説明

シート固定構造

【課題】主に屋外で使用される除草シートやマルチシート等のシート類を簡単に敷設可能とするシート固定具であり、解体作業も簡単に行えるので、近年の環境保護の観点である循環型社会の形成に向け、廃棄物の抑制や限りある資源の有効利用への諸施策に効果的である。
【解決手段】雑草の育成を阻む除草シートや農作物の育成補助に使用するマルチシート等のシート類に穴を開けるなどの加工する事なく、そのままの形状を使用して二つの部品でシート3を挟み込み固定させて土壌16に設置させる方法であり、一方の部品はシート3の大きさに合せて、直線あるいは直角に連結させる事ができ、隣接する範囲への根止めと土壌16への部品の位置固定として楔5を構成している。また、見栄え向上策として、シート3の上には使用者が自由に選択できる、様々な種類のタイルやブロックの他に小さな石や人工芝あるいはカーペットなどを使用できるので、デザイン性も豊かである。組立性及び解体性も容易である事から、材料の再利用にも勝れている環境に優しいシート固定具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に屋外で使用される除草シートやマルチシート等のシート類を簡単に敷設可能とするシート固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
除草シートは、多大な労力を必要とする草刈作業や環境破壊が懸念される除草剤散布等を行う事なく、雑草の育成を妨げる事ができるので、田畑等の耕作地や道路脇等に広く使用されている。更に、農作物の育成補助や害虫に対する対策に使用するマルチシート等、様々な用途で各種のシートが使用されている。
【0003】
シートの固定方法に関する公知の技術の一例として、例えば下記特許文献が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−248652号公報
【特許文献2】特開2007−143514号公報
【特許文献3】特開2007−202539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、雑草の処置方法としては、除草シートを用いる方法が費用面や環境面を考慮した時に、最も効率が良い方法であるものの、土壌の表面をシートにて包むだけなので、見栄えの点では課題が残されている他、上記に示される技術によると敷設において、除草シートに楔を打込んだ隙間から雑草が生えたり、除草シートの捲れ防止としての機能を持つ楔自体が抜けてしまう課題や、敷設前の段階で除草シートに加工を施す必要がある等、簡単に敷設できないという様々な課題を有していた。
【0006】
また、農作物の育成を阻害してしまう雑草や害虫に対する対策として使用しているマルチシートは、シートの敷設と取外しを毎年実施しており、作業効率という点でも改善が望まれている状況にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明は、このような課題を解決する為になされ、その具体的解決手段として、従来のシート固定具で用いられていた楔によるシート固定方法ではなく、シート自体に穴を空ける加工等を施すことなく、市販されているシートの端部を二つの部品で上下方向に挟み込む事により、そのまま使用しても、容易に固定可能とできる構造である。
【発明の効果】
【0008】
従って、シート自体に楔を挿入する為の穴加工や紐の取付け加工等が事前に必要となったり、楔をシートに挿入するうえで、その穴からの雑草防止についての対策も不要となる。その結果、従来構造と比較して、敷設作業性を格段に向上させる事が可能となると共に、固定したシートの捲れ防止の確実性や見栄えの向上も同時に図れるシート固定具を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1における部品構成の斜視図
【図2】本発明の実施形態1における組立て準備段階での斜視図及び断面図
【図3】本発明の実施形態1における組立て第1段階での斜視図及び断面図
【図4】本発明の実施形態1における組立て第2段階での斜視図及び断面図
【図5】本発明の実施形態1における組立て第3段階での斜視図及び断面図
【図6】本発明の実施形態1における組立て第4段階での斜視図及び断面図
【図7】本発明の実施形態1における組立て完了段階での斜視図及び断面図
【図8】本発明の実施形態1における連結組立て完了状態での斜視図
【図9】本発明の実施形態2におけるシート固定具の斜視図
【図10】本発明の実施形態3におけるシート固定具の斜視図
