説明

シリカ系中空粒子の製造方法およびシリカ系中空粒子分散体の製造方法

【課題】粒子径が小さく、かつ、外殻(シェル)層の厚みが小さいシリカ系中空粒子の製造方法および上記シリカ系中空粒子分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】シリカ系中空粒子の製造方法は、カチオン性基を有する重合体粒子にシリカ系被覆層を形成して複合粒子を得る工程、および前記複合粒子を加熱することによりカチオン性重合体粒子を分解する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ系中空粒子の製造方法および上記シリカ系中空粒子分散体の製造方法に関し、さらに詳しくは光学材料、マイクロカプセル材料、隠蔽材料、カラム充填剤、触媒、化粧品、耐紫外線材料等に好適に使用されるシリカ系中空粒子の製造方法および上記シリカ系中空粒子分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セラミック系粒子のなかでも特にシリカ系中空粒子が有用なものとして注目されており、その製法としては、例えば、特開平4−210228号公報にはエアロゾル法により基本粒子を製造し加熱、乾燥する方法、金属化合物水性ゾルを噴霧、乾燥し焼成する方法、w/o型またはo/w/o型エマルジョンを調製し加熱して水および油を除去する方法等が提案されている。しかし、これらの製法により得られた中空粒子はいずれも、粒子径が大きく、外殻(シェル)層の厚みが大きいが傾向にある。
【0003】
また、特開平4−302592号には、チタニウムアルコキシドおよび/またはシリコンアルコキシドのアルコール溶液中またはアルコール/水混合溶液中に、スチレン重合体またはスチレン/ジビニルベンゼン共重合体の球状重合体粒子を均一に分散せしめ、加水分解反応により該球状重合体粒子の表面に均一なチタニウム化合物またはシリコン化合物被覆層を設け、さらに必要に応じ、加熱処理する複合粒子の製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方法においても粒子径が大きく、外殻(シェル)層の厚みとも十分に小さくものではなかった。
【特許文献1】特開平4−210228号
【特許文献2】特開平4−302592号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、上記従来の状況に鑑み、粒子径が小さく、外殻(シェル)層の厚みとも十分に小さいシリカ系中空粒子の製造方法および上記シリカ系中空粒子分散体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るシリカ系中空粒子の製造方法は、カチオン性基を有する重合体粒子にシリカ系被覆層を形成して複合粒子を得る工程、および
前記複合粒子を加熱することによりカチオン性重合体粒子を分解する工程
を含む。
【0006】
上記シリカ系中空粒子の製造方法において、カチオン性基を有する重合体粒子にシリカ系被覆層を形成して複合粒子を得る工程が、カチオン性重合体粒子を含有する分散体中で、下記一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物を加水分解縮合して、前記カチオン性重合体粒子を被覆するシリカ系被覆層を形成する工程であることができる。
【0007】
Si(OR ・・・・・(1)
(式中、Rは1価の有機基を示す。)
上記シリカ系中空粒子の製造方法において、カチオン性基を有する重合体粒子が、カチオン性モノマーと、該カチオン性モノマーと共重合可能な非イオン性モノマーとを共重合させて得られたものであることができる。
【0008】
上記シリカ系中空粒子の製造方法において、カチオン性基を有する重合体粒子が、カチオン性基を含有するラジカル重合開始剤を用いて重合性モノマーを重合させて得られたものであることができる。
【0009】
本発明の一態様に係るシリカ系中空粒子分散体の製造方法は、上記シリカ系中空粒子を溶媒中に分散させることを含む。
【発明の効果】
【0010】
上記シリカ系中空粒子の製造方法によれば、粒子径が小さく、かつ、外殻(シェル)層の厚みが小さいシリカ系中空粒子を得ることができる。
【0011】
上記シリカ系中空粒子分散体の製造方法によれば、粒子径が小さく、外殻(シェル)層の厚みとも小さいシリカ系中空粒子が分散されたシリカ系中空粒子分散体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施の形態に係る中空粒子の製造方法およびシリカ系中空粒子分散体について説明する。
【0013】
1.シリカ系中空粒子の製造方法
本発明の実施の形態に係るシリカ系中空粒子の製造方法は、カチオン性基を有する重合体粒子にシリカ系被覆層を形成して複合粒子を得る工程と、前記複合粒子を加熱することによりカチオン性重合体粒子を分解する工程を含む。
【0014】
以下、本実施形態に係るシリカ系中空粒子の製造方法の各工程について説明する。
【0015】
まず、該複合粒子のコアとなるカチオン性基を有する重合体粒子について説明する。
【0016】
1.1.工程(a)
工程(a)は、カチオン性基を有する重合体粒子にシリカ系被覆層を形成して複合粒子を得る工程である。
【0017】
1.1.1.カチオン性基を有する重合体粒子
カチオン性基を有する重合体粒子を構成する重合体として、例えばアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂が挙げられる。そして重合体粒子を構成する上記重合体の少なくとも一部はカチオン性基を有していることが必須である。本発明では、カチオン性基は、アミノ基等のプロトンと結合してカチオンを形成し得る基および該基が酸と反応して塩を生成し、塩のカチオン部を形成している基を包含する。カチオン性基の具体例として、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基;4級アミノ基、2級イミノ基、3級イミノ基、4級イミノ基;各級のアミジノ基、イミジノ基、ヒドラジノ基;さらにピリジル基等の窒素原子を含む環状基等を挙げることができる。
