説明

シリンダ/ピストンユニットの同期を制御し、プレス機での変形および/または精密打抜きの際の圧力ピークを減らすための方法及び装置

【課題】プレス機上での工作物の精密打ち抜きおよび/または変形の際の圧力ピークを減らすための方法および装置を提供する。
【解決手段】シリンダ/ピストンユニット1が、事前に調整可能なバッファ圧P1に常時保持され、続いて、事前に調整可能な排除圧P2に、接続可能な高圧源によって設定され、この排除圧が、バッファ圧P1と変形および/または切断のための圧力との間を変化する圧力PUに、第二のアキュームレータ19へ独立した制御オイル量を供給することによって、中央制御ユニットを介して調整され、その際、工具と工作物が突き当たる際に生じる圧力上昇が、圧力衝撃の本質的な部分を独立したタンク22に導くことにより、第二のアキュームレータ19内の圧力P3に量依存せず、許容し得る目標圧力まで調整され、隣接するバッファ圧によって、工作物の取り出しがスライドの引き戻しと同期して実施されることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンターホルダ(Gegenhalter)および/または刃型リングのためのシリンダ/ピストンユニットの同期を制御するため、並びに、少なくとも一の工具を備えるプレス機上での工作物の精密打ち抜きおよび/または変形の際の圧力ピークを減らすための方法であって、該方法においてシリンダ/ピストンユニットが油圧流体の制御圧力で付勢され、プレススライド(Pressenstoessel)が機械式または油圧式に駆動される方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、カウンターホルダおよび刃型リングのためのピストン/シリンダユニットを制御するため、並びに、工作物の精密打ち抜きの際に圧力ピークを減らすための方法を実施するための装置であって、該装置が、上側部分と下側部分からなり少なくとも一の工具が装備されるプレス機と、ピストン/シリンダユニットと接続される油圧システムとを有し、前記工具には、少なくとも工具のカウンターホルダおよび/または刃型リングのための少なくとも一のプレス機のピストン/シリンダユニット並びにプレス機のスライドが配設されており、前記油圧システムが、油圧流体を貯めておくためのアキュームレータと、油圧流体をピストン/シリンダユニットへ供給しピストン/シリンダユニットから搬出するための油圧管と、油圧管を開きおよび閉じるための制御可能な調整手段と、調整手段を制御するための制御ユニットとを備え、その際、プレススライドが、油圧システムに接続されるか、または独立した駆動システムと接続されている前記装置に関する。
【背景技術】
【0003】
精密打ち抜きプレスは、周知のようにカウンターホルダと刃型リングが制御された軸として機能し、高いストローク数および速い速度で生産技術的にその限界に達することで目立っている。ストローク数と速度が高くなるほど、高圧下におかれたシリンダ/ピストンユニットの開放もより早く行わなければならない、そのため、開放工程の量的な依存性により、プレス機のメインスライドとカウンターホルダおよび刃型リングシリンダとの間の同期はますます損なわれる(特許文献1)。
プレス機での打ち抜きあるいは切断の際に圧力ピークが発生することも周知である。圧力ショックは、例えばいわゆる切断ショック(Schneidschlag)の際に発生する。この切断ショックは、パンチが工作物から抜け材料の抵抗が突然無くなるときに、またはパンチが工具の上側部分と下側部分の間に挟まれた工作物に突き当たるときに常に発生する。
【0004】
切断ショックを減衰することにより減らそうと試みる数多くの異なる解決方法が先行技術より周知である(特許文献2〜6)。
特許文献2から、プレス機内、特に油圧式プレス機内の、切断ショックを減衰するカウンター圧システムが周知である。このシステムは、少なくともピストンとシリンダからなる作動ユニット内の、圧力流体で満たされたカウンター圧室と、少なくとも一の付設される流出絞りとからなる。
この周知の先行技術は、圧力衝撃を絞り箇所を介してタンクに導くこととカウンター圧システムによって、切断ショックによる圧力ショックを確かに減衰するが、しかしながら、パンチが工作物に突き当たる際に、セットされた力の二倍の値にまで達する圧力ショックを捕らえることはできない。これは、部品の不本意な変形および品質損害と高い工具消耗という結果となる。
