説明

シート取付具、およびこれを用いた窓ガラスの二重構造用付設具

【課題】外光や外気の温度変化によるシートの歪みを抑制すると共に、窓ガラスに取り付けたシートが不用意に外れることなく固定でき、かつ意図的に外そうとすれば容易に取り外すことができるシート取付具、および窓ガラスの二重構造用付設具の提供。
【解決手段】窓ガラス3に貼り付けられる基板10と、基板10との間に空隙20を形成するように基板10の一端11から折り返された外板30とを備え、外板30は、空隙20内に装入されたシート5をその先端32と基板10との間で挟持する可撓性を有し、空隙内20には、外板30と基板10を係合する鉤状部材40が形成され、外板30の外面31かつ鉤状部材40と先端32の間に、係合を解除する突起50が設けられている長尺なシート取付具1、およびシート取付具1と、空隙20に装入されるシート5からなる窓ガラスの二重構造用付設具6。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば断熱材等のシートを窓ガラスに取り付けるためのシート取付具、およびこれを用いた窓ガラスの二重構造用付設具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー志向の高まりから、住宅、事務所、店舗等の各種建築物の断熱性の向上が要求されている。断熱性の向上には、屋根、壁、床はもちろんのこと、窓部分における断熱対策が重要である。
窓部分における断熱対策の方法としては、例えば中空層を有する複層ガラス板を窓枠に嵌め込んだり、窓ガラス全体を二重にしたりする方法が知られている。これらの方法によれば、複層ガラス板の中空層や2枚の窓ガラスの間に空気の層を設けることで、断熱性が向上すると共に、特に冬場は結露を防止できる。
【0003】
しかし、複層ガラス板は製造過程においてそのサイズが決定されるため、単層ガラス板のように施工現場において窓枠の寸法に合わせて自由に切断することが困難であった。また、単層ガラス板が嵌め込まれている既存の窓ガラスを複層ガラス板に変更することは、ガラス板の厚さや寸法の点から困難であり、コストがかかりやすく実用的ではない。
また、二重窓にする方法もコストがかかるため、手軽に実施できる断熱対策ではない。
【0004】
そこで、外気の影響を受けることなく室内温度を保持したり、冬場の結露を防止したりすることを目的として、窓ガラスに断熱材を取り付ける方法が提案されている。例えば特許文献1には、帯状で幅方向の片側にパネル状の断熱材が挿入可能な溝を有し、幅方向の反対側に吸盤を複数個設けたパネル用保持桟を用い、窓のガラス面の上下もしくは上下左右に吸盤部分を圧着して脱着自在にすると共に、パネル用保持桟の溝部分に断熱材を挿入して保持する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−227254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特に樹脂製の断熱材は外光や外気の温度変化により熱膨張しやすく、窓ガラスとの熱膨張率に差が生じやすかった。そのため、特許文献1に記載のようなパネル用保持桟を用いて断熱材を窓ガラスに取り付ける方法では、断熱材が歪みやすく、断熱材を通じて窓から見得る風景が損なわれることがあった。
【0007】
このように、窓ガラスに断熱材等のシートを取り付ける場合には、外光や外気の温度変化によりシートが歪むのを抑制する必要があった。加えて、窓ガラスにシートを取り付けた後はシートが外れないように固定でき、しかし、シートを交換する際にはシーを容易に取り外せることが求められる。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、外光や外気の温度変化によるシートの歪みを抑制すると共に、窓ガラスに取り付けたシートが不用意に外れることなく固定でき、かつ意図的に外そうとすれば容易に取り外すことができるシート取付具、およびこれを用いた窓ガラスの二重構造用付設具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシート取付具は、窓ガラスに、該窓ガラスとの間に空間を形成するようにシートを取り付ける長尺なシート取付具において、窓ガラスに貼り付けられる基板と、該基板との間に空隙を形成するように基板の一端から折り返された外板とを備え、前記外板は、空隙内に装入されたシートをその先端と基板との間で挟持する可撓性を有し、前記空隙内には、外板と基板を係合する鉤状部材が形成され、外板の外面かつ前記鉤状部材と先端の間に、前記係合を解除する突起が設けられていることを特徴とする。
前記外板の突起よりも先端から遠い位置には、その長尺方向に沿って軟質樹脂製の折曲容易化域が形成されていることが好ましい。
