説明

シート搬送装置およびこれを備えた画像形成装置

【課題】搬送ローラに付着した紙粉やトナーなどのゴミに起因したシートの汚れを少なくすることができる装置を提供する。
【解決手段】シートを搬送する搬送ローラを備えているシート搬送装置において、搬送ローラの外周面を清掃する外周面清掃部及び搬送ローラの端面を清掃する端面清掃部が備えたクリーニングパッド14dによって搬送ローラを清掃する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザービームプリンタや複写機などの電子写真方式の画像形成装置では、像担持体(感光ドラム、中間転写ベルトなど)上に静電潜像を形成し、像担持体上の潜像を、現像剤を用いて現像してトナー像として可視化する。この像担持体上のトナー像を、像担持体と転写部材とで形成される転写ニップ部において、シートに転写する。
【0003】
画像形成装置内でのシートの搬送は搬送ローラによって行われる。搬送ローラにおけるシートと接触する箇所である外周面に清掃部材を当接させ、搬送ローラの清掃を行う方法が知られている。特許文献1では、清掃部材としてブラシを用いてシートから搬送ローラに転移した紙粉などのゴミを清掃している。また、特許文献2では、搬送ローラからスクレーパーを使って紙粉を除去する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−229681号公報
【特許文献2】特開2002−145475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送ローラの外周面に清掃部材を当接させる方法では、ローラの外周面に付着しているゴミを除くことができるものの、清掃部材によって搬送ローラの外周面から除かれる際に飛び散ったゴミが、搬送ローラの端面(回転軸方向における端部)に付着して蓄積する。そして、搬送ローラの端面に蓄積したゴミが、後に搬送されるシートに付着してシートを汚してしまう。なお、トナー像が形成された後のシートを搬送する搬送ローラの場合には、画像が形成された面に当接される搬送ローラの端面にシートから削れたトナーがゴミとして付着する。そして、搬送ローラの端面に付着したトナーによって、後に供給されるシートが汚れてしまって画像不良となる。
【0006】
本発明はこのような現状に対処するべくなされたものであって、搬送ローラに付着した紙粉やトナーなどのゴミに起因したシートの汚れを少なくすることができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート搬送装置は、シートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを清掃するクリーニング手段であって、前記搬送ローラの外周面と接して前記外周面を清掃する外周面清掃部と、前記搬送ローラの、軸方向における端面に接して前記端面を清掃する端面清掃部と、を備えたクリーニング手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に依れば、搬送ローラに付着したゴミを要因としたシートの汚れを少なくすることできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の概略構成を示す断面図。
【図2】第1実施形態における両面用搬送ユニットの概略構成を示す説明図。
【図3】第1実施形態における両面用搬送ユニットの上視図。
【図4】第1実施形態における両面用搬送ユニットの一部を示す斜視図。
【図5】第2実施形態における両面用搬送ユニットの概略構成を示す説明図。
【図6】第2実施形態における両面用搬送ユニットの一部を示す斜視図。
【図7】画像不良発生のメカニズムを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施例形態)
<画像形成装置の全体構成>
図1は本発明に係る画像形成装置100の第1実施形態の断面を模式的に示す図である。図1(i)乃至(iv)は、シートPの各プリント状態での位置を表しており、シートPの搬送経路を破線で示している。図1(i)はシートPが給送されていない状態を表している。
