説明

シートピックアップモジュール

【課題】用紙ストッパを簡単かつ正確に制御することができるシートピックアップモジュールを提供する。
【解決手段】シートピックアップモジュールは、シートピックアップローラセット10及び少なくとも1つの用紙ストッパ12を備える。シートピックアップローラセット10及び用紙ストッパ12はカバープレートに枢着され、シートピックアップローラセット10はローラ42を有する。用紙ストッパ12は、用紙ストッパ部材18と、フック部及び被駆動部が設けられた固定部材20とを有する。カバープレートには、用紙ストッパ12の固定部材20のフック部に対応するように孔部が設けられている。シートピックアップローラセット10上には、駆動部44が配置される。シートピックアップローラセット10が第1の位置に移動すると、駆動部44が被駆動部34を押し、カバープレートの孔部に固定部材20のフック部が挿入されて用紙ストッパ12を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置に関し、特に、シートピックアップモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に事務所では、コピー機、プリンタ、ファクシミリなどのOA機器が頻繁に使用されている。これらOA機器は、後続作業を行うために、一枚々々送紙するシートピックアップ機構を有する。
【0003】
従来のシートピックアップ機構は、ピックアップローラセット及び2つの用紙ストッパを含む。ピックアップローラセットは、OA機器のカバープレートの内側に枢着され、シートをピックアップする際、下向きに揺動させ、シート上にローラを圧着させ、ローラを回転させることにより、シートを前方へ送り出す。用紙ストッパは、通常の状態下でシートの前方を押さえて固定するために用いる。シートをピックアップするときは、用紙ストッパの固定状態を解除し、シートを前方に送り出すことにより、用紙ストッパを押し開く。
【0004】
特許文献1の紙ガード機能を具えた取紙機構では、取紙ローラセット上に配置された接触ブロックにより、紙ガード部品が移動することを防ぐことができるが、取紙ローラセットが移動すると、接触ブロックが紙ガード部品の下方に設けられた通路に沿って紙ガード部品から離れ、紙ガード部品がシートにより押し動かされる技術が開示されている。また、特許文献2の紙ガード機構では、紙ガード部品上に切欠きが設けられ、通常の状態下で取紙ローラセット上のバンプが紙ガード部品の背面に当接され、固定されている。そして、紙をピックアップする際、取紙ローラセットが下方に揺動されてから、バンプが紙ガード部品の切欠きに移動するため、紙ガード部品は自在に移動することができる。
【0005】
しかし、特許文献1及び特許文献2では、取紙ローラセット上の特定の箇所により紙ガード部品を押さえるため、複雑な構造により、この部位を紙ガード部品から離す必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾実用新案登録第320,492号公報
【特許文献2】台湾実用新案登録第317,928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、用紙ストッパを簡単かつ正確に制御することができるシートピックアップモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のシートピックアップモジュールは、シートピックアップローラセット及び少なくとも1つの用紙ストッパを備えるシートピックアップモジュールであって、前記シートピックアップローラセット及び前記用紙ストッパは、カバープレートに枢着され、前記シートピックアップローラセットは、ローラを有し、前記用紙ストッパは、用紙ストッパ部材と、フック部及び被駆動部が設けられた固定部材とを有し、前記カバープレートには、前記用紙ストッパの前記固定部材の前記フック部に対応するように孔部が設けられ、前記シートピックアップローラセット上には、駆動部が配置され、前記シートピックアップローラセットが第1の位置に移動すると、前記駆動部が前記被駆動部を押し、前記カバープレートの前記孔部に前記固定部材の前記フック部が挿入されて前記用紙ストッパを固定し、前記シートピックアップローラセットが第2の位置に移動すると、前記駆動部が前記被駆動部から離れるとともに、前記カバープレートの前記孔部から前記固定部材の前記フック部が離れ、前記用紙ストッパが自在に回転することが可能になることを特徴とする。
【0009】
前記用紙ストッパ部材及び前記固定部材は、2つの独立した部品が互いに枢着されて構成されていることが好ましい。
【0010】
前記用紙ストッパ部材は、前記カバープレートに枢着され、前記用紙ストッパ部材の揺動方向は、前記固定部材の揺動方向に対して垂直であることが好ましい。
【0011】
前記用紙ストッパ部材は、ピボット座を有し、前記固定部材は、軸を有し、前記ピボット座に枢着され、前記軸上にバネが配置されていることが好ましい。
【0012】
前記用紙ストッパ部材と前記固定部材とが一体成形され、前記固定部材が可撓性を有することが好ましい。
【0013】
前記用紙ストッパ部材は、前記カバープレートに枢着され、前記用紙ストッパ部材の揺動方向は、前記固定部材が曲げられた方向に対して垂直であることが好ましい。
【0014】
前記シートピックアップローラセットの前記駆動部は、当接面を有し、前記用紙ストッパの前記固定部材の前記被駆動部は、当接面を有することが好ましい。
【0015】
前記シートピックアップローラセットの前記駆動部上に設けられた前記当接面は、斜面又は曲面であることが好ましい。
【0016】
前記用紙ストッパの前記被駆動部上に設けられた前記当接面は、斜面又は曲面であることが好ましい。
【0017】
