説明

シート又はスキンへの切削弱化部の加工のための装置

本発明は、シート又はスキン(24)への切削弱化部の加工のための装置であって、切れ刃(12)を有しており、該切れ刃に対して配置されている支承体(18)を有しており、シート又はスキンが前記支承体と前記切れ刃との間に配置可能であり、且つ前記支承体に対して支持されており、前記切れ刃がシート又はスキンに対して相対的に可動に形成されている、シート又はスキンへの切削弱化部の加工のための装置に関する。規定の残留壁厚を保証するために、前記切れ刃と前記支承体との間の間隔を、切削軸線(19)の方向において一定に形成可能である装置を備えていることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部記載の、シート又はスキンへの切削弱化部の加工のための装置に関する。
【0002】
特定の使用領域のために、フラットなエレメントに切削弱化部、つまり切削加工による弱体部を加工することが必要である。切削弱化部は、たとえば目標破壊個所を規定することになる。使用領域は、組み込まれたエアバッグを備えた自動車のダッシュボードの製造である。この場合、エアバッグの作動時にダッシュボードが指定の個所、特に脆弱個所において開裂し、その結果、エアバッグが進出することになる。当該明細書において使用されている概念「シート」又は「スキン」はプラスチックスキン、シート又は適切なフラットなワークピースと解することができる。上記シート又はスキンにおける目的は、一方の側から材料を規定された残留壁厚が、場合によっては局所的に変動する壁厚、及びワークピースに対する工具のロボット案内式の相対運動の公差に関係なく生じるように切り込むということである。安全構成部材として見なすことができるエアバッグの領域における自動車のダッシュボードのスキンへの弱化部のまさに加工時において、切削の高い正確性、プロセス確実性及び良好なプロセスドキュメンテーションは極めて重要である。
【0003】
このような切削弱化部の加工のための公知の装置が図7に概略的に示されている。図7では適切な切削装置100において、切れ刃102が支承台108にわたって案内される。この支承台108には規定の線に沿って脆弱化したいワークピース110が配置されている。支承台108に対する切れ刃102の先端の間隔に基づき、切れ刃102の運動時にワークピース110に切削部が加工される。この場合、符号112で示されている残留壁厚が残る。先行技術においては、切れ刃102はサーボモータ104とスピンドル駆動装置106とを介して、切削軸線の方向において支承台に向かって運動でき、且つ支承台から離れる方向で運動することができる。切削工具の切削深さを監視及び制御するために、センサ118が使用される。このセンサ118は金属から構成された支承台108に対する間隔(符号116)を測定する。センサ信号と残留壁厚との間の幾何学的な関係(符号114)が、プロセスの前領域において一回の校正過程により基準化される。受信された信号は実施される切削の監視、又は切削深さの調整のために、切削過程中にすら利用することができる。
【0004】
上記実施の形態の主な欠点は、センサが切削軸線に対してずらされて配置されている点にある。この離間配置により、特に三次元の切削輪郭において切れ刃先端と支承台との間の誤差のある間隔値が検出される。この間隔値は切削工具における実際の状況に対応していない。従って場合によっては誤差のある測定値に基づき適切な調整運動が行われることはなく、これによりまさに切削のプロセスは確実には実施されていない。
【0005】
本発明の課題は上位概念部記載の装置を改良して、予め規定された残留壁厚を備えた所望の弱化部を正確に製造することができる装置を提供することである。
【0006】
上記課題は請求項1記載の特徴により解決される。
【0007】
本発明に係るシート又はスキンの切削弱化部の加工のための装置は、切れ刃を有しており、該切れ刃に向かい合って配置されている支承体を有しており、シート又はスキンが前記支承体と前記切れ刃との間に配置可能であり、且つ前記支承体に対して支持されており、前記切れ刃がシート又はスキンに対して相対的に可動に形成されている、シート又はスキンへの切削弱化部の加工のための装置において、前記切れ刃と前記支承体との間の間隔を、切削軸線の方向において一定に形成可能である装置が設けられていることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記切れ刃と前記支承体との間に機械的な連結部が形成されている。
