説明

シート搬送装置及びその制御方法

【課題】シート搬送装置において、適切な紙間を維持し、精度よく斜行の検出を行って、斜行補正を行う。
【解決手段】シート搬送装置は、シートを搬送しつつ、シートの斜行を補正する。右側及び左側ローラ1R及び1Lはシートの搬送方向に交差するシートの幅方向の異なる位置に配置され、互いに独立して駆動されてシートを搬送する。斜行補正制御部6は、先行シート9の後端が右側及び左側センサの双方で検知されてから斜行補正対象シート10の先端を右側及び左側センサがそれぞれ検知するまでの時間を表す第1及び第2の検知時間を得て、第1及び第2の検知時間と所定の搬送時間とをそれぞれ比較して第1及び第2の比較結果を求める。斜行補正制御部は第1及び第2の比較結果に応じてそれぞれ右側及び左側ローラを駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等で用いられ、記録紙等のシートを搬送するためのシート搬送装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセスを用いた複写機、プリンタ、又はファクシミリ等の画像形成装置においては、画像形成を行う画像形成部に記録紙等のシートを搬送するためのシート搬送装置が備えられている。そして、画像形成部で形成されたトナー像をシートに良好に転写するためには、シートの姿勢を適切に保つ必要がある。さらに、シートと画像形成部で形成されたトナー像との位置合わせを行う必要がある。このため、シート搬送装置においては、シートの所謂斜行を補正するための斜行補正機能を有するものがある。
【0003】
ところで、シートの斜行を補正する場合、レジストローラ対によってシートにループを形成して、シートの斜行を補正するようにしたものがある。ところが、この補正手法では、シートを一旦停止させる必要があり、このため、斜行の補正に要する時間が長くなってしまう。
【0004】
このような不都合を防止するため、つまり、斜行の補正に要する時間を短縮するため、2つのシート検知センサと互いに独立して回転する1組の斜行補正ローラとを用いて、シートを搬送しつつ旋回させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
そして、このようにして、シートの斜行を補正する手法は、アクティブレジスト方式と呼ばれている。
【0006】
上記のアクティブレジスト方式においては、2つのシート検知センサがシート搬送路においてシート搬送方向に直交(交差)する同軸線上に配置されている。そして、シートの先端が2つのシート検知センサを横切った際、シート検知センサから出力されるシート検知信号の時間差に応じて、シートが斜行しているか否かを判定している。
【0007】
つまり、上記のシート検知信号に応じて、シートが斜行している度合いを示す斜行量を求めて、斜行量に基づいてそれぞれの斜行補正ローラの回転速度を独立に制御する。具体的には、シート搬送路に交叉する方向に配置された左右の斜行補正ローラによるシート搬送速度を、シートの斜行量に応じて変化させて、シートの斜行を補正するようにしている。なお、斜行補正の際には、シートの斜行量に応じて一方の斜行補正ローラによるシート搬送速度を、他方の斜行補正ローラによるシート搬送速度よりも遅くする(斜行減速制御と呼ぶ)か又は速くする(斜行増速制御と呼ぶ)。これによって、シートの斜行を補正するようにしている。
【0008】
上記のようなアクティブレジスト方式では、シートの搬送を一旦停止させることなく斜行補正を行うことができるので、シート間隔(先行シートと後行シートの間の間隔)を他の手法に比べて狭くすることができる。この結果、アクティブレジスト方式においては、シート搬送効率を高めることができる。
【0009】
例えば、アクティブレジスト方式を用いれば、画像形成装置における画像形成のプロセス速度を上げることなく、実質的に画像形成速度の向上を図ることができる。従って、アクティブレジスト方式は、画像形成装置における画像形成動作の高速化に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−032682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、近年、複写機及びプリンタ等の画像形成装置における生産性の向上に対する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、シートの搬送速度を速くすることが行われている。さらに、搬送されるシート間の間隔を狭くするといった対策も考えられている。
【0012】
ところが、シートの搬送速度を速くすると、不可避的にトナー像をシートに転写する際の安定性が損なわれる。さらに、転写後の定着工程における安定性も損なわれてしまう。そして、上記のように、安定性が損なわれると、画像形成における画質が劣化してしまう。
【0013】
このため、搬送されるシート間の間隔を狭くして、単位時間当りの生産性を向上させようとする傾向がある。そして、シート間の間隔が10mm以下となっても用紙ジャムが生じないシート搬送装置に実現が望まれている。
【0014】
ところが、各シートにおける斜行量は、給紙カセットによる給紙精度に起因して、A4幅(296mm)で最大約15mmは生じてしまう。よって、極狭紙間でシートを搬送した際、斜行補正対象となるシート(斜行補正対象シート)について、その前後のシートとの間隔を考慮しないで斜行補正行うと、紙間を維持できない状態が起きることがある。
【0015】
そして、このような状態でシートが搬送されると、シート搬送路に配置されたシート検知センサがシートの先後端を判別することができず、シート搬送の遅延であると誤検知をするという不具合が生じてしまう。
【0016】
従って、本発明の目的は、適切な紙間を維持して、精度よく斜行の検出を行って、斜行補正を行うことのできるシート搬送装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明によるシート搬送装置は、シートを搬送しつつ、シートの斜行を補正するシート搬送装置において、シートの搬送方向に交差するシートの幅方向の異なる位置に配置され、互いに独立して駆動されてシートを搬送する第1及び第2の搬送部材と、前記幅方向の異なる位置に配置され、シートを検知する第1及び第2のシート検知手段と、斜行の補正対象である斜行補正対象シートよりも先行して搬送される先行シートの後端が前記第1及び前記第2のシート検知手段の双方で検知されてから前記斜行補正対象シートの先端を前記第1及び前記第2のシート検知手段がそれぞれ検知するまでの時間を表す第1及び第2の検知時間を得て、前記第1及び前記第2の検知時間と前記先行シート及び前記斜行補正対象シートの間隔が目標間隔である場合における所定の搬送時間とをそれぞれ比較して第1及び第2の比較結果を求め、前記第1及び前記第2の比較結果に応じてそれぞれ前記第1及び前記第2の搬送部材を駆動制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明によるシート搬送装置は、シートを搬送しつつ、シートの斜行を補正するシート搬送装置において、シートの搬送方向に交差するシートの幅方向の異なる位置に配置され、互いに独立して駆動されてシートを搬送する第1及び第2の搬送部材と、前記幅方向の異なる位置に配置され、シートを検知する第1及び第2のシート検知手段と、前記第1及び前記第2のシート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、前記斜行の補正対象である斜行補正対象シートよりも先行する先行シートの後端と前記斜行補正対象シートの先端との間隔を第1の間隔として得るとともに、前記斜行補正対象シートの後端と該斜行補正対象シートに続く後行シートの先端との間隔を第2の間隔として得る間隔検知手段と、前記第1及び前記第2のシート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、前記斜行補正対象シートの斜行量を求める斜行検出手段と、前記斜行量に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材を駆動制御するとともに、前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも大きいと、前記第1及び前記第2の間隔の差に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材の速度を増速制御する第1の制御手段と、前記斜行量に応じて前記搬送部材を駆動制御するとともに、前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも小さいと、前記第1及び前記第2の間隔の差に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材の速度を減速制御する第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、斜行補正対象シートの先端と先行シートの後端とを検出した時間差と所定の搬送時間とに応じて搬送部材を独立して制御するようにしたので、先行シートと斜行補正対象シートとの間隔を保持しつつ、斜行補正対象シートについて斜行の補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態によるシート搬送装置の一例が用いられる画像形成装置についてその構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示すシート搬送装置の構成の第1の例を詳細に示す平面図である。
【図3】図2に示す斜行補正制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図2に示すシート搬送装置の動作の一例を説明するための図であり、(A)は先行シートが先端レジ制御ローラに達した状態を示す図、(B)は斜行補正対象シートが右側センサ又はセンサ5Lで検知された状態を示す図である。