また、本発明の窓ガラスの二重構造用付設具は、前記シート取付具と、該シート取付具の空隙に装入されるシートとからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートを取り付ける際、シートの位置合わせが容易となり、シート取り付け性が向上し、外光や外気の温度変化によるシートの歪みを抑制すると共に、窓ガラスに取り付けたシートが不用意に外れることなく固定でき、かつ意図的に外そうとすれば容易に取り外すことができるシート取付具、およびこれを用いた窓ガラスの二重構造用付設具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のシート取付具の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’線に沿う断面図であり、(a)は基板と外板の係合が解除された状態を示す図であり、(b)は基板と外板が係合した状態を示す図である。
【図3】本発明のシート取付具を用いてシートを窓ガラスに取り付けた状態の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明のシート取付具を用いてシートを窓ガラスに取り付けた状態の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を用いて本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明のシート取付具の一例を示す斜視図であり、図2は図1のA−A’線に沿う断面図である。また、図3は図1に示すシート取付具を用いてシートを窓ガラスに取り付けた状態の一例を示す断面図であり、図4は図1に示すシート取付具を用いてシートを窓ガラスに取り付けた状態の一例を示す正面図である。
なお、図2〜4において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0013】
図1のシート取付具1は、長尺であり、窓ガラスに貼り付けられる基板10と、該基板10との間に空隙20を形成するように基板10の一端11から折り返された外板30とを備える。また、空隙20内には、外板30と基板10を係合する鉤状部材40が形成されている。さらに、外板30の外面31、かつ外板30の先端32と鉤状部材40の間に、突起50が設けられている。また、外板30には、軟質樹脂製の折曲容易化域60が形成されている。
【0014】
基板10は、その外面が窓ガラスに貼着するので、窓ガラスに貼着しやすいように、外面が平滑で、かつ撓んでいないことが好ましい。
また、基板10の先端12は、図1、2示すように、空隙20側に向かって曲がっていることが好ましい。先端12が曲がっていれば、曲がっていない場合に比べてシートを挟持する際の挟持面積が小さくなるので、空隙20内に装入されたシートが熱膨張したときのシートの移動がより円滑に行われるようになる。
【0015】
基板10の材質としては、例えばステンレススチール、プラスチックなどが挙げられる。ブラスチックとしては、具体的に塩化ビニル(硬質塩化ビニル、軟質塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン、アクリルなどが挙げられる。中でも、成形がしやすい点で塩化ビニルが好ましい。
【0016】
外板30は、空隙20内に装入されたシートをその先端32と基板10との間で挟持する可撓性を有する。外板30が可撓性を有することで、外板30の先端32と基板10とで形成される装入口21が開閉する。具体的には、シートを装入したり取り出したりする際は外板30が外側に撓むことで装入口21が開き、シートを出し入れできる。一方、シートを装入した後は外板30が内側に撓むことで装入口21が閉じて、シートを挟持できる。
【0017】
外板30は、装入口21が閉じたときにその先端32が、基板10の先端12と重なるように基板10の一端11から折り返されていてもよいし、外板30の先端32が基板10の先端12の下側になるように(すなわち、先端12を超えないように)折り返されていてもよい。
また、外板30の先端32は、図1、2に示すように、空隙20側に向かって曲がっていることが好ましい。先端32が曲がっていれば、基板10とで空隙20内に装入されたシートをより挟持しやすくなる。
【0018】
可撓性を有する外板30の材質としては、例えば塩化ビニル(硬質塩化ビニル、軟質塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン、アクリルなどが挙げられる。中でも、成形がしやすい点で塩化ビニルが好ましい。
また、外板30の材質と基板10の材質は、同一であってもよく異なっていてもよいが、製造の簡便さの点で同一であることが好ましい。