【0018】
重合体粒子中のカチオン性基の濃度は、好ましくは0.05〜300mmol/100g粒子、より好ましくは1〜100mmol/100g粒子である。
【0019】
このような本発明のカチオン性基を有する重合体粒子を製造する方法としては、特に制限されないが、例えば、(i)カチオン性モノマーを含むモノマー成分を重合する方法、(ii)カチオン性基を有する重合開始剤を使用してモノマーを重合する方法、が挙げられる。
【0020】
(i)カチオン性モノマーを含むモノマー成分を重合する方法
この方法に用いるカチオン性モノマーとしては、カチオン性基を有するモノマーを示し、例として、アミノアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、アミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、N−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0021】
また、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びこれらの塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等による4級塩;
2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びこれらの塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等による4級塩;
N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類及びこれらの塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等による4級塩等が挙げられる。
【0022】
なかでも、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、及びこれらの塩化メチレンによる4級塩が好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
カチオン性モノマーと共重合するモノマーとしては、下記に示すような架橋性モノマーならびに非架橋かつ非イオン性モノマーを挙げることができるが、非架橋かつ非イオン性モノマーが好適に用いられる。
【0024】
架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシプロピオキシフェニル〕プロパン、2,2’−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキジフェニル〕プロパン、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールブロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のジビニル系モノマー、トリビニル系モノマー及びテトラビニル系モノマーが挙げられる。なかでも、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モノマーは、カチオン性モノマーあるいは架橋性モノマーのいずれかと共重合可能であって、非架橋性かつ非イオン性のモノマーである。このようなモノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;ブタジエン、イソプレン等のジオレフィン;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン等を挙げることができる。なかでも、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが好ましい。これらのモノマーは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
上記カチオン性モノマーを含む重合成分は水系分散媒中で重合開始剤の存在下、乳化重合、懸濁重合などにより重合される。なお、カチオン性モノマーと該カチオン性モノマーと共重合可能なモノマーとを共重合する場合には、カチオン性モノマー0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、カチオン性モノマーと共重合可能なモノマー85〜99.99重量%、好ましくは90〜99.9重量%、さらに好ましくは95〜99.5重量%使用することが好ましい。
【0027】
カチオン性モノマーの使用量が0.01重量%未満と過少であると、得られる重合体粒子のカチオン性が低下し、シリカ系被覆層の形成を十分に行えない場合がある。また、カチオン性モノマーの使用量が15重量%を越え過剰であると、重合時に凝集物を生じるため好ましくない。
【0028】
また、カチオン性モノマーと共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モノマーは、所望により耐熱性を向上させたりするために任意に用いられるモノマーである。その使用量が99.99重量%を越えて過剰であると、カチオン性モノマーの使用量が少なくなり、得られる重合体粒子の強度やカチオン性が低下する。
【0029】
重合開始剤としては、過硫酸塩類、あるいは過酸化水素−塩化第一鉄、クメンヒドロペルオキシド−アスコルビン酸ナトリウム等のレドックス系の水溶性重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性重合開始剤が例示される。また、必要に応じて界面活性剤、分散安定剤などを使用することもできる。