前記フック部と前記被駆動部とは、互いに表裏の関係で前記固定部材に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシートピックアップモジュールは、用紙ストッパを簡単かつ正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態によるシートピックアップモジュールを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による用紙ストッパを示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による用紙ストッパが待機状態で固定された状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による用紙ストッパが待機状態で固定された状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるシートピックアップローラセットが所定角度回転した後、用紙ストッパがリリースされるときの状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるシートピックアップローラセットが所定角度で回転した後、用紙ストッパがリリースされるときの状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による用紙ストッパをシートが押し開いて前方へ移動させるときの状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による用紙ストッパを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0021】
本発明の一実施形態によるシートピックアップモジュールは、コピー機、プリンタ、ファクシミリなどに取り付けられ、装置の中に紙を一枚々々送り込むために用いる。以下の実施形態ではコピー機を用いて説明する。
【0022】
図1を参照する。図1に示すように、本発明の一実施形態によるシートピックアップモジュールは、コピー機のカバープレート14の内側に設けられたリブ16(図3〜図7に示す)上にそれぞれ取り付けられたシートピックアップローラセット10及び2つの用紙ストッパ12を有し、シートピックアップローラセット10及び2つの用紙ストッパ12が個別に制御されて揺動する。
【0023】
(第1実施形態)
図2を参照する。図2に示すように、本発明の第1実施形態による用紙ストッパ12は、用紙ストッパ部材18及び固定部材20を含む。用紙ストッパ部材18は、横方向に延伸された軸22により、カバープレート14のリブ16に枢着されている。軸22の上方には、ピボット座24が配置されている。ピボット座24の上端中央には切欠けが設けられ、切欠けの両側の壁面上には軸孔26がそれぞれ設けられている。固定部材20の端部には、用紙ストッパ部材18のピボット座24上の軸孔26中に取り付けられた軸28が配置されている。固定部材20の軸28上には、一方の端部が固定部材20に当接され、他方の端部がピボット座24に当接されたトーションバネ30が嵌合されている。固定部材20の外端にはフック部32が設けられ、フック部32と表裏の関係で被駆動部34が設けられている。被駆動部34はバンプであり、当接面36が設けられている。当接面36は、本実施形態では斜面であるが、曲面など他の態様でもよい。
【0024】
カバープレート14のリブ16上には孔部38が設けられている。一般の状態下で、用紙ストッパ12の固定部材20のフック部32は、リブ16上の孔部38に対応するように駆動されて挿入される。トーションバネ30は、固定部材20を押し動かすために用い、正常な状態下では孔部38からフック部32が離されている。ここで、用紙ストッパ部材18と固定部材20との揺動方向が互いに垂直であるため、リブ16上の孔部38に固定部材20のフック部32が挿入されると、用紙ストッパ部材18が固定されて回転不能な状態となる。つまり、用紙ストッパ12全体が固定されて動かない状態となる。
【0025】
図1を参照する。図1に示すように、シートピックアップローラセット10は、ローラ42が枢着されたベース40を上に有する。ベース40は、カバープレート14の2つのリブ16間に枢着されている。シートピックアップローラセット10の両側には、2つの用紙ストッパ12が配置されている。ベース40及びローラ42は、それぞれ制御されて揺動したり回転したりする。ベース40及びローラ42を制御する機構は、従来技術であるため、ここでは詳しく述べない。
【0026】
シートピックアップローラセット10のベース40の両側には、駆動部44がそれぞれ配置されている。第1実施形態の駆動部44は、ベース40上に突設されたバンプであり、当接面46が外端に設けられている。当接面36は、本実施形態では斜面であるが、曲面など他の態様でもよい。
【0027】
図3及び図4を参照する。図3及び図4に示すように、コピー機が待機状態にあるとき、シートピックアップローラセット10が第1の位置にある(即ち、上向きに揺動されて上死点に位置する)。このとき、シートピックアップローラセット10上の駆動部44の当接面46が、2つの用紙ストッパ12の固定部材20上の被駆動部34に設けられた当接面36に当接され、2つの固定部材20が駆動されて揺動し、リブ16の孔部38中に固定部材20上のフック部32を挿入させる。そのため、2つの用紙ストッパ12は、固定された動かない状態となり、用紙ストッパ部材18がシート48の前方に位置し、シート48を固定させる。
【0028】
図5及び図6を参照する。図5及び図6に示すように、シートピックアップモジュールが命令を受けると、給紙ステップを開始し、シートピックアップローラセット10が下方へ揺動され、被駆動部34から駆動部44が離れ始める。シートピックアップローラセット10が所定角度で揺動されて第2の位置に達すると、2つの用紙ストッパ12の固定部材20上の被駆動部34からシートピックアップローラセット10上の駆動部44が完全に離れ、トーションバネ30の作用により、リブ16の孔部38から固定部材20上のフック部32が離されると、2つの用紙ストッパ12は、拘束されずに自由に回転することができる。
【0029】
