説明

シリコン溶融装置、シリコン精製装置およびシリコンの精製方法

【課題】シリコン精錬におけるスラグの投入において、粉末状のスラグが集塵機に吸収されず、また溶融シリコンを保持する容器の溶損の虞のないシリコン精製用装置および該装置を用いたシリコンの精製方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のシリコン溶融装置は、上部に第1の開口部を有する坩堝と、前記第1の開口部よりも上方に設けられた集塵口を有する集塵機構とを含み、坩堝上方に着脱可能な漏斗を備え、該漏斗は、坩堝内に供給する粉末状溶融対象物を投入するための投入口と、投入口から投入された粉末状溶融対象物を吐出する吐出口とを備えており、投入口は集塵機構よりも上方に、吐出口は集塵機構よりも下方に配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン溶融装置、該シリコン溶融装置を含むシリコン精製装置および該シリコン溶融装置を用いたシリコン精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題から石油などの代替として自然エネルギーの利用が注目されている。その中で、シリコン半導体の光電変換原理を用いる太陽電池は、太陽エネルギーの電気への変換が容易に行なえるという特徴を有する。しかし、太陽電池の普及拡大にはコスト低減、とりわけ、半導体シリコンのコストダウンが必要である。
【0003】
半導体集積回路などに用いる高純度シリコンは、珪石を炭素還元して得られる純度98%以上の金属シリコンを原料とするものであって、化学的な方法でトリクロルシラン(SiHCl3)を合成し、これを蒸留法で純化した後、還元することにより、いわゆる11N(イレブン−ナイン)程度の高純度シリコンを得ている(シーメンス法)。しかし、この高純度シリコンは、複雑な製造プラントおよび還元に要するエネルギー使用量が多くなるため、必然的に高価な素材となる。
【0004】
一方、太陽電池の製造に用いられるシリコンに要求されるシリコンの純度は約6N程度である。従来、上述のような半導体集積回路用などの高純度シリコンの規格外品が太陽電池用の原料として用いられているが、このような半導体集積回路用などの高純度シリコンの規格外品は、太陽電池用としては過剰な高品質となる。太陽電池の低コスト化のために、半導体集積回路の製作の各工程から得られる高純度シリコンの再生利用と並行して、2N〜3N程度の純度である金属シリコンからの直接的な冶金的精製が試みられている。
【0005】
このような治金的精製として、従来、シリコン融液の凝固、特に一方向凝固を行なうことで偏析により金属シリコンを精製し、実用的な太陽電池特性を得る方法が知られている。しかしながら、金属シリコンを用いた一方向凝固精製は、多くの不純物元素を同時に低減できる点で優れるものの、ボロンについては偏析係数が0.8であり、リンについては偏析係数が0.35と大きいため、原理的に凝固精製を効率的には行なえず、これらボロンおよびリンの凝固精製による実質的な濃度低減は困難な状況にある。
【0006】
このような偏析係数の大きい不純物のうちボロンを除去する方法として、たとえば特許文献1に記載されるような溶融シリコンにフラックスを添加し、溶融スラグを生成させて、該溶融スラグにボロンを吸収させることによりボロンを除去するスラグ法が知られている。
【0007】
スラグ法においては、溶融シリコンとフラックスとの反応により白煙が発生することがあるので、溶融シリコンを保持する容器(坩堝)の上部に白煙を吸引するための集塵機構が設けられる場合がある。図3(a)に集塵機構5を設けた坩堝1の概略図を示す。坩堝1の開口上部に集塵機構5が設けられ、その上に坩堝1全体の保温のために保温蓋4が設けられている。集塵機構5には、白煙を吸引するために吸塵口6が備えられ、坩堝1に保持された溶融シリコン2の上部の図3(a)中の矢印Aの方向から保温蓋4の間をとおしてフラックス3が添加される。
【0008】
ところが、スラグ法において添加されるフラックスは、溶融シリコンとの反応性の点から、一般に粉末状のものが用いられているので、このように集塵機構5を設けた状態でフラックスの添加を行なう場合、粉末状のフラックスが溶融シリコン2に到達する前に吸塵口6から吸引されて(図3(a)中の矢印Bの方向)失われるという吸引ロスの問題、また吸引されたフラックスが集塵機構内部に溜まることによって集塵機構の効率が低下してしまうという問題があった。
【0009】
