説明

シリカ系蛍光ナノ粒子

化学式SiR4−mの有機シランと、化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物と、水と、加水分解触媒の反応生成物とを含む組成物を提供されて;式中、Rは少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルキル、少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルケニル、または少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のアリール基であり;mは0または1であり;nは3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり;Dはフルオロフォア団を有するラジカルであり;Lは結合、O、S、C(O)O、C(O)NR、SOO、C(O)S、C(S)、またはSであり;Rは水素、またはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−C12アルキルであり;XおよびXはそれぞれ独立に加水分解可能な置換基であり;前記反応生成物はシリカ系蛍光ナノ粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ系蛍光ナノ粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光は、分子が光子を吸収して長波長の他の光子を放出することを触発するときに発生する。蛍光は、フルオロフォア団(fluorophore)が電気的に励起された後で基底状態に弛緩するときにも起こりうる。フルオロフォア団は、分子が蛍光性となるように誘発する分子の成分である。フルオロフォア団は、特定の波長(または波長範囲)のエネルギーを吸収し、異なる(ところが、同様に特定の)波長(または波長範囲)を再放出する。
【0003】
蛍光物質は、無機物質(特に、例えば硫化亜鉛)および有機物質(特に、例えばローダミン、フルオレセインおよびエオシン)を含む。蛍光物質は、例えば、蛍光インク(例えば、筆記道具、プリンターなどの)または蛍光ペイント(例えば、標識、繊維などの)に用いられるものなどの蛍光染料または顔料内に含まれ得る。
【発明の概要】
【0004】
一様態において、化学式SiR4−mの有機シランと、化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物と、水と、加水分解触媒の反応生成物とを含む組成物を提供されて;式中、Rは少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルキル、少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルケニル、または少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のアリール基であり、mは0または1であり、nは3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、Dはフルオロフォア団を有するラジカルであり;Lは結合、O、S、C(O)O、C(O)NR、SOO、C(O)S、C(S)、またはSであり;Rは水素、またはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−C12アルキルであり;XおよびXはそれぞれ独立に加水分解可能な置換基であり;前記反応生成物は作用基を含む外部表面を含むシリカ系蛍光ナノ粒子である。ある具現例において、前記シリカ系蛍光ナノ粒子の外部表面上の作用基の80%以上がOH基である。ある具現例において、前記シリカ系蛍光ナノ粒子の外部表面上の作用基の10%以下がNH基である。
【0005】
ある具現例において、Dはキサンテン(Xanthene)、ベンゾ[a]キサンテン(benzo[a]xanthene)、ベンゾ[b]キサンテン(benzo[b]xanthene)、ベンゾ[c]キサンテン(benzo[c]xanthene)、クマリン(coumarin)、ベンゾクマリン(benzocoumarin)、アリザリン(alizarin)、アゾ(azo)、フェノキサジン(phenoxazine)、ベンゾ[a]フェノキサジン(benzo[a]phenoxazine)、ベンゾ[b]フェノキサジン(benzo[b]phenoxazine)、ベンゾ[c]フェノキサジン(benzo[c]phenoxazine)、ナフタルイミド(naphthalimide)、ナフトールラクタム(naphtholactam)、アズラクトン(azlactone)、メチン(methyne)、オキサジン(oxazine)、チアジン(thiazine)、ジケトピロロピロール(diketopyrrolopyrrole)、キナクリドン(quinacridone)、チオエピンドリン(thioepindoline)、ラクタムイミド(lactamimide)、ジフェニルマレイミド(diphenylmaleimide)、アセトアセトアミド(acetoacetamide)、イミダゾチアジン(imidazothiazine)、ベンズアントロン(benzanthrone)、フタルイミド(phthalimide)、ベンゾトリアゾール(benzotriazole)、ピリミジン(pyrimidine)、ピラジン(pyrazine)またはトリアジン(triazine)系蛍光染料から誘導されるフルオロフォア団を保有するラジカルである。
【0006】
ある具現例において、前記シリカ系蛍光ナノ粒子の表面は、シリカ原子に結合した−ORまたは−(CH−Y基を含んで、式中、YはNR、PO(OR)または−(OCHCH4−15−ORであり、ここでR、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にC−Cアルキルであり、pは1〜15の整数である。ある具現例において、Rはメチル、エチルまたはフェニルである。他の具現例において、XおよびXはそれぞれ独立にハロゲン、C−CアルコキシまたはC−Cアシルオキシである。
【0007】
ある具現例において、Dは化学式1、化学式2、化学式3または化学式4のラジカルである:
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
【化3】

【0010】
【化4】

【0011】
式中、AはO、N−ZまたはNZ(ここで、ZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはZおよびR12はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR14はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR14はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成する)であり;AはOZまたはNZ(ここで、ZはH、C−CアルキルまたはカルボキシC−Cアルキルであり、ZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはZおよびR13はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR17はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR17はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成する。)であり;qは1〜4の整数であり;R11はF、Cl、Br、I、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、ナフチルまたは化学式a、b、c、若しくはdである。
【0012】
【化5】

【0013】
【化6】

【0014】
【化7】

【0015】
【化8】

【0016】
ここで、X、X、X、XおよびXはそれぞれ独立にH、F、Cl、Br、I、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルキルアミド、SOH、スルホネートまたはCOHであり、またはXおよびX、XおよびX、XおよびX、またはXおよびXはこれらが結合している原子と共にF、Cl、Br、I、CN、COH、SOH、OH、NH、置換もしくは無置換のモノ−またはジ(C−Cアルキル)アミノ、置換もしくは無置換のC−Cアルキル、置換もしくは無置換のC−Cアルキルチオまたは置換もしくは無置換のC−Cアルコキシである1〜4個の置換体で置換された或いは無置換のフェニルを形成する。
【0017】
12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独立にH、F、Cl、Br、I、CN、CF、置換もしくは無置換のC−Cアルキル、置換もしくは無置換のC−Cアルキルチオ、置換もしくは無置換のC−Cアルコキシ、フェニル、ナフチルまたはヘテロアリールであり、或いはR14およびR15、またはR16およびR17は結合してベンゾ基を形成する。
【0018】
ある具現例において、Dは化学式5のラジカルである:
【化9】

【0019】
式中、R20、R21、R22、R23、R24およびR25はそれぞれ独立にH、C−CアルキルまたはNZであり、ここでZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはR20およびZ;R20およびZ;R22およびZ;またはR22およびZはこれらが結合している原子と共に置換もしくは無置換の5−、6−または7−員環を形成する。
【0020】
ある具現例において、前記有機シランと前記蛍光染料−シランの当量比は1:1〜100:1の範囲である。
【0021】
他の様態において、化学式D−Aの蛍光染料と化学式B−(CHq’−CH=CHの化合物を反応させて化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体を生成し;前記化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体と化学式HSiXのシラン化合物を反応させて化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物を製造し;化学式SiR4−mの有機シランと前記化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物を水および加水分解触媒の下で重合させることを含むシリカ系蛍光ナノ粒子の製造方法(式中、Rは少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルキル、少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルケニル、または少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のアリール基であり;Dはフルオロフォア団を有するラジカルであり;XおよびXはそれぞれ独立に加水分解可能な置換基であり;Lは結合、O、S、C(O)O、C(O)NR、SOO、C(O)S、C(S)、またはSであり;AはCOOH、OH、SOH、CO−CH−ハロゲン、CH=CH、またはSHであり;BはOH、NHR、F、Cl、Br、I、またはSHであり;q’は1〜10の整数であり;nは3〜12の整数であり;mは0または1であり;Rは水素、C−C12アルキル、またはヒドロキシ基で置換されたC−C12アルキルであり;但し、AおよびBは互いに反応できるように選択される。)を提供する。
【0022】
ある具現例において、LはC(O)Oであり、AはC(O)OHであり、BはF、Cl、Br、I、またはOHである。ある具現例において、前記化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体は、前記化学式HSiXのシラン化合物と1:0.5〜1:5の比で反応する。
【0023】
他の様態において、化学式D−L−(CHq’−CH=CHの化合物(式中、Dはフルオロフォア団を有するラジカルであり;Lは結合、O、S、C(O)O、C(O)NR、SOO、C(O)S、C(S)、またはSであり;q’は1〜10の整数である。)を提供する。ある具現例において、Dは化学式1、化学式2、化学式3または化学式4のラジカルである。ある具現例において、Dは化学式5のラジカルである:
【化10】

