説明

シートスイッチ構造体

【課題】スイッチのノブの操作位置及び方向と、実際のシートの挙動の位置及び方向とを対応させることでパワーシートの操作方法が容易に分かり、且つスイッチの配設に必要な面積を従来よりも小さくすることができるシートスイッチ構造体を提供する。
【解決手段】本シートスイッチ構造体は、先端側にノブ4a〜4eが取り付けられている軸部31と、軸部の基端側に設けられ、軸部の先端側に加えられる力の方向を検出する複数の歪みゲージを具備する検出板32と、を具備する構造体本体3a〜3eを備え、ノブは、シートを構成する一部分に対応し、構造体本体は、複数組み合わせることによってシートの形状を模するように配置されていることを特徴とする。このようなシートスイッチ構造体は、各ノブが対応するシートの位置を視覚的に把握することができ、利用者にとって分かりやすいものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーシートの操作を行うことができるシートスイッチ構造体に関し、更に詳しくは、スイッチのノブの操作位置及び方向と、実際のシートの挙動の位置及び方向とを対応させることでパワーシートの操作方法が容易に分かり、且つスイッチの配設に必要な面積を従来よりも小さくすることができるシートスイッチ構造体に関する。本シートスイッチ構造体は、乗用車等のパワーシートの操作用スイッチとして主に用いられる。また、室内用等の他のパワーシートの操作用スイッチや、パワーシート以外の他のスイッチとして用いることができる。
【背景技術】
【0002】
自動車に設けられモータ等を用いて、リクライニング角度、シートの前後位置等のシートの各所の調節を行うことができるパワーシートは、近年において調節できる箇所が増え、それに伴ってシートスイッチ構造体に配設するスイッチ及びノブの数が増加している(例えば、特許文献1を参照。)。このため、利用者が意図する操作に対応したノブと、そのノブの操作方法を把握することが難しくなっている。
これに対応するために、1つのノブで、複数軸の入力ができるようにするため、多方向入力装置(例えば、特許文献2及び3を参照。)等を利用することが検討されている。
例えば、特許文献2の多方向入力装置は、歪みセンサによりノブの傾きを検出することができる。また、特許文献3の多方向入力装置は、ノブの傾きの他、ノブの軸を中心とする回動及びノブの押し込みを、接点や光センサによって検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−97935号公報
【特許文献2】特開2007−250389号公報
【特許文献3】特開2007−48481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年のパワーシートで調節可能な箇所が、リクライニング角度、シート全体の前後移動及びシート全体の上下移動等と多いため、特許文献2及び3に示す多方向入力装置を用いても複数の多方向入力装置及びノブを用意する必要があり、操作方法が煩雑となる。また、特許文献3に示す多方向入力装置のようにノブの動きを検出する場合は、その検出機構が嵩張って多方向入力装置が大型化する問題があった。更に、ノブを2つ以上用いる場合は、ノブを動かすことにより他のノブと接触し、正しく操作ができるように3mmを越える十分な隙間を設ける必要があった。このため、シートスイッチ構造体が大型化する傾向にあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、スイッチのノブの操作位置及び方向と、実際のシートの挙動の位置及び方向とを対応させることでパワーシートの操作方法が容易に分かり、且つスイッチの配設に必要な面積を従来よりも小さくすることができるシートスイッチ構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の通りである。
1.先端側にノブが取り付けられている軸部と、前記軸部の基端側に設けられ、該軸部の先端側に加えられる力の方向を検出する複数の歪みゲージを具備する検出板と、を具備する構造体本体を備え、前記ノブは、シートを構成する一部分に対応し、前記構造体本体は、複数組み合わせることによって該シートの形状を模するように配置されていることを特徴とするシートスイッチ構造体。