粉末投入物の集塵機構による上記吸引ロスを防ぐ方法としては、製鉄精錬炉の分野において、精錬炉上部の排気フードの外側にフォーミングロールを設置し、該ロールに金属板を供給してパイプ状のシュートを成形し、該シュートを炉内に挿入して、先端部がスラグ液面近くになるようにシュートを設置したのち、上記フォーミングロール手前のシュートの開口部から粉状原料を装入してシュートを通じて原料を炉内に投入する方法が開示されている。そして、ここでシュートの先端部が反応熱により溶損した場合は、その溶損量に応じて金属板を更に成形してシュートを順次炉内に送入して原料を投入する方法が提案されている(特許文献2)。
【0010】
また、上記スラグ法においては、容器が溶損してしまう場合があるという問題も見出されている。このような問題を解決するために、例えば特許文献3には、用いる容器のスラグと接触する可能性のある部分をアルミナ材質により構成することが提案されている。また、特許文献4には、上記問題を解決するために、フラックスに溶融シリコンを保持する容器を構成する材料の少なくとも一種を添加する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−261944号公報
【特許文献2】特開平1−191721号公報
【特許文献3】特開2006−207850号公報
【特許文献4】特開2006−219324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献2に開示された投入方法をそのままシリコン溶融装置に適用することは容易ではない。なぜなら特許文献2に開示された方法は製鉄精錬炉の粉状原料投入方法であり、金属板からなるシュートが溶損しても、シュートを構成していた溶融金属は精錬炉内で製鉄原料の一部となると考えられるのに対し、シリコン溶融装置において上記投入方法を用いた場合、シュートを構成していた溶融金属は、溶融シリコン内において厳密に除去すべき対象である不純物となるからである。
【0013】
また、上記特許文献3および特許文献4において提案される構成では、溶融シリコンを保持するための容器が高価なものとなったり、用いる容器の材質によってスラグ組成を変更する必要があり、より簡便な方法によるスラグの効率的添加方法の提供が望まれていた。
【0014】
上記課題に加えて、本発明者らは、上記坩堝の溶損について鋭意検討の結果、シリコン精製においてシリカおよびアルミナのうち少なくとも一方を構成成分とする坩堝を使用し、かつ塩基性成分を含むフラックスを使用した場合において、より限定的にはアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物などの塩基性成分と、酸性成分である二酸化シリコンとの混合物をフラックスとして使用した場合には、溶融シリコン容器(本発明においては坩堝と表記している)を溶損する主原因は溶融スラグ(一般にはフラックスが溶融して生じた溶融物を指す名称であるが、本明細書においては、フラックス溶融物中にフラックスの熱分解生成物が含まれていても良く、さらに、それらフラックス由来の成分と溶融シリコンや溶融シリコン中の不純物などとの反応生成物などが混合していても構わないものとする)ではなく、添加されたフラックスの塩基性成分が直接、すなわち溶融シリコン液面上で溶融される前に坩堝内壁に付着することであることを見出した。
【0015】
塩基性成分と酸性成分からなるフラックスを、溶融シリコンを保持した坩堝に添加した場合、坩堝や溶融シリコンからの熱によって溶融して混合された溶融スラグの塩基性は(両成分の中和により)それほど高くない。そのため坩堝溶損の原因となるとはいっても、比較的小さなものである。これに対し、溶融前の塩基性成分が坩堝内壁に付着すると、比較的急速に溶損が進むと考えられる。
【0016】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、粉末状溶融対象を坩堝に供給する際の吸引ロスを抑制するシリコン溶融装置を提供するものである。
【0017】
また本発明は、上記粉末状溶融対象が粉末状フラックスであり、よって、上記シリコン溶融装置が、坩堝に保持された溶融シリコンに粉末状フラックスを添加して不純物を除去シリコン精製用装置と見なされる場合において、粉末状のフラックスの吸引ロスを抑制するシリコン精製装置および該装置を用いたシリコンの精製方法を提供するものである。
【0018】
さらに本発明は、上記問題に鑑み、溶融シリコンを保持する坩堝の溶損の虞の少ないシリコン精製装置および該装置を用いたシリコンの精製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のシリコン溶融装置は、上部に第1の開口部を有する坩堝と、第1の開口部よりも上方に設けられた集塵口を有する集塵機構とを含み、坩堝上方に着脱可能な漏斗を備え、該漏斗は、坩堝内に供給する粉末状溶融対象物を投入するための投入口と、投入口から投入された粉末状溶融対象物を吐出する吐出口とを備えており、投入口は集塵機構よりも上方に、吐出口は集塵機構よりも下方に配置されることを特徴とするシリコン溶融装置である。
【0020】
