シート保持装置並びにこれを備えた画像読取装置及び画像形成装置
【課題】シート搬送装置の外部から内部に長尺シートを真っ直ぐに給送することが可能なシート保持装置並びにこれを備えた画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】
画像形成装置10の側面35にシート保持装置30が設けられている。シート保持装置30は、手差しトレイ32と補助トレイ33とを備える。長尺用紙をセットする場合は、手差しトレイ32に補助トレイ33を装着する。手差しトレイ32のサイドフェンス46は、補助トレイ33に設けられた固定具56によって幅方向43の外側への移動が制限される。補助トレイ33にはローラー59が設けられており、シート保持面44に保持された長尺用紙の浮き上がりがローラー59によって規制される。
【解決手段】
画像形成装置10の側面35にシート保持装置30が設けられている。シート保持装置30は、手差しトレイ32と補助トレイ33とを備える。長尺用紙をセットする場合は、手差しトレイ32に補助トレイ33を装着する。手差しトレイ32のサイドフェンス46は、補助トレイ33に設けられた固定具56によって幅方向43の外側への移動が制限される。補助トレイ33にはローラー59が設けられており、シート保持面44に保持された長尺用紙の浮き上がりがローラー59によって規制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置の内部に給送される方向に長い長尺シートを保持することが可能なシート保持装置並びにこれを備えた画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機、ファクシミリ、及びこれらの複合機などの画像形成装置には、給紙カセットと称される用紙収容部が設けられている。この用紙収容部に印刷用紙が収容されている。一般に、大型の画像形成装置の内部には、一つ又は複数の用紙収容部が設けられている。この種の用紙収容部は、A判サイズ、B判サイズ、レターサイズなどの所謂定型サイズの印刷用紙を保持し得る形状に形成されている。一方、定型外の用紙(以下「定型外用紙」という。)にも画像を印刷したいとの要望に応じて、従来の画像形成装置の側面には定型外用紙を載置可能なシートトレイ(手差しトレイと称されている。)が設けられており、このシートトレイから画像形成装置の画像形成部に定型外用紙を給送することができるようになっている。
【0003】
ところで、前記シートトレイから前記画像形成部へ印刷用紙が給送される場合、印刷用紙が斜めに給送される場合がある。印刷用紙が真っ直ぐに給送されずに斜めに傾いた状態で給送されて、画像形成部によって画像が印刷されると、印刷された画像が印刷用紙に対して傾斜する。特許文献1や特許文献2に記載のように、シートトレイにサイドフェンスが設けられていれば、印刷用紙は概ね真っ直ぐに給送される。しかし、サイドフェンスのがたつき、又は給送時の用紙のばたつきや浮き上がりなどが原因で、若干ではあるが印刷用紙が斜めに給送されてしまう場合がある。印刷用紙のサイズがハガキサイズなどのように小サイズであれば、このような若干の斜め給送による画像の傾斜は大きな問題とはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−196496号公報
【特許文献2】特開2009−18931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、給送方向に長い所謂長尺用紙(例えば、幅297mm、長さ1200mmの用紙)が前記シートトレイから前記画像形成部へ給送されて画像が印刷される場合は、若干の傾斜であっても、その長尺さ故に、長尺用紙の先端側に印刷された画像の位置と後端側に印刷された画像位置とのズレが顕著となる。また、若干の傾斜であっても、長尺用紙が斜め給送された場合は、その先端と後端との給送位置のズレが無視できないくらいに大きくなり、長尺用紙の後端側がサイドフェンスを通過するときに、長尺用紙が一方のサイドフェンスに押し付けられてサイドフェンスの側面を迫り上がり、長尺用紙が浮き上がってしまう場合がある。この状態で給送されると、画像形成装置の給送口で長尺用紙が詰まったり、給送口の端に押し当てられて長尺用紙が折れ曲がったり破損したりする。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート搬送装置の内部に長尺シートを真っ直ぐに給送することが可能なシート保持装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、シート搬送装置の内部に給送される長尺シートを保持するトレイ本体と、前記長尺シートが給送される第1方向と交差し且つ前記トレイ本体のシート保持面に平行な第2方向へスライド可能なように前記トレイ本体に設けられ、前記シート保持面に載置された前記長尺シートの前記第2方向の端部を所定位置に位置決めするサイドフェンスと、前記サイドフェンスが前記所定位置から前記第2方向へ移動することを制限する移動制限部材と、前記シート保持面の上方に前記第2方向へ掛け渡すように設けられ、前記シート保持面からの高さを規制して前記シート保持面上の前記長尺シートの浮き上がりを防止する規制部材と、を具備するシート保持装置として構成されている。
【0008】
このように構成されているため、前記サイドフェンスが前記移動制限部材によって確実に位置決めされる。このため、前記サイドフェンスにがたつきが生じない。また、シート保持面において長尺シートが前記規制部材よりも上方へ浮き上がっていたり撓まされていても、シート保持面から規制部材までの高さが規制されているため、シート保持面を通過する際に長尺シートがばたつくこともなく、また、容易に浮き上がることもない。これにより、長尺シートの斜め搬送の原因がなくなるため、長尺シートは斜めに給送されずに真っ直ぐに給送される。
【0009】
(2) 前記トレイ本体は、第1トレイと、該第1トレイに取り外し可能に連結された第2トレイとにより構成されている。この場合、前記第1トレイに前記サイドフェンスが設けられている。また、前記第2トレイに前記移動制限部材及び前記規制部材が設けられている。
【0010】
このように構成されているため、長尺シートを使用しない場合は、前記第1トレイから前記第2トレイを取り外しておくことができる。このとき、前記移動制限部材及び前記規制部材が第2トレイとともに取り外されるため、長尺シートを使用しない場合は、シート保持装置の周辺が簡素化される。また、前記第2トレイが取り外されても、前記第1トレイにはサイドフェンスが設けられているため、前記第1トレイが保持可能なサイズの印刷用紙を真っ直ぐに給送することができる。
【0011】
(3) 前記第2トレイは、前記シート保持面から上方へ隔てられ、前記シート保持面との間に前記長尺シートが案内される通路を形成するガイド部材を有する。このガイド部材の上面に前記移動制限部材が設けられている。また、前記ガイド部材の下面に前記規制部材が設けられている。
【0012】
このように構成されているため、長尺シートを前記通路に潜らせるようにして挿通することで、長尺シートをシート保持面に円滑に載置することができる。
【0013】
(4) 前記ガイド部材の上面に前記第2方向の第1支持溝が形成されている。この場合、前記移動制限部材は、前記第1支持溝に挿入されて該第1支持溝に沿って移動可能な基部と、前記第1支持溝の縁部を挟み持つことにより前記基部を前記ガイド部材に固定する固定部と、前記基部から前記第1トレイ側へ突出して前記サイドフェンスに当接する突出部とを有する。これにより、前記移動制限部材が具体化される。
【0014】
(5) 前記通路の前記第2方向の両端側に軸受部材が設けられている。前記規制部材は、その両端部が前記軸受け部材に回転自在に支持されたローラーである。これにより、前記規制部材が具体化される。
【0015】
(6) 前記第2トレイは、前記トレイ本体に載置された前記長尺シートの後端側を湾曲させた状態で保持するとともに給送時に前記長尺シートをガイドする第1アーム及び第2アームを有する。前記第1アームは、前記通路よりも上方に設けられ、前記第1方向の上流側へ傾倒している。また、前記第2アームは、前記第1アームよりも前記第1方向の上流側に設けられ、前記第1方向の上流側へ傾倒している。
【0016】
このように構成されているため、長尺シートをシート保持面に確実に載置することができ、また、第2トレイの後端から長尺シートが垂れ下がらないようにすることができる。詳細には、長尺シートをセットする場合、まず、長尺シートの先端側をガイド部材の下を潜らせて前記通路に挿入させ、そして、先端がシート搬送装置の給送口に達するまで押し込まれる。このとき、長尺シートの中央部が第2アームによって支えられている。この状態で、長尺シートの後端側がシート搬送装置側へ湾曲されて、長尺シートが1周するように曲げられる。このとき、長尺シートの後端側がガイド部材の上面に載置され、また、後端が第1アームに支持されるまで湾曲される。
【0017】
(7) 前記第1アームの先端には、該第1アームに保持された前記長尺シートの後端を制止するストッパーが設けられている。これにより、第1アームから長尺シートの後端がはみ出さないため、長尺シートの給送時に、長尺シートの後端が湾曲された長尺シートに接触することによる負荷を防止することができる。
【0018】
(8) また、本発明は、上述したシート保持装置を具備する画像読取装置として捉えることもできる。画像読取装置に搭載されている従来周知の自動原稿搬送装置(シート搬送装置)に上述のシート保持装置が用いられた構成についても本発明は好適である。