【図5】図2に示すシート搬送装置の動作の一例を説明するための図であり、(A)は斜行補正対象シートの先端が左側センサで検知された状態を示す図、(B)は斜行補正対象シートが右側ローラ及び左側ローラの双方に保持される状態を示す図である。
【図6】図2に示すシート搬送装置の動作の一例において、先行シートと斜行補正対象シートとの間隔を目標距離に保って斜行補正対象シートの斜行補正が行われた状態を示す図である。
【図7】図2に示すシート搬送装置の動作を説明するための図である。
【図8】図2に示すシート搬送装置において斜行補正ローラの速度遷移を説明するための図であり、(A)は右側ローラの速度遷移を示す図、(B)は左側ローラの速度遷移を示す図である。
【図9】図1に示すシート搬送装置の構成の第2の例を詳細に示す平面図である。
【図10】図9に示す斜行補正制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図9に示すシート搬送装置の動作の一例を説明するための図であり、(A)は斜行補正対象シートの後端が上流センサを通過した状態を示す図、(B)は先行シートの後端が右側センサを通過した状態を示す図である。
【図12】図9に示すシート搬送装置の動作の一例を説明するための図であり、(A)は斜行補正シートが右側センサで検知された状態を示す図、(B)は斜行補正シートが左側センサで検知された状態を示す図である。
【図13】図9に示すシート搬送装置の動作の一例において、斜行補正対象シートが右側ローラ及び左側ローラによって斜行補正された状態を示す図である。
【図14】図9に示すシート搬送装置の動作を説明するための図(その1)である。
【図15】図9に示すシート搬送装置の動作を説明するための図(その2)である。
【図16】図9に示すシート搬送装置の動作を説明するための図(その3)である。
【図17】図9に示すシート搬送装置の動作を説明するための図(その4)である。
【図18】図9に示すシート搬送装置において斜行補正ローラの速度遷移を説明するための図であり、(A)は右側ローラの速度遷移を示す図、(B)は左側ローラの速度遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態によるシート搬送装置の一例について図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態によるシート搬送装置の一例が用いられる画像形成装置についてその構成の一例を示す図である。なお、ここでは画像形成装置を例に挙げて説明するが、用紙等のシートを搬送する際、シートの斜行を補遺する必要のある機器にも、このシート搬送装置を用いることができる。
【0023】
図1を参照して、図示の画像形成装置は、画像形成部300及びシート給送部301を有している。画像形成部300は、感光体ドラム(像担持体)16を有している。感光体ドラム16の周囲には、帯電器20、現像器22、及びクリーナ26が配置されている。
【0024】
なお、図1においては、一つの画像形成部300のみが示されているが、カラー画像を形成するためのカラー画像形成装置においては、各色毎に画像形成部が配置されることになる。
【0025】
感光体ドラム16は、モータ(図示せず)によって図中矢印Bの方向に回転駆動される。感光体ドラム16の表面は、帯電器20によって一様に帯電される。その後、レーザースキャナ105は画像パルスに応じたレーザ光を感光体ドラム16に照射して、感光体ドラム16上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像は現像器22によって現像されてトナー像とされる。
【0026】
無端状の転写ベルト14を挟んで、感光体ドラム16と対向して一次転写器24が配置され、この一次転写器24によって、感光体ドラム16上のトナー像が一次転写像として転写ベルト14上に転写される。なお、一次転写の後、感光体ドラム16に残留する残留トナーはクリーナ26によって除去される。
【0027】
上記の転写ベルト14は、3つのローラ12によって架設・支持され、モータ(図示せず)によって図中矢印Aの方向に駆動される。図中最も下側に位置するローラ12と対向して2次転写ローラ28が配置され、転写ベルト14と2次転写ローラ28とのニップ部で規定される2次転写位置に、後述するように、記録紙等のシート9及び10が搬送される。
【0028】
そして、2次転写ローラ28によって転写ベルト14上の一次転写像31及び32が順次シート9及び10に2次転写像として転写される。その後、シート9及び10は、定着器(図示せず)に送られて、シート9及び10上の2次転写像(トナー像)が定着される。定着の後、シート9及び10は、排出トレイ(図示せず)に排紙される。
【0029】
シート給送部301は、画像形成装置本体に着脱可能な給紙カセット50を有し、この給紙カセット50には記録紙又はOHPシート等のシートが収納される。給紙カセット50に収納されたシートは一枚ずつ、給紙ローラ51によって画像形成部300に送られる。
【0030】
図示のように、シート給送部301と画像形成部300との間には、シート搬送装置302が配置されている。このシート搬送装置302によってシート給送部301から二次転写位置にシート9及び10が給送されることになる。
【0031】
シート搬送装置302は、後述するように、シート9及び10について斜行補正及び先端レジ補正を行う。これによって、シート搬送装置302はシート9及び10の姿勢位置精度を高めて、転写ベルト14上のトナー像31及び32に合わせてシート9及び10を2次転写位置に送り出す。
【0032】
レーザースキャナ105はポリゴンミラー(多面体鏡)を内蔵しており、レーザースキャナ105はポリゴンミラーで反射されたレーザ光をレーザ光検知センサで検知した際、レーザ光検知信号を送出する。
【0033】
画像制御部104は、レーザースキャナ105からレーザ光検知信号を受ける。そして、画像制御部104は、レーザ光検知信号に同期してレーザースキャナ105に画像データに応じた画像パルスを送る。
【0034】
コントローラ103は、PC(パーソナルコンピュータ)又は原稿読取装置(ともに図示せず)から送られる画像データを一時的に格納する。そして、コントローラ103は画像制御部104から送られる画像要求信号及び水平同期信号に基づいて画像データを画像制御部104に送る。
【0035】
なお、画像制御部104はレーザ光検知信号に基づいて水平同期信号を生成する。そして、画像要求信号を基準として所定数の水平同期信号をカウントした後、コントローラ103は水平同期信号に同期して画像データを所定ライン数分毎に画像制御部104に送信する。前述のように、この画像データは、画像制御部104において、データレベルに応じたパルス幅を有する画像パルスに変換される。
【0036】
ここで、図1に示すシート搬送装置302の動作について説明する。まず、CPU(図示せず)から発せられるトリガー信号に同期して、前述のように、給紙カセット50から給紙ローラ51によってシート9が送り出される。そして、シート9は搬送ローラ52を経て、レジ前ローラ8に達する。なお、各搬送ローラ52の近傍には、シート検知センサ(図示せず)が配置されている。このシート検知センサによってシートの通過が検知されると、CPUは駆動制御部(図示せず)によって搬送ローラ52を駆動する。
【0037】
いま、シート9が、画像基準検知センサ100を通過して、画像基準検知信号を画像制御部104が受信すると、画像制御部104は画像要求信号をコントローラ103に出力する。前述したように、この画像要求信号に応じて、コントローラ103は、画像データを水平同期信号に同期して画像制御部104に送る。そして、画像制御部104は画像データに応じた画像パルスをレーザースキャナ105に送る。
【0038】
これによって、前述したようにして、レーザースキャナ105は、画像パルスに対応したレーザ光を感光体ドラム16上に照射して、静電潜像を形成する。そして、順次画像形成プロセスが実行されて、前述したように、転写ベルト14上に一次転写像31及び32が形成される。
【0039】
図1において、シート搬送装置302は斜行補正部6A及び先端レジ前補正部101Aを有している。まず、レジ前ローラ8によってシート9は斜行補正部6Aに搬送される。そして、斜行補正部6Aを通過する際、シート9の斜行が補正される。
【0040】
図示のように、斜行補正部6Aは、斜行補正制御部6及び一対の斜行検知センサ5を有している。一対の斜行検知センサ5はシート9の先端を検知すると、それぞれシート検知信号を斜行補正制御部6に送る。
【0041】
斜行補正制御部6は、一対のシート検知信号を受けた時間の差に応じて、シートの斜行量を求める。そして、斜行補正制御部6は、シートの斜行量に応じて、一対の斜行補正ローラ1のいずれか一方の駆動速度を、例えば、減速してシートの斜行補正を行う。
【0042】
先端レジ補正部101Aは、搬送方向において斜行補正部6Aの下流に配置されている。シート9は、斜行補正部6Aで斜行補正された後、先端レジ補正部101Aで、その先端位置が一次転写像(トナー像)31に合うように制御される。先端レジ補正部101Aは、先端レジ制御ローラ7、先端レジ検知センサ102、及び先端レジ補正制御部101を備えている。
【0043】
先端レジ補正制御部101には、シート9が画像基準センサ100を通過した際に、画像基準センサ100から画像基準検知信号が与えられる。先端レジ補正制御部101は、画像基準検知信号に応答して内蔵タイマーのカウントを開始する。そして、先端レジ補正制御部101は、シート9が先端レジ検知センサ102を通過した際における内蔵タイマーのカウント値を得る。
【0044】
先端レジ補正制御部101は、シート9とトナー像31が適正な位置関係になるために設定された適正カウント値と上記のカウント値との差分を求める。
【0045】
続いて、先端レジ補正制御部101は、上記の差分に基づいてシート9がトナー像31に対してどの程度進んでいるか又は遅れているかを判断する。
【0046】
