説明

シート収納装置および画像形成装置

【課題】シート位置を規制する規制部材をシートサイズに応じて容易に調整することが可能なシート収納装置を提供する。
【解決手段】このシート収納装置10a(10b)は、複数数のシートPを積載して収納するシート収納部31と、シート収納部31内に設けられてシート位置を規制するエンドカーソル(規制部材)50とを備えている。エンドカーソル50は2以上の部材によって折り畳み自在に構成されており、シート収納部31内に着脱自在に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンター、ファクシミリ等に代表される画像形成装置およびその画像形成装置に用いられるシート収納装置およびに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター等に代表される画像形成装置には、複数枚のシートを収容することができるシート収納装置が備えられている。
【0003】
ここで、例えば1台の画像形成装置を多数のユーザーが共用するような場合には画像形成装置1台当たりのシート消費量が増大する。このため、収納可能なシート枚数をより増加させた大容量のシート収納装置が開発されている。
【0004】
このような大容量シート収納装置の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1には、複数枚の第1の用紙を積載する第1用紙収容部と、複数枚の第2の用紙を積載する第2用紙収容部と、第2の用紙を第1用紙収容部へ一括して移送する移送フェンスとを備えた給紙装置(シート収納装置)が記載されている。この給紙装置では、複数枚の第2の用紙を第1用紙収容部へ一括して移送する際の同用紙の上部が後方にずれる用紙ずれを防止するために、移送フェンスに用紙ずれ防止手段が一体に設けられている。これにより、用紙ずれ(用紙崩れ)が防止され、ひいては不送りや重送あるいは順番狂い等の給紙不具合が防止される。
【0005】
また、上記のようなシート収納装置では、シートサイズ(用紙サイズ)に応じてシート位置を規制する規制部材が設けられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−274661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の給紙装置では、規制部材はユーザーが容易にサイズ変更を行うための構成となっていないため、規制部材をシートサイズに応じて調整することができないという問題点がある。
【0008】
一方、従来の大容量シート収納装置では、シートサイズの異なるシートを頻繁に入れ替えることが少ないため、通常、規制部材は固定されている。このため、特許文献1と同様、シートサイズに応じて規制部材を移動させることができない構成となっている。また、規制部材を移動させることができる場合でも、工具を用いる必要がある等、ユーザーが容易にサイズ変更を行うことができない構成となっている。このため、従来の大容量シート収納装置においても、規制部材をシートサイズに応じて調整することができないという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、シート位置を規制する規制部材をシートサイズに応じて容易に調整することが可能なシート収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のシート収納装置は、複数枚のシートを積載して収納するシート収納部と、シート収納部内に設けられてシート位置を規制する規制部材とを備えている。そして、規制部材は2以上の部材によって折り畳み自在に構成されており、シート収納部内に着脱自在に固定されている。
【0011】
上記構成のシート収納装置では規制部材が2以上の部材によって折り畳み自在に構成されているため、規制部材が折り畳まれた状態と折り畳まれていない状態とで規制部材の取付位置を変えることができる。このため、シートサイズに応じて規制部材を自在に折り畳むことにより、シートサイズに応じた位置に規制部材を固定することができる。また、規制部材はシート収納部材内に着脱自在に固定されるため、規制部材をシートサイズに応じて容易に調整することができる。
【0012】
また、シート収納部は底部と壁部とを有しており、規制部材はシート収納部の底部および壁部に嵌め込み固定されているのが好ましい。このように構成されていれば、工具等を用いることなく規制部材を容易に着脱することができる。また、規制部材をシート収納部の底部および壁部に固定することにより、例えば規制部材をシート収納部の底部のみに固定する場合に比べて、規制部材を安定して固定することができる。特に大容量シート収納装置の場合には数千枚単位のシートが積載(収納)されるため、規制部材をシート収納部の底部のみに固定した場合には規制部材がぐらつき易い。その一方、上記のように規制部材をシート収納部の底部および壁部に固定することにより、数千枚単位のシートが積載(収納)される場合でも規制部材のぐらつき等が抑制されて、安定してシート位置を規制することができる。