【0009】
好ましくは、前記切れ刃と前記支承体との間の前記機械的な連結部が不動に形成されている。
【0010】
好ましくは、前記切れ刃と前記支承体とから成るユニットが弾性的な装置によって、スキン又はシートの前記支承体での確実な支持が保証されているように予負荷されている。
【0011】
好ましくは、前記機械的な連結部の形成のために、シート又はスキンを取り囲んでいる腹部領域(Bauchbereich)を備えた保持部材が設けられている。
【0012】
好ましくは、前記保持部材が少なくとも2つの部分から形成されており、2つの保持部分を相対的に互いに運動、特に旋回又は摺動させるために、前記2つの保持部分の間に有効な運動装置が設けられている。
【0013】
好ましくは、シート又はスキン及び切れ刃の相対運動を実施するための、前記切れ刃の運動のために形成されている運動装置が、前記切れ刃に間接的に又は直接的に係合するようになっている。
【0014】
好ましくは、シート又はスキン及び切れ刃の相対運動を実施するための、スキン又はシートの運動のために形成されている運動装置が、スキン又はシートに、又はスキン又はシートのための保持部に間接的に又は直接的に係合するようになっている。
【0015】
好ましくは、前記切削軸線において前記支承体の位置の検出のためのセンサが設けられており、前記切削軸線において前記切れ刃の位置の検出のためのセンサが設けられており、前記センサからそれぞれ適切な信号を受信する制御・調整装置が設けられており、前記切削軸線において切れ刃の調整のための調整駆動装置が設けられており、前記制御・調整装置が、前記切れ刃の位置の検出のためのセンサ、及び前記支承体の位置の検出のためのセンサのセンサ信号に関連して調整信号を形成するために形成されており、前記調整信号がサーボモータに提供される。
【0016】
好ましくは、前記切れ刃が該切れ刃の切削軸線を中心にして回動可能に形成されている。
【0017】
好ましくは、前記切れ刃の回動のために回動駆動装置が設けられている。
【0018】
好ましくは、前記支承体が前記切れ刃に相対して組込み式に走査装置を有しており、該走査装置がスキン又はシートが挿入されている場合、ストッパに対して戻し移動されており、スキン又はシートがない場合、切れ刃に接触するように移動可能であり、移動範囲がセンサによって検出される。
【0019】
従って本発明の核心を成す思想は、切れ刃と支承台との間の間隔を切削軸線に沿って一定に形成可能である装置に見て取ることができる。支承台と切れ刃との間の間隔が一定で、且つシートが連続的に支承台に支持されている場合、このことは単に絶対的に一定の残留壁厚に繋がることになる。
【0020】
この場合、当該装置は基本的に2つの形態で構成されていてよい。
【0021】
1つの形態は、切れ刃と支承体との間に機械的な連結部、特に剛性な機械的な連結部が形成されていることを特徴とする。従っていわば支承体と切れ刃とは間接的に又は直接的に機械的な構成を介して互いに結合される。この場合、弾性的な効果は別にして、2つの関連した部分の間にどんな間隔変更も生じることはない。このような連結部は、たとえば間接的に又は直接的に切れ刃及び支承体を互いに結合する保持部材によって達成することができる。スキン又はシートの支承体での連続的な支承を保証する装置が設けられていることも重要である。この種の装置は弾性的なエレメントによって、たとえばばねによって達成できる。このばねは、たとえば支承体と切れ刃とのコンビネーションをスキン又はシートに対して一方向において予負荷するので、スキン又はシートは常に支承体に接触している。この場合、弾性的なエレメントとしてスキン自体を使用することもできる。
【0022】
本発明の有利な実施の形態によれば、上記保持部材は少なくとも2つの部分から形成されている。この場合、2つの保持部分の間には可動な連結装置が設けられていて、これによって2つの保持部分の相対運動(摺動、旋回)が互いに相対的に可能になる。この種の相対運動は旋回又は摺動の形で行われていてよい。当然、2つの構成部分自体は脆弱化過程、つまり切削の実施中に互いに位置固定可能であることが望まれる。
【0023】