【0024】
式中、R20、R21、R22、R23、R24およびR25はそれぞれ独立にH、C−CアルキルまたはNZであり、ここでZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、或いはR20およびZ;R20およびZ;R22およびZ;またはR22およびZはこれらが結合している原子と共に置換もしくは無置換の5−、6−または7−員環を形成する。
【0025】
他の様態において、シリカ系蛍光ナノ粒子を含む着色用組成物(colorantcomposition)を提供する。ある具現例において、着色用組成物は蛍光インク、蛍光ペイントまたは蛍光ペイストを含む。ある具現例において、着色用組成物は生化学的標識として用いられる。
【0026】
他の様態において、シリカ系蛍光ナノ粒子を用いて物品を着色する方法を提供する。
【0027】
他の様態において、シリカ系蛍光ナノ粒子を用いて細胞を生化学的に染色する方法を提供する。
【0028】
前述した要約は例示的なものであり、決して制限しようとする意図ではない。前述した例示的様態、具現例および特徴に加えて、追加の様態、具現例および特徴は図面および下記の説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は実施例1に係るシリカ系蛍光ナノ粒子で標識されたMC3T3−E1細胞の例示的具現例の光学顕微鏡観察写真である(倍率:200倍)。
【図2】図2は実施例1に係るシリカ系蛍光ナノ粒子で標識されたMC3T3−E1細胞の例示的具現例の蛍光顕微鏡観察写真である(倍率:200倍)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
下記の説明において、本説明の一部を構成する添付図面を参照する。本説明、図面および請求項に記述した例示的具現例は制限しようとする意図ではない。ここで提示する発明の思想または範囲を外れることなく、他の具現例が利用でき、他の変更が成され得る。
【0031】
蛍光は、高い信号対雑音比、優れた空間分解能および具現の容易性のため、多様なシステムから分子スケールまでにおいて優れた道具として立証されてきた。本明細書では、シリカ系蛍光ナノ粒子、その合成中間体、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子、並びにこのようなナノ粒子の製造方法および利用方法について記述する。本明細書で記述したシリカ系蛍光ナノ粒子は、量産が可能であり、その用途として例えば物品着色または生化学的標識を含むが、これに限定されない。
【0032】
シリカ系蛍光ナノ粒子
一様態において、水および加水分解触媒存在下に化学式SiR4−mの有機シラン(式中、Rはハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルキル、ハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルケニル、またはハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のアリール基であり;Xはそれぞれ独立に加水分解可能な置換基であり;mは0または1である。)および化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物(式中、Dはフルオロフォア団を有するラジカルであり;Lは直接結合、−C(O)O−、−C(O)NR−、−O−、−SOO−、−C(O)S−、−S−、−C(S)−、または−S−S−であり;Rは水素、C−C12アルキル、またはヒドロキシ基で置換されたC−C12アルキルであり;Xはそれぞれ独立に加水分解可能な置換基であり;nは3〜12の整数である。)の反応生成物を含むシリカ系蛍光ナノ粒子を提供する。ある具現例において、Dはキサンテン(Xanthene)、ベンゾ[a]キサンテン(benzo[a]xanthene)、ベンゾ[b]キサンテン(benzo[b]xanthene)、ベンゾ[c]キサンテン(benzo[c]xanthene)、クマリン(coumarin)、ベンゾクマリン(benzocoumarin)、アリザリン(alizarin)、アゾ(azo)、フェノキサジン(phenoxazine)、ベンゾ[a]フェノキサジン(benzo[a]phenoxazine)、ベンゾ[b]フェノキサジン(benzo[b]phenoxazine)、ベンゾ[c]フェノキサジン(benzo[c]phenoxazine)、ナフタルイミド(naphthalimide)、ナフトールラクタム(naphtholactam)、アズラクトン(azlactone)、メチン(methyne)、オキサジン(oxazine)、チアジン(thiazine)、ジケトピロロピロール(diketopyrrolopyrrole)、キナクリドン(quinacridone)、チオエピンドリン(thioepindoline)、ラクタムイミド(lactamimide)、ジフェニルマレイミド(diphenylmaleimide)、アセトアセトアミド(acetoacetamide)、イミダゾチアジン(imidazothiazine)、ベンズアントロン(benzanthrone)、フタルイミド(phthalimide)、ベンゾトリアゾール(benzotriazole)、ピリミジン(pyrimidine)、ピラジン(pyrazine)またはトリアジン(triazine)系蛍光染料から誘導される。
【0033】
ある具現例において、シリカ系蛍光ナノ粒子の表面上の作用基の約80%以上、約85%以上または約90%以上が−OH基である。また、シリカ系蛍光ナノ粒子の表面上に存在する全体基のうち、−NH基が10%以下、15%以下または20%以下を占める。シリカ系蛍光ナノ粒子の表面上に存在する全体基のうち80%以上が−OH基であり、および/または20%以下が−NH基であることにより、ナノ粒子は、コバルト、ニッケル、銅、カドミウムおよび水銀イオンなどの金属イオンとのキレートを形成できる。ある具現例において、前記金属イオンは2価である。
【0034】
シリカ系蛍光ナノ粒子は、透過電子顕微鏡(TEM)または走査電子顕微鏡(SEM)で測定して約5〜約900ナノメートル、例えば約30〜500ナノメートル、または約50〜300ナノメートルの直径を有することができる。
【0035】
シリカ系蛍光ナノ粒子は、水および加水分解触媒存在下に化学式SiR4−mの有機シランおよび化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物の反応生成物を含む。重合に単量体として用いられる化学式SiR4−mの有機シランと化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物の当量比は、多様な具現例によって約1:1〜約100:1、例えば1:1〜1:50または1:1〜1:20であってもよい。
【0036】
化学式SiR4−mの有機シランにおいて、Rは例えばメチル、エチルまたはフェニルでありうるが、これに限定されない。ある具現例において、Xは加水分解可能な置換基である。Xの例はハロゲン、C−CアルコキシおよびC−Cアシルオキシを含むが、これに限定されない。Xは例えばクロロ、メトキシまたはエトキシであってもよい。
【0037】
化学式SiR4−mの有機シランは、例えばテトラメトキシシラン(tetramethoxysilane)、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)、クロロトリメトキシシラン(chlorotrimethoxysilane)、クロロトリエトキシシラン(chlorotriethoxysilane)、テトラクロロシラン(tetrachlorosilane)、メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane)およびメチルトリエトキシシラン(methyltriethoxysilane)を含むが、これに限定されない。
【0038】
化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物において、Dは蛍光染料から誘導されるラジカルである。本明細書において、「蛍光染料から誘導されるラジカル」とは、蛍光染料の母核構造が維持されており、蛍光染料に本質的に蛍光を与える発色団、すなわちフルオロフォア団を含むラジカルをいう。ある具現例において、Lは直接結合、−C(O)O−、−C(O)NR−または−C(O)S−である。
【0039】
他の具現例において、Xは水の存在下にシリコン原子から加水分解できる任意の置換体であってもよい。Xの例はハロゲン、C−CアルコキシおよびC−Cアシルオキシを含むが、これに限定されない。Xは例えばクロロ、メトキシまたはエトキシであってもよい。nは3〜6の整数であってもよい。
【0040】
蛍光染料は、キサンテン(Xanthene)、ベンゾ[a]キサンテン(benzo[a]xanthene)、ベンゾ[b]キサンテン(benzo[b]xanthene)、ベンゾ[c]キサンテン(benzo[c]xanthene)、クマリン(coumarin)、ベンゾクマリン(benzocoumarin)、アリザリン(alizarin)、アゾ(azo)、フェノキサジン(phenoxazine)、ベンゾ[a]フェノキサジン(benzo[a]phenoxazine)、ベンゾ[b]フェノキサジン(benzo[b]phenoxazine)、ベンゾ[c]フェノキサジン(benzo[c]phenoxazine)、ナフタルイミド(naphthalimide)、ナフトールラクタム(naphtholactam)、アズラクトン(azlactone)、メチン(methyne)、オキサジン(oxazine)、チアジン(thiazine)、ジケトピロロピロール(diketopyrrolopyrrole)、キナクリドン(quinacridone)、チオエピンドリン(thioepindoline)、ラクタムイミド(lactamimide)、ジフェニルマレイミド(diphenylmaleimide)、アセトアセトアミド(acetoacetamide)、イミダゾチアジン(imidazothiazine)、ベンズアントロン(benzanthrone)、フタルイミド(phthalimide)、ベンゾトリアゾール(benzotriazole)、ピリミジン(pyrimidine)、ピラジン(pyrazine)またはトリアジン(triazine)系蛍光染料であってもよい。
【0041】
Dの例は化学式1、化学式2、化学式3または化学式4のラジカルを含む:
【化11】

