説明

シーソー型の靴の靴底

本発明は、靴の靴底に係り、さらに詳細には、歩行中に運動効果を高めるために、ミッドソールを二重構造にして歩行時にシーソー動作を行うシーソー型の靴の靴底に関する。本発明のシーソー型の靴の靴底は、下面の中心部が凸状に形成されて歩行軸をなすメインミッドソールと、前記メインミッドソールの下部に結合され、前記メインミッドソールより軟質の材質からなって一次的な衝撃吸収機能を有し、歩行時に前記メインミッドソールが歩行軸を基準に前後にシーソー動作を行うようにする補助ミッドソールと、前記補助ミッドソールの下面に結合されるアウトソールと、を含んでなる。これにより、靴の靴底の見かけが一般的な靴の靴底と同じであるので、ユーザに拒否感を与えず、広範の使用を期待することができ、歩行軸を基準に歩行時に前後方にシーソー動作を行って、高い運動効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の靴底に係り、さらに詳細には、歩行中に高い運動効果を与えるために、ミッドソールを二重構造にすることによって、歩行時にシーソー動作を行うシーソー型の靴の靴底に関する。
【背景技術】
【0002】
生活レベルの向上や技術の発達によって、用途に合う多様な靴が消費者に提供されており、特に、近来、機能性の追加された特殊な目的を有する靴が出ている。特殊目的靴の例としては、糖尿病の患者に適した治療用の靴や運動用のマラソン靴などがある。さらに他の機能性靴としては、かかとのない靴が広く知られており、かかとがないことにより、歩行時にさらに高い運動効果を得ることができる。
【0003】
以下、本発明に関連した従来の技術について概略的に記述する。
【0004】
韓国実用新案第418896号明細書に“機能性靴”が開示されており、図1は、機能性靴についての断面図を示している。図1に示すように、前記機能性靴は、靴の甲1と、前記靴の甲の底に結合し、着用者のきびすに対応する部分が地面から離隔するように形成された離隔部24を備える靴の靴底2と、前記離隔部24に結合され、柔軟性部材からなり、地面に向う端部が地面から離隔する緩衝部材4とを備えてなる。
【0005】
従来の技術による機能性靴は、かかとのない靴を補完して、凹んだ離隔部24に緩衝部材4をさらに備えるが、前記緩衝部材4は、地面から離隔して、依然としてかかとのない形状を有する。したがって、周知のかかとのない靴や、従来の技術に記載された緩衝部材を有する機能性靴は、消費者に拒否感を与え得るという問題点を有していた。
【0006】
すなわち、従来の技術による靴底の場合、一般的な靴とはその見かけが異なるので、消費者は、その優れた運動効果を分かっているにもかかわらず、購買するには多少ためらうことになる要因となった。したがって、同一あるいはそれ以上の運動効果を保証しつつ、見かけは一般的な靴の靴底のような形状を有する靴底の開発への要求があった。
【0007】
また、前記従来の技術における機能性靴の場合、かかと部分のみが地面から離隔することによって歩行時に運動効果を与えるので、かかとから着地した後、荷重が靴の先端部に移動するときには、一般的な靴を履いた場合と異ならないので、靴の先端部及びかかとにおける運動程度に不均衡をもたらすという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の技術の問題点を解決し、さらに優れた機能を有する靴の靴底を提供するために、材質の異なる二重構造のミッドソール(midsole)を備え、歩行時にシーソーのような動作を誘導することによって、靴の先端部及びかかとの両方において均衡の取れた運動効果を得ることができる靴の靴底を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、靴の靴底において、下面の中心部が凸状に形成されて歩行軸をなすメインミッドソール(main midsole)と、前記メインミッドソールの下部に結合され、前記メインミッドソールより軟質の材質からなって一次的な衝撃吸収機能を有し、歩行時に前記メインミッドソールが歩行軸を基準に前後にシーソー動作を行うようにする補助ミッドソールと、前記補助ミッドソールの下面に結合されるアウトソール(outsole)と、を含んでなるシーソー型の靴の靴底を提供する。
【0010】
また、前記メインミッドソールは、その内部に板状に弾性を有するシャンクが内設されて、前記メインミッドソールの形状を維持させるシーソー型の靴の靴底を提供する。
【0011】
また、前記メインミッドソール及び補助ミッドソールは、その結合面のうち一部において、前記補助ミッドソールは凸状に形成され、それに対応するメインミッドソールは凹状に形成されて、雄型及び雌型をなして結合されるシーソー型の靴の靴底を提供する。
【0012】
また、前記補助ミッドソールの凸状の突出部は、荷重の分布によってその突出程度を異ならせて構成されるシーソー型の靴の靴底を提供する。
【0013】
また、前記補助ミッドソールは、その外面に防水機能を有するポリオール布が付着されるシーソー型の靴の靴底を提供する。
【0014】
また、前記補助ミッドソールは、前記メインミッドソールの歩行軸に対応する部分の厚さが最も薄いシーソー型の靴の靴底を提供する。
【0015】
