説明

シートフラップの折り曲げ状態検査装置

【課題】フラップの折り曲げ状態に関する検査精度を従来よりも高めたシートフラップの折り曲げ状態検査装置を提供する。
【解決手段】ケーサー1のコンベア4にて搬送されるシート3のフラップ3aが、コンベア4の搬送方向に沿って設けられたフラップガイド10にて正しく案内されるように折り曲げられているか否かを検査するシートフラップの折り曲げ状態検査装置20において、フラップガイド10にて正しく案内されているフラップ3aが通過すべき領域にてフラップ3aを検出する正常状態検出センサ22と、正常状態検出センサ22の出力信号に基づいて、フラップ3aの折り曲げ状態が正常か否か判別する判別装置23とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶等の包装対象物を包装資材としてのシートで包み込んで箱詰梱包品を製造するケーサーに適用されて、搬送中のシートのフラップが所定の姿勢で折り曲げられているか否かを検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料缶等の包装対象物を包装する装置として、半製品状態に組み立てられたシートをシート用コンベアにて直線的に搬送しつつ、そのシート用コンベアと同速度で併走する別のコンベアから所定数の包装対象物の群をプッシャでシート上に押し込み、その後にシートを完全に折り曲げ成形して出荷用の箱詰梱包品を製造するケーサーと呼ばれる装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−79903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーサーで包装資材として使用されるシートには、箱詰梱包品の端面を閉じるためのフラップが設けられている。そのフラップは、シート上に包装対象物を搬入する充填工程が完了するまでコンベアに沿ったフラップガイドの下面側に差し込まれて包装対象物の搬入経路外に保持される。充填工程後、フラップはフラップガイドによる拘束を解かれて上方に折り返される。ところが、フラップが不適切に折り曲げられていると、フラップがフラップガイドの下面に導かれないまま充填工程に導かれることがある。この場合、フラップが搬送対象物の搬入経路内に突出し、プッシャの過負荷、包装対象物の破損といった不都合が生じるおそれがある。フラップの折り曲げ状態の適否を検査する装置としては、従来より、フラップガイドの上方に大きく跳ね返っているフラップを光学センサ等で検出する装置が実用に今日されている。しかし、従来の検査装置では、フラップがフラップガイドの上面と接する程度に曲がっている場合、あるいはフラップがシートの下面側に完全に折り返された、いわゆる中折れ状態となっている場合にはセンサがフラップを検出できず、フラップの成形不良を見逃すおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はフラップの折り曲げ状態に関する検査精度を従来よりも高めたシートフラップの折り曲げ状態検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシートフラップの折り曲げ状態検査装置(20)は、ケーサー(1)のコンベア(4)にて搬送される包装資材としてのシート(3)のフラップ(3a)が、前記コンベアの搬送方向に沿って設けられたフラップガイド(10)にて正しく案内されるように折り曲げられているか否かを検査するシートフラップの折り曲げ状態検査装置であって、前記フラップガイドにて正しく案内されているフラップが通過すべき領域にて前記フラップを検出する正常状態検出センサ(22)と、前記正常状態検出センサの出力信号に基づいて、前記フラップの折り曲げ状態が正常か否かを判別する判別手段(23)とを備えることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の検査装置によれば、フラップが正常に折り曲げられて、フラップガイドにて正しく案内されている場合に正常状態検出センサがそのフラップを検出する。従って、フラップがセンサの検出範囲を通過すべき時期にフラップ検出信号が得られなければ、フラップの折り曲げ状態に異常が生じてフラップガイドでフラップが正しく案内されていないと判別することができる。この結果、特定方向への折り曲げ異常のみをセンサで検出する場合と比較して、フラップの折り曲げ状態が正常か否かに関する検査精度を向上させることができる。
【0008】
本発明の検査装置においては、前記フラップの前記コンベア上における位置に相関した信号を出力するシート割出手段(24)をさらに具備し、前記判別手段は、前記シート割出手段にて前記フラップが前記領域を通過すべき時期を特定し、該時期に前記正常状態検出センサが前記フラップを検出しないことを必要条件として前記フラップの折り曲げ状態が異常であると判別してもよい。この形態によれば、複数のシートが間隔を空けて搬送される場合、フラップ間の隙間に対応して正常状態検出センサの信号が変化しても、その状態を誤って折り曲げ状態の異常と判別するおそれがなくなる。これにより、検査精度がさらに向上する。