特許文献3には、少なくともシリンダ・ピストン・ユニットを有する、プレス切断の際の切断ショックを回避するための装置が記載されている。このシリンダ・ピストン・ユニットは、プレススライドのための突き当たり面の高さが調整可能なプレススライドと工具基礎プレートとの間に配置されており、その際、ピストンのストロークは、一方ではシリンダに設定されたバンドによって、他方ではピストンの前面に向かい合っているシリンダの内側の前壁によって境界付けられており、そしてその際、ピストンの前面とシリンダの前壁の間の圧力媒体室はインレットの方向において逆止弁を介して高圧の圧力媒体源と接続されておりアウトレットの方向において圧力制限弁が接続されている。圧力制限弁は、制御室を設けられており、この制御室は高圧の圧力媒体源と接続され、その際、制御室内の圧力は、制御配管を介して中心部の圧力制御弁によって調整可能である。
この周知の先行技術も、パンチが工作物に突き当たる際の圧力ショックを減らしあるいは回避するのには適していないので、その結果、前述した欠点は、この周知の解決方法においても発生する。
【0005】
圧力ピークを減じるこれらすべての周知の解決方法は、量依存した動作をし、それは、さまざまな速度と、しかしまた、シリンダ/ピストンユニットのシリンダ室のオイル温度に依存して、圧力の違いとを結果としてもたらす。
【0006】
特許文献7より、複数のプレスピストンの圧力室および高圧流体源の間に接続されたドライバーならびに複数のプレスピストンを有する油圧式プレス機の同期制御が周知である。ドライバーの第一の側、作動室は、前もって定められたプレスピストンの作動速度で、制御されていない作動流体の一定の流れを供給され、制御された遮断弁によって仕切られている。特に、この周知の解決方法は、精密打ち抜き機に転用不可能である鍛造機械に導入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願明細書DE2148618A1
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願明細書DE1427403A
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願明細書DE2621726A1
【特許文献4】ドイツ連邦共和国特許出願明細書DE2812973A1
【特許文献5】ドイツ連邦共和国特許出願明細書DE3112393C2
【特許文献6】ドイツ連邦共和国特許出願明細書DE4125992A1
【特許文献7】ドイツ連邦共和国特許出願明細書DE2360821A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら先行技術に鑑み、本発明は、シリンダ/ピストンユニットと少なくともメインスライドの同期を制御するため、ならびに、変形および/または精密打ち抜きの際の圧力ピークを減らすためのプレス機のための方法および装置であって、パンチが工作物に突き当たることによる反動が、量依存せず、油圧流体の作動圧の調整によって他の方向に導かれ、シリンダ/ピストンユニットとメインスライドの同期特性が、油圧システム内の一定の圧力推移によって、高いストローク時間と速度においても明らかに改善される方法および装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、冒頭に記載した、請求項1の特徴を有する方法および請求項9の特徴を有する装置により解決される。
【0010】
この方法および装置の有利な形態は、下位の請求項より把握される。
【0011】
本発明に係る方法は、まず、低圧源から供給されている第一のアキュームレータによって、シリンダ/ピストンユニットが、事前に調整可能なバッファ圧に常時保持され、続いて、シリンダ/ピストンユニットが、事前に調整可能な排除圧に、接続可能な高圧源によって設定され、この排除圧が、バッファ圧と変形および/または切断のための圧力との間を変化する圧力に、第二のアキュームレータへ独立した制御オイル量を供給することによって中央制御ユニットを介して調整され、その際、工具と工作物が突き当たる際に生じる圧力上昇が、圧力衝撃の本質的な部分を独立したタンクに導くことにより、第二のアキュームレータ内の圧力に量依存せず、許容し得る目標圧力まで調整され、隣接するバッファ圧によって、工作物の取り出しがスライドの引き戻しと同期して実施されることにおいて際立っている。
【0012】
本発明に係る方法によると、まず、スライドの高速運動(Eilgang)において第一のアキュームレータが、工具のベッドで工作物を挟持する力に一致し、カウンターホルダのノックアウト力(Auswerferkraft)に等しいバッファ圧に充填される。これはシリンダ/ピストンユニットに常時作用する。引き続き、シリンダ/ピストンユニットは、高圧源によって、その高さが比例圧弁によって予調整される排除圧を充填される。
