説明

シート供給装置

【課題】装置の小型化を実現できるシート供給装置を提供する。
【解決手段】シート供給装置1において、開口カバー100は、供給トレイ50が収容位置から使用位置まで変位する変位過程の前半において供給トレイ50に摺接する第1摺接部110L、110Rと、変位過程の後半において、供給トレイ50に摺接する第2摺接部120L、120Rとを有する。第1摺接部110L、110Rは、開口カバー100における幅方向の中間部100Cに位置する。第2摺接部120L、120Rは、開口カバー100における幅方向の少なくとも一方側の端部100L、100Rに位置して幅方向と直交する方向に延び、幅方向から見た場合に外部に露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にシート供給装置が開示されている。このシート供給装置は、シートを搬送するものであって、筐体と、供給トレイと、開口と、開口カバーとを備える。
【0003】
供給トレイは、筐体内に搬送されるシートが積載される載置面を有する平板形状である。また、供給トレイは、筐体の上方で載置面を下方に向ける収容位置から、搬送されるシートの幅方向と平行な第1揺動軸心周りに揺動して、筐体に対して搬送方向の上流側で載置面を上方に向ける使用位置に変位可能である。開口は、供給トレイが収容位置にある場合、筐体及び供給トレイにおける第1揺動軸心側の端縁同士が離間することにより形成される。開口カバーは、第1揺動軸心に対して平行な第2揺動軸心周りに揺動可能とされている。そして、開口カバーは、供給トレイが収容位置にある場合、開口を覆うようになっている。特許文献1では、供給トレイが符号36として図示され、開口カバーが符号46として図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−62839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記シート供給装置において、開口カバーが、供給トレイが収容位置から使用位置まで変位する変位過程の前半において供給トレイに摺接する第1摺接部と、変位過程の後半において、供給トレイに摺接する第2摺接部とを備えることがある。第1摺接部、及び第2摺接部の摺接により、開口カバーが供給トレイの揺動に連動して揺動する。そして、第2摺接部は、供給トレイが収容位置に位置する場合に、サイドカバー等の外装により覆われて筐体内部に収容されるように構成されている。したがって、上記シート供給装置では、筐体内部に第2摺接部を収容するためのスペースが必要となる。このため、装置の機幅が大きくなり易く、ひいては、装置の小型化が難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、装置の小型化を実現できるシート供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート供給装置は、シートを搬送するシート供給装置であって、
筐体と、
前記筐体内に搬送されるシートが積載される載置面を有する平板形状であり、前記筐体の上方で前記載置面を下方に向ける収容位置から、搬送される前記シートの幅方向と平行な第1揺動軸心周りに揺動して、前記筐体に対して前記搬送方向の上流側で前記載置面を上方に向ける使用位置に変位可能な供給トレイと、
前記供給トレイが前記収容位置にある場合、前記筐体及び前記供給トレイにおける前記第1揺動軸心側の端縁同士が離間することにより形成される開口と、
前記第1揺動軸心に対して平行な第2揺動軸心周りに揺動可能とされ、前記供給トレイが前記収容位置にある場合、前記開口を覆う開口カバーとを備え、
前記開口カバーは、前記供給トレイが前記収容位置から前記使用位置まで変位する変位過程の前半において前記供給トレイに摺接する第1摺接部と、前記変位過程の後半において、前記供給トレイに摺接する第2摺接部とを有し、
前記第1摺接部は、前記開口カバーにおける前記幅方向の中間部に位置し、
前記第2摺接部は、前記開口カバーにおける前記幅方向の少なくとも一方側の端部に位置して前記幅方向と直交する方向に延び、前記幅方向から見た場合に外部に露出していることを特徴とする。
【0008】
