によるキャビティの形状をアンテナ素子の外形に合わせているので、真空引き口44及び真空引き口45の開口(金型の底部側)は、自ずと以下の通りになる。図52の記載の第1金型33及び第2金型34から、真空引き口45は、第2金型34における放射導体面2と載置工程にて接触する位置、つまり、放射導体面2の外形内に収まって第2金型34の底部に穿たれている。同じく、真空引き口44は、第1金型33における接地導体面3と載置工程にて接触する位置、つまり、接地導体面3(外導体載置部18を含めた)の外形内に収まって第1金型33の底部に穿たれている。図53に記載の点線の丸は、真空引き口44の位置を透視した図であるが、真空引き口44が、接地導体面3が第1金型33の第1凹部の底部に載置さ(被せら)れたときに、接地導体面3(外導体載置部18を含めた)の外形内に収まって、第1金型33の底部に穿たれていることが分かる。
【0165】
実施の形態11.
この発明の実施の形態11について図54〜59を用いて説明する。実施の形態10では誘電体板14(誘電体板15)を用いずにアンテナ素子を金型に載置する場合を説明したが、実施の形態11では誘電体板14(誘電体板15)を用いる場合を説明する。図54(a)は金型の側面図、図54(b)は図54(a)の矢印Aから見た金型(第2金型34)の外観図、図54(c)は図54(a)の矢印Bから見た金型(第1金型33)の外観図、図54(d)は図54(a)の矢印Aから見た金型(第2金型34)の外観図、図54(e)は図54(a)の矢印Bから見た金型(第1金型33)の外観図、図55(a)は図54(b)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図55(b)は図54(b)(e)の一点鎖線ABによる断面図、図56は図55(b)の第1金型33と第2金型34との型合わせ面から第1金型33の方を見た金型の断面図、図57(a)は図54(d)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図57(b)は図54(d)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図58は図57(b)の第1金型33と第2金型34との型合わせ面から第1金型33の方を見た金型の断面図、図59(a)は図54(d)(c)の一点鎖線ABによる断面図、図59(b)は図59(a)に示す第1金型33に載置された誘電体板14に形成された窪みに同軸線路8(外導体10,絶縁性皮膜11)を配置した状態を示す図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0166】
実施の形態10では、真空引き口44及び真空引き口45により負圧により、直接、アンテナ素子の放射導体面2及び接地導体面3を金型の凹部の底部に貼り付けていたが、この実施の形態11では、アンテナ素子を、第1凹部(第1金型33)の底部及び第2凹部(第2金型34)の底部の少なくとも一方に対して、誘電体板14(誘電体板15)を介して載置する場合を説明する。載置工程の前に予め、誘電体板14(誘電体板15)を接着層14a(接着層15a)を用いてアンテナ素子の接地導体面3(放射導体面2)に貼り付けてもよいし、誘電体板14(誘電体板15)の一方の面を第1金型33の第1凹部の底部(第2金型34の第2凹部の底部)に載置し、誘電体板14(誘電体板15)の他方の面に接着層14a(接着層15a)を形成してから、アンテナ素子の接地導体面3(放射導体面2)を接着層14a(接着層15a)上に載置してもよい。
【0167】
図54は、第1金型33及び第2金型34の外観図であるが、実施の形態11に係る第1金型33及び第2金型34は、誘電体板14及び誘電体板15の使用の有無で、真空引き口44及び真空引き口45を形成する位置が変わるので、図54(a)に記載の第1金型33及び第2金型34の外観図は、複数の組み合わせの第1金型33及び第2金型34が集約されて一つの例示として記載されているとの前提で説明を進める。なお、誘電体板14及び誘電体板15の使用の有無で、真空引き口44及び真空引き口45を形成する位置が変わるとは、誘電体板14又は誘電体板15、誘電体板14及び誘電体板15を使用することで、金型の凹部の底部にアンテナ素子が、直接、触れないので、アンテナ素子の形状、具体的には、放射導体面2及び接地導体3の形状(外形)を考慮する必要がないためである。もちろん、接地導体面3の外形と同じ外形の誘電体板14と放射導体面2の外形と同じ外形の誘電体板15とを用いることで、実施の形態10で説明した真空引き口44及び真空引き口45の配置で吸引工程を実行することができる。
【0168】
図54(b)(d)には、符号は省略しているが、第2金型34に真空引き口45が複数形成されている。図54(c)(e)には、符号は省略しているが、第1金型33に真空引き口44が複数形成されている。図55(a)に示すように、誘電体板15のみを使用する場合は、第1金型33は図54(c)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(b)に記載のものを使用すればよい。図55(b)に示すように、誘電体板14及び誘電体板15を使用する場合は、第1金型33は図54(e)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(b)に記載のものを使用すればよい。図56に記載の点線の丸は、真空引き口44の位置を透視した図であるが、真空引き口44が、誘電体板14が第1金型33の第1凹部の底部に載置されたときに、誘電体板14の外形内に収まるように第1金型33の底部に穿たれていることが分かる。
【0169】
実施の形態11においても、実施の形態7〜10と同じく、第1金型33(第1凹部)及び第2金型34(第2凹部)によるキャビティの形状をアンテナ素子の外形に合わせてもよい。図57及び58には、接地導体面3の形状に第1凹部の底部の形状を合わせた第1金型33と放射導体面2の形状に第2凹部の底部の形状を合わせた第2金型34とを用いたものを記載している。図57(a)に示すように、誘電体板15のみを使用する場合は、第1金型33は図54(c)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(d)に記載のものを使用すればよい。図57(b)に示すように、誘電体板14及び誘電体板15を使用する場合は、第1金型33は図54(c)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(d)に記載のものを使用すればよい。図58に記載の点線の丸は、真空引き口44の位置を透視した図であるが、真空引き口44が、誘電体板14、又は、誘電体板14及び接地導体面3が第1金型33の第1凹部の底部に載置されたときに、誘電体板14、又は、誘電体板14及び接地導体面3の外形内に収まるように第1金型33の底部に穿たれていることが分かる。