先端レジ補正制御部101は、シート9が二次転写位置に到達する前に、シート9がトナー像31よりも遅れている場合には、先端レジ制御ローラ7の周速を所定の補正時間内で増速する。一方、シート9がトナー像31よりも進んでいる場合は、先端レジ補正制御部101は、先端レジ制御ローラ7の周速を所定の補正時間内で減速する。
【0047】
これによって、先端レジ補正制御部101はトナー像31とシート9との適正なレジ合わせ(レジストレーション)を行う。
【0048】
このようにして、シート9にトナー像31が転写された後、前述したようにして、シート9は定着器80を介して排出トレイに排紙される。なお、シート9に引き続き給紙カセット50からシート10もシート9と同様に搬送、斜行補正され、トナー画像32が転写されて、定着器80を介して排出トレイに排紙される。
【0049】
図2は、図1に示すシート搬送装置302の構成の第1の例を詳細に示す平面図である。
【0050】
図2を参照すると、図示の斜行補正部6Aでは、一対の斜行補正ローラ1(第1の搬送部材及び第2の搬送部材)について、搬送方向上流側から見て搬送方向右側に位置する斜行補正ローラが右側ローラ1R(第1の搬送ローラ)として示されている。また、搬送方向左側に位置する斜行補正ローラが左側ローラ1L(第2の搬送ローラ)として示されている。
【0051】
なお、斜行補正制御部6Aは複数の斜行補正ローラ1を有するようにしてもよい。この場合、複数の斜行補正ローラ1はシートの搬送方向に直交(交差)するシートの幅方向に沿って配置されて、互いに独立して駆動される。
【0052】
右側ローラ1Rは、ステッピングモータ2Rによって駆動され、同様に、左側ローラ1Lは、ステッピングモータ2Lによって駆動される。図示のように、右側ローラ1R及び左側ローラ1Lはそれぞれベルト3R及び3Lによってステッピングモータ2R及び2Lに連結されている。
【0053】
ステッピングモータ2R及び2Lにはそれぞれドライバー4Rから駆動電流が供給される。図1で説明した一対の斜行検知センサ5について、シートの搬送方向右側に位置する斜行検知センサが右側センサ5R(第1のシート検知センサ)として示されている。
【0054】
また、シートの搬送方向左側に位置する斜行検知センサが左側センサ5L(第2のシート検知センサ)として示されている。そして、右側センサ5Rと左側センサ5Lとの間隔は、右側ローラ1Rと左側ローラ1Lとの間隔と等しくなっている。なお、右側センサ5Rと左側センサ5Lとは、シートの搬送方向に直交するシートの幅方向に沿って配置されている。
【0055】
斜行補正制御部6は、斜行検知センサ5R及び5Lからそれぞれシート検知信号を受けると、ドライバー4R及び4Lにモータ駆動パルス信号を送る。これによって、左側ローラ1R及び右側ローラ1Lが駆動制御される。
【0056】
なお、先端レジ補正部101Aにおいても、同様にして、一対の先端レジ制御ローラ7は、独立してステッピングモータ等の駆動源によって駆動される。そして、先端レジ補正制御部101(図1)は、先端レジ検知センサ102からシート検知信号を受けると、ドライバーにモータ駆動パルス信号を送って、ステッピングモータを駆動制御する。
【0057】
図3は、図2に示す斜行補正制御部6の構成の一例を示すブロック図である。
【0058】
図3を参照すると、斜行補正制御部6は、センサオフ検知部20とセンサオン検知部21R及び21Lとを備えている。そして、センサオフ検知部20には、右側センサ5R及び左側センサ5Lからシート検知信号が与えられる。以下の説明では、右側センサ5Rから出力されるシート検知信号を右側シート検知信号と呼ぶ。また、左側センサ5Lから出力されるシート検知信号を左側シート検知信号と呼ぶ。
【0059】
図示のように、センサオン検知部21R及び21Lにはそれぞれ右側シート検知信号及び左側シート検知信号が与えられる。センサオフ検知部20は、右側シート検知信号及び左側シート検知信号がともにオフとなると、センサオフ信号を送出する。
【0060】
一方、センサオン検知部21R及び21Lはそれぞれ右側シート検知信号及び左側シート検知信号がオンとなると、右側センサオン信号及び左側センサオン信号を送出する。
【0061】
センサオフ信号及び右側センサオン信号はカウンタ22R(第1のカウンタ手段)に与えられ、センサオフ信号及び左側センサオン信号はカウンタ22Lに与えられる。
【0062】
カウンタ22Rは、センサオフ信号を受けると計時(カウント)を開始し、右側カウント信号(第1のカウント値)を出力する。そして、右側センサオン信号を受けると、カウンタ22Rは計時を停止する。つまり、カウンタ22Rは、センサオフ検知部20の信号出力からセンサオン検知部21Rの信号出力までの時間をカウントすることになる(第1の検知時間を得る)。
【0063】
同様にして、カウンタ22L(第2のカウンタ手段)は、センサオフ信号を受けると計時を開始し、左側カウント信号(第2のカウント値)を出力する。そして、左側センサオン信号を受けると、カウンタ22Lは計時を停止する。つまり、カウンタ22Lは、センサオフ検知部20の信号出力からセンサオン検知部21Lの信号出力までの時間をカウントすることになる(第2の検知時間を得る)。
【0064】
右側カウント信号及び左側カウント信号はそれぞれ時間差算出部23R及び23Lに与えられる。時間差算出部23R(第1の時間差算出手段)は所定の時間(所定の搬送時間ともいう)と右側カウント信号が示すカウント値との差分(第1の差分:絶対値)を算出して、右側差分(時間差(第1の比較結果))とする。
【0065】
この際、所定の搬送時間>カウント値であれば、時間差算出部23Rは、増速する必要があるとして、増速を示す増速信号を出力する。一方、所定の搬送時間<カウント値であれば、時間差算出部23Rは、減速する必要があるとして、減速を示す減速信号を出力する。つまり、時間差算出部23Rは、所定の搬送時間とカウント値との関係に応じて増減速信号(以下、右側増減速信号と呼ぶ)を出力することになる。
【0066】
同様に、時間差算出部23L(第2の時間差算出手段)は所定の時間(所定の搬送時間)と左側カウント信号が示すカウント値との差分(第2の差分)を算出して、左側差分(第2の比較結果)とする。そして、時間差算出部23Rと同様に増減速信号(以下、左側増減速信号と呼ぶ)を出力する。
【0067】
上記の右側差分及び右側増減速信号は、時間差算出部23Rから増減速度算出部24Rに与えられる。また、左側差分及び左側増減速信号は、時間差算出部23Lから増減速度算出部24Lに与えられる。
【0068】
増減速度算出部24R及び24Lは、それぞれ右側増減速信号及び左側増減速信号に応じて増速するか又は減速するかを判断する。そして、増減速度算出部24Rは右側差分に現在の搬送速度(右側ローラ1Rによる搬送速度)を乗算して遅れ/進み距離を算出し、この遅れ/進み距離を予め規定された補正時間で除算して、増速量又は減速量とする。増減速度算出部24Rは、増速量又は減速量を示す右側増減速量信号をパルス周期換算部25Rに送る。
【0069】
同様にして、増減速度算出部24Lは左側差分に現在の搬送速度(左側ローラ1Lによる搬送速度)を乗算して遅れ/進み距離を算出し、この遅れ/進み距離を予め規定された補正時間で除算して、増速量又は減速量とする。増減速度算出部24Lは、増速量又は減速量を示す左側増減速量信号をパルス周期換算部25Lに送る。
【0070】
パルス周期換算部25Rは右側増減速量信号が示す増減速度を定常速度に加算して、増減速時における速度を算出する。そして、パルス周期換算部25Rは増減速時における速度に対応するパルス周期を求めて、当該パルス周期をパルス生成部26Rに与える。
【0071】
同様にして、パルス周期換算部25Lは左側増減速量信号が示す増減速度を定常速度に加算して、増減速時における速度を算出する。そして、パルス周期換算部25Lは増減速時における速度に対応するパルス周期を求めて、当該パルス周期をパルス生成部26Lに与える。
【0072】
図示のように、センサオン検知部21R及び21Lからそれぞれ右側センサオン信号及び左側センサオン信号が遅延部27に与えられる。遅延部27は右側センサオン信号及び左側センサオン信号の双方を受信すると、予め定められた遅延時間の後、トリガー信号をパルス生成部26R及び26Lに送出する。
【0073】
パルス生成部26Rは、トリガー信号に同期して、増減速時におけるパルス周期を有するパルス信号(右側パルス信号)を生成して、ドライバー4Rに与える。つまり、パルス生成部26Rは、定常速度に対応する周期のパルスから、増減速時におけるパルス周期を有するパルス信号に出力遷移を行う。そして、所定の斜行補正時間が経過すると、パルス生成部26Rは再び定常速度に対応する周期のパルス信号に出力遷移する。同様にして、パルス生成部26Lは、トリガー信号に同期して、増減速時におけるパルス周期を有するパルス信号(左側パルス信号)を生成して、ドライバー4Lに与える。そして、所定の斜行補正時間が経過すると、パルス生成部26Lは再び定常速度に対応する周期のパルス信号に出力遷移する。
【0074】
図4〜図7は図2に示すシート搬送装置302の動作の一例を説明するための図である。
【0075】
図2〜図7を参照して、まず、先行のシート9について斜行補正が行われる(図4(A)参照)。斜行補正制御部6は、先行シート9の後端が右側センサ5R及び左側センサ5Lを通過したか否かについて判定する(S1)。センサオフ検知部20がセンサオフ信号を出力しないと(S1において、NO)、斜行補正制御部6は、先行シート9の後端が右側センサ5R及び左側センサ5Lを通過するまで待つ。
【0076】
一方、センサオフ検知部20がセンサオフ信号を出力すると(S1において、YES)、カウンタ22R及び22Lがカウント(計時)を開始する(S2)。先行シート9は、先端レジ補正部101A(図1)の先端レジ制御ローラ7に達し(図4(A)参照)、斜行補正制御部6は斜行補正対象シート10の先端が右側センサ5R又は左側センサ5Lを通過したか否かについて判定する(S3)。
【0077】