切削効果を達成するために、切れ刃とシートもしくはスキンとは互いに相対的に運動する必要がある。この場合、切れ刃だけ又はシートもしくはスキンだけが相互に同時に運動でき、また2つのエレメントが同時に相互に運動することもできる。
【0024】
切れ刃と支承体との剛性な結合に対する基本的な第2の実施の形態として、場合によって互いに調整可能である2つの構成部材が、既述した予め規定可能な残留壁厚が常に保証されているように互いに適合することが可能である。この目的のために、切削軸線においてそれぞれ支承体の位置及び/又は切れ刃の位置が検出できる。2つの位置は制御・調整装置に供給できる。制御・調整装置は2つの位置から切れ刃の先端と支承体との間の間隔を検出する。この信号に応じて切れ刃又は支承体のための、又は場合によって2つの装置のための駆動装置を、制御移動において所望の残留壁厚を達成するための間隔が確実に調節されるように制御することができる。ここでやはり切削軸線の延在部において不動の間隔が重要である。
【0025】
任意に形成された脆弱化線を材料に加工するために、切れ刃をその切削軸線を中心に回動可能に形成することが有利であってよい。この場合、切れ刃はこの切れ刃とワークピースとの間の各方向変化時に、常に所望な形式で調節されて最適な切削部を形成するようになる。保持部材をこの場合、フリーホイール及びモーメント支持部を介して所定の不動の回動位置において、工具もしくはアクスル6の回動に依存せずにロボットハンドジョイントに保持することができる。この場合、対応支承体は可動な球体として構成することができ、これによって切れ刃切削方向での運動が可能になる。保持部材はこの手段により、ワークピースへの最適な接近を許容する位置に保持することができる。
【0026】
この場合、当然、方向変更に応じて調節される(たとえば外部のロボットアクスルである)付加的な回動駆動装置が、切れ刃の回動のために設けられていてもよい。同様に、モーメント支持部と球体とは付加的で且つ同期化される回動駆動装置に組み付けられる可動なローラと交換できる。
【0027】
更に別の実施の形態は、支承体に相対している切れ刃が組込み式で走査装置を有していることを特徴とする。この走査装置はスキン又はシートが挿入されている場合、ストッパに対して戻し移動させられていて、スキン又はシートがない場合には切れ刃に接触するように移動させられている。まさに今記載した2つの位置の間の移動範囲は、センサによって検出される。特にこの形態は、切れ刃の前方の先端が破損しているかどうか検出したい場合に有利である。つまりたとえば切れ刃の先端が欠けている場合、移動範囲は所望の残留壁厚より大きくなり、この逸脱に基づいて誤差のある制御を推測できるか、又は破損した切れ刃をまた推測できる。
【0028】
以下に、本発明を複数の実施の形態に基づいて添付の図面につき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施の形態に基づく本発明による切削工具の概略的な側面図である。
【図2】第2の実施の形態に基づく本発明による切削工具の概略的な側面図である。
【図3】第3の実施の形態に基づく本発明による切削工具の概略図である。
【図4】第4の実施の形態に基づく本発明による切削工具の概略図である。
【図5】図5a〜図5cは、それぞれ本発明による切削工具の複数の部材から成る開閉可能な保持部材を示した種々異なる概略図である。
【図6】走査装置を備えた本発明による切削工具の概略図である。
【図7】先行技術に基づく切削工具の概略図である。
【0030】
図1には、プラスチックスキンと類似のワークピースとを脆弱化するための切削工具10を概略的な図面において概略的に示した。プラスチックスキン24(以下、ワークピースとも呼ぶ)は2つの緊締装置26の間に固定保持されている。切削工具10は切れ刃12と、切削軸線14の延長部分に対応支承体18とを有している。この対応支承体18はこの実施の形態においては支承体の機能も有している。対応支承体18はロードセル(Kraftmessdose)22のケーシング内に保持されている。このロードセル22によって対応支承体18への圧力を検出することができる。以下、総じてワークピースが直接支持される各装置を支承体と表す。
【0031】