【0030】
上記界面活性剤としては、アルキルアミン(塩)、ポリオキシエチレンアルキルアミン(塩)、第4級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリニジウム塩などの陽イオン界面活性剤;ドデシルジメチルベタイン、アルキルイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン付加誘導体、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンを親水基とする反応性乳化剤(旭電化工業製「アデカリアソープNE−20」、第一工業製薬製「アクアロンRN−20」)などの非イオン界面活性剤;およびこれらの併用系が好適に用いられる。陰イオン界面活性剤は重合中に凝集物を発生し易いため、単独での使用は本発明には適さない。
【0031】
上記有機系の懸濁保護剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性合成高分子物質、ゼラチン、水溶性澱粉等の天然親水性高分子物質、カルボキシメチルセルロース等の親水性半合成高分子物質等を挙げることができる。また、前記無機系の懸濁保護剤としては、例えばマグネシウム、バリウム、カルシウム等のリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。
【0032】
重合開始剤としては、油溶性の重合開始剤あるいは水溶性の重合開始剤のいずれも使用することができる。粒子径が1μm以下の重合体粒子を製造するための重合を行なう場合には、水溶性重合開始剤を用いることが好ましく、このことにより、重合体粒子に膨潤されない大粒径のモノマー液滴が重合することを防止することができる。また、粒子径が1μmを越える重合体粒子を製造するための重合を行なう場合には、不要の空孔を有しないポリマー粒子が生成することを防止するために、油溶性重合開始剤を使用することが好ましい。
【0033】
上記水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩類、あるいは過酸化水素−塩化第一鉄、クメンヒドロペルオキシド−アスコルビン酸ナトリウム等のレドックス系の開始剤が例示される。上記油溶性重合開始剤としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリル等が例示される。
【0034】
また、本発明においては、後述するカチオン基を有するラジカル重合開始剤も使用することができる。
【0035】
(ii)カチオン性基を有するラジカル重合開始剤を使用する方法
この方法では、カチオン性基を有するラジカル重合開始剤を用いて重合性モノマーの重合を行い、得られる重合体粒子にカチオン性を与える。
【0036】
重合性モノマーとしては、上述の架橋性モノマー、非架橋性かつ非イオン性モノマー、およびカチオン性モノマーが挙げられる。カチオン性モノマーを使用する場合には、カチオン性モノマー0〜15重量%、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%(モノマーの総合計量は100重量%である)を重合する。
【0037】
このラジカル重合開始剤は、これを用いたラジカル重合により得られたポリマーがその末端に該ラジカル重合開始剤に由来するカチオン性基を有するようになるものである。好ましいカチオン性基を有するラジカル重合開始剤としては、アミジノ基、イミジノ基あるいはピリジウム基を有するアゾビス型の開始剤が挙げられる。また、10時間半減期温度が40〜95℃の範囲にあるものが温和な条件下で重合を行うことができるので好ましい。カチオン性基を有するラジカル重合開始剤の好ましい具体例として、下記のものを挙げることができる。
【0038】
2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−545として販売)
2,2’−アゾビス〔N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−546として販売)
2,2’−アゾビス〔N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−548として販売)
2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(フェニルメチル)−プロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−552として販売)
2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−553として販売)
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名V−50として販売)
2,2’−アゾビス〔N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−558として販売)
2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ハイドレート(和光純薬工業(株)から商品名VA−057として販売)
2,2’−アゾビス〔2−メチル−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−041として販売)
2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−044として販売)
2,2’−アゾビス〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−054として販売)