本発明の別の態様は、上記坩堝は、上部に第2の開口部を有する炉体に収納されており、上記集塵機構は、第1の開口部および第2の開口部よりも上方に集塵口を設けられたシリコン溶融装置に関する。
【0021】
上記集塵機構は、第1の開口部または第2の開口部の外縁の少なくとも一部に沿うように配置された集塵フードを具備し、この集塵フードは中空体からなり、該中空体の内面側に集塵口を有し、かつ、該中空体の外面側に集塵口から収集した集塵物を集塵フードの外部に排出する排出口を有し、上記坩堝の鉛直投影面において、漏斗の吐出口は、第1の開口部の中心よりも排出口から遠い位置に配置されていることが好ましい。
【0022】
また、坩堝の鉛直投影面において、漏斗の投入口の中心は、第1の開口部の中心位置に配置されていることが好ましい。
【0023】
本発明のシリコン溶融装置において、坩堝の第1の開口部または炉体の第2の開口部の上部に着脱可能な保温蓋をさらに備え、この保温蓋は貫通開口部を有し、上記漏斗は、貫通開口部を介して着脱可能に配置された態様としてもよい。また、漏斗は、1420℃以上の融点を有する金属または金属化合物により構成されることが好ましい。また、上記漏斗は、該漏斗を構成する材料や融点にかかわらず、冷却媒体を用いる冷却機構を備えていてもよい。
【0024】
本発明は、上記シリコン溶融装置を含むシリコン精製装置であって、坩堝が、シリカおよびアルミナのうち少なくとも一方を構成成分とし、粉末状溶融対象物が、塩基性成分を含むフラックスであるシリコン精製装置に関する。さらに、本発明は、上記シリコン溶融装置を用いたシリコンの精製方法であって、坩堝に保持された溶融シリコンにフラックスを添加して不純物を除去する工程を含むシリコン精製方法に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シリコン溶融装置において、着脱可能な漏斗を用いるので、粉末状溶融対象を坩堝に供給する際の吸引ロスを抑制することができる。また、本発明のシリコン精製装置によれば、シリコン精製における粉末状フラックスの投入において、集塵機構の構成とフラックスの添加位置を適切に調整することにより、フラックスによる坩堝の溶損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)は本発明のシリコン溶融装置を示す概略図であり、図1(b)は本発明のシリコン精製装置を示す概略図である。
【図2】図2(a)は本発明のシリコン溶融装置においてフラックスの吐出口の管状部分の一部が曲げられた形態の概略図であり、図2(b)はフラックスの吐出口の管状部分の全部が傾けられた形態の概略図である。
【図3】図3(a)は集塵機構を設けたシリコン溶融装置における坩堝の概略を示す図であり、図3(b)は集塵機構を設けたシリコン精製装置における坩堝の概略を示す図である。
【図4】図4(a)は集塵機構における閉じたリング状の集塵フードの鉛直投影図であり、図4(b)は集塵機構における一部が切れたリング状の集塵フードの鉛直投影図である。
【図5】漏斗に設けられた冷却機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態(以下、実施形態と表記)について説明する。なお、以下の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
【0028】
<実施形態1>
図1(a)に本実施形態1におけるシリコン溶融装置の概略図を示す。図1(a)に示すように、本実施形態1におけるシリコン溶融装置は、上部に第1の開口部を有する坩堝1と、この第1の開口部のよりも上方に設けられた集塵口6を有する集塵機構5とからなり、さらに、坩堝1上部に粉末状溶融対象物3を供給するための着脱可能な漏斗7を設けたシリコン溶融装置である。本実施形態1における坩堝1は、該坩堝1を収納する第2の開口部を有する炉体10を備えてもよい。このように炉体10を備える場合、上記集塵機構5は、第1の開口部および第2の開口部の上方に設けられるものとする。上記漏斗7は粉末状溶融対象物3を投入する投入口7Bと、該投入された粉末状溶融対象物を吐出する吐出口7Aを備え、投入口7Aは前記集塵口よりも上方に、吐出口7Bは前記集塵口6よりも下方に配置されている。
【0029】
なお、シリコンの溶融時には、原料シリコンに含まれる自然酸化膜や不純物としての酸化シリコンなどが蒸発して、粉塵が発生する。特にシリコン溶融を大気雰囲気で行なう場合、これが顕著になる。本実施形態1における集塵機構5は、このような粉塵を除去するために設けるものである。
【0030】
本実施形態1において、漏斗7の投入口7Bは集塵口6よりも上方に、吐出口7Aは集塵口6よりも下方に配置されているので、漏斗7を使用しない場合(図3参照)に比べて、坩堝内に供給した粉末状溶融対象物3が集塵機構5によって吸引されてしまう吸引ロスを抑制できる。