【0009】
本発明の検査装置においては、前記フラップが前記フラップガイドの下面側に沿って案内されている状態が、前記正しく案内されている状態であってもよい。これによれば、フラップがフラップガイドの下面側に導入されてその上方への跳ね返りが阻止されているときに正常状態検出センサがフラップを検出し、それ以外の方向にフラップが折り曲げられているときには正常状態検出センサがフラップを検出しない。この場合において、さらに、前記正常状態検出センサは、前記コンベアの側方から前記フラップガイドの下面側に向かって斜め下方に検査光束(B2)を照射し、該検査光束が遮られたときに前記フラップの検出信号を出力するようにしてもよい。これによれば、フラップがフラップガイドの下面側に正しく導入されているときに検査光束がフラップにて遮られ、それ以外の方向にフラップが折り曲げられているときには検査光束がフラップにて遮られない。従って、簡単な構成でフラップの折り曲げ状態を精度よく検査することができる。
【0010】
本発明の検査装置においては、前記フラップが前記フラップガイドの上面側に反り返った状態で案内されているときに当該フラップを検出する異常状態検出センサ(21)をさらに備え、前記判別手段は、前記異常状態検出センサの出力信号をさらに参照して前記フラップの折り曲げ状態が正常か否かを判別してもよい。この場合には、シート上に包装対象物を搬入する際に最も問題となるフラップの上方への跳ね返りが生じている状態を、正常状態検出センサ及び異常状態検出センサのいずれの信号からも判別することができる。よって、検査の信頼性がさらに高まる。
【0011】
本発明の検査装置においては、前記判別手段にて前記フラップの折り曲げ状態が異常と判別された場合にケーサーを停止させる停止手段(23)をさらに備えてもよい。これによれば、フラップの折り曲げ状態の異常に起因する梱包不良等の発生を未然に防止することができる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明の検査装置によれば、フラップが正常に折り曲げられて、フラップガイドにて正しく案内されているときに正常状態検出センサがそのフラップを検出するようにしたので、特定方向への折り曲げ異常のみをセンサで検出する場合と比較して、フラップの折り曲げ状態が正常か否かに関する検査精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の一形態に係る検査装置が適用されたケーサーの概略構成を示している。図示のケーサー1では、シートマガジン2から平板状の包装資材としてのシート3が一枚ずつ取り出される。シート3は段ボール又は板紙といった包装材料から構成されている。各シート3は、所定の半製品状態(組み立て途中の状態)に折り曲げられてシートコンベア4に周期的に載置される。シートマガジン2からのシート3の取り出しは、例えば吸引力を利用してシート3を搬送する吸着型の装置にて行われる。シートコンベア4に載置されたシート3は、シートコンベア4によって所定のピッチで一列に一定速度で直線的に搬送される。シートコンベア4の側方には缶用コンベア5が設けられている。缶用コンベア5は、包装対象物としての飲料缶(内容物が充填された完成品である。)6を搬送するものであって、シートコンベア4と同一方向に同一速度で走行駆動される。缶用コンベア5によって搬送される飲料缶6は、缶用コンベア5とシートコンベア4との間をそれらの搬送方向と直交する方向に往復するプッシャ(不図示)により、シート3上に所定数ずつ一括して押し込まれる。シート3上に飲料缶6の群Aが押し込まれた後、シート3は不図示の成形装置により完成状態へと折り曲げられる。それにより、所定数の飲料缶6を収容した箱詰梱包品7が製造される。なお、飲料缶6は、缶用コンベア5上において所定数ずつ予めパック詰めされている場合もある。
【0015】
上述したケーサー1においては、缶用コンベア5からシート3へと飲料缶6(又はそれらのパック)を押し込む充填工程が完了するまでの間、シート3のフラップ3aが飲料缶6の搬入経路よりも斜め下方に折り曲げられている。そのフラップ3aが上方に反り返っている場合には、飲料缶6の搬入経路にフラップ3aが突出し、その飲料缶6を押し込むプッシャに過負荷が加わったり、あるいは飲料缶6が破損することがある。そこで、図2に示したように、ケーサー1においては、飲料缶6の充填工程が完了するまでの間、フラップ3aを所定の折り曲げ姿勢で案内するフラップガイド10が設けられている。
【0016】