本発明のシート供給装置では、開口カバーにおける幅方向の少なくとも一方側の端部に設けられた第2摺接部が幅方向と直交する方向に延びて外部に露出している。このため、このシート供給装置では、筐体内部に第2摺接部を収容するためのスペースが不要である。したがって、本発明のシート供給装置は、上記特許文献1記載のシート供給装置のように第2摺接部がサイドカバー等の外装により覆われて収容される場合と比較して、装置の機幅を小さくでき、ひいては、装置の小型化を実現できる。
【0009】
本発明のシート供給装置において、第2摺接部は、開口カバーにおける幅方向の両端部に設けられていることが望ましい。この構成によれば、第2摺接部が幅方向の両端部で均等に開口カバーの姿勢を保持できる。このため、第2摺接部が幅方向の一方側の端部だけに設けられている場合と比較して、開口カバーの捩じれを抑制できる。その分だけ、開口カバーを薄くすることもできる。
【0010】
本発明のシート供給装置において、開口カバーにおける幅方向の中間部は、第2摺接部よりも上方に延在し、供給トレイが収容位置にある場合、供給トレイにおける第1揺動軸心側の端縁に設けられた凹部に入り込んでいることが望ましい。この構成によれば、開口カバーにおける幅方向の中間部に位置する第1摺接部を収容位置にある供給トレイに近づけ易くなるので、第1摺接部が第2摺接部より先に供給トレイに摺接する構成を容易に実現できる。
【0011】
本発明のシート供給装置において、供給トレイにおける開口カバーと対向する面には、第1摺接部に向けて凸設され、第1摺接部と摺接する第3摺接部が設けられていることが望ましい。この構成によれば、供給トレイにおける第1摺接部と摺接する範囲を第3摺接部に限定できるので、摺れ跡が目立ち難い。
【0012】
本発明のシート供給装置は、筐体内に設けられ、搬送されるシートに対して処理を行う処理部と、筐体内における第1揺動軸心の下方に設けられ、処理部に給電する電源とを備えることが望ましい。そして、供給トレイが使用位置にある場合、供給トレイに対して開口カバーが離間することにより隙間が形成されることが望ましい。この構成によれば、電源からの熱を供給トレイと開口カバーとの隙間から排出できるので、筐体内が高温になることを抑制でき、ひいては、読取部の動作不良の発生を防止できる。
【0013】
本発明のシート供給装置において、筐体は、電源を覆う外装カバーを有することが望ましい。そして、外装カバーは、筐体の外装において、供給トレイが使用位置にある場合における開口カバーの位置からさらに開口カバーが揺動する場合に開口カバーに当接する位置に設けられることが望ましい。この構成によれば、外装カバーにより、開口カバーの揺動範囲を制限できるので、開口カバーが過度に揺動して破損することを防止できる。また、外装カバーが開口カバーに当接するストッパを兼ねることができるため、ストッパを別途設ける場合と比較して、簡素化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例の画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図2】上記画像読取装置1の供給トレイ50が収容位置にある状態において、画像読取装置1の主に後方を示す斜視図である。
【図3】上記画像読取装置1の供給トレイ50が使用位置にある状態において、画像読取装置1の主に後方を示す斜視図である。
【図4】上記画像読取装置1の上部カバー93が開かれた状態において、画像読取装置1の主に前方を示す斜視図である。
【図5】上記画像読取装置1の側面図である。
【図6】上記画像読取装置1の開口カバー100周辺を主に示す要部拡大断面図である。
【図7】上記画像読取装置1に係り、開口カバー100の主に前方を示す斜視図である。
【図8】上記画像読取装置1の開口カバー100周辺を主に示す要部拡大斜視図である。
【図9】上記画像読取装置1の開口カバー100周辺を主に示す要部拡大斜視図である。
【図10】上記画像読取装置1の開口カバー100周辺を主に示す要部拡大斜視図である。
【図11】上記画像読取装置1の開口カバー100周辺を主に示す要部拡大斜視図である。
【図12】上記画像読取装置1の開口カバー100周辺を主に示す要部拡大斜視図である。
【図13】上記画像読取装置1の開口カバー100周辺を主に示す要部拡大斜視図である。