1は感光ドラムであり、矢印の方向に回転駆動される。感光ドラム1の表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって一様に帯電される。次にレーザースキャナ3によって画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザービームLによる走査露光が施され静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置4で現像、可視化される。可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5と感光ドラム1の圧接部である転写ニップ部(画像形成部)でシートP上に感光ドラム1上より転写される。
【0011】
転写ニップ部の上方には、シートに転写されたトナー像を定着する加熱定着器10が設けられている。加熱定着器10よりもシート搬送方向下流側にはシートを排紙トレイ12に排出する排紙ローラ対11が設けられている。
【0012】
13は、一方の面に画像が形成されたシートを搬送する両面搬送路である。両面搬送路13は、一方の面に画像が形成されたシートの他方の面に画像を形成させるために再度転写ニップ部にシートを案内する搬送路である。両面搬送路13には、シート搬送装置としての両面プリント用搬送ユニット14が設けられている。両面プリント用搬送ユニット14の詳細については後に詳述する。
【0013】
画像形成装置100の画像形成に係る動作に関して説明する。
まず、片面プリント時のシートPの流れについて説明する。
図1(ii)は片面プリント時のシートPの位置を表している。シートPは、給紙カセット6から給紙ローラ7によって給送された後、レジストローラ対8によって転写ニップ部まで搬送される。なお、ここで、感光ドラム1上のトナー像に合わせてレジストローラ対8がシートを送り出す。なお、シートPはレジストローラ対8の下流に配置されているトップセンサ9にて検知されて、その位置が認識される。
【0014】
このトナー像が転写されたシートPは加熱定着器10まで搬送され、永久画像として定着された後に排紙ローラ対11によって排紙トレイ12上に排紙される。
次に、両面プリント時のシートPの流れについて説明する。
【0015】
図1(iii)に示すように、片面(1面目印字面)の定着を終えたシートPは排紙ローラ対11のスイッチバック動作によって両面搬送路13に搬送される。そして、図1(iv)に示すように、両面搬送路13に搬送されたシートPは両面プリント用搬送ユニット14によって再びレジストローラ対8に送られる。レジストローラ対8によって搬送されたシートPの2面目印字面への画像形成が行われた後、画像形成されたシートPが排紙ローラ対11によって排紙トレイ12上に排出される。
【0016】
なお、本第1実施形態の画像形成装置は小型化を目的として1つのモータでの駆動を行っている。即ち、感光ドラム1、レジストローラ対8、加熱定着器10、両面プリント用搬送ユニット14などが1つもモータで駆動される。
【0017】
<両面プリント用搬送ユニット14>
両面プリント用搬送ユニット14の構成について図2および図4を参照しながら説明する。
図2は、両面プリント用搬送ユニット14の模式的な説明図である。図2(a)は両面プリント用搬送ユニット14の模式的な正面図であって、図2(b)は、従動ローラ14bの描図を省略した状態で、両面プリント用搬送ユニット14を、従動ローラ14b側から見た模式的な側面図である。
【0018】
両面プリント用搬送ユニット14は、本発明の搬送ローラとしての駆動ローラ14a、および、駆動ローラ14aに圧接されて駆動ローラ14aとでシートを挟んで搬送する従動ローラ14bを備える。さらに、両面プリント用搬送ユニット14には、駆動ローラ14aを清掃するクリーニング手段としてのクリーニングパッド14dが設けられている。
【0019】
駆動ローラ14aは、金属軸21に圧入させて固着されていて、ゴム製である。金属軸21にモータからの駆動が伝達されて駆動ローラ14aは回転駆動される。駆動ローラ14aは、シートを搬送させる搬送力をシートに付与する役割を持ち、材料としては少なくとも表面には摩擦係数の高いゴムや熱可塑性のエラストマを使用する。本第1実施形態では、駆動ローラ14a(ゴムローラ)の材料としてEPDM(エチレンプロピレン)ゴムを使用している。駆動ローラ14aに、ウレタンゴムを使用してもよい。