【0013】
また、規制部材がシート搬送方向の位置決め機能を持ちシートの後端位置を規制するエンド規制部材と、シート搬送方向に対して直角方向の位置決め機能を持つサイド規制部材とを含む場合、エンド規制部材が折り畳み自在に構成されているのが好ましい。
【0014】
さらに、規制部材は、シートと接する長尺状の第1部材と、第1部材に回動可能に支持された第2部材とを有し、第2部材が支持される支持部が第1部材の上方に位置する構成とされているとより好ましい。このように構成されていれば、例えば長尺状の第1部材をシート収納部の底部に固定し、第2部材をシート収納部の壁部に固定することにより、数千枚単位のシートが積載(収納)された大容量シート収納装置において、規制部材をより安定して固定することができる。
【0015】
また、規制部材がシートと接する長尺状の第1部材と、第1部材に回動可能に支持された第2部材とを有する場合、第1部材には長さの異なる複数の第2部材が回動可能に支持された構成とすることもできる。このように構成されていれば、シートサイズの異なる複数種類(例えば3種類以上)のシートに対して、シートサイズに応じた位置に規制部材を固定することができる。このため、規制部材の固定位置を変えることにより、複数種類(例えば3種類以上)のシートに対応するようにサイズ変更を行うことができる。
【0016】
なお、上記規制部材は多段階(例えば2段階)に折り畳み自在に構成されていてもよい。このように構成されている場合も、規制部材の固定位置を複数カ所(例えば3カ所以上)に変えることができるので、シートサイズの異なる複数種類(例えば3種類以上)のシートに対応可能とすることができる。
【0017】
また、上記構成のシート収納装置において、シート収納部内に上下に昇降可能に配置されたリフト板をさらに備えていてもよい。この場合、規制部材はリフト板が昇降する方向にシートをガイドするガイド機能を有しているのが好ましい。
【0018】
また、本発明の画像形成装置は上記シート収納装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、シート位置を規制する規制部材をシートサイズに応じて容易に調整することが可能なシート収納装置およびそのシート収納装置を備えた画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態によるシート収納装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態によるエンドカーソルをシート収納装置に取り付けた状態を示した図(第2カーソルを起こした状態で取り付けた図)である。
【図3】本発明の一実施形態によるエンドカーソルをシート収納装置に取り付けた状態を示した図(第2カーソルを折り畳んだ状態で取り付けた図)である。
【図4】本発明の一実施形態によるシート収納装置を備えた給紙機構の外観斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によるシート収納装置を備えた給紙機構の外観斜視図(シート収納装置を引き出した状態の図)である。
【図6】本発明の一実施形態によるシート収納装置を示した斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態によるシート収納装置を概略的に示した平面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるシート収納装置を示した平面図(第2カーソルを起こした状態でエンドカーソルを取り付けた図)である。
【図9】本発明の一実施形態によるシート収納装置を示した平面図(第2カーソルを折り畳んだ状態でエンドカーソルを取り付けた図)である。
【図10】本発明の一実施形態によるシート収納装置を示した斜視図(第2カーソルを起こした状態でエンドカーソルを取り付けた図)である。
【図11】本発明の一実施形態によるシート収納装置を示した斜視図(第2カーソルを起こした状態でエンドカーソルを取り付けた図)である。
【図12】本発明の一実施形態によるシート収納装置を示した斜視図(第2カーソルを折り畳んだ状態でエンドカーソルを取り付けた図)である。
【図13】本発明の一実施形態によるシート収納装置を示した斜視図(第2カーソルを折り畳んだ状態でエンドカーソルを取り付けた図)である。
【図14】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した斜視図(第2カーソルを起こした状態の図)である。
【図15】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した斜視図(第2カーソルを起こした状態の図)である。
【図16】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した斜視図(第2カーソルを折り畳んだ状態の図)である。