【図14】上記画像読取装置1に係り、(a)は、図8に対応する模式断面図であり、(b)は、図9に対応する模式断面図であり、(c)は、図10に対応する模式断面図である。
【図15】上記画像読取装置1に係り、(a)は、図11に対応する模式断面図であり、(b)は、図12に対応する模式断面図であり、(c)は、図13に対応する模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の画像読取装置1は、本発明のシート供給装置の具体的態様の一例である。図1では、排出トレイ6側を装置の前側と規定し、排出トレイ6に対向した場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0017】
<全体構成>
画像読取装置1は、図1〜図5に示すように、筐体8と、供給トレイ50と、排出トレイ6とを備える。また、画像読取装置1は、図5及び図6に示すように、電源3と、読取部7とを備える。読取部7は、本発明の「処理部」の一例である。
【0018】
筐体8は、図1〜図3に示す上部カバー93と、背面部カバー90と、左右のサイドカバー95L、95Rと、図4に示す内部フレーム8Fとなどが組み合わされてなる箱状体である。背面部カバー90は、本発明の「電源を覆う外装カバー」の一例である。
【0019】
図1〜図3及び図5に示すように、通常、上部カバー93は、後方に向かって上り傾斜している。その一方、図4に示すように、シート詰まりやメンテナンスの際には、上部カバー93は、後端縁側が上方に持ち上がるように揺動する。これにより、筐体8を構成する内部フレーム8Fの上壁8Cや、供給ローラ7A等が露出する。
【0020】
供給トレイ50は、一方の面が載置面51とされた平板形状であり、その左右の角部に一対のヒンジ部50L、50Rが一体に形成されている。供給トレイ50は、両ヒンジ部50L、50Rを介して、筐体8の後方かつ上方に位置して左右方向に延びる第1揺動軸心X1周りに揺動可能に筐体8に支持されている。
【0021】
図1、図2及び図6に示すように、供給トレイ50が閉じられている場合、供給トレイ50は、載置面51を下方に向けて、筐体8に対して上方から覆いかぶさっている。図1、図2及び図6に示す供給トレイ50の位置は、本発明の「収容位置」の一例である。
【0022】
そして、供給トレイ50が開かれると、供給トレイ50は、図1等に示す状態から第1揺動軸心X1周りに揺動する。この揺動により、供給トレイ50は、図3〜図5に示すように、筐体8の後ろ側で載置面51を上方に向ける位置に変位する。図3〜図5に示す供給トレイ50の位置は、本発明の「使用位置」の一例である。
【0023】
図4及び図5に示すように、内部フレーム8Fの上壁8Cのうち、筐体8の背面側から供給ローラ7Aまで下り傾斜で延びる平板部60の上面は、案内面61とされている。供給トレイ50が使用位置にある場合、案内面61は、載置面51とともに平坦な面を構成する。この際、図4に示すように、平板部60における第1揺動軸心X1側の端縁60Eと、供給トレイ50における第1揺動軸心X1側の端縁50Eとが互いに接近して対向した状態となる。図5に示すように、載置面51にシート9が載置されると、シート9の先端縁は、案内面61まで差し込まれて、供給ローラ7Aに当接する。
【0024】
図5及び図6に示すように、電源3は、筐体8内における第1揺動軸心X1の下方に設けられている。電源3は、家庭用コンセントの高圧の交流電圧を低圧の直流電圧に変換して、読取部7に給電するACアダプタである。電源3は、背面部カバー90により後方から覆われている。背面部カバー90には、直方体形状である電源3を覆う膨出部90Aが形成されている。膨出部90Aは、背面部カバー90における左右の湾曲面よりも後方かつ上方に膨張する。また、図2に示すように、背面部カバー90には、家庭用コンセントと電源3とを電気的に接続する電源ケーブル99の一端側が嵌入される接続穴90Eが設けられている。
【0025】