【0031】
さらに本実施形態1においては、漏斗7は着脱可能な構成であるため、坩堝1に粉末状溶融対象物3(たとえば粉末状の原料シリコンやフラックスなど)を供給する際にだけ漏斗7を装置に設置し、それ以外の試料等を供給しない場合には取り外すことができるので、漏斗7が坩堝1や溶融物2からの熱によって溶損することを防止できる。
【0032】
なお、図1(a)には炉体10を使用した例を示しているが、炉体10は、坩堝1を収納し、坩堝1および/または坩堝1に収納された溶融物2を加熱するための加熱機構や断熱材(図示せず)などを固定あるいは維持するための外枠であって、使用することが好ましい部材であるが、必須の部材ではない。ただし、炉体10を使用しない場合には、集塵口6は坩堝の開口部(第1の開口部)の外周縁に臨んで配置されることになる。また、集塵口6は、第1の開口部および第2の開口部のいずれに対しても上方に位置するように設けられている。また、炉体を設ける場合、第1の開口部と第2の開口部との位置関係は特に限定されないが、通常、第2の開口部を第1の開口部と同等またはそれより上方に設けることが好ましい。
【0033】
また、図1(a)には保温蓋4を使用した例を示しているが、これも必須の部材ではない。ただし、保温蓋4には坩堝1や溶融物2からの抜熱を抑制する働きがあり、さらに保温蓋4に貫通開口部4Aを形成して、ここに漏斗7を設置することにより、坩堝1や炉体10の開口部の大きさに関わらず、漏斗7を適切に設置することができるので、使用することが好ましい部材である。さらに、漏斗7を取り外した後の貫通開口部4Aには、別途新たな蓋部材を載置して、開口部を塞ぐ方が良いことは言うまでもない。
【0034】
次に、集塵機構5が、坩堝1の開口部(第1の開口部)または炉体10の開口部(第2の開口部)の外周縁の少なくとも一部に沿ってリング状に配置された中空体からなる集塵フードを具備し、その集塵フードは、中空体の内面側に開口した集塵口と中空体の外面側に開口した排出口を有している場合について、以下に実施形態2として説明する。
【0035】
<実施形態2>
図4(a)、図4(b)は本実施形態2における集塵機構を示す鉛直投影図である。図4(a)および図4(b)において、中心部は、坩堝または炉体開口部の外縁11,12を示す。上記「第1の開口部または第2の開口部の外縁の少なくとも一部に沿ってリング状に配置された中空体からなる集塵フード」とは、図4(a)において符号5Aで示された、閉じたリング状領域および、図4(b)において符号5Bで示された一部が切れたリング状領域のことである。
【0036】
これら集塵フードは一般に、鋼板からなる中空体の内面側に開口した集塵口6と外面側に開口した排出口9を有している。なお、このような形状の集塵フードはリングフードとも呼ばれ、金属溶融装置などの各種装置に採用されているものを用いることができる。
【0037】
本実施形態2における集塵フードの集塵口6は、中空体の内面側に開口した一体のスリット(図示せず)であっても良いし、図4(a)、図4(b)に示されるように複数に分割配置された開口部であっても良い。
【0038】
また、本実施形態2における集塵フードを構成する中空体は、その外面側に排出口9を有する。この排出口9は、集塵口6から集塵された集塵物を外部に排出するためのものである。
【0039】
排出口9は中空体である吸引ダクト8(一般に鋼板からなる)の中空部に開口した、通常は1個の開口である。さらに吸引ダクト8は真空ポンプ(図示せず)などと接続されて集塵口6から集塵フード内に捕集されたガスや粉塵を搬送する経路となる。なお、吸引ダクト8と真空ポンプなどとの間には、フィルタによって粉塵を回収する機構、あるいはトラップによってガスを回収する機構などが配置されることが一般的である。
【0040】
本発明者らの検討によれば、本実施形態2において例示されるような形状の集塵フードにおいては、集塵口6の位置によって集塵能力に差があることが見出された。具体的には、排出口9に最も近い集塵口が最も集塵能力が高く、排出口9から離れるにつれて集塵能力が低くなることが分かった。
【0041】
集塵機構5における集塵とは、吸引ダクト8の中空部を真空ポンプなどによって減圧することによって生じる気流によってガスや粉塵が集塵フード内に吸引されることであり、集塵口における集塵能力の差とは、そこにおける吸引能力の差であると考えられる。
【0042】
このことから、たとえば坩堝の中央に粉末状溶融対象を供給した場合、より排出口9に近い集塵口からより多くの粉末が吸引されると考えられ、逆に言えば、より排出口から遠い位置に粉末状溶融対象を供給すれば、全体としての吸引ロスを減少できると考えられる。
【0043】
よって上記形状の集塵フードを用い、かつ、坩堝1の鉛直投影面において、開口部の中心よりも排出口から遠い位置に、漏斗によって粉末状溶融対象を供給することによって、より吸引ロスを減少したシリコン溶融装置とすることができる。