【図17】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した斜視図(第2カーソルを折り畳んだ状態の図)である。
【図18】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した斜視図(第2カーソルを示した斜視図)である。
【図19】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した斜視図(第1カーソルを示した斜視図)である。
【図20】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを上側から見た図(図14のT方向の図:第2カーソルを壁部に取り付けた状態の図)である。
【図21】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを上側から見た図(図17のT方向の図:第1カーソルを壁部に取り付けた状態の図)である。
【図22】第1カーソルの軸受孔周辺を拡大して示した模式図である。
【図23】第1カーソルの軸受孔周辺を拡大して示した模式図である。
【図24】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した図である。
【図25】第1カーソルの軸受孔周辺を拡大して示した模式図である。
【図26】本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した図である。
【図27】本発明の変形例によるエンドカーソルを示した図である。
【図28】本発明の変形例によるエンドカーソルを示した図である。
【図29】本発明の他の変形例によるエンドカーソルを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態によるシート収納装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。図1は装置裏面側から見た断面図を示している。まず、図1を参照して、シート収納装置を備えた画像形成装置の構成および動作について説明する。なお、以下では、画像形成装置の一例であるデジタル複合機について説明する。
【0023】
図1において、画像形成装置100では、コピー動作を行う場合、後述する画像読取部6において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、複合機本体2内の画像形成部3において、帯電ユニット4により図中のA方向に回転する感光体ドラム5が一様に帯電され、画像読取部6で読み取られた原稿画像データに基づく露光ユニット(レーザ走査ユニット等)7からのレーザビームにより感光体ドラム5上に静電潜像が形成され、現像ユニット8により静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が付着されてトナー像が形成される。この現像ユニット8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。
【0024】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム5に向けて、シート(用紙)Pが給紙機構10からシート搬送路11及びレジストローラー対12を経由して画像形成部3に搬送され、この画像形成部3において転写ローラー13(画像転写部)により感光体ドラム5の表面におけるトナー像がシートに転写される。そして、トナー像が転写されたシートは感光体ドラム5から分離され、定着ローラー対14aを有する定着部14に搬送されてトナー像が定着される。定着部14を通過したシートは、複数方向に分岐したシート搬送路15に送られて、シート搬送路15の分岐点に設けられた複数の経路切換ガイドを有する経路切換機構21、22によってシートの搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、シート搬送路16に送られて両面コピーされた後に)、第1排出トレイ17a、第2排出トレイ17bから成るシート排出部に排出される。
【0025】
また、図示しないが、感光体ドラム5の表面の残留電荷を除去する除電装置がクリーニング装置18の下流側に設けられている。さらに、給紙機構10は、複合機本体2に着脱自在に取り付けられ、シートを収納する2つのシート収納装置10a、10bと、その上方に設けられるスタックバイパス(手差しトレイ)10cと、を備えてなり、これらはシート搬送路11によって感光体ドラム5及び現像ユニット8等からなる画像形成部3に繋がっている。
【0026】
シート収納装置10a、10b内には上下(Z方向)に往復移動可能なリフト板30が設けられており、リフト板30上に積載されたシート(用紙)Pはリフト板30によって給紙機構10を構成するピックアップローラー23a、23bに押し当てられ、シート搬送路11に給送される。シート収納装置10a、10bの構成については後述する。
【0027】