第一のアキュームレータから独立した第二のアキュームレータが、独立した制御オイルポンプによって、カウンターホルダまたは刃型リングが変形の際に供給しなければならない排除圧に充填される。カウンターホルダおよび/または刃型リングは、アキュームレータから作用する低圧でもって出発する。カウンターホルダおよび/または刃型リングが出発した後、油圧高圧源が接続され、カウンターホルダまたは刃型リングが排除圧に充填される。パンチが工作物に突き当たるとすぐに、発生する圧力ピークが、独立したタンクに、許容し得るとして予め定められた目標圧力まで導かれる。カウンターホルダおよび/または刃型リングが排除され、カウンターホルダおよび/または刃型リングのシリンダ/ピストンユニットが、バッファ圧まで開放される。スライドの引き戻しの際に、カウンターホルダが同期して取り外され、その際、スライドの引き戻し速度は、カウンターホルダのノックアウト速度と同じ値に調整される。
【0013】
本発明に係る方法は、特に、ピストンから及ぶ力の中断や上昇なしに、カウンターホルダおよび/または刃型リングがスライドの進行と同期してあるいは逆に動作することができるという利益を有する。
調整は量依存せず、それは、さまざまな条件のもとにおいても、より一定の圧力推移という結果をもたらす。特に、高い排除圧および/または長い油圧管においても、排除圧は安定したままである、言い換えると、アキュームレータ内の圧力の減少にもかかわらず、外部からの制御オイル供給に基づいて、排除弁内の制御圧は一定にとどまる。独立した回路からの制御オイルの供給は、低いプレス力の事前選択においても、カウンターホルダおよび/または刃型リングのための最大の排除力を提供する。さらに、本発明に係る方法が、油圧式のみならず機械式駆動のプレス機に同様にふさわしいことは有利である。
【0014】
本発明に係る装置は、容易でコンパクトに構成され、シリンダ/ピストンユニットが、互いに依存していない油圧回路に接続されているという大きなメリットを有する。換言すると、シリンダ/ピストンユニットは、一方で低圧源により低圧に保たれるバッファ圧回路と、他方で高圧下にある排除圧回路と接続可能に接続されている。バッファ圧回路はシリンダ/ピストンユニットを、カンターホルダのノックアウト力と同じ圧力にし、排除圧回路は、カウンターホルダおよび/または刃型リングに、十分一定に推移する圧力でもって力を及ぼす。
シリンダ/ピストンユニットは、低圧源と、制御ユニットによりプログラム可能な第一の比例弁を介して、第一のアキュームレータに、比例弁によって予め定められかつ常時ピストン/シリンダユニットに隣接するバッファ圧を発生するために接続されている。高圧源は、制御ユニットによりプログラム可能で比例多方向弁により予制御される比例弁を介しピストン/シリンダユニットと、および、カウンターホルダおよび/または刃型リングのための圧力を発生するための第二のアキュームレータと接続されており、その際、比例多方向弁は、圧力ピークを導くために独立したタンクと接続されている。第二のアキュームレータは、第二のアキュームレータ内の圧力を一定に保つために油圧流体を第二のアキュームレータに配送する制御オイルポンプと接続されている。二方向弁を通って、バッファ圧回路または排除圧回路はシリンダ/ピストンユニットに接続されることができ、その際、逆止弁がバッファ圧回路を排除圧回路から切り離している。
【0015】
本発明に係る方法および本発明に係る装置は、プレス機のスライドとシリンダ/ピストンユニットの十分な同期において際立っているので、高いストローク数と速度が達成可能である。その上、工具が工作物に突き当たる際の圧力ピークに対する敏感さは激しく減ぜられ、それにより変形、品質損害、工具消耗を高いストローク数においても著しく減らすことができる。
【0016】
さらなる利点と詳細は、添付の図面と関連してあとに続く記述により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は「バッファ圧充填」のステップを示す図である。
【図2】図2は「排除圧充填」のステップを示す図である。
【図3】図3は「精密打ち抜き/変形のステップ」を示す図である。
【図4】図4は「上死点での排除」のステップを示す図である。
【図5】図5は「同期したノックアウト」のステップを示す図である。
【0018】
以下に、本発明を一実施例によって詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、プレス機での部品の変形/精密打抜きのための本発明に係る方法が実施されるべき本発明に係る装置の基本的構成を示す。シリンダ/ピストンユニット1は、例えばカウンターホルダ2内に配置されたピストン3を備えている。シリンダ/ピストンユニット1の作動室5は油圧管7を通じ低圧源8に接続されている。