【0170】
次に吸引工程の説明を行う。実施の形態11に係る吸引工程は、載置工程が完了した後に行うことで、第1金型33(第1凹部の底部)及び第2金型34(第2凹部の底部)とアンテナ素子(接地導体面3及び放射導体面2)との密着性、又は、第1金型33の第1凹部の底部(第2金型34第2凹部の底部)と誘電体板14(誘電体板15)との密着性が高まる。この吸引工程を載置工程の一環として行ってもよい。また、吸引工程を継続しながら、樹脂注入工程を実行してもよいし、吸引工程によりアンテナ素子を構成する導体板1が変形して、アンテナ素子(接地導体面3及び放射導体面2)が第1金型33(第1凹部の底部)及び第2金型34(第2凹部の底部)に密着し手いる場合は、吸引工程を終了させてから、樹脂注入工程を実行してもよい。なお、実施の形態11に係る吸引工程による導体板1(アンテナ素子)の適正形状への変形を要する場合であって、導体板1(アンテナ素子)に誘電体板14(誘電体板15)が設けられているときは、樹脂層14a(樹脂層15a)の接着力よりも大きな力が真空引きにより樹脂層14a(樹脂層15a)に掛からない場合に実行できる。
【0171】
実施の形態11では、例えば、実施の形態3に係るショートパッチアンテナ装置のように、放射導体面2及び接地導体面3上に、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部から同軸線路8が突起していないために、第1金型33及び第2金型34の第1凹部及び第2凹部に誘電体板14及び誘電体板15を配置しなくともよい場合の例に説明を行ったが、実施の形態4に係るショートパッチアンテナ装置のように、放射導体面2及び接地導体面3上に、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部から同軸線路8が突起しているものでも適用できることを説明する。つまり、アンテナ素子を、第1凹部(第2凹部)の底部に対して、誘電体板14(誘電体板15)を介して載置し、アンテナ素子と誘電体板14(誘電体板15)との間に同軸線路を配置する場合であり、誘電体板14(誘電体板15)に窪みを形成して、その窪みに同軸線路8を配置するものである場合である。
【0172】
図59(a)に示すように、誘電体板14及び誘電体板15を使用する場合は、第1金型33は図54(c)に記載のものを使用し、第2金型34は図54(d)に記載のものを使用すればよく、さらに、放射導体面2と接地導体面3とが対向する内部に孔部5を介して内導体9(絶縁性皮膜11)を挿入しているので、図59(b)に示すように、接地導体面3と誘電体板14との間に同軸線路8(外導体10、絶縁性皮膜11)を配置できる形状の窪みが表面に形成された誘電体板14を用いるとよい。なお。接着層14aは、前述の窪みが表面に形成された誘電体板14の表面を全面的に覆うものである必要はない。
【0173】
放射導体面2(孔部6)から内導体9(電気接続手段9)が突出している場合は、図示はしていないが、放射導体面2と誘電体板15との間に同軸線路8(内導体9(電気接続手段9a))を配置できる形状の窪みが表面に形成された誘電体板15を用いるとよい。なお。接着層15aは、前述の窪みが表面に形成された誘電体板15の表面を全面的に覆うものである必要はない。
【符号の説明】
【0174】
1・・導体板、2・・放射導体面(放射導体、パッチ)、3・・接地導体面(接地導体)、4・・短絡側面(短絡導体)、5・・孔部、6・・孔部、7・・スリット部、8・・同軸線路、9・・内導体、9a・・電気接続手段、10・・外導体、10a・・電気接続手段、11・・絶縁性皮膜、12・・ブッシュ(軸受け筒)、13・・熱収縮チューブ、14・・誘電体板(化粧パネル)、14a・・接着層(両面テープ、接着シート)、15・・誘電体板(化粧パネル)、15a・・接着層(両面テープ、接着シート)、16・・樹脂、17・・開口部、18・・外導体載置部、19・・切り欠き部、20・・線状導体、20a・・電気接続手段、20b・・電気接続手段、21・・絶縁性皮膜、22・・線状導体、22a・・電気接続手段、22b・・電気接続手段、23・・絶縁性皮膜、24・・スペーサ、25・・スリット部、26・・導体除去箇所、27・・スリット部、28・・追加導体、29・・ケース、30・・ケース、31・・整合調整面、32・・外導体載置部、33・・第1金型、33a・・第1窪み部、33b・・樹脂、34・・第2金型、34a・・第2窪み部、34b・・樹脂、35・・注入口(注入溝、注入管)、36・・注入口(注入溝、注入管)、37・・注入口(注入溝、注入管)、38・・注入口(注入溝、注入管)、39・・第1金型、40・・第2金型、41・・注入口(注入溝、注入管)、42・・注入口(注入溝、注入管)、43・・注入口(注入溝、注入管)、44・・真空引き口、45・・真空引き口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に挿入された内導体と前記放射導体面とが電気的に接続され、外導体と前記接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備したショートパッチアンテナ装置の製造方法であって、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路を載置する工程であって、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を載置する第1載置工程と、前記第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路とを載置する工程であって、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する第2載置工程と、前記第1載置工程及び前記第2載置工程の後に、前記第1金型と前記第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項2】
導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に挿入された内導体と前記放射導体面とが電気的に接続され、外導体と前記接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備したショートパッチアンテナ装置の製造方法であって、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の前に、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する載置工程と、前記金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項3】