装置本体上部には、画像読取部6が配置されており、装置本体上面には画像読取部6のコンタクトガラス(図示せず)上に載置される原稿を押さえて保持するプラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられており、プラテン24上には原稿搬送装置27が付設されている。また、画像読取部6の前面には操作パネル(図示せず)が配置されている。
【0028】
シート搬送路15は、具体的には、定着ローラー対14aの下流側において、まず左右二股に分岐し、一方の経路(図1では右方向に分岐する経路)は第1排出トレイ17aに連通するように構成されている。そして、他方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は搬送ローラー対19を経由して二股に分岐し、一方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は第2排出トレイ17bに連通するように構成されている。これに対し、他方の経路(図1では下方向に分岐する経路)はシート搬送路16に連通するように構成されている。
【0029】
図2および図3は、本発明の一実施形態によるエンドカーソルをシート収納装置に取り付けた状態を示した図である。図4および図5は、本発明の一実施形態によるシート収納装置を備えた給紙機構の外観斜視図である。図6〜図13は、本発明の一実施形態によるシート収納装置を示した図である。図14〜図26は、本発明の一実施形態によるエンドカーソルを示した図である。次に、図2〜図26を参照して、本発明の一実施形態によるシート収納装置について説明する。
【0030】
図4および図5に示すように、画像形成装置の給紙機構10内に2つのシート収納装置10a、10bが引き出し可能に収納されている。これら2つのシート収納装置10a、10bは、図5および図6に示すように、互いに同様の構成を有しており、シート搬送方向が同一方向となるように並べられている。
【0031】
シート収納装置10a、10bは千枚以上のシート(用紙)Pの収納が可能な大容量タイプであり、多数のシートPを積載して収納するシート収納部31を有している。このシート収納装置10a、10bではシート収納部31の上方からシートPの補給が行われる。また、シート収納装置10a、10bは、引き出し方向(Y1方向)と直交方向にシートPが搬送されるように構成されている。すなわち、本実施形態では、シート搬送方向(X1方向)は平面視において引き出し方向(Y1方向)と直交方向となっている。
【0032】
以下、シート収納装置10aの構成についてより詳細に説明する。なお、シート収納装置10bの構成はシート収納装置10aと同様であるため、その説明は省略する。
【0033】
図6および図7に示すように、シート収納装置10aのシート収納部31は底部31a(図7参照)と壁部31bとを有している。また、シート収納装置10aのシート収納部31内(壁部31bで囲まれた領域内)には上下(Z方向)に昇降可能なリフト板30が配置されている。そして、図8および図9に示すように、シート収納装置10a内に収納される多数のシートPはリフト板30上に積載されるように構成されている。そのため、例えばリフト板30が上方に移動することにより、リフト板30上に積載されるシートPも上方に持ち上げられてピックアップローラーに押し当てられる。
【0034】
また、図10〜図13に示すように、シート収納部31では搬送方向上流側及び下流側の壁部31bに補給用開口部31c、31dが形成されており、シート収納部31の上方からシートPを補給する際に、この補給用開口部31c、31dに手を差し入れることによりリフト板30上に多数のシートP(図2および図3参照)が積載される。
【0035】
また、シート収納部31内には、シート位置を規制してシートPの位置決めを行うカーソル40が立設されている。このカーソル40は、シート搬送方向(X1方向)の位置決め機能を持ちシートPの後端位置を規制するエンドカーソル50(40)と、シート搬送方向(X1方向)に対して直角方向(Y方向)の位置決め機能を持つ一対のサイドカーソル60(40)とを含んで構成されている。エンドカーソル50はシートPの後端を揃える機能を有しており、一対のサイドカーソル60はシートPの幅方向(Y方向)の位置決めを行う機能を有している。そして、エンドカーソル50およびサイドカーソル60を所定の位置に配置することにより、所定サイズのシートPをシート収納部31内の所定位置に収納できるようになっている。また、エンドカーソル50は、シート搬送方向(X1方向)とは反対側の壁部31b側に1つ設けられている。なお、カーソル40は、本発明の「規制部材」の一例である。また、エンドカーソル50およびサイドカーソル60は、それぞれ、本発明の「エンド規制部材」および「サイド規制部材」の一例である。
【0036】