【図11】本発明の実施形態4におけるシート固定具の斜視図
【図12】本発明の実施形態5におけるシート固定具の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のシート固定具の詳しい技術構成を実施例に則して、かつ、図面を参照して具体的に説明する。
(実施形態1)
【0011】
図面により、本発明を説明する。図1〜図8は、本発明の実施形態1のシート固定具を説明する図である。図1は本発明の実施形態1における部品構成の斜視図であり、図2〜図7は、本発明の実施形態1における各組立て段階での斜視図及び断面図である。尚、各図における組立て段階の中で、(a)は斜視図であり(b)は断面図である。
【0012】
図1は、使用する部品構成を説明する図である。部品構成としては、第一の固定具1及びシート固定具2、シート3の三種類の部品によって構成されている。
【0013】
図2は、本発明の実施形態1における組立て準備段階での斜視図及び断面図であり、シート固定における各段階は、図3の状態から図4、図5、図6と進み、最終的には図7の本発明の実施形態1における組立て完了段階での斜視図及び断面図となり、シート固定方法の一連の動作が完了する。
【0014】
図2において、第一の固定具1にある枠部15の両脇二箇所に構成される平面部14の上にシート3が置かれる。シート固定具2に構成されている第一の係止突起6は、第一の固定具1の穴4に挿入される。尚、寸法関係は、シート固定具2の第一の係止突起6の寸法Aは、第一の固定具1の穴4の寸法aとA≦aにより、穴4の中に第一の係止突起6が挿入できる関係となっている。
【0015】
図3において、シート固定具2の第一の係止突起6が、第一の固定具1の穴4に挿入された後、図4の段階では、シート固定具2の突起7が第一の固定具1の穴4に挿入される。また、寸法関係としては、シート固定具2の突起7の寸法Bについては、第一の固定具1の穴4の寸法aとB≦aにより、穴4の中に突起7が挿入できる関係となっている。尚、第一の係止突起6の寸法Aと突起7の寸法Bの関係は、A≒Bとなっている。
【0016】
シート固定具2を第一の固定具1に押し込む過程で、第一の係止突起6を通過し、次に突起7が通過する図4の位置では、第一の係止突起6の反対側に突出している突起7により第一の係止突起6は、第一の係止部10に近づく動きをする。また、シート固定具2のスリット部12が第一の固定具1にある角部13に当接する事によりシート固定具2は、それ以上、穴4の内側に入らなくなり、更に、シート固定具2は第一の固定具1の枠部15に干渉する事から、スリット部12の近傍を軸として、枠部15の反対側に回転する事になる。この途中段階が図5及び図6の状態である。
【0017】
図7は、本発明の実施形態1における組立て完了段階での斜視図及び断面図であり、第一の係止突起6が第一の係止部10に係止されると共に、第二の係止突起8が段差9に係止される事で、シート3は第一の固定具1とシート固定具2に挟まれシート3が固定される。
【0018】
更に、図8の本発明の実施形態1における連結組立て完了状態での斜視図では、汎用品としてサイズが決められているシート3を第一の固定具1にある枠部15の左右に構成される平面部14の上に、それぞれ配置させ、第一の固定具1とシート固定具2で挟み込んで固定させ配置すれば、より広範囲にシート3を連続的に敷設する事ができる構造となる。
【0019】
尚、シート3は第一の固定具1とシート固定具2により、直角方向に三回曲げられる事により、抜け難い状態で固定される構造となっている。また、組立て完了段階において、突起7は穴4内側に入り込み、穴4の空間を塞ぐ状態となり、庭や公園などの土壌16に設置された場合、穴4の隙間から雑草が伸びる事を防止している。第一の固定具1に構成されている楔5は、土壌16に差し込んで第一の固定具1とシート固定具2に挟まれたシート3を土壌16に固定させる事を目的に構成されている。
(実施形態2)
【0020】
本発明の第2実施形態について図9を用いて説明する。尚、本発明の実施形態1と実施形態2の主な相違点は、実施形態1は、第一の固定具1を1つだけ使用した場合であり、シート3の幅寸法と第一の固定具1の長さ寸法がほぼ同じ場合の実施形態であった。実施形態2では、シート3の幅寸法が第一の固定具1の長さ寸法に対して、2倍以上の大きさとなった場合に、シート3の両サイドに第一の固定具1を配置している点である。
【0021】