2.隣接する前記ノブの間隔が3mm以下である上記1.記載のシートスイッチ構造体。
3.前記検出板に具備されている複数の歪みゲージにより、前記軸部に加えられる該軸部の軸を中心とした回転方向の力を検出する上記2.記載のシートスイッチ構造体。
4.前記ノブとしては、前記シートのヘッドレスト部を模した第1ノブと、前記シートの背もたれ部を模した第2ノブと、前記シートの座面部を模した第3ノブと、を備える上記3.記載のシートスイッチ構造体。
5.前記第2ノブ及び前記第3ノブは略長方形状であり、該略長方形状の長辺方向の一端側に前記軸部の先端側が取り付けられている上記4.記載のシートスイッチ構造体。
【発明の効果】
【0006】
本発明のシートスイッチ構造体によれば、複数のノブを全体としてシート形状になるように配設することによって、各ノブが対応するシートの位置を視覚的に把握することができ、利用者にとって分かりやすいものとすることができる。
特に、歪みゲージを用いたセンサによってノブに加えられる方向を検出して、その方向に対応するシートの各調節部位を調節するスイッチとして機能するため、従来の機械的な接点を用いるスイッチ手段と比べて小型化することができ、且つノブの操作方向の自由度が高くすることができる。例えば、シートの形状に合わせた操作をするための直交しない2方向の検出は、従来の機械的な接点では構造が複雑になるが、歪みゲージを用いたセンサを用いる場合は方向検出の閾値等を調節することによって容易に検出することができる。
更に、歪みゲージを用いたセンサは、機械的な接点を用いる場合と比べてノブを動かす必要がなく、ノブに加えられた応力によって検出することができるため、従来と比べてノブ間の隙間を極めて狭くすることができる。このため、シートスイッチ構造体の操作面が占める面積を狭くすることができ、且つ複数のノブを全体としてシート形状になるように配設したときに、ノブ間の隙間が殆どないことでシート形状により近似して見えるようにすることができる。
また、検出するノブの操作方向は、ECU等のコンピュータ上のソフトウェア上で処理することで任意の方向として検出することができるため、シートスイッチ構造体に設けられる複数の軸部及び検出板からなる構造体本体を同一構造として作製することができる。
【0007】
更に、隣接する2つの前記ノブの隙間を3mm以下とする場合は、機械的な接点を用いる場合と比べてノブの隙間が狭く、シートスイッチ構造体の操作面が占める面積を狭くすることができ、且つ複数のノブを全体としてシート形状になるように配設したときに、ノブ間の隙間が更に少ないことでシート形状により近似して見えるようにすることができる。
また、軸部の軸を中心とした回動方向の力を歪みゲージによって検出する場合は、軸部に設けられているノブの回動方向の検出を行うことができ、一つの軸で更に多方向の入力を行うことができる。
更に、シートを第1ノブ乃至第3ノブで操作する場合は、シートの各要素であるヘッドレスト部、背もたれ部及び座面部を各ノブに無理なく配置することができ、利用者にとって分かりやすいものとすることができる。
また、第2ノブ及び第3ノブが略長方形状であり、略長方形状の長辺方向の一端側に軸部の先端側が設けられている場合は、各略長方形状の長辺方向の一端側に短辺方向の力を加えた場合に軸部の同方向に加えられた力として板状体の歪みゲージにより検出することができ、且つ長辺方向の他端側に短辺方向の力を加えた場合に軸部の回転方向に加えられた力として検出することができるため、前記各端部の短辺方向に加えられた力の検出を1つの構造体本体で検出することができ、構造体本体の数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例に係るシートスイッチ構造体を示す正面図である。
【図2】軸部及び検出板を具備する構造体本体を示す模式斜視図である。
【図3】構造体本体にノブを設けた状態を示す模式斜視図である。
【図4】検出板の一方の面を示す模式図である。
【図5】検出板の他方の面を示す模式図である。
【図6】各ノブの検出方向を説明するための模式正面図である。
【図7】シートの調節位置及び動きを説明するための模式斜視図である。