読取部7は、説明を簡略するが、図5に示すように、筐体8内において、内部フレーム8F等に組み付けられている。読取部7は、供給ローラ7A、分離パッド7B、画像読取センサ7C及び図示しない排出ローラ等を備える。読取部7は、載置面51に載置されたシート9を前方に向けて下り傾斜で延びる搬送経路P1に沿って搬送する。その搬送経路P1の途中において、画像読取センサ7Cにより、シート9の画像が読み取られる。画像読取センサ7Cとしては、例えば、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等が採用される。読取部7が搬送経路P1を挟んで対向する一対の画像読取センサを有する場合は、シート9の両面の画像読取が可能である。
【0026】
排出トレイ6は、図1及び図5に示すように、筐体8に対して引き出し及び収容可能に設けられている。図1に示すように、排出トレイ6が筐体8に収容されている場合、排出トレイ6の前端面のみが外部に露出した状態となっている。そして、排出トレイ6が筐体8から引き出されると、図5に示すように、排出トレイ6は、筐体8の前方で排出面6Aを、上方に向けた状態となる。
【0027】
読取部7が画像を読み取ったシート9をさらに搬送経路P1に沿って搬送すると、そのシート9は、排出面6Aに排出される。載置面51に複数枚のシート9が載置された場合には、1枚ずつシート9が搬送経路P1に沿って搬送されて、画像を読み取られた後、排出面6Aに順番に積み重なるように排出される。
【0028】
なお、図2及び図6に示すように、供給トレイ50が使用位置から収容位置に変位すると、平板部60における第1揺動軸心X1側の端縁60Eと、供給トレイ50における第1揺動軸心X1側の端縁50Eとが上下方向に離間してなる開口10が形成される。
【0029】
また、画像読取装置1は、図2及び図3に示すように、開口カバー100を備える。開口カバー100は、幅方向に細長い平板形状の樹脂部材であり、背面部カバー90の上方に位置している。図2に示すように、開口カバー100は、左右一対のヒンジ部130L、130Rを有する。両ヒンジ部130L、130Rの下端側は、背面部カバー90の左右の上端側角部に対して隣接するように下方に突出して、筐体8内に入り込んでいる。
【0030】
図7に示すように、両ヒンジ部130L、130Rの下端側には、左右一対の軸穴130Hが凹設されている。図7では、右側の軸穴130Hのみを図示する。両ヒンジ部130L、130Rの軸穴130Hは、筐体8内に設けられた図示しない軸部に回動可能に支持される。これにより、開口カバー100は、第1揺動軸心X1に対して平行、かつ第1揺動軸心X1に対して下方に位置する第2揺動軸心X2周りに揺動可能に筐体8の内部フレームに支持されている。
【0031】
両ヒンジ部130L、130Rと、筐体8を構成する図示しない内部フレームとの間には、開口カバー100を前方に揺動させる付勢力を発揮する図示しない付勢ばねが設けられている。
【0032】
図2及び図6に示すように、開口カバー100は、供給トレイ50が収容位置にある場合に、図示しない付勢ばねに付勢されて第2揺動軸心X2周りに前方に揺動し、開口10を覆う。後で詳しく説明するように、開口カバー100は、供給トレイ50が使用位置まで揺動するのに連動して、図示しない付勢ばねの付勢力に抗しつつ第2揺動軸心X2周りに後方に揺動する。この揺動により、図3及び図5に示すように、供給トレイ50の下方に退避するようになっている。
【0033】
図6に示すように、外装カバー90の膨出部90Aは、図6において二点鎖線で示すように、供給トレイ50が使用位置にある場合における開口カバー100の位置からさらに開口カバー100が揺動する場合に開口カバー100の下端縁100Eに当接する位置に設けられている。
【0034】
本実施例では、図4等に示すように、搬送方向D1に沿って搬送されるシート9の幅方向とは、左右方向である。第1揺動軸心X1及び第2揺動軸心X2は、シート9の幅方向である左右方向と平行である。ただし、「平行」とは「おおよそ平行」を意味する。「直交」等の用語も同様である。
【0035】
また、画像読取装置1は、図4に示すように、左右一対の幅規制ガイド57L、57Rを備える。両幅規制ガイド57L、57Rは、載置面51上から案内面61上まで、搬送方向D1と平行にリブ状に延びている。幅規制ガイド57L、57Rの搬送方向D1の中間部には、連結部56L、56Rが設けられている。連結部56L、56Rは、図4及び図6に示すように、供給トレイ50が収容位置又は使用位置に変位する場合、幅規制ガイド57L、57Rが第1揺動軸心X1周りに折れ曲がり、又は展開することを許容する。