2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−058として販売)
2,2’−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−059として販売)
2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−060として販売)
2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)(和光純薬工業(株)から商品名VA−061として販売)
なかでも、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(V−50)、2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ハイドレート(VA−057)、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(VA−044)の使用が好ましい。
【0039】
カチオン性基を有するラジカル重合開始剤の使用量は、重合に使用するモノマー総合計量100重量部当たり、0.1〜10重量部用いることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。使用量が0.1重量部未満と過少では、得られる粒子のカチオン性が低下し、10重量部を越えて過剰では重合が不安定となり、好ましくない。
【0040】
なお、本方法では、重合方法、操作、条件等は方法(i)で記載したことと同様に行うことができる。
【0041】
1.1.2.シリカ系被覆層
シリカ系被覆層は、例えば、上記カチオン性基を有する重合体粒子に、下記一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物1」ともいう。)を加水分解縮合することで形成される。
【0042】
Si(OR ・・・・・(1)
(式中、Rは1価の有機基を示す。)
上記一般式(1)において、Rで表される1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等を挙げることができる。なかでも、Rで表される1価の有機基は、アルキル基またはフェニル基であることが好ましい。
【0043】
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜5であり、これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子等に置換されていてもよい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等を挙げることができる。アルケニル基としては、例えばビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基を挙げることができる。
【0044】
化合物1の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどを挙げることができ、特に好ましい化合物としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0045】
上記一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物を加水分解縮合させる際に使用する有機溶媒としては、例えば親水性有機溶媒が挙げられる。本発明において親水性有機溶媒とは、20℃において水と任意の比率で均一に混合できる有機溶媒、あるいは、20℃において水と混合して2層を形成する場合、有機層中の水の含有率が12質量%を超える有機溶媒を意味し、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒を挙げることができる。これらの中でも、アルコール系溶媒が好ましく、メタノールがさらに好ましい。これらの親水性有機溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、分散体は、第1の有機溶媒とともに水を含んでいてもよい。
【0046】
加水分解縮合における反応温度は0〜100℃、好ましくは20〜80℃、反応時間は30〜1000分間、好ましくは30〜300分間である。
【0047】
また、上記一般式(1)で表される化合物の加水分解縮合を行う際には、加水分解縮合を促進させるために塩基性化合物を触媒として使用するのが好ましい。
【0048】
触媒として使用可能な塩基性化合物としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミン、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミン、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミン、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができ、アンモニアであるのがより好ましい。
【0049】
塩基性化合物は、下記一般式(3)で表される含窒素化合物(以下、「化合物3」ともいう。)であってもよい。
【0050】
(XN)Y ・・・・・(3)
上記一般式(3)において、X,X,X,Xは同一または異なり、それぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基など)、ヒドロキシアルキル基(好ましくはヒドロキシエチル基など)、アリール基(好ましくはフェニル基など)、アリールアルキル基(好ましくはフェニルメチル基など)を示し、Yはハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、1〜4価のアニオン性基(好ましくはヒドロキシ基など)を示し、gは1〜4の整数を示す。