本発明に係るシーソー型の靴の靴底は、運動靴などの多様な種類の靴に適用されることができ、従来のかかとのない靴で追求しようとする運動効果以上の利点を提供することができる。そして、本発明のシーソー型の靴の靴底は、その見かけが、一般的な靴の靴底のような形状を有するので、消費者が拒否感なしに使用することができるので、広範な適用を予想することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ミッドソールが二重構造になっているので、衝撃吸収率が高く、歩行時には、シーソーのように動作するので、ユーザにさらに高い運動効果を与えることができる。
【0017】
また、メインミッドソールと補助ミッドソールとの結合面は凹凸を有するので、補助ミッドソールの変形が防止されて耐久性を高めることができ、足の荷重分布に合わせて補組ミッドソールの上面の突出量を変化させることができるので、着心地の優れた靴の靴底を提供することができる。
【0018】
また、本発明のシーソー型の靴の靴底は、その見かけが一般的な靴の靴底と同じであり、消費者に拒否感を与えないので、内需販売だけでなく輸出への期待も高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明に係るシーソー型の靴の靴底について詳細に説明する。添付される図面は、本発明の望ましい実施形態を示し、当業者による単純な設計変更なども本発明の権利範囲に含まれる。
【0020】
一方、本発明は、靴の靴底に主な特徴があり、靴の靴底に結合される甲皮は、公知のものが全て適用されることができる。
【0021】
本発明に係るシーソー型の靴の靴底の基本構成要素として、メインミッドソール100、補助ミッドソール200、及びアウトソール300を含み、前記補助ミッドソール200は、メインミッドソール100より柔らかい材質からなり、歩行時に一次的な衝撃吸収機能を有する。特に、前記メインミッドソール100は、下面の中心部が凸状に形成されて歩行軸110を形成し、前記歩行軸110は、足の構造においてアーチ状を有する中足骨に当たる位置である。前記歩行軸110を基準に前足部及び後足部はさらに高く形成されて、浮いている形状を有する。一般的に、歩行時には、後足部、すなわち、かかとが最初に地面に触れて、最も大きな衝撃を受け、したがって、前記メインミッドソール100に結合される補助ミッドソール200の厚さは、後足部でさらに厚く形成されることが望ましい。
【0022】
前記メインミッドソール100の下部の形状に合わせて補助ミッドソール200が結合され、前記補助ミッドソール200の下面にはアウトソール300が付着する。前記アウトソール300は、すべりを防止する役割をし、摩耗に強いゴム材質を使用することが一般的である。メインミッドソール100と補助ミッドソール200とが結合されれば、全体的な見かけは、一般的な靴の靴底と同じ形状を有するが、前記メインミッドソール100の下面に突出した歩行軸110が形成されるので、実際に歩行すれば、軟質の補助ミッドソール200が圧縮されて衝撃を吸収し、それと同時に、歩行軸110を基準に前後方向に傾くシーソー運動を行う。
【実施例1】
【0023】
本発明のシーソー型の靴の靴底の技術的思想による具体的な第1実施形態は、添付される図2の概略的な側面図のような構造を有する。
【0024】
図2に示すように、上側からメインミッドソール100、補助ミッドソール200、及びアウトソール300の順に結合され、前記メインミッドソール100の内部には、弾性の高い材質からなる板状のシャンク120が形成されることができる。前記シャンク120は、金属、非鉄金属あるいはプラスチックのような非金属性の材質から製作することが望ましく、前記シャンク120を設置すれば、メインミッドソール100の形状を維持すると共に、衝撃吸収機能も向上させることができる。
【0025】
前記メインミッドソール100の下面の中心部は、他の部位よりさらに下部に突出しており、その部位が歩行軸110である。前記歩行軸110を基準に、歩行時にシーソーのように前後に傾いて運動効果を得ることができる。前記メインミッドソール100の下面には、メインミッドソール100より軟質の材質からなる補助ミッドソール200が結合され、歩行時に発生する衝撃は、補助ミッドソール200で一次的に吸収される。特に、第1実施形態では、メインミッドソール100の下面に補助ミッドソール200を結合して、見かけを一般的な靴の靴底のような形状を有する。本発明のシーソー型の靴の靴底において、見かけは一般的な靴の靴底と同じであるが、ミッドソールが、硬度の相異なるメインミッドソール100と補助ミッドソール200との二重構造になっており、前記メインミッドソール100の下面の中心部に突出した歩行軸110が形成されることによって、地面との接触時に軟質の補助ミッドソール200は圧縮されるので、前記歩行軸110を基準にシーソー運動を行う特徴を有する。
【0026】
前記補助ミッドソール200は、前記メインミッドソール100の歩行軸110に対応する部分の厚さが最も薄く形成され、後足部の厚さが前足部に比べて多少厚く形成される。歩行時に、最初に地面と接する部分が後足部であるので、後足部での衝撃吸収が最大に行われ、後方に傾いてから、歩行軸110を基準に再び前方に荷重が移動されて前方に傾く。すなわち、一般的な靴に比べて、歩行時に歩行軸110を基準に前方及び後方に傾く角度が大きく形成されるので、優れた運動効果を得ることができる。
【0027】