斜行補正対象シート10が右側センサ5R又は左側センサ5Lで検知されないと(S3において、NO)、斜行補正制御部6は、斜行補正対象シート10の先端が右側センサ5R又は左側センサ5Lを通過するまで待つ。
【0078】
斜行補正対象シート10が右側センサ5R又は左側センサ5Lで検知されると(S3においてYES、図4(B)参照)、右側センサ5R又は左側センサ5Lが右側センサオン信号又は左側センサオン信号を出力する。
【0079】
なお、図4(B)においては、右側センサ5Rでシート10の先端が検知された状態が示されている。よって、ここでは、右側センサ5Rが右側センサオン信号を出力する。
【0080】
右側センサオン信号に応答して、カウンタ22Rはカウントを停止する(S4)。そして、カウンタ22Rは右側カウント信号を出力する。時間差算出部23Rは、前述のように、右側カウント信号が示すカウント値と所定の搬送時間(例えば、目標紙間(目標間隔)にある際の搬送時間)との差分(右側差分)を求める。さらに、時間差算出部23Rは、カウント値が所定の搬送時間よりも大きいか否かを判定する(S5)。
【0081】
カウント値が所定の搬送時間よりも小さいと(S5において、NO)、図3で説明したようにして、右側ローラ1Rの減速が行われる(S6)。一方、カウント値が所定の搬送時間よりも大きいと(S5において、YES)、図3で説明したようにして、右側ローラ1Rの増速が行われる(S7)。そして、斜行補正制御部6は一旦処理を終了する。
【0082】
続いて、斜行補正対象シート10の先端が左側センサ5Lで検知されると(図5(A)参照)、同様にして、センサオン検知部21Lが左側センサオン信号を出力する。これによって、カウンタ22Lはカウントを停止して、左側カウント信号を出力する。そして、時間差算出部23Lは、左カウント信号が示すカウント値と所定の搬送時間との差分(左側差分)を求める。さらに、時間差算出部23Lは、カウント値が所定の搬送時間よりも大きいか否かを判定する。その後、図3で説明したようにして、左側ローラ1Lの減速又は増速が行われることになる。
【0083】
図8は、図2に示すシート搬送装置302において斜行補正ローラの速度遷移を説明するための図である。そして、図8(A)は右側ローラ1Rの速度遷移を示す図であり、図8(B)は左側ローラ1Lの速度遷移を示す図である。
【0084】
図8を参照して、いま、右側ローラ1R側では、所定の搬送時間(目標時間ともいう)よりもカウント値が小さいとする。この場合、時間差算出部23Rは、右側差分(時間差情報)として、目標時間Tidからカウント値を差し引いた時間差ΔtRを増減速度算出部24Rに与える。また、時間差算出部23Rは、右側増減速信号(増減速情報ともいう)として減速情報=0を増減速度算出部24Rに送る。
【0085】
図8(A)に示すように、増減速度算出部24Rは、時間差ΔtRとシート10の搬送速度V0を乗算する。つまり、増減速度算出部24Rは、斜行補正対象シート10及び先行シート9の間の目標距離(V0×Tid)と実際の距離との距離差をV0×ΔtR(図8(A)において、斜線で示す)を算出することになる(図5(B)も参照)。
【0086】
さらに、増減速度算出部24Rは、距離差V0×ΔtRを斜行補正時間Tで除算して減速幅ΔVRを算出する。そして、増減速度算出部24Rは搬送速度V0から減速幅ΔVRを差し引いた速度V1Rを、右側増減速量信号としてパルス周期換算部25Rに送る。
【0087】
この結果、パルス周期換算部25Rは、右側ローラ1Rの周速が速度V1Rとなるパルス周期を示すパルス周期情報をパルス生成部26Rに送る。
【0088】
いま、左側ローラ1L側では、目標時間よりカウント値が大きいとする。この場合、時間差算出部23Rは、左側差分(時間差情報)として、カウント値から目標時間Tidを差し引いた時間差ΔtLを増減速度算出部24Lに与える。また、時間差算出部23Rは、左側増減速信号(増減速情報ともいう)として増速情報=1を増減速度算出部24Lに送る。
【0089】
図8(B)に示すように、増減速度算出部24Lは、時間差ΔtLとシート10の搬送速度V0を乗算する。つまり、増減速度算出部24Lは、斜行補正対象シート10及び先行シート9の間の目標距離(V0×Tid)と実際の距離との距離差をV0×ΔtL(図8(B)において、斜線で示す)を算出することになる(図5(B)も参照)。
【0090】
さらに、増減速度算出部24Lは、距離差V0×ΔtLを斜行補正時間Tで除算して減速幅ΔVLを算出する。そして、増減速度算出部24Lは搬送速度V0から減速幅ΔVLを差し引いた速度V1Lを、左側増減速量信号としてパルス周期換算部25Lに送る。
【0091】
この結果、パルス周期換算部25Lは、左側ローラ1Lの周速が速度V1Lとなるパルス周期を示すパルス周期情報をパルス生成部26Lに送る。
【0092】
斜行補正対象シート10が、右側ローラ1R及び左側ローラ1Lの双方に保持される状態になると(図5(B)参照)、レジ前ローラ(以下、搬送ローラと呼ぶ)8が挟持解除機構(図示せず)によって離間状態となる。これによって、斜行補正対象シート10はその後端が搬送ローラ8から開放される。
【0093】
前述のように、遅延部27からトリガー信号がパルス生成部26R及び26Lに与えられると、ドライバー4R及び4Lにパルス生成部26R及び26Lからパルス信号が送られる。
【0094】
これによって、ドライバー4R及び4Lからの駆動電流に応じてステッピングモータ2R及び2Lの回転速度が制御され、右側ローラ1R及び1Lの周速が前述した図8(A)及び(B)に示す速度となる。
【0095】
この結果、上述の例では、右側ローラ1Rは減速され、左側ローラ1Lは増速されることになる。そして、斜行補正対象シート10の斜行が補正されることになる。
【0096】
これによって、図8に示すように、先行シート9と斜行補正対象シート10との間隔が目標距離(V0×Tid)に保たれつつ、斜行補正対象シート10の斜行補正が行われることになる。
【0097】
この際、既に斜行補正が行われた先行シート9については、先端レジ制御ローラ7による先端レジ制御が行われている。先端レジ補正制御部101は、前述したように、画像基準センサ100からの画像基準検知信号を受けた際に内蔵タイマーによるカウントを開始する。そして、先行シート9が先端レジ検知センサ102を通過した際、先端レジ補正制御部101は内蔵タイマーのカウント値を確認する。
【0098】
このカウント値が所定の目標値より小さいと(シートが早着)、先端レジ補正制御部101は、図8(A)で説明した手法と同様の手法で、先行シート9について減速制御を行う。
【0099】
一方、カウント値が目標値より大きいと(シートが遅延)、先端レジ補正制御部101は、図8(B)で説明した手法と同様の手法で、先行シート9について増速制御を行う。
【0100】
先端レジ補正制御部101が先行シート9に対して減速制御を行っても、上流に位置する斜行補正対象シート10に対して、前述のように、紙間隔保持が行われているので、シート同士の後端と先端が重なることがなくなる。その結果、安定してシート搬送を行うことができることになる。
【0101】
上述のように、第1の例においては、斜行補正対象シート10の先端と先行シート9の後端との間隔を検知して、互いに独立して一対の斜行ローラ5を増減速制御するようにしている。従って、斜行補正対象シート10と先行シート9との紙間を適切に保ちつつ、斜行補正対象シート10の斜行補正を行うことができる。
【0102】
図9は、図1に示すシート搬送装置302の構成の第2の例を詳細に示す平面図である。
【0103】
図9において、図2に示すシート搬送装置302と同一の構成要素については同一の参照番号を付し、説明を省略する。図9に示すシート搬送装置302は、新たにシート検知センサ33及び一対の搬送ローラ34を有している。
【0104】
シート検知センサ33は、搬送ローラ8よりも、シート搬送方向上流側に配置されている。一対の搬送ローラ34は、シート検知センサ33よりもシート搬送方向上流側に配置されている。また、図示の斜行補正制御部は、図2に示す斜行補正制御部6とその構成が異なるので、ここでは参照番号40を付す。
【0105】
なお、図9に示す例では、先行シート9に続いて斜行補正対象シート10が搬送され、斜行補正対象シート10に続いて後行シート35が搬送されるものとする。
【0106】
また、シート検知センサ33は、補正対象シート10の後端と後行シート35の先端との間隔を検知するためのものであり、シート検知センサ33は斜行補正制御部40に接続されている。
【0107】
図10は、図9に示す斜行補正制御部40の構成の一例を示すブロック図である。
【0108】
図10を参照すると、図示の斜行補正制御部40は、センサオン検知部50、51、55、58、及び62を備えるとともに、センサオフ検知部54、57、及び61を有している。
【0109】
センサオン検知部50及び55は右側センサ5Rがオン(シート検知)すると、右側センサオン信号を出力する。また、センサオン検知部51及び58は左側センサ5Lがオン(シート検知)すると、左側センサオン信号を出力する。
【0110】
一方、センサオフ検知部54は右側センサ5Rがオフすると、右側センサオフ信号を出力し、センサオフ検知部57は左側センサ5Lがオフすると、左側センサオフ信号を出力する。
【0111】
さらに、センサオフ検知部61は上流センサ33(第3のシート検知センサ)がオフすると、上流センサオフ信号を出力し、センサオン検知部62は上流センサ33がオンすると、上流センサオン信号を出力する。
【0112】
センサオン検知部50及び51からそれぞれ右側センサオン信号及び左側センサオン信号が与えられると、斜行検知部52は右側センサオン信号と左側センサオン信号とを受信した時間の差を入力時間差として算出する。
【0113】
さらに、斜行検知部52は、右側センサオン信号と左側センサオン信号とのいずれが先に入力されたかを判別して、斜行フラグR及び斜行フラグLをセットする(1にする)。
【0114】