【0051】
化合物3の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−iso−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化テトラ−iso−ブチルアンモニウム、水酸化テトラ−tert−ブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化テトラヘプチルアンモニウム、水酸化テトラオクチルアンモニウム、水酸化テトラノニルアンモニウム、水酸化テトラデシルアンモニウム、水酸化テトラウンデシルアンモニウム、水酸化テトラドデシルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化−n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化−n−オクタデシルトリメチルアンモニウム、臭化−n−オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化トリデシルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、臭化トリブチルメチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリラウリルメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリブチルアンモニウム、臭化フェニルトリメチルアンモニウム、コリン等を好ましい例として挙げることができる。これらのうち特に好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウムである。化合物3は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0052】
塩基性化合物の使用量は、化合物1中の加水分解性基の総量1モルに対して、通常、0.00001〜20モル、好ましくは0.00005〜10モルである。
【0053】
カチオン性基を有する重合体粒子にシリカ系被覆層を形成する工程により得られる複合粒子の粒子径は5〜500nmであることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましく、10〜200nmであることが特に好ましい。該複合粒子の粒子径に対するコアとなるカチオン性基を有する重合体粒子の粒径の比は好ましくは0.4〜0.99、さらに好ましくは0.5〜0.99、特に好ましくは0.6〜0.99である。
【0054】
1.2.工程(b)
工程(b)は、工程(a)により得られた複合粒子を加熱することによりカチオン性基を有する重合体粒子を分解する工程である。
【0055】
以下に複合粒子を加熱することによりカチオン性基を有する重合体粒子を分解することで内部に空孔を有するシリカ系中空粒子を製造する方法について述べる。
【0056】
シリカ系中空粒子の製造は、前記で得られる複合粒子を、コアの重合体の種類により異なるが好ましくは100℃以上、さらに好ましくは450℃以上に加熱して、コアの重合体を分解しガス化させて粒子内部から飛散させ粒子内部に空孔を形成することによりなされる。加熱する際の雰囲気は、特に限定されず、空気、酸素存在下以外にも、真空中、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。
【0057】
上記中空粒子の製造方法において、コアの球状重合体粒子には特に制約はないが、完全に分解し、ガス化させやすくするためには、架橋していないことが好ましい。これにより、低温で短時間に空孔を形成させることができる。例えばコアの球状重合体粒子が架橋されている場合、800℃以上、さらに好ましくは1100℃以上で加熱する必要がある。従って、コアの重合体の単量体成分としては、加熱により分解する点で、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の単量体を主成分とし、架橋されていないものが好ましい。
【0058】
なお、加熱温度が1200℃以上の場合は、中空粒子の表面にクラックが入りやすくなり、また、昇温率および冷却率が急激である場合、シェルが崩壊しやすくなる。このため、昇温率としては30℃/分以下、冷却率としては20℃/分以下が好ましい。
【0059】
上記製造方法により、単分散で均一なシェル層を有する中空粒子を得ることができ、しかも粒子径、空孔径を自由にコントロールすることができる。
【0060】
以上により得られる中空粒子の粒子径は通常、5nm〜5μm、好ましくは5nm〜2μm、さらに好ましくは10nm〜1μm、特に好ましくは20nm〜500nmである。また、粒子外径に対する内径の比は、通常、0.3〜0.99、好ましくは0.5〜0.99、特に好ましくは0.6〜0.99である。
【0061】
2.実施例
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特記しない限り重量部および質量%であることを示している。
【0062】
2.1.合成例1(カチオン性基を有する重合体粒子の合成)
フラスコに蒸留水2,29g、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの25%水溶液10gを入れ、1時間攪拌しそれらを完全溶解させた。そのフラスコをオイルバスに入れ60℃まで加温を行った。60℃に昇温後、2,2’−アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩の5%水溶液4g、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミト゛塩化メチル4級塩1g,スチレン39gを順にいれ、Nガスをパージしながら攪拌を5分行った。その後70度まで加温を行い、4時間反応させた後、室温まで冷却した。冷却後、ろ紙を使用して凝集物の除去を行った。得られたカチオン性基を有するポリスチレン系の重合体粒子分散液の全固形分濃度は15重量%であった。このカチオン性基を有する重合体粒子の平均粒子径は100nmであった。