切削工具12とロードセル22とはU字形に形成された保持部材16を介して剛性(不動)に互いに結合されている。この関係において、対応支承体18は保持部材16に対して、且つ切削軸線14に沿って摺動することはなく、その結果、対応支承体18と切削工具12の先端との間の間隔は常に同一に形成されている、ということを指摘することができる。この間隔28は後の残留壁厚に相当する。対応支承体18の切削工具側の端部に、回動可能に保持されている球体20が設けられている。
【0032】
図1には切削工具の保持部自体は示されていない。切削工具を、たとえば矢印30の方向で動かせるように、切削工具は、たとえばロボット装置に保持されている。このロボット装置によって切削工具は少なくとも一平面において移動することができる。しかしこのためには基本的にあらゆる運動装置が適している。これらの運動装置によって、保持部材を必要な位置、つまりx軸、y軸及びz軸に運動させることができる。
【0033】
従って、本発明の上記第1の実施の形態の機能形式は明確であり、自体極めて簡単である。脆弱化しようとするワークピース24を切削工具12と対応支承体18との間の中間空間に挿入した後、もしくはワークピースの作業領域へのワークピースの進入後に、切削工具10は、ワークピース24がその弾性的な変形下で対応支承体18(ここでは球体20)において適切な力で支持されるように動かされる。ロードセル22によって力は検出されるか、もしくは支承体として働く対応支承体18においての脆弱化したいワークピースの連続的な支承が存在することが確認される。切削工具12、保持部材16及び対応支承体18から成る剛性なユニットの運動時に、ワークピース24に切削部を加工することにより弱化部が達成される。この弱化部において、切れ刃12と球体20の最上端部との間の間隔により規定される間隔が対応する残留壁厚を保証される。
【0034】
本発明の構造的に多少変更された実施の形態が図2に示されていて、以下、説明される。この場合、図1と同じ構成部分は同じ符号で表した。図1の実施の形態と図2の実施の形態との相違は、今や脆弱化しようとするワークピース24がプレート40(支承台とも言う)に配置されている、という点に見ることができる。支承台はここでは支承体の機能を引き継いでいる。ここでは支承台の下側の面上を対応支承体18の球体18が転動する。支承台40自体へのワークピース24の接触は、切削工具12と、保持部材16と、対応支承体18とから成るユニットの、ばね38を介したプリロードにより保証される。ばね38は保持部材16の外部に取り付けられている支持台36と、保持部材16の支持プレート34との間において延びている。このばね38によって球体20は支承台40の下面に押し付けられる。この場合、この力はやはりロードセル22を介して検出することができる。残留壁厚は支承台40の厚さを差し抜いた、対応支承体18に対する切れ刃の間隔の差異からもたらされる。
【0035】
本発明の更に別の実施の形態が図3において同様に概略的に示されている。この図では、調整もしくは制御に関して有効な構成部材しか示されていない。別の構成部材は図面を見やすくするために省かれている。
【0036】
図3には切れ刃12′が設けられている。この切れ刃12′は、アクチュエータ(たとえばサーボモータ50及びスピンドル駆動装置52)によって切れ刃12′の切削軸線の方向に所定の範囲において調整可能である。切れ刃12′の位置は間隔センサによって確定される。このセンサ54は信号線路60を介して制御・調整ユニット56と結合されている。更にこの制御・調整ユニット56はサーボモータ50への制御線路58を有している。制御線路58によってサーボモータ50に適切な調整信号を供給することができる。
【0037】
更に他の間隔センサ62が配置されている。この間隔センサ62は支承台40′の下側に位置決めされていて、フィーラ(Taster)を介して測定点66に対する距離を検出する。この場合、測定点は支承台40の下面と切削軸線との交点に位置する。この間隔情報は信号線路64を介して同様に制御・調整ユニット56に供給される。
【0038】
制御・調整ユニット56は適切な校正において、切れ刃12′の先端と、切削軸線の方向において支承台40′の下面に設けられている測定点66との間の間隔を規定することができ、所望の間隔に応じてカッタ位置の後調整をサーボモータを介して行うことができる。支承台32′の厚さを差し引いた切れ刃12′と測定点66との間の間隔に応じて、やはり残留壁厚がもたらされる。
【0039】