【0042】
【化12】

【0043】
【化13】

【0044】
【化14】

【0045】
式中、AはO、N−ZまたはNZ( ここで、ZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはR12およびZ;R12およびZ;R14およびZ;およびR14およびZのうち少なくとも一対はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成する)であり;Aは−OZまたは−NZ( ここで、ZはH、C−CアルキルまたはカルボキシC−Cアルキルであり、ZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはR13およびZ;R13およびZ;R17およびZ;およびR17およびZのうち少なくとも一対はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成する)である。qは1、2、3または4である。R11はハロゲン、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、ナフチルまたは化学式a、b、c、若しくはdである。
【0046】
【化15】

【0047】
【化16】

【0048】
【化17】

【0049】
【化18】

【0050】
ここで、X、X、X、XおよびXはそれぞれ独立にH、ハロゲン、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルキルアミド、SOH、スルホネートまたはCOHであり、或いは2個の接したX〜Xの置換体はこれらが結合している原子と共にハロゲン、CN、COH、SOH、OH、NH、モノ−またはジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキル、C−CアルキルチオおよびC−Cアルコキシから選択される1〜4個の置換体で置換された或いは無置換のフェニルを形成し、ここでX〜Xのアルキル部分はハロゲン、COH、SOH、NH-、モノ−またはジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルコキシ、CN、ハロアセチル、またはOHで置換できる。
【0051】
12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独立にH、ハロゲン、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルキルチオ、C−Cアルコキシ、フェニル、ナフチルまたはヘテロアリールであり、ここでR12〜R18のアルキル部分はハロゲン、COH、S、SOH、NH、モノ−またはジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルコキシ、CN、ハロアセチルまたはOHで置換でき、R12〜R18のフェニル、ナフチルまたはヘテロアリール部分はハロゲン、CN、COH、SOH、OH、NH、モノ−またはジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキル、C−CアルキルチオおよびC−Cアルコキシから選択される1〜4個の置換体で置換できる。
【0052】
ある具現例によれば、キサンテン(Xanthene)系ラジカルDおよびベンゾキサンテン(benzoxanthene)系ラジカルDの例は、ローダミン系蛍光染料、例えばローダミンB、テトラメチルローダミン(TMR)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、スルホローダミン、スルホローダミン101スルホニルクロライド(テキサスレッド)、カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、ジアミノローダミン、N−(2−アミノエチル)ローダミン6G−アミドビス(トリフルオロアセテート)、N−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチル]ローダミン6G−アミドビス(トリフルオロアセテート)、およびN−[4−(アミノメチル)ベンジル]ローダミン6G−アミドビス(トリフルオロアセテート)、およびフルオレセイン系蛍光染料、例えばフルオレセイン、アミノフェニルフルオレセイン、ヒドロキシフェニルフルオレセイン、6−[フルオレセイン−5(6)−カルボキシアミド]ヘキサン酸、(ヨードアセトアミド)フルオレセイン、5−(ブロモメチル)フルオレセイン、1−(O’−メチルフルオレセイニル)ピペリジン−4−カルボン酸、フルオレセイン−O’−酢酸、O’−(カルボキシメチル)フルオレセインアミド、5−(4,6−ジクロロ−s−トリアジン−2−イルアミノ)フルオレセインおよびエオシンYから誘導されるラジカルを含むが、これに限定されない。
【0053】
Dの例は、化学式5のクマリン系ラジカルである。
【0054】
【化19】