【0019】
(9) また、本発明は、上述したシート保持装置を具備する画像形成装置として捉えることもできる。シート搬送装置が搭載されている画像形成装置にも本発明は好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シート搬送装置へ向けて長尺シートを真っ直ぐに給送することが可能なように長尺シートを保持することができ、これにより、長尺シートの詰まりや破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の概略構成を示す模式図である。
【図2】画像形成装置10のシート保持装置30の外観構成を示す斜視図である。
【図3】シート保持装置30の補助トレイ33の外観構成を示す斜視図である。
【図4】固定具56の外観構成を示す斜視図である。
【図5】図3の切断線V−Vの断面構造を示す断面図であり、(A)は固定具56による固定が解除された状態が示されており、(B)には固定具56が支持プレート68に固定されている状態が示されている。
【図6】シート保持装置30に長尺用紙がセットされた状態を示す斜視図。
【図7】図6の切断線VII−VIIの断面構造を示す断面図である。
【図8】図7における要部VIIIの部分拡大図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るシート保持装置100の外観構成を示す斜視図である。
【図10】シート保持装置100に長尺用紙がセットされた状態を示す斜視図。
【図11】シート保持装置100による給送過程における長尺用紙の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態は適宜変更できる。
【0023】
《第1実施形態》
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るシート保持装置30(本発明のシート保持装置の一例)を備える画像形成装置10(本発明の画像形成装置の一例)の概略構成について説明する。画像形成装置10は、入力された画像をトナーなどの印刷材料を用いて印刷用紙に印刷するものであり、例えば、プリンターや複写機、ファクシミリ、又はこれらの機能を備えた複合機などがその代表例である。画像形成装置10は、上部に原稿の画像を読み取るスキャナー12が設けられ、下部に電子写真方式の画像形成部14が設けられたものである。画像形成部14は、複数の給紙トレイ16、搬送手段17、転写装置18、定着装置19、シート保持装置30などを備えている。スキャナー12によって原稿の画像が読み取られると、その原稿画像に基づいて、給紙トレイ16又はシート保持装置30から給送された印刷用紙にトナー画像が転写され、そのトナー画像が定着装置19によって印刷用紙に溶着される。その後、印刷用紙は排紙トレイ21に排出される。このように動作する画像形成部14は、シート保持装置30を備えている点を除けば、従来周知の構成である。そのため、本明細書ではシート保持装置30以外の構成に関する詳細な説明を省略する。なお、画像形成部14は、電子写真方式のものに限られず、インクジェット方式やその他の印刷方式に基づいて動作するものであってもよい。
【0024】
シート保持装置30は、画像が印刷される印刷用紙を保持するものである。特に、シート保持装置30は、給送方向42(本発明の第1方向の相当)に長い所謂長尺用紙(本発明の長尺シートの一例)を湾曲させた状態で保持することが可能に構成されている。長尺用紙の具体例としては、幅297mm、長さ1200mmの印刷用紙や、幅297mm、長さ900mmの印刷用紙などが該当する。なお、本実施形態では、長尺シートの一例として前記長尺用紙を例示するが、紙製のものに限られず、長尺に形成された樹脂製のシートなどのように、紙以外の材料で形成されたシートであってもよい。
【0025】
シート保持装置30は、画像形成部14の一方の側面35(図1において右側の側面)に取り付けられた手差しトレイ32(本発明の第1トレイの一例)と、手差しトレイ32に取り外し可能に連結された補助トレイ33(本発明の第2トレイの一例)とを有する。手差しトレイ32に補助トレイ33が連結されて双方が一体化することで、本発明のトレイ本体が実現される。
【0026】
[手差しトレイ32]
画像形成部14の側面35には、印刷用紙を内部に受け入れる入り口となる給送口36が設けられている。給送口36の両サイドには不図示の軸受孔が形成されており、その軸受孔に手差しトレイ32の回動軸38(図2参照)が挿入されることで、手差しトレイ32が側面35に回動可能に取り付けられる。本実施形態では、補助トレイ33が連結されていない状態で、手差しトレイ32は、手差しトレイ32から給送口36に印刷用紙を給送可能なように水平に維持された水平姿勢(図1において実線で示される姿勢)と、側面35に対して同一面となって給送口36を閉じる垂直姿勢(図1において破線で示される姿勢)との間で回動する。手差しトレイ32が前記水平姿勢にされたときに、手差しトレイ32に対する補助トレイ33の連結が可能となる。なお、長尺用紙に印刷する場合は、補助トレイ33が手差しトレイ32に連結されて使用されるが、定型用紙や封筒、ハガキなどのように手差しトレイ32で保持可能なサイズの印刷用紙を給送口36から給送させる場合は、言うまでもなく、補助トレイ33を使用する必要はなく、補助トレイ33を取り外して手差しトレイ32だけでこれらの印刷用紙を保持すればよい。
【0027】
給送口36の近傍に給紙手段39(本発明のシート搬送装置の一例)が設けられている。給紙手段39は、モーター等の駆動源から駆動力を受けて回転駆動される駆動ローラーであって、給送口36に挿入された印刷用紙の先端部の上面と接触した状態で回転駆動されることにより、一枚の印刷用紙をピックアップして給送する。給紙手段39によって給送された印刷用紙は、搬送手段17によって下流側の転写装置18及び定着装置19を経て排紙トレイ21に搬送される。
【0028】
図2に示されるように、手差しトレイ32は、底板37と、底板37の幅方向43(本発明の第2方向に相当)の両端から立設された側板40と、一対のサイドフェンス46(本発明のサイドフェンスの一例)とを有する。底板37の上面が印刷用紙を載置するためのシート保持面44である。サイドフェンス46は、底板37に設けられている。サイドフェンス46は、シート保持面44に保持された印刷用紙の両側端を印刷用紙のサイズに応じた位置に規制することにより、手差しトレイ32における印刷用紙の位置を幅方向43に位置決めするためのものである。本実施形態では、一対のサイドフェンス46は、シート保持面44に保持された印刷用紙の幅方向43の中央位置を予め定められた基準位置(例えば手差しトレイ32の幅方向の中央)に一致させるように規制する。このように、印刷用紙の幅方向43の中央位置を基準位置に一致させるように印刷用紙を規制することは、一般に、センターレジと呼ばれている。
【0029】
一対のサイドフェンス46は、手差しトレイ32のシート保持面44上でスライド可能なように底板37に支持されている。詳細には、サイドフェンス46は、印刷用紙の幅方向43、つまり、印刷用紙の給送方向42と直交し、且つ、シート保持面44に平行な方向へスライド可能なように底板37に支持されている。シート保持面44においてサイドフェンス46で挟まれた領域に印刷用紙が保持される。印刷用紙がシート保持面44に保持された状態で、サイドフェンス46が中央側へスライドされると、サイドフェンス46の垂直壁45が印刷用紙の側端に当接して、当該側端を規制しつつ印刷用紙を位置決めする。なお、一対のサイドフェンス46のスライド機構としては、シート保持面44の裏面に設けられたピニオンと各サイドフェンス46に設けられた不図示のラックとにより構成される周知の連動スライド機構が採用されている。これにより、一方がスライドされると他方がその動作に連動してスライドする。
【0030】
[補助トレイ33]
補助トレイ33は、給送口36から長尺用紙を給送させる場合に手差しトレイ32に連結させて用いられる。図2に示されるように、補助トレイ33は、手差しトレイ32において給紙方向42の上流側(以下「後方側」ともいう。)の半分の部分を上から覆うようにして連結されている。補助トレイ33は、フレーム55と、2つの固定具56(本発明の移動制限部材の一例)と、前方アーム57(本発明の第1アームの一例)と、後方アーム58(本発明の第2アームの一例)と、ローラー59(本発明の規制部材の一例、図5参照)とを有する。
【0031】
フレーム55は、例えば合成樹脂を射出成形して得られる合成樹脂製品である。図3に示されるように、フレーム55は、上面に設けられた支持プレート68(本発明のガイド部材の一例)と、幅方向43の両側に設けられた側壁63と、給送方向42の上流側(後方側)に設けられた後端部64とを有している。支持プレート68は、手差しトレイ32のシート保持面44から上方へ隔てられた位置に設けられている。支持プレート68は、フレーム55の上面において、給送方向42の下流側(以下「前方側」ともいう。)に設けられている。支持プレート68は、一対の側壁63の間を幅方向43へ架け渡すように設けられている。
【0032】
フレーム55の上面のうち、支持プレート68から後端部64に至る部分に開口66が形成されている。詳細は後述するが、シート保持装置30に長尺用紙をセットする際に、開口66から支持プレート68の下側の通路70(図2参照)を潜らせるようにして長尺用紙が挿入される。したがって、開口66の幅方向43の長さは、長尺用紙の幅よりも大きく形成されている。
【0033】