【0036】
左右の幅規制ガイド57L、57Rがセンター基準で幅方向に互いに接近又は離反して、載置面51に載置されるシート9の幅方向の位置決めすることにより、この画像読取装置1は、例えば、名刺サイズからA4サイズまでの複数サイズのシートに形成された画像を読み取ることができる。
【0037】
<供給トレイの揺動に連動して開口カバーを揺動させる具体的構成>
図7に示すように、開口カバー100は、左右一対の第1摺接部110L、110Rと、左右一対の第2摺接部120L、120Rとを有する。なお、開口カバー100の形状は、左右対称となっている。図8〜図13に示す図は、いずれも画像読取装置1の右側後方を示す図である。画像読取装置1は、画像読取装置1の左側後方にも、図8〜図13に示す構成と同様の構成を備える。以下、例えば、図8において第1摺接部110Lは示されていないが、図8における第1摺接部110Rに関する説明を行う場合に、第1摺接部110Lに関してもあわせて説明を行う。
【0038】
第1摺接部110L、110Rは、開口カバー100における幅方向の中間部100Cに位置する。一方、第2摺接部120L、120Rは、開口カバー100における幅方向の両端部100L、100Rに位置する。
【0039】
ここで、開口カバー100における幅方向の中間部100Cとは、幅方向の中央だけに限られず、開口カバー100における幅方向の両端部100L、100Rに挟まれる範囲が含まれる。本実施例では、中間部100Cは、開口カバー100において左右のヒンジ部130L、130Rに挟まれた領域をいう。また、本実施例では、左側の第2摺接部120Lは、左側のヒンジ部130Lから左側に延在する領域をいい、右側の第2摺接部120Rは、右側のヒンジ部130Rから右側に延在する領域をいう。
【0040】
図7に示すように、中間部100Cの上端縁は、第2摺接部120L、120Rの上端縁に対して上方に延出している。中間部100Cは、供給トレイ50が収容位置にある場合、図8などに示す供給トレイ50における第1揺動軸心X1側の端縁50Eに設けられた凹部50Cに入り込んでいる。
【0041】
図7に示すように、中間部100Cにおける筐体8の内側を向く面には、左右の上端角部118L、118Rから下方に向けて延在する左右一対のリブ119L、119Rが形成されている。リブ119L、119Rの先端面は、上下方向の中間部が前方に突出するように屈曲している。第1摺接部110L、110Rは、上端角部118L、118Rとリブ119L、119Rとを備える。
【0042】
図8などに示すように、サイドカバー95L、95Rにおける後方の上端角部は切り欠かれている。そして、第2摺接部120L、120Rはそれぞれ、幅方向と直交する方向、すなわち、前方に向かって湾曲しつつ延在して、その切欠きに収まっている。供給トレイ50が収容位置にある場合において、筐体8を幅方向の外側に幅方向から見た場合に、第2摺接部120L、120Rの外側を向く湾曲面120Aは、外部に露出して、サイドカバー95L、95Rと連続する意匠面を構成する。
【0043】
一方、図8などに示すように、供給トレイ50における載置面51とは反対側を向く外面50Aには、左右一対の第3摺接部55L、55Rが設けられている。第3摺接部55L、55Rは、外面50Aから突出する短いリブである。図14(a)に示すように、第3摺接部55L、55Rはそれぞれ、外面50Aにおける第1揺動軸心X1側、かつ第1摺接部110L、110Rの上端角部118L、118Rの上方に位置する。第3摺接部55L、55Rはそれぞれ、後方に短く延び、さらに屈曲して、上端角部118L、118Rに接近するように下方に短く延びている。
【0044】
次に、図8〜図15を参照しつつ、供給トレイ50の揺動に対する開口カバーの連動動作について詳しく説明する。
【0045】
図8及び図14(a)に示すように、収容位置にある供給トレイ50がユーザにより開操作されると、供給トレイ50は、第1揺動軸心X1周りに揺動を開始する。そうすると、図9及び図14(b)に示すように、第1摺接部110L、110Rの上端角部118L、118Rが第3摺接部55L、55Rに乗り上げて、第3摺接部55L、55R上を摺動する。これにより、開口カバー100は、第2揺動軸心X2周りに後方に向けて揺動を開始する。