【0055】
式中、R20、R21、R22、R23、R24およびR25はそれぞれ独立にH、C−CアルキルまたはNZであり、ここで、ZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはR20およびZ;R20およびZ;R22およびZ;またはR22およびZから選択される少なくとも一対はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成する。
【0056】
クマリン系ラジカルDの例は、7−アミノ−4−メチルクマリン、クマリン−3−カルボン酸、クマリン343、クマリン−6−スルホニルクロライド、3−(ブロモアセチル)クマリン、7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボヒドラジド、および7−(ジエチルアミノ)クマリン−3−カルボン酸から誘導されるラジカルを含むが、これに限定されない。
【0057】
アリザリン系ラジカルDの例は、アリザジン(モーダントレッド、Mordant Red)、アリザリン−3−メチルイミノ二酢酸、4−[[4−ヒドロキシ−9,10−ジオキソ−3−[(4−スルホナトフェニル)アミノ]アントラセン−1−イル]アミノ]ベンゼンスルホン酸ジナトリウム塩(アリザリンブルーブラックB)および3,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキソ−2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩(アリザリンレッドS)から誘導されるラジカルを含むが、これに限定されない。
【0058】
アゾ系ラジカルDの例は、5−(3−ニトロフェニルアゾ)サリチル酸ナトリウム塩(アリザリンイエローGG)、5−(4−ニトロフェニルアゾ)サリチル酸(モーダントオレンジ1)および4−ヒドロキシ−3−[(2−ヒドロキシ−1−ナフタレニル)アゾ]−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(アシッドアリザリンバイオレットN)から誘導されるラジカルを含むが、これに限定されない。
【0059】
有機シランおよび蛍光染料−シラン化合物以外に、水が重合に関与する。水は有機シランおよび蛍光染料−シラン化合物のシリコン原子に結合した加水分解可能な置換基XおよびXを加水分解させるのに十分な過量で利用できる。
【0060】
加水分解触媒は、水の存在下にシリコン原子の置換基の加水分解を触媒化するもので、当業界で公知の任意の有機または無機酸または塩基であってもよい。加水分解触媒は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア水溶液などの無機塩基であってもよいが、これに限定されない。加水分解触媒は塩酸、硫酸または硝酸などの無機酸であってもよい。ある具現例において、加水分解触媒はアンモニア水溶液または塩酸である。加水分解触媒は反応混合物に別途添加されるか、或いは有機シランのXがハロゲンの場合には現場(in situ)で少なくとも部分的に生成できる。加水分解触媒の量は、加水分解を完全に起こすのに必要な任意の量であり、触媒の化学的組成だけでなく、加水分解反応が起こる温度に左右される。一般に、加水分解触媒の量は有機シランおよび/または蛍光染料−シラン化合物のモル当量に対して約0.02〜約0.5モル当量の範囲内でありうる。例えば、加水分解触媒の量は同一の基準に対して約0.1〜約0.3モル当量の範囲内であってもよい。
【0061】
シリカ系蛍光ナノ粒子の製造および中間体
一様態は、本明細書で記述したシリカ系蛍光ナノ粒子の製造方法を提供する。シリカ系蛍光ナノ粒子は、化学式SiR4−mの有機シランおよび化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物を水および加水分解触媒の下に重合することにより製造することができる。式中、R、X、X、D、L、mおよびnの値は前記定義したとおりである。重合に単量体として用いられる化学式SiR4−mの有機シランと化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物の当量比は約1:1〜約100:1であってもよい。
【0062】
化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物は、化学式D−Aの蛍光染料と化学式B−(CHq’−CH=CHの化合物とを反応させて化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体を生成し(式中、DおよびLは前記定義したとおりであり、Aは−COOH、−OH、−SOH、−CO−CH−ハロゲン、−CH=CH、または−SHであり、Bは−OH、−NHR、−ハロゲン、または−SHであり(ここで、Rは水素、C−C12アルキルまたはヒドロキシで置換されたC−C12アルキルである。但し、AおよびBは互いに反応できるように選択され、q’は1〜10の整数である);化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体と化学式HSiXのシラン化合物とを反応させて化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物を製造することを含んで製造できる。
【0063】
化学式D−Aの蛍光染料と化学式B−(CHq’−CH=CHの化合物との反応において、AおよびBは互いに反応して別の作用基を形成し得るように選択される。例えば、Lが−CO−O−の場合のため、Aは−COOH、Bは−ハロゲンまたは−OHがそれぞれ選択できる。他の一例として、Lが−CO−NR−の場合のため、Aは−COOH、Bは−NHRがそれぞれ選択できる。他の一例として、Lが−O−の場合のため、Aは−OH、Bは−OHがそれぞれ選択できる。他の一例として、Lが−SO−O−の場合のため、Aは−SOOH、Bは−OHがそれぞれ選択できる。他の一例として、Lが−CO−S−の場合のため、Aは−COOH、Bは−SHがそれぞれ選択できる。他の一例として、Lが−S−の場合のため、Aは−CO−CH−ハロゲン、Bは−SHがそれぞれ選択できる。他の一例として、Lが−CS−の場合のため、Aは−CH=CH、Bは−SHがそれぞれ選択できる。他の一例として、Lが−S−S−の場合のため、Aは−SH、Bは−SHがそれぞれ選択できる。
【0064】
作用基AおよびB間の反応のための触媒、溶媒および反応温度を始めとした適切な反応条件は、当業者には公知である(例えば、Carey, F.A., Sundberg, R.J., AdvancedOrganic Chemistry, Part B: Reaction and Synthesis, 5th ed., Springer, 2007;Greg T. Hermanson, Bioconjugate Technique,Academic Press, 1996参照)。
【0065】
化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体と化学式HSiXのシラン化合物間の反応は、化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体と化学式HSiXのシラン化合物間のヒドロシリル化反応を含む。このヒドロシリル化反応は白金触媒の下で行うことができる。
【0066】
白金触媒は、例えば、Pt/C、Pt/Al、PtO、または塩化白金酸であってもよいが、これに限定されない。この反応のための溶媒は、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、トルエンであってもよいが、これに限定されない。例えば、この反応は例えば60〜100℃の温度で24〜36時間行うことができる。化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体と化学式HSiXのシラン化合物間の当量比は約1:0.5〜約1:5、例えば約1:0.8〜約1:2.0である。
【0067】
ある具現例において、本方法は、カルボン酸形態の蛍光染料とハライドまたはアルコール間のエステル化反応を含む。このエステル化反応には無機塩基が触媒として使用できる。エステル化触媒の例としては炭酸カリウムや炭酸セシウムなどを挙げることができるが、これに限定されない。本方法の例示的具現例において、Lは−CO−O−であり、Aは−COOHであり、Bは−ハロゲンまたは−OHであってもよい。
【0068】
他の様態として、化学式D−L−(CHq’−CH=CHの化合物を提供する。化学式D−L−(CHq’−CH=CHの化合物は、シリカ系蛍光ナノ粒子を製造する際に中間体として有用であり、それ自体で蛍光染料としても利用できる。
【0069】
表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子およびその製造方法
本明細書で記述したシリカ系蛍光ナノ粒子は、当業界で公知の少なくとも一つの表面改質方式を用いて適切な作用基によって表面が改質できる。
一様態において、少なくとも一つのシリカ系蛍光ナノ粒子は、シリカ系蛍光ナノ粒子の表面上にシリコン原子に結合した、−ORおよび−(CH−Yなどの少なくとも一つのラジカル−Mをさらに含む。ある具現例において、Yは−NR、−PO(OR)または−(O−CH−CH4−15−ORであり、ここでR、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にC1-−Cアルキルであり、pは1〜15の整数である。
【0070】
他の様態において、ラジカル−Mが−ORの場合、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、着色用組成物において結合剤(binder)として作用しうる場合がある。このような組成物において、別途の結合剤は選択的である。ラジカル−Mが−ORである、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、例えば、少なくとも一つのシリカ系蛍光ナノ粒子を酸または塩基触媒の下でROHと反応させて得ることができる。この際、ROHの量は所望する表面改質の度合いに応じて変わりうるが、一般にシリカ系蛍光ナノ粒子1当量当たり1〜10当量または1〜5当量のROHを用いることができる。
【0071】
他の様態において、ラジカル−Mが−(CH−Yの場合、Yは−NRである別の様態において、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、遺伝子伝達のための正電荷を帯びた表面として作用しうる(DhrubaJ. Bharali, et. Al., P. Natl. Acad. Sci. USA 2005, 102,11539-11544.; W. Tan, et. al., Med. Res. Rev. 2004, 24, 621-638.; T.-J.Yoon, et. al., Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 1068-1071.; V. Sokolova and M.Epple, Angew. Chem. Int. Ed. 2008,47, 1382-1395参照)。前記伝達する遺伝子は陰電荷を帯びた遺伝子であってもよい。ラジカル−Mが−(CH−NRである、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、例えばシリカ系蛍光ナノ粒子を[XSi−(CH−NRと水および加水分解触媒の存在下で反応させて得ることができる。Xは前記定義したとおりの加水分解可能な基であり、Gは1価陰イオであって、例えばF、BrまたはClでありうる。この際、[XSi−(CH−NRの量は所望する表面改質の度合いに応じて変わりうるが、一般にシリカ系蛍光ナノ粒子1モル当量当たり約1〜約20モル当量の[XSi−(CH−NRを用いることができる。[XSi−(CH−NRは例えば(CHO)Si−(CH−N(CHCl、すなわち(CHO)Si−PTMAであってもよい。
【0072】
一様態において、ラジカル−Mが−(CH−Yであり、Yは−PO(OR)である場合、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、正イオンとPEGの対照群のための陰電荷を帯びた表面として作用しうる(DhrubaJ. Bharali, et. Al., P. Natl. Acad. Sci. USA 2005, 102,11539-11544.; W. Tan, et. al., Med. Res. Rev. 2004, 24, 621-638.; T.-J.Yoon, et. al., Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 1068-1071.; V. Sokolova and M.Epple, Angew. Chem. Int. Ed. 2008,47, 1382-1395参照)。ラジカル−Mが−(CH−PO(OR)である、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、例えば、シリカ系蛍光ナノ粒子をQ[XSi−(CH−PO(OR)]と水および加水分解触媒の存在下で反応させて得ることができる。式中、Xは前記定義したとおりの加水分解可能な基であり、Qは1価正イオンであって、例えばNa、KまたはNHであってもよい。この際、Q[XSi−(CH−PO(OR)]の量は所望する表面改質の度合いによって変わりうるが、一般にシリカ系蛍光ナノ粒子1モル当量当たり約1〜約20モル当量を用いることができる。Q[XSi−(CH−PO(OR)]は、例えば(CHO)Si−(CH−PO(OCH)Na、すなわち(CHO)Si−PMPであってもよい。
【0073】
ラジカル−Mが−(CH−Yであり、Yは−(OCHCH)-4−15−ORである一様態において、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、生体適合性(biocompatible)の表面として作用しうる(Dhruba J. Bharali, et. Al.,P. Natl. Acad. Sci. USA 2005, 102,11539-11544.; W. Tan, et. al., Med. Res. Rev. 2004, 24, 621-638.; T.-J.Yoon, et. al., Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 1068-1071.; V. Sokolova and M.Epple, Angew. Chem. Int. Ed. 2008,47, 1382-1395参照)。ラジカル−Mが−(CH−(OCHCH4−15−ORである、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、例えば、シリカ系蛍光ナノ粒子をXSi−(CH−(OCHCH4−15−ORと水および加水分解触媒の存在下で反応させて得ることができる(Xは前記定義したとおりの加水分解可能な基である)。この際、XSi−(CH−(OCHCH4−15−ORの量は、所望する表面改質の度合いによって変わりうるが、一般にシリカ系蛍光ナノ粒子1モル当量当たり約1〜約10モル当量を用いることができる。XSi−(CH−(OCHCH4−15−ORは、例えば(CHO)Si−(CH−(OCHCH4−15−OCH、すなわち(CHO)Si−PEGであってもよい。
【0074】
シリカ系蛍光ナノ粒子の用途
他の様態において、シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子の用途をまた提供する。ある具現例において、シリカ系蛍光ナノ粒子の少なくとも一つおよび/または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子の少なくとも一つを含む組成物を提供する。この組成物は蛍光インク、蛍光ペイントまたは蛍光ペイストを含むことができるが、これに限定されない。蛍光インクは例えば蛍光筆記道具のインクとして利用でき、蛍光ペイントは例えば蛍光標識、蛍光繊維または蛍光装飾物の製作に利用できる。
【0075】
シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、高価の蛍光染料を用いることなく低廉な費用で製造することができる。また、特定の理論に拘るのではないが、蛍光染料由来の発色団はシリカマトリクス(matrix)内に埋め込まれているため、蛍光染料そのままを含む着色用組成物に比べて化学物質による攻撃、空気中における酸化などによる蛍光性の劣化を防止することができる。また、本出願による着色用組成物において、蛍光染料由来の発色団は、理論に拘るのではないが、限定された輻射運動(restricted irradiative motion)に起因して溶液内の蛍光染料より一層高い光安定性を有する(C. Earhart, N. R. Jana, N. Erathodiyil, J. Y. Ying, Langmuir 2008,24, 6215 (2008); K.P. Mcnamara et al. Anal. Chem. 70, 4853 (1998); S. Santra et al. Anal.Chem. 73, 4988 (2001); T.-J. Yoon et al. Angew. Chem. Int. Ed. 44,1068 (2005))。
【0076】
シリカ系蛍光ナノ粒子の着色用組成物において、シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、着色用組成物の全体重量に対して1〜30重量%、例えば1〜20重量%または1〜25重量%の量で含まれてもよい。
【0077】
着色用組成物に含まれるシリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、透過電子顕微鏡(TEM)または走査電子顕微鏡(SEM)で測定して約5〜約900ナノメートル、例えば約30〜500ナノメートルまたは50〜300ナノメートルの直径を有することができる。ナノ粒子の形状には制限がない。例えば、ナノ粒子は略球形または楕円形であってもよい。
【0078】
ある具現例において、着色用組成物は少なくとも一つの溶媒を含む。溶媒は、着色用組成物の全体重量に対して60〜99重量%、例えば70〜99重量%、例えば70〜80重量%の量で含まれてもよい。溶媒は水、有機溶媒またはこれらの混合物であってもよい。有機溶媒の例はアルコール、多価アルコールのアルキルエーテル、複素環含有有機溶媒およびこれらの混合物を含むが、これに限定されない。ある具現例において、溶媒は、生物学的システムとともに作用するうえ、緩衝液としても作用することができる。
【0079】
アルコールの例は、C−Cアルコールおよびアルカンジオールを含むが、これに限定されない。C−Cアルコールの例はメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールおよびtert−ブタノールを含む。アルカンジオールの例は、1,2−アルカンジオール(例えば、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール)、末端ジオール(例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、分岐ジオール(例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール)またはこれらの2つ以上の混合物を含む。
【0080】
多価アルコールのアルキルエーテルの例は、多価アルコールの低級モノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノ−n−ブチルエーテル、モノ−イソ−ブチルエーテル、モノ−n−ヘキシルエーテルなど)、多価アルコールの低級ジアルキルエーテル(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−イソ−ブチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルなど)またはこれらの2つ以上の混合物を含む。
【0081】
複素環含有有機溶媒の例は、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(例えば、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン)、N−メチルピロリドン、エチレンウレア、スルホラン、ピリジン、ピラジン、モルホリン、1−メチル−2−ピリドン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリンおよび2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリン、またはこれらの2つ以上の混合物を含む。
【0082】
ある具現例において、有機溶媒は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−プロパノール、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、またはこれらの2つ以上の混合物である。
【0083】
着色用組成物は、シリカ系蛍光ナノ粒子および溶媒以外に、着色用組成物に一般に用いられる公知の添加剤、例えば界面活性剤、分散剤、結合剤および粘度調整剤などをさらに含んでもよい。これらの添加剤は、それぞれ着色用組成物の全体重量に対して0.005〜5重量%、例えば0.01〜2重量%含まれてもよい。
【0084】
界面活性剤は、例えば、着色用組成物の液性(例えば表面張力)を調整することにより、着色されたイメージの耐水性を向上させ、スミアリング(smearing)を防止することができる。界面活性剤の例は、陰イオン性界面活性剤(例えば、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩など)、陽イオン性界面活性剤(例えば、脂肪アミン塩、4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩など)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシドなど)、アミノ酸型やベタイン型などの両性界面活性剤、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、またはこれらの2つ以上の混合物を含む。
【0085】
分散剤は、着色用組成物内でシリカ系蛍光ナノ粒子の分散性を向上させて着色用組成物の貯蔵安定性に寄与する。分散剤の例は水溶性アクリル樹脂、架橋型水溶性アクリル樹脂、水溶性マレイン酸樹脂、水溶性スチレン樹脂、水溶性スチレンアクリル樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性ウレタン樹脂、またはこれらの2つ以上の混合物を挙げることができる。
【0086】
結合剤は、シリカ系蛍光ナノ粒子の付着性およびコーティング表面の耐水性を提供することができる。結合剤の例は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体、ポリビニルアセテート系樹脂、ポリアクリレート系共重合体、合成ラテックス、ポリビニルアセタールとポリビニルアセテートとビニルアセテートの共重合体、およびエチレンとビニルアセテートの共重合体、またはこれらの2つ以上の混合物を含むが、これに限定されない。また、ナノ粒子の表面上にシリコン原子に結合したラジカル−ORをさらに含む、表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は、それ自体が着色用組成物において結合剤として作用することができる。よって、このような表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子を含む着色用組成物は別途の結合剤を含まなくてもよい。
【0087】
粘度調整剤の例は、前述した有機溶媒以外に、水溶性ポリマー(例えば、セルロース類およびポリビニルアルコール)および非イオン性界面活性剤、またはこれらの2つ以上の混合物を含む。
【0088】
他の様態において、シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子を用いて物品を着色する方法を提供する。物品の例は紙、天然または合成樹脂、金属、合金、ガラス、セラミックおよび繊維を含むが、これに限定されない。
【0089】
シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子を含む着色用組成物は、生化学的標識として利用できる。例えば、シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子は細胞、遺伝子、核酸または抗体の染色剤として利用できる。
【0090】
他の様態において、シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子を用いて細胞を生化学的に染色する方法を提供する。細胞を生化学的に染色するこの方法は、シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子を細胞と接触させることを含むことができる。シリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子を細胞と接触させる前に、場合によっては染色しようとする細胞に対する抗体とシリカ系蛍光ナノ粒子または表面改質されたシリカ系蛍光ナノ粒子とを結合させることを含むことができる。
【0091】
本明細書で参照した全ての刊行物、特許出願、登録特許およびその他の文献はまるでそれぞれの個別刊行物、特許出願、登録特許またはその他の文献が具体的かつ個別的に表示されて全体として参照によって組み込まれているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる記載に含まれた定義のうち、本開示の定義に相反する部分は除く。
【0092】
定義
本明細書において、「約」は、当業者によって理解されるもので、用いられる文脈によって可変的である。当業者にとって不明瞭な当該用語の使用があれば、「約」は用いられた文脈において特定用語の上下10%までを意味するであろう。
【0093】
本明細書で例示的に記述した具現例は、本明細書で具体的に開示していない要素または要素ら、限定または限定らがなくても適切に実行できる。よって、例えば「含む」、「含む」、「含有する」などの用語は、拡張可能なものと理解されるべきであり、限定するものではない。また、本明細書で用いられたた用語および表現は説明のための用語として用いられたものであり、限定の用語として用いられたものではなく、このような用語および表現の利用には説明および例示された特徴またはその一部のどんな均等物も除外しようとする意図がなく、請求された発明の範囲内で多様な変更が可能であることが理解されるべきである。また、語句「必須的に行われる」は、具体的に言及した要素および請求された発明の基本的で新規な特徴に実質的に影響を与えない追加要素を含むものと理解されるべきである。語句「成り立つ」は具体的に言及してない要素を除く。
【0094】