本発明に係るシーソー型の靴の靴底を構成するにあたって、さらに望ましくは、メインミッドソール100と補助ミッドソール200との結合面に雄型及び雌型の凹凸をそれぞれ形成して結合させる。図3は、図2のA−A線による断面図である。図3に示すように、メインミッドソール100の下面の中央部は凹状を有し、それに対し、補助ミッドソール200の上面は凸状を有して互いに結合される。すなわち、前記補助ミッドソール200の左右外側の端部の高さは、中央部より低く形成されるが、このような構造にすれば、端部より大きな荷重が作用する深部が強化されて、さらに優れた衝撃吸収能力を有する。そして、軟質の補助ミッドソール200を使用するので、外側端部を薄くすることによって、不規則な地面を歩くように、荷重が一方にかたよることによって発生する補助ミッドソール200の変形を減らすことができる。
【0028】
前記メインミッドソール100と補助ミッドソール200との結合面に雄型及び雌型の結合構造を形成する場合には、結合面のうち足の荷重分布によって、その位置及び突出または陥没程度を決定することが望ましい。
【実施例2】
【0029】
次いで、本発明の第2実施形態によるシーソー型の靴の靴底について説明する。図4は、第2実施形態を示す概略的な側面図であり、本第2実施形態では、前記補助ミッドソール200の外面に防水性の優れたポリオール布210が付着されることを特徴とする。
【0030】
前記補助ミッドソール200は、メインミッドソール100に比べて軟質の素材から製作されるので、水気に弱い特性を有する。したがって、前記補助ミッドソール200を構成するにあたって、その外面にポリオール布210を付着させることによって本来の特性を長期間維持できるようにする。前記ポリオール布としては、公知の多様なものが使用されることができる。
【0031】
本発明に係るシーソー型の靴の靴底は、ミッドソールが、軟質である補助ミッドソール200と、それより硬質であるメインミッドソール100との結合によって形成され、前記メインミッドソール100の下面の中心部に突出した歩行軸110を形成することによって、歩行時に歩行軸110を基準に前後方に傾いてシーソーのような動作を誘導するので、運動効果を極大化させることができる。
【0032】
前記補助ミッドソール200は、メインミッドソール100より軟質の材質からなるので、接地時に衝撃を円滑に吸収すると共に収縮量が多く、メインミッドソール100の歩行軸110を基準にシーソー動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来の技術による機能性靴の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示すシーソー型の靴の靴底の概略的な側面図である。
【図3】図2のA−A線による断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示すシーソー型の靴の靴底の側面図である。
【符号の説明】
【0034】
100 メインミッドソール
110 歩行軸
120 シャンク
200 補助ミッドソール
210 ポリオール布
300 アウトソール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の靴底において、
下面の中心部が凸状に形成されて歩行軸をなすメインミッドソールと、
前記メインミッドソールの下部に結合され、前記メインミッドソールより軟質の材質からなって一次的な衝撃吸収機能を有し、歩行時に前記メインミッドソールが歩行軸を基準に前後にシーソー動作を行うようにする補助ミッドソールと、
前記補助ミッドソールの下面に結合されるアウトソールと、を含んでなることを特徴とするシーソー型の靴の靴底。
【請求項2】
前記メインミッドソールは、
その内部に板状に弾性を有するシャンクが内設されて、前記メインミッドソールの形状を維持させることを特徴とする請求項1に記載のシーソー型の靴の靴底。
【請求項3】
前記メインミッドソール及び補助ミッドソールは、
その結合面のうち一部において、前記補助ミッドソールは凸状に形成され、それに対応するメインミッドソールは凹状に形成されて、雄型及び雌型をなして結合されることを特徴とする請求項2に記載のシーソー型の靴の靴底。
【請求項4】
前記補助ミッドソールの凸状の突出部は、
荷重の分布によってその突出程度を異ならせて構成されることを特徴とする請求項3に記載のシーソー型の靴の靴底 。
【請求項5】
前記補助ミッドソールは、
その外面に防水機能を有するポリオール布が付着されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシーソー型の靴の靴底。
【請求項6】
前記補助ミッドソールは、
前記メインミッドソールの歩行軸に対応する部分の厚さが最も薄いことを特徴とする請求項5に記載のシーソー型の靴の靴底。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−543657(P2009−543657A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520686(P2009−520686)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004914
【国際公開番号】WO2008/044854
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(508114513)
【Fターム(参考)】