【0044】
開口部の中心とは、開口部の鉛直投影面における中心のことであり、開口部が正円ならばその中心、楕円ならば長軸と短軸の交点、矩形(角部にR面やC面がある場合には、これらのR面やC面が無いと考えた場合の)対角線の交点となる。さらに、坩堝の開口部の一部に出湯口などの突出部がある場合、これは無視できるものとする。
【0045】
なお、本実施形態2において、漏斗の投入口の(鉛直投影面における)位置に限定は無いが、投入口と坩堝上端との鉛直方向距離と、投入口と溶融物液面との鉛直方向距離とでは前者のほうが小さいために、投入口が坩堝の鉛直投影面における坩堝開口部の中心位置からずれると、より坩堝上端からの熱によって漏斗の投入口部分が溶損する危険性が高くなるので、これを避けるために投入口は、坩堝の鉛直投影面における坩堝開口部の中心位置におくことが好ましい。
【0046】
<実施形態3>
次に、実施形態2に示したシリコン溶融装置をシリコン精製装置として使用した場合について、実施形態3として説明する。
【0047】
本実施形態3は、溶融シリコンにフラックスを添加して不純物を除去する工程を含むシリコンの精製に用いられるシリコン精製用装置に関し、漏斗によりフラックスを溶融シリコンに添加するものである。
【0048】
上記溶融シリコンにフラックスを添加して不純物を除去する工程は、スラグ法として知られる工程であり、該工程において原料シリコンに含まれるボロンが除去される。この工程においては、ボロンが除去される限り、ボロン以外の原料シリコンに含まれる他の不純物が同時に除去される場合も含みうる。また、ボロンを除去するとは、原料シリコン中に含まれるボロン濃度を低減することをいい、必ずしも、原料シリコン中の全ボロンが除去されることを要するものではなく、以下において「除去」とは同様の意味である。
【0049】
上記フラックスとしては、アルカリ金属酸化物、アルカリ炭酸金属塩などの塩基性材料と、酸化シリコンなどの酸性成分との混合物が例示される。これらのフラックスの粒子径は、例えば、10μm〜1000μmである。このような粒子径のフラックスを用いると、溶融シリコンとの反応性に優れ、また、取り扱いが容易である点で好ましい。本実施形態3においては、上記範囲の粒子径を有する固体を粉末状と称することとする。なお、粒子径としては、たとえばレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定された値を採用することができる。
【0050】
図1(b)に、本発明において用いられる溶融シリコンを保持する容器の構成の概略図を示す。図1(b)に示されるように、溶融シリコン2Aは、この溶融シリコン2Aを保持する容器(坩堝1)に保持されており、坩堝1の開口上部には集塵機構5が設けられている。また、坩堝1および集塵機構5上部には、溶融シリコン2の保温のために保温蓋4を設けてもよい。
【0051】
上記坩堝1としては、溶融シリコンに対する耐熱性を有するものであればよく、例えばアルミナ、ムライト、シリカ、マグネシアのうちのいずれか1つ以上の成分から構成される坩堝を用いることができる。
【0052】
溶融シリコンにスラグを添加すると、白煙が発生する。この白煙の成分はフラックスに含まれる上記の酸化シリコンなどに加えて、フラックスと溶融シリコンの反応生成物や、フラックスの熱分解物などであると考えられる。集塵機構によって回収された集塵物(粉塵)成分を実際に測定すると、そのほとんどはSiOおよびSiO2であり、一部にフラックスそのものが含まることがわかった。
【0053】
このような白煙の発生を放置するとシリコン精製装置や工場内部を汚染するばかりではなく、フラックスの坩堝に対する投入状況や溶融状況などを作業者が確認しにくくなり、作業効率が低下するという問題を生じる。この白煙を吸引除去するために、坩堝1の第1の開口部の上部に集塵機構5が設けられる。
【0054】
集塵機構5は、内面側に集塵口6が備えられている。この集塵口6は、図4(a)および図4(b)の集塵機構の上部からみた概略断面図に示されるように、所定の間隔をおいて複数設けられることが好ましい。集塵口6を通して集められた白煙を構成する成分などは、上記吸引ダクト8の吸引力によって排出口9に集められて吸引される。集塵機構5は坩堝と一体化されていてもよく、別個に積載させた形態、または坩堝上部に他の保持手段により配設する形態として取外しが可能な形態としてもよい。スラグ法の工程に鑑みれば、取外しが可能な形態としておくことが好ましい。なお、図1において集塵口6は、集塵機構5の内面側に設けられているが、その開口部分がシリコン溶湯面側に向けられていても白煙を吸収することができる。
【0055】