フレーム55の側壁63の内側には、被支持部65が設けられている。この被支持部65は、補助トレイ33が手差しトレイ32に連結されたときに手差しトレイ32の側板40の頂部で支えられる部分である。
【0034】
補助トレイ33は、手差しトレイ32の後方側の半分の部分を上から覆い被さるようにして手差しトレイ32に連結される(図2参照)。そのため、図3に示されるように、フレーム55は、底面全域と給送方向42の下流側(前方側)の前面全域とが開放空間となっている。本実施形態では、図2に示されるように、補助トレイ33が手差しトレイ32の後方半分の部分に覆い被せられると、フレーム55の側壁63が手差しトレイ32の側板40の外側に配置される。そして、側板40の頂部によってフレーム55の被支持部65が支持される。これにより、補助トレイ33が手差しトレイ32に安定して連結される。また、手差しトレイ32のシート保持面44と支持プレート68との間に長尺用紙が挿通される通路70が形成される。
【0035】
図2に示されるように、固定具56は、サイドフェンス46よりも給送方向42の上流側(後方側)に設けられており、具体的には、固定具56は支持プレート68に設けられている。固定具56は、シート保持面44に保持された長尺用紙の幅方向43の両端を位置決めするためにサイドフェンス46をユーザーが移動させた場合に、その位置からサイドフェンス46を幅方向43の外側へ移動させないように、その移動を制限するものである。図4に示されるように、固定具56は、薄型直方体形状に形成されたベース73(本発明の基部の一例)と、ベース73の中心を貫通して取り付けられた回転レバー74(本発明の固定部の一例)と、ベース73の長手方向に垂直な方向へ突出するスライドガイド75と、ベース73からサイドフェンス46側へ突出してサイドフェンス46の外側面に当接される当接部76(本発明の突出部の一例)と、ベース73の裏面に設けられたゴムパッド77とを有する。スライドガイド75は、ベース73に一体に形成されており、ベース73の長手方向に対して垂直な方向へ突出している。当接部76は、ベース73の長手方向の一方端から突出した断面形状がU字状の部材である。回転レバー74は、摘み74Aと、ベース73の上面に当接される円形状の座部74Bと、ベース73の裏面側へ貫通する突出部74Cと有しており、これらは一体に形成されている。座部74Bの裏面とベース73の上面には、回転レバー74の回転動作に伴って座部74Bとベース73とを接離させる回転カム(不図示)が設けられている。
【0036】
図3に示されるように、支持プレート68には、幅方向43に長い2つのガイド溝81(本発明の第1支持溝の一例)が形成されている。このガイド溝81は、支持プレート68において幅方向43に隔てられている。ガイド溝81は、固定具56のスライドガイド75が挿入可能なサイズに形成されている。ガイド溝81の溝幅はスライドガイド75の横幅よりも少し大きく設定されている。固定具56は、以下のようにして支持プレート68に取り付けられる。すなわち、スライドガイド75の突出方向とガイド溝81の長手方向とを一致させた状態でスライドガイド75をガイド溝81に挿入させるとともにベース73を支持プレート68の上面に載置させる。そして、回転レバー74の突出部74Cをベース73の上面から裏面へ貫通させてガイド溝81に挿入し、支持プレート68の裏面側に突出した突出部74Cの端部にストップリング79を嵌め込む。ストップリング79は、ガイド溝81の溝幅よりも大きく形成されており、そのため、ストップリング79が突出部74Cに嵌め込まれることによって、回転レバー74がベース73から抜けなくなる。このようにして、図3及び図5(A)に示されるように、固定具56が支持プレート68の上面に取り付けられる。回転レバー74が図4に示される位置にあるときは、固定具56は支持プレート68に固定されていない。この状態では、固定具56は、スライドガイド75がガイド溝81に沿って案内されることで、ガイド溝81の長手方向(幅方向43)に沿ってスライド可能である。固定具56が所定の位置に移動されて、その位置で回転レバー74が4分の1回転(90°回転)されると、回転レバー74の座部74Bの回転カム(不図示)によってベース73が相対的に下方へ移動し、これにより、ストップリング79とベース73の裏面のゴムパッド77とによってガイド溝81の縁部が挟み持たれる。このため、ゴムパッド77と支持プレート68の上面との摩擦力によって、固定具56が支持プレート68に対して固定される。
【0037】
図7に示されるように、支持プレート68の裏面にローラー59が設けられている。ローラー59は、シート保持面44よりも上方に配置されており、側壁63間を幅方向43へ掛け渡すように設けられている。このローラー59は、補助トレイ33が手差しトレイ32に連結された状態で、シート保持面44からローラー59までの高さを規制するものである。シート保持面44からローラー59までの高さ寸法は、既定枚数の長尺用紙が挿通可能な寸法であり、しかも、支持プレート68の下側の通路70を通過する長尺用紙が浮き上がっていた場合に、その浮き上がりを適切に抑えることができる寸法に設計されている。
【0038】
図5に示されるように、支持プレート68の下側の通路70の幅方向43の両端には、ローラー59の両端部を支持する支持部84(本発明の軸受部材の一例)が設けられている。支持部84には、ローラー59の両端部を回転自在に支持する軸受け部(不図示)が設けられている。この軸受け部にローラー59の両端部が挿入されている。これにより、ローラー59は回転自在に支持される。なお、ローラー59が支持部84から抜けないように、ローラー59の端部には抜け止め86が設けられている。
【0039】
このように、シート保持装置30に固定具56とローラー59とが設けられているため、サイドフェンス46が固定具56によって確実に位置決めされる。このため、サイドフェンス46にがたつきが生じない。また、長尺用紙が通路70を通過する前に、浮き上がった長尺用紙がローラー59の表面によって下方へ規制されるため、長尺用紙の浮き上がりが抑制される。これにより、長尺用紙の斜め搬送の原因がなくなる。その結果、長尺用紙は斜めに給送されずに給送口36へ向かって真っ直ぐに給送される。
【0040】
図3に示されるように、前方アーム57及び後方アーム58は、フレーム55に取り付けられている。前方アーム57及び後方アーム58は、シート保持面44に保持された長尺用紙の後端側を湾曲させた状態でコンパクトに保持するためのものである。前方アーム57は、細長い金属棒を屈曲変形させることにより逆U字形状に形成されたシート支持部89と、側壁63の上端部に固定される脚部90とを有する。脚部90は、固定具56よりも給送方向42の上流側(後方側)に固定されている。本実施形態では、脚部90は、支持プレート68において給送方向42の上流側の端部付近に固定されている。前方アーム57には、それぞれの脚部90から幅方向43の中央側へ延出されてシート支持部89と連結する連結部91を有しており、この連結部91は、支持プレート68よりも上方に位置している。これにより、支持プレート68の下側の通路70に長尺用紙を挿通させることが可能である。
【0041】
シート支持部89は、幅方向43の中央に配置されており、給送方向42の上流側(後方側)へ概ね45°の角度で傾倒している。このシート支持部89の先端には、ストッパー97が設けられている。ストッパー97は、図6に示されるように、シート支持部89に保持された長尺用紙の後端を制止するためものであり、シート支持部89の先端側が給送方向42の下流側へ概ね直角に屈曲変形されることによって形成されている。
【0042】
後方アーム58は、前方アーム57よりも更に給送方向42の上流側(後方側)に設けられている。後方アーム58は、細長い金属棒を屈曲変形させることにより逆U字形状に形成されたシート支持部94と、後端部64に固定される脚部95とを有する。シート支持部94は、幅方向43の中央に配置されており、給送方向42の上流側(後方側)へ概ね5°から10°の角度で傾倒している。本実施形態では、後方アーム58のシート支持部94は、前方アーム57のシート支持部89よりも長く形成されているが、シート支持部94の先端の高さ位置は、シート支持部89の高さ位置よりも低い。
【0043】
このように前方アーム57及び後方アーム58が設けられているため、以下のようにして長尺用紙をシート保持装置30にセットすることができる。まず、図6及び図7に示されるように、長尺用紙の先端側を前方アーム57の連結部91の下を潜らせて通路70に挿入させ、そして、長尺用紙の先端を画像形成装置10の給送口36に達するまで押し込む。このとき、長尺用紙の中央部が後方アーム58のシート支持部94によって支えられている。この状態で、長尺用紙の後端側が画像形成装置10の側面35側へ1周するように曲げられて、更に、長尺用紙の後端側を支持プレート68の上面に載置させ、長尺用紙の後端を前方アーム57のシート支持部89に支持させる。これにより、図6に示されるように、長尺用紙が縦軸よりも横軸が長い概ね楕円形状を維持した状態で保持される。このとき、長尺用紙の後端は、ストッパー97によって制止されるため、シート支持部89から上方へはみ出すことはなく、湾曲された長尺用紙に接触しない。このように長尺用紙を湾曲した状態で保持させることにより、長尺用紙をシート保持装置30に確実にセットすることができ、また、シート保持装置30の後方側から長尺用紙が垂れ下がらないようにすることができる。また、シート支持部89から長尺用紙の後端がはみ出さなくなり、湾曲した用紙に後端が接触しないため、長尺用紙の給送時における接触による給送負担が防止される。