ここで、本実施形態では、サイドカーソル60およびエンドカーソル50はそれぞれシート収納部31内に着脱自在に固定されている。具体的には、図7に示すように、シート収納部31の底部31aにはサイドカーソル60が差し込まれる複数の第1孔部32およびエンドカーソル50が差し込まれる複数の第2孔部33が形成されている。そして、第1孔部32および第2孔部33にそれぞれサイドカーソル60およびエンドカーソル50が差し込まれることによって、サイドカーソル60およびエンドカーソル50が着脱自在に固定されている。なお、リフト板30の短辺および長辺の一部には切欠部30a、30bが設けられている。そして、この切欠部30a、30bにより、リフト板30によって第1孔部32および第2孔部33が覆われないように構成されている。
【0037】
また、一対のサイドカーソル60はそれぞれ略L字状の板状部材から構成されており、サイドカーソル60の下部部分は所定の第1孔部32に差し込まれている。ただし、第1孔部32にサイドカーソル60を差し込むだけではサイドカーソル60がぐらつくおそれがある。サイドカーソル60がぐらついた場合には、シートずれが生じ、不送りや重送あるいは順番狂い等の原因となる。そのため、図6および図8に示すように、サイドカーソル60は、その上部部分が壁部31bの上面に留め具61によって固定されている。これにより、大容量のシートPを収納した場合でも、サイドカーソル60のぐらつきが抑制される。
【0038】
また、複数の第1孔部32はシートサイズの異なる複数種類(例えば3種類以上)のシートPに対応するように設けられている。例えば、インチ系のシート、A4サイズのシート、および、B5サイズのシートに対応するように複数の第1孔部32がシート収納部31の底部31aに形成されている。このため、シートサイズに合わせた所定の第1孔部32にサイドカーソル60を差し込んだ後、上端部分を留め具61で固定することにより、一対のサイドカーソル60によって所定サイズのシートPが幅方向において位置決めされる。なお、上記留め具61はつまみ部61aを掴んで回転させることにより、工具を用いることなく取付け/取外しが可能な構成となっている。
【0039】
エンドカーソル50は例えば樹脂材料から構成されており、図14〜図17に示すように、長尺状の第1カーソル51と、この第1カーソル51に回動可能に支持された第2カーソル56とを有している。また、エンドカーソル50は第2カーソル56が回動することによって折り畳み自在に構成されている。すなわち、第2カーソル56が第1カーソル51に対して折り畳み自在に構成されている。なお、図14および図15は、第2カーソル56を起こした状態を示しており、図16および図17は、第2カーソル56を折り畳んだ状態を示している。また、第1カーソル51は本発明の「第1部材」の一例であり、第2カーソル56は本発明の「第2部材」の一例である。
【0040】
また、図2および図14に示すように、第2カーソル56は、第1カーソル51の一方端部(上方部分)に支持されている。すなわち、第2カーソル56が支持される支持部57が第1カーソル51の上方に位置している。一方、第1カーソル51における第2カーソル56が支持される側と反対側の端部には、第2孔部33(図2参照)に差し込まれる一対の凸部52が設けられている。
【0041】
エンドカーソル50が差し込まれる第2孔部33は、第1孔部32と同様、シートサイズの異なる複数種類のシートPに対応するように設けられている。本実施形態では、例えば、A4サイズのシート、および、B5サイズのシートに対応するように複数の第2孔部33がシート収納部31の底部31aに形成されている。
【0042】
ここで、エンドカーソル50においても、サイドカーソル60と同様、エンドカーソル50(第1カーソル51)の凸部52を所定の第2孔部33に差し込むだけではエンドカーソル50がぐらつくおそれがある。そのため、エンドカーソル50は、図2および図3に示すように、第2孔部33に凸部52が差し込まれた状態で、シート収納部31の壁部31bにも固定される。これにより、大容量のシートPを収納した場合でも、エンドカーソル50のぐらつきが抑制される。
【0043】
また、図14、図18および図19に示すように、エンドカーソル50の第1カーソル51には、幅方向(Y方向)の両端部に壁部31b方向(X2方向)に突出する(延びる)一対の第1係合爪51aが形成されている。また、エンドカーソル50の第2カーソル56には、幅方向(Y方向)の両端部に一対の第2係合爪56aが形成されている。この第2カーソル56では、図2および図14に示すように、第2カーソル56を第1カーソル51に対して90°起こした際に、第2係合爪56aが壁部31b方向(X2方向)に延びるように構成されている。
【0044】
一方、シート収納部31の壁部31bには、図2および図3に示すように、第1カーソル51の第1係合爪51aが係合される第1係合孔34および第2カーソル56の第2係合爪56aが係合される第2係合孔35が設けられている。そして、第2カーソル56が起こされた状態にある場合には、図2および図20に示すように、第2カーソル56の第2係合爪56aが壁部31bの第2係合孔35に係合され、第2カーソル56が折り畳まれた状態にある場合には、図3および図21に示すように、第1カーソル51の第1係合爪51aが壁部31bの第1係合孔34に係合される。また、第1係合爪51aおよび第2係合爪56aは、それぞれ、弾性変形可能に構成されており、第1係合孔34および第2係合孔35に嵌め込み固定される。このように、エンドカーソル50は、シート収納部31に対して嵌め込み固定されており、これにより、着脱自在となっている。