導体板をコ字状に折り曲げ、前記導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子を形成する折曲工程と、内導体と外導体とを有する同軸線路を前記アンテナ素子と電気的に接続する工程であって、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に前記同軸線路を挿入して、前記同軸線路の内導体と前記放射導体面とを電気的に接続し、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続する同軸線路取付工程と、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路を載置する工程であって、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を載置する第1載置工程と、前記第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路とを載置する工程であって、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する第2載置工程と、前記第1載置工程及び前記第2載置工程の後に、前記第1金型と前記第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項4】
導体板をコ字状に折り曲げ、前記導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子を形成する折曲工程と、内導体と外導体とを有する同軸線路を前記アンテナ素子と電気的に接続する工程であって、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に前記同軸線路を挿入して、前記同軸線路の内導体と前記放射導体面とを電気的に接続し、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続する同軸線路取付工程と、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の前に、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する載置工程と、前記金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項5】
前記同軸線路取付工程は、前記短絡側面と前記接地導体面とが接する辺以外の前記接地導体面の辺と連続する外導体載置部に前記同軸線路の外導体を接触させて、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続するものである請求項3又は4に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項6】
前記折曲工程は、前記導体板に、U字状の切り欠き部を形成する導体板加工工程と、前記U字状の切り欠き部を開口部に変換するように前記導体板の前記U字状の切り欠き部における二股部分の先端部分を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記U字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域を別の平面にする第1の折曲工程と、前記導体板の前記U字状の切り欠き部又は前記開口部に対して前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域、及び、前記開口部が形成された前記導体板の領域以外の前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域を別の平面にする第2の折曲工程とを行い、前記第2の折曲工程で折り曲げられ、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域と別の平面となった前記開口部が形成された前記導体板の領域以外の前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域、及び、前記第1の折曲工程で折り曲げられ、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域と別の平面となった前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記U字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域を対向させるものである請求項3又は4に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項7】
前記折曲工程は、前記導体板に、U字状の切り欠き部、及び、このU字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域に対して反対の領域であって、前記導体板の辺が切り欠かれたスリット部を形成する導体板加工工程と、前記U字状の切り欠き部を開口部に変換するように前記導体板の前記U字状の切り欠き部における二股部分の先端部分を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域を別の平面にする第1の折曲工程と、前記導体板の前記U字状の切り欠き部又は前記開口部と前記スリット部との間の領域を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域、及び、前記スリット部が形成された前記導体板の領域を別の平面にする第2の折曲工程とを行い、前記スリット部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域を対向させるものである請求項3又は4に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項8】
前記同軸線路取付工程は、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域に連続して、前記開口部と接する部分から延びた領域を外導体載置部とし、外導体を電気的に接続し、前記開口部を介して内導体を延ばして前記スリット部が形成された前記導体板の領域へ電気的に接続し、前記導体板に前記同軸線路を固定するものである請求項7に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂注入工程の後に、前記スリット部の寸法を変更するスリット調整工程を備えた請求項8に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂注入工程は、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における前記開口部に対向する位置に形成された注入口から樹脂を注入するものである請求項6〜9のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