例えば、右側センサオン信号が左側センサオン信号よりも先に入力されると、斜行検知部52は、斜行フラグR=‘1’とする。一方、左側センサオン信号が右側センサオン信号よりも先に入力されると、斜行検知部52は斜行フラグL=‘1’とする。また、右側センサオン信号と左側センサオン信号とが同時に入力された場合には、斜行検知部52は斜行フラグR及び斜行フラグLをともに‘0’のままとする。
【0115】
前述の右側センサオフ信号はカウンタ56に与えられ、カウンタ56は右側センサオフ信号を受けると、カウント(計時)を開始する。そして、カウンタ56は右側センサオン信号を受けるとカウントを停止して、右側カウント信号を出力する。
【0116】
同様にして、左側センサオフ信号はカウンタ59に与えられ、カウンタ59は左側センサオフ信号を受けると、カウント(計時)を開始する。そして、カウンタ59は左側センサオン信号を受けるとカウントを停止して、左側カウント信号を出力する。
【0117】
右側カウント信号及び左側カウント信号は、中間値算出部64に与えられ、中間値算出部64は、後述するように、右側カウント信号及び左側カウント信号が示すカウント値の中間値を算出する。
【0118】
また、上流センサオフ信号及び上流センサオン信号はカウンタ63に与えられる。カウンタ63は上流センサオフ信号を受けるとカウントを開始し、上流センサオン信号を受けるとカウントを停止して、上流カウント信号を出力する。
【0119】
中間値算出部64は中間値を対先行シート間隔として時間差算出部65に与え、カウンタ63は上流カウント信号を対後行シート間隔として時間差算出部65に与える。
【0120】
時間差算出部65は中間値と上流カウント信号が示すカウント値との差分(時間差)を求める。時間差算出部65は斜行対象シート10と後行シート32との関係を示す信号として遅れフラグ及び進みフラグをセットする。
【0121】
例えば、中間値が上流カウント信号のカウント値より大きいと、時間差算出部65は遅れフラグ=‘1’とする。一方、中間値が上流カウント信号のカウント値よりも小さいと、時間差算出部65は進みフラグ=‘1’とする。また、中間値と上流カウント信号のカウント値とが同一であると、時間差算出部65は遅れフラグ及び進みフラグをともに‘0’のままとする。
【0122】
上記の遅れフラグ及び進みフラグは増減速度算出部66R及び66Lに与えられる。また、前述の斜行フラグR及びLも増減速度算出部66R及び66Lに与えられる。
【0123】
さらに、斜行検知部52の出力である入力時間差は半分(1/2)とされて、増減速度算出部66R及び66Lに与えられる。時間差算出部65の出力である差分も半分(1/2)とされて、増減速度算出部66R及び66Lに与えられる。
【0124】
増減速度算出部66R及び66Lは、上記の差分及び入力時間差を補正するための増速量又は減速量を算出する。例えば、増減速度算出部66Rは、斜行フラグL=‘1’であると、入力時間差の1/2を増速量とし、斜行フラグR=‘1’であると、入力時間差の1/2を減速量とする。
【0125】
増減速度算出部66Lは、斜行フラグR=‘1’であると、入力時間差の1/2を増速量とし、斜行フラグL=‘1’であると、入力時間差の1/2を減速量とする。
【0126】
さらに、増減速度算出部66R及び66Lはともに、遅れフラグ=‘1’であると、差分の1/2を増速量とし、進みフラグ=‘1’であると、差分の1/2を減速量とする。
【0127】
このように、増減速度算出部66R及び66Lは、斜行フラグR、斜行フラグL、遅れフラグ、及び進みフラグに基づいて、入力時間差及び差分を加減算する。そして、増減速度算出部66R及び66Lは、加減算結果を搬送速度と乗算して、遅れ/進み距離を算出する。
【0128】
さらに、増減速度算出部66R及び66Lは遅れ/進み距離を斜行補正時間で除算して、増減速量を出力する。増減速度算出部66R及び66Lはそれぞれパルス周期換算部25R及び25Lに増減速量を右側増減速量信号及び左側増減速量信号として与える。これによって、図2に関連して説明したようにして、斜行補正制御が行われる。
【0129】
図11〜図13は、図9に示すシート搬送装置302の動作の一例を説明するための図である。また、図14〜図17は、図9に示すシート搬送装置302の動作の一例を説明するための図である。
【0130】
図9〜図17を参照して、以下の説明では、補正対象シート10は図9に示す状態で斜行しているものとする。まず、先行シート9について斜行補正が行われる(図11(A))。斜行補正制御部40は、先行シート9の後端が右側センサ5Rを通過したか否かについて判定する(S10)。センサオフ検知部54がセンサオフ信号を出力しないと(S10において、NO)、斜行補正制御部40は、先行シート9の後端が右側センサ5Rを通過するまで待つ。
【0131】
一方、図11(B)に示す状態となって、先行シート9の後端が右側センサ5Rを通過すると、つまり、センサオフ検知部54がセンサオフ信号を出力すると(S10において、YES)、カウンタ56がカウント(計時)を開始する(S11)。斜行補正制御部6は斜行補正対象シート10の先端が右側センサ5Rを通過したか否かについて判定する(S12)。
【0132】
斜行補正対象シート10が右側センサ5Rで検知されないと(S12において、NO)、斜行補正制御部40は、斜行補正対象シート10の先端が右側センサ5Rを通過するまで待つ。
【0133】
斜行補正シート10が右側センサ5Rで検知されると(S12において、YES、図12(A)参照)、センサオン検知部55は右側センサオン信号を出力する。右側センサオン信号に応答して、カウンタ56はカウントを停止する(S13)。そして、カウンタ56は右側カウント信号を出力する。
【0134】
さらに、斜行補正制御部40は、先行シート9の後端が左側センサ5Lを通過したか否かについて判定する(S14)。センサオフ検知部57が左側センサオフ信号を出力しないと(S14において、NO)、斜行補正制御部40は、先行シート9の後端が左側センサ5Lを通過するまで待つ。
【0135】
一方、図11(B)に示す状態となって、先行シート9の後端が左側センサ5Rを通過すると、つまり、センサオフ検知部57が左側センサオフ信号を出力すると(S14において、YES)、カウンタ59がカウント(計時)を開始する(S15)。先行シート9は、先端レジ補正部101A(図1)の先端レジ制御ローラ7に達する(図9参照)。斜行補正制御部6は斜行補正対象シート10の先端が左側センサ5Lを通過したか否かについて判定する(S16)。
【0136】
斜行補正対象シート10が左側センサ5Lで検知されないと(S16において、NO)、斜行補正制御部40は、斜行補正対象シート10の先端が左側センサ5Lを通過するまで待つ。
【0137】
斜行補正シート10が左側センサ5Lで検知されると(S16においてYES、図12(B)参照)、センサオン検知部58は左側センサオン信号を出力する。左側センサオン信号に応答して、カウンタ59はカウントを停止する(S17)。そして、カウンタ59は左側カウント信号を出力する。
【0138】
中間値算出部64は、右側カウント信号が示すカウント値と左側カウント信号が示すカウント値の中間値を、先行シート9と斜行補正対象シート10との間隔ITVLa(第1の間隔)として出力する(S18)。
【0139】
図12(B)に示すように、先行シート9と斜行補正対象シート10との距離は、V0×ITVLaとなる。
【0140】
また、斜行補正制御部40は、斜行補正対象シート10の後端が上流センサ33を通過したか否かについて判定する(S19)。センサオフ検知部61が上流センサオフ信号を出力しないと(S19において、NO)、斜行補正制御部40は、斜行補正対象シート10の後端が上流センサ33を通過するまで待つ。
【0141】
一方、図11(A)に示す状態となって、斜行補正対象シート10の後端が上流センサ33を通過すると、センサオフ検知部61は上流センサオフ信号を出力する。センサオフ検知部61が上流センサオフ信号を出力すると(S19において、YES)、カウンタ63がカウント(計時)を開始する(S20)。斜行補正制御部6は後行シート35の先端が上流センサ33を通過したか否かについて判定する(S21)。
【0142】
後行シート35が上流センサ33で検知されないと(S21において、NO)、斜行補正制御部40は、後行シート35の先端が上流センサ33を通過するまで待つ。
【0143】
図11(B)に示す状態となって、後行シート35の先端が上流センサ33を通過すると、センサオン検知部62は上流センサオン信号を出力する。つまり、後行シート35の先端が上流センサ30で検知されると(S21において、YES)、センサオン検知部62は上流センサオン信号を出力する。
【0144】
上流センサオン信号に応答して、カウンタ63はカウントを停止する。そして、カウンタ59は右側カウント信号を、後行シート35と斜行補正対象シート10との間隔ITVLb(第2の間隔)として出力する(S22)。
【0145】
図11(B)に示すように、斜行補正対象シート10と後行シート35との距離は、V0×ITVLbとなる。
【0146】
ところで、斜行補正制御部40は、斜行補正対象シート10の先端が同時に右側センサ5R及び左側センサ5Lを通過したか否かを判定している(S23)。つまり、斜行検知部52は、センサオン検知部50から出力される右側センサオン信号とセンサオン検知部51から出力される左側センサオン信号が同時に入力されたか否かを監視している。
【0147】
右側センサオン信号と左側センサオン信号が同時に入力されないと(S23において、NO)、斜行検知部52は、斜行補正対象シート10の先端が右側センサ5Rを通過したか否かを判定する(S24)。つまり、斜行検知部52は右側センサオン信号が入力されたか否かについて判定する。
【0148】
右側センサオン信号が入力されないと(S24において、NO)、斜行検知部52は斜行補正対象シート10の先端が左側センサ5Lを通過したか否かを判定する(S25)。つまり、斜行検知部52は左側センサオン信号が入力されたか否かについて判定する。
【0149】
左側センサオン信号が入力されないと(S25において、NO)、斜行検知部52は斜行補正対象シート10の先端が同時に右側センサ5R及び左側センサ5Lを通過したか否かを判定する(S23)。