【0044】
《第2実施形態》
次に、図9乃至図11を参照して、本発明の第2実施形態に係るシート保持装置100(本発明のシート保持装置の一例)ついて説明する。シート保持装置100が上述の第1実施形態のシート保持装置30と異なるところは、補助トレイ33に取り付けられていた前方アーム57及び後方アーム58に代えて、前方アーム102(本発明の第1アームの一例)及び後方アーム103(本発明の第2アームの一例)が設けられている点と、支持プレート68の後端部69の形状に特徴を有する点であり、この2点を除けば、シート保持装置100は、シート保持装置30と同じ構成を有する。したがって、ここでは、シート保持装置100の構成のうち、シート保持装置30と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0045】
図9に示されるように、前方アーム102及び後方アーム103は、フレーム55に取り付けられている。前方アーム102及び後方アーム103は、シート保持面44に保持された長尺用紙の後端側を湾曲させた状態でコンパクトに保持するためのものである。前方アーム102は、細長い金属棒を屈曲変形させることにより逆U字形状に形成されたシート支持部105と、側壁63の上端部に固定される脚部106とを有する。脚部106は、支持プレート68よりも給送方向42の上流側(後方側)に固定されている。本実施形態では、脚部106は、概ね側壁63の給送方向42の中央に固定されている。前方アーム102には、それぞれの脚部106から幅方向43の中央側へ延出されてシート支持部105と連結する連結部107を有しており、この連結部107は、通路70よりも上方に位置している。これにより、連結部107の下側に長尺用紙を挿通させることが可能である。また、このような位置に前方アーム102が取り付けられているため、連結部107と支持プレート68との間に間隙109が形成される。シート支持部105は、幅方向43の中央に配置されており、給送方向42の上流側(後方側)へ概ね45°の角度で傾倒している。
【0046】
図9に示されるように、支持プレート68の後端部69、つまり、支持プレート68において間隙109側の端部は、後方側へ向かって幅方向43の中央が緩やかに突出した山形状に形成されている。言い換えると、後端部69は、後方側へ向かって先細り形状に形成されている。
【0047】
後方アーム103は、前方アーム102よりも更に給送方向42の上流側(後方側)に設けられている。後方アーム103は、細長い金属棒を屈曲変形させることにより逆U字形状に形成されたシート支持部111と、後端部64に固定される脚部112とを有する。シート支持部111は、幅方向43の中央に配置されており、給送方向42の上流側(後方側)へ概ね45°の角度で傾倒している。
【0048】
このように前方アーム102及び後方アーム103が設けられているため、以下のようにして長尺用紙をシート保持装置100にセットすることができる。まず、図10に示されるように、長尺用紙の先端側を前方アーム102の連結部107の下を潜らせて通路70に挿入させ、そして、長尺用紙の先端を画像形成装置10の給送口36に達するまで押し込む。このとき、長尺用紙の中央部が後方アーム103のシート支持部111によって支えられている。この状態で、長尺用紙の後端側が画像形成装置10の側面35側へ1周するように曲げられて、更に、長尺用紙の後端側を支持プレート68の上面に載置させ、長尺用紙の最後端を前方アーム102のシート支持部105に支持されるように配置させる。このように長尺用紙を湾曲した状態で保持させることにより、長尺用紙をシート保持装置100に確実にセットすることができ、また、シート保持装置100の後方側から長尺用紙が垂れ下がらないようにすることができる。
【0049】
また、前方アーム102及び後方アーム103が適度に後方側へ傾斜しているため、図11(A)に示されるように長尺用紙がシート保持装置100にセットされた状態から、長尺用紙の給送が開始されると、以下のようにして長尺用紙が給送される。つまり、長尺用紙の給送が開始されると、図11(B)に示されるように、長尺用紙の湾曲形状が徐々にきつくなる(曲率が大きくなる)。そして、更に給送されると、長尺用紙の後端がシート支持部105から徐々に間隙109に近づき、そして、長尺用紙の後端が間隙109に入り込む(図11(C)参照)。そして、更に長尺用紙が給送されると、更に長尺用紙の湾曲形状がきつくなるが、長尺用紙の後端が間隙109に入り込んで支持プレート68の後端部69に引っかかっているので、長尺用紙は後方へ垂れ下がらない。そして、湾曲形状の径がより小さくなると、長尺用紙の後端が支持プレート68の後端部69から外れようとする力が大きくなり、その力が後端部69に引っかかろうとする力を超えると、長尺用紙の後端の引っかかりが外れて、長尺用紙の後端が間隙109から抜け出る。これにより、長尺用紙の後端が後方側へ移動して、シート支持部105に支持される。このとき、長尺用紙の大半は画像形成装置10の内部に給送されているため、図11(D)に示されるように、長尺用紙が後方へ垂れ下がることはない。なお、上述したように、支持プレート68の後端部69は緩やかに先細り形状となっており、後端部69と長尺用紙との接触点を小さくして、長尺用紙の後端が後端部69に引っかかろうとする力が必要以上に大きくならないように調整されている。これにより、長尺用紙の後端が引っかかりやすく、また、過度に引っかからないため抜け出やすくなっている。
【0050】
なお、上述の各実施形態では、印刷用紙がセンターレジされる構成を例示するが、一方の側板40を基準位置としてその側板40に印刷用紙の一方の側端を位置決めする所謂サイドレジの構成であっても、本発明は適用可能である。また、支持プレート68の後端部69を先細り形状としたが、幅方向43の中央から後方側へ向かって末広がり形状であってもよい。
【0051】
また、上述の実施形態では、給紙手段39が搭載された画像形成装置10に本発明の一例であるシート保持装置30が適用された構成について例示するが、例えば、ADFと略称されている従来周知の自動原稿搬送装置(本発明のシート搬送装置の一例)がスキャナー12に搭載されている場合は、前記自動原稿搬送装置にシート保持装置30が適用された構成であっても、本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリ、及びこれらの複合機などの画像形成装置に搭載されているシート搬送装置や、スキャナーなどの画像読取装置に搭載されている自動原稿搬送装置に設けられたシート搬送装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10:画像形成装置
12:スキャナー
30:シート保持装置
32:手差しトレイ
33:補助トレイ
44:シート保持面
46:サイドフェンス
56:固定具
57:前方アーム
58:後方アーム
68:支持プレート
81:ガイド溝
84:支持部
100:シート保持装置
102:前方アーム
103:後方アーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置の内部に給送される方向に長い長尺シートを保持することが可能なシート保持装置並びにこれを備えた画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機、ファクシミリ、及びこれらの複合機などの画像形成装置には、給紙カセットと称される用紙収容部が設けられている。この用紙収容部に印刷用紙が収容されている。一般に、大型の画像形成装置の内部には、一つ又は複数の用紙収容部が設けられている。この種の用紙収容部は、A判サイズ、B判サイズ、レターサイズなどの所謂定型サイズの印刷用紙を保持し得る形状に形成されている。一方、定型外の用紙(以下「定型外用紙」という。)にも画像を印刷したいとの要望に応じて、従来の画像形成装置の側面には定型外用紙を載置可能なシートトレイ(手差しトレイと称されている。)が設けられており、このシートトレイから画像形成装置の画像形成部に定型外用紙を給送することができるようになっている。
【0003】
ところで、前記シートトレイから前記画像形成部へ印刷用紙が給送される場合、印刷用紙が斜めに給送される場合がある。印刷用紙が真っ直ぐに給送されずに斜めに傾いた状態で給送されて、画像形成部によって画像が印刷されると、印刷された画像が印刷用紙に対して傾斜する。特許文献1や特許文献2に記載のように、シートトレイにサイドフェンスが設けられていれば、印刷用紙は概ね真っ直ぐに給送される。しかし、サイドフェンスのがたつき、又は給送時の用紙のばたつきや浮き上がりなどが原因で、若干ではあるが印刷用紙が斜めに給送されてしまう場合がある。印刷用紙のサイズがハガキサイズなどのように小サイズであれば、このような若干の斜め給送による画像の傾斜は大きな問題とはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−196496号公報