上記確実によりコストのかかる装置の利点は残留壁厚を調節できるという点である。更に可変もしくは未定の厚さを持った支承台を使用することが可能である。ここではまず切れ刃と間隔センサとが交換され、一回の基準走行において厚さ経過が運動にわたって検出される。この基準データは保存され、場合によっては可変の目標残留壁厚と一緒に後の切削過程時に目標値として使われる。
【0040】
図3の実施の形態においては支承台40′はそこに位置決めされたスキンと一緒に矢印27の方向に沿って運動する。この場合、制御・調整ユニット56は連続的に且つ間隔センサ54,62の信号に依存して、サーボモータ50のための制御信号を規定する。こうして切れ刃12′と支承体(ここでは支承台40′)との間に剛性な結合部が設けられていない場合でも、切削軸線の適切な監視により規定された残留壁厚を保証することができる。
【0041】
図4に示した実施の形態は多くの点において、図1に示した実施の形態に相応している。しかしここでは保持部材はカッタ回動軸線76を中心に回動可能に支承されている。保持部材はモーメント支持部70を介してロボットリストジョイント72に支持されるので、保持部材はその位置をカッタ回動に依存せずに保持する。切れ刃12″の回動性に基づき任意の切削線に沿った申し分のない切削を行うことができる。各方向変更時には、切れ刃12″の適切な回動が行われるので、切削結果は最適である。
【0042】
切削工具によるワークピースへの簡単な接近性も特に重要である。図5a〜5cから3つの種々異なる実施の形態を見て取ることができる。これらの実施の形態によって、少なくとも切削過程中の切れ刃と支承体との間の剛性な連結部において、工具の適切な挿入が問題なく可能になる。
【0043】
図5aの第1の実施の形態においては、U字形の保持部材が2つの部分から、つまり第1の上側の角を持った領域80と脚部84とを備えて形成されている。領域80と脚部84とは回動ジョイントを介して互いに結合されている。回動ジョイントとは反対の側にある、脚部84の端部に対応支承体が配置されている。保持部材の角を持った部分80に対する脚部84の旋回により収容空間を開放することができ、その結果、難なくスキンエレメントを挿入することができる。スキンエレメントの挿入後もしくはワークピースへの進入後に、U字形の保持部材は脚部84の上方旋回により閉じることができる。当然、作業過程中には、U字形の保持部材の2つの異なる構成要素自体は位置固定されている必要がある。
【0044】
スキン部分を挿入するための更に別の実施の形態が図5bに示されている。図5bでは今や保持部材の角を持った部分80′は脚部84′とジョイントによりもはや結合されていない。むしろここでは脚部84′は適切なガイドを介して他の保持部材80′において線状に可動に保持されている。2つの構成要素の線状移動もしくは位置固定は、ハイドロリックシリンダ86を介して行われる。このハイドロリックシリンダ86は一方では保持部材80′に対して支持されていて、他方では保持部材84′に対して支持されている。当然、アクチュエータを択一的にニューマチック式の駆動装置、又は電気的な駆動装置として構成されていてもよい。
【0045】
問題ない挿入もしくは進入を保証するための更に別の実施の形態が図5cに示されている。図5cでは図5bにおける実施の形態と比較して、全体的な下側の脚部84′が下がるのではなく、対応支承体84″が下がるだけである。従ってU字形の保持部材は実質的に不動に保持されたままである。
【0046】
本発明の最後の実施の形態が図6に示されている。図6では支承体として働く対応支承体92についてのみ触れたい。この対応支承体は同時に測定ヘッドを持って形成されていて、測定フィーラ94との結合部を有している。スキン(図6には示されていない)が挿入されている場合には、測定ヘッド92はストッパに対して下方に動かされ、ひいては切れ刃の先端から距離を置く。この距離は残留壁厚に相当する。しかしスキンが取り去られると、測定ヘッド92は切れ刃の方向に前進移動することができる。この場合、測定フィーラ94を越えて移動経路が検出される。こうして切削工具に対する支承体の間隔を検出することができる。この間隔が所望の残留壁厚に相当しないと、誤差のある調整が生じるか、又はまた切れ刃がその先端領域において損なわれてしまう。
【0047】