【0150】
右側センサオン信号が入力されると(S24において、YES)、斜行検知部52は、斜行フラグR=’1’として、カウントを開始する(S26)。そして、斜行検知部52は、斜行補正対象シート10の先端が左側センサ5Lを通過したか否かについて判定する(S27)。
【0151】
左側センサオン信号を受けないと(S27において、NO)、斜行検知部52は左側センサオン信号を受けるまで待つ。一方、左側センサオン信号を受けると(S27において、YES)、斜行検知部52はカウントを停止する(S28)。
【0152】
左側センサオン信号が入力されると(S25において、YES)、斜行検知部52は、斜行フラグL=’1’として、カウントを開始する(S29)。そして、斜行検知部52は、斜行補正対象シート10の先端が右側センサ5Rを通過したか否かについて判定する(S30)。
【0153】
右側センサオン信号を受けないと(S30において、NO)、斜行検知部52は右側センサオン信号を受けるまで待つ。一方、右側センサオン信号を受けると(S30において、YES)、斜行検知部52はカウントを停止する(S28)。
【0154】
ここで、時間差算出部65は、間隔ITVLaと間隔ITVLbとが等しいか否かを判定している(S31)。間隔ITVLaと間隔ITVLbとが等しくないと(S31において、NO)、時間差算出部65は、間隔ITVLa>間隔ITVLbであるか否かについて判定する(S32)。
【0155】
間隔ITVLa<間隔ITVLbであると(S32において、NO)、時間差算出部65は、進みフラグ=’1’として、(間隔ITVLb−間隔ITVLa)の半分(Δt2)を出力する(S33)。
【0156】
間隔ITVLa>間隔ITVLbであると(S32において、YES)、時間差算出部65は、遅れフラグ=’1’として、(間隔ITVLa−間隔ITVLb)の半分(Δt1)を出力する(S34)。
【0157】
続いて、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、斜行フラグR=’1’であるか否かについて判定する(S35)。斜行フラグR=’1’であると(S35において、YES)、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速度を、V0×(Δt1+Δt2)/Tだけ減速するための減速量を求める(S36)。
【0158】
斜行フラグR=’1’である際には、増減速度算出部66Lは、Δt1>Δt2であるか否かを判定する(S37)。Δt1>Δt2であると(S37において、YES)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速を、V0×(Δt1−Δt2)/Tだけ増速するための増速量を求めて(S38)、処理を終了する。
【0159】
Δt1>Δt2でないと(S37において、NO)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速を、V0×(Δt2−Δt1)/Tだけ減速するための減速量を求めて(S39)、処理を終了する。
【0160】
斜行フラグR=’1’でないと(S35において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、斜行フラグL=’1’であるか否かを判定する(S40)。斜行フラグL=’1’であると(S40において、YES)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速度を、V0×(Δt1+Δt2)/Tだけ減速するための減速量を求める(S41)。
【0161】
斜行フラグL=’1’である際には、増減速度算出部66Rは、Δt1>Δt2であるか否かを判定する(S42)。Δt1>Δt2であると(S42において、YES)、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速を、V0×(Δt1−Δt2)/Tだけ増速するための増速量を求めて(S43)、処理を終了する。
【0162】
Δt1>Δt2でないと(S42において、NO)、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速を、V0×(Δt2−Δt1)/Tだけ減速するための減速量を求めて(S44)、処理を終了する。
【0163】
斜行フラグL=’1’でないと(S40において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lはそれぞれ右側ローラ1R及び左側ローラ1Lの周速を、V0×Δt2/Tだけ減速する減速量を求めて(S45)、処理を終了する。
【0164】
増減速度算出部66R及び66Lの各々は、斜行フラグR=’1’であるか否かについて判定する(S46)。斜行フラグR=’1’であると(S46において、YES)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速度を、V0×(Δt1+Δt2)/Tだけ増速するための増速量を求める(S47)。
【0165】
斜行フラグR=’1’である際には、増減速度算出部66Rは、Δt1>Δt2であるか否かを判定する(S48)。Δt1>Δt2であると(S48において、YES)、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速を、V0×(Δt1−Δt2)/Tだけ減速するための減速量を求めて(S49)、処理を終了する。
【0166】
Δt1>Δt2でないと(S48において、NO)、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速を、V0×(Δt2−Δt1)/Tだけ増速するための増速量を求めて(S50)、処理を終了する。
【0167】
斜行フラグR=’1’でないと(S46において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、斜行フラグL=’1’であるか否かを判定する(S51)。斜行フラグL=’1’であると(S51において、YES)、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速度を、V0×(Δt1+Δt2)/Tだけ増速するための増速量を求める(S52)。
【0168】
斜行フラグL=’1’である際には、増減速度算出部66Lは、Δt1>Δt2であるか否かを判定する(S53)。Δt1>Δt2であると(S53において、YES)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速を、V0×(Δt1−Δt2)/Tだけ増速するための増速量を求めて(S54)、処理を終了する。
【0169】
Δt1>Δt2でないと(S42において、NO)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速を、V0×(Δt2−Δt1)/Tだけ減速するための減速量を求めて(S55)、処理を終了する。
【0170】
S51において、斜行フラグL=’1’でないと(S51において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lはそれぞれ右側ローラ1R及び左側ローラ1Lの周速を、V0×Δt2/Tだけ増速するための増速量を求める(S56)。そして、増減速度算出部66R及び66Lは処理を終了する。
【0171】
間隔ITVLaと間隔ITVLbとが等しいと(S31において、YES)、続いて、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、斜行フラグR=’1’であるか否かについて判定する(S57)。斜行フラグR=’1’であると(S57において、YES)、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速度を、V0×Δt1/Tだけ減速するための減速量を求める(S58)。また、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速度を、V0×Δt1/Tだけ増速するための増速量を求める(S58)。そして、増減速度算出部66R及び66Lは処理を終了する。
【0172】
斜行フラグR=’1’でないと(S57において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、斜行フラグL=’1’であるか否かを判定する(S59)。斜行フラグL=’1’であると(S59において、YES)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速度を、V0×Δt1/Tだけ減速するための減速量を求める(S60)。また、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速度を、V0×Δt1/Tだけ増速するための増速量を求める(S60)。そして、増減速度算出部66R及び66Lは処理を終了する。斜行フラグL=’1’でないと(S59において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lは、処理を終了する。
【0173】
ところで、前述したように、斜行検知部52がカウントを停止した後、増減速度算出部66R及び66Lは、斜行フラグL=’1’であるか否かを判定する(S61)。斜行フラグL=’1’であると(S61において、YES)、増減速度算出部66Lは、斜行量の半分(Δt1)を左側ローラ1Lの減速量とする(S62)。また、増速度算出部66Rは、斜行量の半分(Δt1)を右側ローラ1Rの増速量とする(S62)。
【0174】
続いて、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、進みフラグ=’1’であるか否かについて判定する(S63)。進みフラグ=’1’であると(S63において、YES)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速度を、V0×(Δt1+Δt2)/Tだけ減速するための減速量を求める(S41)。