【特許文献2】特開2009−18931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、給送方向に長い所謂長尺用紙(例えば、幅297mm、長さ1200mmの用紙)が前記シートトレイから前記画像形成部へ給送されて画像が印刷される場合は、若干の傾斜であっても、その長尺さ故に、長尺用紙の先端側に印刷された画像の位置と後端側に印刷された画像位置とのズレが顕著となる。また、若干の傾斜であっても、長尺用紙が斜め給送された場合は、その先端と後端との給送位置のズレが無視できないくらいに大きくなり、長尺用紙の後端側がサイドフェンスを通過するときに、長尺用紙が一方のサイドフェンスに押し付けられてサイドフェンスの側面を迫り上がり、長尺用紙が浮き上がってしまう場合がある。この状態で給送されると、画像形成装置の給送口で長尺用紙が詰まったり、給送口の端に押し当てられて長尺用紙が折れ曲がったり破損したりする。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート搬送装置の内部に長尺シートを真っ直ぐに給送することが可能なシート保持装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、シート搬送装置の内部に給送される長尺シートを保持するトレイ本体と、前記長尺シートが給送される第1方向と交差し且つ前記トレイ本体のシート保持面に平行な第2方向へスライド可能なように前記トレイ本体に設けられ、前記シート保持面に載置された前記長尺シートの前記第2方向の端部を所定位置に位置決めするサイドフェンスと、前記サイドフェンスが前記所定位置から前記第2方向へ移動することを制限する移動制限部材と、前記シート保持面の上方に前記第2方向へ掛け渡すように設けられ、前記シート保持面からの高さを規制して前記シート保持面上の前記長尺シートの浮き上がりを防止する規制部材と、を具備するシート保持装置として構成されている。
【0008】
このように構成されているため、前記サイドフェンスが前記移動制限部材によって確実に位置決めされる。このため、前記サイドフェンスにがたつきが生じない。また、シート保持面において長尺シートが前記規制部材よりも上方へ浮き上がっていたり撓まされていても、シート保持面から規制部材までの高さが規制されているため、シート保持面を通過する際に長尺シートがばたつくこともなく、また、容易に浮き上がることもない。これにより、長尺シートの斜め搬送の原因がなくなるため、長尺シートは斜めに給送されずに真っ直ぐに給送される。
【0009】
(2) 前記トレイ本体は、第1トレイと、該第1トレイに取り外し可能に連結された第2トレイとにより構成されている。この場合、前記第1トレイに前記サイドフェンスが設けられている。また、前記第2トレイに前記移動制限部材及び前記規制部材が設けられている。
【0010】
このように構成されているため、長尺シートを使用しない場合は、前記第1トレイから前記第2トレイを取り外しておくことができる。このとき、前記移動制限部材及び前記規制部材が第2トレイとともに取り外されるため、長尺シートを使用しない場合は、シート保持装置の周辺が簡素化される。また、前記第2トレイが取り外されても、前記第1トレイにはサイドフェンスが設けられているため、前記第1トレイが保持可能なサイズの印刷用紙を真っ直ぐに給送することができる。
【0011】
(3) 前記第2トレイは、前記シート保持面から上方へ隔てられ、前記シート保持面との間に前記長尺シートが案内される通路を形成するガイド部材を有する。このガイド部材の上面に前記移動制限部材が設けられている。また、前記ガイド部材の下面に前記規制部材が設けられている。
【0012】
このように構成されているため、長尺シートを前記通路に潜らせるようにして挿通することで、長尺シートをシート保持面に円滑に載置することができる。
【0013】
(4) 前記ガイド部材の上面に前記第2方向の第1支持溝が形成されている。この場合、前記移動制限部材は、前記第1支持溝に挿入されて該第1支持溝に沿って移動可能な基部と、前記第1支持溝の縁部を挟み持つことにより前記基部を前記ガイド部材に固定する固定部と、前記基部から前記第1トレイ側へ突出して前記サイドフェンスに当接する突出部とを有する。これにより、前記移動制限部材が具体化される。
【0014】
(5) 前記通路の前記第2方向の両端側に軸受部材が設けられている。前記規制部材は、その両端部が前記軸受け部材に回転自在に支持されたローラーである。これにより、前記規制部材が具体化される。
【0015】
(6) 前記第2トレイは、前記トレイ本体に載置された前記長尺シートの後端側を湾曲させた状態で保持するとともに給送時に前記長尺シートをガイドする第1アーム及び第2アームを有する。前記第1アームは、前記通路よりも上方に設けられ、前記第1方向の上流側へ傾倒している。また、前記第2アームは、前記第1アームよりも前記第1方向の上流側に設けられ、前記第1方向の上流側へ傾倒している。
【0016】
このように構成されているため、長尺シートをシート保持面に確実に載置することができ、また、第2トレイの後端から長尺シートが垂れ下がらないようにすることができる。詳細には、長尺シートをセットする場合、まず、長尺シートの先端側をガイド部材の下を潜らせて前記通路に挿入させ、そして、先端がシート搬送装置の給送口に達するまで押し込まれる。このとき、長尺シートの中央部が第2アームによって支えられている。この状態で、長尺シートの後端側がシート搬送装置側へ湾曲されて、長尺シートが1周するように曲げられる。このとき、長尺シートの後端側がガイド部材の上面に載置され、また、後端が第1アームに支持されるまで湾曲される。
【0017】
(7) 前記第1アームの先端には、該第1アームに保持された前記長尺シートの後端を制止するストッパーが設けられている。これにより、第1アームから長尺シートの後端がはみ出さないため、長尺シートの給送時に、長尺シートの後端が湾曲された長尺シートに接触することによる負荷を防止することができる。
【0018】
(8) また、本発明は、上述したシート保持装置を具備する画像読取装置として捉えることもできる。画像読取装置に搭載されている従来周知の自動原稿搬送装置(シート搬送装置)に上述のシート保持装置が用いられた構成についても本発明は好適である。
【0019】
(9) また、本発明は、上述したシート保持装置を具備する画像形成装置として捉えることもできる。シート搬送装置が搭載されている画像形成装置にも本発明は好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シート搬送装置へ向けて長尺シートを真っ直ぐに給送することが可能なように長尺シートを保持することができ、これにより、長尺シートの詰まりや破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の概略構成を示す模式図である。
【図2】画像形成装置10のシート保持装置30の外観構成を示す斜視図である。
【図3】シート保持装置30の補助トレイ33の外観構成を示す斜視図である。
【図4】固定具56の外観構成を示す斜視図である。
【図5】図3の切断線V−Vの断面構造を示す断面図であり、(A)は固定具56による固定が解除された状態が示されており、(B)には固定具56が支持プレート68に固定されている状態が示されている。
【図6】シート保持装置30に長尺用紙がセットされた状態を示す斜視図。
【図7】図6の切断線VII−VIIの断面構造を示す断面図である。
【図8】図7における要部VIIIの部分拡大図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るシート保持装置100の外観構成を示す斜視図である。
【図10】シート保持装置100に長尺用紙がセットされた状態を示す斜視図。
【図11】シート保持装置100による給送過程における長尺用紙の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態は適宜変更できる。
【0023】
《第1実施形態》
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るシート保持装置30(本発明のシート保持装置の一例)を備える画像形成装置10(本発明の画像形成装置の一例)の概略構成について説明する。画像形成装置10は、入力された画像をトナーなどの印刷材料を用いて印刷用紙に印刷するものであり、例えば、プリンターや複写機、ファクシミリ、又はこれらの機能を備えた複合機などがその代表例である。画像形成装置10は、上部に原稿の画像を読み取るスキャナー12が設けられ、下部に電子写真方式の画像形成部14が設けられたものである。画像形成部14は、複数の給紙トレイ16、搬送手段17、転写装置18、定着装置19、シート保持装置30などを備えている。スキャナー12によって原稿の画像が読み取られると、その原稿画像に基づいて、給紙トレイ16又はシート保持装置30から給送された印刷用紙にトナー画像が転写され、そのトナー画像が定着装置19によって印刷用紙に溶着される。その後、印刷用紙は排紙トレイ21に排出される。このように動作する画像形成部14は、シート保持装置30を備えている点を除けば、従来周知の構成である。そのため、本明細書ではシート保持装置30以外の構成に関する詳細な説明を省略する。なお、画像形成部14は、電子写真方式のものに限られず、インクジェット方式やその他の印刷方式に基づいて動作するものであってもよい。
【0024】
シート保持装置30は、画像が印刷される印刷用紙を保持するものである。特に、シート保持装置30は、給送方向42(本発明の第1方向の相当)に長い所謂長尺用紙(本発明の長尺シートの一例)を湾曲させた状態で保持することが可能に構成されている。長尺用紙の具体例としては、幅297mm、長さ1200mmの印刷用紙や、幅297mm、長さ900mmの印刷用紙などが該当する。なお、本実施形態では、長尺シートの一例として前記長尺用紙を例示するが、紙製のものに限られず、長尺に形成された樹脂製のシートなどのように、紙以外の材料で形成されたシートであってもよい。
【0025】