一般に、「置換された」は、水素原子に対する少なくとも一つの結合が非水素または非炭素原子に対する結合で代替された、下記定義したとおりの基(例えばアルキルまたはアリール基)を示す。置換された基も炭素または水素原子に対する少なくとも一つの結合がヘテロ原子に対する二重または三重結合を含む少なくとも一つの結合で代替された基を含む。したがって、置換された基は別途特定しない限り少なくとも一つの置換基で置換される。ある具現例において、置換された基は1、2、3、4、5または6個の置換基で置換される。置換基の例はハロゲン(すなわち、F、Cl、BrおよびI);ヒドロキシル;アルコキシ、アルケンオキシ、アルキンオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシおよびヘテロシクリルアルコキシ基;カルボニル(オキソ);カルボキシル;エステル;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;チオール;スルフィド;スルホキシド;スルホン;スルホニル;スルホンアミド;アミン;N−オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;アミド;ウレア;アミジン;グアニジン;エナミン;イミド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;イミン;ニトロ基;ニトリル(すなわちCN);などを含む。
【0095】
アルキル基は、1〜20個の炭素原子、またはある具現例では1〜12、1〜8、1〜6または1〜4個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖アルキル基を含む。アルキル基はシクロアルキル基も含む。直鎖アルキル基の例はメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルおよびn−オクチル基などの1〜8個の炭素原子を有するものを含む。分岐鎖アルキル基の例はイソプロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、および2,2−ジメチルプロピル基を含むが、これに限定されない。代表的な置換されたアルキル基は、前記列挙したような置換基で少なくとも1回置換できる。ハロアルキルという用語が用いられる場合、アルキル基は少なくとも一つのハロゲン原子で置換される。
【0096】
シクロアルキル基は、環状アルキル基であって、その例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基を含むが、これに限定されない。ある具現例において、シクロアルキル基は3〜8個の環員を有するが、他の具現例においては、環炭素原子の数は3〜5、3〜6または3〜7である。シクロアルキル基は一環、二環および多環式環系、例えば後述するような架橋シクロアルキル基および融合環、例えば非制限的にデカリンなどをさらに含む。ある具現例において、多環シクロアルキル基は3つの環を有する。置換されたシクロアルキル基は前記定義したとおりの非水素および非炭素基で少なくとも一つ置換できる。ところが、置換されたシクロアルキル基は前記定義したとおりの直鎖または分岐鎖アルキル基で置換された環も含む。代表的な置換されたシクロアルキル基は1回またはそれ以上置換でき、例えば2,2−、2,3−、2,4−、2,5−または2,6−二置換されたシクロヘキシル基を含むが、これに限定されず、これらは前記列挙したような置換基で置換されてもよい。
【0097】
シクロアルキルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が前記定義したとおりのシクロアルキル基に対する結合で代替された、前記定義したとおりのアルキル基である。ある具現例において、シクロアルキルアルキル基は4〜20個の炭素原子、4〜16個の炭素原子、典型的には4〜10個の炭素原子を有する。置換されたシクロアルキルアルキル基は、この基のアルキル部分、シクロアルキル部分、またはアルキル部分およびシクロアルキル部分の両方ともで置換できる。代表的な置換されたシクロアルキルアルキル基は、1回またはそれ以上置換でき、例えば前記列挙したような置換基で一置換、二置換または三置換できるが、これに限定されない。
【0098】
アルケニル基は、2つの炭素原子間の少なくとも一つの二重結合が存在する以外は前記定義したとおりの直鎖および分岐鎖アルキルおよびシクロアルキル基を含む。よって、アルケニル基は、2〜約20個の炭素原子、典型的には2〜12個の炭素原子、或いはある具現例では2〜8個、2〜6個または2〜4個の炭素原子を有する。ある具現例において、アルケニル基は4〜20個の炭素原子、5〜20個の炭素原子、5〜10個の炭素原子、或いは5、6、7または8個の炭素原子を有するシクロアルケニル基を含む。例えば、特に、ビニル、アリル、CH=CH(CH)、CH=C(CH、−C(CH)=CH、−C(CH)=CH(CH)、−C(CHCH)=CH、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルが挙げられるが、これに限定されない。代表的な置換されたアルケニル基は1回またはそれ以上置換でき、例えば前記列挙したような置換基で一置換、二置換または三置換できるが、これに限定されない。
【0099】
シクロアルケニルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が前記定義したとおりのシクロアルケニル基に対する結合で代替された、前記定義したようなアルキル基である。置換されたシクロアルケニルアルキル基は、この基のアルキル部分、シクロアルケニル部分、またはアルキル部分およびシクロアルケニル部分の両方ともで置換できる。代表的な置換されたシクロアルケニルアルキル基は、前記列挙したような置換基で1回またはそれ以上置換できる。
【0100】
アルキニル基は、2つの端子原子間の少なくとも一つの三重結合が存在する以外は直鎖または分岐鎖アルキル基を含む。よって、アルキニル基は、2〜約20個の炭素原子、典型的には2〜12個の炭素原子、或いはある具現例では2〜8個、2〜6個または2〜4個の炭素原子を有する。例えば、特に−C≡CH、−C≡C(CH)、−C≡C(CHCH)、−CHC≡CH、−CHC≡C(CH)、および−CHC≡C(CHCH)が挙げられるが、これに限定されない。代表的な置換されたアルキニル基は1回またはそれ以上置換でき、例えば前記列挙したような置換基で一置換、二置換または三置換できるが、これに限定されない。
【0101】
アリール基は、ヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素である。アリール基は、一環、二環および多環式環系を含む。よって、アリール基はフェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニルレニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニルレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニルおよびナフチル基を含むが、これに限定されない。ある具現例において、アリール基はこの基の環部分に6〜14個の炭素原子、他の具現例では6〜12個または6〜10個の炭素原子も含有する。用語「アリール基」は、融合芳香族−脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)などの融合環を含有する基を含むが、環員の一つに結合したアルキル基またはハロ基などの他の基を有するアリール基は含まない。その代わりに、トリル基などの基は置換されたアリール基と称する。代表的な置換されたアリール基は1回またはそれ以上置換できる。例えば、一置換されたアリール基は2−、3−、4−、5−または6−置換されたフェニルまたはナフチル基を含むが、これに限定されず、これらは前記列挙したような置換基で置換できる。
【0102】
アラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が前記定義したとおりのアリール基に対する結合で代替された、前記定義したようなアルキル基である。ある具現例において、アラルキル基は7〜20個の炭素原子、7〜14個の炭素原子、または7〜10個の炭素原子を有する。置換されたアラルキル基はこの基のアルキル部分、アリール部分、またはアルキル部分とアリール部分の両方ともで置換できる。代表的なアラルキル基は、ベンジルおよびフェネチル基、そして4−エチル−インダニルなどの融合(シクロアルキルアリール)アルキル基を含むが、これに限定されない。代表的な置換されたアラルキル基は前記列挙したような置換基で1回またはそれ以上置換できる。
【0103】
ヘテロシクリル基は、3つ以上の環員を含有し、これらの中でも一つ以上が非制限的にN、OおよびSなどのヘテロ原子である芳香族(ヘテロアリールとも称する)および非芳香族環化合物を含む。ある具現例において、ヘテロシクリル基は3〜20個の環員を含むが、他の具現例では3〜6、3〜10、3〜12または3〜15個の環員を有する。ヘテロシクリル基は、例えばイミダゾリル、イミダゾリニルおよびイミダゾリジニル基などの不飽和、部分飽和および飽和環系を包含する。用語「ヘテロシクリル基」は例えばベンゾトリアゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル、およびベンゾ[1,3]ジオキソリルなどの融合芳香族および非芳香族基を含むものを始めとして、融合環状種を含む。この用語は、非制限的にキヌクリジルなどのヘテロ原子を含有する橋結合多環式環系も含む。ところが、この用語は環員の一つに結合したアルキル、オキソまたはハロ基などの他の基を有するヘテロシクリル基は含まない。その代わりに、これは「置換されたヘテロシクリル基」と称する。ヘテロシクリル基はアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサチアン、ジオキシル、ジチアニル、ピラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロピリジル、ジヒドロジチイニル、ジヒドロジチオニル、ホモピペラジニル、キヌクリジル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、アザインドリル(ピロロピリジル)、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジチイニル、ベンゾオキサチイニル、ベンゾチアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ピラゾロピリジル、イミダゾピリジル(アザベンズイミダゾリル)、トリアゾロピリジル、イソキサゾロピリジル、フリニル、キサチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、チアナフタレニル、ジヒドロベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、テトラヒドロインドリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンズイミダゾリル、テトラヒドロベンゾトリアゾリル、テトラヒドロピロロピリジル、テトラヒドロピラゾロピリジル、テトラヒドロイミダゾピリジル、テトラヒドロトリアゾロピリジルおよびテトラヒドロキノリニル基を含むが、これに限定されない。代表的な置換されたヘテロシクリル基は1回またはそれ以上置換できる。例えば、置換されたヘテロシクリル基は、前記列挙したような各種の置換基で2−、3−、4−、5−または6−置換または二置換されたピリジルまたはモルホリニル基を含むが、これに限定されない。
【0104】
ヘテロアリール基は、5つ以上の環員を含有し、これらの少なくとも一つが非制限的にN、OおよびSなどのヘテロ原子としての芳香族環化合物である。ヘテロアリール基はピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル(ピロロピリジル)、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾピリジル(アザベンズイミダゾリル)、ピラゾロピリジル、トリアゾロピリジル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジル、イソキサゾロピリジル、チアナフタレニル、フリニル、キサンチニル、アデニニル、クアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニルおよびキナゾリニル基を含むが、これに限定されない。用語「ヘテロアリール基」はインドリルおよび2,3−ジヒドロインドリルなどの融合環化合物を含むが、アルキル基などの環員の一つに結合した他の基を有するヘテロアリール基は含まない。その代わりに、このような置換を有するヘテロアリール基は「置換されたヘテロアリール基」と称する。代表的な置換されたヘテロアリール基は前記列挙したような各種の置換基で1回以上置換できる。
【0105】
ヘテロシクリルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が前記定義したとおりのヘテロシクリル基に対する結合で代替された、前記定義したとおりのアルキル基である。置換されたヘテロシクリルアルキル基は、この基のアルキル部分、ヘテロシクリル部分、またはアルキル部分およびヘテロシクリル部分の両方ともで置換できる。代表的なヘテロシクリルアルキル基は4−エチル−モルホリニル、4−プロピルモルホリニル、フラン−2−イルメチル、フラン−3−イルメチル、ピリジン−3−イルメチル、テトラヒドロフラン−2−イルエチルおよびインドル−2−イルプロピルを含むが、これに限定されない。代表的な置換されたヘテロシクリルアルキル基は前記列挙したような置換基で1回またはそれ以上置換できる。
【0106】
ヘテロアラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が前記定義したとおりのヘテロアリール基に対する結合で代替された、前記定義したとおりのアルキル基である。置換されたヘテロアラルキル基は、この基のアルキル部分、ヘテロアリール部分、またはアルキル部分およびヘテロアリール部分の両方において置換できる。代表的な置換されたヘテロアラルキル基は、前記列挙したような置換基で1回またはそれ以上置換できる。
【0107】
本明細書において、ハロゲンはF、Cl、BrまたはIを示すことができる。
【0108】
本明細書において、アンモニウムまたは4次アミンは、NRの構造を有する基またはイオンを示す。ここで、R、R、RおよびRはHおよびアルキル基から独立に選択される。よって、Ra−d基は、全て同一であっても異なってもよい。アルキルアンモニウムは1、2、3または4個のアルキル基を有するアンモニウム基を示すが、テトラアルキルアンモニウムは4個のアルキル基を有するアンモニウム基を示す。混合アルキルアンモニウムは2、3または4個のアルキル基を有し、アルキル基の少なくとも一つが他のアルキル基とは異なるアンモニウムである。
【0109】
本明細書で参照した全ての刊行物、特許出願、登録特許およびその他の文献は、まるでそれぞれの個別刊行物、特許出願、登録特許またはその他の文献が具体的且つ個別的に表示されて全体として参照によって組み込まれているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる記載によって含まれた定義のうち、本開示の定義に相反する部分は除く。
【0110】
一般に説明された本具現例は、例示として提供される下記の実施例を参照してさらによく理解されるが、これらの実施例は本技術を制限するものではない。
【実施例】
【0111】
本技術は、下記実施例によってさらに詳細に説明されるが、これは決して制限するものと解釈されてはならない。
【0112】
実施例1:ローダミン由来シリカ系蛍光ナノ粒子の製造
アリル−ローダミンBの合成
0.5g(1.0mmol)のローダミンB、1.5g(3.26mmol)の炭酸セシウムおよび0.54g(4.46mmol)のアリルブロマイドをN,N’−ジメチルホルムアミド20mLに溶解させた。混合物を60℃で1日間攪拌しながら反応させた後、反応混合物をメチレンクロライド100mLおよび水200mLと混合した。メチレンクロライド層を分離して回転蒸発器で溶媒を蒸発させた。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー(カラムの長さ30cm、直径5cm、充填物質:SilicaGel 60、展開溶媒:メチレンクロライドとメタノールの1:1混合物)で分離して黒赤い色の固体としてアリル−ローダミンB0.511g(収率:94.6%)を得た。
【0113】
1H NMR (300MHz, Bruker, CDCl3);δ ppm 8.31, 7.82, 7.34, 7.10, 6.90, 5.70, 5.20, 4.53, 3.68, 1.34. 13C NMR (300MHz, Bruker, CDCl3);δ ppm 164.61, 158.62, 157.65, 155.45, 133.48, 133.11, 131.26, 131.18, 131.02,130.37, 130.15, 129.82, 118.98, 115.91, 114.21, 113.42, 96.20, 67.88, 65.99,46.09, 12.60.
【0114】
アリル−ローダミンBのヒドロシリル化
50mgのアリル−ローダミンB、25mgのトリエトキシシランおよび触媒量のPt/Cをメタノール10mLに添加した。混合物を還流温度の下で1日間攪拌しながら反応させた後、Pt/Cはセライトを用いて除去した。濾過液の溶媒を真空で除去して非常にネバネバした液体として、ヒドロシリル化されたアリル−ローダミンB60.8mg(収率:98.7%)を得た。
【0115】
ナノ粒子の製造
30mgのヒドロシリル化されたアリル−ローダミンB、1.1gのテトラエトキシシランをアンモニア28%水溶液1mL、脱イオン化された水1mLおよびエタノール50mLの混合物に添加した。混合物を常温で3時間反応させた。反応混合物を遠心分離してシリカ系蛍光ナノ粒子0.1gを得た。生成されたナノ粒子の直径はTEM観察の際に30〜50nm、SEM観察の際に30〜50nmであった。
【0116】
実施例2:フルオレセイン由来シリカ系蛍光ナノ粒子の製造
ローダミンBの代わりに0.5gのフルオレセインを用いた以外は、実施例1と同一の方法でシリカ系蛍光ナノ粒子を製造した。
【0117】
アリル−フルオレセインのH−NMR(300MHz、Bruker、CDCl);δ ppm 8.25, 7.70, 7.33, 6.91, 6.78, 6.02, 5.60, 5.42, 5.11, 4.65,4.46. 13C NMR (300MHz,Bruker, CDCl3); δ ppm 185.65, 165.00,162.98, 158.90, 154.17, 149.98, 134.38, 132.69, 131.21, 131.90, 131.21, 130.95,130.55, 130.50, 130.21, 129.94, 129.69, 128.91, 119.15, 118.70, 117.72, 114.97,113.74, 105.74, 101.18, 69.44, 66.01.
【0118】
実施例3:シリカ系蛍光ナノ粒子を含む着色用組成物の製造
実施例1の直径50nmのナノ粒子を10mLのエタノールまたは水に分散させた。こうして作られた溶媒に分散したナノ粒子は、約560nmで最大吸収は長を示し、約580nmで放出波長を示した。
【0119】
濾紙(90nm、ADVANTEC)に実施例1または実施例2のシリカ系蛍光ナノ粒子の水溶液を用いて文字を記入し、空気中で乾燥させた。紫外線照射の際に、実施例1の溶液を用いて記入した文字は赤色を示し、実施例2の溶液を用いて記入した文字は緑色を示した。
【0120】
実施例4:シリカ系蛍光ナノ粒子を用いた生化学的標識
実施例1の直径50nmの蛍光ナノ粒子を培養液に分散させた。準備されたMC3T3−E1細胞に100μg/mLの濃度で蛍光ナノ粒子を注入した。14時間37℃(5%のCO)で培養した後、光学顕微鏡および蛍光顕微鏡を用いて観察した。光学顕微鏡観察の際には図1に示すように蛍光ナノ粒子の存在を確認することができないが、蛍光顕微鏡観察の際には図2に示すように核を除いた全ての細胞の部分に蛍光ナノ粒子が含まれていることが分かる。
【0121】
均等物
本開示は、本出願で説明した特定の具現例によって限定されない。本開示の技術的思想と範疇を外れずに多くの変更および変化が成され得る。これは当業者にとっては明白なことである。本明細書で列挙されたものだけでなく、本開示の範疇内に属する機能的に均等な方法および装置は、前述した説明によって当業者に明確になるであろう。このような変更および変化は特許請求の範囲の範疇内に属することが意図される。本開示は、添付する特許請求の範囲、そしてこの特許請求の範囲に与えられる完全な範囲の均等物によってのみ限定されるであろう。本開示は特定の方法、試薬、化合物、組成物または生物学的システムに限定されず、これらは当然に変更可能であることを理解すべきである。本明細書で用いた用語は特定の具現例を説明するための目的に過ぎず、限定しようとするものではないことも理解すべきである。
【0122】
また、本開示の特徴または様態がマーカッシュ(Markush)グループの言葉で説明されている場合、当業者はこの開示もまた該マーカッシュ(Markush)グループの任意の個々の構成要素またはサブグループの構成要素の言葉で説明されることを理解するであろう。
【0123】
全ての目的で特に発明の詳細な説明を提供することからみて、本明細書で開示した全ての範囲は全て可能な部分範囲および部分範囲の組み合わせを含み、これは当業者によって理解されるであろう。全ての列挙された範囲はその同一の範囲を1/2、1/3、1/4、1/5、1/10部分などで分けられた範囲に対しても十分に説明および実施できるものと容易に理解されるであろう。非制限的例として、本明細書で論議された各範囲は下位1/3、中位1/3、および上位1/3に容易に分けられる。「以上」、「超過」、「未満」などの全ての用語は、前記論議されたように、追って部分範囲に分けられる範囲を示すことも、当業者は理解するであろう。最後に、範囲は各個別構成要素を含むことも、当業者は理解するであろう。よって、例えば1〜3個の細胞を有するグループは1、2または3個の細胞を有するグループを示す。同様に、1〜5個の細胞を有するグループは1、2、3、4または5個の細胞を有するグループを示す。
【0124】
多様な様態と具現例を本明細書に開示したが、他の様態および具現例も当業者にとっては明白であろう。本明細書で開示した多様な様態および具現例は、例示するためのものに過ぎず、限定するためのものではなく、その真正な技術的思想および範疇は特許請求の範囲によって表示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式SiR4−mの有機シランと、
化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物と、
水と、
加水分解触媒の反応生成物とを含む組成物であり:
式中、Rは少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルキル、少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルケニル、または少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のアリール基であり、
mは0または1であり、
nは3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であり、
Dはフルオロフォア団を有するラジカルであり、
は結合、O、S、C(O)O、C(O)NR、SOO、C(O)S、C(S)、またはSであり、
は水素、またはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−C12アルキルであり、
およびXはそれぞれ独立に加水分解可能な置換基であり、
前記反応生成物は作用基を含む外部表面を含むシリカ系蛍光ナノ粒子である。
【請求項2】
前記シリカ系蛍光ナノ粒子の外部表面上の作用基の80%以上がOH基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Dは、キサンテン(Xanthene)、ベンゾ[a]キサンテン(benzo[a]xanthene)、ベンゾ[b]キサンテン(benzo[b]xanthene)、ベンゾ[c]キサンテン(benzo[c]xanthene)、クマリン(coumarin)、ベンゾクマリン(benzocoumarin)、アリザリン(alizarin)、アゾ(azo)、フェノキサジン(phenoxazine)、ベンゾ[a]フェノキサジン(benzo[a]phenoxazine)、ベンゾ[b]フェノキサジン(benzo[b]phenoxazine)、ベンゾ[c]フェノキサジン(benzo[c]phenoxazine)、ナフタルイミド(naphthalimide)、ナフトールラクタム(naphtholactam)、アズラクトン(azlactone)、メチン(methyne)、オキサジン(oxazine)、チアジン(thiazine)、ジケトピロロピロール(diketopyrrolopyrrole)、キナクリドン(quinacridone)、チオエピンドリン(thioepindoline)、ラクタムイミド(lactamimide)、ジフェニルマレイミド(diphenylmaleimide)、アセトアセトアミド(acetoacetamide)、イミダゾチアジン(imidazothiazine)、ベンズアントロン(benzanthrone)、フタルイミド(phthalimide)、ベンゾトリアゾール(benzotriazole)、ピリミジン(pyrimidine)、ピラジン(pyrazine)またはトリアジン(triazine)系蛍光染料から誘導されるフルオロフォア団を有するラジカルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記シリカ系蛍光ナノ粒子の表面は、シリカ原子に結合した−ORまたは−(CH−Y基を含む、請求項1に記載の組成物:
式中、YはNR、PO(OR)または−(OCHCH4−15ORであり、
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にC−Cアルキルであり、
pは1〜15の整数である。
【請求項5】
前記シリカ系蛍光ナノ粒子の外部表面上の作用基の10%以下がNH基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
はメチル、エチルまたはフェニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
およびXはそれぞれ独立にハロゲン、C−CアルコキシまたはC−Cアシルオキシである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
Dは化学式1、化学式2、化学式3または化学式4のラジカルである、請求項1に記載の組成物:
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