【0019】
鉤状部材40は、第一の鉤状部41と第二の鉤状部42からなる。第一の鉤状部41は基板10に接合している。一方、第二の鉤状部42は第一の鉤状部41と向かい合うように外板30に接合している。そして、第一の鉤状部41と第二の鉤状部42が互いに引っ掛け合う(ロックする)ことで、図2(b)に示すように、基板10と外板30とが係合され、外板30の先端32が基板10から離間するのを防止する。
第一の鉤状部の鉤の向きは、図1、2に示すように上向き(すなわち、装入口21の方向)でもよいし、下向きでもよい。
【0020】
鉤状部材40は、図2(a)に示すように、基板10の先端12から第一の鉤状部41までの距離Dが、基板10の長さLの40〜80%になるように、空隙20内に形成されるのが好ましい。距離Dが長さLの40%以上であれば、詳しくは後述するが、空隙20の領域を十分に確保できるので、窓ガラスとシートとの熱膨張率に差が生じてもその差を空隙20によって解消でき、シートが歪むのを抑制できる。一方、距離Dが長さLの80%以下であれば、十分なロック機能を発揮できるので、外板30の先端32が基板10から離間するのをより効果的に防止できる。
【0021】
鉤状部材40の材質としては、例えば塩化ビニル(硬質塩化ビニル、軟質塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン、アクリルなどが挙げられる。中でも、成形がしやすい点で塩化ビニルが好ましい。
また、鉤状部材40の材質は、基板10や外板30の材質と同一であってもよく異なっていてもよいが、製造の簡便さの点で同一であることが好ましい。
【0022】
突起50は、基板10と外板30の係合を解除する手段である。図2(a)に係合が解除された状態を示す。
突起50の形状は特に限定されないが、指先等が突起50の先端51などに引っ掛けやすくなるように、突起50と外板30の外面31とで溝33を形成できるような形状が好ましい。
【0023】
突起50は、図1、2に示すように溝33が外板30の先端32側に形成されるように設けられてもよいし、溝33が先端32の反対側に形成されるように設けられてもよい。また、外板30の外面31に対して垂直に突き出るように突起50を設けてもよい。ただし、係合を解除する際は、突起50に指先等を引っ掛けて外板30を引張るように外側に撓ませるので、解除しやすさの点から溝33が先端32側に形成されるように突起50を設けるのが好ましい。すなわち、溝33が先端32側に形成されていれば、指先の向きと力をかける方向が同じになるので、わずかな力で容易に係合を解除できる。
【0024】
突起50は、図2(a)に示すように、外板30の先端32までの距離Dが、先端32から第二の鉤状部42までの距離Dの10〜50%になるように、外板30の外面に設けられるのが好ましい。距離Dが距離Dの10%以上であれば、指先等を突起50に引っ掛けやすくなる。一方、距離Dが距離Dの50%以下であれば、てこの原理を利用して容易に係合を解除できる。
【0025】
突起50は、シート取付具1の長尺方向に沿っていれば、連続的に設けられても、断片的に設けられてもよい。ただし、シート取付具を所望の大きさに切断して用いる場合を考慮すると、突起50は長尺方向に沿って連続的に設けられるのが好ましい。また、突起50は、長尺方向に沿って1つ設けられれば十分であるが、複数設けられてもよい。
【0026】
突起50の材質としては、例えば塩化ビニル(硬質塩化ビニル、軟質塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン、アクリルなどが挙げられる。中でも、成形がしやすい点で塩化ビニルが好ましい。
また、突起50の材質は、外板30の材質と同一であってもよく異なっていてもよいが、製造の簡便さの点で同一であることが好ましい。
【0027】
本発明のシート取付具1は、図1、2に示すように外板30に軟質樹脂製の折曲容易化域60が形成されていることが好ましい。折曲容易化域60が形成されることで、折曲容易化域60が支点となって(すなわち、折曲容易化域60がヒンジの役割を果たし)外板30がより撓みやすくなり、装入口21の開閉がより円滑になる。
【0028】
折曲容易化域60は、突起50よりも外板30の先端32から遠い位置に形成されるのが好ましく、鉤状部材40よりも先端32から遠い位置に形成されるのがより好ましい。折曲容易化域60が突起50よりも遠い位置に形成されれば、折曲容易化域60が支点となるので、基板10と外板30の係合を円滑に解除できる。特に折曲容易化域60が鉤状部材40よりも遠い位置に形成されれば、より円滑に係合を解除できる。
【0029】