【図8】異なる形状のノブを備えるシートスイッチ構造体を示す正面図である。
【図9】異なる形状のノブを備えるシートスイッチ構造体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1〜9を参照しながら本発明のシートスイッチ構造体を詳しく説明する。
本発明に係るシートスイッチ構造体は、パワーシートの調節を行うためのスイッチの構造体であって、複数の軸部及び検出板を具備する構造体本体と、各軸部の先端側にそれぞれ設けられるノブと、を備える。また、本シートスイッチ構造体はケース内に設けられたり、パネル等に取り付けたり等に例示される、任意の配設方法によって配設することができる。
【0010】
上記「軸部」及び「検出板」は、ノブの操作を検出するためのものである。
軸部は、ノブに加えられた力に応じて検出板に歪みを生じさせることができればよく、その材質、形状及び固定方法は特に問わない。また、軸部の基端部は検出板に設けられるが、その位置や向きは任意に選択することができる。この例として検出板の中心位置に直交するように設けることを挙げることができる。検出板の全体に対して均一に歪みを与えることができ、歪みの検出が容易になるからである。
ノブに加えられる力によって軸部にかかる力の方向は任意に選択することができる。この例として、検出板に配設されている基端側を支点として傾けるように力を加える傾動方向、軸部の軸を中心にして回転するように力を加える回動方向、及び軸部の軸方向に押し込んだり引っ張ったりするように力を加える方向等を挙げることができる。これら軸部の傾動方向、回動方向、押し込み及び引っ張り方向等の力の強さは、板状部に設けられている歪みゲージによって検出できる程度の歪みを与える力であればよい。また、これら力を加えることでわずかにノブの位置が変化する場合があるが、それにより他のノブに接触しない程度であれば好ましい。
【0011】
検出板は、軸部の基端側に設けられる板状部、及び複数の歪みゲージを具備する。板状部は、軸部に加えられる力によって変形することができればよく、通常板状である。また、板状部の材質は特に問わず、例えば樹脂及び金属等とすることができる。更に、板状部の形状も特に問わない。
歪みゲージは、自身の形状のひずみを電気抵抗値の変化として検出することができる薄膜抵抗体であり、通常、板状部に貼付される。また、任意の数だけ板状部の任意の位置に設けることができる。例えば、図4に示すように、軸部31を囲うように4つの歪みゲージ321を配設することにより、軸部31の傾動方向の力を検出することができる。更に、図5に示すように、図4とは向きが異なる歪みゲージ321を更に配設することにより軸部31の軸を中心とした回転方向や、軸部31の軸方向の押し込み及び引っ張り等の力を検出することができる。また、歪みゲージは、板状部の片面のみの設けてもよいし、両面に設けてもよい。更に、検出板が複数の板状部を積層して構成され、歪みゲージが板状部のいずれか又はいくつかに設けられていてもよい。
また、歪みゲージによって得られる抵抗値の変化は、コントローラ等によって検出され、所定の信号に加工されてシートスイッチ構造体外に出力される。この信号は、任意の形式とすることができ、例えば歪みゲージの抵抗値に比例する値とすることができる。更に、抵抗値の変化から軸部31にかかった力の方向を求めて求められた、その方向に対応するシートの各調節部位を調節するモータ等の制御信号とすることができる。また、歪みゲージの抵抗値変化の大きさに基づいて軸部31にかかった力の大きさを求め、信号として出力することができる。
更に、軸部に加えられた力がいずれかの方向のどちらとも取れる場合、例えば、1つの構造体本体により左右方向と上下方向とを受け付ける場合において斜め方向の力が加えられる場合は、適宜解釈することができる。例えば、両方向の入力を同時に受け付けてもよいし、一方のみの入力として受け付けてもよいし、入力がないものとしてもよい。
【0012】
上記「ノブ」は、シートスイッチ構造体により制御されるシートの形状を模した形状である。また、ノブは複数設けられており、組み合わせると図1のノブ4a〜4cに示すようにシートの例えば側面形状を形成することができる。尚、シートスイッチ構造体に設けるノブは、前記シートの形状を模した形状のノブだけに限られず、例えばシートの形状を模したノブと、通常の形状のノブとを共に配設したシートスイッチ構造体としてもよい。また、各ノブは、独立していてもよいし、蝶番や弾性体等のノブの操作を妨げないものを介してつながっていてもよい。