式中、AはO、N−ZまたはNZであり、
およびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはZおよびR12はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR14はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR14はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、
はOZまたはNZであり、
はH、C−CアルキルまたはカルボキシC−Cアルキルであり、
およびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはZおよびR13はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、またはZおよびR17はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZ5およびR17はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、
qは1〜4の整数であり、
11はF、Cl、Br、I、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、ナフチルまたは化学式a、b、c、若しくはdである。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

ここで、X、X、X、XおよびXはそれぞれ独立にH、F、Cl、Br、I、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルキルアミド、SOH、スルホネートまたはCOHであり、またはXおよびX、XおよびX、XおよびX、またはXおよびXはこれらが結合している原子と共にF、Cl、Br、I、CN、COH、SOH、OH、NH、置換もしくは無置換のモノ−またはジ(C−Cアルキル)アミノ、置換もしくは無置換のC−Cアルキル、置換もしくは無置換のC−Cアルキルチオ、または置換もしくは無置換のC−Cアルコキシである1〜4個の置換体で置換された或いは無置換のフェニルを形成し、
12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独立にH、F、Cl、Br、I、CN、CF、置換もしくは無置換のC−Cアルキル、置換もしくは無置換のC−Cアルキルチオ、置換もしくは無置換のC−Cアルコキシ、フェニル、ナフチルまたはヘテロアリールであり、或いはR14およびR15、またはR16およびR17は結合してベンゾ基を形成する。
【請求項9】
Dは化学式5のクマリンラジカルである、請求項1に記載の組成物:
【化9】