【0045】
そして、シートサイズに合わせた所定の第2孔部33にエンドカーソル50(第1カーソル51)を差し込んだ後、エンドカーソル50を壁部31bに嵌め込み固定することにより、このエンドカーソル50によって所定サイズのシートPの後端位置が規制される。
【0046】
また、エンドカーソル50の第1カーソル51は、シートPと接してシートPの後端位置を規制する機能を有している。このため、第1カーソル51のシートPと接する面がシート収納部31の底面(リフト板30の上面)に対して垂直となるように(エンドカーソル50がシート収納部31の(リフト板30の上面)に対して垂直方向(Z方向)に延びるように)、エンドカーソル50が第2孔部33に差し込まれている。
【0047】
ここで、収納されるシートサイズが小さい場合(例えばB5サイズ)には、図2に示すように、エンドカーソル50は壁部31bから離れた位置にある第2孔部33に差し込まれる。この場合、エンドカーソル50の第1カーソル51は壁部31bから離れる。そのため、このような場合には、図2および図20に示すように、第2カーソル56が起こされて、第2カーソル56の第2係合爪56aが壁部31bの第2係合孔35に係合される。
【0048】
その一方、収納されるシートサイズが大きい場合(例えばA4サイズ)には、図3に示すように、エンドカーソル50は壁部31b側に位置する第2孔部33に差し込まれる。この場合、エンドカーソル50の第1カーソル51は壁部31bに近づく。そのため、このような場合には、図3および図21に示すように、第2カーソル56が折り畳まれて、第1カーソル51の第1係合爪51aが壁部31bの第1係合孔34に係合される。
【0049】
なお、図2に示すように、第2カーソル56は、第2係合爪56aが第2係合孔35に係合された際に、エンドカーソル50(第1カーソル51)がシート収納部31の底面(リフト板30の上面)に対して垂直となるような(エンドカーソル50がシート収納部31の底面(リフト板30の上面)に対して垂直方向(Z方向)に延びるような)寸法等に設計されている。また、図3に示すように、第1カーソル51の第1係合爪51aは、その第1係合爪51aが第1係合孔34に係合された際に、エンドカーソル50(第1カーソル51)がシート収納部31の底面(リフト板30の上面)に対して垂直となるような寸法等に設計されている。
【0050】
このように、本実施形態によるエンドカーソル50は、その差込位置(取付位置)をシートサイズに合わせて変えた場合でも、シート収納部31の壁部31bにその一部を固定することが可能に構成されている。
【0051】
また、図18に示すように、第2カーソル56における第2係合爪56aとは反対側の端部には、第2カーソル56を第1カーソル51に取り付けるための一対の取付部58が一体に設けられている。この取付部58はE方向に延びるとともに弾性変形可能に構成されている。また、一対の取付部58の端部には、それぞれ、外側に突出する支持部57(支持軸)が設けられている。また、各取付部58には、外側に突出する突出部58aが設けられている。
【0052】
この突出部58aは、図14および図23に示すように、第2カーソル56が第1カーソル51に対して90°起こされた際に第1カーソル51の一部と係合することにより、第2カーソル56の回動を規制する機能を有している。すなわち、この突出部58aによって、第2カーソル56が起こされた状態が固定(ロック)される。
【0053】
一方、図19に示すように、第1カーソル51の上部側(凸部52とは反対側の端部)には、第2カーソル56の支持部57(図18参照)が挿入される軸受孔53が設けられている。また、図19および図22〜図24に示すように、軸受孔53の近傍には、第2カーソル56が第1カーソル51に対して90°起こされた際に、取付部58が嵌合する段差部53aが設けられている。このため、これによっても、第2カーソル56が起こされた状態が固定(ロック)される。
【0054】
また、図14、図15および図18に示すように、第2カーソル56における第2係合爪56a側には、第2係合爪56aと同方向(X2方向)に突出する凸部59が設けられている。また、シート収納部31の壁部31bには、凸部59が嵌合される嵌合孔36(図11、図13および図20参照)が設けられている。そして、図20に示すように、第2カーソル56の第2係合爪56aが壁部31bの第2係合孔35に係合された際に、第2カーソル56の凸部59が壁部31bの嵌合孔36に嵌合される。これにより、第2カーソル56を起こした状態でエンドカーソル50を取り付けた場合でも、エンドカーソル50のぐらつきがより抑制される。
【0055】