また、隣接するノブの間隔、即ち隙間は、任意に選択することができるが、隣接するノブ間の最も狭い箇所において3mm以下(より好ましくは2.0mm以下、特に好ましくは1.5mm以下)とすることができる。このような隙間は、従来のシートスイッチ構造体のノブ隙間よりも狭く、シート形状に見えやすくすると共に、ノブを従来よりも密集して配設することによって、シートスイッチ構造体の露出面積を少なくして、配設場所の自由度を上げることができる。
シート形状を構成するノブは、例えば、図8に例示するように、背もたれ及びヘッドレストの部位を模するノブ4fと、座面を模するノブ4gとの2ノブ構成や、図6に示す背もたれ、ヘッドレスト及び座面を模する各ノブ4a〜4cからなる3ノブ構成等を例示することができる。また、図9に示すように背もたれの上半分及びヘッドレストの部位を模するノブ4hと、背もたれの下半分及び座面を模するノブ4kとの2ノブ構成等としても良い。これらのうち、背もたれ、ヘッドレスト及び座面を模する各ノブからなる3ノブ構成を好例とすることができる。シートの各要素であるヘッドレスト部、背もたれ部及び座面部を各ノブに無理なく配置することができ、利用者にとって分かりやすいものとすることができるからである。
【0013】
このようなシートスイッチ構造体の具体例を図1〜7に基づいて説明する。
図1に示す本シートスイッチ構造体1は、図7に示す自動車のパワーシート7の各調節可能な箇所(例えば矢印91〜97を参照。)をモータ等で操作するためのパワーシートスイッチであり、図1及び2に示すように、ケース21及び基板22と、ケース21に設けられた軸部31及び検出板32を具備する5つの構造体本体3a〜3eと、軸部31の先端側(図3に示す軸部31の先端側312を参照。)にそれぞれ設けられる第1ノブ4a〜第5ノブ4eと、基板22に設けられ且つ検出板上の各歪みゲージに接続される回路部5と、基板22に設けられて端部がケース21外に露出し、且つ回路部に接続されているコネクタ6と、を備える。
【0014】
ケース21は樹脂製であり、基板22、各構造体本体3a〜3eの検出板、回路部5及びコネクタ6等を収容する。また、基板22は、後述する構造体本体3a〜3eの検出板上の歪みゲージ321と回路部5との間の配線、及び回路部5とコネクタ6との間の配線がされている。
各構造体本体3a〜3eは、図2に示すように樹脂製で略円柱形状の軸部31と、軸部31の基端側311に設けられている円板形状の検出板32を具備する。また、軸部31は、検出板32の中心に位置し、直交する向きで固定されている。更に、検出板は円筒形状の枠体30内に収まった状態でケース21に設けられており、図3〜5に示すように樹脂製円板の板状部322の両面にそれぞれ4つずつ歪みゲージ321が配設されている。また、歪みゲージ321は、軸部31の基端側311を支点とした傾動の方向、及び回動の方向を板状部322の形状の歪みとして検出できるよう、軸部31を中心とした周りに貼付されている。
【0015】
第1ノブ4a〜第5ノブ4eは、樹脂製である。また、第1ノブ4aは、図7に示すシート7のヘッドレスト部71の側面側から見た形状を模している。同様に、第2ノブ4bは、シート7の背もたれ部72を模している略長方形状態であり、第3ノブ4cは、シート7の座面部73を模している略長方形状態である。
第1ノブ4aは、その略中央となる位置に軸部31に接続されており、第1ノブ4aを上下方向及び左右方向に力を加えると、そのまま軸部31の上下方向及び左右方向に力を加えることができる。更に、第2ノブ4bは、長手方向の下側が軸部31に接続されているため、長手方向の上側を図6における左右方向に力を加えると軸部31の回動方向に力を加えることができ、長手方向の下側を左右方向に力を加えると軸部31の左右の傾動方向に力を加え、その方向に板状部322を変形させることができる。また、第3ノブ4cは、長手方向の右側が軸部31に接続されているため、長手方向の左側を図6における上下方向に力を加えると軸部31の回動方向に力を加えることができ、長手方向の右側を上下方向に力を加えると軸部31の上下の傾動方向に力を加えることができる。更に、第3ノブ4cは、短手方向(左右方向)に力を加えると軸部31の左右の傾動方向に力を加えることができる。