式中、R20、R21、R22、R23、R24およびR25はそれぞれ独立にH、C−CアルキルまたはNZであり、ここでZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはR20およびZ;R20およびZ;R22およびZ;またはR22およびZはこれらが結合している原子と共に置換もしくは無置換の5−、6−または7−員環を形成する。
【請求項10】
前記有機シランと前記蛍光染料−シラン化合物の当量比は1:1〜100:1の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
化学式D−Aの蛍光染料と化学式B−(CHq’−CH=CHの化合物を反応させて化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体を生成し;
前記化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体と化学式HSiXのシラン化合物を反応させて化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物を製造し;
化学式SiR4−mの有機シランと前記化学式D−L−(CH−SiXの蛍光染料−シラン化合物を水および加水分解触媒の下で重合させることを含む、シリカ系蛍光ナノ粒子の製造方法:
式中、Rは少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルキル、少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のC−Cアルケニル、または少なくとも一つのハロゲンまたはヒドロキシ基で置換された或いは無置換のアリール基であり、
Dはフルオロフォア団を有するラジカルであり、
およびXはそれぞれ独立に加水分解可能な置換基であり、
は結合、O、S、C(O)O、C(O)NR、SOO、C(O)S、C(S)、またはSであり、
AはCOOH、OH、SOH、CO−CH−ハロゲン、CH=CH、またはSHであり、
BはOH、NHR、F、Cl、Br、I、またはSHであり、
q’は1〜10の整数であり、
nは3〜12の整数であり、
mは0または1であり、
は水素、C−C12アルキル、またはヒドロキシ基で置換されたC−C12アルキルであり、
但し、AおよびBは互いに反応できるように選択される。
【請求項12】
はC(O)Oであり、AはC(O)OHであり、BはF、Cl、Br、IまたはOHである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化学式D−L−(CHq’−CH=CHの蛍光染料誘導体と前記化学式HSiXのシラン化合物の当量比は1:0.5〜1:5である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
化学式D−L−(CHq’−CH=CHの化合物:
式中、Dはフルオロフォア団を有するラジカルであり、
は結合、O、S、C(O)O、C(O)NR、SOO、C(O)S、C(S)、またはSであり、
q’は1〜10の整数である。
【請求項15】
Dは化学式1、化学式2、化学式3または化学式4のラジカルである、請求項14に記載の化合物:
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