坩堝1に上記のように集塵機構5を設けて稼動させた状態でフラックスを添加すると、図3(a)の矢印B方向にフラックス3の一部が移動して集塵口6から集塵機構5に吸収されるという問題がある。また、集塵機構の有無に係わらず、添加したフラックス3の一部が坩堝の内壁に付着して、坩堝の溶損が起こってしまうという問題がある。本発明のシリコン溶融装置は、上記問題点を解決するために、図1に示すようにフラックスを添加するための漏斗7を備える。
【0056】
上記漏斗7は、粉粒体状のフラックス3を添加するためのものであり、第1の口径の開口部(フラックスの投入口7B)から、第2の口径の開口部(フラックスの吐出口7A)を通してフラックスを投入する(図1中、矢印Aはスラグ投入方向を示す)。第1の口径と第2の口径は、通常、図1に示すように、第1の口径を広く設定するほうが、フラックスの投入効率の点からは好ましいが、例えば第1の口径と第2の口径が同等の大きさの場合や、第2の口径が第1の口径よりも大きい場合であっても、フラックスの集塵口6への吸収や坩堝1内壁へのフラックスあるいは溶融スラグの付着を回避するという効果は奏される。上記フラックスの吐出口7Aは、上記吸収ロスまたは付着を回避する点からは、管状であることが好ましい。また、該管の形状は、円柱、三角柱、四角柱、その他多角柱であってもよい。
【0057】
漏斗7を構成する材料としては、溶融シリコンからの蒸気やフラックス成分に対する耐腐食性を有するものであればいずれも用いることができるが、例えば、ステンレス、アルミナ、チタン、モリブデンなどの融点が1420℃以上の高融点の金属または金属化合物を用いることが好ましい。表1にこのような高融点の材料の例示および該材料の融点を示す。表1においてSUSを用いた表記はJIS規格によるステンレス鋼の分類に従う。また、上記漏斗7は融点が1420℃以下の材料により構成される場合や、他の材料により構成される場合のいずれの場合においても、別途、冷却媒体を用いた冷却機構を備えることにより、より溶損が起こりにくい装置とすることができる。ここで冷却媒体としては、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いることが好ましいが、必ずしもこの限りではなく、空気や純水等の気体や液体を適宜用いることが出来る。また、冷却機構としては図5に示されるような多重管構造による冷却が好ましく用いられる。図5に示す多重管構造の冷却機構500は、内管部501と外管部502との間に、冷却媒体が導入または排出される管503および管504とを備えている。
【0058】
【表1】

【0059】
上記漏斗7のフラックスの投入口7Bは、図1に示されるように、集塵機構5よりも上方に配置される。また、漏斗7のフラックスの吐出口7Aは、集塵機構5よりも下方に配置される。このような位置にフラックスの投入口および吐出口を設けることによって、集塵機構5に添加したフラックスの吸引ロスが抑制される。フラックスの吐出口7Aは、溶融シリコンの湯面に浸漬または接触しない位置に設ければよいが、溶融シリコンからの熱気による劣化を防ぎ、かつ、上記集塵機構5への吸収を抑制するためには、溶湯面から垂直方向に10cm以上離れた位置とすることが好ましく30cm以上離れた位置とすることがより好ましい。また、集塵機構5の集塵口6および排出口9から垂直方向に10cm以上離れた位置とすることが好ましく、30cm以上離れた位置とすることがより好ましい。
【0060】
図4(a)および図4(b)に示されるように、上記集塵機構の集塵フード5Aまたは集塵フード5Bの集塵口6から吸収された白煙を構成する成分は排出口9に集められて吸引ダクト8に吸収される。吸引ダクト8は、例えば、排出口9から吸収した白煙を含む成分を排気できればよいものであるが、たとえば掃除機のように、ファンとフィルタとを備え、ファンを稼動させて白煙を含む空気等を吸い込み、フィルタを通過させて排気させるものや、サイクロン方式のように遠心分離機を併設した機構としてもよい。
【0061】
上記排出口9は、通常、図4(a)に示されるように集塵機構の集塵フード5Aの外面側の一部に設けられる。一方向から白煙を含む成分などを吸引すると、排出口9の周囲では吸引力が強く、排出口9から離れた位置となるほど、その吸引力が低下する。排出口9に近い部分では、吸引力が強い場合には、上記のように漏斗7を設けた場合であってもフラックスが巻き上げられて集塵口6から吸引される可能性もある。したがって、漏斗7のフラックスの吐出口7Aは、排出口9から、離れた位置に設けることが好ましい。具体的には、坩堝1の鉛直投影面において、フラックスの吐出口7Aが開口部中心よりも排出口9から遠い位置にあればよく、さらに好ましくは、フラックスの吐出口7Aが、集塵機構5において集塵口6と対面する位置の鉛直下方向領域にあればよい。
【0062】