尚、隣接する第1ノブ4aと第2ノブ4bとの間の隙間81、及び第2ノブ4bと第3ノブ4cとの間の隙間82は、いずれも約1.5mmである。
【0016】
回路部5は、各軸部31にかかった力によって変形する板状部322に貼付されている歪みゲージ321の抵抗値をホイートストンブリッジ等の回路を利用して求め、その変化から各軸部31の傾動方向及び回動方向の力を求め、シート7の各調節箇所を制御するための駆動信号を生成するソフトウェアを具備するマイクロコントローラ(MCUともいう、図示せず)等からなる。尚、回路部は、マイクロコントローラに限られずデジタル信号プロセッサ、プログラム可能な論理回路、ゲートアレー等の論理回路から構成されていてもよい。
コネクタ6は、回路部5により生成された駆動信号を出力するための端子であり、ワイヤハーネス等によってECU等に接続される。
【0017】
このような、パワーシートスイッチであるシートスイッチ構造体は、図6に示すように各ノブ4a〜4eを矢印91〜97等の位置及び方向に力を加えることによって、図7に示すシート7の各調節箇所91〜97を調節することができる。
例えば、第1ノブ4aを上下方向91に力を加えた場合、第1ノブ4aに接続されている軸部31に対して上下の傾動方向の力が加わり、それに伴う検出板32の板状部322の歪みにより歪みゲージ321の抵抗値が変化する。これをマイクロコントローラが検出して、ヘッドレスト部71の上下位置を調節するモータを駆動する駆動信号をコネクタ6に出力する。これによってヘッドレスト部71の上下位置91を調節することができる。
また、第1ノブ4aを左右方向92に力を加えた場合、対応する軸部31に対して左右の傾動方向に力が加わり、背もたれ部72上部の中折れ量92を調節することができる。
【0018】
更に、第2ノブ4bの上部を左右方向93に力を加えた場合、対応する軸部31に対してその軸心を中心とした回動方向に力が加わり背もたれ部72のリクライニング角度93を調節することができる。また、第2ノブ4bの下部を左右方向94に力を加えた場合、対応する軸部31に対して左右の傾動方向に力が加わり、背もたれ部72のサイドサポート(腰の両端位置を支える部分)のせり出し量94を調節することができる。更に、第3ノブ4cを左右方向95に力を加えた場合、対応する軸部31に対して左右の傾動方向に力が加わり、シート7の前後位置95を調節することができる。また、第3ノブ4cの後部を上下方向96に力を加えた場合、対応する軸部31に対して回動方向の力が加わり、シート7の高さ96を調節することができる。更に、第3ノブ4cの前部を上下方向97に力を加えた場合、対応する軸部31に対して上下の傾動方向に力が加わり、座面部73の前部のチルト量97を調節することができる。
また、第4ノブ4dの上下左右に力を加えた場合、対応する軸部31の傾動方向に力が加わり、ランバーの調節を行うことができる。更に、第5ノブ4eの左右方向に力を加えた場合、対応する軸部31の傾動方向に力が加わり、クッション長の調節を行うことができる。
【0019】
上記の通り、図6に示すシート7形状を模した第1ノブ4a〜第3ノブ4cの各部位に所定の方向に力を加えると、図7に示すシート7の各調節箇所の調節を行うことができ、各ノブ4a〜4cが対応するシートの位置が視覚的に把握することができ、利用者にとって分かりやすいものとすることができる。また、歪みゲージを用いて検出するために軸部31に加えるだけでその方向を検出することができ、第1ノブ4a〜第3ノブ4cにおけるノブ間の隙間を最短で約1.5mmと狭くすることができた。このため、第1ノブ4a〜第3ノブ4cは全体として1つのシートに見せることができ、利用者にとってシートの調整に関するノブであることを、より強く喚起することができる。また、第1ノブ4a〜第3ノブ4cの隙間を狭く配設することにより、シートスイッチ構造体の操作面が占める面積を狭くすることができる。