式中、AはO、N−ZまたはNZであり、
およびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはZおよびR12はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR14はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR14はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、
はOZまたはNZであり、
はH、C−CアルキルまたはカルボキシC−Cアルキルであり、ZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはZおよびR13はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR17はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、或いはZおよびR17はこれらが結合している原子と共に5−、6−または7−員環を形成し、
qは1〜4の整数であり、
11はF、Cl、Br、I、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、フェニル、ナフチルまたは化学式a、b、c、若しくはdである。
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】


ここで、X、X、X、XおよびXはそれぞれ独立にH、F、Cl、Br、I、CN、CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルキルアミド、SOH、スルホネートまたはCOHであり、またはXおよびX、XおよびX、XおよびX、またはXおよびXはこれらが結合している原子と共にF、Cl、Br、I、CN、COH、SOH、OH、NH、置換もしくは無置換のモノ−またはジ(C−Cアルキル)アミノ、置換もしくは無置換のC−Cアルキル、置換もしくは無置換のC−Cアルキルチオ、または置換もしくは無置換のC−Cアルコキシである1〜4個の置換体で置換された或いは無置換のフェニルを形成し、
12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独立にH、F、Cl、Br、I、CN、CF、置換もしくは無置換のC−Cアルキル、置換もしくは無置換のC−Cアルキルチオ、置換もしくは無置換のC−Cアルコキシ、フェニル、ナフチルまたはヘテロアリールであり、或いはR14およびR15、またはR16およびR17は結合してベンゾ基を形成する。
【請求項16】
Dは化学式5のラジカルである、請求項14に記載の化合物:
【化18】

式中、R20、R21、R22、R23、R24およびR25はそれぞれ独立にH、C−CアルキルまたはNZであり、ここでZおよびZはそれぞれ独立にHまたはC−Cアルキルであり、またはR20およびZ;R20およびZ;R22およびZ;またはR22およびZはこれらが結合している原子と共に置換もしくは無置換の5−、6−または7−員環を形成する。
【請求項17】
請求項1の組成物を含む、着色用組成物。
【請求項18】
前記組成物は蛍光インク、蛍光ペイントまたは蛍光ペイストを含む、請求項17に記載の着色用組成物。
【請求項19】
前記組成物は生化学的標識として用いられる、請求項17に記載の着色用組成物。
【請求項20】
請求項1の組成物を用いて物品を着色する方法。
【請求項21】
請求項1の組成物を用いて細胞を生化学的に染色する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500860(P2012−500860A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523747(P2011−523747)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004668
【国際公開番号】WO2010/021512
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(509084149)エスエヌユー アールアンドディービー ファウンデーション (19)
【Fターム(参考)】