シート保持装置30は、画像形成部14の一方の側面35(図1において右側の側面)に取り付けられた手差しトレイ32(本発明の第1トレイの一例)と、手差しトレイ32に取り外し可能に連結された補助トレイ33(本発明の第2トレイの一例)とを有する。手差しトレイ32に補助トレイ33が連結されて双方が一体化することで、本発明のトレイ本体が実現される。
【0026】
[手差しトレイ32]
画像形成部14の側面35には、印刷用紙を内部に受け入れる入り口となる給送口36が設けられている。給送口36の両サイドには不図示の軸受孔が形成されており、その軸受孔に手差しトレイ32の回動軸38(図2参照)が挿入されることで、手差しトレイ32が側面35に回動可能に取り付けられる。本実施形態では、補助トレイ33が連結されていない状態で、手差しトレイ32は、手差しトレイ32から給送口36に印刷用紙を給送可能なように水平に維持された水平姿勢(図1において実線で示される姿勢)と、側面35に対して同一面となって給送口36を閉じる垂直姿勢(図1において破線で示される姿勢)との間で回動する。手差しトレイ32が前記水平姿勢にされたときに、手差しトレイ32に対する補助トレイ33の連結が可能となる。なお、長尺用紙に印刷する場合は、補助トレイ33が手差しトレイ32に連結されて使用されるが、定型用紙や封筒、ハガキなどのように手差しトレイ32で保持可能なサイズの印刷用紙を給送口36から給送させる場合は、言うまでもなく、補助トレイ33を使用する必要はなく、補助トレイ33を取り外して手差しトレイ32だけでこれらの印刷用紙を保持すればよい。
【0027】
給送口36の近傍に給紙手段39(本発明のシート搬送装置の一例)が設けられている。給紙手段39は、モーター等の駆動源から駆動力を受けて回転駆動される駆動ローラーであって、給送口36に挿入された印刷用紙の先端部の上面と接触した状態で回転駆動されることにより、一枚の印刷用紙をピックアップして給送する。給紙手段39によって給送された印刷用紙は、搬送手段17によって下流側の転写装置18及び定着装置19を経て排紙トレイ21に搬送される。
【0028】
図2に示されるように、手差しトレイ32は、底板37と、底板37の幅方向43(本発明の第2方向に相当)の両端から立設された側板40と、一対のサイドフェンス46(本発明のサイドフェンスの一例)とを有する。底板37の上面が印刷用紙を載置するためのシート保持面44である。サイドフェンス46は、底板37に設けられている。サイドフェンス46は、シート保持面44に保持された印刷用紙の両側端を印刷用紙のサイズに応じた位置に規制することにより、手差しトレイ32における印刷用紙の位置を幅方向43に位置決めするためのものである。本実施形態では、一対のサイドフェンス46は、シート保持面44に保持された印刷用紙の幅方向43の中央位置を予め定められた基準位置(例えば手差しトレイ32の幅方向の中央)に一致させるように規制する。このように、印刷用紙の幅方向43の中央位置を基準位置に一致させるように印刷用紙を規制することは、一般に、センターレジと呼ばれている。
【0029】
一対のサイドフェンス46は、手差しトレイ32のシート保持面44上でスライド可能なように底板37に支持されている。詳細には、サイドフェンス46は、印刷用紙の幅方向43、つまり、印刷用紙の給送方向42と直交し、且つ、シート保持面44に平行な方向へスライド可能なように底板37に支持されている。シート保持面44においてサイドフェンス46で挟まれた領域に印刷用紙が保持される。印刷用紙がシート保持面44に保持された状態で、サイドフェンス46が中央側へスライドされると、サイドフェンス46の垂直壁45が印刷用紙の側端に当接して、当該側端を規制しつつ印刷用紙を位置決めする。なお、一対のサイドフェンス46のスライド機構としては、シート保持面44の裏面に設けられたピニオンと各サイドフェンス46に設けられた不図示のラックとにより構成される周知の連動スライド機構が採用されている。これにより、一方がスライドされると他方がその動作に連動してスライドする。
【0030】
[補助トレイ33]
補助トレイ33は、給送口36から長尺用紙を給送させる場合に手差しトレイ32に連結させて用いられる。図2に示されるように、補助トレイ33は、手差しトレイ32において給紙方向42の上流側(以下「後方側」ともいう。)の半分の部分を上から覆うようにして連結されている。補助トレイ33は、フレーム55と、2つの固定具56(本発明の移動制限部材の一例)と、前方アーム57(本発明の第1アームの一例)と、後方アーム58(本発明の第2アームの一例)と、ローラー59(本発明の規制部材の一例、図5参照)とを有する。
【0031】
フレーム55は、例えば合成樹脂を射出成形して得られる合成樹脂製品である。図3に示されるように、フレーム55は、上面に設けられた支持プレート68(本発明のガイド部材の一例)と、幅方向43の両側に設けられた側壁63と、給送方向42の上流側(後方側)に設けられた後端部64とを有している。支持プレート68は、手差しトレイ32のシート保持面44から上方へ隔てられた位置に設けられている。支持プレート68は、フレーム55の上面において、給送方向42の下流側(以下「前方側」ともいう。)に設けられている。支持プレート68は、一対の側壁63の間を幅方向43へ架け渡すように設けられている。
【0032】
フレーム55の上面のうち、支持プレート68から後端部64に至る部分に開口66が形成されている。詳細は後述するが、シート保持装置30に長尺用紙をセットする際に、開口66から支持プレート68の下側の通路70(図2参照)を潜らせるようにして長尺用紙が挿入される。したがって、開口66の幅方向43の長さは、長尺用紙の幅よりも大きく形成されている。
【0033】
フレーム55の側壁63の内側には、被支持部65が設けられている。この被支持部65は、補助トレイ33が手差しトレイ32に連結されたときに手差しトレイ32の側板40の頂部で支えられる部分である。
【0034】
補助トレイ33は、手差しトレイ32の後方側の半分の部分を上から覆い被さるようにして手差しトレイ32に連結される(図2参照)。そのため、図3に示されるように、フレーム55は、底面全域と給送方向42の下流側(前方側)の前面全域とが開放空間となっている。本実施形態では、図2に示されるように、補助トレイ33が手差しトレイ32の後方半分の部分に覆い被せられると、フレーム55の側壁63が手差しトレイ32の側板40の外側に配置される。そして、側板40の頂部によってフレーム55の被支持部65が支持される。これにより、補助トレイ33が手差しトレイ32に安定して連結される。また、手差しトレイ32のシート保持面44と支持プレート68との間に長尺用紙が挿通される通路70が形成される。
【0035】
図2に示されるように、固定具56は、サイドフェンス46よりも給送方向42の上流側(後方側)に設けられており、具体的には、固定具56は支持プレート68に設けられている。固定具56は、シート保持面44に保持された長尺用紙の幅方向43の両端を位置決めするためにサイドフェンス46をユーザーが移動させた場合に、その位置からサイドフェンス46を幅方向43の外側へ移動させないように、その移動を制限するものである。図4に示されるように、固定具56は、薄型直方体形状に形成されたベース73(本発明の基部の一例)と、ベース73の中心を貫通して取り付けられた回転レバー74(本発明の固定部の一例)と、ベース73の長手方向に垂直な方向へ突出するスライドガイド75と、ベース73からサイドフェンス46側へ突出してサイドフェンス46の外側面に当接される当接部76(本発明の突出部の一例)と、ベース73の裏面に設けられたゴムパッド77とを有する。スライドガイド75は、ベース73に一体に形成されており、ベース73の長手方向に対して垂直な方向へ突出している。当接部76は、ベース73の長手方向の一方端から突出した断面形状がU字状の部材である。回転レバー74は、摘み74Aと、ベース73の上面に当接される円形状の座部74Bと、ベース73の裏面側へ貫通する突出部74Cと有しており、これらは一体に形成されている。座部74Bの裏面とベース73の上面には、回転レバー74の回転動作に伴って座部74Bとベース73とを接離させる回転カム(不図示)が設けられている。
【0036】
図3に示されるように、支持プレート68には、幅方向43に長い2つのガイド溝81(本発明の第1支持溝の一例)が形成されている。このガイド溝81は、支持プレート68において幅方向43に隔てられている。ガイド溝81は、固定具56のスライドガイド75が挿入可能なサイズに形成されている。ガイド溝81の溝幅はスライドガイド75の横幅よりも少し大きく設定されている。固定具56は、以下のようにして支持プレート68に取り付けられる。すなわち、スライドガイド75の突出方向とガイド溝81の長手方向とを一致させた状態でスライドガイド75をガイド溝81に挿入させるとともにベース73を支持プレート68の上面に載置させる。そして、回転レバー74の突出部74Cをベース73の上面から裏面へ貫通させてガイド溝81に挿入し、支持プレート68の裏面側に突出した突出部74Cの端部にストップリング79を嵌め込む。ストップリング79は、ガイド溝81の溝幅よりも大きく形成されており、そのため、ストップリング79が突出部74Cに嵌め込まれることによって、回転レバー74がベース73から抜けなくなる。このようにして、図3及び図5(A)に示されるように、固定具56が支持プレート68の上面に取り付けられる。回転レバー74が図4に示される位置にあるときは、固定具56は支持プレート68に固定されていない。この状態では、固定具56は、スライドガイド75がガイド溝81に沿って案内されることで、ガイド溝81の長手方向(幅方向43)に沿ってスライド可能である。固定具56が所定の位置に移動されて、その位置で回転レバー74が4分の1回転(90°回転)されると、回転レバー74の座部74Bの回転カム(不図示)によってベース73が相対的に下方へ移動し、これにより、ストップリング79とベース73の裏面のゴムパッド77とによってガイド溝81の縁部が挟み持たれる。このため、ゴムパッド77と支持プレート68の上面との摩擦力によって、固定具56が支持プレート68に対して固定される。