更に、歪みゲージを用いて軸部31にかかった力の方向を検出することにより、軸部31等を可動させる必要がないため構造体本体3を小型化することができる。また、検出方向がそれぞれ異なる第1ノブ4a〜第5ノブ4eに、同じ構造体本体3を使用することができ、本スイッチ構造体の製造等が容易となった。更に、10種類の方向を検出するために必要な構造体本体3が5つで済むため、スイッチ構造体の部品点数を減らすことができる。
【0020】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、本シートスイッチ構造体はパワーシートスイッチに限られず、各種ライトの点灯制御を行うライトスイッチ及び、ドアミラーの向きを調節するドアミラースイッチ等の電装部品に用いることができる。
また、上記例においては第1ノブ4a〜第5ノブ4eを用いて10種類の方向を検出するものとしたがこれに限られず、同じ、第1ノブ4a〜第5ノブ4eを用いて更に多くの方向を検出することができる。例えば、第3ノブ4cの前部を押し込むことにより軸部31の押し込みを検出し、シート7を回転させることによって、シート7を後ろ向きに向かせることができる。
更に、シート7を模する構成も図1の3分割に限られず、図8及び9に示す構成とすることができる。
【0021】
また、上記例の検出板に具備する歪みゲージは8個であるが、この数に限られず任意の数を設けてもよい。更に、例えば、図6に示す第4ノブ4d及び、第5ノブ4eは、それぞれ上下左右方向及び左右方向の検出のみであり、歪みゲージを例えば4個及び2個としても各方向の検出を行うことができる。
また、歪みゲージに加わった力の強さを検出し、その強さに対応する信号を生成することができる。このような検出した力の強さは、例えばその強さに対応した速度でシート7の各調節の速度を変える信号として用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本シートスイッチ構造体は、車両用のシートスイッチとして用いることができる。また、室内用のシートのシートスイッチに用いることができる。更に、稼働する対象を模した複数のノブが一体に見えるように配設し、少ない面積で配設することができるシートスイッチ構造体に適用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1;シートスイッチ構造体、21;ケース、22;基板、3;構造体本体、30;枠体、31;軸部、32;検出板、321;歪みゲージ、322;板状部、4a〜4e;第1ノブ〜第5ノブ、5;回路部、6;コネクタ、7;シート、71;ヘッドレスト部、72;背もたれ部、73;座面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側にノブが取り付けられている軸部と、
前記軸部の基端側に設けられ、該軸部の先端側に加えられる力の方向を検出する複数の歪みゲージを具備する検出板と、を具備する構造体本体を備え、
前記ノブは、シートを構成する一部分に対応し、
前記構造体本体は、複数組み合わせることによって該シートの形状を模するように配置されていることを特徴とするシートスイッチ構造体。
【請求項2】
隣接する前記ノブの間隔が3mm以下である請求項1記載のシートスイッチ構造体。
【請求項3】
前記検出板に具備されている複数の歪みゲージにより、前記軸部に加えられる該軸部の軸を中心とした回転方向の力を検出する請求項2記載のシートスイッチ構造体。
【請求項4】
前記ノブとしては、前記シートのヘッドレスト部を模した第1ノブと、前記シートの背もたれ部を模した第2ノブと、前記シートの座面部を模した第3ノブと、を備える請求項3記載のシートスイッチ構造体。
【請求項5】
前記第2ノブ及び前記第3ノブは略長方形状であり、該略長方形状の長辺方向の一端側に前記軸部の先端側が取り付けられている請求項4記載のシートスイッチ構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−82034(P2011−82034A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233812(P2009−233812)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】