【0046】
次に、図10及び図14(c)に示すように、供給トレイ50がさらに揺動すると、第1摺接部110L、110Rのリブ119L、119Rの先端面が第3摺接部55L、55R上を摺動する。これにより、開口カバー100は、さらに、後方に向けて揺動をする。
【0047】
次に、図11及び図15(a)に示すように、供給トレイ50がさらに揺動すると、第2摺接部120L、120Rが供給トレイ50の外面50Aに乗り上げて、第1摺接部110L、110Rのリブ119L、119Rの先端面を第3摺接部55L、55Rから離間させる。
【0048】
次に、図12及び図15(b)に示すように、供給トレイ50がさらに揺動すると、第2摺接部120L、120Rの上端角部128L、128Rが供給トレイ50の外面50A上を摺動する。これにより、開口カバー100は、さらに、後方に向けて揺動をする。
【0049】
こうして、図13及び図15(c)に示すように、供給トレイ50が使用位置まで揺動すると、第2摺接部120L、120Rの上端角部128L、128Rが供給トレイ50の外面50Aに当接したまま、開口カバー100の姿勢を保持する。この際、供給トレイ50に対して開口カバー100における中間部100Cの上端縁が離間することにより隙間S1が形成される。ただし、隙間S1は、幅方向における少なくとも一部の位置において、供給トレイ50と中間部100Cの上端縁とが離間することにより形成されていればよい。即ち、幅方向の全ての位置において、供給トレイ50と中間部100Cの上端縁とが離間している必要はない。
【0050】
上述した一連の動作では、開口カバー100を前方に付勢する図示しない付勢ばねの付勢力により、第1摺接部110L、110R及び第2摺接部120L、120Rが第3摺接部55L、55R及び外面50Aに押し付けられるようになっている。
【0051】
その一方、使用位置にある供給トレイ50がユーザにより閉操作される場合には、上記の動作とは逆の動作により、第2摺接部120L、120Rが供給トレイ50の外面50A上を逆方向に摺動し、さらに、第1摺接部110L、110Rが第3摺接部55L、55R上を逆方向に摺動する。その結果、図示しない付勢ばねにより付勢された開口カバー100が前方に揺動して、開口10を覆う。
【0052】
図8〜図10及び図14(a)〜(c)に示す供給トレイ50の揺動過程は、本発明の「供給トレイ50が収容位置から使用位置まで変位する変位過程の前半」の一例である。要するに、第1摺接部110L、110Rは、供給トレイ50が収容位置から使用位置まで変位する変位過程の前半において供給トレイ50の第3摺接部55L、55Rに摺接する。この摺接により、開口カバー100は、供給トレイ50の揺動に連動して揺動する。
【0053】
また、図11〜図13及び図15(a)〜(c)に示す供給トレイ50の揺動過程は、本発明の「供給トレイ50が収容位置から使用位置まで変位する変位過程の後半」の一例である。要するに、第2摺接部120L、120Rは、変位過程の後半において、供給トレイ50の外面50Aに摺接する。この摺接により、開口カバー100は、供給トレイ50の揺動に連動して揺動する。
【0054】
なお、供給トレイ50が収容位置から使用位置まで変位する変位過程の「前半」と「後半」とは、必ずしも、収容位置から使用位置までの揺動角度のちょうど半分で区切られるといったものではない。
【0055】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1では、開口カバー100における幅方向の両端部100L、100Rに設けられた第2摺接部120L、120Rが幅方向と直交する方向、すなわち、前方に湾曲しつつ延びている。そして、第2摺接部120L、120Rの湾曲面120Aが外部に露出している。このため、このシート供給装置1では、筐体8内部に第2摺接部120L、120Rを収容するためのスペースが不要である。したがって、実施例の画像読取装置1は、仮に供給トレイの揺動に連動して開口カバーを揺動させるための第2摺接部120L、120Rのような摺接部がサイドカバー等の外装により覆われて収容される構成を採用する場合と比較して、装置の機幅を小さくでき、ひいては、装置の小型化を実現できる。
【0056】