【0020】
従動ローラ14bの外周面は駆動ローラ14aの外周面22と接触する。従動ローラ14bは駆動ローラ14aに従動回転する。従動ローラ14bは樹脂性で、POM(ポリアセタール)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの樹脂を使用している。
【0021】
両面プリント用搬送ユニット14を、上方からみた上視図である図3に示されているように駆動ローラ14aの幅Xは、従動ローラ14bの幅Vよりも小さい。
図4(a)はクリーニングパッド14cの斜視図であり、図4(b)はクリーニングパッド14dに駆動ローラ14aを当接させた状態での斜視図である。
【0022】
クリーニングパッド14dは駆動ローラ14aに付着した紙粉やトナーを除去する役割をもつ。本第1実施形態では、クリーニングパッド14dとして、多孔質弾性部材であるスポンジ状の発泡ポリウレタンを用いている。クリーニングパッド14dの材料は薄板ブレード材、ブラシ材で構成されてもよいが、安定した接触圧、接触面積を確保するためには弾性体が好ましい。また、クリーニングパッド14dの材料は、クリーニングしたトナーの回収能力の高い多孔質体がより好ましい。
【0023】
また、クリーニングパッド14dの形状は駆動ローラ14aがシートと接触する外周面22だけでなく駆動ローラ14aの端面(軸方向における端部)23にも接触することで、外周面22のみならず端面23も清掃できる形状にしている。即ち、クリーニングパッド14dは、図4(a)に示すように、駆動ローラ14aの外周面22に接触して外周面22を清掃する外周面清掃部P1と、駆動ローラ14aの端面23に接触して端面23を清掃する端面清掃部P2とを備えている。外周面清掃部P1は、駆動ローラ14aの外周面22に沿った湾曲面であって、本実施形態では駆動ローラ14aの外周面22と同じ径で形成されている。端面清掃部P2は、駆動ローラ14aの端面23に接触する平面形状である。なお、図4の斜視図に示されているように、外周面清掃部P1と端面清掃部P2との境界部分は、外周面22と端面23との境(駆動ローラ14aの角部)に接触するように駆動ローラ14aの角部に倣う形状である。つまり、駆動ローラ14aの回転軸方向と平行且つ駆動ローラ14aの回転中心を通る断面では、外周面清掃部P1と端面清掃部P2との境界部が、駆動ローラ14aの角部の形状と合うように、直角である。クリーニングパッド14dは、接触圧によって駆動ローラ14aが回転しなくってシート搬送に支障をきたしてしまわない程度の圧力で、駆動ローラ14aに当接されている。
【0024】
このように本第1実施形態の両面プリント用搬送ユニット14では、駆動ローラ14aのシートに接触する外周面22だけでなく駆動ローラ14aの端面23にも当接するクリーニングパッド14dを用いる。したがって、例えば駆動ローラ14aの清掃に際して外周面22から飛び散った紙粉やトナーなどのゴミが、駆動ローラ14aの端面に付着してしまって、端面から次に搬送されるシートにゴミが付着するという不具合を少なくすることができる。本第1実施形態で用いたクリーニングパッド14dの作用や効果の詳細について後で述べる。
【0025】
ところで、駆動ローラ14aとして用いた摩擦係数の高いゴムは、オイルなどの粘着性のある添加剤を表面に有するといった性質上、紙粉やトナーが付着しやすい。本第1実施形態の画像形成装置100では、駆動ローラ14aの位置がシートの画像担持面である1面目印字面側と接する配置になっているため、駆動ローラ14aにトナーが付着しやすい構成となっている。なお、駆動ローラ14aが、シートの1面目印字面側と接するように配置されているのは、既述のように画像形成装置100が1つのモータだけを使用している関係上、モータからの駆動を駆動ローラ14aへ伝達するギア部の配置に制限が生じたからである。
【0026】
また、駆動ローラ14aの幅Xが、従動ローラ14bの幅Vよりも狭くしたのは、駆動ローラ14aによる搬送力を最大限にシートの搬送に生かすためである。
【0027】
<画像不良発生メカニズム>