フラップガイド10は、シートコンベア4の搬送面4aの側方(缶用コンベア5に隣接する側)に配置されている。シートコンベア4の搬送方向に関して、フラップガイド10は、シート3の搬送が開始される位置から飲料缶6の充填工程が完了する位置までコンベア4に沿って延びている。シートコンベア4に載置されたシート3のフラップ3aは、正しく折り曲げられている限り、フラップガイド10の下方に導入されてその上方への跳ね返りが規制される。この状態で、搬送体4bに設けられた搬送爪4cがシート3と噛み合い、搬送体4bが不図示の駆動機構にて搬送方向に走行することによりシート3が搬送される。
【0017】
ケーサー1には、さらに検査装置20が設けられている。検査装置20は、フラップガイド10の搬送方向上端付近に設けられた異常状態検出センサとしての第1センサ21、及び正常状態検出センサとしての第2センサ22と、フラップ3aの折り曲げ状態が正常か否かを判別する判別手段としての判別装置23と、シート3の搬送方向における位置に相関した信号を出力するシート割出手段としてのシート割出装置24とを備えている。第1センサ21及び第2センサ22は、検出対象に対して検査光束B1、B2を照射し、それらの検査光束B1、B2が遮られたときに所定の検出信号を出力する光学センサであるが、それらの検査光束B1、B2の方向が相違する。この点を図3により説明する。なお、図3はフラップガイド10を図2の紙面の裏側から見た状態を示している。
【0018】
図3に示すように、第1センサ21は、フラップガイド10の上方の領域に対して搬送面4aと平行で搬送方向と直交する方向に検査光束B1を射出する。一方、第2センサ22は、フラップガイド10の下面側の領域に向かって斜め下方に検査光束B2を射出する。フラップ3aの折り曲げ状態と検査光束B1、B2との関係は次の通りである。まず、第1センサ21の検査光束B1は、フラップ3aが想像線L1で示したようにフラップガイド10よりも上方に大きく反り返っているときに遮られ、フラップ3aがその余の位置にあるときには検査光束B1は遮られない。一方、第2センサ22の検査光束B2は、フラップ3aが正しく折り曲げられてフラップガイド10の下面側に導入されているときにそのフラップ3aで遮られる。フラップ3aが正しく折り曲げられていない場合、つまり、想像線L1で示したようにフラップ3aがフラップガイド10の上方に大きく反り返っている場合の他に、想像線L2で示すようにフラップ3aがフラップガイド10の上面に接する程度に折れ曲がっている場合、及び想像線L3で示すようにフラップ3aがシート3の下面側に完全に折り返されたいわゆる中折れ状態の場合には、検査光束B2は遮られることがない。つまり、第2センサ22は、フラップガイド10にて正しく案内されているフラップ3aが通過すべき領域にてフラップ3aを検出するように設けられている。それにより、第2センサ22は、フラップ3aが正しく折り曲げられている場合に限って検出信号を出力する。
【0019】
判別装置23は、シート割出装置24からの出力信号を参照しつつ、センサ21、22の出力信号に基づいてフラップ3aの折り曲げ状態の適否を判別する。シート割出装置24は、例えばシートコンベア4の走行と同期して回転するカムとそのカムの回転位置を割り出すロータリーエンコーダとを有し、シート3がコンベア4に載置されたタイミングを基準としたときのロータリエンコーダの回転角度を、シート3のコンベア4上の搬送方向における位置に相関した信号として出力する。
【0020】
図4は判別装置23がフラップ3aの折り曲げ状態の適否を判別するために実行するフラップ監視処理の手順を示すフローチャートである。フラップ監視処理において、判別装置23はまずステップS1でシート割出装置24の出力信号を参照して、フラップ3aが第2センサ22によるフラップ3aの検出領域を通過すべき時期か否かを判断する。シート3がコンベア4上に載置された時期を基準としてロータリーエンコーダが計測した回転角度とフラップ3aが第2センサ22の検出領域を通過すべき時期との対応関係を予め取得しておくことにより、ステップS1の判断を行うことができる。
【0021】
判別装置23は、ステップS1でフラップ3aが通過する時期ではないときはステップS1の判断を繰り返し、通過時期と判断された場合にステップS2へ進む。ステップS2において、判別装置23は第1センサ21が検出信号を出力しているか否か判断する。検出信号が出力されていない場合、判別装置23はステップS3に進み、第2センサ22が検出信号を出力しているか否か判断する。そして、第2センサ22が検出信号を出力している場合、判別装置23はステップS1の処理に戻る。一方、ステップS2で第1センサ21が検出信号を出力し、あるいは、ステップS3で第2センサ22が検出信号を出力していない場合、判別装置23はフラップ3aの折り曲げ状態が不適切であると判断してステップS4に進む。ステップS4にて、判別装置23はフラップ3aの折り曲げ異常に対応した所定の処理を実行する。例えば、ケーサー1の制御装置(不図示)に対して所定の停止信号を出力することにより、ケーサー1の動作を停止させる。このような処理を行うことにより、判別装置23を停止手段として機能させることができる。なお、ケーサー1の停止に併せて、モニタ、警告灯等の報知手段を利用して、フラップ3aの折り曲げ異常の発生をケーサー1のオペレータに通知してもよい。ステップS4を実行した場合、判別装置23は図4の処理を終了する。ケーサー1が復旧して動作が再開されると判別装置23は図4の処理を再開する。
