説明

シートステンシルマーキング装置

【課題】 シートステンシルを被マーキング材上に搬送する搬送装置に、シートステンシルを摩擦等による送り不良を発生させずに確実に送ることが可能な送り台を備えたシートステンシルマーキング装置を提供する。
【解決手段】 ロール紙1の給紙装置2、ロール紙1に所望の文字、図形等をパンチングするパンチング装置3、ピッチ送りロール4、パンチングされたロール紙1を所定長さに切断してシートステンシル5を形成する切断機6、送り台7、シートステンシル5を被マーキング材上に搬送する搬送装置9が順に設置され、更に被マーキング材上に搬送されたシートステンシル5の上方からマーキング液をスプレーするスプレー装置とを備えたシートステンシルマーキング装置において、シートステンシル5を搬送装置9方向に送る送り手段としてのベルトコンベア14が送り台7に設けられ、ピッチ送りロール4とベルトコンベア14とは連動している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートステンシルマーキング装置、特に、シートステンシルを被マーキング材上に搬送する搬送装置に、シートステンシルを摩擦等による送り不良を発生させずに確実に送ることが可能な送り台を備えたシートステンシルマーキング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、圧延工程、冷却工程、切断工程等を経て所定の形状に切断された厚鋼板の上面には、厚鋼板の規格、サイズ、鋼板番号等を示す所望の文字や図形等がマーキングされる。
【0003】
このマーキングを行うシートステンシルマーキング装置は、図2に示すように、ロール紙1の給紙装置2と、給紙装置2のロール紙搬送方向下流側に設置された、ロール紙1に所望の文字、図形等をパンチングするパンチング装置3と、パンチング装置3の下流側に設置されたピッチ送りロール4と、ピッチ送りロール4の下流側に設置された、パンチングされたロール紙1を所定長さに切断してシートステンシル5を形成する切断機6と、切断機6の下流側に設置された、平板状の送り台7と、送り台7の下流側に設置された、シートステンシル5を被マーキング材としての厚鋼板8上に搬送する搬送装置9と、厚鋼板8上方に搬送されたシートステンシル5の上方からマーキング液をスプレーするスプレー装置10と、使用済みのシートステンシル5を収容する排紙ボックス11とを備えている。搬送装置9は、プーリ12間をエンドレスに周回するベルト13によって、シートステンシル5をその両端を把持しながら厚鋼板8上に搬送するものである。
【0004】
給紙装置2から巻き戻されたロール紙1がパンチング装置3に至ると、ここで所望の文字、図形等がパンチングされる。このようにしてパンチングされたロール紙1は、ピッチ送りロール4によって送り台7上に送られた後、切断機6により切断されてシートステンシル5が形成される。このとき、シートステンシル5は、その先端部が搬送装置9に乗る位置までピッチ送りロール4により送られる。この後、シートステンシル5は、搬送装置9により厚鋼板8上に搬送される。シートステンシル5が厚鋼板8上に搬送されると、スプレー装置10からマーキング液としての塗料がシートステンシル5を介して吹き付けられる。このようにして、厚鋼板8の上面に所望の文字や図形等が自動的且つ連続的にマーキングされる。そして、マーキング後の使用済みシートステンシル5は、排紙ボックス11内に収容される。
【0005】
従来、シートステンシルマーキング装置に関する技術として、以下のものがある。
【0006】
特許文献1には、塗料の吹き付けとシートステンシルの洗浄とを一連の動作の中で自動的に行う機構を設けて、一枚のシートステンシルで繰り返し吹き付け作業を行った場合でも、シートステンシルを取り外さず洗浄作業が行える技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、鋼板検査で不合格となり、サイズ変更となった場合に、その鋼板に手動で再マーキングを行うために、パンチング装置の下流側に手動でシートステンシルを取り出すためのシートステンシル集積装置が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭58−163465号公報
【特許文献2】特開昭61−4563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のシートステンシルマーキング装置の送り台7は、単に平板により構成されているので、シートステンシル5と送り台7上面との摩擦抵抗によって、切断機6による切断前のシートステンシル5の先端が搬送装置9に到達せず、厚鋼板8上に搬送されないことがあった。すなわち、ピッチ送りロール4が回転しているにもかかわらず、シートステンシル5と送り台7上面との摩擦抵抗によって、切断前のシートステンシル5が送り台7上に留まり、この結果、シートステンシル5が丸まってその先端が搬送装置9に到達しないことがあった。
【0010】
また、シートステンシル5と送り台7上面との摩擦抵抗によって、シートステンシル5が送り台7上で斜めになり、この状態のままで搬送装置9に送られてしまい、この結果、シートステンシル5の端部がベルト13によりうまく把持されず、シートステンシル5がベルト13から外れて落下することがあった。
【0011】
従って、この発明の目的は、シートステンシルを被マーキング材上に搬送する搬送装置に、シートステンシルを摩擦等による送り不良を発生させずに確実に送ることが可能な送り台を備えたシートステンシルマーキング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0013】