【0175】
一方、進みフラグ=’1’でないと(S63において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、遅れフラグ=’1’であるか否かについて判定する(S64)。遅れフラグ=’1’であると(S64において、YES)、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速度を、V0×(Δt1+Δt2)/Tだけ増速するための増速量を求める(S52)。また、遅れフラグ=’1’でないと(S64において、NO)、増減速度算出部66L及び66Rは、それぞれ左側ローラ1Lの周速度をV0×Δt1/Tだけ減速するための減速量及び右側ローラ1Rの周速度をV0×Δt1/Tだけ増速するための増速量を求める(S60)。
【0176】
斜行フラグL=’1’でないと(S61において、NO)、増減速度算出部66Rは、斜行量の半分(Δt1)を右側ローラ1Rの減速量とする(S65)。また、増速度算出部66Lは、斜行量の半分(Δt1)を左側ローラ1Lの増速量とする(S65)。なお、図12(B)に示すように、斜行補正対象シート10の斜行量は、V0×2Δt1である。
【0177】
続いて、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、進みフラグ=’1’であるか否かについて判定する(S66)。進みフラグ=’1’であると(S66において、YES)、増減速度算出部66Rは、増減速度算出部66Rは、右側ローラ1Rの周速度を、V0×(Δt1+Δt2)/Tだけ減速するための減速量を求める(S36)。
【0178】
一方、進みフラグ=’1’でないと(S66において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、遅れフラグ=’1’であるか否かについて判定する(S67)。遅れフラグ=’1’であると(S67において、YES)、増減速度算出部66Lは、左側ローラ1Lの周速度を、V0×(Δt1+Δt2)/Tだけ増速するための増速量を求める(S47)。また、遅れフラグ=’1’でないと(S67において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lは、それぞれ右側ローラ1Rの周速度をV0×Δt1/Tだけ減速するための減速量及び左側ローラ1Lの周速度をV0×Δt1/Tだけ増速するための増速量を求める(S58)。
【0179】
右側センサオン信号と左側センサオン信号が同時に入力されると(S23において、YES)、斜行検出部52は前述したように斜行フラグR及びLを出力する。この際、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、進みフラグ=’1’であるか否かについて判定する(S68)。進みフラグ=’1’であると(S68において、YES)、増減速度算出部66R及び66Lは、それぞれ右側ローラ1R及び左側ローラ1Lの周速を、V0×Δt2/Tだけ減速する減速量を求める(S45)。
【0180】
一方、進みフラグ=’1’でないと(S68において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、遅れフラグ=’1’であるか否かについて判定する(S69)。遅れフラグ=’1’であると(S69において、YES)、増減速度算出部66R及び66Lは、それぞれ右側ローラ1R及び左側ローラ1Lの周速を、V0×Δt2/Tだけ増速するための増速量を求める(S56)。また、遅れフラグ=’1’でないと(S69において、NO)、増減速度算出部66R及び66Lの各々は、処理を終了する。
【0181】
ここで、斜行補正対象シート10と先行シート9との間隔が、斜行補正対象シート10と後行シート32との間隔よりも大きいものとする。この場合、中間値算出部64の出力である中間値はカウンタ63の出力であるカウント値よりも大きくなる。この結果、時間差算出部65は遅れフラグ=‘1’を出力する。
【0182】
そして、時間差算出部65は、中間値とカウント値との差分の1/2であるΔt2を増速量として、増減速度算出部66R及び66Lに送る。増減速度算出部66Rは、前述したように、Δt1を減速量とする。
【0183】
ここで、Δt1>Δt2とすると、図18(A)に示すように、増減速度算出部66Rは、(Δt1−Δt2)と斜行補正対象シート10の搬送速度V0とを乗算する。そして、増減速度算出部66Rは、補正距離=V0×(Δt1―Δt2)(図18(A)において斜線で示す)を算出する。
【0184】
さらに、増減速度算出部66Rは補正距離を斜行補正時間Tで除算して減速幅ΔVRを算出する。そして、増減速度算出部66Rは、搬送速度V0から減速幅ΔVRを減算した速度V1Rをパルス周期換算部25Rに送る。
【0185】
一方、増減速度算出部66Lは、上記のΔt1を増速量とする。図18(B)に示すように、増減速度算出部66Lは、(Δt1+Δt2)と斜行補正対象シート10の搬送速度V0とを乗算する。そして、増減速度算出部66Lは、補正距離=V0×(Δt1+Δt2)(図18(B)において斜線で示す)を算出する。
【0186】
さらに、増減速度算出部66Lは、補正距離を斜行補正時間Tで除算して減速幅ΔVLを算出する。そして、増減速度算出部66Lは、搬送速度V0からΔVLを減算して得た速度V1Lをパルス周期換算部25Lに送る。
【0187】
その後の動作は、前述の第1の例と同様である。これによって、図13に示すように、斜行補正対象シート10は右側ローラ(斜行補正ローラ)1R及び左側ローラ(斜行補正ローラ)1Lによって斜行補正される。
【0188】
そして、斜行補正対象シート10は、前後のシート9及び32との間隔をV0×(ITVLa−Δt2)=V0×(ITVLb+Δt2)となるよう均等に保って搬送されることになる。
【0189】
上述のように、第2の例においては、先行シート9、斜行補正対象シート10、及び後行シート35の間隔を相互に検知して、互いに独立して駆動される一対の斜行ローラ5を増減速制御するようにしている。従って、先行シート9と斜行補正シート10との間隔ばかりでなく、斜行補正対象シート10と後行シート35との間隔を適正に保持しつつ、斜行補正対象シート10の斜行補正を行うことができる。
【0190】
なお、上述の説明から明らかなように、図3において、右側センサ5R、左側センサ5L、センサオフ検知部20、及びセンサオン検知部21R及び21Lがシート検知手段として機能することになる。
【0191】
また、カウンタ22R及び22L、時間差算出部23R及び23L、増減速度算出部24R及び24L、パルス周期換算部25R及び25L、及びパルス生成部26R及び26Lが制御手段として機能する。この場合、増減速度算出部24R、パルス周期換算部25R、及びパルス生成部26Rが第1の速度制御手段として機能する。そして、増減速度算出部24L、パルス周期換算部25L、及びパルス生成部26Lが第2の速度制御手段として機能する。
【0192】
図10において、右側センサ5R、左側センサ5L、上流センサ33、センサオフ検知部54、57、及び61、及びセンサオン検知部50、51、55、58、及び62がシート検知手段として機能する。
【0193】
また、カウンタ56、59、及び63、中間値算出部64、及び時間差算出部65が間隔検知手段として機能する。この際、間隔検知手段は、シート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、先行シートの後端と斜行補正対象シートの先端との間隔を第1の間隔として得るとともに、斜行補正対象シートの後端と後行シートの先端との間隔を第2の間隔として得ることになる。
【0194】
そして、斜行検知部52が斜行検出手段として機能し、シート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、斜行補正対象シートの斜行量を求めることになる。
【0195】
さらに、増減速度算出部66R及び66L、パルス周期換算部25R及び25L、及びパルス生成部26R及び26Lが集合的に第1の制御手段及び第2の制御手段として機能する。
【0196】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0197】
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を、シート搬送装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。この際、制御方法は、少なくとも比較ステップ及び制御ステップを有することになる。また、制御方法は、少なくとも第1の間隔検知ステップ、第2の間隔検知ステップ、斜行量検知ステップ、駆動制御ステップ、増速制御ステップ、及び減速制御ステップと有するようにしてもよい。
【0198】
また、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータに読み取り可能な記録媒体を介してシステム或いは装置に供給するようにしてもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理ようにしてもよい。
【符号の説明】
【0199】
1R,1L 斜行補正ローラ
6 斜行補正制御部
20 センサオフ検知部
21R,21L センサオン検知部
22R,22L カウンタ
23R,23L 時間差算出部
24R,24L 増減速度算出部
25R,25L パルス周期換算部
26R,26L パルス生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送しつつ、シートの斜行を補正するシート搬送装置において、
シートの搬送方向に交差するシートの幅方向の異なる位置に配置され、互いに独立して駆動されてシートを搬送する第1及び第2の搬送部材と、