折曲容易化域60は、その中心から突起50までの距離Dが、突起50から第二の鉤状部42までの距離Dの110〜300%になるように、外板10に形成されるのが好ましい。距離Dが上記範囲内であれば、折曲容易化域60のヒンジ特性が効果的に得られる。
【0030】
折曲容易化域60は、シート取付具1の長尺方向に沿っていれば、連続的に設けられても、断片的に設けられてもよい。ただし、シート取付具を所望の大きさに切断して用いる場合を考慮すると、折曲容易化域60は長尺方向に沿って連続的に設けられるのが好ましい。また、折曲容易化域60を連続的に設ければ、折曲容易化域60のヒンジ特性がより効果的に得られる。
【0031】
折曲容易化域60は、その幅Wが基板10の長さLの5〜40%になるように、長尺方向に沿って形成されるのが好ましい。幅Wが長さLの5%以上であれば、十分なヒンジ特性が得られる。一方、幅Wが長さLの40%以下であれば、シート取付具1を窓ガラスに貼り付けた際に表面に露出する外板10の強度を十分に確保できる。
【0032】
折曲容易化域60の材質としては、例えば軟質塩化ビニル、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。中でも、成形がしやすい点で軟質塩化ビニルが好ましい。
【0033】
本発明のシート取付具1は、基板10の先端12および外板30の先端32の少なくともいずれか一方を軟質樹脂やゴムで構成したり、軟質樹脂やゴムでその表面を被覆したりする滑り止め処理が施されていることが好ましい。滑り止め処理を施すことで、空隙20内に装入されたシートをより強固に挟持できる。特に、基板10の先端12に滑り止め処理を施すと気密性がより向上するので、シートをより強固に挟持できる。
【0034】
図3に示すように、本発明のシート取付具1は、窓枠2に嵌め込まれた窓ガラス3に、該窓ガラス3との間に空間4を形成するようにシート5を取り付けるものであり、装入口21から空隙20内にシート5が装入される。そして、可撓性を有する外板30の先端32と基板10との間でシート5を挟持する。
ところで、樹脂製のシートは、外光や外気の温度変化により熱膨張しやすく、窓ガラスとの熱膨張率に差が生じやすかった。そのため、特許文献1のようなパネル用保持桟を用いてシートを窓ガラスに取り付ける方法では、シートが歪みやすく、シートを通じて窓から見える風景が損なわれることがあった。
【0035】
しかし、本発明のシート取付具1であれば、空隙20内にシート5が装入されるので、シート5が熱膨張して窓ガラス3との熱膨張率に差が生じても、その変化に対応できる余裕がある。すなわち、本発明のシート取付具1は、空隙20によってシート5が熱膨張できる余裕があるので、シート5の摺動性を利用して空隙20内にて熱膨張率の差を解消でき、シート5が歪むのを抑制できる。よって、シート5を通じて窓から見える風景が損なわれにくくなる。
【0036】
また、本発明のシート取付具1は、鉤状部材40によって基板10と外板30を係合できるので、シート5を強固に挟持できる。従って、シート5が不用意に外れにくくなる。さらに、基板10と外板30の係合は、突起50によって容易に解除できるので、意図的に外そうとすればシート5を容易に取り外すことができる。
なお、本発明のシート取付具は、対象となる窓の各辺の長さに合わせて切断して用いればよい。
【0037】
図3に示すように、本発明の窓ガラスの二重構造用付設具6は、本発明のシート取付具1と、該シート取付具1の空隙20に装入されるシート5とからなる。
シート5としては、ポリカーボネート、アクリル、塩化ビニル、フッ素系等のプラスチックシート、またはその積層体の他、ガラス板を用いることができる。
シートの大きさは取り付ける窓ガラスの大きさに合わせて適宜設定される。
【0038】
窓ガラスの二重構造用付設具6は、シート取付具1の装入口21から空隙20内にシート5を装入し、外板30を内側に撓ませて装入口21を閉じて、外板30の先端32と基板10との間でシート5を挟持することで得られる。その際、鉤状部材40をロックすることで基板10と外板30が係合されるので、強固にシート5を挟持できる。従って、不用意にシート5が外れにくくなる。
また、シート5を外したり交換したりする場合は、突起50により係合を解除すると共に、外板30を外側に撓ませ、外板30の先端32を基板10から離間させて装入口21を開く。従って、意図的に外そうとすれば、容易にシート5を取り外すことができる。
【0039】
本発明のシート取付具を用いてシートを窓ガラスに取り付けるには、図4に示すように、窓の内側の窓ガラス3の有効面、すなわち窓枠2に覆われていない部分の窓ガラス3の外周に沿って、隙間が生じないように、予め窓ガラスの各辺の長さに合わせて切断した4本のシート取付具1を貼着する。隙間が生じると、その隙間を通じて室内の空気(熱気や冷気)が漏れたり、光が差し込んだりするので、シートの機能を十分に発揮するには、隙間が生じないようにシート取付具1を窓ガラスに貼着するのが好ましい。