総じて切削工具もしくは切れ刃、並びに対応支承体もしくは支承体が、2つの構成要素の間の間隔が正確に規定されているように互いに(受動的又は能動的に)連結される。従って、ワークピースが対応支承体に接触している場合に、対応支承体は切削工具の運動、ひいては切削深さを直接切削軸線において規定する。「仮想の対応支承体」の使用は同様に本発明の範囲内にある。「仮想の対応支承体」においては残留壁側の位置が非接触式に作動するセンサにより検出される。このことはワークピースの残留壁厚が直接対応支承体に対して使用されない場合にも当てはまり、一方でその代わりに反対側の装置側及びワークピースの残留壁厚が、装置の製作基準により明らかとなるか、又は基準走行によって検出される。
【0048】
ロボット運動の公差の調整は、能動的又は受動的な調整エレメントによって行われる。この調整エレメントは切削軸線の方向において、工具と対応支承体との間の相対位置をワークピース、工具・対応支承体ユニット及び/又は工具と対応支承体との同期化された自動運動性の運動により規定の量に合わせて停止する。対応支承体とワークピースの残留壁側との間の接触は、組み込まれたセンサ系(力センサ、精密スイッチ、間隔センサ)により監視することができる。
【0049】
総じて上記プロセスは工具案内式又はワークピース案内式に行うことができる。このことは、工具を案内することができるか、又は定置に配置することができるということを意味する。工具として、たとえばブレード、スピンドルを備えたフライス、超音波カッタ、ホットナイフ、穿孔工具(たとえば振動ピン)等の機械的な全切削工具を考慮する。
【0050】
対応支承体と工具の能動的な連結部が、任意の機械的、又はニューマチック式、又は機械的、又は液圧式のアクチュエータの使用、又はこれらの組合せの使用により行うことができる。
【0051】
工具と対応支承体との直接的な機械的な連結部において外部のロボットアクスルを、保持部材を衝突領域から保持するために使用することができる。更に保持部材は工具案内式の実施の形態においては、保持部材の位置がロボットのアクスルに依存せず、作業領域への最適な接近を可能にするように機械的にロボットに適合させることができる。更に回転対称的な工具の使用は最適な位置における保持部材の使用を許容する。
【0052】
上述のように工具への最適な接近性を保証もしたい。
【0053】
本発明は、プラスチックスキン及び類似のワークピース、つまりシート等の脆弱化において高いプロセス確実性を片側の切込みにより保証する。なぜならば支承体と切削工具の先端との規定された間隔は切削軸線の方向において保証されているからである。
【符号の説明】
【0054】
10 切削工具、 12,12′,12″ 切れ刃(部分的に回動可能)、 14 切削軸線、 16 保持部材、 18 対応支承体、 20 球体、 22 ロードセル、 22、 24 (脆弱化したい)ワークピース、 26 緊締装置、 28,28′ 残留壁厚、 30 運動方向、 32,32′ 支承台の厚さ、 34 支持プレート、 36 支持台、 38 渦巻ばね、 40,40′ 支承台、 50 サーボモータ、 52 スピンドルモータ、 54 切れ刃のための間隔センサ、 56 制御・調整ユニット、 58 サーボモータのための制御ライン、 60 間隔センサの信号ライン、 62 支承台のための間隔センサ、 64 間隔センサの信号ライン、 66 測定点、 70 保持アーム、 72 ジョイント、 74 ロボットアーム、 76 回動保持部、 80,80′,80″ 保持部材(第1の部分)、 82 ジョイント、 84,84′,84″ 保持部材(第2の部分)もしくは対応支承体、 86,86′ ハイドロリックシリンダ、 88,88′ ハイドロリックシリンダのための支持部(可動)、 90 ロードセル、 92 対応支承部及び測定ヘッド、 94 測定センサ、 96 切削ギャップ、 100 切削工具(先行技術)、 102 切れ刃、 104 サーボモータ、 106 調整スピンドル、 108 支承台、 110 (脆弱化したい)ワークピース、 112 残留壁厚、 114 基準厚さ、 116 センサ信号、 118 間隔センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート又はスキンへの切削弱化部の加工のための装置であって、
切れ刃を有しており、
該切れ刃に向かい合って配置されている支承体を有しており、
−シート又はスキンが前記支承体と前記切れ刃との間に配置可能であり、且つ前記支承体に対して支持されており、
−前記切れ刃がシート又はスキンに対して相対的に可動に形成されている、