【0037】
図7に示されるように、支持プレート68の裏面にローラー59が設けられている。ローラー59は、シート保持面44よりも上方に配置されており、側壁63間を幅方向43へ掛け渡すように設けられている。このローラー59は、補助トレイ33が手差しトレイ32に連結された状態で、シート保持面44からローラー59までの高さを規制するものである。シート保持面44からローラー59までの高さ寸法は、既定枚数の長尺用紙が挿通可能な寸法であり、しかも、支持プレート68の下側の通路70を通過する長尺用紙が浮き上がっていた場合に、その浮き上がりを適切に抑えることができる寸法に設計されている。
【0038】
図5に示されるように、支持プレート68の下側の通路70の幅方向43の両端には、ローラー59の両端部を支持する支持部84(本発明の軸受部材の一例)が設けられている。支持部84には、ローラー59の両端部を回転自在に支持する軸受け部(不図示)が設けられている。この軸受け部にローラー59の両端部が挿入されている。これにより、ローラー59は回転自在に支持される。なお、ローラー59が支持部84から抜けないように、ローラー59の端部には抜け止め86が設けられている。
【0039】
このように、シート保持装置30に固定具56とローラー59とが設けられているため、サイドフェンス46が固定具56によって確実に位置決めされる。このため、サイドフェンス46にがたつきが生じない。また、長尺用紙が通路70を通過する前に、浮き上がった長尺用紙がローラー59の表面によって下方へ規制されるため、長尺用紙の浮き上がりが抑制される。これにより、長尺用紙の斜め搬送の原因がなくなる。その結果、長尺用紙は斜めに給送されずに給送口36へ向かって真っ直ぐに給送される。
【0040】
図3に示されるように、前方アーム57及び後方アーム58は、フレーム55に取り付けられている。前方アーム57及び後方アーム58は、シート保持面44に保持された長尺用紙の後端側を湾曲させた状態でコンパクトに保持するためのものである。前方アーム57は、細長い金属棒を屈曲変形させることにより逆U字形状に形成されたシート支持部89と、側壁63の上端部に固定される脚部90とを有する。脚部90は、固定具56よりも給送方向42の上流側(後方側)に固定されている。本実施形態では、脚部90は、支持プレート68において給送方向42の上流側の端部付近に固定されている。前方アーム57には、それぞれの脚部90から幅方向43の中央側へ延出されてシート支持部89と連結する連結部91を有しており、この連結部91は、支持プレート68よりも上方に位置している。これにより、支持プレート68の下側の通路70に長尺用紙を挿通させることが可能である。
【0041】
シート支持部89は、幅方向43の中央に配置されており、給送方向42の上流側(後方側)へ概ね45°の角度で傾倒している。このシート支持部89の先端には、ストッパー97が設けられている。ストッパー97は、図6に示されるように、シート支持部89に保持された長尺用紙の後端を制止するためものであり、シート支持部89の先端側が給送方向42の下流側へ概ね直角に屈曲変形されることによって形成されている。
【0042】
後方アーム58は、前方アーム57よりも更に給送方向42の上流側(後方側)に設けられている。後方アーム58は、細長い金属棒を屈曲変形させることにより逆U字形状に形成されたシート支持部94と、後端部64に固定される脚部95とを有する。シート支持部94は、幅方向43の中央に配置されており、給送方向42の上流側(後方側)へ概ね5°から10°の角度で傾倒している。本実施形態では、後方アーム58のシート支持部94は、前方アーム57のシート支持部89よりも長く形成されているが、シート支持部94の先端の高さ位置は、シート支持部89の高さ位置よりも低い。
【0043】
このように前方アーム57及び後方アーム58が設けられているため、以下のようにして長尺用紙をシート保持装置30にセットすることができる。まず、図6及び図7に示されるように、長尺用紙の先端側を前方アーム57の連結部91の下を潜らせて通路70に挿入させ、そして、長尺用紙の先端を画像形成装置10の給送口36に達するまで押し込む。このとき、長尺用紙の中央部が後方アーム58のシート支持部94によって支えられている。この状態で、長尺用紙の後端側が画像形成装置10の側面35側へ1周するように曲げられて、更に、長尺用紙の後端側を支持プレート68の上面に載置させ、長尺用紙の後端を前方アーム57のシート支持部89に支持させる。これにより、図6に示されるように、長尺用紙が縦軸よりも横軸が長い概ね楕円形状を維持した状態で保持される。このとき、長尺用紙の後端は、ストッパー97によって制止されるため、シート支持部89から上方へはみ出すことはなく、湾曲された長尺用紙に接触しない。このように長尺用紙を湾曲した状態で保持させることにより、長尺用紙をシート保持装置30に確実にセットすることができ、また、シート保持装置30の後方側から長尺用紙が垂れ下がらないようにすることができる。また、シート支持部89から長尺用紙の後端がはみ出さなくなり、湾曲した用紙に後端が接触しないため、長尺用紙の給送時における接触による給送負担が防止される。
【0044】
《第2実施形態》
次に、図9乃至図11を参照して、本発明の第2実施形態に係るシート保持装置100(本発明のシート保持装置の一例)ついて説明する。シート保持装置100が上述の第1実施形態のシート保持装置30と異なるところは、補助トレイ33に取り付けられていた前方アーム57及び後方アーム58に代えて、前方アーム102(本発明の第1アームの一例)及び後方アーム103(本発明の第2アームの一例)が設けられている点と、支持プレート68の後端部69の形状に特徴を有する点であり、この2点を除けば、シート保持装置100は、シート保持装置30と同じ構成を有する。したがって、ここでは、シート保持装置100の構成のうち、シート保持装置30と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
【0045】
図9に示されるように、前方アーム102及び後方アーム103は、フレーム55に取り付けられている。前方アーム102及び後方アーム103は、シート保持面44に保持された長尺用紙の後端側を湾曲させた状態でコンパクトに保持するためのものである。前方アーム102は、細長い金属棒を屈曲変形させることにより逆U字形状に形成されたシート支持部105と、側壁63の上端部に固定される脚部106とを有する。脚部106は、支持プレート68よりも給送方向42の上流側(後方側)に固定されている。本実施形態では、脚部106は、概ね側壁63の給送方向42の中央に固定されている。前方アーム102には、それぞれの脚部106から幅方向43の中央側へ延出されてシート支持部105と連結する連結部107を有しており、この連結部107は、通路70よりも上方に位置している。これにより、連結部107の下側に長尺用紙を挿通させることが可能である。また、このような位置に前方アーム102が取り付けられているため、連結部107と支持プレート68との間に間隙109が形成される。シート支持部105は、幅方向43の中央に配置されており、給送方向42の上流側(後方側)へ概ね45°の角度で傾倒している。
【0046】
図9に示されるように、支持プレート68の後端部69、つまり、支持プレート68において間隙109側の端部は、後方側へ向かって幅方向43の中央が緩やかに突出した山形状に形成されている。言い換えると、後端部69は、後方側へ向かって先細り形状に形成されている。
【0047】
後方アーム103は、前方アーム102よりも更に給送方向42の上流側(後方側)に設けられている。後方アーム103は、細長い金属棒を屈曲変形させることにより逆U字形状に形成されたシート支持部111と、後端部64に固定される脚部112とを有する。シート支持部111は、幅方向43の中央に配置されており、給送方向42の上流側(後方側)へ概ね45°の角度で傾倒している。
【0048】
このように前方アーム102及び後方アーム103が設けられているため、以下のようにして長尺用紙をシート保持装置100にセットすることができる。まず、図10に示されるように、長尺用紙の先端側を前方アーム102の連結部107の下を潜らせて通路70に挿入させ、そして、長尺用紙の先端を画像形成装置10の給送口36に達するまで押し込む。このとき、長尺用紙の中央部が後方アーム103のシート支持部111によって支えられている。この状態で、長尺用紙の後端側が画像形成装置10の側面35側へ1周するように曲げられて、更に、長尺用紙の後端側を支持プレート68の上面に載置させ、長尺用紙の最後端を前方アーム102のシート支持部105に支持されるように配置させる。このように長尺用紙を湾曲した状態で保持させることにより、長尺用紙をシート保持装置100に確実にセットすることができ、また、シート保持装置100の後方側から長尺用紙が垂れ下がらないようにすることができる。
【0049】