貼着の方法としては特に限定されず、例えば基板の外面に予め設けておいた両面粘着テープにより貼着してもよいし、粘着剤等を用いて貼着してもよい。
【0040】
ついで、各シート取付具1の装入口から空隙内に目的の機能に応じたシート5を装入し、シート取付具1の外板を内側に撓ませて装入口を閉じて、外板の先端と基板との間でシート5を挟持する。その際、鉤状部材をロックして基板と外板を係合することでシート5をより強固に挟持できるので、窓ガラス3に取り付けたシート5が不用意に外れることなく固定できる。
【0041】
窓ガラス3に取り付けたシート5を取り外したり交換したりするには、まずシート取付具1の突起により基板と外板の係合を解除すると共に、外板の先端を基板から離間させて装入口を開きシート5を取り出す。
【0042】
なお、窓の内側かつ正面から窓ガラス3を見たときに、上側若しくは下側に貼着するシート取付具、並びに右側若しくは左側に貼着するシート取付具の空隙の領域(特に、装入口と鉤状部材とで形成される領域)が、残りのシート取付具の空隙の領域よりも大きくなるように調整した4本のシート取付具を用いるのが好ましい。
図4は、上側に貼着するシート取付具1a、並びに右側に貼着するシート取付具1bの空隙の領域が、下側に貼着するシート取付具1c、並びに左側に貼着するシート取付具1dの空隙の領域よりも大きくなるように調整した4本のシート取付具1を用いた図である。
【0043】
このように調整した4本のシート取付具1を用いる場合、まずシート取付具1a、1bからシート5を装入して、シート5を右上方向に寄せる。そして、シート5の弾性を利用してシート5を歪ませながらシート取付具1c、1dに装入することで、より容易にシート5を窓ガラス3に取り付けることができる。
また、シート5を取り外す際には、各シート取付具1の係合を解除した後に、シート5を右上方向に寄せることで、シート取付具1c、1dからシート5が外れやすくなる。シート取付具1c、1dからシート5を外した後は、シート5を左下方向にずらすことで、シート取付具1a、1bからシート5が外れやすくなり、より容易にシート5を窓ガラス3から取り外すことができる。
【0044】
また、シート5を取り扱う際に、例えば吸盤を備えた取手などの治具を用いれば、さらに容易にシート5を窓ガラス3に取り付けたり取り外したりできる。
【0045】
本発明のシート取付具によれば、図3に示すように、窓枠2に嵌め込まれた窓ガラス3に、該窓ガラス3との間に空間4を形成するようにシート5を取り付けることができるので、空間4に空気層が設けられる。従って室内と室外との間で空気(熱)の移動が遮断されるので断熱性が向上すると共に、特に冬場は結露を防止できる。
また、遮光性を有するようなシートを用いれば、特に夏場の日差しよけの効果も得られる。さらに、シートとしてガラス板を用いれば、低コストでより簡便に二重窓にできる。
【符号の説明】
【0046】
1:シート取付具、3:窓ガラス、4:空間、5:シート、6:窓ガラスの二重構造用付設具、10:基板、11:一端、20:空隙、30:外板、31:外面、32:先端、40:鉤状部材、50:突起、60:折曲容易化域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスに、該窓ガラスとの間に空間を形成するようにシートを取り付ける長尺なシート取付具において、
窓ガラスに貼り付けられる基板と、該基板との間に空隙を形成するように基板の一端から折り返された外板とを備え、
前記外板は、空隙内に装入されたシートをその先端と基板との間で挟持する可撓性を有し、
前記空隙内には、外板と基板を係合する鉤状部材が形成され、
外板の外面かつ前記鉤状部材と先端の間に、前記係合を解除する突起が設けられていることを特徴とするシート取付具。
【請求項2】
前記外板の突起よりも先端から遠い位置には、その長尺方向に沿って軟質樹脂製の折曲容易化域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート取付具。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート取付具と、該シート取付具の空隙に装入されるシートとからなることを特徴とする窓ガラスの二重構造用付設具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−236216(P2010−236216A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83814(P2009−83814)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】