子を、前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部の少なくとも一方に対して、誘電体板を介して載置するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子を、前記第1凹部の底部に対して、誘電体板を介して載置し、前記アンテナ素子と前記誘電体板との間に前記同軸線路を配置するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記誘電体板に形成された窪みに前記同軸線路を配置するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子と前記誘電体板との間に接着層を介在させるものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部の少なくとも一方に前記アンテナ素子を載置したときに、前記短絡側面の一部が前記第1凹部の側壁及び前記第2凹部の側壁の少なくとも一方に接するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項16】
前記樹脂注入工程は、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における前記短絡側面と接触していない側壁に形成された注入口から樹脂を注入するものである請求項15に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記同軸線路と前記同軸線路載置管との間に硬度の低い樹脂を配置するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項1】
導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に挿入された内導体と前記放射導体面とが電気的に接続され、外導体と前記接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備したショートパッチアンテナ装置の製造方法であって、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路を載置する工程であって、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を載置する第1載置工程と、前記第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路とを載置する工程であって、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する第2載置工程と、前記第1載置工程及び前記第2載置工程の後に、前記第1金型と前記第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項2】
導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子と、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に挿入された内導体と前記放射導体面とが電気的に接続され、外導体と前記接地導体面とが電気的に接続された同軸線路とを具備したショートパッチアンテナ装置の製造方法であって、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の前に、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する載置工程と、前記金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項3】
導体板をコ字状に折り曲げ、前記導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子を形成する折曲工程と、内導体と外導体とを有する同軸線路を前記アンテナ素子と電気的に接続する工程であって、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に前記同軸線路を挿入して、前記同軸線路の内導体と前記放射導体面とを電気的に接続し、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続する同軸線路取付工程と、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路を載置する工程であって、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を載置する第1載置工程と、前記第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型へ、前記アンテナ素子と前記同軸線路とを載置する工程であって、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する第2載置工程と、前記第1載置工程及び前記第2載置工程の後に、前記第1金型と前記第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項4】
導体板をコ字状に折り曲げ、前記導体板の対向する一方の面に形成された放射導体面、、前記導体板の対向する他方の面に形成された接地導体面、及び、前記放射導体面と前記接地導体面とを短絡する短絡側面を有するアンテナ素子を形成する折曲工程と、内導体と外導体とを有する同軸線路を前記アンテナ素子と電気的に接続する工程であって、対向する前記放射導体面と前記接地導体面との間に前記同軸線路を挿入して、前記同軸線路の内導体と前記放射導体面とを電気的に接続し、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続する同軸線路取付工程と、第1凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第1窪み部を有する第1金型とこの第1金型と重ね合わせることで内部に形成されるキャビティとこのキャビティと外部とを連通する同軸線路載置管を形成するものであり、第2凹部を有し、その縁に前記同軸線路の径よりも大径の第2窪み部を有する第2金型との型締めを行う金型型締め工程と、この金型型締め工程の前に、前記第1凹部の底部に前記アンテナ素子の前記接地導体面を、前記第2凹部の底部に前記アンテナ素子の前記放射導体面を載置し、前記第1窪み部に前記同軸線路を、前記第2窪み部に前記同軸線路を載置する載置工程と、前記金型型締め工程の後に、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されるキャビティへ樹脂を外部から注入する樹脂注入工程とを備えたショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項5】