また、前方アーム102及び後方アーム103が適度に後方側へ傾斜しているため、図11(A)に示されるように長尺用紙がシート保持装置100にセットされた状態から、長尺用紙の給送が開始されると、以下のようにして長尺用紙が給送される。つまり、長尺用紙の給送が開始されると、図11(B)に示されるように、長尺用紙の湾曲形状が徐々にきつくなる(曲率が大きくなる)。そして、更に給送されると、長尺用紙の後端がシート支持部105から徐々に間隙109に近づき、そして、長尺用紙の後端が間隙109に入り込む(図11(C)参照)。そして、更に長尺用紙が給送されると、更に長尺用紙の湾曲形状がきつくなるが、長尺用紙の後端が間隙109に入り込んで支持プレート68の後端部69に引っかかっているので、長尺用紙は後方へ垂れ下がらない。そして、湾曲形状の径がより小さくなると、長尺用紙の後端が支持プレート68の後端部69から外れようとする力が大きくなり、その力が後端部69に引っかかろうとする力を超えると、長尺用紙の後端の引っかかりが外れて、長尺用紙の後端が間隙109から抜け出る。これにより、長尺用紙の後端が後方側へ移動して、シート支持部105に支持される。このとき、長尺用紙の大半は画像形成装置10の内部に給送されているため、図11(D)に示されるように、長尺用紙が後方へ垂れ下がることはない。なお、上述したように、支持プレート68の後端部69は緩やかに先細り形状となっており、後端部69と長尺用紙との接触点を小さくして、長尺用紙の後端が後端部69に引っかかろうとする力が必要以上に大きくならないように調整されている。これにより、長尺用紙の後端が引っかかりやすく、また、過度に引っかからないため抜け出やすくなっている。
【0050】
なお、上述の各実施形態では、印刷用紙がセンターレジされる構成を例示するが、一方の側板40を基準位置としてその側板40に印刷用紙の一方の側端を位置決めする所謂サイドレジの構成であっても、本発明は適用可能である。また、支持プレート68の後端部69を先細り形状としたが、幅方向43の中央から後方側へ向かって末広がり形状であってもよい。
【0051】
また、上述の実施形態では、給紙手段39が搭載された画像形成装置10に本発明の一例であるシート保持装置30が適用された構成について例示するが、例えば、ADFと略称されている従来周知の自動原稿搬送装置(本発明のシート搬送装置の一例)がスキャナー12に搭載されている場合は、前記自動原稿搬送装置にシート保持装置30が適用された構成であっても、本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリ、及びこれらの複合機などの画像形成装置に搭載されているシート搬送装置や、スキャナーなどの画像読取装置に搭載されている自動原稿搬送装置に設けられたシート搬送装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10:画像形成装置
12:スキャナー
30:シート保持装置
32:手差しトレイ
33:補助トレイ
44:シート保持面
46:サイドフェンス
56:固定具
57:前方アーム
58:後方アーム
68:支持プレート
81:ガイド溝
84:支持部
100:シート保持装置
102:前方アーム
103:後方アーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搬送装置の内部に給送される長尺シートを保持するトレイ本体と、
前記長尺シートが給送される第1方向と交差し且つ前記トレイ本体のシート保持面に平行な第2方向へスライド可能なように前記トレイ本体に設けられ、前記シート保持面に載置された前記長尺シートの前記第2方向の端部を所定位置に位置決めするサイドフェンスと、
前記サイドフェンスが前記所定位置から前記第2方向へ移動することを制限する移動制限部材と、
前記シート保持面の上方に前記第2方向へ掛け渡すように設けられ、前記シート保持面からの高さを規制して前記シート保持面上の前記長尺シートの浮き上がりを防止する規制部材と、を具備するシート保持装置。
【請求項2】
前記トレイ本体は、第1トレイと、該第1トレイに取り外し可能に連結された第2トレイとにより構成されており、
前記第1トレイに前記サイドフェンスが設けられており、
前記第2トレイに前記移動制限部材及び前記規制部材が設けられている請求項1に記載のシート保持装置。
【請求項3】
前記第2トレイは、前記シート保持面から上方へ隔てられ、前記シート保持面との間に前記長尺シートが案内される通路を形成するガイド部材を有し、
前記ガイド部材の上面に前記移動制限部材が設けられており、
前記ガイド部材の下面に前記規制部材が設けられている請求項2に記載のシート保持装置。
【請求項4】
前記ガイド部材の上面に前記第2方向の第1支持溝が形成されており、
前記移動制限部材は、前記第1支持溝に挿入されて該第1支持溝に沿って移動可能な基部と、前記第1支持溝の縁部を挟み持つことにより前記基部を前記ガイド部材に固定する固定部と、前記基部から前記第1トレイ側へ突出して前記サイドフェンスに当接する突出部とを有する請求項3に記載のシート保持装置。
【請求項5】
前記通路の前記第2方向の両端側に軸受部材が設けられており、
前記規制部材は、その両端部が前記軸受け部材に回転自在に支持されたローラーである請求項3又は4に記載のシート保持装置。
【請求項6】
前記第2トレイは、前記トレイ本体に載置された前記長尺シートの後端側を湾曲させた状態で保持するとともに給送時に前記長尺シートをガイドする第1アーム及び第2アームを有し、
前記第1アームは、前記通路よりも上方に設けられ、前記第1方向の上流側へ傾倒されており、
前記第2アームは、前記第1アームよりも前記第1方向の上流側に設けられ、前記第1方向の上流側へ傾倒されている請求項3から5のいずれかに記載のシート保持装置。
【請求項7】
前記第1アームの先端に、該第1アームに保持された前記長尺シートの後端を制止するストッパーが設けられている請求項6に記載のシート保持装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のシート保持装置を具備する画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のシート保持装置を具備する画像形成装置。
【請求項1】
シート搬送装置の内部に給送される長尺シートを保持するトレイ本体と、
前記長尺シートが給送される第1方向と交差し且つ前記トレイ本体のシート保持面に平行な第2方向へスライド可能なように前記トレイ本体に設けられ、前記シート保持面に載置された前記長尺シートの前記第2方向の端部を所定位置に位置決めするサイドフェンスと、
前記サイドフェンスが前記所定位置から前記第2方向へ移動することを制限する移動制限部材と、
前記シート保持面の上方に前記第2方向へ掛け渡すように設けられ、前記シート保持面からの高さを規制して前記シート保持面上の前記長尺シートの浮き上がりを防止する規制部材と、を具備するシート保持装置。
【請求項2】
前記トレイ本体は、第1トレイと、該第1トレイに取り外し可能に連結された第2トレイとにより構成されており、
前記第1トレイに前記サイドフェンスが設けられており、
前記第2トレイに前記移動制限部材及び前記規制部材が設けられている請求項1に記載のシート保持装置。
【請求項3】
前記第2トレイは、前記シート保持面から上方へ隔てられ、前記シート保持面との間に前記長尺シートが案内される通路を形成するガイド部材を有し、
前記ガイド部材の上面に前記移動制限部材が設けられており、
前記ガイド部材の下面に前記規制部材が設けられている請求項2に記載のシート保持装置。
【請求項4】
前記ガイド部材の上面に前記第2方向の第1支持溝が形成されており、
前記移動制限部材は、前記第1支持溝に挿入されて該第1支持溝に沿って移動可能な基部と、前記第1支持溝の縁部を挟み持つことにより前記基部を前記ガイド部材に固定する固定部と、前記基部から前記第1トレイ側へ突出して前記サイドフェンスに当接する突出部とを有する請求項3に記載のシート保持装置。
【請求項5】
前記通路の前記第2方向の両端側に軸受部材が設けられており、
前記規制部材は、その両端部が前記軸受け部材に回転自在に支持されたローラーである請求項3又は4に記載のシート保持装置。
【請求項6】
前記第2トレイは、前記トレイ本体に載置された前記長尺シートの後端側を湾曲させた状態で保持するとともに給送時に前記長尺シートをガイドする第1アーム及び第2アームを有し、
前記第1アームは、前記通路よりも上方に設けられ、前記第1方向の上流側へ傾倒されており、
前記第2アームは、前記第1アームよりも前記第1方向の上流側に設けられ、前記第1方向の上流側へ傾倒されている請求項3から5のいずれかに記載のシート保持装置。
【請求項7】
前記第1アームの先端に、該第1アームに保持された前記長尺シートの後端を制止するストッパーが設けられている請求項6に記載のシート保持装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のシート保持装置を具備する画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のシート保持装置を具備する画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−112523(P2013−112523A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263463(P2011−263463)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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