さらに、第2カーソル56の突出部58aは、第2カーソル56を折り畳む際に、第2カーソル56の取付部58と第1カーソル51の段差部53aとの嵌合を解除する機能をも有している。具体的には、図23および図24に示す状態から図25および図26に示す状態を経て、第2カーソル56が折り畳まれる。この際、図25および図26に示すように、突出部58aによって、取付部58が内側に弾性変形させられる。これにより、取付部58と段差部53aとの嵌合が解除されるので、第2カーソル56が容易に折り畳まれる。
【0056】
なお、上記したエンドカーソル50およびサイドカーソル60は、リフト板30が昇降する方向(上下方向:Z方向)にシートPをガイドするガイド機能をも有している。
【0057】
このように、本実施形態によるシート収納装置10a、10bでは、シートサイズに応じて、エンドカーソル50およびサイドカーソル60の取付位置(差込位置)を容易に変えることができ、これにより、所定サイズのシートPの位置を容易に規制することが可能となる。なお、図8、図10および図11には、あるシートサイズ(例えばB5サイズ)のシートPを収納するために、第2カーソルを起こした状態でエンドカーソル50が取り付けられた状態が示されている。この場合、サイドカーソル60も、そのシートサイズ(例えばB5サイズ)に対応する位置に取り付けられている。また、図9、図12および図13には、より大きなシートサイズ(例えばA4サイズ)のシートPを収納するために、第2カーソルを折り畳んだ状態でエンドカーソル50が取り付けられた状態が示されている。この場合、サイドカーソル60も、そのシートサイズ(例えばA4サイズ)に対応する位置に取り付けられている。また、シートサイズが例えばインチ系の場合には、エンドカーソル50が取り外された状態でシートPが収納される。この場合、シート収納部31の壁部31bがシートPの後端を規制する規制部材として機能する。
【0058】
本実施形態では、上記のように、エンドカーソル50を折り畳み自在に構成することによって、エンドカーソル50が折り畳まれた状態と折り畳まれていない状態(第2カーソル56が起こされた状態)とでエンドカーソル50の差込位置(取付位置)を変えることができる。このため、シートサイズに応じてエンドカーソル50を自在に折り畳むことにより、シートサイズに応じた位置(第2孔部33)にエンドカーソル50を固定することができる。また、エンドカーソル50はシート収納部31内に着脱自在に固定されているため、エンドカーソル50をシートサイズに応じて容易に調整することができる。
【0059】
また、エンドカーソル50をシート収納部31の底部31aおよび壁部31bに嵌め込み固定することによって、工具等を用いることなくエンドカーソル50を容易に着脱することができる。また、エンドカーソル50をシート収納部31の底部31aおよび壁部31bに固定することにより、例えばエンドカーソル50をシート収納部31の底部31aのみに固定する場合に比べて、エンドカーソル50を安定して(ぐらつくことなく)固定することができる。特に大容量シート収納装置の場合には数千枚単位のシートが積載(収納)されるため、エンドカーソル50をシート収納部31の底部31aのみに固定した場合にはエンドカーソル50がぐらつき易い。その一方、上記のようにエンドカーソル50をシート収納部31の底部31aおよび壁部31bに固定することにより、数千枚単位のシートPが積載(収納)される場合でもエンドカーソル50のぐらつき等が抑制されて、安定してシート位置を規制することができる。
【0060】
なお、サイドカーソル60においても、エンドカーソル50と同様、シートサイズに応じて容易に調整することができる。加えて、数千枚単位のシートPが積載(収納)される場合でもサイドカーソル60のぐらつき等が抑制されて、安定してシート位置を規制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、エンドカーソル50において、第2カーソル56が支持される支持部57が第1カーソル51の上方に位置しているため、第2カーソル56を壁部31bに固定した際に、より安定してエンドカーソル50を取り付けることができる。このため、数千枚単位のシートが積載(収納)される場合において、エンドカーソル50のぐらつき等をより抑制することができる。
【0062】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0063】
例えば、上記実施形態では、エンドカーソルをシート収納部内の1カ所に立設した例を示したが、本発明はこれに限らず、エンドカーソルをシート収納部内の複数カ所(例えば2カ所)に立設してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、エンドカーソルを折り畳み自在な構成とした例を示したが、本発明はこれに限らず、サイドカーソルを折り畳み自在な構成としてもよい。また、エンドカーソルおよびサイドカーソルの両方を折り畳み自在な構成としてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、エンドカーソルを、第1カーソルおよび第2カーソルの2部材から構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、エンドカーソル(カーソル)は、折り畳み自在な構成であれば2以上の部材から構成されていてもよい。