前記同軸線路取付工程は、前記短絡側面と前記接地導体面とが接する辺以外の前記接地導体面の辺と連続する外導体載置部に前記同軸線路の外導体を接触させて、前記同軸線路の外導体と前記接地導体面とを電気的に接続するものである請求項3又は4に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項6】
前記折曲工程は、前記導体板に、U字状の切り欠き部を形成する導体板加工工程と、前記U字状の切り欠き部を開口部に変換するように前記導体板の前記U字状の切り欠き部における二股部分の先端部分を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記U字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域を別の平面にする第1の折曲工程と、前記導体板の前記U字状の切り欠き部又は前記開口部に対して前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域、及び、前記開口部が形成された前記導体板の領域以外の前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域を別の平面にする第2の折曲工程とを行い、前記第2の折曲工程で折り曲げられ、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域と別の平面となった前記開口部が形成された前記導体板の領域以外の前記第1の折曲工程で折り曲げられた前記導体板の箇所と反対側の領域、及び、前記第1の折曲工程で折り曲げられ、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域と別の平面となった前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記U字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域を対向させるものである請求項3又は4に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項7】
前記折曲工程は、前記導体板に、U字状の切り欠き部、及び、このU字状の切り欠き部に囲まれた前記導体板の領域に対して反対の領域であって、前記導体板の辺が切り欠かれたスリット部を形成する導体板加工工程と、前記U字状の切り欠き部を開口部に変換するように前記導体板の前記U字状の切り欠き部における二股部分の先端部分を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域を別の平面にする第1の折曲工程と、前記導体板の前記U字状の切り欠き部又は前記開口部と前記スリット部との間の領域を折り曲げて、前記U字状の切り欠き部又は前記開口部が形成された前記導体板の領域、及び、前記スリット部が形成された前記導体板の領域を別の平面にする第2の折曲工程とを行い、前記スリット部が形成された前記導体板の領域、及び、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域を対向させるものである請求項3又は4に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項8】
前記同軸線路取付工程は、前記U字状の切り欠き部が形成された前記導体板の領域に対して前記スリット部が形成された前記導体板の領域と反対側の領域に連続して、前記開口部と接する部分から延びた領域を外導体載置部とし、外導体を電気的に接続し、前記開口部を介して内導体を延ばして前記スリット部が形成された前記導体板の領域へ電気的に接続し、前記導体板に前記同軸線路を固定するものである請求項7に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂注入工程の後に、前記スリット部の寸法を変更するスリット調整工程を備えた請求項8に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂注入工程は、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における前記開口部に対向する位置に形成された注入口から樹脂を注入するものである請求項6〜9のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子を、前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部の少なくとも一方に対して、誘電体板を介して載置するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子を、前記第1凹部の底部に対して、誘電体板を介して載置し、前記アンテナ素子と前記誘電体板との間に前記同軸線路を配置するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記誘電体板に形成された窪みに前記同軸線路を配置するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記アンテナ素子と前記誘電体板との間に接着層を介在させるものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記第1凹部の底部及び前記第2凹部の底部の少なくとも一方に前記アンテナ素子を載置したときに、前記短絡側面の一部が前記第1凹部の側壁及び前記第2凹部の側壁の少なくとも一方に接するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項16】
前記樹脂注入工程は、前記第1金型と前記第2金型とを重ね合わせることで内部に形成されたキャビティの側壁における前記短絡側面と接触していない側壁に形成された注入口から樹脂を注入するものである請求項15に記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載のショートパッチアンテナ装置の製造方法は、前記同軸線路と前記同軸線路載置管との間に硬度の低い樹脂を配置するものであるショートパッチアンテナ装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【公開番号】特開2012−205245(P2012−205245A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70421(P2011−70421)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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