上記フラックスの吐出口7Aの位置は、例えば、図2(a)および図2(b)に示すように、漏斗7のフラックスの吐出口7Aの管状部分の方向を、管状部分の形状の一部を曲げる(図2(a))または管状部分の全部を傾ける(図2(b))などして調整することで設定することができる。また、漏斗7自体を傾けてフラックスの吐出口7Aの位置を調整することもできる。図2(a)および図2(b)に示す各要素の参照符号は、図1に示すものと同様であるためその説明は省略する。なお、図示してはいないが、図2(a)および図2(b)においては、吸引ダクトを図面右側に配置することが好ましい。
【0063】
本発明のシリコン溶融装置およびシリコン精製装置には、その他坩堝1を包囲する断熱材など従来公知の構成を含んでもよい。
【0064】
次に、実施形態3に示したシリコン精製装置を用いたシリコンの精製方法の一例を、実施形態4として説明する。
【0065】
<実施形態4>
以下、シリコンの精製方法のうち、上記シリコン精製装置を用いて溶融シリコンにフラックスを添加して不純物を除去する工程について説明する。
【0066】
上記溶融シリコンにフラックスを添加して不純物を除去する工程は、フラックスの添加と溶融スラグの除去とを繰り返すことにより原料シリコンに含まれるボロンを除去する方法である。具体的には、大気圧下において、溶融装置中の坩堝に投入した原料シリコンを溶融して、この溶融シリコンに漏斗7を介してフラックスを添加してできる溶融スラグと、溶融した原料シリコンとを反応させる。上記フラックスを添加する前に、必要に応じて原料シリコンを追加してもよい。原料シリコンはフラックスの添加前に供給するので、白煙の発生等の問題はなく、漏斗7を介さずに添加することができる。ただし、原料シリコンのサイズ(粒子径)などによっては、漏斗7を使用してもよいことはいうまでもない。
【0067】
上記溶融スラグとボロンを含む原料シリコンとの反応によりボロン酸化物が生成する。生成したボロン酸化物は、溶融スラグに取り込まれるので、溶融シリコンからボロンを分離することができる。ボロン酸化物などを取り込んだ溶融スラグは、ノロとも呼ばれ、溶融シリコンの溶湯表面に浮遊する。この浮遊したノロにおいてボロン濃度が高くなると、溶融スラグとボロンとの反応効率が低下する。したがって、ノロを坩堝上部に設けた樋などから掻き出して、再度溶融装置に備えた坩堝に新たなフラックスを、漏斗を介して添加する。このようなフラックスの添加とノロの掻き出しとを繰り返すことによって、原料シリコンにおけるボロン濃度を低減させる。所望のボロン濃度を達成したところで、坩堝あるいは坩堝を収納した炉体を傾けて、溶融シリコンを鋳型に出湯し、大気圧下で放冷してシリコン塊を得る。
【0068】
このようのボロンを除去する工程後の、原料シリコン(シリコン塊)におけるボロン濃度は、たとえば、0.3ppm以下とすることが好ましく、0.2ppm以下とすることがより好ましい。ボロンを除去する工程後の原料シリコンにおけるボロン濃度をこのような濃度としておくことで、最終的に得られる精製シリコンにおけるボロン濃度を所望の範囲とすることができる。
【0069】
本実施形態4のシリコン精製方法には、その他リンなどの不純物を除去するための工程や、一方向凝固などの凝固偏析工程などの公知の工程が含まれる。
【0070】
上記実施形態3のシリコン精製装置および本実施形態4のシリコン精製方法によれば、シリコン精製における粉末状フラックスの投入において、フラックスによる坩堝の溶損を抑制できる。この現象について図2(a)、図2(b)および図3(b)を用いて詳しく説明する。
【0071】
図3(b)は漏斗を用いずに坩堝1内に保持された溶融シリコン2Aに対して粉末状のフラックス3を添加している状況を示す。添加された粉末状のフラックス3は、集塵口6付近の気流(符号Bの方向に流れる)などによって広がりつつ、溶融シリコン2A上方から落下し、溶融して溶融スラグ2Bを形成する。
【0072】
ここで、吸引ダクトが集塵機構5(本実施形態4においては集塵フードと考えてよい)の図面右側に接続されている場合を考えると、図面右側にある集塵口からの気流が強くなるので添加された粉末状のフラックス3は、より右側に流れると考えられる。すなわち、坩堝1の内壁において、図面右側領域により多くのフラックスが(溶融前に)付着し、坩堝の溶損がより顕著に進むことになる。
【0073】
たとえば、フラックスが塩基性成分である炭酸ナトリウム(Na2CO3)と酸性成分である二酸化シリコン(SiO2)との粉末混合物からなっている場合、この粉末混合物が坩堝内壁に付着した際に、その融点の差(炭酸ナトリウム851℃、二酸化シリコン1610〜1650℃)によって塩基性成分が先に溶融し、坩堝の構成成分であるシリカまたはアルミナなどと反応することで溶損が進む。さらに、両成分の粒子径が同じであった場合には、その比重差(炭酸ナトリウム2.53、二酸化シリコン2.63〜2.66)によって、塩基性成分が優先的に坩堝内壁に到達するとも考えられる。