以下では、両面搬送路でのシート搬送によって、シートの画像に不良が発生してしまうメカニズムの考察結果について説明する。
シートが駆動ローラと従動ローラの圧接部に挟持搬送される際には、1面目印字面に定着された画像が駆動ローラと擦れるためにトナーが駆動ローラに転移してしまうことがある。1面目印字面の画像パターンが定着性に不利な画像である場合、このトナーの転移が発生しやすい。定着性に不利な画像パターンとしては、孤立ドット画像やハーフトーン画像のようにシート上でのトナー同士の接触が少ない画像パターンが挙げられる。駆動ローラ上に転移した汚れは、次に搬送されてくるシートに再転移することで画像不良という問題を引き起こす原因となる。特に、シート先端が搬送ローラ対に突入する際の衝突時や、シート後端が搬送ローラ対から抜けて一瞬滞留し擦れる時のシートコバ部に汚れが転移しやすい。
【0028】
図7(i)〜(iv)は、駆動ローラ114aのトナー付着から画像不良に至るまでのトナーの移動経路を示した模式図である。図7(a)は、両面搬送路でのトナーの移動の様子を模式的に示したものである。図7(b)はシート搬送方向における下流側から上流側に向けて、駆動ローラ114a、従動ローラ114b、および、駆動ローラ114aを清掃する平面パッド114cを見た図であってトナーの移動の様子を模式的に示したものである。平面パッド114cは、上述の第1実施形態との比較のために駆動ローラ114aの外周面のみに接触するものとしている。
【0029】
図7(i−a)、(i−b)に示すように、シートPが駆動ローラ114aと従動ローラ114bの圧接部に挟持搬送される際、1面目印字面に定着された画像Tが駆動ローラ114aと擦れるためにトナーが駆動ローラ114aに転移する。
【0030】
駆動ローラ114aに当接された平面パッド114cによって駆動ローラ114a表面のトナーがかきとられ、平面パッド114cの上流側に蓄積される。
【0031】
図7(ii−a)、(ii−b)に示すように、平面パッド114cにトナーが蓄積していくと、そのトナーは駆動ローラ114aと当接されている部分から徐々に周りに掃き出され、駆動ローラ114aの端面に転移する。
【0032】
図7(iii−a)、(iii−b)に示すように、駆動ローラ114aの端面に付着したトナーは駆動ローラ114aの回転によって従動ローラ114bの表面付近に到達する。
【0033】
図7(iv−a)、(iv−b)に示すように、駆動ローラ114aの端面のトナー量が増え、ある一定量を超えると、それらのトナーは駆動ローラ114a端面から従動ローラ114b表面へのトナーが転移する。
【0034】
そして従動ローラ114bに転移したトナーは次に送られてきたシートPに転移して、画像不良やトナー汚れとして顕在化する。なお、図7(iii−a)、(iii−b)に示すように、駆動ローラ114aの端面に付着したトナーが次の搬送されてくるシートに転移することも考えられる。
【0035】
このような駆動ローラの端面へのトナー付着に起因した画像不良を、第1実施形態として説明した駆動ローラ14aの端面も清掃するクリーニングパッド14d(図2乃至図4参照)を用いることによって、少なくすることができる。以下では比較実験の結果について紹介する。
【0036】
<比較実験結果(第1実施形態に係るクリーニング効果の確認)>
駆動ローラ14aは、直径13.5mmのゴム(EPDM)を使用した。EPDMは、直径が6mmの金属軸に固着した。従動ローラ14bは、径14.0mmのPOMを使用した。両ローラの当接圧は450gfであり、駆動ローラ14aは150mm/secで駆動回転させた。
【0037】
また、クリーニングパッド14dとしては、エーテル系ポリウレタンフォームであるイノアックコーポレーション製カームフレックスF−2Gを使用した。クリーニングパッド14dは、16mm(W)×9mm(H)×12mm(D)の直方体形状(図4参照)から駆動ローラ14aが侵入量1mmで圧接されるように駆動ローラの形状に沿って形成した。
【0038】
実験は、クリーニングパッドがない第1構成、駆動ローラの外周面のみに接触する平面パッド114cの第2構成(図7参照)、そして、駆動ローラの外周のみならず端面にも接する本第1実施形態に係るクリーニングパッド14dの第3構成を比較した。
【0039】