低圧源8から見ると、油圧管7は、比例圧弁9、第一のアキュームレータ10、および逆止弁11を介してシリンダ/ピストンユニット1に通じている。さらに比例圧弁9は中央制御ユニット12に接続されており、この中央制御ユニットにより比例圧弁9は適切なバッファ圧P1にプログラムされる。記載されていないプレス機のカウンターホルダシリンダ2のピストン3は高速に運動する(sich im Eilgang befinden)、つまり、ピストンは最初下死点UTから上死点OTへ向かって動作する。低圧源8、比例圧弁9、アキュームレータ10、逆止弁11、およびこれらに付随する油圧管7はシリンダ/ピストンユニットのための油圧的なバッファ圧回路A(Polsterdruckkreislauf)を形成する。
シリンダ/ピストンユニット1の作動室5は、さらに、二方向弁14を介し油圧管15を通じて高圧源13に接続されている。二方向弁14によって高圧源13が作動室5に切換え接続されることができる。油圧管7はこの場合逆止弁11によって遮断されているので、低圧源8は高圧源13から確実に切り離されている。
油圧管7は流れ上流で四方向プランジャー弁16、例えば比例多方向弁に通じており、この四方向プランジャー弁は、第二の比例圧弁17を所定の許容しうる目標圧力SPに予制御する。比例圧弁17は入口側で油圧管18を介して第二のアキュームレータ19と接続されており、この第二のアキュームレータは独立した制御オイルポンプ20から制御オイルを供給されている。
排出側では、四方向プランジャー弁16は油圧管21を介して独立したタンク22に接続されており、このタンクは圧力ピークによって排除された油圧流体を受け容れる。
高圧源13、二方向弁14、四方向プランジャー弁16、比例圧弁17、第二のアキュームレータ19、およびこれらに付随する油圧管18はシリンダ/ピストンユニット1のための油圧的な排除圧回路B(Verdraengerdruckkreislauf)を形成する。
アキュームレータ10および19は、ブラダ型アキュームレータとして実施される
【0020】
本発明に係る方法は、図1から4に表されるステップで以下のように進行する。
シリンダ/ピストンユニット1のスライドは下死点付近に存在し、高速運動である。第一のステップでは、第一のアキュームレータ10が低圧源8を介して、工作物のクランプ力に一致するバッファ圧P1まで充填される。このバッファ圧はカウンターホルダのノックアウト力と同じである。
第一のアキュームレータ1がバッファ圧P1を達成した後、バッファ圧P1はカウンターホルダシリンダの作動室3に作用し、カウンターホルダはかけられた低圧で上死点OTにむけ出発する。カウンターホルダが上死点OTに向かって出発すると同時に、第二のアキュームレータ19は、比例圧弁17を介して前もって定められる排除圧P2に充填される。比例圧弁17のさまざまな排除圧に対するプログラムは、中央制御ユニット12を介して行われる。
【0021】
第二のステップでは、図2に関連して、高圧状態にある高圧源13の油圧流体は、第一のステップでは閉じた状態であった二方向弁14を切り替えることによって、作動室3に接続される。作動室5の、比例圧弁17によって前もって定められる排除圧P2への充填が開始される。比例圧弁17は中央制御ユニット12により適切に調整される。それによってカウンターホルダは排除圧P2の作用下におかれる。二方向弁14は、中央制御ユニットの適切な命令によって閉じる。
【0022】
図3は本方法の第三のステップを図解により表す。四方向プランジャー弁14は高圧源13を切換により切り離す。いわば、カウンターホルダに作用する排除圧P2は,第二のアキュームレータ19に発生させられた圧力と油圧的にバランスを保っており、バッファ圧と、変形又は精密打抜きのために必要な圧力PUとの間の値を推測することができる。
変形または精密打抜きが始まると、工具、例えばパンチ(Stempel)が、工作物、たとえばストリップ材料上にたたきつけられる(aufschlagen)。突き当たる際に、その値が変形/切断の際のセットされた力の二倍の値に達し得る圧力ピークが生じる。
圧力ピークによって生じる圧力衝撃は、油圧管7を介して、圧力衝撃を許容しうる目標圧力SPまで調整し油圧管21を介してタンク21へ導く四方向プランジャー弁16に達する。発生する圧力ピークの工作物への影響は、これによって縮小される。
第二のアキュームレータ19内の圧力は、制御オイルポンプ20によって独立した制御オイル源から適切な制御オイルの量を案内することによって、基本的に一定に保たれる。
【0023】
図4に示される通り、シリンダ/ピストンユニット1のカウンターホルダシリンダ2のスライドは、第四のステップの際には上死点OTに存在する。カウンターホルダは排除されている。