【0074】
これに対し、図2(a)、図2(b)に示すように、漏斗7を使用することで、集塵口付近の気流の影響を最も受ける領域を避けて粉末状のフラックス3を添加できるので、坩堝1の溶損を抑制できる。さらに、図2(a)、図2(b)に示すように、漏斗7の吐出口7Aを図面左側(より厳密には、坩堝1の鉛直投影面において、吐出口7Aが、第1の開口部の中心よりも排出口から遠い位置)に配置することで、フラックスによる坩堝の溶損をさらに抑制できる。これは、漏斗を用いても残る、わずかな気流の影響を抑制することを目的としたものである。すなわち図2(a)、図2(b)において、より気流の影響を受ける図面右側(排出口に近い側)の、吐出口7Aと坩堝内壁との距離を長くすることで、フラックスが坩堝内壁に到達する前に溶融することが期待できる。
【0075】
また、上記のように漏斗7を使用することにより、フラックスの吸引ロスが減るので、フラックスの投入量の調整を適切に行なうことが可能となる。その結果、シリコン精製工程の高効率化が図られる。
【0076】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のシリコン溶融装置は粉末状溶融対象を効率よく坩堝に供給する装置であり、特に、溶融シリコンにフラックスを添加するのに用いられるシリコン精製装置およびシリコン精製方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 坩堝、2 溶融シリコン、3 フラックス、4 保温蓋、5 集塵機構、6 集塵口、7 漏斗、8 吸引ダクト、9 排出口、10 炉体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に第1の開口部を有する坩堝と、前記第1の開口部よりも上方に設けられた集塵口を有する集塵機構とを含むシリコン溶融装置であって、
前記坩堝上方に着脱可能な漏斗を備え、
前記漏斗は、前記坩堝内に供給する粉末状溶融対象物を投入するための投入口と、該投入口から投入された粉末状溶融対象物を吐出する吐出口とを備えており、
前記投入口は前記集塵機構よりも上方に、前記吐出口は前記集塵機構よりも下方に配置されることを特徴とする、シリコン溶融装置。
【請求項2】
前記坩堝は、上部に第2の開口部を有する炉体に収納されており、
前記集塵機構は、前記第1の開口部および前記第2の開口部よりも上方に集塵口を設けられた、請求項1に記載のシリコン溶融装置。
【請求項3】
前記集塵機構は、前記第1の開口部または前記第2の開口部の外縁の少なくとも一部に沿うように配置された集塵フードを具備し、
前記集塵フードは中空体からなり、該中空体の内面側に前記集塵口を有し、かつ、該中空体の外面側に前記集塵口から収集した集塵物を前記集塵フードの外部に排出する排出口を有し、
前記坩堝の鉛直投影面において、前記漏斗の吐出口は、前記第1の開口部の中心よりも前記排出口から遠い位置に配置されている、請求項1または2に記載のシリコン溶融装置。
【請求項4】
前記坩堝の鉛直投影面において、前記漏斗の投入口の中心は、前記第1の開口部の中心位置に配置されている、請求項3に記載のシリコン溶融装置。
【請求項5】
前記坩堝の前記第1の開口部または前記炉体の前記第2の開口部の上部に着脱可能な保温蓋を備え、
前記保温蓋は貫通開口部を有し、
前記漏斗は、前記貫通開口部を介して着脱可能に配置されている、請求項1から4のいずれかに記載のシリコン溶融装置。
【請求項6】
前記漏斗は、1420℃以上の融点を有する金属または金属化合物により構成される態様、および冷却媒体を用いる冷却機構を備えている態様の少なくともいずれか一方の態様を含む、請求項1から5のいずれかに記載のシリコン溶融装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のシリコン溶融装置を含むシリコン精製装置であって、
前記坩堝は、シリカおよびアルミナのうち少なくとも一方を構成成分とし、
前記粉末状溶融対象物は、塩基性成分を含むフラックスである、シリコン精製装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のシリコン溶融装置を用いたシリコン精製方法であって、
前記坩堝に保持された溶融シリコンにフラックスを添加して不純物を除去する工程を含むシリコン精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−285313(P2010−285313A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140181(P2009−140181)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】