また、この画像読取装置1では、供給トレイ50が収容位置にある場合、第2摺接部120L、120Rの湾曲面120Aと、サイドカバー95L、95Rとにより、装置の側面の意匠面を構成することもできる。
【0057】
また、この画像読取装置1によれば、第2摺接部120L、120Rが幅方向の両端部100L、100Rで均等に開口カバー100の姿勢を保持できる。このため、この画像読取装置1は、仮に幅方向の一方側にしか第2摺接部を備えていない構成を採用する場合と比較して、開口カバー100の捩じれを抑制できる。その分だけ、開口カバー100を薄くすることもできる。
【0058】
さらに、この画像読取装置1によれば、開口カバー100の中間部100Cが収容位置にある供給トレイ50の凹部50Cに入り込む構成により、第1摺接部110L、110Rを供給トレイ50に近づけ易くなるので、第1摺接部110L、110Rが第2摺接部120L、120Rより先に供給トレイ50に摺接する構成を容易に実現できる。
【0059】
また、この画像読取装置1によれば、供給トレイ50における第1摺接部110L、110Rと摺接する範囲を供給トレイ50の面50Aに凸設された第3摺接部55L、55Rに限定できるので、摺れ跡が目立ち難い。
【0060】
さらに、この画像読取装置1によれば、図5、図13及び図15(c)に示すように、使用位置にある供給トレイ50に対して開口カバー100が離間することにより形成される隙間S1から、電源3の熱を筐体8の外部に排出することができる。その結果、筐体8内が高温になることを抑制でき、ひいては、読取部7の動作不良の発生を防止できる。
【0061】
また、この画像読取装置1によれば、外装カバー90の膨出部90Aは、図6において二点鎖線で示すように、供給トレイ50が使用位置にある場合における開口カバー100の位置からさらに開口カバー100が揺動する場合に開口カバー100の下端縁100Eに当接する位置に設けられている。したがって、膨出部90Aは、開口カバー100の揺動範囲を制限できる。このため、この画像読取装置1は、開口カバー100が過度に揺動して、開口カバー100が割れたり、開口カバー100を付勢する付勢ばねが延び過ぎてしまうことを防止できる。また、膨出部90Aが開口カバー100に当接するストッパを兼ねることができるため、ストッパを別途設ける場合と比較して、簡素化を実現できる。
【0062】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0063】
例えば、実施例の開口カバー100における左側の端部100Lの形状を変更して、供給トレイ50が揺動しても左側の端部100Lが供給トレイ50に摺接しないようにする一方、右側の端部100Rの形状を変更しない構成、すなわち、左側の端部100Lには第2摺接部を備えない一方、右側の端部100Rのみに第2摺接部120Rを備える構成も本発明に含まれる。その逆の構成も同様である。
【0064】
また、実施例では処理部が読取部7であるが、この構成には限定されず、例えば、シートの表面に画像を形成する画像形成部等であってもよい。
【0065】
さらに、第1摺接部、第2摺接部及び第3摺接部の形状は、実施例における第1摺接部110L、110R、第2摺接部120L、120R及び第3摺接部55L、55Rの形状に限定されず、例えば、ブロック形状や半球形状である凸部等であってもよい。また、第1摺接部又は第2摺接部は、開口カバーに一体成形される構成に限定されず、開口カバーとは別体品である第1摺接部又は第2摺接部が開口カバーに組み付けられる構成でもよい。第3摺接部も同様である。
【0066】
また、画像読取装置1は、供給トレイ50における開口カバー100と対向する面に、第3摺接部55L、55Rを備えていたが、これに限らず、例えば、開口カバーにおける供給トレイと対向する面に、第3摺接部を備えていてもよい。第3摺接部は、画像読取装置1におけるリブ状の摺接部に限らず、例えば、供給トレイ又は開口カバーに貼付された供給トレイ又は開口カバーより低摩擦である擦れ防止用樹脂シートであってもよい。また、第3摺接部55L、55Rは、供給トレイ50の左右に設けられていたが、これに限らず、例えば、第3摺接部は、供給トレイの中央部において開口カバーと対向する面に1つ設けられていてもよい。また、例えば、第3摺接部は、開口カバーの中央部において供給トレイと対向する面に設けられてもよい。また、例えば、第3摺接部は、開口カバーの左右において供給トレイと対向する面に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は例えば、画像読取装置、画像形成装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…シート供給装置(画像読取装置)、8…筐体、3…電源、7…処理部(読取部)