図7を参照する。図7に示すように、シートピックアップローラセット10が下向きに揺動し続けてシート48にローラが接触すると、回転するローラ42によりシート48が前方へ送られ、用紙ストッパ部材18がシート48により押し開かれる。
【0030】
給紙ステップが終了すると、シートピックアップローラセット10が上死点に戻り、駆動部44により2つの用紙ストッパ12の固定部材20上の被駆動部34が押されると、リブ16の孔部38にフック部32が挿入され、図3及び図4に示すように、用紙ストッパ12が固定状態に戻る。
【0031】
(第2実施形態)
図8を参照する。図8に示すように、本発明の第2実施形態による用紙ストッパ50は、第1実施形態と同様に、用紙ストッパ部材52及び固定部材54を含む。また、第2実施形態の用紙ストッパ50は、2つの独立した構成要素を組み合わせる第1実施形態と異なり、用紙ストッパ部材52と固定部材54とが一体成形されている。第2実施形態の固定部材54は、可撓性を有するため、ピックアップローラセット(図示せず)が固定部材54の後端の被駆動部56を押すと、固定部材54が曲がり、リブの孔部(図示せず)に前端のフック部58が入る。同様に、固定部材54が曲がる方向は、用紙ストッパ部材52の揺動方向に対して垂直である。シートピックアップローラセットが離れた後、固定部材54自体が有する弾性により、フック部58が孔部から離れる。そのため、第2実施形態の用紙ストッパ50はバネが無くても第1実施形態と同様の機能を得ることができる。
【0032】
駆動部44上の当接面36と、被駆動部56上の当接面36との形状は、斜面/斜面、斜面/曲面、曲面/斜面又は曲面/曲面の組合せでもよい。
【0033】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0034】
10 シートピックアップローラセット
12 用紙ストッパ
14 カバープレート
16 リブ
18 用紙ストッパ部材
20 固定部材
22 軸
24 ピボット座
26 軸孔
28 軸
30 トーションバネ
32 フック部
34 被駆動部
36 当接面
38 孔部
40 ベース
42 ローラ
44 駆動部
46 当接面
48 シート
50 用紙ストッパ
52 用紙ストッパ部材
54 固定部材
56 被駆動部
58 フック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートピックアップローラセット及び少なくとも1つの用紙ストッパを備えるシートピックアップモジュールであって、
前記シートピックアップローラセット及び前記用紙ストッパは、カバープレートに枢着され、前記シートピックアップローラセットは、ローラを有し、
前記用紙ストッパは、用紙ストッパ部材と、フック部及び被駆動部が設けられた固定部材とを有し、
前記カバープレートには、前記用紙ストッパの前記固定部材の前記フック部に対応するように孔部が設けられ、
前記シートピックアップローラセット上には、駆動部が配置され、
前記シートピックアップローラセットが第1の位置に移動すると、前記駆動部が前記被駆動部を押し、前記カバープレートの前記孔部に前記固定部材の前記フック部が挿入されて前記用紙ストッパを固定し、
前記シートピックアップローラセットが第2の位置に移動すると、前記駆動部が前記被駆動部から離れるとともに、前記カバープレートの前記孔部から前記固定部材の前記フック部が離れ、前記用紙ストッパが自在に回転することが可能になることを特徴とするシートピックアップモジュール。
【請求項2】
前記用紙ストッパ部材及び前記固定部材は、2つの独立した部品が互いに枢着されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシートピックアップモジュール。
【請求項3】
前記用紙ストッパ部材は、前記カバープレートに枢着され、
前記用紙ストッパ部材の揺動方向は、前記固定部材の揺動方向に対して垂直であることを特徴とする請求項2に記載のシートピックアップモジュール。
【請求項4】
前記用紙ストッパ部材は、ピボット座を有し、
前記固定部材は、軸を有し、前記ピボット座に枢着され、前記軸上にバネが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシートピックアップモジュール。
【請求項5】
前記用紙ストッパ部材と前記固定部材とが一体成形され、
前記固定部材が可撓性を有することを特徴とする請求項1に記載のシートピックアップモジュール。
【請求項6】
前記用紙ストッパ部材は、前記カバープレートに枢着され、
前記用紙ストッパ部材の揺動方向は、前記固定部材が曲げられた方向に対して垂直であることを特徴とする請求項5に記載のシートピックアップモジュール。
【請求項7】
前記シートピックアップローラセットの前記駆動部は、当接面を有し、
前記用紙ストッパの前記固定部材の前記被駆動部は、当接面を有することを特徴とする請求項1に記載のシートピックアップモジュール。
【請求項8】
前記シートピックアップローラセットの前記駆動部上に設けられた前記当接面は、斜面又は曲面であることを特徴とする請求項7に記載のシートピックアップモジュール。
【請求項9】
前記用紙ストッパの前記被駆動部上に設けられた前記当接面は、斜面又は曲面であることを特徴とする請求項7に記載のシートピックアップモジュール。
【請求項10】
前記フック部と前記被駆動部とは、互いに表裏の関係で前記固定部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシートピックアップモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−121701(P2012−121701A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274603(P2010−274603)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(598001814)亞洲光學股▲ふん▼有限公司 (32)
【Fターム(参考)】