作動室5あるいは6の排除圧P2からの開放は、第一のアキュームレータからの、未だ隣接するバッファ圧P1までのみ可能である。これによってバッファ圧P1は常時作動室5に作用する。シリンダ/ピストンユニット1は機械的なばねのようにふるまうので、その結果、シリンダ/ピストンユニットはスライド運動に対抗してまたは同方向に動作可能である。
【0024】
方法の第五のステップは図5に示される。スライドが引き返すと共に、カウンターホルダは隣接するバッファ圧P1によって同時に取り外される。その際、カウンターホルダのノックアウト速度は、スライドの引き返す速度がノックアウト速度と同じになるよう調整されなければならない。ノックアウト力は更にベッド内での工作物の保持力に相応しなければならない。ノックアウト速度が低すぎる場合、ノックアウト力があまりに低く設定されるので、工作物は材料テープ(Materialstreifen)から離れてしまう。逆に、ノックアウト速度が高すぎる場合、ノックアウト力があまりに高く設定されるので、工作物はテープ内に押し付けられ、このため損傷を受ける。このため、スライドが引き返すと同時のノックアウトのためには、とくにバッファ圧P1の正確な調整が重要である。つまり、比例圧弁9が中央制御ユニット12によって適切に予調整されなければならない。
【0025】
上述の説明は、刃型リングのシリンダ/ピストンユニットにも同様に有効である。
【符号の説明】
【0026】
1 シリンダ/ピストンユニット
2 カウンターホルダシリンダ
3 ピストン
5 作動室
7 油圧管
8 低圧源
9 バッファ圧回路A内の比例圧弁
10 第一のアキュームレータ
11 逆止弁
12 中央制御ユニット
13 高圧源
14 二方向弁
15 油圧管
16 四方向プランジャー弁
17 排除圧回路内B内の比例圧弁
18 油圧管
19 第二のアキュームレータ
20 制御オイルポンプ
21 油圧管
22 タンク
A バッファ圧回路
B 排除圧回路
OT 上死点
UT 下死点
P1 バッファ圧
P2 作動室5内の排除圧
P3 第二のアキュームレータ内の排除圧
PU 変形/精密打抜きのための圧
SP 目標圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンターホルダおよび/または刃型リングのためのシリンダ/ピストンユニットの同期を制御するため、並びに、少なくとも一の工具を備えるプレス機上での工作物の精密打ち抜きおよび/または変形の際の圧力ピークを減らすための方法であって、該方法においてシリンダ/ピストンユニットが油圧流体の制御圧力で付勢され、プレススライドが機械式または油圧式に駆動される方法において、
まず、低圧源から供給されている第一のアキュームレータによって、シリンダ/ピストンユニットが、事前に調整可能なバッファ圧(P1)に常時保持され、
続いて、シリンダ/ピストンユニットが、事前に調整可能な排除圧(P2)に、接続可能な高圧源によって設定され、
この排除圧が、バッファ圧(P1)と変形および/または切断のための圧力との間を変化する圧力(PU)に、第二のアキュームレータへ独立した制御オイル量を供給することによって、中央制御ユニットを介して調整され、
その際、工具と工作物が突き当たる際に生じる圧力上昇が、圧力衝撃の本質的な部分を独立したタンクに導くことにより、第二のアキュームレータ内の圧力(P3)に量依存せず、許容し得る目標圧力まで調整され、
隣接するバッファ圧によって、工作物の取り出しがスライドの引き戻しと同期して実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
以下のステップ、
a)スライドの高速運動において第一のアキュームレータを、工具のベッドで工作物を挟持する力に一致し、カウンターホルダのノックアウト力に等しいバッファ圧P1に充填するステップ、
b)第一のアキュームレータから独立した第二のアキュームレータを、独立した制御オイルポンプによって、カウンターホルダまたは刃型リングが変形の際に供給しなければならない排除圧(P3)に充填するステップ、
c)カウンターホルダを低圧で出発するステップ、
d)油圧高圧源を接続し、カウンターホルダまたは刃型リングを排除圧(P2)に充填するステップ、
e)パンチが工作物に突き当たる際に発生する圧力ピークを、独立したタンクに、許容し得るとして予め定められた目標圧力(PS)まで導くステップ、
f)カウンターホルダまたは刃型リングを排除し、カウンターホルダまたは刃型リングのシリンダを、ステップa)による圧力P1まで開放するステップ、
g)スライドの引き戻しの際に、カウンターホルダを同期して取り外すステップで、その際、スライドの引き戻し速度が、カウンターホルダのノックアウト速度と同じ値に調整されているステップ、