50…供給トレイ、51…載置面、9…シート
X1…第1揺動軸心、X2…第2揺動軸心、D1…搬送方向
60E…筐体における第1揺動軸心側の端縁
50E…供給トレイにおける第1揺動軸心側の端縁
10…開口、100…開口カバー、S1…隙間
90…外装カバー(背面部カバー)
110L、110R…第1摺接部、120L、120R…第2摺接部
55L、55R…第3摺接部、100C…開口カバーにおける幅方向の中間部
100L、100R…開口カバーにおける幅方向の端部
50C…供給トレイにおける第1揺動軸心側の凹部
50A…供給トレイにおける開口カバーと対向する面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するシート供給装置であって、
筐体と、
前記筐体内に搬送されるシートが積載される載置面を有する平板形状であり、前記筐体の上方で前記載置面を下方に向ける収容位置から、搬送される前記シートの幅方向と平行な第1揺動軸心周りに揺動して、前記筐体に対して前記搬送方向の上流側で前記載置面を上方に向ける使用位置に変位可能な供給トレイと、
前記供給トレイが前記収容位置にある場合、前記筐体及び前記供給トレイにおける前記第1揺動軸心側の端縁同士が離間することにより形成される開口と、
前記第1揺動軸心に対して平行な第2揺動軸心周りに揺動可能とされ、前記供給トレイが前記収容位置にある場合、前記開口を覆う開口カバーとを備え、
前記開口カバーは、前記供給トレイが前記収容位置から前記使用位置まで変位する変位過程の前半において前記供給トレイに摺接する第1摺接部と、前記変位過程の後半において、前記供給トレイに摺接する第2摺接部とを有し、
前記第1摺接部は、前記開口カバーにおける前記幅方向の中間部に位置し、
前記第2摺接部は、前記開口カバーにおける前記幅方向の少なくとも一方側の端部に位置して前記幅方向と直交する方向に延び、前記幅方向から見た場合に外部に露出していることを特徴とするシート供給装置。
【請求項2】
前記第2摺接部は、前記開口カバーにおける前記幅方向の両端部に設けられている請求項1記載のシート供給装置。
【請求項3】
前記開口カバーにおける前記幅方向の前記中間部は、前記第2摺接部よりも上方に延在し、前記供給トレイが前記収容位置にある場合、前記供給トレイにおける前記第1揺動軸心側の端縁に設けられた凹部に入り込んでいる請求項1又は2記載のシート供給装置。
【請求項4】
前記供給トレイにおける前記開口カバーと対向する面には、前記第1摺接部に向けて凸設され、前記第1摺接部と摺接する第3摺接部が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項記載のシート供給装置。
【請求項5】
前記筐体内に設けられ、搬送される前記シートに対して処理を行う処理部と、
前記筐体内における前記第1揺動軸心の下方に設けられ、前記処理部に給電する電源とを備え、
前記供給トレイが前記使用位置にある場合、前記供給トレイに対して前記開口カバーが離間することにより隙間が形成される請求項1乃至4のいずれか1項記載のシート供給装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記電源を覆う外装カバーを有し、
前記外装カバーは、前記筐体の外装において、前記供給トレイが前記使用位置にある場合における前記開口カバーの位置からさらに前記開口カバーが揺動する場合に前記開口カバーに当接する位置に設けられる請求項5記載のシート供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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