【0022】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することが可能である。例えば、上記の形態では第1センサ21及び第2センサ22の2種類のセンサを利用してフラップ3aの折り曲げ状態を監視しているが、第2センサ22のみで折り曲げ状態を監視してもよい。本発明の検査装置は、飲料缶を箱詰するケーサーに限らず、各種の箱詰梱包物を製造するケーサーに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一形態に係る検査装置が適用されたケーサーの概略構成を示す図。
【図2】ケーサーに設けられたシートコンベアの搬送方向と直交する方向における部分断面図。
【図3】センサの検査光束とフラップの折り曲げ状態との関係を示す図。
【図4】判別装置が実行するフラップ監視処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0024】
1 ケーサー
2 シートマガジン
3 シート
3a フラップ
4 シートコンベア
5 缶用コンベア
6 飲料缶(包装対象物)
7 箱詰梱包品
10 フラップガイド
20 折り曲げ状態検査装置
21 第1センサ(異常状態検出センサ)
22 第2センサ(正常状態検出センサ)
23 判別装置(判別手段)
24 シート割出装置(シート割出手段)
B1、B2 検査光束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーサーのコンベアにて搬送される包装資材としてのシートのフラップが、前記コンベアの搬送方向に沿って設けられたフラップガイドにて正しく案内されるように折り曲げられているか否かを検査するシートフラップの折り曲げ状態検査装置であって、
前記フラップガイドにて正しく案内されているフラップが通過すべき領域にて前記フラップを検出する正常状態検出センサと、
前記正常状態検出センサの出力信号に基づいて、前記フラップの折り曲げ状態が正常か否かを判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とするシートフラップの折り曲げ状態検査装置。
【請求項2】
前記フラップの前記コンベア上における位置に相関した信号を出力するシート割出手段をさらに具備し、
前記判別手段は、前記シート割出手段にて前記フラップが前記領域を通過すべき時期を特定し、該時期に前記正常状態検出センサが前記フラップを検出しないことを必要条件として前記フラップの折り曲げ状態が異常であると判別することを特徴とする請求項1に記載のシートフラップの折り曲げ状態検査装置。
【請求項3】
前記フラップが前記フラップガイドの下面側に沿って案内されている状態が、前記正しく案内されている状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシートフラップの折り曲げ状態検査装置。
【請求項4】
前記正常状態検出センサは、前記コンベアの側方から前記フラップガイドの下面側に向かって斜め下方に検査光束を照射し、該検査光束が遮られたときに前記フラップの検出信号を出力することを特徴とする請求項3に記載のシートフラップの折り曲げ状態検査装置。
【請求項5】
前記フラップが前記フラップガイドの上面側に反り返った状態で案内されているときに当該フラップを検出する異常状態検出センサをさらに備え、前記判別手段は、前記異常状態検出センサの出力信号をさらに参照して前記フラップの折り曲げ状態が正常か否かを判別することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシートフラップの折り曲げ状態検査装置。
【請求項6】
前記判別手段にて前記フラップの折り曲げ状態が異常と判別された場合にケーサーを停止させる停止手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシートフラップの折り曲げ状態検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−161211(P2009−161211A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341016(P2007−341016)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)