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一のアキュームレータ内の圧力(P1)が、中央制御ユニットによってプログラム可能な比例圧弁によって調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第二のアキュームレータ内の排除圧(P3)が、プランジャー弁(Y4)によって予制御される別の比例弁(Y2)によって調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
工具が工作物に突き当たる際の目標圧力(PS)が四方向プランジャー弁により調整されることを特徴とする請求項1、2または4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
4―プランジャー弁(Y4)として比例多方向弁が使用され、この比例多方向弁が、工具が工作物に突き当たる際の圧力上昇を予め定められた目標圧力に調整し、その結果、圧力(P3)がおよそ一定にとどまることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第一のアキュームレータ内で圧力がP1に達したのち、高圧油圧源が二方向弁(Y3)によって接続されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アキュームレータとしてブラダ型アキュームレータが使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
カウンターホルダおよび刃型リングのためのピストン/シリンダユニットを制御するため、並びに、工作物の精密打ち抜きの際に圧力ピークを減らすための、請求項1に記載の方法を実施するための装置であって、
該装置が、上側部分と下側部分からなり少なくとも一の工具が装備される精密打ち抜きプレス機と、ピストン/シリンダユニットと接続される油圧システムとを有し、
前記工具には、少なくとも工具のカウンターホルダおよび/または刃型リングのための少なくとも一のプレス機のピストン/シリンダユニット並びにプレス機のスライドが配設されており、
前記油圧システムが、油圧流体を貯めておくためのアキュームレータと、油圧流体をピストン/シリンダユニットへ供給しピストン/シリンダユニットから搬出するための油圧管と、油圧管を開きおよび閉じるための制御可能な調整手段と、調整手段を制御するための制御ユニットとを備え、
その際、プレススライドが、油圧システムに接続されるか、または独立した駆動システムと接続されている前記装置において、
シリンダ/ピストンユニット(1)が、低圧源(8)と、制御ユニット(12)によりプログラム可能な第一の比例圧弁(9)を介して、第一のアキュームレータ(10)に、比例圧弁(9)によって予め定められかつ常時ピストン/シリンダユニット(1)に隣接するバッファ圧(P1)を二方向弁(14)を介して発生するために接続されており、
この二方向弁が、シリンダ/ピストンユニット(1)を排除圧(P2)に充填するために、遮断可能な高圧源(13)とシリンダ/ピストンユニット(1)を接続し、
ピストン/シリンダユニット(1)が、カウンターホルダ/刃型リングに作用する排除圧(P3)を発生するために、制御ユニット(12)によってプログラム可能であって四方向プランジャー弁(16)により目標圧力(SP)に予調整された比例圧弁(17)を介し第二のアキュームレータ(19)と接続され、
その際、工具が工作物に突き当たることによって発生する圧力ピークを導くために、四方向プランジャー弁(16)が独立したタンク(22)と接続されており、
第二のアキュームレータ(19)が、隣接する排除圧(P2)でもって、二方向弁(14)により、バッファ圧(P1)の下にあるピストン/シリンダユニット(1)上に接続可能に接続されており、
その際、逆止弁(11)が第一のアキュームレータ(10)を高圧源(13)から切り離していることを特徴とする装置。
【請求項10】
アキュームレータ(10,19)が、ブラダ型アキュームレータであることを特徴とする請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−46716(P2010−46716A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190577(P2009−190577)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(507094865)ファインツール・インテレクチュアル・プロパティ・アクチエンゲゼルシャフト (18)
【Fターム(参考)】