例えば、除草シートの幅寸法では、1mの製品が主流となっているが、33cmという幅の狭いシートもある。また、長さ寸法については、5m、10m、30m、50m及び100mといったサイズが市販されており、バリエーションが豊富である。本発明の第2実施形態の様に使用すれば、様々な幅寸法のシート3にも対応可能である。
(実施形態3)
【0022】
本発明の第3実施形態について図10を用いて説明する。尚、本発明の実施形態1と実施形態3の主な相違点は、実施形態1は、第一の固定具1を1つだけ使用した場合であり、実施形態3では、第一の固定具1の第一の連結部11aと第二の連結部11bにより、直線上に複数個を連結させて組み合わせている点である。
【0023】
図10の(a)は、第一の固定具1を三個連結させている図である。本発明の第3実施形態の様に使用すれば、例えば、農作物の育成を阻害してしまう雑草や害虫に対する対策として使用しているマルチシートの様に、シートの敷設と取外しを毎年実施する使用方法として、大変に有効である。具体的には、図10(b)の様にシート3を第一の固定具1を軸としてテープを巻く様に巻き込んで片付けや保管ができるので、敷設ではシート3を広げて第一の固定具1を土壌16に固定すれば簡単に完了する。
【0024】
また、片付けは敷設作業と逆の作業をする事になるので、簡単な作業で敷設や片付けが可能となり、シート3が捻じれたり、あるいは絡んでしまう事により、強引に引っ張られ、切れる等のトラブルも未然に防止できる。更に、巻いた状態での保管となるので、収納スペースの圧縮もでき、工数の削減と品質の向上も図れる効果的な技術である。
(実施形態4)
【0025】
本発明の第4実施形態について図11を用いて説明する。図11の(a)は本発明の実施形態1であり、図11(b)は本発明の実施形態4である。尚、本発明の実施形態1と実施形態4の主な相違点は、実施形態1は、シート固定具2に構成されている第一の係止突起6が、凸形状となっているのに対して、実施形態4では、凹形状の回転用穴17となっている点である。回転用穴17は、第一の係止部10に差し込まれ、支柱6aによってシート固定具2と第一の固定具1からの抜けを防止している。
【0026】
更に、実施形態4では、シート3が第一の固定具1とシート固定具2に挟まれ、完全に固定された後、シート3を交換する際に、取外しが容易にできる様にロック解除突起18を設定している点である。尚、ロック解除突起18に何らかの外力が加わり、誤ってシート3が抜ける事がない様に、ロック解除突起18の両サイドには、保護壁19が設けられている。また、シート3を交換する際は、ロック解除突起18を指先で引き上げる方向に力を加える事で、第二の係止突起8と段差9の係止状態が解除され、シート3を取外す事ができる。尚、シート固定具2を挿入開始位置まで回転させて、初期状態まで戻した後、引離す事により、第一の固定具1からシート固定具2を取外す事ができる。
(実施形態5)
【0027】
本発明の第5実施形態について図12を用いて説明する。尚、本発明の実施形態1と実施形態5の主な相違点は、実施形態1は、第一の固定具1を1つだけ使用した場合であり、実施形態5では、第一の固定具1の第一の連結部11aと第二の連結部11bにより、直線あるいは直角に複数個を組み合わせて使用している点である。
【0028】
図12では、第一の固定具1を4個、第二の固定具1aを4個使用して、枠を構成している。第二の固定具1aは、第一の固定具1と比較して長さが短い物であるが、構成は第一の固定具1と同じである。尚、枠の内側には土壌16がある。土壌16のままでは雑草が生えてしまうので、枠内の範囲にシート3を取り付ける。尚、第一の固定具1と第二の固定具1aが構成されている枠の外にある根からの侵攻により、雑草が入り込む防止策として、楔5が土壌16に差し込まれる構造となっている。
【0029】
更に、構成された枠内のシート3の上に、様々な種類のタイルやブロックの他に小さな石や人工芝あるいはカーペットなどを使用すれば、デザイン性も豊かにでき、見栄えの良いものにできる利点がある。また、楔5を取除いた状態とすれば、屋上やベランダなどで除草シートの上に土壌16を入れる事により、花や野菜等を育てる園芸用の枠体として使用する事もできる。尚、枠の大きさは、第一の固定具1と第二の固定具1aの組合せや追加により変更する事ができる。また、枠だけでなく直線的にも使用できるので、シート3の幅寸法に合わせた長さ寸法とする事も可能である。
【0030】