前記幅方向の異なる位置に配置され、シートを検知する第1及び第2のシート検知手段と、
斜行の補正対象である斜行補正対象シートよりも先行して搬送される先行シートの後端が前記第1及び前記第2のシート検知手段の双方で検知されてから前記斜行補正対象シートの先端を前記第1及び前記第2のシート検知手段がそれぞれ検知するまでの時間を表す第1及び第2の検知時間を得て、前記第1及び前記第2の検知時間と前記先行シート及び前記斜行補正対象シートの間隔が目標間隔である場合における所定の搬送時間とをそれぞれ比較して第1及び第2の比較結果を求め、前記第1及び前記第2の比較結果に応じてそれぞれ前記第1及び前記第2の搬送部材を駆動制御する制御手段とを有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の検知時間が前記所定の搬送時間よりも大きいと、前記第1の検知時間と前記所定の搬送時間との差で規定される第1の時間差に応じて前記第1の搬送部材の速度を増速制御し、前記第1の検知時間が前記所定の搬送時間よりも小さいと、前記第1の時間差に応じて前記第1の搬送部材の速度を減速制御し、
前記第2の検知時間が前記所定の搬送時間よりも大きいと、前記第2の検知時間と前記所定の搬送時間との差で規定される第2の時間差に応じて前記第2の搬送部材の速度を増速制御し、前記第2の検知時間が前記所定の搬送時間よりも小さいと、前記第2の時間差に応じて前記第1の搬送部材の速度を減速制御することを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記先行シートの後端が前記第1及び前記第2のシート検知手段の双方で検知されてから、前記斜行補正対象シートの先端が前記第1のシート検知手段で検知されるまでの第1のカウント値を得る第1のカウンタ手段と、
前記先行シートの後端が前記第1及び前記第2のシート検知手段で検知されてから、前記斜行補正対象シートの先端が前記第2のシート検知手段で検知されるまでの第2のカウント値を得る第2のカウンタ手段と、
前記第1のカウント値と前記所定の搬送時間との差を示す第1の差分を前記第1の時間差とする第1の時間差算出手段と、
前記第2のカウント値と前記所定の搬送時間との差を示す第2の差分を前記第2の時間差とする第2の時間差算出手段と、
前記第1のカウント値が前記所定の搬送時間よりも大きいと、前記第1の搬送部材の速度を前記第1の差分に応じて増速し、前記第1のカウント値が前記所定の搬送時間よりも小さいと、前記第1の搬送部材の速度を前記第1の差分に応じて減速する第1の速度制御手段と、
前記第2のカウント値が前記所定の搬送時間よりも大きいと、前記第2の搬送部材の速度を前記第2の差分に応じて増速し、前記第2のカウント値が前記所定の搬送時間よりも小さいと、前記第2の搬送部材の速度を前記第2の差分に応じて減速する第2の速度制御手段とを有することを特徴とする請求項2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
シートを搬送しつつ、シートの斜行を補正するシート搬送装置において、
シートの搬送方向に交差するシートの幅方向の異なる位置に配置され、互いに独立して駆動されてシートを搬送する第1及び第2の搬送部材と、
前記幅方向の異なる位置に配置され、シートを検知する第1及び第2のシート検知手段と、
前記第1及び前記第2のシート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、前記斜行の補正対象である斜行補正対象シートよりも先行する先行シートの後端と前記斜行補正対象シートの先端との間隔を第1の間隔として得るとともに、前記斜行補正対象シートの後端と該斜行補正対象シートに続く後行シートの先端との間隔を第2の間隔として得る間隔検知手段と、
前記第1及び前記第2のシート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、前記斜行補正対象シートの斜行量を求める斜行検出手段と、
前記斜行量に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材を駆動制御するとともに、前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも大きいと、前記第1及び前記第2の間隔の差に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材の速度を増速制御する第1の制御手段と、
前記斜行量に応じて前記搬送部材を駆動制御するとともに、前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも小さいと、前記第1及び前記第2の間隔の差に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材の速度を減速制御する第2の制御手段とを有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1及び前記第2の制御手段の各々は、前記第2のシート検知手段で前記斜行補正対象シートが検知される前に、前記第1のシート検知手段で前記斜行補正対象シートの先端が検知されると、前記斜行量の1/2を前記第2の搬送部材の速度を増速する増速量とするとともに、前記斜行量の1/2を前記第1の搬送部材の速度を減速する減速量とすることを特徴とする請求項4記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第1及び前記第2の制御手段の各々は、前記第1のシート検知手段で前記斜行補正対象シートが検知される前に、前記第2のシート検知手段で前記斜行補正対象シートの先端が検知されると、前記斜行量の1/2を前記第1の搬送部材の速度を増速する増速量とするとともに、前記斜行量の1/2を前記第2の搬送部材の速度を減速する減速量とすることを特徴とする請求項5記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第1の制御手段は、前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも大きいと、前記第1及び前記第2の間隔の差の1/2を増速量として前記第1及び前記第2の搬送部材の速度を制御し、
前記第2の制御手段は、前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも小さいと、前記第1及び前記第2の間隔の差の1/2を減速量として前記第1及び前記第2の搬送部材の速度を制御することを特徴とする請求項5又は6記載のシート搬送装置。
【請求項8】
シートの搬送方向に交差するシートの幅方向の異なる位置に配置され、互いに独立して駆動されてシートを搬送する第1及び第2の搬送部材と、前記幅方向の異なる位置に配置され、シートを検知する第1及び第2のシート検知手段とを備え、搬送されるシートの斜行を補正するシート搬送装置の制御方法において、
斜行の補正対象である斜行補正対象シートよりも先行して搬送される先行シートの後端が前記第1及び前記第2のシート検知手段の双方で検知されてから前記斜行補正対象シートの先端を前記第1及び前記第2のシート検知手段がそれぞれ検知するまでの時間を表す第1及び第2の検知時間を得て、前記第1及び前記第2の検知時間と前記先行シート及び前記斜行補正対象シートの間隔が目標間隔である場合における所定の搬送時間とをそれぞれ比較して第1及び第2の比較結果を求める比較ステップと、
前記第1及び前記第2の比較結果に応じてそれぞれ前記第1及び前記第2の搬送部材を駆動制御する制御ステップとを有することを特徴とするシート搬送装置の制御方法。
【請求項9】
シートの搬送方向に交差するシートの幅方向の異なる位置に配置され、互いに独立して駆動されてシートを搬送する第1及び第2の搬送部材と、前記幅方向の異なる位置に配置され、シートを検知する第1及び第2のシート検知手段とを備え、搬送されるシートの斜行を補正するシート搬送装置の制御方法において、
前記第1及び前記第2のシート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、前記斜行の補正対象である斜行補正対象シートよりも先行する先行シートの後端と前記斜行補正対象シートの先端との間隔を第1の間隔として得る第1の間隔検知ステップと、
前記第1及び前記第2のシート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、前記斜行補正対象シートの後端と該斜行補正対象シートに続く後行シートの先端との間隔を第2の間隔として得る第2の間隔検知ステップと、
前記第1及び前記第2のシート検知手段の各々による検知タイミングに応じて、前記斜行補正対象シートの斜行量を求める斜行検出ステップと、
前記斜行量に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材を駆動制御する駆動制御ステップと、
前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも大きいと、前記第1及び前記第2の間隔の差に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材の速度を増速制御する増速制御ステップと、
前記斜行量に応じて前記搬送部材を駆動制御するとともに、前記第1の間隔が前記第2の間隔よりも小さいと、前記第1及び前記第2の間隔の差に応じて前記第1及び前記第2の搬送部材の速度を減速制御する減速制御ステップとを有することを特徴とするシート搬送装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−25544(P2012−25544A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166038(P2010−166038)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】