シート又はスキンへの切削弱化部の加工のための装置において、
前記切れ刃と前記支承体との間の間隔を、切削軸線の方向において一定に形成可能である装置が設けられていることを特徴とする、シート又はスキンへの切削弱化部の加工のための装置。
【請求項2】
前記切れ刃と前記支承体との間に機械的な連結部が形成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記切れ刃と前記支承体との間の前記機械的な連結部が不動に形成されている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記切れ刃と前記支承体とから成るユニットが弾性的な装置によって、スキン又はシートの前記支承体での確実な支持が保証されているように予負荷されている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記機械的な連結部の形成のために、シート又はスキンを取り囲んでいる腹部領域を備えた保持部材が設けられている、請求項2から4までのいずれか一項記載の装置。
【請求項6】
前記保持部材が少なくとも2つの部分から形成されており、2つの保持部分を相対的に互いに運動、特に旋回又は摺動させるために、前記2つの保持部分の間に有効な運動装置が設けられている、請求項5記載の装置。
【請求項7】
シート又はスキン及び切れ刃の相対運動を実施するための、前記切れ刃の運動のために形成されている運動装置が、前記切れ刃に間接的に又は直接的に係合するようになっている、請求項1から6までのいずれか一項記載の装置。
【請求項8】
シート又はスキン及び切れ刃の相対運動を実施するための、スキン又はシートの運動のために形成されている運動装置が、スキン又はシートに、又はスキン又はシートのための保持部に間接的に又は直接的に係合するようになっている、請求項1から7までのいずれか一項記載の装置。
【請求項9】
前記切削軸線において前記支承体の位置の検出のためのセンサが設けられており、
前記切削軸線において前記切れ刃の位置の検出のためのセンサが設けられており、
前記センサからそれぞれ適切な信号を受信する制御・調整装置が設けられており、
前記切削軸線において切れ刃の調整のための調整駆動装置が設けられており、
前記制御・調整装置が、前記切れ刃の位置の検出のためのセンサ、及び前記支承体の位置の検出のためのセンサのセンサ信号に関連して調整信号を形成するために形成されており、
前記調整信号がサーボモータに提供される、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記切れ刃が該切れ刃の切削軸線を中心にして回動可能に形成されている、請求項1から9までのいずれか一項記載の装置。
【請求項11】
前記切れ刃の回動のために回動駆動装置が設けられている、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記支承体が前記切れ刃に相対して組込み式に走査装置を有しており、該走査装置がスキン又はシートが挿入されている場合、ストッパに対して戻し移動されており、且つスキン又はシートがない場合、切れ刃に接触するように移動可能であり、移動範囲がセンサによって検出される、請求項1から11までのいずれか一項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−544475(P2009−544475A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519881(P2009−519881)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052412
【国際公開番号】WO2008/009488
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508050211)クラウスマッファイ テヒノロギース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】KraussMaffei Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Krauss−Maffei Strasse 2, D−80997 Muenchen, Germany