まず1面目印字面の画像パターンを横ラインハーフトーン画像として連続して所定枚数両面プリントを行った後、片面プリントを連続で100枚行い、最後にベタ白パターンで1枚両面プリントを行った。そして最後のベタ白画像上に画像不良、トナー汚れが発生するかを確認した。
【0040】
表1は、ハーフトーン画像(最初の両面プリント)のプリント枚数を変えたときの結果である。なお、シートは普通紙であるXerox社製のXx4200(坪量75g/m^2)を用いている。
【0041】
『○』は画像不良、汚れがなかったことを、『×』は画像不良、トナー汚れがあったことを示す。
【0042】
【表1】

【0043】
クリーニングパッド無しの構成では、ハーフトーン画像の連続プリントを100枚にしたところ、シートの駆動ローラが接触する部分に駆動ローラから吐き出されたトナー汚れがみられた。これは、ハーフトーン画像を連続通紙することによってシートから駆動ローラ表面に転移したトナーが蓄積していき、その蓄積量がある一定の量を超えたことによって紙に再転移したものである。
【0044】
また、駆動ローラの表面のみに当接される平面パッド114c(図7参照)を用いた場合は、100枚通紙後の確認では汚れみられなかった。しかし、5000枚通紙後では、シートが従動ローラと接触している面の、従動ローラのコバ部(端部)に相当する部分でスジ状の汚れが確認された。これは、クリーニングパッドに蓄積したトナーが駆動ローラと当接されている部分から徐々に周りに掃き出され、駆動ローラの端面に転移した後、そのトナーが従動ローラ外周面に転移したことによりシートの裏に汚れとして現れたものである。
【0045】
駆動ローラの外周面と端面に接触する本第1実施形態として説明したクリーニングパッド14dを用いた第3構成では、10000枚連続通紙したあとの汚れ確認でも紙裏面の先後端コバ汚れ、表面のスジともにみられなかった。
【0046】
このように、駆動ローラの外周面だけでなく端面までクリーニングする形状のクリーニングパッドを両面プリント用搬送手段に適用することによってより大きなクリーニング効果が得られる。
【0047】
(第2実施形態)
本第2実施形態では、第1実施形態のものと比べてクリーニングパッドの形状だけが異なり、クリーニングパッド以外の画像形成装置、シート搬送手段の周辺構成は同様である。よって、第1実施形態と異なる部分について詳述し、第1実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。
【0048】
第1実施形態におけるクリーニングパッド14dを用いることによって、トナーが駆動ローラに付着しやすい条件下で10000枚連続通紙をした後でもシートのトナー汚れは発生しなかった。しかしながら、シートが駆動ローラと従動ローラの圧接部に挟持搬送される際に駆動ローラに転移するのは1面目印字面に定着された画像の一部だけでなく、シートに含まれる成分もローラ表面に転移することがある。これらの成分もトナーと同様にクリーニングパッドによってかきとられ蓄積される。
【0049】
近年では、シートとしての紙は剛度(腰)があり白色度が高いものが好まれ、炭酸カルシウムなどの填料を多く含有したシートが生産されており、将来において主流になりつつある。このような、填料を多く含む紙をシートとして用いる場合、駆動ローラへ転移する紙粉の量が多くなり、クリーニングパッドの蓄積できるトナー、紙粉の限界量到達を早めてしまう。
【0050】
本第2実施形態では、クリーニングパッドと駆動ローラが接触する部分の上流側にトナーや紙粉などのゴミ(異物)を回収して収納するスペースを設けている。このスペースによって、紙粉などのシートの成分が駆動ローラに多く付着するタイプのシートを用いた場合であっても、駆動ローラからかきとったトナー、紙粉を蓄積し続けてシートを汚すことが少なくすることができるようにしている。
【0051】
本第2実施形態における両面プリント用搬送ユニットの模式的説明図を図5に示す。両面プリント用搬送ユニット一部の模式的斜視図を図6に示す。
図5(a)は両面プリント用搬送ユニットを模式的に示した図であり、図5(b)は両面プリント用搬送ユニットを従動ローラ側から見た、従動ローラの描図を省略した側面図である。図6(a)はクリーニングパッド14eの斜視図であり、図6(b)はクリーニングパッド14eに駆動ローラ14aを当接させた状態での斜視図である。