【0063】
2.2.実施例1
上記合成例1で得られたカチオン性基を有するポリスチレン系の重合体粒子の分散液を69g、蒸留水3018gとイソプロピルアルコール6286g、28重量%アンモニア水溶液386gを加え、10分間攪拌した後テトラエトキシシラン244gを徐々に加え攪拌した。3時間攪拌後、溶剤を乾燥させポリスチレン系粒子にシリカが被覆されたコアシェル粒子を得た。このコアシェル粒子のTEM観察を行ったところ、コア部の直径が100nm、シェル厚30nmであった。コアシェル粒子を5℃/分で600℃まで加温を行い、ポリスチレン系重合体粒子を分解させ、中空シリカ粒子を得た。この中空シリカ粒子のTEM観察を行ったところ、中空部の直径が100nm、シェルの厚さが30nmであった。
【0064】
50mlポリ瓶に、ガラスビーズ40g(TOSHINRIKO製、BZ−01)(ビーズ径0.1mm)(体積約16ml)と作製した中空シリカ粒子6gとメタノール24gを入れて、ペイントシェーカにより5時間分散した。分散液は、白濁液体であり沈降は見られなかった。
【0065】
2.3.実施例2
上記合成例1で得られたカチオン性基を有するポリスチレン系の重合体粒子の分散液を68g、蒸留水3398gとイソプロピルアルコール6400g、28重量%アンモニア水溶液393gを加え、10分間攪拌した後テトラエトキシシラン66gを徐々に加え攪拌した。3時間攪拌後、溶剤を乾燥させポリスチレン系粒子にシリカが被覆されたコアシェル粒子を得た。3時間攪拌後、溶剤を乾燥させポリスチレン系粒子にシリカが被覆されたコアシェル粒子を得た。このコアシェル粒子のTEM観察を行ったところ、コア部の直径が100nm、シェル厚13nmであった。コアシェル粒子を5℃/分で600℃まで加温を行い、ポリスチレン系粒子を分解させ、中空シリカ粒子を得た。この中空シリカ粒子のTEM観察を行ったところ、中空部の直径が100nm、シェルの厚さが13nmであった。
【0066】
50mlポリ瓶に、ガラスビーズ40g(TOSHINRIKO製、BZ−01)(ビーズ径0.1mm)(体積約16ml)と作製した中空シリカ粒子6gとメタノール24gを入れて、ペイントシェーカにより5時間分散した。分散液は、白濁液体であり沈降は見られなかった。
【0067】
2.4.実施例3
上記合成例1で得られたカチオン性基を有するポリスチレン系の重合体粒子の分散液を68g、蒸留水3089gとイソプロピルアルコール6433g、28重量%アンモニア水溶液395gを加え、10分間攪拌した後テトラエトキシシラン15gを徐々に加え攪拌した。3時間攪拌後、溶剤を乾燥させポリスチレン系粒子にシリカが被覆されたコアシェル粒子を得た。3時間攪拌後、溶剤を乾燥させポリスチレン系粒子にシリカが被覆されたコアシェル粒子を得た。このコアシェル粒子のTEM観察を行ったところ、コア部の直径が100nm、シェル厚8nmであった。コアシェル粒子を5℃/分で600℃まで加温を行い、ポリスチレン系粒子を分解させ、中空シリカ粒子を得た。この中空シリカ粒子のTEM観察を行ったところ、中空部の直径が100nm、シェルの厚さが8nmであった。
【0068】
50mlポリ瓶に、ガラスビーズ40g(TOSHINRIKO製、BZ−01)(ビーズ径0.1mm)(体積約16ml)と作製した中空シリカ粒子6gとメタノール24gを入れて、ペイントシェーカにより5時間分散した。分散液は、白濁液体であり沈降は見られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性基を有する重合体粒子にシリカ系被覆層を形成して複合粒子を得る工程、および
前記複合粒子を加熱することによりカチオン性重合体粒子を分解する工程
を含む、シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
カチオン性基を有する重合体粒子にシリカ系被覆層を形成して複合粒子を得る工程が、カチオン性重合体粒子を含有する分散体中で、下記一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物を加水分解縮合して、前記カチオン性重合体粒子を被覆するシリカ系被覆層を形成する工程である、シリカ系中空粒子の製造方法。
Si(OR ・・・・・(1)
(式中、Rは1価の有機基を示す。)
【請求項3】
請求項1または2において、
カチオン性基を有する重合体粒子が、カチオン性モノマーと、該カチオン性モノマーと共重合可能な非イオン性モノマーとを共重合させて得られたものである、シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
カチオン性基を有する重合体粒子が、カチオン性基を含有するラジカル重合開始剤を用いて重合性モノマーを重合させて得られたものである、シリカ系中空粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて得られたシリカ系中空粒子を溶媒中に分散させることを含む、シリカ系中空粒子分散体の製造方法。

【公開番号】特開2008−247664(P2008−247664A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90636(P2007−90636)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】