【0066】
なお、図27および図28に示すように、エンドカーソル50(カーソル40)は、多段階(例えば2段階)に折り畳み自在に構成されていてもよい。このように構成されていれば、エンドカーソル50の取付位置(固定位置)をより多くの位置に変えることができるので、シートサイズの異なる複数種類(例えば3種類以上)のシートに対応可能とすることができる。
【0067】
また、図29に示すように、エンドカーソル50を、その第1カーソル51に長さの異なる複数の第2カーソル56が回動可能に支持された構成とすることもできる。このように構成した場合も、シートサイズの異なる複数種類(例えば3種類以上)のシートに対して、シートサイズに応じた位置にエンドカーソル50を固定することができる。このため、エンドカーソル50の固定位置を変えることにより、より多くの種類(例えば3種類以上)のシートに対応するようにサイズ変更を行うことができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、大容量シート収納装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、大容量以外のシート収納装置に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0069】
10 給紙機構
10a、10b シート収納装置
30 リフト板
30a、30b 切欠部
31 シート収納部
31a 底部
31b 壁部
31c、31d 補給用開口部
32 第1孔部
33 第2孔部
34 第1係合孔
35 第2係合孔
36 嵌合孔
40 カーソル(規制部材)
50 エンドカーソル(エンド規制部材)
51 第1カーソル(第1部材)
51a 係合爪
52 凸部
53 軸受孔
53a 段差部
56 第2カーソル(第2部材)
56a 係合爪
57 支持部
58 取付部
58a 突出部
59 凸部
60 サイドカーソル(サイド規制部材)
61 留め具
61a つまみ部
100 画像形成装置
P シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートを積載して収納するシート収納部と、
前記シート収納部内に設けられてシート位置を規制する規制部材とを備え、
前記規制部材は2以上の部材によって折り畳み自在に構成されており、前記シート収納部内に着脱自在に固定されていることを特徴とする、シート収納装置。
【請求項2】
前記シート収納部は底部と壁部とを有し、
前記規制部材は前記シート収納部の前記底部および前記壁部に嵌め込み固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のシート収納装置。
【請求項3】
前記規制部材は、シート搬送方向の位置決め機能を持ち前記シートの後端位置を規制するエンド規制部材と、前記シート搬送方向に対して直角方向の位置決め機能を持つサイド規制部材とを含み、
前記エンド規制部材が折り畳み自在に構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシート収納装置。
【請求項4】
前記規制部材は、前記シートと接する長尺状の第1部材と、前記第1部材に回動可能に支持された第2部材とを有し、
前記第2部材が支持される支持部が前記第1部材の上方に位置することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項5】
前記規制部材は、前記シートと接する長尺状の第1部材と、第1部材に回動可能に支持された第2部材とを有し、
前記第1部材には、長さの異なる複数の前記第2部材が回動可能に支持されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項6】
前記シート収納部内に上下に昇降可能に配置されたリフト板をさらに備え、
前記規制部材は前記リフト板が昇降する方向に前記シートをガイドするガイド機能を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート収納装置を備えることを特徴とする、画像形成装置。

【図1】
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【図7】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−166862(P2012−166862A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26722(P2011−26722)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】