第一の固定具1とシート固定具2は、樹脂などの軽いものでできているので、設置作業も手軽で効率的に実施できるとともに、拡張や変更にも容易に対応できる。使用材質については、合成樹脂の単独、あるいは、木屑、炭酸カルシュウム、再生プラスチックス、などの充填剤を高配合させたPE、PP、ポリアミドなどの可とう性のある合成樹脂、更には、耐候性安定剤や防虫剤などの添加剤を配合した合成樹脂などで構成すればよい。また、可とう性や耐候性のあるステンレスなどの金属を使用してもよい。
【0031】
更に、本発明では全ての構成部品が、組立式であるとともに分解も容易に可能な構造となっており、部品廃却時には解体作業による材料分別に貢献できる構造である。更に、エコキャップ運動と連動して再資源化を実施することも可能な構造であり、地球温暖化対策に向けた二酸化炭素の排出低減に大きく貢献できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、雑草が生えてしまい、その対策として使用する除草シートや農作物の育成補助として使用しているマルチシート等のシート類を、シート自体に穴開けなどの加工を施す事なく、シートの敷設が必要とされる範囲の大きさを自由に定め、簡単な組立で見栄え
【符号の説明】
【0033】
1 ・・・・第一の固定具
1a ・・・・第二の固定具
2 ・・・・シート固定具
3 ・・・・シート
4 ・・・・穴
5 ・・・・楔
6 ・・・・第一の係止突起
6a ・・・・支柱
7 ・・・・突起
8 ・・・・第二の係止突起
9 ・・・・段差
10 ・・・・第一の係止部
12 ・・・・スリット部
13 ・・・・角部
14 ・・・・平面部
15 ・・・・枠部
16 ・・・・土壌
17 ・・・・回転用穴
18 ・・・・ロック解除突起
19 ・・・・保護壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑草の育成を阻む除草シートや農作物の育成補助に使用するマルチシート等のシート3を固定する方法において、二種類の部品を使用してシート3を固定する方法であって、一方の部品には凸形状の枠部15があり、枠部15の基には凹形状の穴4があり、さらに外側には段差9が設けられ、枠部15にある穴4の端部には第一の係止部10が設けられている。他方の部品の端部には凸形状の第一の係止突起6あるいは支柱6aがあり、もう一方の端部には、第二の係止突起8あるいは係止穴がある。尚、二つの部品間にシート3を挟み、第一の係止突起6を、第一の係止部10と第二の係止突起8を、段差9とそれぞれ係止し、二つの部品間にシート3を挟む状態としてシート3を固定させることを特徴とするシート固定具。
【請求項2】
他方の部品の第一の係止突起6もしくは支柱6aと第二の係止突起8の中間部には突起7が設けられ、突起7と第一の係止突起6は、互いの突出方向に対向して構成されている事を特徴とする請求項1記載のシート固定具。
【請求項3】
他方の部品にある凹形状の回転用穴17が、一方の部品の第一の係止部10に差し込まれ、回転用穴17を軸として、二つの部品間にシート3を挟む状態としてシート3を固定させる事を特徴とする請求項1記載のシート固定具。
【請求項4】
第一の固定具1にある枠部15の左右に平面部14を構成している事を特徴とする請求項1記載のシート固定具。
【請求項5】
一方の部品の端部には、2つ以上の凹形状の穴があり、もう一方の端部には2つ以上の凸形状の突起があり、同一部品を複数個使用して、突起を穴に嵌合させて、直線あるいは略直角方向に連結させる事ができる構造を特徴とする請求項1記載のシート固定具。
【請求項6】
一方の部品には隣接する範囲への根止めと土壌への部品の位置固定を目的とした楔を設けた事を特徴とする請求項1記載のシート固定具。
【請求項7】
一方の部品にある凹形状の穴4は、他方の部品と係止される事により、穴が塞がれる状態となる事を特徴とする請求項1記載のシート固定具。
【請求項8】
他方の部品には、一方の部品との係止解除の際に用いる、ロック解除突起18が設けられている事を特徴とする請求項1記載のシート固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−22014(P2013−22014A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173386(P2011−173386)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【特許番号】特許第4951740号(P4951740)
【特許公報発行日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(510007045)
【Fターム(参考)】