請求項1記載の発明は、ロール紙の給紙装置と、前記給紙装置のロール紙搬送方向下流側に設置された、前記ロール紙に所望の文字、図形等をパンチングするパンチング装置と、前記パンチング装置の下流側に設置されたピッチ送りロールと、前記ピッチ送りロールの下流側に設置された、パンチングされた前記ロール紙を所定長さに切断してシートステンシルを形成する切断機と、前記切断機の下流側に設置された送り台と、前記送り台の下流側に設置された、前記シートステンシルを被マーキング材上に搬送する搬送装置と、前記被マーキング材上に搬送された前記シートステンシルの上方からマーキング液をスプレーするスプレー装置とを備えたシートステンシルマーキング装置において、前記シートステンシルを前記搬送装置方向に送る送り手段が前記送り台に設けられ、前記ピッチ送りロールと前記送り手段とは連動していることに特徴を有するものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、送り手段は、ベルトコンベアからなっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、搬送装置の上流側に設置された送り台にベルトコンベア等からなる送り手段を設けることによって、送り台とシートステンシルとの摩擦抵抗が基本的に無くなるので、ピッチ送りロールが回転しているにもかかわらず、送り台との摩擦抵抗によって、切断前のシートステンシルが送り台上に留まり、この結果、シートステンシルが丸まってその先端が搬送装置に到達しない恐れは皆無となる。
【0016】
また、ピッチ送りロールと送り台のベルトコンベアとを連動させることによって、シートステンシルが送り台上で斜めになり、この状態のままで搬送装置に送られてしまい、この結果、シートステンシルの端部がベルトによりうまく把持されず、シートステンシルがベルトから外れて落下する恐れも皆無となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、この発明のシートステンシルマーキング装置の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、この発明のシートステンシルマーキング装置の部分概略斜視図である。
【0019】
図1に示すように、この発明のシートステンシルマーキング装置は、搬送装置9の上流側に設けられた送り台7に、送り手段としてのベルトコンベア14を設けたものである。その他の構成は、図2に示す従来のシートステンシルマーキング装置と同様である。
【0020】
ベルトコンベア14付き送り台7を備えた、この発明のシートステンシルマーキング装置によるマーキング方法を、図1および図2を参照しながら説明する。
【0021】
給紙装置2から巻き戻されたロール紙1がパンチング装置3に至ると、ここで所望の文字、図形等がパンチングされる。このようにしてパンチングされたロール紙1は、ピッチ送りロール4によって送り台7上に送られた後、切断機6により所定長さに切断されてシートステンシル5が形成される。このとき、シートステンシル5は、その先端部が搬送装置9のベルト13に乗る位置までピッチ送りロール4により送られるが、送り台7のベルトコンベア14は、ピッチ送りロール4と連動しているので、シートステンシル5は、ベルトコンベア14により円滑に送り台7上を送られ、搬送装置9に至る。
【0022】
このように、シートステンシル5が円滑に送り台7上を送られるので、ピッチ送りロール4が回転しているにもかかわらず、シートステンシル5が送り台7上に留まり、この結果、シートステンシル5が丸まってその先端が搬送装置9に到達しないことは皆無である。
【0023】
しかも、シートステンシル5と送り台7上面との摩擦抵抗によって、シートステンシル5が送り台7上で斜めになり、この状態のままで搬送装置9に送られてしまい、この結果、シートステンシル5の端部がベルト13によりうまく把持されず、シートステンシル5がベルト13から外れて落下することも皆無である。
【0024】
この後は、従来のシートステンシルマーキング装置と同様に、シートステンシル5は、搬送装置9により、厚鋼板8上に搬送される。シートステンシル5が厚鋼板8上に搬送されると、スプレー装置10からマーキング液としての塗料がシートステンシル5を介して吹き付けられる。このようにして、厚鋼板8の上面に所望の文字や図形等が自動的且つ連続的にマーキングされる。そして、マーキング後の使用済みシートステンシル5は、排紙ボックス11内に収容される。
【0025】
上述したように、この発明によれば、搬送装置9の上流側に設置された送り台7に、ピッチ送りロール4と連動する送り手段として、例えば、ベルトコンベア14を設けることによって、送り台7上でのシートステンシル5の送り不良が皆無となる。この結果、シートステンシル5の先端が搬送装置に到達しなかったり、あるいは、シートステンシル5が搬送装置9から外れて落下する恐れは皆無となる。
【0026】
以上は、この発明のシートステンシルマーキング装置を厚鋼板のマーキングに適用した場合であるが、厚鋼板以外のマーキングに適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明のシートステンシルマーキング装置の部分概略斜視図である。
【図2】従来のシートステンシルマーキング装置を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1:ロール紙
2:給紙装置
3:パンチング装置
4:ピッチ送りロール
5:シートステンシル
6:切断機
7:送り台
8:厚鋼板
9:搬送装置
10:スプレー装置
11:排紙ボックス
12:プーリ
13:ベルト
14:ベルトコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙の給紙装置と、前記給紙装置のロール紙搬送方向下流側に設置された、前記ロール紙に所望の文字、図形等をパンチングするパンチング装置と、前記パンチング装置の下流側に設置されたピッチ送りロールと、前記ピッチ送りロールの下流側に設置された、パンチングされた前記ロール紙を所定長さに切断してシートステンシルを形成する切断機と、前記切断機の下流側に設置された送り台と、前記送り台の下流側に設置された、前記シートステンシルを被マーキング材上に搬送する搬送装置と、前記被マーキング材上に搬送された前記シートステンシルの上方からマーキング液をスプレーするスプレー装置とを備えたシートステンシルマーキング装置において、
前記シートステンシルを前記搬送装置方向に送る送り手段が前記送り台に設けられ、前記ピッチ送りロールと前記送り手段とは連動していることを特徴とするシートステンシルマーキング装置。
【請求項2】
前記送り手段は、ベルトコンベアからなっていることを特徴とする、請求項1記載のシートステンシルマーキング装置。

【図1】
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【図2】
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