【0052】
両面プリント用搬送ユニットは、互いに圧接してシートを挟持する駆動ローラ14aと従動ローラ14b、そして駆動ローラ14aをクリーニングするクリーニングパッド14eから成っている。
【0053】
クリーニングパッド14eは駆動ローラ14aに付着した紙粉やトナーを除去する役割をもち、スポンジ状の発砲ポリウレタンである。材料は薄板ブレード材、ブラシ材で構成されてもよいが、安定した接触圧、接触面積を確保するためには弾性体が好ましく、また、クリーニングしたトナーの回収能力の高い多孔質体がより好ましい。
【0054】
また、クリーニングパッド14eの形状は駆動ローラ14aがシートと接触する外周面22だけでなく端面23にも接触しクリーニングできる形状にしている。即ち、クリーニングパッド14eは、駆動ローラ14aの外周面22に接触して外周面22を清掃する外周面清掃部P1と、駆動ローラ14aの端面23に接触して端面23を清掃する端面清掃部P2とを備えている。さらに、クリーニングパッド14eの外周面清掃部P1よりも駆動ローラ14aの回転方向における上流側には、下面P3と側面P4とで形成され、トナーや紙粉等の異物を回収するための異物回収用のスペースが設けられる。クリーニングパッド14eは、異物回収用のスペースで、クリーニングパッド14e内に蓄積しきれなかったトナーや紙粉などの異物を回収して収納できる形状となっている。具体的には、下面P3は、外周面清掃部P1に対して下方へ凹んだ段差を介して設けられていて水平な平面形状である。下面P3は、駆動ローラ14aの外周面22に接触しない。側面P4は、端面清掃部P2から幅方向において段差を介して形成された平面形状であり、平面P3の幅方向における両側に設けられている。側面P4も駆動ローラ14aの端面23に接触しない。下面P3には外周面清掃部P1からの異物が載り、側面P4は、下面P3上の異物が幅方向に漏れないようにしている。なお、下面P3が水平な平面形状である形態をここでは例示したが、例えば、下面P3は、水平に対して外周面清掃部P1側にいくほど下方へ傾いた平面であってもよい。また、下面P3は、下に凸の湾曲形状であってもよい。
【0055】
上述のクリーニングパッド14eを用いての効果確認を行った結果を説明する。
ここでは、第一構成としての第1実施形態として説明したクリーニングパッド14dと、第二の構成としての、本第2実施形態のクリーニングパッド14eの構成とを比較した。なお、実験条件は第1の実施形態で説明したものと概ね同じであるので詳細は省略し、実験条件が異なる事項だけを説明する。
【0056】
実験でのプリント方法は、画像パターンを印字率4%の文字画像として連続して両面プリントを行い、所定枚数のプリント後にベタ白パターンで1枚両面プリントを行うことでトナー汚れが発生するかを確認する方法を採用した。
【0057】
表2は上記のプリント方法でプリント枚数を変えたときの結果である。
シートは、填料としての炭酸カルシウムを一般的な紙と比べて多く含有しているUPM社製のCoPykidを用いた。
『○』は汚れがなかったことを、『×』はトナー汚れがあったことを示す。
【0058】
【表2】

【0059】
クリーニングパッド14d(第1構成)では50000枚のプリント後でもトナー汚れは発生していなかったが、75000枚後の確認では紙の駆動ローラが接触する部分にトナー汚れがみられた。また、クリーニングパッド14dにはトナーに混ざって多くの紙粉がみられ、パッド表面付近の空隙はこれ以上トナーが蓄積できない状態になっていた。
【0060】
本第2実施形態のクリーニングパッド(第2構成)14eでは100000枚通紙してもトナー汚れは確認できなかった。第2実施形態で100000枚通紙した場合、第1実施形態のクリーニングパッド14dと同様に、駆動ローラ14a上のトナーや紙粉をクリーニングする部分にはトナーと紙粉がこれ以上蓄積できない状態であった。しかし第2実施形態では、トナー回収スペースにもトナーが回収されたことでシートへのトナーの転移はみられず、本第2実施形態のクリーニングパッド14eでクリーニング効果の向上が図れることが確認できた。
【0061】
なお、上述の第1実施形態および第2実施形態では両面搬送路内に配置されたローラ対をクリーニングパッドで清掃することを例示的に示した。しかしながら、第1および第2実施形態で説明したクリーニングパッドは、例えば片面プリント時にも用いられるレジストローラ対8、もしくは排紙ローラ対11を清掃するために用いても同様の効果が得られる。なお、一般的に、レジストローラ対や排紙ローラ対においては、片面プリント時に駆動ローラをシートの非画像担持面側に配置し、従動ローラをシートの画像担持面側に配置する。ユーザーが既に第一面にプリントされたシートの裏面を利用してプリントする、いわゆる手差し両面プリントを行うと駆動ローラ側にシートの画像担持面が接触してしまう。このような場合においても、レジストローラ対または排紙ローラ対のうちの駆動ローラに第1、第2実施形態で説明したクリーニングパッドを当接して用いれば、画像不良、トナー汚れを防止することができる。
【0062】
第1、第2実施形態のいずれでも、シートの画像担持面側に当接する駆動ローラ14aの外周面だけでなくその端面にも接触しクリーニングする。したがって、シートから転移した駆動ローラ上の異物が除去され、再びシートに転移することによって発生するシートの汚れ(画像不良)を少なくすることができる。
【0063】
また、第2実施形態として説明したクリーニングパッドのように搬送ローラが接触する部分の上流側にトナーを回収するスペースを設けることによって、更なるクリーニング効果の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0064】
8 レジストローラ対
11 排紙ローラ対
13 両面搬送路
14 両面プリント用搬送ユニット
14a 駆動ローラ
14b 従動ローラ
14d クリーニングパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを清掃するクリーニング手段であって、前記搬送ローラの外周面と接して前記外周面を清掃する外周面清掃部と、前記搬送ローラの、軸方向における端面に接して前記端面を清掃する端面清掃部と、を備えたクリーニング手段と、
を有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記クリーニング手段は多孔質弾性部材で形成されることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記外周面清掃部は、前記搬送ローラの外周面に沿う湾曲形状であり、
前記端面清掃部は、前記搬送ローラの端面に接する平面形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記クリーニング手段は、前記外周面清掃部の、前記搬送ローラの回転方向における上流側に、異物を収納するスペースを備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記スペースは、異物が載る下面と、前記下面の幅方向における両側の側面とによって形成されることを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
シートを搬送する請求項1乃至5のいずれかに記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、を有し、
前記シート搬送装置の前記搬送ローラは、前記画像形成部によって画像が形成された後のシートを搬送し、
前記クリーニング手段が清掃する前記搬送ローラは、シートの表面のうちの前記画像形成部によって画像が形成された面と接することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
一方の面に画像が形成されたシートを再度前記画像形成部へ導くための両面搬送路を備え、
前記搬送ローラは前記両面搬送路内に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送ローラは、モータからの駆動が伝達されて回転する、ゴム製の駆動ローラであって、
前記駆動ローラとでシートを挟んで搬送する、前記駆動ローラよりも軸方向の長さの長い従動ローラを備えたことを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate